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特開2025-12001蓋付ティーバッグ及び茶飲料の抽出方法
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  • 特開-蓋付ティーバッグ及び茶飲料の抽出方法 図1
  • 特開-蓋付ティーバッグ及び茶飲料の抽出方法 図2
  • 特開-蓋付ティーバッグ及び茶飲料の抽出方法 図3
  • 特開-蓋付ティーバッグ及び茶飲料の抽出方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012001
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】蓋付ティーバッグ及び茶飲料の抽出方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/06 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
A47J31/06 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114507
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】523266095
【氏名又は名称】冨士岡 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 文彦
(74)【代理人】
【識別番号】100198719
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 良裕
(72)【発明者】
【氏名】冨士岡 直子
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA10
4B104BA43
4B104BA87
4B104EA08
4B104EA30
(57)【要約】
【課題】ティーカップ装着時において茶葉を内包する袋体内部に茶葉が上下運動するための十分なスペースを確保することが可能な蓋付ティーバッグ及びこれに関連する技術の提供。
【解決手段】蓋付ティーバッグ1は、蓋部材3と、蓋部材3の裏面32に接続部材7を介して設けられる袋体5とを備える。蓋部材3は、ティーカップの開口全域を閉塞するためのシート状の部材である。袋体5は、茶飲料の茶葉を内包する透水性の部材である。蓋部材3は、袋体5を挟持するように折り畳まれた閉状態ST3と、閉状態ST3から展開されて平面状に延在する開状態ST1とを切り替え可能に構成されている。袋体5は、蓋部材3が閉状態ST3から開状態ST1に切り替えられると、蓋部材3の開閉方向に広がって内部空間SPの体積が閉状態ST3よりも大きくなるように構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋付ティーバッグであって、
ティーカップの開口全域を閉塞するためのシート状の蓋部材と、
前記蓋部材の裏面に直接または間接的に設けられ、茶飲料の茶葉を内包する透水性の袋体と、
を備え、
前記蓋部材は、前記袋体を挟持するように折り畳まれた閉状態と、前記閉状態から展開されて平面状に延在する開状態とを切り替え可能に構成されており、
前記袋体は、前記蓋部材が前記閉状態から前記開状態に切り替えられると、前記蓋部材の開閉方向に広がって内部空間の体積が前記閉状態よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする蓋付ティーバッグ。
【請求項2】
前記蓋部材の裏面と前記袋体の外周面とを接続する接続部材を更に備え、
前記接続部材のうち前記蓋部材の裏面に接続される第一接続部は、前記閉状態において前記袋体に接近する一方、前記開状態において前記袋体から離間し、
前記接続部材のうち前記袋体の外周面に接続される第二接続部は、前記第一接続部が前記袋体から離間する側に移動し、もって前記内部空間の体積が前記閉状態よりも大きくなることを特徴とする請求項1に記載の蓋付ティーバッグ。
【請求項3】
蓋付ティーバッグであって、
ティーカップの開口全域を閉塞するためのシート状の蓋部材と、
前記蓋部材の裏面に直接または間接的に設けられ、茶飲料の茶葉を内包する透水性の袋体と、
を備え、
前記蓋部材は、前記袋体を挟持するように折り畳まれた閉状態と、前記閉状態から展開されて平面状に延在する開状態とを切り替え可能に構成されており、
