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  • 特開-伸縮構造体 図1
  • 特開-伸縮構造体 図2
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  • 特開-伸縮構造体 図10
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012038
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】伸縮構造体
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/10 20060101AFI20250117BHJP
   A63H 3/04 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
A63H33/10 C
A63H3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114567
(22)【出願日】2023-07-12
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】523266143
【氏名又は名称】株式会社きいちのメモ
(74)【代理人】
【識別番号】230116816
【弁護士】
【氏名又は名称】成川 弘樹
(74)【代理人】
【識別番号】100159248
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 修
(72)【発明者】
【氏名】守屋 輝一
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA05
2C150DC08
2C150EH10
2C150FB45
(57)【要約】
【課題】広げ方次第で多彩な表情を見せるハニカムペーパーを用いて、遊具や装飾具などとして様々に利用できる使い勝手のよい伸縮構造体を提供することを課題とする。
【解決手段】上記課題を解決するために、一対の支持板と、前記支持板に両端を支持され、薄いシートをハニカム状に積層してなる伸縮体と、前記支持板において前記伸縮体を支持する面である支持面と反対の面である接合面を互いに向い合せたときに、それぞれを着脱自在に接合するために配設される留め具と、を有する伸縮構造体などを提供する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の支持板と、
前記支持板に両端を支持され、薄いシートをハニカム状に積層してなる伸縮体と、
前記支持板において前記伸縮体を支持する面である支持面と反対の面である接合面を互いに向い合せたときに、それぞれを着脱自在に接合するために配設される留め具と、
を有する伸縮構造体。
【請求項2】
前記留め具は、前記支持板の接合面に帯状に配設され、前記支持板の一の接合面と他の接合面とを向い合せたときに、それぞれの前記留め具が交差するように配設される請求項1に記載の伸縮構造体。
【請求項3】
前記留め具は、面ファスナーである請求項2に記載の伸縮構造体。
【請求項4】
前記面ファスナーは、前記支持板の接合面に複数本配設される請求項3に記載の伸縮構造体。
【請求項5】
前記面ファスナーは、すべての縁が配設される前記支持板の接合面の周縁からはみ出さないように配設される請求項3又は4に記載の伸縮構造体。
【請求項6】
前記面ファスナーは、基材を前記支持板の接合面に埋め込んで配設される請求項3又は4に記載の伸縮構造体。
【請求項7】
前記面ファスナーは、雌雄兼用の面ファスナーである請求項3又は4に記載の伸縮構造体。
【請求項8】
前記支持板は、異なる特性のボール紙を重ねてなる請求項1又は2に記載の伸縮構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆるハニカムペーパーを用いた遊具や装飾具などに関する。
【背景技術】
【0002】
ハニカムペーパーとは、薄い紙を一定幅の線状で何枚も貼り合わせ、広げると断面が蜂の巣のように見えることから、「ハニカムペーパー」や「でんぐり紙」と呼ばれています。半球形に裁断したハニカムペーパーの両端が向き合うように広げると球体ができ、これを「ハニカムボール」や「でんぐり玉」と呼び、飾りとして親しまれている。
【0003】
また、ハニカムペーパーを活用した薬剤担持材料も存在する。例えば、特許文献1には、消臭剤や芳香剤を担持した板状の薬剤担持体を挟持するための切り込みを入れたハニカム材の両側に台紙を付け、この台紙を貼り合わせることでハニカム材を広げた状態を保持しつつ、挟持した薬剤担持体が外側から見えないようにしたハニカム構造物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61-203049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
