(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012041
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】内燃機関の制御装置
(51)【国際特許分類】
F02D 41/14 20060101AFI20250117BHJP
F02D 41/34 20060101ALI20250117BHJP
F02D 41/04 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
F02D41/14
F02D41/34
F02D41/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114570
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】井手 宏二
(72)【発明者】
【氏名】古井 憲治
【テーマコード(参考)】
3G301
【Fターム(参考)】
3G301HA01
3G301JA15
3G301JA21
3G301KA06
3G301LB02
3G301MA01
3G301MA11
3G301ND22
3G301NE13
3G301PA01
3G301PD04
(57)【要約】
【課題】三元触媒の劣化度合いにかかわらず、三元触媒に高い排気浄化能を発揮させる。
【解決手段】制御装置80は、第1触媒32に対して下流側の排気の空燃比及び理論空燃比を一致させるためのフィードバック値を算出する処理と、吸入空気量が多くなるほど気筒12内の目標空燃比がリッチ側に補正されるように触媒補正値を算出する処理と、フィードバック値及び触媒補正値に基づいて目標空燃比を算出する処理と、第1触媒32に対して上流側の排気の空燃比が目標空燃比に一致するようにインジェクタ22の燃料噴射量を制御する処理と、第1触媒32の劣化度合いを算出する処理とを実行可能であり、吸入空気量が同一であると仮定したときに、触媒補正値を算出する処理では、第1触媒32の劣化度合いが第1劣化度である場合、第1触媒32が第1劣化度よりも低い第2劣化度の場合に比べて、リッチ側への補正量が多くなるように触媒補正値を算出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気通路に配置されている三元触媒と、前記排気通路における前記三元触媒に対して上流側の排気の空燃比である上流空燃比を検出する上流センサと、前記排気通路における前記三元触媒に対して下流側の排気の空燃比である下流空燃比を検出する下流センサと、吸入空気量を検出するエアフロメータと、気筒内に供給するための燃料を噴射するインジェクタと、を備えた内燃機関に適用され、
前記下流空燃比と理論空燃比との差に基づいて、前記下流空燃比及び理論空燃比を一致させるためのフィードバック値を算出する処理と、
吸入空気量が多くなるほど前記気筒内の目標空燃比がリッチ側に補正されるように触媒補正値を算出する処理と、
前記フィードバック値及び前記触媒補正値に基づいて前記目標空燃比を算出する処理と、
前記上流空燃比が前記目標空燃比に一致するように前記インジェクタの燃料噴射量を制御する処理と、
前記三元触媒の劣化度合いを算出する処理と、を実行可能であり、
吸入空気量が同一であると仮定したときに、前記触媒補正値を算出する処理では、前記三元触媒の劣化度合いが第1劣化度である場合、前記三元触媒が前記第1劣化度よりも低い第2劣化度の場合に比べて、リッチ側への補正量が多くなるように前記触媒補正値を算出する
内燃機関の制御装置。
【請求項2】
予め定められた学習条件が成立したときに、前記フィードバック値をゼロに近づけるための学習値を、前記フィードバック値に応じて更新する処理、をさらに実行可能であり、
前記目標空燃比を算出する処理では、前記フィードバック値及び前記触媒補正値に加えて前記学習値に基づいて前記目標空燃比を算出する
請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記学習条件は、吸入空気量が予め定められた判定値以下であることを含み、
前記三元触媒の劣化度合いが前記第1劣化度である場合、前記第2劣化度である場合に比べて、前記判定値を小さい値に設定する
請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されている内燃機関は、排気通路に配置された三元触媒と、排気通路における三元触媒に対して上流側に位置する上流空燃比センサと、排気通路における三元触媒に対して下流側に位置する下流空燃比センサと、インジェクタと、を備えている。この内燃機関の制御装置は、インジェクタの燃料噴射量を制御する。その際、制御装置は、上流空燃比センサの検出値に基づくフィードバック制御と、下流空燃比センサの検出値に基づくフィードバック制御とを通じて、三元触媒に流入する排気の空燃比が理論空燃比近傍になるようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