前記袋体は、前記蓋部材が前記閉状態から前記開状態に切り替えられると、前記蓋部材の開閉方向に広がって内部空間の体積が前記閉状態よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする蓋付ティーバッグを用いた茶飲料の抽出方法であって、
前記ティーカップにお湯を注ぐ工程と、
前記閉状態にある前記蓋部材を広げて前記開状態に切り替える工程と、
前記蓋部材を前記ティーカップの口縁に載置し、前記蓋部材の裏面に設けられた前記袋体をお湯に浸ける工程と、
からなる茶飲料の抽出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋付ティーバッグ及びこれに関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ティーカップ開口を覆う蓋を備えたティーバッグが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載のティーバッグ(1)は、カップ(3)の開口部(3a)の全域を覆うためのシート状の蓋部材(5)と、蓋部材(5)の裏面に設けられ、透水性材料により構成され茶飲料の茶葉(M)を内包する袋体(7)とを備えている(特許文献1の図2参照)。袋体(7)の一部は、蓋部材(5)の裏面に熱融着されている。そのため、蓋部材(5)の面内方向が水平になるように蓋部材(5)を配置すると、蓋部材(5)の裏面から袋体(7)が垂れ下がる。これにより、袋体(7)をカップ(3)に注がれたお湯に浸けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-144565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、紅茶などの茶飲料の茶葉にお湯を注ぐと、熱対流に伴うジャンピングが発生する。ジャンピングの原理としては、茶葉に湯を注ぐと、軽い茶葉が浮き上がった後、茶葉がお湯を吸って重さが生じて沈む。この後、お湯の中の酸素が茶葉に付着することで茶葉が再度浮上した後、茶葉に付着した酸素が弾け、重みで再度下部に沈む。これを繰り返すことで、茶葉の上下運動、すなわち、ジャンピングが発生する。このようなジャンピングが発生することで、茶飲料本来の香りや旨味が引き出される。
【0005】
上述したジャンピングにおいて、茶葉を効率よく上下運動させるためには、茶葉が比較的自由に上下運動可能なスペース(移動空間)を確保しなければならない。ただ、特許文献1に記載の袋体(7)を含むエンベロープ型のティーバッグは、茶葉が上下運動するのに十分なスペースを内部に確保することが困難であり、ひいては、ジャンピングが発生し難いという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、ティーカップ装着時において茶葉を内包する袋体内部に茶葉が上下運動するための十分なスペースを確保することが可能な蓋付ティーバッグ及びこれに関連する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、蓋付ティーバッグであって、ティーカップの開口全域を閉塞するためのシート状の蓋部材と、前記蓋部材の裏面に直接または間接的に設けられ、茶飲料の茶葉を内包する透水性の袋体と、を備え、前記蓋部材は、前記袋体を挟持するように折り畳まれた閉状態と、前記閉状態から展開されて平面状に延在する開状態とを切り替え可能に構成されており、前記袋体は、前記蓋部材が前記閉状態から前記開状態に切り替えられると、前記蓋部材の開閉方向に広がって内部空間の体積が前記閉状態よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする蓋付ティーバッグを提供している。
【0008】
ここで、前記蓋部材の裏面と前記袋体の外周面とを接続する接続部材を更に備え、前記接続部材のうち前記蓋部材の裏面に接続される第一接続部は、前記閉状態において前記袋体に接近する一方、前記開状態において前記袋体から離間し、前記接続部材のうち前記袋体の外周面に接続される第二接続部は、前記第一接続部が前記袋体から離間する側に移動し、もって前記内部空間の体積が前記閉状態よりも大きくなるのが好ましい。
【0009】
また、本発明は、蓋付ティーバッグであって、ティーカップの開口全域を閉塞するためのシート状の蓋部材と、前記蓋部材の裏面に直接または間接的に設けられ、茶飲料の茶葉を内包する透水性の袋体と、を備え、前記蓋部材は、前記袋体を挟持するように折り畳まれた閉状態と、前記閉状態から展開されて平面状に延在する開状態とを切り替え可能に構成されており、前記袋体は、前記蓋部材が前記閉状態から前記開状態に切り替えられると、前記蓋部材の開閉方向に広がって内部空間の体積が前記閉状態よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする蓋付ティーバッグを用いた茶飲料の抽出方法であって、前記ティーカップにお湯を注ぐ工程と、前記閉状態にある前記蓋部材を広げて前記開状態に切り替える工程と、前記蓋部材を前記ティーカップの口縁に載置し、前記蓋部材の裏面に設けられた前記袋体をお湯に浸ける工程とからなる茶飲料の抽出方法を更に提供している。
