(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012024
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】充填装置
(51)【国際特許分類】
B65B 3/12 20060101AFI20250117BHJP
B65B 3/30 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
B65B3/12
B65B3/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114545
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】594069764
【氏名又は名称】三星工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】江村 淳一
【テーマコード(参考)】
3E118
【Fターム(参考)】
3E118AA02
3E118AB18
3E118BA06
3E118BB16
3E118DA06
3E118EA05
3E118EA08
(57)【要約】
【課題】ステージ上の構成が簡素化された充填装置を提供する。
【解決手段】ペースト状の材料をシリンジ100に設けられた第1開口部112からシリンジ100内に充填する充填装置1であって、ステージ12と、ステージ12上においてシリンジ100を着脱可能に保持するシリンジ保持部20と、材料を供給する材料供給部60と、を備え、ステージ12は、第1開口部112と材料供給部60とを連通させる貫通口14を有し、シリンジ保持部20は、材料供給部60に連通する供給口26を有してシリンジ100の第1開口部112側の端部116が嵌合される嵌合部22と、シリンジ100の第2開口部114側の端部118に対して接離可能な押圧部40と、を有し、嵌合部22及び押圧部40でシリンジ100を軸線方向に挟持して保持可能に構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペースト状の材料をシリンジに設けられた第1開口部から前記シリンジ内に充填する充填装置であって、
ステージと、前記ステージ上において前記シリンジを着脱可能に保持するシリンジ保持部と、前記材料を供給する材料供給部と、を備え、
前記ステージは、前記第1開口部と前記材料供給部とを連通させる貫通口を有し、
前記シリンジ保持部は、
前記材料供給部に連通する供給口を有して前記シリンジの前記第1開口部側の端部が嵌合される嵌合部と、前記シリンジの第2開口部側の端部に対して接離可能な押圧部と、を有し、
前記嵌合部及び前記押圧部で前記シリンジを軸線方向に挟持して保持可能に構成されていること
を特徴とする充填装置。
【請求項2】
前記材料が充填される前の前記シリンジを順次供給する供給部と、前記材料が充填された後の前記シリンジを順次回収する回収部と、前記供給部から前記シリンジ保持部へ前記シリンジを搬入する搬入部と、前記シリンジ保持部から前記回収部へ前記シリンジを搬出する搬出部と、をさらに備え、
前記シリンジ保持部は、前記シリンジを軸線方向に押動することにより、前記供給口周縁に対して前記第1開口部を圧着させて保持可能に構成されていること
を特徴とする請求項1記載の充填装置。
【請求項3】
前記押圧部は、前記シリンジに充填された前記材料の上面位置を測定する位置センサーのレーザー光を通過させる貫通孔を有すること
を特徴とする請求項1または請求項2記載の充填装置。
【請求項4】
前記シリンジ保持部は、前記押圧部の下方位置に配置され、前記第2開口部側の端部近傍を支持して前記シリンジの位置決めを行う位置決め部材を有すること
を特徴とする請求項3記載の充填装置。
【請求項5】
ペースト状の材料をシリンジに設けられた第1開口部から前記シリンジ内に充填する充填装置であって、
ステージと、前記ステージ上において前記シリンジを着脱可能に保持するシリンジ保持部と、前記材料を供給する材料供給部と、を備え、
前記ステージは、前記第1開口部と前記材料供給部とを連通させる貫通口を有し、
前記シリンジ保持部は、前記材料供給部に連通する供給口を有して前記シリンジの前記第1開口部側の端部が嵌合される嵌合部を有し、
前記嵌合部は、前記ステージの所定位置に着脱可能に構成されていること
を特徴とする充填装置。
【請求項6】