三元触媒で高い排気浄化能が得られるように空燃比を制御する特許文献1のような技術において、三元触媒が劣化することがある。三元触媒が劣化すると、三元触媒に流入する排気の空燃比が理論空燃比に近くても三元触媒が高い排気浄化能を発揮できないことがある。特許文献1では、三元触媒が劣化したときに如何にして三元触媒に高い排気浄化能を発揮させるかについて検討されていない。そのため、この点について検討の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための内燃機関の制御装置は、排気通路に配置されている三元触媒と、前記排気通路における前記三元触媒に対して上流側の排気の空燃比である上流空燃比を検出する上流センサと、前記排気通路における前記三元触媒に対して下流側の排気の空燃比である下流空燃比を検出する下流センサと、吸入空気量を検出するエアフロメータと、気筒内に供給するための燃料を噴射するインジェクタと、を備えた内燃機関に適用され、前記下流空燃比と理論空燃比との差に基づいて、前記下流空燃比及び理論空燃比を一致させるためのフィードバック値を算出する処理と、吸入空気量が多くなるほど前記気筒内の目標空燃比がリッチ側に補正されるように触媒補正値を算出する処理と、前記フィードバック値及び前記触媒補正値に基づいて前記目標空燃比を算出する処理と、前記上流空燃比が前記目標空燃比に一致するように前記インジェクタの燃料噴射量を制御する処理と、前記三元触媒の劣化度合いを算出する処理と、を実行可能であり、吸入空気量が同一であると仮定したときに、前記触媒補正値を算出する処理では、前記三元触媒の劣化度合いが第1劣化度である場合、前記三元触媒が前記第1劣化度よりも低い第2劣化度の場合に比べて、リッチ側への補正量が多くなるように前記触媒補正値を算出する。
【発明の効果】
【0006】
上記の技術思想では、三元触媒の劣化度合いにかかわらず、三元触媒に高い排気浄化能を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】
図2は、インジェクタの制御に係る各処理を表したブロック図である。
【
図5】
図5は、第1触媒における酸素の吸脱の様子を模式的に表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<内燃機関の全体構成>
以下、内燃機関の制御装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に示すように、車両100は、内燃機関10を備えている。内燃機関10は、複数の気筒12を備えている。気筒12は、機関本体10Aに区画された、燃料と吸入空気との混合気を燃焼させるための空間である。気筒12内での混合気の燃焼に応じて図示しないクランクシャフトが回転する。
【0009】
内燃機関10は、複数の点火プラグ19を有する。点火プラグ19は、気筒12毎に設けられている。点火プラグ19は、気筒12内の混合気に点火を行う。
内燃機関10は、吸気通路20と、スロットルバルブ21と、複数のインジェクタ22と、を備えている。吸気通路20は、各気筒12に吸入空気を導入するための通路である。吸気通路20は、各気筒12に接続している。スロットルバルブ21は、吸気通路20の途中に位置している。スロットルバルブ21は、吸入空気量GAを調節する。インジェクタ22は、気筒12毎に設けられている。インジェクタ22は、吸気通路20における、スロットルバルブ21に対して下流側に位置している。インジェクタ22は、燃料を噴射する。インジェクタ22が噴射した燃料は、吸気通路20を介して気筒12内に至る。すなわち、インジェクタ22は、気筒12内に供給するための燃料を噴射する。
【0010】
内燃機関10は、排気通路30と、第1触媒32と、第2触媒34と、を備えている。排気通路30は、各気筒12から排気を排出するための通路である。排気通路30は、各気筒12に接続している。第1触媒32は、排気通路30の途中に位置している。第1触媒32は、三元触媒である。すなわち、第1触媒32は、排気の空燃比が理論空燃比近傍である状態において、排気中のHC及びCOを酸化するとともに排気中のNOxを還元することで排気を浄化する。また、第1触媒32は、当該第1触媒32を通過する排気の空燃比が理論空燃比よりもリーンの時には排気中の酸素を吸蔵し、当該空燃比が理論空燃比よりもリッチのときには吸蔵した酸素を放出するといった酸素ストレージ作用を有する。第2触媒34は、排気通路30における、第1触媒32に対して下流側に位置している。第2触媒34は、第1触媒32と同様、三元触媒である。
