(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012033
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】剛度測定装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 7/02 20060101AFI20250117BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20250117BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
B65H7/02
B65H5/06 F
G03G21/00 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114557
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ボーウェン
【テーマコード(参考)】
2H270
3F048
3F049
【Fターム(参考)】
2H270LC04
2H270LD01
2H270LD08
2H270LD14
2H270MC56
2H270ZC03
2H270ZC04
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA06
3F048BB10
3F048CC02
3F048DA06
3F048DB11
3F048DC02
3F049AA10
3F049DA12
3F049DA19
3F049LA01
3F049LB03
(57)【要約】
【課題】用紙などの記録材の剛度を高精度に測定できる剛度測定装置及び画像形成システムを提供する。
【解決手段】剛度情報取得装置は、記録材の記録面が鉛直方向と略平行になるように記録材を挟持する挟持部材と、挟持部材に挟持された記録材の記録面を押圧する押圧部と、押圧部により押圧された際の記録材の反力を測定して、測定した反力を記録材の剛度として取得する剛度取得部とを備える。そして、挟持部材の記録材を挟持する部分は、同じ硬さの材質で形成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材の記録面が鉛直方向と略平行になるように前記記録材を挟持する挟持部材と、
前記挟持部材に挟持された前記記録材の記録面を押圧する押圧部と、
前記押圧部により押圧された際の前記記録材の反力を測定して、測定した反力を記録材の剛度として取得する剛度取得部と、を備え、
前記挟持部材の前記記録材を挟持する部分は、同じ硬さの材質で形成されている
剛度測定装置。
【請求項2】
前記挟持部材の挟持力が作用する方向は、鉛直方向と垂直な方向である
請求項1に記載の剛度測定装置。
【請求項3】
前記挟持部材の挟持力が作用する方向は、前記押圧部が前記記録材を押圧する方向と平行である
請求項1に記載の剛度測定装置。
【請求項4】
前記挟持部材は、前記記録材を挟持して所定位置に停止させる
請求項1に記載の剛度測定装置。
【請求項5】
前記所定位置において、前記挟持部材の前記記録材を挟持する部分から前記記録材の下端までの距離は、所定距離であり、
前記挟持部材は、前記押圧部が前記記録材を押圧した際に、前記所定距離を確保する挟持力を発生させる
請求項4に記載の剛度測定装置。
【請求項6】
前記挟持部材は、一組以上のローラ対である
請求項1に記載の剛度測定装置。
【請求項7】
前記一組以上のローラ対における前記押圧部に最も近いローラ対は、直径が等しい
請求項6に記載の剛度測定装置。
【請求項8】
前記一組以上のローラ対における前記押圧部に最も近いローラ対は、その他のローラ対よりも挟持力が大きい
請求項6に記載の剛度測定装置。
【請求項9】
前記一組以上のローラ対における前記押圧部に最も近いローラ対の幅の長さは、前記記録材の幅の長さよりも長い
請求項6に記載の剛度測定装置。
【請求項10】
記録材に画像を形成する画像形成部と、
前記記録材を収容可能な記録材収容部と、
前記記録材収容部と前記画像形成部との間に設けられた記録材搬送部と、
前記記録材搬送部に設置され、前記記録材の剛度を測定する剛度測定装置と、
前記剛度測定装置の測定結果に応じて画像形成パラメータを設定する制御部と、を備え、
前記剛度測定装置は、
前記記録材の記録面が鉛直方向と略平行になるように前記記録材を挟持する挟持部材と、
前記挟持部材に挟持された前記記録材の記録面を押圧する押圧部と、
前記押圧部により押圧された際の前記記録材の反力を測定して、測定した反力を記録材の剛度として取得する剛度取得部と、を備え、
前記挟持部材の前記記録材を挟持する部分は、同じ硬さの材質で形成されている
画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剛度測定装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体である用紙に画像を形成する画像形成装置において、用紙などの記録材の剛度を検出し、その検出結果に基づいて各種の制御パラメータを設定する技術が知られている。例えば、記録材の剛度データは、転写条件にフィードバックされる。特許文献1には、用紙の剛度を検出する技術が記載されている。特許文献1に記載された画像形成装置は、搬送中の用紙をレバーに押し当て、そのときのレバーの変位量を用紙の剛度として検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された画像形成装置は、水平方向に搬送中の用紙を所定位置で保持して、その用紙の剛度を測定していた。そのため、剛度の測定結果は、用紙にかかる重力の影響を含んだものとなる。したがって、特許文献1に記載された画像形成装置は、用紙の剛度を正確に測定できないという問題があった。
【0005】
重力の影響をキャンセルするには、例えば、重力の影響で垂れた分だけ用紙を持ち上げることが考えられる。しかし、重力の影響で垂れた分だけを高精度に持ち上げることは難しい。また、用紙を保持する部分からレバーまでの距離が長くなるほど、重力による影響が大きくなるため、キャンセルに必要な重力の影響を正確に把握することが難しい。
【0006】
本発明は、用紙などの記録材の剛度を高精度に測定できる剛度測定装置及び画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映した剛度測定装置は、挟持部材と、押圧部と、剛度取得部とを備える。挟持部材は、記録材の記録面が鉛直方向と略平行になるように記録材を挟持する。押圧部は、挟持部材に挟持された前記記録材の記録面を押圧する。剛度取得部は、押圧部により押圧された際の記録材の反力を測定して、測定した反力を記録材の剛度として取得する。そして、挟持部材の記録材を挟持する部分は、同じ硬さの材質で形成されている。