前記嵌合部は、前記シリンジの前記第1開口部側の端部に設けられたネジ部に螺合されることによって前記シリンジと連結されるジョイントと、前記ジョイントを前記ステージに装着するアダプターと、を有し、
前記ジョイントは、連結された状態の前記シリンジの前記第1開口部と前記供給口とを連通する通流口を有すること
を特徴とする請求項5に記載の充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填装置に関し、さらに詳細には、シリンジにペースト状の材料を充填する充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シリンジにペースト状の材料を充填する充填装置が知られている。当該材料の例としては、医薬品、化学材料、食料品、塗料、半導体装置材料等の分野で用いられるペースト状すなわち液体と比較して粘度の高い流動体等が挙げられる。
【0003】
ここで、上記の材料に気泡が混入した場合、シリンジからの吐出量のばらつきや不吐出、あるいはそれらに起因する製品不良の発生等の原因となるため、シリンジに充填する際に気泡が混入し難い充填装置及び方法が研究されてきた。一例として、回転テーブルを備える充填装置が開発されている(特許文献1:国際公開WO2022/153816号参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2022/153816号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1に例示される充填装置によれば、ステージ上に回転テーブルを備える構成によって、シリンジ内の脱気や材料の充填等の一連の工程を連続的に行うことができるため、気泡混入による製品不良を防止しながら生産効率を向上することができる。その一方で、回転テーブルに複数のシリンジを螺合して連結する構成(具体的には、シリンジに設けられたネジ部にアダプターを螺合し、当該アダプターを介してシリンジを回転テーブルに連結する構成)のため、シリンジの取付けに手間を要し、また、ステージ上の構造が複雑化してしまい、特に、漏出した材料の清掃に手間を要した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、ステージ上の構成が簡素化された充填装置を提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0008】
この充填装置は、ペースト状の材料をシリンジに設けられた第1開口部から前記シリンジ内に充填する充填装置であって、ステージと、前記ステージ上において前記シリンジを着脱可能に保持するシリンジ保持部と、前記材料を供給する材料供給部と、を備え、前記ステージは、前記第1開口部と前記材料供給部とを連通させる貫通口を有し、前記シリンジ保持部は、前記材料供給部に連通する供給口を有して前記シリンジの前記第1開口部側の端部が嵌合される嵌合部と、前記シリンジの第2開口部側の端部に対して接離可能な押圧部と、を有し、前記嵌合部及び前記押圧部で前記シリンジを軸線方向に挟持して保持可能に構成されていることを要件とする。
【0009】
また、前記材料が充填される前の前記シリンジを順次供給する供給部と、前記材料が充填された後の前記シリンジを順次回収する回収部と、前記供給部から前記シリンジ保持部へ前記シリンジを搬入する搬入部と、前記シリンジ保持部から前記回収部へ前記シリンジを搬出する搬出部と、をさらに備え、前記シリンジ保持部は、前記シリンジを軸線方向に押動することにより、前記供給口周縁に対して前記第1開口部を圧着させて保持可能に構成されていることを要件とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ステージ上の構成が簡素化された充填装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の第一の実施形態に係る充填装置の例を示す斜視図である。
【
図5】
図5Aは、
図1に示す充填装置を用いて材料が充填されるシリンジの例を示す正面断面図である。
図5Bは、シリンジの他の例を示す正面断面図である。
【
図6】
図6は、