【0011】
内燃機関10は、エアフロメータ61と、上流センサ62と、下流センサ63と、を備えている。エアフロメータ61は、吸気通路20のおける、スロットルバルブ21に対して上流側に位置している。エアフロメータ61は、吸入空気量GAを検出する。上流センサ62は、排気通路30における、第1触媒32に対して上流側に位置している。上流センサ62は、上流空燃比AFfを検出する。上流空燃比AFfは、排気通路30における、第1触媒32に対して上流側を流れる排気の空燃比である。下流センサ63は、排気通路30における、第1触媒32と第2触媒34との間に位置している。下流センサ63は、下流空燃比AFrを検出する。下流空燃比AFrは、第1触媒32に対して下流側を流れる排気の空燃比である。上流センサ62及び下流センサ63は、周知の限界電流式のセンサであり、排気の空燃比に対してリニアな応答を示す。
【0012】
<制御装置>
車両100は、制御装置80を備えている。制御装置80は、CPU82と、メモリ84と、を備えている。メモリ84は、CPU82が実行するべき処理が記述されたプログラムを予め記憶している。CPU82は、メモリ84が記憶しているプログラムを実行することにより内燃機関10を制御する。なお、制御装置80は、エアフロメータ61が検出した吸入空気量GA、上流センサ62が検出した上流空燃比AFf、及び下流センサ63が検出した下流空燃比AFrを各センサから繰り返し受信する。
【0013】
図2に示すように、CPU82は、車両100のイグニッションスイッチがオンになっている間、基本的には通常制御Uを通じてインジェクタ22の燃料噴射量を制御する。すなわち、CPU82は、上記の間、基本的には通常制御Uを継続する。CPU82は、状況に応じて、通常制御Uをキャンセルして他の制御によってインジェクタ22の燃料噴射量を制御することもある。いずれの制御でも、CPU82は、気筒12内の目標空燃比AFtを設定するとともに、設定した目標空燃比AFtを実現できるようにインジェクタ22の燃料噴射量を調整する。以下では、先ず、他の制御の1つである特定制御Vを説明する。その後、通常制御Uを説明する。
【0014】
<特定制御>
特定制御Vは、吸蔵量算出処理V1を実行するための専用の制御である。吸蔵量算出処理V1は、第1触媒32における最大吸蔵量Cmaxを算出するための処理である。最大吸蔵量Cmaxは、第1触媒32が吸蔵することのできる酸素量の最大値である。最大吸蔵量Cmaxは、第1触媒32の劣化度合いを示す指標である。最大吸蔵量Cmaxが少ないほど、第1触媒32の劣化度合いは高くなる。
【0015】
CPU82は、イグニッションスイッチがオンに切り替わった後に内燃機関10の運転状態が安定すると、特定制御Vを行う。CPU82は、特定制御Vでは以下のことを行う。先ず、CPU82は、気筒12内の目標空燃比AFtを理論空燃比よりもリッチに設定してインジェクタ22に燃料噴射させる。この燃料が気筒12内で燃焼すると、第1触媒32にリッチな排気が至るようになる。すると、第1触媒32は酸素を放出する。やがて第1触媒32に吸蔵されていた酸素が全て放出されると、排気に酸素が含まれなくなるため、下流センサ63が検出する下流空燃比AFrはリッチを示すようになる。CPU82は、下流空燃比AFrがリッチを示すようになると、気筒12内の目標空燃比AFtを理論空燃比よりもリーンにしてインジェクタ22に燃料噴射させる。すると、気筒12からはリーンな排気が排出されるようになる。それとともに、第1触媒32は排気に含まれる酸素を吸蔵する。やがて第1触媒32での酸素吸蔵が限界に達すると、排気に含まれる酸素が吸蔵されることなく第1触媒32を通過するようになる。それに伴い、下流センサ63が検出する下流空燃比AFrはリーンを示すようになる。こうした過程の中で、CPU82は吸蔵量算出処理V1を行う。具体的には、CPU82は、目標空燃比AFtをリッチからリーンに反転させたタイミングから、下流空燃比AFrがリーンを示すまでの間に第1触媒32に流入した酸素量を積算することで最大吸蔵量Cmaxを算出する。CPU82は、最大吸蔵量Cmaxを算出すると、算出した最大吸蔵量Cmaxをメモリ84に記憶する。これら、最大吸蔵量Cmaxの算出と、当該最大吸蔵量Cmaxを記憶する処理とが吸蔵量算出処理V1である。CPU82は、吸蔵量算出処理V1を終えると特定制御Vを終了する。なお、メモリ84は、CPU82が次に吸蔵量算出処理V1を実行するまでは、すなわち、次にイグニッションスイッチがオンに切り替わってCPU82が特定制御Vを実行するまでは、今回の吸蔵量算出処理V1で算出した最大吸蔵量Cmaxを記憶し続ける。吸蔵量算出処理V1は、第1触媒32の劣化度合いを算出する処理である。