【0008】
本発明の一側面を反映した画像形成システムは、記録材に画像を形成する画像形成部と、記録材を収容可能な記録材収容部と、記録材収容部と画像形成部との間に設けられた記録材搬送路とを備える。さらに、画像形成システムは、記録材搬送路に設置され、記録材の剛度を測定する上述の剛度測定装置と、剛度測定装置の測定結果に応じて画像形成パラメータを設定する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
上記構成の剛度測定装置及び画像形成システムによれば、記録材の剛度を高精度に測定できる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は一実施形態に係る画像形成システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は一実施形態に係る画像形成システムのシステムブロック図である。
【
図3】
図3は一実施形態に係る画像形成システムにおける制御部の機能ブロック図である。
【
図4】
図4は一実施形態に係る剛度測定装置の概略構成を示す図である。
【
図5】
図5は剛度測定装置の一対の保持ローラ上方から見た図である。
【
図6】
図6は一実施形態に係る剛度測定装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は剛度測定装置の複数の挟持部材を説明する図である。
【
図8】
図8は剛度測定装置の押圧部が記録材を押圧した状態を示す図である。
【
図9】
図9A,Bは剛度測定装置における挟持部材の挟持力が不足している場合に押圧部が記録材を押圧した状態を示す図である。
【
図10】
図10は剛度測定装置における挟持部材から記録材の下端までの距離が所定距離以上である場合に押圧部が記録材を押圧した状態を示す図である。
【
図11】
図11は剛度測定装置における複数の挟持部材の挟持力を説明する図である。
【
図12】
図11は本発明の第1実施形態に係る画像形成システムのパラメータ設定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は剛度測定装置における挟持部材の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
[画像形成システムの構成]
まず、一実施形態に係る画像形成システムの構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る画像形成システムの概略構成を示す図である。
【0013】
図1に示すように、画像形成システム10は、記録材供給装置100と、記録材搬送装置400と、画像形成装置200と、後処理装置300を備える。
【0014】
画像形成システム10において記録材Sに画像を形成する場合は、まず、記録材供給装置100から記録材搬送装置400に記録材Sが供給される。そして、記録材搬送装置400は、記録材Sを画像形成装置200に搬送する。なお、記録材搬送装置400は、記録材Sの剛度を測定する剛度測定装置410を備える。
【0015】
次に、画像形成装置200は、記録材搬送装置400から供給された記録材Sに画像を形成する。そして、画像形成装置200は、画像を形成した記録材Sを後処理装置300に送る。後処理装置300は、画像が形成された記録材Sに所定の後処理を行う。その後、後処理装置300は、記録材Sを排出する。
【0016】
[記録材供給装置]
記録材供給装置100は、画像形成用の記録材Sを収容する。記録材供給装置100は、画像形成システム10の後述する制御部90から画像形成ジョブを受信すると、画像形成ジョブに応じた記録材Sを、記録材搬送装置400に供給する。記録材供給装置100は、搬送部50と、記録材供給部70を備えている。
【0017】
記録材供給部70は、複数の記録材収容部を備えている。複数の記録材収容部には、種類やサイズが異なる記録材Sが個別に収容される。本実施形態において、記録材Sは、画像が形成される記録媒体であり、例えば、用紙である。記録材Sは、剛度の測定が可能なものであれば、用紙以外のものであってもよい。
【0018】
搬送部50は、記録材供給部70から記録材Sを取り出す複数の取り出しローラと、複数の搬送ローラ54を備えている。
図1において、複数の取り出しローラは、図示を省略している。複数の搬送ローラ54は、所定の記録材搬送経路に配置されている。複数の搬送ローラ54は、記録材供給部70から取り出された記録材Sを1枚ずつ記録材搬送装置400に搬送する。
【0019】
[記録材搬送装置]
記録材搬送装置400は、搬入口55、第1搬送部51、第2搬送部52、第3搬送部53、排出部56、搬出口57、剛度測定装置410を備える。
【0020】
搬入口55は、記録材供給装置100から供給された記録材Sを搬入する。第1搬送部51、第2搬送部52、及び、第3搬送部53は、搬入口55から搬入された記録材Sを、排出部56又は搬出口57に搬送する。第1搬送部51、第2搬送部52、及び、第3搬送部53は、本発明に係る記録材搬送部に対応する。第1搬送部51、第2搬送部52、及び、第3搬送部53は、記録材Sを搬送するための複数の搬送ローラ54を備える。
【0021】
記録材搬送装置400は、記録材Sの搬送経路を分岐する分岐部58を有している。記録材搬送装置400は、分岐部58よりも記録材搬送方向の上流側に位置する第1搬送経路41と、分岐部58よりも記録材搬送方向の下流側に位置する第2搬送経路42及び第3搬送経路43とを有する。
【0022】
第1搬送経路41は、搬入口55から分岐部58までの経路である。第1搬送部51は、第1搬送経路41に配置されている。第1搬送部51は、第1搬送経路41に沿って記録材Sを搬送する。第1搬送経路41に沿って搬送された記録材Sは、分岐部58によって第2搬送経路42又は第3搬送経路43に導かれる。
【0023】
第2搬送経路42は、分岐部58から排出部56までの経路である。第2搬送部52は、第2搬送経路42に配置されている。第2搬送部52は、第2搬送経路42に沿って記録材Sを搬送する。第2搬送経路42に沿って搬送された記録材Sは、排出部56から排出される。
【0024】
第3搬送経路43は、分岐部58から搬出口57までの経路である。第3搬送部53は、第3搬送経路43に配置されている。第3搬送部53は、第3搬送経路43に沿って記録材Sを搬送する。第3搬送経路43に沿って搬送された記録材Sは、搬出口57から排出される。搬出口57から排出された記録材Sは、画像形成装置200に供給される。
【0025】
