(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001200
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】ファン装着可能なファン取付部、当該ファン取付部を含む衣服、及び、当該衣服を含むファン付き衣服
(51)【国際特許分類】
A41D 13/002 20060101AFI20241225BHJP
A41D 13/005 20060101ALI20241225BHJP
A41D 27/08 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
A41D13/002 105
A41D13/005 103
A41D27/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100667
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】511190096
【氏名又は名称】株式会社ブレイン
(74)【代理人】
【識別番号】110001885
【氏名又は名称】弁理士法人IPRコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】大倉 博則
【テーマコード(参考)】
3B035
3B211
【Fターム(参考)】
3B035AA03
3B035AB06
3B035AC19
3B211AA01
3B211AB01
3B211AC02
3B211AC03
(57)【要約】
【課題】 ファン付き衣服及びそれ以外の製品に広く適用できるファン装着可能なファン取付部、当該ファン取付部を含む衣服、及び、当該衣服を含むファン付き衣服を提供する。
【解決手段】 ファン装着可能なファン取付部は、開口を有するベース生地と、前記開口の内縁を覆うテープ材と、を具備し、前記テープ材が伸縮性のない生地から構成されること、を特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有するベース生地と、
前記開口の内縁を覆うテープ材と、を具備し、
前記テープ材が非伸縮性の生地から構成されること、
を特徴とするファン装着可能なファン取付部。
【請求項2】
前記テープ材がバイアステープでないこと、
を特徴とする請求項1に記載のファン装着可能なファン取付部。
【請求項3】
前記テープ材が接着芯及び補強芯を含まないこと、
を特徴とする請求項2に記載のファン装着可能なファン取付部。
【請求項4】
請求項1~3のうちのいずれかに記載のファン装着可能なファン取付部を含む衣服。
【請求項5】
請求項4に記載の衣服と、
前記開口に着脱自在に装着される電動ファンと、
を具備することを特徴とするファン付き衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファン装着可能なファン取付部、当該ファン取付部を含む衣服、及び、当該衣服を含むファン付き衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高気温下での作業や運動から引き起こされる熱中症が問題視されている。熱中症が引き起こされると適切な処置を早急に行うことが重要であり、処置が遅れると死に至るケースもある。
【0003】
上記のような熱中症対策及び快適な作業環境を提供するために、身体を冷却しつつ作業を可能とする空調衣服が知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる空調衣服では、送風手段が取り付けられる孔部の周囲における服地部には、略円環形状のポリプロピレン・シートが設けられる。送風手段は、着脱可能な二つの部品を有しており、各部品でポリプロピレン・シートを挟み込んだ状態で服地部に取り付けられる。
【0004】
しかし、略円環形状のポリプロピレン・シートの取付は、特定のシートの準備、シートの適当なサイズへのカット、及びシートの縫合などを伴い、手間である。即ち、従来の空調衣服では、ファンの保持構造に未だ改善の余地がある。
また、ファンを装着可能な製品は、衣服に限らず、ヘルメット用フード、日よけ、帽子、バッグ及びベビーカー用カバー等に広がっており、これらの製品におけるファンの保持構造にも未だ改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】再公表特許第WO2006/009108号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、ファン付き衣服及びそれ以外の製品に広く適用できるファン装着可能なファン取付部、当該ファン取付部を含む衣服、及び、当該衣服を含むファン付き衣服を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決すべく、本発明は、
開口を有するベース生地と、