図5Aに示すシリンジを嵌合させる嵌合部の例を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図5Aに示すシリンジを押圧する押圧部の例を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図5Aに示すシリンジの位置決めを行う位置決め部材の例を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の第一の実施形態に係る充填装置の例を示す平面図である。
【
図11】
図11は、本発明の第二の実施形態に係る充填装置の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第一の実施形態)
本発明に係る充填装置1は、ステージ12上のシリンジ保持部20に保持されたシリンジ100に、材料供給部60から送出されるペースト状の充填材料(以下、単に「材料」と称する場合がある)を充填する装置である。以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係る充填装置1の構成例を示す斜視図(概略図)である。
図2は、
図1におけるII-II線断面図(概略図)である。
図3は、
図2におけるIII部の拡大図である。
図4Aは、
図2におけるIV部の拡大図であり、押圧部40の動作説明図である。
図4Bは、
図4Aに続く押圧部40の動作説明図である。なお、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰返しの説明は省略する場合がある。また、装置の構造材料としては、特に明示しない限り一般的な構造材料(金属材料や樹脂材料等)が用いられる。
【0013】
先ず、充填装置1を用いて材料が充填されるシリンジ100の構成について詳しく説明する。
図5A及び
図5Bに示すように、シリンジ100は、相対的に小さな内径の第1開口部112を有する先端部102と、テーパ部104と、胴部106と、相対的に大きな内径の第2開口部114を有するフランジ部108と、を備えている(ここでは、
図5Aに示す形状のシリンジ100に材料を充填する場合を例示する)。本実施形態においては、第1開口部112からシリンジ100内へ材料が充填される構成である(第2開口部114から充填される構成であってもよい)。シリンジ100内には、第2開口部114を封止しつつ、充填された材料を第1開口部112から送出させる際に押動されるプランジャー120が摺動可能に嵌入されている。また、プランジャー120の上部には、充填された材料の上面(液面)の盛り上がりを防止するプランジャーウェイト122が設けられている。なお、シリンジ100及びプランジャー120の形成材料は、特に限定されるものではなく、充填材料の性質等に応じて適宜選定された樹脂材料を用いて形成され、プランジャーウェイト122は、金属材料を用いて形成される。
【0014】
シリンジ100の先端部102には、ネジ部102aが設けられており、キャップ(不図示)が嵌設可能な構成(所謂、ルアーロック式)となっている。ネジ部102aの例として、先端部102を一重円筒状(単円筒状)に形成し、その内周もしくは外周に設ける構成、または、先端部102を二重円筒状に形成し、外側円筒の内周に設ける構成等が考えられる。本実施形態においては、後者の構成により例示している。なお、シリンジ100は、ネジ部102aを有さない構成(所謂、ルアースリップ式)であってもよい。
【0015】
次に、本実施形態に係る充填装置1の構成について詳しく説明する。
図1及び
図2に示すように、充填装置1は、ステージ12と、ステージ12上においてシリンジ100を着脱可能に保持するシリンジ保持部20と、材料を供給する材料供給部60と、を備えている。
【0016】
ステージ12は、シリンジ保持部20によって保持されたシリンジ100の第1開口部112と材料供給部60とを連通させる貫通口14を有している(
図3参照)。これにより、材料供給部60によって材料を送出させることによって、当該材料をシリンジ100内に充填することができる。
【0017】
シリンジ保持部20は、シリンジ100の第1開口部112側の(第1)端部116(少なくとも先端部102を含む範囲)が嵌合される嵌合部22と、シリンジ100の第2開口部114側の(第2)端部118(フランジ部108)に対して接離可能な押圧部40と、を有している。
【0018】
嵌合部22は、シリンジ100の先端部102が嵌合され、第1開口部112と連通する供給口26を有するホルダー24と、円筒状で外周に鍔部30(一例として、角度180[°]をなすように配設された二枚)を有する形状で、ホルダー24に接続されるアダプター28と、を有している(