剛度測定装置410、第2搬送経路42に配置されている。剛度測定装置410は、記録材Sの剛度を測定する装置である。記録材Sの剛度は、記録材Sを曲げたときの抵抗性を示す指標であり、様々な物理量を用いて表すことができる。剛度測定装置410は、第2搬送経路42の途中で搬送が停止された記録材Sの剛度を測定する。以下、記録材Sの剛度を測定する位置を「剛度測定位置」とする。剛度測定位置は、本発明に係る所定位置に対応する。
【0026】
[画像形成装置]
画像形成装置200は、操作表示部220と、スキャナー230と、画像形成部240と、搬送部250を備えている。
【0027】
操作表示部220は、操作部と表示部とを備えている。表示部は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置である。表示部は、後述する制御部90(
図2参照)から入力される表示信号の指示に従って各種画面を表示する。操作部は、表示部の表示画面上を覆うように形成されたタッチパネルや、数字ボタン、スタートボタン等の各種操作ボタンを備える。操作部は、ユーザーからの操作指示を受け付ける。操作部は、ユーザーの操作に基づく操作信号を後述する制御部90に出力する。
【0028】
スキャナー230は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿送り装置と、スキャナーである原稿画像走査装置とを備えている。自動原稿送り装置は、原稿トレイに載置された原稿を搬送機構により搬送して原稿画像走査装置へと送り出す。原稿画像走査装置は、自動原稿送り装置によってコンタクトガラス上に搬送された原稿、またはユーザーによってコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサ等の受光面上に結像させることで、原稿の画像を読み取る。スキャナー230は、原稿画像走査装置による読取結果に基づいて画像データを生成する。
【0029】
画像形成部240は、画像データに基づいて、記録材Sに画像を形成する。画像形成部240は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応する感光体ドラム241Y、241M、241C、241Kと、帯電部242Y、242M、242C、242Kと、露光部243Y、243M、243C、243Kと、現像部244Y、244M、244C、244Kと、一次転写ローラ245Y、245M、245C、245Kを備える。また、画像形成部240は、中間転写ベルト246、二次転写ローラ247、定着部248を備える。
【0030】
以下、感光体ドラム241Y、241M、241C、241Kを「感光体ドラム241」と総称する。また、帯電部242Y、242M、242C、242Kを「帯電部242」と総称し、露光部243Y、243M、243C、243Kを「露光部243」と総称する。さらに、現像部244Y、244M、244C、244Kを「現像部244」と総称し、一次転写ローラ245Y、245M、245C、245Kを「一次転写ローラ245」と総称する。
【0031】
感光体ドラム241は、トナー像を担持する像担持体である。感光体ドラム241は、図示しない感光体駆動モータの駆動にしたがって回転する。感光体ドラム241の周囲には、帯電部242、露光部243および現像部244が、感光体ドラム241の回転方向の上流から下流に向かって順に配置されている。帯電部242は、感光体ドラム241を一様に帯電させる。
【0032】
露光部243は、レーザー光源、ポリゴンミラー、レンズ等を有している。露光部243は、感光体ドラム241の表面をレーザービームにより走査露光して、静電潜像を形成する。露光部243による走査露光は、スキャナー230で読み取られた画像データ、または外部装置から受信した画像データに基づいて行われる。
【0033】
現像部244は、感光体ドラム241上に形成された静電潜像に各色のトナーを付着させて、現像する。これにより、感光体ドラム241の像担持面には、トナー像が形成される。すなわち、感光体ドラム241Yの像担持面には、イエローのトナー像が形成される。感光体ドラム241Mの像担持面には、マゼンタのトナー像が形成される。感光体ドラム241Cの像担持面には、シアンのトナー像が形成される。感光体ドラム241Kの像担持面には、ブラックのトナー像が形成される。
【0034】
中間転写ベルト246は、複数のベルト支持ローラに掛け渡されてループ状に形成されている。中間転写ベルト246の移動経路には、一次転写ローラ245と、二次転写ローラ247と、不図示の除電ローラと、クリーニングユニット249とが配置されている。
【0035】
中間転写ベルト246の外周面は、像担持面となっている。中間転写ベルト246の外周面は、感光体ドラム241の外周面に接触している。中間転写ベルト246は、感光体ドラム241の回転とは逆方向に回転する。具体的には、感光体ドラム241は
図1の反時計回り方向に回転し、中間転写ベルト246は
図1の時計回り方向に回転する。
【0036】
一次転写ローラ245は、感光体ドラム241と対向する位置に配置されている。一次転写ローラ245は、中間転写ベルト246の内周側に配置されるとともに、対向する感光体ドラム241との間に中間転写ベルト246を挟み込む。
【0037】
一次転写ローラ245は、トナーと逆極性の電荷を中間転写ベルト246に与えることにより、感光体ドラム241の像担持面上に付着したトナーを中間転写ベルト246の像担持面に転写させる。これにより、中間転写ベルト246の像担持面には、4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
【0038】
二次転写ローラ247は、中間転写ベルト246の像担持面のカラートナー像を、記録材Sの一方の記録面上に一括して転写させる。二次転写ローラ247とベルト支持ローラとは、中間転写ベルト246を挟み込む。二次転写ローラ247とベルト支持ローラとが対向する位置は、中間転写ベルト246の像担持面に転写されたトナー像を記録材Sに転写する転写位置となる。
【0039】
クリーニングユニット249は、中間転写ベルト246の回転方向において、一次転写ローラ245よりも上流、かつ、不図示の除電ローラよりも下流に配置されている。クリーニングユニット249は、中間転写ベルト246の像担持面に残留するトナーを除去する。
【0040】
定着部248は、定着ローラ248aと加圧ローラ248bとを備えている。定着ローラ248aには、ヒータが内蔵されている。加圧ローラ248bは、定着ローラ248aに対して押圧されている。これにより、定着ローラ248aと加圧ローラ248bとは互いに圧着され、この圧着部分に定着ニップ部が形成されている。記録材Sは、定着ニップ部を通過するときに加熱および加圧される。これにより、記録材Sに転写されたトナー像が定着する。
【0041】
搬送部250は、所定の搬送経路に沿って記録材Sを搬送するための複数の搬送ローラ54を備えている。搬送部250は、記録材搬送装置400から供給された記録材Sを、転写位置に搬送する。また、搬送部250は、画像形成後の記録材Sを後処理装置300に搬出する。