前記開口の内縁を覆うテープ材と、を具備し、
前記テープ材が非伸縮性の生地から構成されること、
を特徴とするファン装着可能なファン取付部、を提供する。
【0008】
本発明のファン装着可能なファン取付部においては、前記テープ材がバイアステープでないこと、が好ましい。
【0009】
また、本発明のファン装着可能なファン取付部においては、前記テープ材が接着芯及び補強芯を含まないこと、が好ましい。
【0010】
また、本発明は、上記のいずれかに記載のファン装着可能なファン取付部を含む衣服を提供する。
【0011】
更には、本発明は、
上記に記載の衣服と、
前記開口に着脱自在に装着される電動ファンと、
を具備することを特徴とするファン付き衣服、をも提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ファン付き衣服及びそれ以外の製品に広く適用できるファン装着可能なファン取付部、当該ファン取付部を含む衣服、及び、当該衣服を含むファン付き衣服を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の代表的な実施形態に係るファン取付部を概略的に示す正面図、背面図及びA-A線横断面図である。
【
図3】生地の開口にファン取付部を形成する手順を示す図である。
【
図4】ファン取付部にファンを取り付ける手法を説明する図である。
【
図5】ファン取付部を含む衣服の一例を示す概略図である。
【
図6】ファン付き衣服における空気の流れの概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るファン装着可能なファン取付部、ファン取付部を含む衣服、及び、ファン付き衣服の代表的な実施形態について、図を参照しながら詳細に説明するが、本発明は図示されるものに限られない。また、各図面は本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために、必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表している場合もある。更に、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することもある。
【0015】
1.ファン装着可能なファン取付部1について
図1~
図4を参照して、ファン装着可能なファン取付部1(以下、ファン取付部1と略すことがある。)について説明する。
【0016】
ファン取付部1は典型的には作業着などの衣服10に適用可能であるが(
図5参照)、ファン取付部1の適用対象は衣服10に限られるものではない。
図1(A)~(C)に示すように、ファン取付部1は、開口3を有するベース生地2と、開口3の内縁を挟み込んだ状態で開口3内縁に取り付けられるテープ材4と、を含む。
【0017】
ベース生地2は、天然繊維で作製されても化学繊維で作製されてもよいし、また編み物でも織物でも不織布でもよい。あるいは、ベース生地2は、天然皮革や人工皮革でもよいし、ポリ塩化ビニル等の樹脂製シートでもよい。
【0018】
ベース生地2に形成される開口3の内径は、筐体51の内径及び蓋52のネジ部53の外径よりも大きく、かつ、鍔部51A,52Aの外径よりも小さい。これにより、ファン5は、蓋52のネジ部53をベース生地2の開口3に差し込んだ状態で、鍔部51A,52Aで開口3の内縁を挟持することができる(
図4参照)。
【0019】
ベース生地2の開口3を形成する内縁はテープ材4で覆われている(例えば
図2参照)。すなわち、テープ材4は、開口3の内縁の外面側及び内面側を挟み込んだ状態で、例えば縫合などの固定手段によって開口3に取り付けられる。本実施形態では、テープ材4は開口3の内縁のほぼ全周を覆っているが、テープ材4は開口3の内縁を部分的に覆ってもよい。
【0020】
テープ材4は、非伸縮性の生地から構成される。非伸縮性を有する生地がテープ材4として使用されると、開口3が広がり、広がった開口3からファン5が脱落するおそれがある。重量が増し、製造コストが上昇する。したがって、例えばバイアステープはテープ材4としては適切でない。
【0021】
ここで、「非伸縮性」とは、弾性変形を全くしないという意味ではなく、弾性変形が目視で認められない程度を意味する。テープ材4としては、例えば編み布タイプ、不織布タイプ及び織り布タイプが挙げられるが、不織布タイプ及び織り布タイプが好適である。更には、テープ材4は、非伸縮性であれば、樹脂製のシートを細長く切断したものや、編み布又は織り布等に例えば樹脂やゴムがコーティングされたものであってもよい。伸縮率は、例えばJISL1096織物及び編物の生地試験方法の規格に基づいて、30%以下、好ましくは20%以下、更に好ましくは10%以下(即ち、伸長率が130%以下、好ましくは120%以下、更に好ましくは110%以下)であるとよい。
【0022】