図3、
図6、
図7参照)。本実施形態においては、シリンジ100の先端部102がホルダー24によって支持され、テーパ部104及び胴部106がアダプター28によって支持される構成である(但し、少なくとも先端部102が支持される構成であればよい)。アダプター28は、第1開口部112と供給口26との隙間から漏出した材料がステージ12上に飛散するのを防止する作用も有している。嵌合部22は、アダプター28の鍔部30を固定する受け台34及び固定部材(一例として、ボルト)36によってステージ12上に所定位置に着脱可能に装着されており、シリンジの種類や先端部の形状に合わせて適宜交換することができる。
【0019】
押圧部40は、シリンジ100の第2端部118に当接して軸線方向から押圧する当接部42を有している(
図4A、
図4B、
図8参照)。当接部42は、ピラー10に架設されたフレーム18に取付けられた移動機構44によって、第2端部118に対して接離(上下動(前後成分を含む))可能に構成されている。本実施形態においては、レバー46を装置手前側に引き起こすことで当接部42が第2端部118に対して接近(下方へ移動)し(
図4A参照)、レバー46を装置奥側に押し倒すことで当接部42が第2端部118に対して離反(上方へ移動)する(
図4B参照)。なお、移動機構44は、レバー46によるものに限定されず、シリンダ等の他の公知の機構によって行われてもよい(不図示)。
【0020】
このように、シリンジ保持部20は、シリンジ100の第1端部116を嵌合する嵌合部22と、第2端部118を押圧する押圧部40と、によってシリンジ100を軸線方向に挟持(クランプ)して保持する構成である。これにより、シリンジの取付け構成を簡素化することができ、シリンジ100の取付けを短時間で容易に行うことができる。また、ステージ12上の構成を簡素化することができ、ステージ12上の清掃性を向上させることができる。
【0021】
また、例えば、特許文献1に例示される充填装置においては、回転テーブルにシリンジを螺合して連結しなければならないため、シリンジの供給及び回収の自動化が困難であるという課題もあった。この課題に対して、本実施形態に係る充填装置1は、シリンジ100を螺合することなくステージ12上に保持する構成を採用することにより、その解決を可能としている。
【0022】
具体的に、充填装置1は、
図10に示すように、材料が充填される前のシリンジ100を順次供給する供給部2と、材料が充填された後のシリンジ100を順次回収する回収部3と、供給部2からシリンジ保持部20へシリンジ100を搬入(取付け)する搬入部4と、シリンジ保持部20から回収部3へシリンジ100を搬出する搬出部5と、をさらに備え、シリンジ保持部20は、シリンジ100を軸線方向に押動することにより、供給口26周縁に対して第1開口部112を圧着させて保持可能に構成されている。これにより、少なくともシリンジ100の供給及び回収を自動化することができる。
【0023】
供給部2及び回収部3には、一例として、スライド式ストッカ(フィーダ)が用いられるが、これに限定されるものではなく、コンベア等が用いられる構成としてもよい(不図示)。なお、供給部2及び回収部3を兼用する(一つの)搬送装置を備える構成としてもよい(不図示)。
【0024】
搬入部4及び搬出部5の構成例として、チャック機構等によりシリンジ100を保持する搬入(搬出)ヘッドと、ヘッドの上下方向移動を行う移動機構(シリンダ等)と、供給部2及びシリンジ保持部20間、または、シリンジ保持部20及び回収部3間においてヘッドの水平方向移動を行う移動機構(シリンダ等)と、を備えている(いずれも不図示)。なお、この構成に限定されるものではなく、ロボットハンド、リニアガイド、ラック及びピニオン、または、ボールネジ及びナット等が用いられる構成としてもよい(不図示)。また、搬入部4及び搬出部5を兼用する(一つの)搬送装置を備える構成としてもよい(不図示)。
【0025】
ここで、ステージ12上に保持されたシリンジ100の直上位置には、当該シリンジ100内における材料の上面位置を検出する位置センサー16が設けられている。一例として、位置センサー16には、レーザー光によって距離の測定を行うレーザー測距センサーを用いているが、これに限定されるものではない。押圧部40の当接部42は、位置センサー16から照射されたレーザー光を通過させる貫通孔48を有しており(