【0042】
[後処理装置]
後処理装置300には、画像形成装置200が画像形成した記録材Sが搬入される。後処理装置300は、複数の後処理ユニットと、搬送部350と、排出部351と、排紙トレイ352を備える。
【0043】
後処理装置300は、後述する制御部90から後処理ジョブを受信すると、後処理ジョブによって指定された後処理ユニットにおいて所定の後処理を実行する。後処理としては、例えば、ミシン目加工、折り加工、箔押し加工、バインディング、断裁処理、ステープル、糊付け、綴じ等を挙げることができる。
【0044】
搬送部350は、所定の搬送経路に沿って記録材Sを搬送するための不図示の複数の搬送ローラを備えている。搬送部350は、画像形成装置200から供給された記録材Sを、実行する後処理の種別に対応する後処理ユニットに搬送する。また、搬送部350は、後処理を終えた記録材Sを搬送して、排出部351から排出する。排出部351から排出された記録材Sは、排紙トレイ352に載置される。
【0045】
[システムブロック図]
次に、画像形成システム10の制御系の構成例について、
図2を参照して説明する。
図2は、画像形成システム10のシステムブロック図である。
【0046】
図2に示すように、画像形成システム10は、制御部90、記憶部98、通信部99、操作表示部220、スキャナー230、画像処理部80、記録材供給部70、画像形成部240、搬送部51、52、53、250、350、及び、剛度測定装置410を備える。なお、以下では上述の
図1に示す画像形成システム10の説明と重複する構成は説明を省略する。
【0047】
制御部90は、例えば、CPU(Central Processing Unit)91、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)93等から構成される。制御部90の各種機能は、CPU91がROM92に格納された所定の処理プログラムを実行することにより実現される。制御部90の各種機能は、例えば、記録材供給部70の駆動制御、搬送部50、51、52、53、250、350の駆動制御、画像形成部240の画像形成に関する各動作制御等がある。
【0048】
ROM92は、画像形成システム10の各部を制御するための各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやテーブルデータ、各種のファイル等を記憶している。ROM92は、CPU91によって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。このため、ROM92には、このプログラムが永続的に格納される。
【0049】
RAM93は、例えば、揮発性の半導体メモリである。RAM93は、CPU91により実行制御される各種処理において、ROM92から読み出された各種処理プログラム、入力若しくは出力データ及びパラメータ等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0050】
記憶部98は、例えば、外部装置から受信した画像データ等を記憶する。また、記憶部98は、CPU91により実行される各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要な自装置の処理機能に関する情報、スキャナー230が読み取った画像データ、図示しないクライアント装置などから入力された画像データ、剛度測定装置410が取得した記録材Sの剛度情報等を記憶する。記憶部98は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリである。
【0051】
通信部99は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどを有している。通信部99は、記録材供給装置100、記録材搬送装置400、画像形成装置200、及び、後処理装置300、剛度測定装置410を、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続する。通信部99は、外部の情報機器へ各種データを送信する。また、通信部99は、外部の情報機器から各種データを受信する。外部の情報機器は、例えば、クライアント装置である。
【0052】
操作表示部220は、上述したように、表示部及び操作部として機能する。表示部は、制御部90から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面を表示する。操作部は、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、各種入力操作に応じた操作信号を制御部90に出力する。
【0053】
スキャナー230は、読み取ったアナログ画像信号を画像処理部80に出力する。
【0054】
画像処理部80は、アナログデジタル変換する回路及びデジタル画像処理する回路などを有している。画像処理部80は、スキャナー230から供給されたアナログ画像信号にA/D変換処理を施して、デジタル画像データを生成する。また、画像処理部80は、外部の情報機器から取得した印刷ジョブを解析し、原稿の各ページをラスタライズしてデジタル画像データを生成する。さらに、画像処理部80は、必要に応じて、画像データに対して、色変換処理、初期設定又はユーザー設定に応じた補正処理、及び圧縮処理等の画像処理を施す。ユーザー設定に応じた補正は、例えば、シェーディング補正である。画像処理部80は、画像処理後の画像データを画像形成部240に出力する。
【0055】
剛度測定装置410は、記録材搬送装置400(
図1参照)内に配置されている。剛度測定装置410は、測定結果を制御部90に送信する。
【0056】
[制御部の機能構成]
次に、制御部90の機能構成について、
図3を参照して説明する。
図3は、制御部90の機能ブロック図である。
【0057】
図3に示すように、制御部90は、給紙制御部94、搬送制御部95、及び、画像形成制御部97を有する。
【0058】
給紙制御部94は、記録材供給装置100の記録材供給部70の駆動を制御して、記録材供給部70から搬送部50に記録材Sを供給させる。記録材供給部70は、搬送制御部95による記録材Sの搬送制御に合わせて、搬送部50に記録材Sを供給する。
【0059】
搬送制御部95は、記録材供給装置100、記録材搬送装置400、画像形成装置200、及び、後処理装置300に設けた搬送部50、51、52、53、250、350の駆動を制御する。これにより、画像形成システム10の各所に、記録材Sが搬送される。
また、搬送制御部95は、記録材搬送装置400の分岐部58等の搬送機構を制御し、記録材Sの搬送経路を変更する。
