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  • 特開-カーテンウォール取付方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012047
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】カーテンウォール取付方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/16 20060101AFI20250117BHJP
   E04B 2/88 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
E04G21/16
E04B2/88
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114579
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】乳井 厚子
(72)【発明者】
【氏名】池田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】清酒 芳夫
(72)【発明者】
【氏名】染川 大輔
(72)【発明者】
【氏名】梶谷 哲
(72)【発明者】
【氏名】吉川 俊
(72)【発明者】
【氏名】井上 洋二
【テーマコード(参考)】
2E002
2E174
【Fターム(参考)】
2E002NA04
2E002RB03
2E002SA01
2E002SA02
2E002TA00
2E002WA09
2E002WA19
2E002XA18
2E174BA01
2E174CA03
2E174CA09
2E174CA12
(57)【要約】
【課題】カーテンウォールの取付に関する作業性を向上させることができるカーテンウォール取付方法を提供する。
【解決手段】カーテンウォール取付方法は、カーテンウォールと吊下装置とを接続する工程と、カーテンウォールと上層階に設置された巻取装置とを接続する工程と、吊下装置によりカーテンウォールを上層階から吊り出す工程と、カーテンウォールを吊り下げた状態で、巻取装置により、建物の幅方向及び奥行方向に対するカーテンウォールの位置調整を行う工程と、カーテンウォールを取付階に取り付ける工程と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付階の上層階に仮置きされたカーテンウォールを前記取付階に取り付けるカーテンウォール取付方法において、
前記カーテンウォールと吊下装置とを接続する工程と、
前記カーテンウォールと前記上層階に設置された巻取装置とを接続する工程と、
前記吊下装置により前記カーテンウォールを前記上層階から吊り出す工程と、
前記カーテンウォールを吊り下げた状態で、前記巻取装置により、建物の幅方向及び奥行方向に対する前記カーテンウォールの位置調整を行う工程と、
前記カーテンウォールを前記取付階に取り付ける工程と、
を含む、カーテンウォール取付方法。
【請求項2】
請求項1に記載のカーテンウォール取付方法において、
前記カーテンウォールの外壁面を上面とした状態で前記カーテンウォールを前記上層階から吊り出す工程と、
前記カーテンウォールの外壁面が建物の外方に向かうように前記カーテンウォールを反転させる工程と、
を含む、カーテンウォール取付方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のカーテンウォール取付方法において、
前記巻取装置は、前記上層階の躯体に着脱可能である、
カーテンウォール取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンウォール取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に示すように、上層階に仮置きされているカーテンウォールを上層階から取付階に吊り下げることにより、取付階にカーテンウォールを取り付ける方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-280708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなカーテンウォール取付方法では、カーテンウォールが吊下装置により吊り下げられるが、建物の幅方向及び奥行方向に対するカーテンウォールの位置調整が作業者の手作業により行われている。