【発明の効果】
【0010】
本発明の蓋付ティーバッグ及び茶飲料の抽出方法によれば、蓋部材が閉状態から開状態に切り替えられると、袋体が蓋部材の開閉方向に広がって当該袋体の内部空間の体積が大きくなるように構成されている。そのため、ティーカップ装着時において茶葉を内包する袋体内部に茶葉が上下運動するための十分なスペースを確保することが可能である。
【0011】
なお、ティーカップ装着時において茶葉を内包する袋体内部に茶葉が上下運動するための十分なスペースを確保するための具体的構成は、上述した特許文献1には全く記載されていない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態による蓋付ティーバッグを示す斜視図。
図2】蓋付ティーバッグを(a)蓋部材と(b)袋体及び接続部材とに分解した分解図。
図3】蓋部材を開状態から閉状態又は閉状態から開状態に切り替える様子を示す図。
図4】蓋付ティーバッグの袋体をティーカップに注いだお湯に浸ける様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<1.実施形態>
本発明の実施形態による蓋付ティーバッグ及び茶飲料の抽出方法について図1から図4を参照しながら説明する。以下では、本発明による蓋付ティーバッグの一例として、図1に示す蓋付ティーバッグ1を例示する。
【0014】
図1に示すように、蓋付ティーバッグ1は、表面31及び裏面32を含むシート状の蓋部材3と、蓋部材3の裏面32に設けられる袋体5と、蓋部材3の裏面32と袋体5の外周面とを接続する接続部材7とを備えて構成されている。
【0015】
図2(a)に示すように、蓋部材3は、略真円のシート状の部材として構成され、主に紙で構成されている。蓋付ティーバッグ1の使用時において、蓋部材3の表面31は上側を向く面であり、蓋部材3の裏面32は下側を向く面である。蓋部材3の表面31及び裏面32には、ポリプロピレン(PP)などのコーティング層が施されている。なお、本実施形態では、蓋部材3が主に紙で構成される場合を例示するが、プラスチック等の別の材料によって構成されるようにしてもよい。
【0016】
蓋部材3は、使用時(茶葉抽出時)にティーカップTC(図4参照)の開口に載置されることで、ティーカップTC(図4参照)の開口全域を覆って閉塞する。ティーカップTCの開口全域が蓋部材3によって閉塞されると、ティーカップTC内のお湯が保温されるため、蒸らし時間が短縮される。蓋部材3の直径D1(図2(a)参照)は、蓋部材3によってティーカップTCの開口全域を閉塞できるように、ティーカップTCの開口の直径D2(図4参照)よりも大きい。
【0017】
蓋部材3には、表面31を山折り、裏面32を谷折りするための折れ線PLが形成されている。折れ線PLは、蓋部材3の略中央において蓋部材3を2つに分断するように直線状に形成されている。
【0018】
袋体5は、紅茶などの茶飲料の茶葉を内包する透水性の部材である。ここでは、袋体5は、ナイロンメッシュによって構成されているものとする。なお、袋体5は、ナイロンメッシュに限定されるものではなく、不織布又は不織紙等の別の透水性材料で構成されるようにしてもよい。
【0019】
袋体5は、左右対象の2つの接続部材7を介して蓋部材3の裏面32に対して間接的に設けられている。各接続部材7は、主に紙で構成され、腕部71と、裏面接着部73とを備えて構成される。図1に示すように、裏面接着部73は、蓋部材の裏面32に対して面接触した状態で接着される。より詳細には、裏面接着部73は、裏面32のうち折れ線PLに直交する方向に関して外周側に接着されている。なお、裏面接着部73は、本発明に係る「第一接続部」の一例である。
【0020】
また、腕部71のうち裏面接着部73とは反対側(袋体5の側)の端部は、袋体5の外周面に接続されている。以後の説明において、当該端部を単に「袋体接着部」とも称する。なお、袋体接着部は、本発明に係る「第二接続部」の一例である。
【0021】