【0060】
搬送制御部95は、画像形成ジョブに応じて複数の記録材Sを搬送する際に、少なくとも1枚以上の記録材Sを記録材搬送装置400の第2搬送経路42に導く。第2搬送経路42は、第2搬送部52が記録材Sを搬送する経路である。第2搬送経路42において、表面性検出部450は、記録材Sの表面性を検出する。また、第2搬送経路42において、剛度測定装置410は、記録材Sの剛度を測定し、その測定結果に基づいて剛度情報を取得する。さらに、第2搬送経路42において、抵抗値検出部460は、記録材Sの抵抗値を検出する。
【0061】
また、搬送制御部95は、記録材Sの剛度に応じて記録材Sの搬送に関する制御パラメータを補正する。搬送に関する制御パラメータの具体例としては、記録材Sの搬送速度である。
【0062】
画像形成制御部97は、画像形成部240の画像形成動作を制御する。また、画像形成制御部97は、剛度測定装置410が測定した記録材Sの剛度に応じて、画像形成に関する制御パラメータを決定する。画像形成に関する制御パラメータの具体例としては、帯電部242による帯電電位、一次転写ローラ245や二次転写ローラ247に供給する転写電流、定着部248における定着温度及び定着圧力などである。
【0063】
[剛度測定装置の構成]
次に、剛度測定装置410の構成について、
図4及び
図5を参照して説明する。
図4は、剛度測定装置410の概略構成を示す図である。
図5は、剛度測定装置410の一対の保持ローラ上方から見た図である。
【0064】
図4に示すように、剛度測定装置410は、第2搬送部52が記録材Sを搬送する第2搬送経路42に配置されている。第2搬送経路42において、記録材Sの搬送方向は、鉛直方向Zとなる。剛度測定装置410は、鉛直方向Zに搬送されている途中の記録材Sを停止させて、その記録材Sの剛度を測定する。
【0065】
以下、記録材Sの搬送方向を鉛直方向Zとする。また、第2搬送経路42を搬送される記録材Sの記録面に直交する方向を水平方向Yとし、鉛直方向Z及び水平方向Yに直交する方向を記録材幅方向Xとする。
【0066】
剛度測定装置410は、記録材Sを保持する記録材保持部511と、記録材保持部511によって保持された記録材Sの剛度を測定する剛度測定部512とを備えている。
【0067】
記録材保持部511は、複数の挟持部材515から構成されている。なお、
図4では、複数の挟持部材515うち記録材Sの下端に最も近いもののみを表している。挟持部材515は、一対の保持ローラ521a,521bと、ローラ駆動部522と、付勢ばね523とを有している。
【0068】
一対の保持ローラ521a,521bの回転軸は、記録材幅方向Xと平行である。
図5に示すように、一対の保持ローラ521a,521bのX方向の長さ(幅の長さ)は、記録材SのX方向の長さ(幅の長さ)よりも長い。したがって、一対の保持ローラ521a,521bは、X方向の全幅にわたって記録材Sを保持する。
【0069】
一対の保持ローラ521a,521bは、搬送ローラを兼ねることが好ましい。ローラ駆動部522は、保持ローラ521aを回転させる。ローラ駆動部522は、保持ローラ用モータ524と、保持ローラ用モータ524の回転を保持ローラ521aに伝達する歯車列525とを有している。
【0070】
付勢ばね523は、保持ローラ521bを保持ローラ521a側に付勢する。付勢ばね523が保持ローラ521bを付勢する方向は、水平方向Yである。一対の保持ローラ521a,521bは、所定の挟持力で記録材Sを挟み込むことにより、記録材Sを挟持する。一対の保持ローラ521a,521bは、記録面が鉛直方向Zと略平行となる姿勢で記録材Sを挟持する。
【0071】
第2搬送経路42には、記録材検出部520が配置されている。記録材検出部520は、記録材Sが剛度測定位置に配置されたときに、記録材Sの下端を検出する。記録材検出部520は、検出結果、すなわち記録材Sの下端を検出したことを、剛度測定装置410の後述する制御部561(
図6参照)に出力する。これにより、制御部561は、記録材Sが剛度測定位置に配置されたことを検知する。
【0072】
剛度測定部512は、記録材Sの下端に最も近い挟持部材515の一対の保持ローラ521a,521bの下方に配置されている。剛度測定部512は、押圧部531と、荷重計測部532と、支持機構533と、移動機構534と、ホームポジションセンサ535と、フレーム536と、を備えている。支持機構533、移動機構534、及びホームポジションセンサ535は、フレーム536内に配置されている。
【0073】
押圧部531は、記録材Sの下端部を押圧する。押圧部531は、ブレード531aと、ブレード531aの水平方向Yの一端に連続するベース531bとを有する。ブレード531aは、鉛直方向Zに搬送される記録材Sの全幅に接触し得るように記録材幅方向Xに長い長尺の板状に形成されている。ブレード531aは、記録材Sの下端から鉛直方向Zの上側に特定の距離だけ離れた位置である測定箇所に接触する。すなわち、測定箇所は、記録材Sにおける記録材保持部511に保持される部分よりも鉛直方向の下側に位置する。
【0074】
荷重計測部532は、押圧部531におけるベース531bのブレード531aに連続する面と反対側の面に接続されている。荷重計測部532は、押圧部531によって記録材Sを押し曲げるときの反力の荷重を計測する。荷重計測部532としては、例えば、ロードセル、圧力センサを採用できる。
【0075】
支持機構533は、押圧部531及び荷重計測部532を水平方向Yに移動可能に支持する。すなわち、押圧部531が記録材Sを押圧する方向は、記録材Sの下端に最も近い挟持部材515の挟持力が作用する方向と平行である。支持機構533は、検出部保持部材541と、突き当て部材542と、ウォームギア543と、付勢ばね544とを有する。検出部保持部材541及び突き当て部材542は、フレーム536に取り付けられている。
【0076】
検出部保持部材541は、フレーム536に水平方向Yに移動可能に支持されている。
また、フレーム536には、検出部保持部材541の水平方向Yに延びる軸を中心とした回転を係止する不図示の係止部が配置されている。検出部保持部材541は、荷重計測部532を保持する。検出部保持部材541には、荷重計測部532の押圧部531に接続される面と反対側の面が接続される。
【0077】
突き当て部材542は、水平方向Yにおいて検出部保持部材541と対向する。突き当て部材542は、フレーム536に固定されている。また、突き当て部材542は、ウォームギア543の一端を回転可能に支持する。
【0078】
ウォームギア543の回転軸は、水平方向Yに延びている。ウォームギア543は、突き当て部材542により水平方向Yへの移動が係止されている。ウォームギア543の他端は、検出部保持部材541に螺合されている。これにより、ウォームギア543が回転すると、検出部保持部材541が水平方向に移動する。