また、テープ材4は接着芯及び補強芯を含まない。接着芯及び補強芯を含むことで、生地が厚くなったり硬くなったりすることを抑制することができる。また、接着芯及び補強芯を含める作業を簡略化することができる。
【0023】
図3を参照して、ファン取付部1を形成する手順を説明する。
まず、ベース生地2に開口3を形成し、又は開口3を有するベース生地2を準備する(
図3(A)参照)。
開口3の内縁に沿ってテープ材4を配置する(
図3(B)参照)。この時、テープ材4の両縁をそれぞれ内側に折り返しておくとよい。
テープ材4の両縁でベース生地2の表側と裏側とを挟み込んだ状態で、テープ材4の両縁を縫合等により固定する(
図3(C)参照)。
これにより、ファン取付部1が形成される。
【0024】
次いで、
図4を参照して、ファン取付部1にファン5を取り付ける手順を説明する。
まずファン5について述べると、ファン5は、電動モータ(図示せず)で羽部(図示せず)を回転させる電動ファンであり、電動モータ及び羽部を収納する筒状の筐体51を有する。筐体51には、その径方向の外側に突出する鍔部51Aが設けられ、筐体51の内周面には、後述する蓋52の外周面に形成されたネジ部53に対応するネジ溝(図示せず)が形成されている。
筐体51の開口部(図示せず)には蓋52が嵌合する。蓋52には、その端部から外側に突出する鍔部52Aが設けられ、鍔部52Aは筐体51の鍔部51Aに対向する。
【0025】
ファン取付部1にファン5を取り付けるためには、ファン5の筐体51と蓋52とを分離させ、その間にファン取付部1を配置する。具体的には、ファン5の筐体51の鍔部51Aをファン取付部1の開口3の内面側に配置し、ファン5の蓋52をファン取付部1の開口3の外面側から差し入れて、筐体51と蓋52とを嵌合させる。このとき、鍔部51A,52Aの間にファン取付部1の開口3の内縁が挟み込まれ、これによりファン取付部1にファン5が装着される。
【0026】
2.ファン付き衣服10について
図5及び
図6を参照して、ファン取付部1の適用例の1つとして、ファン取付部1を衣服10に適用してファン付き衣服を構成する手法を説明する。ただし、ファン取付部1の適用例は衣服に限られるものではない。
【0027】
衣服10は、少なくとも身頃11を有し、更に袖12を有してもよい。
身頃11は、前身頃と後ろ身頃を含む。前身頃はファスナで開閉できるものでもよい。また、後ろ身頃の例えば腰部に開口3が設けられ、ファン取付部1を形成している。ただし、ファン取付部1は前身頃に形成されてもかまわない。また、ファン取付部1は本実施形態では2つであるが、少なくとも1つのファン取付部1があればよい。
【0028】
その他、衣服10は、電源、電源を収納するためのポケット、ファン5の操作のためのスイッチ、スイッチを取り付けるためのマウントを有してもよい(いずれも図示せず)。
電源としては、例えばポータブル二次電池であり、一次電池でもよい。
スイッチは、ファン5のオン・オフ、風量の調整を行えるものであればよい。また、スイッチは、ファン5の状態(電源オン、風量の強さ)に応じた色で発光するライト(LEDなど)を有してもよい。
更に、ファン5、電源、スイッチの間を電気的に接続するケーブル(図示せず)が取り付けられる。
なお、ベース生地2としての衣服10にファン取付部1を形成し、ファン取付部1にファン5を装着する手順は、先に述べた手法により実施可能である。
【0029】
次いで、ファン付き衣服10の動作を説明する。
衣服10のファン取付部1(開口3)にファン5を装着する。
電源をポケットに入れ、スイッチを例えば前身頃に取り付ける。ファン5、電源、スイッチの間をケーブルで繋ぐ。
スイッチを投入すると、ファン5が回転し、外気を衣服10内に流入させる。これにより、衣服10内の空気が循環し、着用者を冷却する。
【0030】
本実施形態によれば、ファン付き衣服及びそれ以外の製品に広く適用できるファン装着可能なファン取付部を提供することができる。また、当該ファン取付部を含む衣服、及び、当該衣服を含むファン付き衣服を提供することもできる。
これにより、より簡易に熱中症に対する対策を講じることができる。
【0031】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明してきたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の精神及び教示を逸脱しない範囲でその他の改良例や変形例が存在する。そして、かかる改良例や変形例は全て本発明の技術的範囲に含まれることは、当業者にとっては容易に理解されるところである。
【0032】
例えば、本発明のファン取付部は、ファン付き衣服以外のウェアやアイテムにも広く適用でき、これらのみに限定されるものではないが、例えばレインウェア(カッパ)、トレーニングウェア、ヘルメット用フード、日よけ、帽子、バッグ及びベビーカー用カバー等が挙げられる。
【符号の説明】
【0033】
1 ファン取付部
2 ベース生地
3 開口
4 テープ材
5 ファン
10 衣服