【0016】
<通常制御>
図2に示すように、CPU82は、通常制御Uの実行中は、サブフィードバック処理U1、学習処理U2、特性処理U3、目標算出処理U4、及びメインフィードバック処理U5の各処理を繰り返し行う。以下、これらの各処理の内容を詳述する。なお、逐一の説明は割愛するが、CPU82は、各処理の中で算出するパラメータの値を適宜メモリ84に記憶する。
【0017】
<サブフィードバック処理>
CPU82は、所定の制御周期でサブフィードバック処理U1を繰り返し実行する。CPU82は、サブフィードバック処理U1では、フィードバック値FBを算出する。フィードバック値FBは、下流空燃比AFrを理論空燃比に一致させるためのパラメータである。CPU82は、このフィードバック値FBを、下流空燃比AFrと理論空燃比との差に基づいて算出する。具体的には、CPU82は、下流センサ63が検出した下流空燃比AFrから理論空燃比を減じて得られる空燃比偏差ΔAFにPID制御を適用することでフィードバック値FBを算出する。すなわち、CPU82は、空燃比偏差ΔAFに基づく比例項、積分項、及び微分項の和として、最新のフィードバック値FBを算出する。比例項は、現時点の空燃比偏差ΔAFに、予め定められた第1係数を乗じた値である。積分項は、空燃比偏差ΔAFについてのこれまでの積分値に、予め定められた第2係数を乗じた値である。微分項は、現時点の空燃比偏差ΔAFと前回の空燃比偏差ΔAFとの差に基づく空燃比偏差ΔAFの微分値に、予め定められた第3係数を乗じた値である。CPU82は、1度のサブフィードバック処理U1につき1度、フィードバック値FBを算出する。
【0018】
なお、例えば上流空燃比AFfが理論空燃比よりもリッチであり、その結果として第1触媒32の下流にリッチな排気が吹き抜けた場合、下流空燃比AFrは理論空燃比よりもリッチになる。そして、下流空燃比AFrがリッチの場合、上記の空燃比偏差ΔAFは負の値になる。この場合、CPU82は、基本的には、フィードバック値FBを負側に更新する。これに伴い、後述の(式1)で算出される目標空燃比AFtは前回値よりも大きくなる。つまり、目標空燃比AFtはリーン側に修正される。このことは、インジェクタ22の燃料噴射量を少なくする方向に作用する。その結果、上流空燃比AFfひいては下流空燃比AFrがリーン側に修正される。そして、下流空燃比AFrは理論空燃比に近づく。このように、フィードバック値FBは、下流空燃比AFrを理論空燃比に一致させるように作用する。
【0019】
<学習処理>
CPU82は、所定の更新タイミングが訪れる度に学習処理U2を実行する。更新タイミングは、例えば、CPU82がサブフィードバック処理U1を複数回実行すると訪れる。
【0020】
学習処理U2は、事前処理と本処理とを含んでいる。CPU82は、学習処理U2を開始すると、先ず事前処理を行う。CPU82は、事前処理では、予め定められた学習条件が成立しているか否かを判定する。学習条件は、吸入空気量GAが判定値GAx以下であることである。CPU82は、学習条件の成立可否を判定するにあたり、先ず判定値GAxを算出する。CPU82が判定値GAxを算出するための前提として、メモリ84は第1マップを予め記憶している。
図3に示すように、第1マップは、判定値GAxと最大吸蔵量Cmaxとの関係を表したものである。第1マップにおいて、判定値GAxは、最大吸蔵量Cmaxの多寡に応じた値として予め定められている。具体的には、第1マップでは、最大吸蔵量Cmaxが基準値CS未満の場合、判定値GAxは第1値G1になっている。一方、第1マップでは、最大吸蔵量Cmaxが基準値CS以上の場合、判定値GAxは第2値G2になっている。第1値G1は第2値G2よりも小さい。第1値G1は、第1触媒32の劣化度が相応に高い状況下で学習値Yの更新を許可できる吸入空気量GAの最大値として例えば実験で予め定められている。第2値G2は、第1触媒32の劣化度が相応に低い状況下で学習値Yの更新を許可できる吸入空気量GAの最大値として例えば実験で予め定められている。基準値CSは、事前処理で利用する判定値GAxを第1値G1と第2値G2とで切り替える上での最適な閾値として例えば実験で予め定められている。CPU82は、こうした第1マップを利用して判定値GAxを算出する。すなわち、CPU82は、判定値GAxを算出するにあたり、第1マップと、吸蔵量算出処理V1で算出した最新の最大吸蔵量Cmaxとを参照する。そして、CPU82は、第1マップにおいて最大吸蔵量Cmaxに対応する判定値GAxを、今回の事前処理で利用する判定値GAxとして算出する。上記の第1マップの内容を反映して、CPU82は、最新の最大吸蔵量Cmaxが基準値CS未満の場合、最大吸蔵量Cmaxが基準値CS以上である場合に比べて、判定値GAxを小さい値に設定する。つまり、CPU82は、第1触媒32の劣化度合いが基準度合いよりも高い場合、第1触媒32の劣化度合いが基準度合い以下の場合に比べて、判定値GAxを小さい値に設定する。基準度合いは、基準値CSに対応する劣化度合いである。