【0079】
付勢ばね544は、検出部保持部材541と突き当て部材542に接続されている。検出部保持部材541を突き当て部材542側に付勢する。付勢ばね544としては、例えば、引っ張りコイルばねや圧縮コイルばねを採用できる。
【0080】
検出部保持部材541とウォームギア543との間には、バックラッシュが生じる。そのため、検出部保持部材541は、ウォームギア543の回転に関係なく水平方向Yに僅かに移動可能である。本実施形態では、付勢ばね544を設けたため、検出部保持部材541が、バックラッシュの影響で突き当て部材542側に移動することない。これにより、記録材Sの剛度を測定する際に、検出部保持部材541及び押圧部531が突き当て部材542側にずれない。その結果、記録材Sの剛度を高精度に測定できる。
【0081】
移動機構534は、支持機構533を介して押圧部531を水平方向Yに移動させる。
移動機構534は、記録材押圧用モータ551と、記録材押圧用モータ551の回転をウォームギア543に伝達する歯車列552とを有している。記録材押圧用モータ551は、例えば、ステッピングモータを採用できる。
【0082】
ホームポジションセンサ535は、検出部保持部材541及び押圧部531のホームポジションを検出する。押圧部531のホームポジションは、押圧部531が記録材Sの記録面に接触し始める位置である。ホームポジションセンサ535は、押圧部531のホームポジションを、検出部保持部材541の位置から検出する。
【0083】
押圧部531のホームポジションは、記録材Sの厚みに応じて異なる。記録材Sの厚みとホームポジションとの対応付けは、あらかじめ記憶部564(
図6参照)に記憶しておいたテーブルデータ用いるとよい。荷重計測部532は、押圧部531がホームポジションから水平方向Yの記録材S側に所定量移動したときの記録材Sから受ける荷重(押圧力)を計測する。
【0084】
[剛度測定装置の機能構成]
次に、剛度測定装置410の機能構成について、
図6を参照して説明する。
図6は、剛度測定装置410の制御系の構成例を示すブロック図である。
【0085】
図6に示すように、剛度測定装置410は、制御部561を有する。制御部561は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを備えている。制御部561の各種機能は、CPUがROMに格納された所定の処理プログラムを実行することにより実現される。ROMは、CPUによって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。このため、ROMには、このプログラムが永続的に格納される。
【0086】
制御部561は、記録材保持部511の保持ローラ用モータ524、押圧部531の記録材押圧用モータ551、及び荷重計測部532を制御する。また、制御部561は、記録材検出部520及びホームポジションセンサ535と有線又は無線を用いて電気的に接続されている。なお、一対の保持ローラ521a,521b(
図4参照)が搬送ローラを兼ねる場合は、保持ローラ用モータ524が搬送制御部95(
図3参照)に制御されてもよい。
【0087】
剛度測定装置410は、以下のように動作することにより記録材Sの剛度(荷重)を測定する。
【0088】
まず、制御部561は、記録材検出部520の検出結果を受けて、記録材Sが剛度測定位置に配置されたことを検知する。そして、制御部561は、保持ローラ用モータ524の駆動を制御して、剛度測定位置に配置された記録材Sを記録材保持部511に保持させる。このとき、一対の保持ローラ521a,521bは、全幅にわたって記録材Sを保持する(
図5参照)。記録材保持部511に保持された記録材Sは、記録面が水平方向Yに略垂直な姿勢となる。
【0089】
次に、制御部561は、記録材押圧用モータ551の駆動を制御して、検出部保持部材541を介して押圧部531及び荷重計測部532を水平方向Yへ移動させる。これにより、押圧部531が記録材Sの記録面に接触し始める。このとき、ホームポジションセンサ535が、検出部保持部材541の位置を検出して、その検出結果を制御部561に出力する。これにより、制御部561は、押圧部531及び検出部保持部材541のホームポジションを検知する。なお、制御部561は、予め記憶部564に記憶されたテーブルデータ用いて、押圧部531及び検出部保持部材541のホームポジションまでの移動距離を決定してもよい。
【0090】
次に、制御部561は、記録材押圧用モータ551の駆動を制御して、押圧部531をホームポジションから測定終了位置まで移動させる。ホームポジションから測定終了位置までの距離は、例えば、4mmである。ホームポジションから測定終了位置まで移動する押圧部531は、記録材Sを押し曲げる。このとき、荷重計測部532は、記録材Sから受ける反力の荷重(押圧力)を計測して、制御部561に出力する。これにより、制御部561は、記録材Sの反力の荷重を取得する。
【0091】
記録材Sの反力の荷重を取得後、制御部561は、押圧部531による記録材Sの押圧状態を解除する。すなわち、制御部561は、記録材押圧用モータ551の駆動を制御して、押圧部531をホームポジションよりも突き当て部材542(
図4参照)側に移動させる。これにより、押圧部531による記録材Sの押圧状態が解除される。
【0092】
制御部561は、押圧部531がホームポジションから所定位置まで移動した際に計測された荷重に基づいて、記録材Sの剛性に対応する剛度情報を演算する。本実施形態において、剛度情報は、荷重計測部532によって計測された荷重の単位距離あたりの変化量である。制御部561は、演算した剛度情報を画像形成システム10の制御部90に送信する。
【0093】
上述したように、押圧部531は、記録面が水平方向Yに略垂直な姿勢の記録材Sを水平方向Yに押圧する。これにより、記録材Sを押圧する際に重力の影響を最小限にとどめることができる。その結果、記録材Sの剛度を高精度に測定できる。
【0094】
[複数の挟持部材]
次に、複数の挟持部材515について、
図7を参照して説明する。
図7は、剛度測定装置410の複数の挟持部材515を説明する図である。
【0095】
図7に示すように、本実施形態に係る複数の挟持部材515は、挟持部材515A,515B,515Cから構成されている。挟持部材515Aは、挟持部材515A,515B,515Cのうち記録材Sの下端に最も近い位置に配置されている。挟持部材515Aの挟持力は、押圧部531が記録材Sを押圧する方向と平行である。
【0096】
挟持部材515Cは、挟持部材515A,515B,515Cのうち記録材Sの下端から最も遠い位置に配置されている。挟持部材515Bは、挟持部材515Aと挟持部材515Cの間に配置されている。挟持部材515B,515Cの挟持力は、押圧部531が記録材Sを押圧する方向と交差する方向である。