このため、カーテンウォールの取付に関する作業性を向上させることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するカーテンウォール取付方法は、取付階の上層階に仮置きされたカーテンウォールを前記取付階に取り付けるカーテンウォール取付方法において、前記カーテンウォールと吊下装置とを接続する工程と、前記カーテンウォールと前記上層階に設置された巻取装置とを接続する工程と、前記吊下装置により前記カーテンウォールを前記上層階から吊り出す工程と、前記カーテンウォールを吊り下げた状態で、前記巻取装置により、建物の幅方向及び奥行方向に対する前記カーテンウォールの位置調整を行う工程と、前記カーテンウォールを前記取付階に取り付ける工程と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、カーテンウォールの取付に関する作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態のカーテンウォール取付方法を示す模式図である。
図2図2は、第1実施形態の巻取装置の取付位置を示す模式図である。
図3図3は、第1実施形態のカーテンウォール取付工程を示すフローチャートである。
図4図4(A)及び図4(B)は、第1実施形態のカーテンウォール取付方法を示す模式図である。
図5図5(A)及び図5(B)は、第1実施形態のカーテンウォール取付方法を示す模式図である。
図6図6(A)及び図6(B)は、第1実施形態のカーテンウォール取付方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
カーテンウォール取付方法の一実施形態を説明する。カーテンウォール取付方法は、カーテンウォールを取り付ける方法である。特に、カーテンウォール取付方法は、取付階の上層階に仮置きされたカーテンウォールを取付階に取り付ける方法である。以下、鉛直方向Zと交差し、かつ、建物の外壁に沿う方向を幅方向Xと示す。つまり、幅方向Xは、建物の幅方向の一例に相当する。幅方向Xのうち一方の方向を第1幅方向と示し、幅方向Xのうち他方の方向を第2幅方向と示す。鉛直方向Z及び幅方向Xと交差する方向を奥行方向Yと示す。奥行方向Yは、建物の内側に向かう方向と、建物の外側に向かう方向とを含む。
【0009】
<カーテンウォール取付構成>
図1に示すように、カーテンウォール10は、建物99に取り付けられることにより、建物99の外壁の一部を構成する部材である。建物99には、取付階90と、取付階90の1つ上層である第1上層階91と、第1上層階91の1つ上層である第2上層階92とが設けられる。第1上層階91が上層階の一例に相当する。以降、カーテンウォール10の取付対象となる階を取付階90として説明する。また、図1は、第1上層階91から吊り出されたカーテンウォール10が反転されている状態を示す図である。
【0010】
カーテンウォール10は、内壁面11と、外壁面12とを備える。内壁面11は、カーテンウォール10が建物99に取り付けられる際に、建物99の内側に向かう面である。外壁面12は、カーテンウォール10が建物99に取り付けられる際に、建物99の外側に向かう面である。カーテンウォール10は、外壁面12から突出する部材を備えてもよい。外壁面12から突出する部材は、例えばルーバーであってもよい。
【0011】
カーテンウォール10は、上枠13と、下枠14と、縦枠15と、を備える。上枠13は、カーテンウォール10が建物99に取り付けられる際に、カーテンウォール10の上端部に位置する部位である。下枠14は、カーテンウォール10が建物99に取り付けられる際に、カーテンウォール10の下端部に位置する部位である。縦枠15は、カーテンウォール10が建物99に取り付けられる際に、カーテンウォール10の両側端部に位置する部位である。上枠13、下枠14及び縦枠15は、例えばガラス板及び耐火板といった板部材を挟持するように構成される。
【0012】
カーテンウォール10は、ユニット工法により建物99の躯体に取り付けられるが、これに限らない。カーテンウォール10は、全面階高ユニットであるが、これに限らず、例えば、横連ユニットであってもよい。
【0013】
カーテンウォール10は、躯体への取付前において第1上層階91に仮置きされている。カーテンウォール10は、パレットを用いて縦積みされた状態で第1上層階91に仮置きされていてもよい。
【0014】
第1上層階91に仮置きされているカーテンウォール10は、後述する吊下装置20と接続される。カーテンウォール10は、後述する吊り天秤21を介して吊下装置20と接続されてもよい。カーテンウォール10は、外壁面12が上方を向くように平置きされた後に、吊下装置20と接続されてもよい。
【0015】
カーテンウォール10は、吊下装置20と接続された状態で、第1上層階91から吊り出される。カーテンウォール10は、外壁面12が上方を向くように平置きされた後に、第1上層階91から吊り出されてもよい。