【0021】
CPU82は、判定値GAxを算出すると、算出した判定値GAxと、エアフロメータ61が検出した現時点の吸入空気量GAと、を比較する。そして、CPU82は、吸入空気量GAが判定値GAx以下の場合、学習条件が成立していることから学習処理U2の本処理を行う。一方、CPU82は、吸入空気量GAが判定値GAxよりも大きい場合、学習条件が成立していないことから、本処理をキャンセルする。
【0022】
CPU82は、本処理では、フィードバック値FBに応じて学習値Yを更新する。具体的には、CPU82は、フィードバック値FBからその積分項成分を学習値Yに移し替えることで、学習値Yを更新する。すなわち、CPU82は、前回の学習処理U2で算出した学習値Yに現時点の積分項を加算することで新たな学習値Yを算出する一方で、積分項をゼロにリセットする。CPU82は、このようにして、1度の本処理では学習値Yを1度更新する。
【0023】
ここで、フィードバック値FBは、後述のメインフィードバック処理U5の実行に係る種々の変動要素が重畳したものになっている。そして、フィードバック値FBにおける積分項は、種々の変動要素のうち、空燃比制御に内在している恒常的な誤差成分を反映している。こうした積分項をフィードバック値FBから学習値Yに移し替えると、フィードバック値FBは、主として一時的な変動成分のみを含んだものになる。それとともに、フィードバック値FBを時系列でみたときに、フィードバック値FBはゼロ近傍で上下することになる。すなわち、積分項を学習値Yに吸収することにより、フィードバック値FBをゼロに近づけることができる。このように、学習値Yは、フィードバック値FBをゼロに近づけるためのパラメータである。なお、積分項に反映される恒常的な誤差成分は、例えば、上流センサ62といった、空燃比制御に係る機関部品の経年劣化及び個体差などに起因している。すなわち、学習値Yは、例えば内燃機関10の経年劣化及び個体差など、内燃機関10の不可逆的な変化に起因した空燃比のずれを補償するための値ともいえる。
【0024】
<特性処理>
図2に示すように、CPU82は、所定の制御周期で特性処理U3を繰り返し実行する。CPU82は、特性処理U3では、触媒補正値Hを算出する。触媒補正値Hは、吸入空気量GAに応じて気筒12内の目標空燃比AFtを補正するためのパラメータである。後述する(式1)との兼ね合いで、触媒補正値Hは、その値が大きいほど、目標空燃比AFtをリッチ側にずらすことに寄与する。すなわち、触媒補正値Hは、吸入空気量GAに応じて目標空燃比AFtをリッチ側に補正するためのパラメータである。CPU82がこの触媒補正値Hを算出するための前提として、メモリ84は第2マップを予め記憶している。
図4に示すように、第2マップは、吸入空気量GAをX軸、触媒補正値HをY軸とした直交座標において、吸入空気量GAと触媒補正値Hとの関係を、様々な最大吸蔵量Cmaxについて表したものである。なお、
図4では、様々な最大吸蔵量Cmaxのうちの3つについてのみ、吸入空気量GAと触媒補正値Hとの関係を表している。
図4における3つの最大吸蔵量Cmaxは、「第1吸蔵量C1<第2吸蔵量C2<第3吸蔵量C3」という関係にある。
図4に示すように、吸入空気量GAと、触媒補正値Hと、最大吸蔵量Cmaxとは、次の関係を有している。同一の最大吸蔵量Cmaxでみると、吸入空気量GAが多いほど触媒補正値Hは大きくなっている。また、同一の吸入空気量GAでみると、最大吸蔵量Cmaxが少ないほど、つまり第1触媒32の劣化度合いが高いほど、触媒補正値Hは大きくなっている。CPU82は、この第2マップに基づいて触媒補正値Hを算出する。具体的には、CPU82は、第2マップに基づいて、エアフロメータ61が検出した現時点の吸入空気量GAと、吸蔵量算出処理V1で算出した最新の最大吸蔵量Cmaxとに対応する触媒補正値Hを算出する。第2マップの内容を反映し、CPU82は、次のように触媒補正値Hを算出する。最大吸蔵量Cmaxが同一であると仮定したとき、CPU82は、吸入空気量GAが多くなるほど触媒補正値Hを大きな値として算出する。また、吸入空気量GAが同一であると仮定したとき、CPU82は、最大吸蔵量Cmaxが少ないほど、つまり第1触媒32の劣化度合いが高いほど、触媒補正値Hを大きな値として算出する。上述のとおり、触媒補正値Hが大きいほど、目標空燃比AFtのリッチ側への補正量は多くなる。つまり、CPU82は、吸入空気量GAが多いほど、又は第1触媒32の劣化度合いが高いほど、目標空燃比AFtのリッチ側への補正量が多くなるように触媒補正値Hを算出する。CPU82は、このようにして、1度の特性処理U3につき1度、触媒補正値Hを算出する。