図8参照)、シリンジ100の第2端部118を押圧している状態においてもシリンジ100内の充填状態の検出を行うことができる。
【0026】
また、シリンジ保持部20は、押圧部40の下方位置に、シリンジ100の第2端部118近傍を支持してシリンジ100の位置決めを行う位置決め部材50を有している。位置決め部材50は、位置決め孔52を有しており(
図9参照)、位置決め孔52を通じてシリンジ100を嵌合部22へ嵌合することで、第1端部116(第1開口部112)を正確にセンタリングすると共に、シリンジ100の傾きを防止することができる。
【0027】
次に、本実施形態に係る材料供給部60について説明する。
図1及び
図2に示すように、材料供給部60は、ステージ12の直下位置に配設されており、シリンジ100に充填する材料を貯留させる貯留部62と、材料を通流させる配管部64と、圧力を印加して貯留部62から配管部64に材料を送出させる加圧部66と、を備えている。
【0028】
配管部64は、先端部内側にスペーサー68を有しており、スペーサー68は、ステージ12の貫通口14を通じてホルダー24の供給口26に連通している(すなわち、配管部64は、供給口26を介してシリンジ100の第1開口部112と連通している)。
【0029】
加圧部66は、貯留部62を上下に移動させる移動機構72を有している。移動機構72により貯留部62を上昇させ、ステージ12の直下位置に配設された押圧プレート74で貯留部62内の材料の上面(液面)を押圧することにより、配管部64へ材料を送るための圧力を印加する構成としている。一例として、移動機構72には、ステッピングモーター76を備えた公知の直動機構を用いているが、これに限定されるものではない。
【0030】
続いて、上記の構成を備える充填装置1を用いて、貯留部62に収容されたペースト状の材料をシリンジ100に充填する工程の概略について説明する。
【0031】
一例として、シリンジ100の供給及び回収、並びに押圧部40の操作を手動で行う場合を説明する。
【0032】
先ず、準備工程PM1を実施する。具体的には、空のシリンジ100を用意する。
【0033】
準備工程PM1の後に、搬入工程PM2を実施する。具体的には、位置決め部材50の位置決め孔52を通じてシリンジ100を嵌合部22に嵌合する。次いで、押圧部40のレバー46を装置手前側に引き起こし、嵌合部22に嵌合されたシリンジ100の第2端部118に当接部42を当接させてシリンジ100を挟持すると共に、ホルダー24の供給口26に対してシリンジ100の第1開口部112を圧着させる。
【0034】
搬入工程PM2の後に、充填工程PM3を実施する。具体的には、移動機構72を作動させて押圧プレート74を上昇させ、貯留部62内の材料を押圧して配管部64を通じてシリンジ100内に材料を充填する。
【0035】
充填工程PM3の後に、搬出・回収工程PM4を実施する。具体的には、押圧部40のレバー46を装置奥側に押し倒し、材料が充填されたシリンジ100から当接部42を離反させてシリンジ100の挟持を解放する。次いで、材料が充填されたシリンジ100を嵌合部22から回収する。
【0036】
また、他の例として、シリンジ100の供給及び回収、並びに押圧部40の操作を自動で行う場合を説明する。ここで、充填装置1は、前述した供給部2、回収部3、搬入部4及び搬出部5を有し、押圧部40の移動機構44としてシリンダ(不図示)が設けられた構成を備える。
【0037】
先ず、準備・供給工程PA1を実施する。具体的には、空のシリンジ100を複数本用意して供給部2へストックし、シリンジ100を供給(搬送)する。
【0038】
準備・供給工程PA1の後に、搬入工程PA2を実施する。具体的には、供給部2から供給されたシリンジ100を搬入部4の搬入ヘッドによって保持する。次いで、搬入ヘッドをシリンジ保持部20へ移動し、シリンジ100を嵌合部22へ嵌合する。次いで、押圧部40のシリンダを作動させ、嵌合部22に嵌合されたシリンジ100の第2端部118に当接部42を当接させてシリンジ100を挟持すると共に、ホルダー24の供給口26に対してシリンジ100の第1開口部112を圧着させる。次いで、搬入ヘッドによるシリンジ100の保持を解放し、搬入ヘッドをシリンジ保持部20外へ移動する。なお、搬入工程PA2においては、シリンダによってシリンジ100の位置決めが行われるため、位置決め部材50は省略できる。