広げ方次第で多彩な表情を見せるハニカムペーパーを用いて、遊具や装飾具などとして様々に利用できる使い勝手のよい伸縮構造体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、上記課題を解決するために本発明において、以下の伸縮構造体などを提供する。すなわち、一対の支持板と、前記支持板に両端を支持され、薄いシートをハニカム状に積層してなる伸縮体と、前記支持板において前記伸縮体を支持する面である支持面と反対の面である接合面を互いに向い合せたときに、それぞれを着脱自在に接合するために配設される留め具と、を有する伸縮構造体を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、使い勝手が向上した伸縮構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】伸縮構造体を例示する概念図
図2】伸縮構造体を例示する概念図
図3】伸縮構造体を例示する概念図
図4】伸縮構造体を例示する概念図
図5】伸縮構造体を例示する概念図
図6】支持板に配設される留め具を例示する概念図
図7】好ましい留め具の配設例を示す概念図
図8】支持板に面ファスナーを複数本配設した例を示す概念図
図9】伸縮構造体の断面を示す概念図
図10】伸縮構造体の断面を示す概念図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0010】
<実施形態>
<概要>
本実施形態の伸縮構造体は、ハニカムペーパーの両端を支持する支持板に留め具を配設することで、互いの支持板を着脱自在に構成することに特徴を有する。また、この留め具により、他の伸縮構造体とも接合することができるため、複数の伸縮構造体を組合わせて多彩な使い方が実現される。
【0011】
<構成>
以下に、本実施形態の伸縮構造体を例示する概念図を示す。図1は、伸縮構造体100を縮めた状態を示している。本例では、支持板101は角を落とした三角形状であり、もう一つの支持板102と対になって、それぞれの支持板101、102により伸縮体103の両端を支持している。また、支持板101には、後述する留め具としての面ファスナー104、105が配設されている。図には示されないが、もう一方の支持板102にも面ファスナーが配設されている。
【0012】
図2は、図1に示した伸縮構造体100を伸ばした状態を示している。図から分かるように、伸縮体103はハニカムペーパーにより構成されている。なお、本明細書において、伸縮体を伸ばすことについて、「展開する」や「伸展する」といった表現を用いる場合もある。
【0013】
そして、図3は、図1及び図2に示した伸縮構造体100を伸ばした別の態様を示している。具体的には、一の支持板101に対して、他の支持板102を三角形状の支持板の長辺を回転軸のようにして略180度伸縮体103を展開した態様を示している。
【0014】
図4は、他の態様の伸縮構造体を示す概念図である。本図において、伸縮構造体400は、半円形状の一対の支持板401、402と、その一対の支持板に支持される伸縮体403を有している。また、図1に示したように、図4の伸縮構造体400の支持板401にも留め具としての面ファスナー404、405が配設されている。もう一方の支持板402にも面ファスナーが配設されている。
【0015】
図5は、図4に示した伸縮構造体を展開した態様を示している。本図に示すように、伸縮構造体400の一の支持板401に対して、他の支持板402を半円球状の支持板の長辺を回転軸のようにして略360度伸縮体403を展開して支持板どうしが向き合うようにした態様を示している。
【0016】
上記の図1から図5に示したように、本実施形態の伸縮構造体は、支持板の形状や、展開する向きや量(長さ)などに応じて多彩な姿を示すことができる。以下に、図1から図3にて示した伸縮構造体を例として、伸縮構造体の各部について説明する。
【0017】
伸縮体103は、一対の支持板101、102に自身の両端を支持されている。また、伸縮体103は、紙などの薄いシートをハニカム状に積層してなる。具体的には、一枚ごとに段違いになる接着線(線状の接着領域)により、紙を何層も重ねて接着して作られるものである。このような多層の構造体を裁断して広げると、蜂の巣のように隙間が開き、その隙間の存在により伸縮する構造となる。なお、この蜂の巣状の隙間の形状は、前述した接着線の幅などに応じたものとなり、厳密に六角形に限定されるものではなく、四角形であってもよい。また、シートの材質はとくに限定しないが、紙、布、ポリエステルやポリイミドなどの高分子フィルムなどを用いることができる。