【0025】
ここで、第1触媒32の排気浄化機能が高くなる空燃比の範囲を触媒ウィンドウと呼称する。触媒ウィンドウは、吸入空気量GAが多くなるほどリッチ側にずれるという特性を持つ。触媒ウィンドウが吸入空気量GAに対して依存性を持つことから、第1触媒32の排気浄化能を維持するためには、吸入空気量GAの変化に合わせて、気筒12内の目標空燃比AFtを変化させる必要がある。いま、吸入空気量GAが急変したとする。そしてそれに伴い、触媒ウィンドウも急変したとする。吸入空気量GAが急変すると、フィードバック値FBが応答することで、いずれは目標空燃比AFtを触媒ウィンドウに収めることができる。しかし、フィードバック値FBが適切な値になるまでには相応に時間がかかる。触媒補正値Hは、吸入空気量GAの変化に対して速やかに目標空燃比AFtを変化させる上で有効に機能するパラメータである。
【0026】
<目標算出処理>
図2に示すように、CPU82は、所定の制御周期で目標算出処理U4を繰り返し実行する。CPU82は、目標算出処理U4では、サブフィードバック処理U1で算出した最新のフィードバック値FBと、学習処理U2で算出した最新の学習値Yと、特性処理U3で算出した最新の触媒補正値Hとに基づいて、気筒12内の目標空燃比AFtを算出する。具体的には、CPU82は、下記の(式1)に示すように、基準空燃比AFbを目標調整値によって除算した値を目標空燃比AFtとして算出する。基準空燃比AFbは、例えば理論空燃比である。目標調整値は、「1」と、フィードバック値FBと、学習値Yと、触媒補正値Hと和である。
(式1)AFt=AFb/(1+FB+Y+H)
CPU82は、1度の目標空燃比算出処理につき1度、目標空燃比AFtを算出する。
【0027】
<メインフィードバック処理>
CPU82は、所定の制御周期でメインフィードバック処理U5を繰り返し実行する。CPU82は、1度のメインフィードバック処理U5では以下のような処理を行う。すなわち、CPU82はメインフィードバック処理U5では、上流空燃比AFfが目標空燃比AFtに一致するようにインジェクタ22の燃料噴射量を制御する。具体的には、CPU82は、上流センサ62が検出した現時点の上流空燃比AFfと目標空燃比AFtとの差に応じて、前回のメインフィードバック処理U5で算出した燃料噴射量である前回噴射量に対して燃料噴射量を補正する。CPU82は、上流空燃比AFfが目標空燃比AFtよりもリーンである場合、燃料噴射量を前回噴射量に対して増量補正する。一方、CPU82は、上流空燃比AFfが目標空燃比AFtよりもリッチである場合、燃料噴射量を前回噴射量に対して減量補正する。CPU82は、新たな燃料噴射量を算出すると、この燃料噴射量分の燃料をインジェクタ22に噴射させる。
【0028】
<実施形態の作用>
内燃機関10の運転中、第1触媒32は、排気中の酸素を取り込んだり、排気中に酸素を放出したりする。第1触媒32が高い排気浄化能を発揮する上では、こうした酸素の吸脱量が平衡している必要がある。上記の触媒ウィンドウは、こうした平衡が得られる空燃比の範囲である。
【0029】
ここで、
図5に示すように、第1触媒32は、担体32aと、担体32aの表面に配置された貴金属32bと、を備えている。担体32aは、例えば酸化セリウムでできている。貴金属32bは、例えば白金である。貴金属32bは複数種存在する。第1触媒32は、排気中の酸素を取り込む際には、貴金属32bを介さずに直接的に担体32aに酸素を取り込む。一方、第1触媒32は、自身に吸蔵している酸素を放出する際には、貴金属32bとの反応を必要とする。これらのこととの関連で、第1触媒32では、酸素の取り込みが速やかに行われる一方で酸素の放出には時間がかかる。
【0030】
酸素の取り込みに対して酸素の放出に時間がかかる状況下にあって第1触媒32での酸素の吸脱量を平衡させるためには、酸素の放出に有利な状況を作る必要がある。そしてその要求は、吸入空気量GAが多いときほど、つまり、単位時間に要求される酸素の吸脱量が多いときほど顕著になる。したがって、常に第1触媒32での酸素の吸脱量を平衡させるためには、吸入空気量GAが多いほど、酸素の放出を促進すべく第1触媒32に流入する排気をリッチ寄りにする必要がある。そこで、第2マップでは、同一の最大吸蔵量Cmaxに関して、吸入空気量GAが多いほど触媒補正値Hを大きい値に設定している。
【0031】