図3に示すように、蓋部材3は、上述した折れ線PLを介して平面状に延在する開状態ST1と二つ折りに折り畳まれた閉状態ST3とを切り替え可能に構成されている。なお、図3の状態ST2は、開状態ST1から閉状態ST3または閉状態ST3から開状態ST1に切り替わる途中の状態を示している。切り替え動作は、蓋部材3をユーザー(蓋付ティーバッグ1の購入者等)が手動開閉操作することで行われる。
【0022】
蓋部材3が折れ線PLを介して二つ折りに折り畳まれた閉状態ST3では、袋体5が蓋部材3の裏面32によって挟持され、袋体5の内部空間が圧縮される。また、閉状態ST3において、接続部材7は、裏面32と共に袋体5に接近する。使用前の蓋付ティーバッグ1は、蓋部材3が折り畳まれた閉状態ST3で収納袋に収納されている。そして、使用時においては、蓋付ティーバッグ1を収納袋から取り出し、蓋部材3を閉状態ST3から展開されて平面状に延在する開状態ST1に切り替える。
【0023】
蓋部材3が閉状態ST3から開状態ST1に切り替えられると、裏面32が蓋部材3の開閉方向(折れ線PLと直交する方向)に広がり、裏面32に接続されている裏面接着部73が袋体5から離間する。裏面接着部73が袋体5から離間すると、裏面接着部73に接続されている腕部71も蓋部材3の開閉方向に広がる。腕部71が蓋部材3の開閉方向に広がると、腕部71と袋体5とを接続する袋体接着部も開閉方向に広がり(すなわち、裏面接着部73が袋体5から離間する側にそれぞれ移動し)、袋体5が蓋部材3の開閉方向に広がる。その結果、閉状態ST3において圧縮されていた袋体5が蓋部材3の開閉方向に膨らみ、袋体5の内部空間の体積が閉状態ST3よりも大きくなる。
【0024】
逆に、開状態ST1から閉状態ST3へ切り替えると、上述した動作とは逆の動作によって、閉状態ST3において折り畳まれる裏面32によって袋体5が挟持されて圧縮されることで、袋体5の内部空間の体積が開状態ST1よりも小さくなる。
【0025】
続いて、上述した蓋付ティーバッグ1を用いて、紅茶などの茶飲料の抽出方法について説明する。
【0026】
まず、第1ステップとして、図4に示すティーカップTCにお湯を注ぐ。次に、第2ステップとして、閉状態ST3にある蓋付ティーバッグ1を収納袋から取り出した後、蓋部材3を開閉方向(折れ線PLと直交する方向)に広げて閉状態ST3から開状態ST1へ切り替える。第3ステップとして、開状態ST1にある蓋部材3をティーカップTCの口縁に載置することで、蓋部材3の裏面32の側に設けられた袋体5をお湯に浸ける。なお、袋体5をお湯に浸けた後、所定時間(茶葉によって設定された抽出時間)が経過すると、袋体5をお湯から取り出して廃棄する。
【0027】
上述した実施形態によれば、手動操作によって蓋部材3が閉状態ST3から開状態ST1に切り替えられると、袋体5が蓋部材3の開閉方向に広がり、袋体5の内部空間の体積が閉状態ST3よりも大きくなる。そのため、ティーカップTCへの装着時において、茶葉を内包する袋体5の内部に、茶葉が上下運動する(すなわちジャンピングする)ための十分なスペースを確保することが可能である。
【0028】
特に、上述した実施形態によれば、蓋部材3を閉状態ST3から開状態ST1に切り替えると、直ぐにティーカップTCに載置することが出来る仕様になっており、設置操作も簡易である。
【0029】
また、上述した実施形態によれば、袋体5が接続部材7を介して蓋部材3の裏面32に設けられているため、開状態ST1と閉状態ST3との切り替えに伴う袋体5の膨縮構造を比較的簡易な構成によって実現することが可能である。
【0030】
<2.変形例>
本発明による蓋付ティーバッグ及び茶飲料の抽出方法は上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0031】
例えば、上述した実施形態では、袋体5が接続部材7を介して蓋部材3の裏面32に間接的に設けられる場合を例示したが、これに限定されない。袋体5が蓋部材3の裏面32に直接設けられるようにしてよい。具体的には、袋体5の外周面一部が蓋部材3の裏面32に熱融着されるように構成してもよい。より詳細には、裏面32のうち蓋部材3の開閉操作に伴って開閉方向に広がる位置に袋体5の外周面一部が熱融着されるように構成すればよい。
【0032】
また、上述した実施形態では、蓋部材3が略真円形状に形成される場合を例示したが、これに限定されない。ティーカップTCの開口全域を覆うことができれば、蓋部材3が別の形状(例えば矩形形状)に形成されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 蓋付ティーバッグ
3 蓋部材
5 袋体
7 接続部材
31 表面
32 裏面
71 腕部
73 裏面接着部
PL 折れ線
SP 内部空間
ST1 開状態
ST3 閉状態
TC ティーカップ
図1
図2
図3
図4