【0097】
図7に示すように、記録材Sが剛度測定位置に配置された状態において、挟持部材515Aの一対の保持ローラ521a,521bにおける記録材Sを挟持する部分から記録材Sの下端までの距離は、所定距離Aに設定されている。所定距離Aは、例えば、20~40mmの範囲に設定することが好ましい。
【0098】
挟持部材515A,515B,515Cの一対の保持ローラ521a,521bは、同じ硬さの材料から形成されている。一対の保持ローラ521a,521bの材料としては、例えば、ゴム、樹脂等を採用できる。一対の保持ローラ521a,521bの材料としては、例えば、エチレンプロピレンジエンゴム(EDPM)の硬度80°が好ましい。
【0099】
一般的な搬送ローラ対は、搬送している記録材Sが搬送方向と交差する方向に押圧されることを考慮していないため、異なる材料(材質)で形成されている。このような、搬送ローラ対を本発明に係る剛度測定装置の一対の保持ローラに採用すると、押圧部531が記録材Sを押圧した際に、記録材Sがずれてしまう可能性がある。その結果、記録材Sの剛度を正確に測定できない。一方、本実施形態の一対の保持ローラ521a,521bは、同じ硬さの材料から形成されている。そのため、押圧部531が記録材Sを押圧しても、記録材Sをずれないように挟持できる。その結果、記録材Sの剛度を正確に測定できる。
【0100】
また、挟持部材515A,520B,520Cの一対の保持ローラ521a,521bは、直径が等しい。これにより、押圧部531が記録材を押圧する方向に応じて、記録材Sの変形量が異ならないようにすることができる。その結果、記録材Sの剛度を正確に測定できる。
【0101】
[挟持部材の挟持力]
次に、挟持部材515Aの挟持力について、
図8及び
図9A,Bを用いて説明する。
図8は、挟持部材515Aの挟持力が不足していない場合に、押圧部531が記録材Sを押圧した状態を示す図である。
図9A,Bは、挟持部材515Aの挟持力が不足している場合に、押圧部531が記録材Sを押圧した状態を示す図である。
【0102】
図8に示すように、挟持部材515Aの挟持力が不足していない場合は、押圧部531が記録材Sを押圧しても、所定距離Aが変化しない。したがって、記録材Sの反力を測定する際に、重力の影響が変化しない。その結果、剛度測定部512は、記録材Sの反力を正確に測定できる。
【0103】
本実施形態では、挟持部材515Aの挟持力を適切な値に設定すると共に、挟持部材515Aの一対の保持ローラ521a,521bを同じ硬さの材料から形成している。これにより、押圧部531が記録材Sを押圧した際に、記録材Sがずれないようにすることができる。その結果、押圧部531が記録材Sを押圧しても、所定距離Aが変化しない。
【0104】
挟持部材515Aの挟持力が不足している場合は、押圧部531が記録材Sを押圧した際に、記録材Sと押圧部531との間に生じる摩擦力が生じて、記録材Sが下方に引き出されることがある(
図9A参照)。この場合は、所定距離Aが変化することになり、記録材Sの反力を測定する際に重力の影響が変化する。その結果、剛度測定部512は、記録材Sの反力を正確に測定できない。
【0105】
また、挟持部材515Aの挟持力が不足している場合は、押圧部531が記録材Sを押圧した際に、記録材Sと押圧部531との間に生じる摩擦力が生じて、記録材Sが上方にせり上がることがある(
図9B参照)。この場合においても、
図9Aに示す場合と同様に、所定距離Aが変化することになり、記録材Sの反力を測定する際に重力の影響が変化する。その結果、剛度測定部512は、記録材Sの反力を正確に測定できない。
【0106】
[挟持部材の挟持部分から記録材の下端までの距離]
次に、挟持部材515Aが記録材Sを挟持する部分から記録材Sの下端までの距離が、所定距離Aよりも長い場合について、
図10を参照して説明する。
図10は、挟持部材515Aの挟持部分から記録材Sの下端までの距離が所定距離A以上である場合に押圧部531が記録材Sを押圧した状態を示す図である。
【0107】
図10に示すように、挟持部材515Aが記録材Sを挟持する部分から記録材Sの下端までの距離が、所定距離Aよりも長い場合は、押圧部531が押圧する部分の上方及び下方に作用する重力の影響が大きくなる。そのため、剛度測定部512は、記録材Sの反力を正確に測定できない。
【0108】
上述したように、本実施形態では、挟持部材515Aにおける記録材Sを挟持する部分から記録材Sの下端までの距離は、所定距離Aに設定されている。したがって、押圧部531が押圧する部分の上方及び下方に作用する重力の影響を最小限にとどめることができる。その結果、剛度測定部512は、記録材Sの反力を高精度に測定できる。
【0109】
[複数の挟持部材の挟持力]
次に、複数の挟持部材515A,515B,515Cの挟持力について、
図11を参照して説明する。
図11は、剛度測定装置410における複数の挟持部材515A,515B,515Cの挟持力を説明する図である。
【0110】
図11に示すように、挟持部材515Aの挟持力F1は、挟持部材515Bの挟持力F2と挟持部材515Cの挟持力F3よりも大きい。すなわち、挟持部材515Aの付勢ばね523のばね力は、挟持部材515B,515Cの付勢ばね523のばね力よりも大きい。
【0111】
制御部561(
図6参照)は、記録材Sが剛度測定位置に達したときに、複数の挟持部材515A,515B,515Cの各保持ローラ用モータ524の駆動を制御して、一対の保持ローラ521a,521bの回転を停止させる。これにより、記録材Sは、剛度測定位置に停止する。このとき、複数の挟持部材515A,515B,515Cにおける一対の保持ローラ521a,521bの停止タイミングにバラツキが生じる。
【0112】
本実施形態では、記録材Sの下端に最も近い位置に配置された挟持部材515Aの挟持力F1を、その他の挟持部材515B,515Cの挟持力F2,F3よりも大きくしている。これにより、複数の挟持部材515A,515B,515Cにおける一対の保持ローラ521a,521bの停止タイミングにバラツキが生じても、記録材Sが挟持部材515B,515C側に引っ張られて移動することを防止できる。その結果、所定距離Aが変化しないため、剛度測定部512は、記録材Sの反力を高精度に測定できる。
【0113】
[パラメータ設定処理]
次に、本実施形態に係る画像形成システム10のパラメータ設定処理について、
図12を参照して説明する。
図12は、画像形成システム10のパラメータ設定処理の手順を示すフローチャートである。
【0114】