【0018】
一対の支持板101、102は、上記の伸縮体103の両端を支持する。支持板101、102は伸縮体103を支持するとともに、伸縮構造体100を手に持つための機能を果たす。また、支持板101は、伸縮体103を支持する面である支持面と、支持面の反対の面である接合面とからなり、接合面に留め具としての面ファスナー104、105が配設されている。
【0019】
また、一対の支持板101、102は、伸縮構造体100の外殻としての機能もあるため、相応の強度を有する板状体が好ましい。また、手で触れるものであることから、とくに遊具として利用する場合には、触れたときに温もりを感じることができる木や紙を用いることが好ましく、例えば、ボール紙などが好ましい。
【0020】
図2などに示されるように、伸縮体103は支持板102の周縁に所定の幅を空けて内側に収まるように支持されている。このようにすることにより、支持板の周縁を指先でつかむことができるので、伸縮構造体を持ちやすくすることができる。上記の所定の幅は、指先でつかむのに足りる程度であるので、例えば、略3cmから略10cm程度である。なお、この幅は、支持板の大きさや伸縮構造体の重さなどに応じて適宜選択することができる。伸縮構造体が大きくなったり重くなったりする場合には、周縁の幅が大きい方が、指がかかる面積が大きくなり持ちやすくなるからである。
【0021】
また、支持板の形状は、角のない形状とすることが、一つには安全面から好ましい。例えば、子供が伸縮構造体を振り回すような事態が生じたとしても、支持板の角により当人及び他人を傷つけるリスクが低下するからである。
【0022】
支持板を角のない形状とすることで、使い勝手の面においても好ましい。例えば、図3では支持板の長辺を回転軸のようにして伸縮体を広げているが、広げたまま回転軸を支持板の短辺に移行させると広げた伸縮体の形が変わるが、このような変形をさせる際に支持板の角がないことにより少ない力でスムーズに行うことができるからである。
【0023】
留め具は、一対の支持板101、102のそれぞれの接合面を互いに向い合せたときに、支持板どうしを着脱自在に接合するために配設される。留め具は、例えば、図示したような面ファスナー104、105や再剥離性を有する粘着テープやスナップボタンなどにより実現される。
【0024】
例えば、図4及び図5に示した例において、一の支持板401の接合面に配設されている面ファスナー404、405と、他の支持板402の接合面に配設されている図示されない面ファスナーとにより、図5に示すように一対の支持板401、402を展開して互いに向き合わせて接合することができる。このように、留め具により支持板の接合面を接合することにより、伸縮体を様々な態様で進展させたうえで、支持板の接合面どうしを留め具により接合して、その進展した態様での伸縮構造体の姿勢を維持することができる。これにより、遊具や装飾具としての使い勝手が向上する。
【0025】
また、留め具は、一の伸縮構造体を構成する一対の支持板どうしを接合させるだけでなく、他の伸縮構造体を構成する支持板の接合面と接合させることもできる。これにより、複数の伸縮構造体を接合して組合わせて使うことができるため、さらに多様な使い方を実現することができる。
【0026】
図6は、支持板に配設される留め具を例示する概念図である。図6(a)は、留め具としてスナップボタンを用いた態様であり、図6(b)は留め具として面ファスナーを用いた態様を示している。図6(a)において、支持板601の接合面にスナップボタン602を3個配設している。また、図6(b)において、支持板603の長辺に沿って面ファスナー604を配設している。そして、一対の支持板のそれぞれに同じ位置にて留め具を配設することで、一対の支持板の姿勢を揃えて向い合せることで、互いの接合面が留め具により接合される。
【0027】
面ファスナーや粘着テープは、スナップボタンに対して、接合の際に留め具の位置決めに融通が利くので接合し易くなる。また、面ファスナーや粘着テープを帯状にして接合面に配設することで、接合のための領域が広がり、支持板どうしの接続がし易くなる。また、支持板どうしを接合するだけでなく、例えば、衣服に接合させて身に付けたり、壁やソファなどに接合して装飾するといった様々な態様で伸縮構造体を使用することが可能になる。
【0028】