さて、第1触媒32が劣化すると、貴金属32bが凝集する。それに伴い、貴金属32bの表面積が減る。貴金属32bの表面積が減ると、第1触媒32が酸素を放出するにあたって酸素が反応する対象となる貴金属32bの領域が減る。このこととの関連で、第1触媒32が劣化すると、酸素の放出速度が遅くなる。その一方で、第1触媒32が劣化しても酸素の取り込み速度は変わらない。これは、酸素の取り込み時には酸素が貴金属32bとの反応を必要としないからである。こうした理由から、第1触媒32で酸素の吸脱量を平衡させる上では、第1触媒32の劣化度合いが高くなった場合、第1触媒32からの酸素の放出により有利な状況を作り出す必要がある。そしてそのためには、第1触媒32の劣化度合いが高くなるほど、第1触媒32に流入する排気の空燃比をリッチ寄りにする必要がある。そこで、第2マップでは、同一の吸入空気量GAに関して、最大吸蔵量Cmaxが少ないほど、つまり第1触媒32の劣化度合いが高いほど、触媒補正値Hを大きな値に設定している。なお、第2マップに設定している各触媒補正値Hは、第1触媒32における酸素の吸脱量を平衡させる上で最適な値として例えば実験で予め定められている。
【0032】
<実施形態の効果>
(1)上記第2マップの内容を反映し、本実施形態のCPU82は、第1触媒32の劣化度が高い場合、触媒補正値Hを大きな値として算出する。これに伴い、目標空燃比AFtひいては第1触媒32に流入する排気の空燃比がリッチ側にずれる。このことで、第1触媒32の劣化度が高い場合に、第1触媒32からの酸素の放出を促進できるとともに第1触媒32に高い排気浄化能を発揮させることができる。こうした本実施形態の構成では、第1触媒32の劣化度合いにかかわらず常に第1触媒32に高い排気浄化能を発揮させることができる。
【0033】
(2)本実施形態では、学習値Yを導入することで、フィードバック値FBから学習値Yに恒常的な誤差成分を移し替える。ここで、仮にフィードバック値FBに一時的なずれのみならず恒常的な誤差成分も含めた場合、フィードバック値FBが適切な値に更新されるまでに長い時間を要する。この点、本実施形態のように、恒常的な誤差成分を学習値Yに移し替えると、フィードバック値FBが適切な値に更新されるまでに要す時間を短縮できる。
【0034】
(3)本実施形態では、第1触媒32の劣化度合いが高い場合、触媒補正値Hによって目標空燃比AFtを意図的にリッチ側にずらす。このような、目標空燃比AFtを意図的にリッチ側にずらしている状況下では、フィードバック値FBに、一時的な変動成分及び恒常的な誤差成分とは異なる、意図的なリッチ化に伴う変動成分が含まれ得る。こうした状況下で学習値Yの更新を行うと、学習値Yに、本来取り込みたい恒常的な誤差成分とは異なる成分を取り込むおそれがある。この場合、空燃比制御の精度が却って悪化し得る。すなわち、本来取り込みたい恒常的な誤差成分とは異なるリッチ化に伴う変動成分を学習値Yに取り込むと、その後に学習値Yが適切な値に戻るまでの期間は、リッチ化に伴う変動成分が学習値Yに残存する。この場合、この期間は、学習値Yを利用して目標空燃比AFtを算出するにあたり、リッチ化に伴う変動成分を目標空燃比AFtに反映させ続けることになる。この場合、例えば吸入空気量GAが低くなるなど、この期間の中で運転条件が変わると、当該運転条件によっては、本来であれば反映させる必要のない変動成分を目標空燃比AFtに反映させることになり得る。
【0035】
そこで、本実施形態では、第1触媒32の劣化度合いが高い場合、低い場合に比べて、学習値Yの更新を許可する判定値GAxを小さい値に設定する。換言すると、第1触媒32の劣化度合いが高い場合には、吸入空気量GAが少ない状況に限って、つまり、触媒補正値Hによる目標空燃比AFtのリッチ側へのずれが少ない状況に限って学習値Yの更新を許可する。こうした構成であれば、学習値Yに、本来取り込みたい恒常的な誤差成分とは異なる成分を取り込む可能性は低くなる。
【0036】
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0037】
・メインフィードバック処理U5の内容は、上記実施形態の例に限定されない。メインフィードバック処理U5は、上流空燃比AFfが目標空燃比AFtに一致するようにインジェクタ22の燃料噴射量を制御するものであればよい。
【0038】
・目標算出処理U4の内容は、上記実施形態の例に限定されない。目標空燃比AFtは、フィードバック値FBと学習値Yと触媒補正値Hとに基づいて算出されていればよい。後述の変更例のように、学習処理U2を廃止する場合、目標空燃比AFtは、フィードバック値FBと触媒補正値Hとに基づいて算出されていればよい。
【0039】
・サブフィードバック処理U1の内容は、上記実施形態の例に限定されない。サブフィードバック処理U1では、下流空燃比AFrと理論空燃比との差に基づいて、下流空燃比AFrを理論空燃比に一致させるためのフィードバック値FBを算出できればよい。例えば、PI制御によってフィードバック値FBを算出してもよい。
【0040】