【0039】
搬入工程PA2の後に、充填工程PA3を実施する。具体的には、移動機構72を作動させて押圧プレート74を上昇させ、貯留部62内の材料を押圧して配管部64を通じてシリンジ100内に材料を充填する。
【0040】
充填工程PA3の後に、搬出・回収工程PA4を実施する。具体的には、搬出部5の搬出ヘッドをシリンジ保持部20へ移動し、材料が充填されたシリンジ100を保持する。次いで、押圧部40のシリンダを作動させ、シリンジ100から当接部42を離反させてシリンジ100の挟持を解放する。次いで、搬出ヘッドを回収部3へ移動し、シリンジ100を回収部3へ回収(ストック)する。
【0041】
搬出・回収工程PA4に併せて、供給部2から供給された別のシリンジ100に対して搬入工程PA2を実施する。以降、上記の工程を繰り返すことによって、シリンジ100への材料充填を連続処理によって行うことができる。
【0042】
(第二の実施形態)
続いて、本発明の第二の実施形態に係る充填装置1について説明する。本実施形態に係る充填装置1は、前述の第一の実施形態と基本的な構成は同様であるが、シリンジ保持部20において相違点を有する。以下、当該相違点を中心に本実施形態について説明する。ここで、
図11は、本実施形態に係る充填装置1の構成例を示す斜視図(概略図)である。
図12は、
図11におけるXII-XII線断面図(概略図)である。
図13は、
図12におけるXIII部の拡大図である。
【0043】
本実施形態においては、
図5Bに示す形状のシリンジ100に充填装置1を用いて材料を充填する場合を例示する。
【0044】
本実施形態に係る充填装置1において、シリンジ保持部20は、シリンジ100の第1開口部112側の第1端部116が嵌合される嵌合部82を有している。なお、第一の実施形態における押圧部40も有しているが、シリンジ100の保持には供されず、当接部42が第2端部118に対して離反した状態で保持されている。
【0045】
嵌合部82は、供給口86を有するホルダー84と、円筒状で外周に鍔部90(一例として、角度180[°]をなすように配設された二枚)を有する形状で、ホルダー84に接続されるアダプター88と、中心に供給口86及びシリンジ100の第1開口部112と連通する通流口96を備えると共に、一端がホルダー84に螺合され、他端が係止部98を有してシリンジ100のネジ部102aが螺合されるジョイント94と、を有している(
図13~
図15参照)。本実施形態においては、シリンジ100のネジ部102aがジョイント94によって螺合されて支持される構成である。アダプター88は、第1開口部112と供給口26との隙間から漏出した材料がステージ12上に飛散するのを防止する作用を有している。嵌合部82は、アダプター88の鍔部90を固定する受け台34及び固定部材(一例として、ボルト)36によってステージ12上の所定位置に着脱可能に装着されている。
【0046】
すなわち、本実施形態における充填装置1は、ペースト状の材料をシリンジ100に設けられた第1開口部112からシリンジ100内に充填する充填装置1であって、ステージ12と、ステージ12上においてシリンジ100を着脱可能に保持するシリンジ保持部20と、材料を供給する材料供給部60と、を備え、ステージ12は、第1開口部112と材料供給部60とを連通させる貫通口14を有し、シリンジ保持部20は、材料供給部60に連通する供給口86を有してシリンジ100の第1開口部112側の第1端部116が嵌合される嵌合部82を有し、嵌合部82は、ステージ12の所定位置に着脱可能に構成されている。
【0047】
また、嵌合部82は、シリンジ100の第1開口部112側の第1端部116に設けられたネジ部102aに螺合されることによってシリンジ100と連結されるジョイント94と、ジョイント94をステージ12に装着するアダプター88と、を有し、ジョイント94は、連結された状態のシリンジ100の第1開口部112と供給口86とを連通する通流口96を有する構成である。
【0048】
以上説明した通り、本発明によれば、ステージ上の構成が簡素化された充填装置を提供することが可能となる。
【0049】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 充填装置
2 供給部
3 回収部
4 搬入部
5 搬出部
12 ステージ
20 シリンジ保持部
22 嵌合部
40 押圧部
60 材料供給部
100 シリンジ