図7は、好ましい留め具の配設例を示す概念図である。図に示すように、一対の支持板のうち一方の支持板701には支持板の長辺に沿って面ファスナー702が配設され、他方の支持板703には長辺方向と直交する方向に面ファスナー704が配設されている。このような一対の支持板を同じ姿勢にて向い合せた場合、図7(c)に示すように、支持板701に配設される面ファスナー702と、支持板703に配設される面ファスナー704が交差する。このように支持板それぞれの面ファスナーが向き合わせたときに交差するように配設することで、接合する支持板の向きや位置がそれぞれ多少異なっていても、それぞれに配設される面ファスナーが交差することで、その交差領域にて接合することができる。したがって、支持板どうしを接合する際の位置合わせの自由度が上がることで使い勝手が向上する。
【0029】
図8は、支持板の接合面に面ファスナーを複数本配設した例を示す概念図である。図8(a)は、一対の支持板の一方の支持板を上方視にて示した概念図である。この図に示すように、支持板801の接合面に2本の面ファスナー802、803を配設している。また、図8の(b)は、他方の支持板を上方視にて示した概念図である。図8(a)に示したのと同様に支持板804の接合面に2本の面ファスナー805、806を配設している。
【0030】
そして、図8(c)は、上述の支持板の接合面のそれぞれを向かい合せて接合した際の透視図である。図示するように、一方の支持板に配設される面ファスナー802、803は相対する他方の支持板に配設される面ファスナー806、805と交差する。このように面ファスナーを配設することにより、一対の支持板の接合面のそれぞれを向き合わせて接合しようとするときに、それぞれの支持板の姿勢を厳密に揃えなくても2本の面ファスナーどうしが交差して2つの交差領域にて接合するため、支持板どうしの接合が容易かつ確実に行われる。接合の際の支持板の位置合わせなどに厳密性が要求されないので、自由自在な接合をすることで、伸縮構造体を様々な形態とすることが容易に行える。
【0031】
また、向き合わせたときに面ファスナーどうしが交差するように構成することで、接合する支持板の姿勢が揃っていない場合であっても、面ファスナー同士が交差する領域は保持される。そのため、互いを接合するための力があまり変動することがなく、接合する力が安定して維持され、使い勝手に優れる。
【0032】
また、図8に例示したように、支持板に配設される面ファスナーは、そのすべての縁が配設される支持板の接合面の周縁からはみ出さないように配設されている。このように構成することにより、支持板が手に持たれ、あるいは他の物体と接触等することにより、面ファスナーの接合面からの剥離が生じにくくすることができる。
【0033】
図9は、伸縮構造体の断面を示す概念図である。図9(b)は、図9(a)に示される面ファスナー901が配設されている領域に設けたA-A線で切断した断面を示す概念図である。図示するように、基材902と基材に付着するループやフックなどのかみ合わせ材903とから構成される面ファスナーが支持板904に埋め込んで配設されている。なお、伸縮体905を支持する他方の支持板906に配設される面ファスナーなどの留め具は図示を省略している。
【0034】
ここで、面ファスナーの配設は、面ファスナーの基材902が支持板904の接合面より沈んでいて、かみ合わせ材903のみが接合面より浮くようにすることが、より好ましい。面ファスナーの基材は、比較的硬度を有する材質であるので、手や他の物体と接触する際に、それらに引っかかって面ファスナーの支持板からの剥離を招きかねないからである。一方で、かみ合わせ材は、接合面から浮いていなければ他の面ファスナーとの接合を阻害することになるからである。
【0035】
また、面ファスナーは、フック面(雄)とループ面(雌)とを一対とする物と、1本で雌雄兼用となっている物がある。接合する対象が予定されている場合には、接合が予定される一方と他方とに雌雄それぞれの面ファスナーを用いることに支障はないが、他の伸縮構造体の支持板と接合して様々な組み合わせで使用することを考慮すると、雌雄兼用の面ファスナーを留め具として用いることが接合による組み合わせの自由度を高めることができるのでより好ましい。
【0036】
図10は、伸縮構造体の断面を示す概念図である。図示するように、支持板1001を2層に構成してもよい。例えば、伸縮体1004を支持する支持面側の層1002には厚く丈夫な紙を用い、面ファスナーが配設される接合面側の層1003には手触りが良好であったり見栄えに優れたりする紙を用いるといった具合である。このように構成することで、支持面側と接合面側とでそれぞれが果たすべき機能に好適な材質を用いることができる。
【0037】
<効果>
以上のように、本実施形態の伸縮構造体により、使い勝手が向上した伸縮構造体を提供することができる。
【符号の説明】
【0038】
100:伸縮構造体
101:支持板
102:支持板
103:伸縮体
104:面ファスナー
105:面ファスナー

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10