・学習処理U2の本処理の内容は、上記実施形態の例に限定されない。空燃比制御に係る恒常的な誤差成分を反映した値を更新値と呼称する。本処理では、こうした更新値をフィードバック値FBから学習値Yに移し替えることができればよい。更新値は、例えば、ある一定期間のフィードバック値FBの平均値でもよい。本処理では、フィードバック値FBに応じて学習値Yを更新することによって、フィードバック値FBをゼロに近づけることができればよい。
【0041】
・学習処理U2の事前処理で利用する第1マップの内容は、上記実施形態の例に限定されない。第1マップでは、第1触媒32の劣化度合いが第1劣化度である場合、第1触媒32の劣化度合いが第1劣化度よりも低い第2劣化度である場合に比べて、判定値GAxが小さい値に設定されていればよい。例えば、第1マップでは、第1触媒32の劣化度合いが高いほど判定値GAxが小さい値に設定されていてもよい。
【0042】
・学習条件は、上記実施形態の例に限定れない。学習条件は、上記実施形態のものに代えて、又は加えて他の内容を含んでいてもよい。吸入空気量GAによって学習条件を定めることに代えて、機関負荷率によって学習条件を定めてよい。それとともに、第1マップを、機関負荷率と機関回転速度と第1触媒32の劣化度との関係を表したものにしてもよい。この場合でも、上記実施形態と同様、触媒補正値Hによる目標空燃比AFtのリッチ側へのずれが少ない状況に限って学習値Yの更新を行うことができるようにすればよい。機関負荷率は、内燃機関10の1サイクルにおいて1つの気筒12に流入する空気の量を基準空気量で除した値である。基準空気量は、機関回転速度に応じて可変設定される。機関回転速度は、クランクシャフトの回転速度である。
【0043】
・学習条件は、触媒補正値Hによる目標空燃比AFtのリッチ側へのずれが少ない状況を捉えるべく定めたものでなくてもよい。ここで、学習処理U2では、フィードバック値FBをゼロに近づけることができるように学習値Yの更新を行う。学習条件は、こうした学習処理U2を行うのに適した状況を捉えることができるように定めてあればよい。
【0044】
・学習条件及び学習処理U2を廃止してもよい。
・特性処理U3で利用する第2マップの内容は、上記実施形態の例に限定されない。第2マップは、例えば次のような内容でもよい。吸入空気量GAと触媒補正値Hとの関係を特性関係と呼称する。第2マップは、第1触媒32の最大吸蔵量Cmaxが所定の閾値以下の場合に適用する第1特性関係と、最大吸蔵量Cmaxが上記閾値よりも多い場合に適用する第2特性関係との2つのみを規定したものでもよい。この場合でも、これら2つの特性関係を同一の吸入空気量GAで比較したときに、第1特性関係の触媒補正値Hが、第2特性関係の触媒補正値Hよりも大きくなっていればよい。総じて、第2マップは、次の2つの事項を満たしたものであればよい。第1の事項は、同一の吸入空気量GAに関して、第1触媒32の劣化度合いが第1劣化度である場合、第1触媒32の劣化度合いが第1劣化度よりも低い第2劣化度の場合に比べて、触媒補正値Hが大きいことである。第2の事項は、同一の最大吸蔵量Cmaxに関して、吸入空気量GAが第1吸気量の場合、吸入空気量GAが第1吸気量よりも少ない第2吸気量の場合に比べて、触媒補正値Hが大きいことである。なお、第2マップは、第1マップと同様、吸入空気量GAに代えて、機関負荷率を利用して触媒補正値Hを定めたものでもよい。
【0045】
・上述したような第2マップの変更に伴って特性処理U3の内容は変わり得る。特性処理U3では、第2マップの内容を反映した触媒補正値Hを算出すればよい。
・第1マップ及び第2マップは、グラフ又は表に限らず、数式でもよい。
【0046】
・吸蔵量算出処理V1及びそれに係る特定制御Vの内容は、上記実施形態の例に限定されない。吸蔵量算出処理V1及び特定制御Vは、最大吸蔵量Cmaxを適切に算出できるものであればよい。また、吸蔵量算出処理V1及び特定制御Vの実行タイミング及び頻度は、上記実施形態の例に限らない。
【0047】
・第1触媒32の劣化度合いの指標として、最大吸蔵量Cmaxを利用することは必須ではない。第1触媒32の劣化度合いの指標として適切なパラメータであれば、当該指標として利用してよい。利用するパラメータに合わせて、第1触媒32の劣化度合いを算出する処理の内容を適宜変更してよい。
【0048】
・下流センサ63は、周知の濃淡電池式の酸素センサ、つまり下流空燃比AFrがリーンであるかリッチであるかのみを検出することができるセンサでもよい。
・インジェクタ22は、気筒12内に直接燃料を噴射するタイプのものでもよい。
【符号の説明】
【0049】
10…内燃機関 12…気筒 22…インジェクタ 30…排気通路 32…第1触媒 61…エアフロメータ 62…上流センサ 63…下流センサ 80…制御装置