まず、印刷ジョブが開始されると、搬送制御部95は、搬送部50の駆動を制御して、印刷ジョブにおいて指定された記録材Sを記録材供給部70から取り出す。そして、搬送制御部95は、第1搬送部51及び第2搬送部52の駆動を制御して、記録材Sを記録材搬送装置400の第2搬送経路42に沿って搬送する(S1)。
【0115】
次に、第2搬送経路42において記録材Sの下端が記録材検出部420に検出されると、剛度測定装置410の制御部561は、記録材保持部511の駆動を制御して、記録材Sの搬送を停止する(S2)。これにより、記録材Sは、剛度測定位置で停止する。ステップS2において、制御部561は、複数の挟持部材515A~515Cにおける保持ローラ用モータ524の駆動を停止して、剛度測定位置に配置された記録材Sを一対の保持ローラ521a,521bに挟持させる。
【0116】
次に、制御部561は、剛度測定装置410の剛度測定部512を動作させて、記録材Sの剛度を測定する(S3)。このとき、制御部561は、記録材押圧用モータ551の駆動を制御することにより、記録材Sを押圧部531によって水平方向Yに押圧させる。そして、荷重計測部532が、押圧部531による押圧によって押し曲げられた記録材Sから受ける荷重を検出し、その検出結果を制御部561が取り込む。そして、制御部561は、検出結果を記録材Sの剛度として画像形成システム10の制御部90に送る。
【0117】
次に、搬送制御部95は、第2搬送部52の駆動を制御して、剛度を測定した記録材Sを排出部56から排出する(S4)。このとき、制御部561は、複数の挟持部材515A~515Cにおける保持ローラ用モータ524を駆動させて、一対の保持ローラ521a,521bによる記録材Sの挟持を解除させる。
【0118】
次に、制御部90は、記録材Sの剛度に基づいて、制御パラメータを設定する(S5)。記録材Sの剛度と制御パラメータとの対応付けは、あらかじめ記憶部98に記憶しておいたテーブルデータ用いるとよい。すなわち、制御部90は、剛度測定装置410が測定した記録材Sの剛度に対応する制御パラメータを記憶部98から読み出す。
【0119】
設定対象となる制御パラメータには、記録材の搬送パラメータ、記録材のカール矯正パラメータ、画像形成パラメータ及び後処理パラメータのうち少なくともいずれか1つのパラメータが含まれる。
【0120】
記録材の搬送パラメータの具体例としては搬送速度を挙げることができる。記録材のカール矯正パラメータの具体例としては、カール矯正ローラによって記録材に加えられる圧力、カール矯正ローラと記録材との接触時間などを挙げることができる。画像形成パラメータの具体例としては、帯電部242による帯電電位、一次転写ローラ245や二次転写ローラ247に供給する転写電流、定着部248における定着温度および定着圧力などを挙げることができる。後処理パラメータの具体例としては、ステープル処理するための打ち込み圧力、紙折り処理するための駆動トルクなどを挙げることができる。
【0121】
搬送パラメータおよびカール矯正パラメータは、搬送制御部95によって設定されるパラメータである。画像形成パラメータは、画像形成制御部97によって設定されるパラメータである。後処理パラメータは、制御部90が備える不図示の後処理制御部によって設定されるパラメータである。なお、ステップS5で設定する制御パラメータは、ここで挙げた制御パラメータ以外の制御パラメータであってもよい。
【0122】
[変形例]
次に、挟持部材の変形例について、
図13を参照して説明する。
図13は、剛度測定装置における挟持部材の変形例を示す図である。
【0123】
図13に示すように、変形例に係る挟持部材515Dは、一対の保持ローラ521a,521bと、ローラ駆動部522(
図4参照)と、付勢ばね526とを有している。一対の保持ローラ521a,521b及びローラ駆動部522は、第1実施形態の挟持部材515Aと同じである。ローラ駆動部522は、保持ローラ521bを回転させる。
【0124】
付勢ばね526は、保持ローラ521aを保持ローラ521b側に付勢する。付勢ばね526が保持ローラ521aを付勢する方向は、押圧部531が記録材Sを押圧する方向と同じである。一対の保持ローラ521a,521bは、所定の挟持力で記録材Sを挟み込むことにより、記録材Sを挟持する。一対の保持ローラ521a,521bは、記録面が鉛直方向Zと略平行となる姿勢で記録材Sを挟持する。
【0125】
このように、挟持部材515Dの挟持力を生じさせるための保持ローラ521aを付勢する方向と、押圧部531が記録材Sを押圧する方向が同じであってもよい。この場合であっても、一対の保持ローラ521a,521bは、同じ硬さの材料から形成されている。そのため、押圧部531が記録材Sを押圧しても、記録材Sをずれないように挟持できる。その結果、記録材Sの剛度を正確に測定できる。
【0126】
以上、本発明の剛度測定装置及び画像形成システムの実施形態について、その作用効果も含めて説明した。しかし、本発明の剛度測定装置及び画像形成システムは、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0127】
また、上述した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
【0128】
例えば、上述した実施形態の画像形成システム10は、剛度測定装置410を記録材搬送装置400に設ける構成にした。しかし、本発明に係る剛度測定装置を設ける位置は、画像形成部よりも記録材の搬送方向の上流であれば、適宜設定できる。本発明に係る剛度測定装置としては、例えば、画像形成装置200や記録材供給装置100に設けてもよい。
【符号の説明】
【0129】
10…画像形成システム、 41…第1搬送経路、 42…第2搬送経路、 43…第3搬送経路、 50…搬送部、 51…第1搬送部、 52…第2搬送部、 53…第3搬送部、 54…搬送ローラ、 55…搬入口、 56…排出部、 57…搬出口、 58…分岐部、 70…記録材供給部、 80…画像処理部、 90…制御部、 91…CPU、 92…ROM、 93…RAM、 94…給紙制御部、 95…搬送制御部、 97…画像形成制御部、 98…記憶部、 99…通信部、 100…記録材供給装置、 200…画像形成装置、 220…操作表示部、 230…スキャナー、 240…画像形成部、 300…後処理装置、 400…記録材搬送装置、 410…剛度測定装置、 511…記録材保持部、 512…剛度測定部、 520…記録材検出部、 521a,521b…保持ローラ、 522…ローラ駆動部、 523,526…付勢ばね、 524…保持ローラ用モータ、 525…歯車列、 531…押圧部、 532…荷重計測部、 533…支持機構、 534…移動機構、 536…フレーム、 541…検出部保持部材、 542…突き当て部材、 543…ウォームギア、 544…付勢部材、 551…記録材押圧用モータ、 552…歯車列、 561…制御部