【0016】
カーテンウォール10は、第1上層階91から吊り出された後、外壁面12が建物99の外側に向かうように反転される。カーテンウォール10は、吊下装置20により取付階90に吊り下げられる。これにより、カーテンウォール10の鉛直方向Zに対する位置調整が行われる。また、カーテンウォール10は、後述する巻取装置30により、幅方向X及び奥行方向Yに対するカーテンウォール10の位置調整が行われる。
【0017】
吊下装置20は、第2上層階92に設置される。吊下装置20は、カーテンウォール10と接続可能である。吊下装置20は、カーテンウォール10と接続可能なワイヤーを備える。吊下装置20は、吊り天秤21を介してカーテンウォール10と接続可能である。吊下装置20は、接続されたカーテンウォール10を吊り上げ可能である。吊下装置20は、接続されたカーテンウォール10を吊り下げ可能である。吊下装置20は、フロアクレーンであってもよい。
【0018】
巻取装置30は、第1上層階91に設置される。巻取装置30は、第1上層階91の躯体91Aに着脱可能であってもよい。巻取装置30は、ワイヤーを巻取可能な装置である。巻取装置30は、電動ウインチであってもよい。巻取装置30は、弾性部材による弾性力によりワイヤーを巻取可能な装置であってもよい。
【0019】
<巻取装置30>
図2に示すように、第1上層階91の躯体91Aには、一対の巻取装置30が装着される。詳しくは、一対の巻取装置30は、第1上層階91の躯体91Aを構成する床部に取り付けられる。一対の巻取装置30は、第1上層階91の躯体91Aを構成するベースプレートに装着されてもよい。一対の巻取装置30は、1つのカーテンウォール10の位置調整を行うための装置である。
【0020】
具体的に、一対の巻取装置30は、一対のファスナー94よりも幅方向Xにおける外側にそれぞれ装着される。一対の巻取装置30は、一対のファスナー94よりも幅方向Xにおける内側にそれぞれ装着されてもよい。
【0021】
一対のファスナー94は、取付階90に取り付ける1つのカーテンウォール10を締結するための部材である。一対のファスナー94は、第1上層階91の躯体91Aに取り付けられる。具体的に、一対のファスナー94は、第1上層階91の躯体91Aに取り付けられる1つのカーテンウォール10の上枠13に対応し、かつ、カーテンウォール10の両側端部の縦枠15に対応する位置に取り付けられる。つまり、一対の巻取装置30は、第1上層階91の躯体91Aに取り付けられる1つのカーテンウォール10の上枠13に対応し、かつ、カーテンウォール10の縦枠15に対応する位置に装着される。一対のファスナー94は、第1上層階91の躯体91Aに取り付けられる1つのカーテンウォール10の両側端部の縦枠15の上側に対応する位置に取り付けられてもよい。
【0022】
<カーテンウォール取付工程>
ここで、図3図6を参照してカーテンウォール取付工程について説明する。
図3に示すように、ステップS10において、巻取装置装着工程が行われる。巻取装置装着工程は、第1上層階91の躯体91Aに巻取装置30を装着する工程である。特に、巻取装置装着工程は、第1上層階91において、ファスナー94よりも幅方向Xにおける外側に巻取装置30を装着する工程である。
【0023】
図3及び図4(A)に示すように、ステップS11において、吊下装置接続工程が行われる。吊下装置接続工程は、第1上層階91におけるカーテンウォール10と、第2上層階92に設置されている吊下装置20とを接続する工程である。
【0024】
具体的に、吊下装置接続工程において、第1上層階91に仮置きされていたカーテンウォール10が平置きされる。この場合、カーテンウォール10は、外壁面12が上方に向かうように平置きされる。
【0025】
その後、カーテンウォール10の上枠13に、吊り天秤21が接続される。吊り天秤21と吊下装置20とは、接続されている。これにより、カーテンウォール10は、吊り天秤21を介して吊下装置20に接続される。また、吊り天秤21には、複数本のワイヤー31が接続されている。複数本のワイヤー31は、カーテンウォール10自体に接続されていてもよい。
【0026】
図3及び図4(B)に示すように、ステップS12において、吊出工程が行われる。吊出工程は、カーテンウォール10を第1上層階91から吊り出す工程である。吊出工程は、カーテンウォール10の外壁面12を上面とした状態でカーテンウォール10を第1上層階91から吊り出す工程である。
【0027】
具体的に、吊出工程において、第1上層階91では、複数人の作業者がカーテンウォール10を支持する。第2上層階92では、作業者による操作により、吊下装置20がカーテンウォール10を吊り上げる。この場合、複数本のワイヤー31は、第1上層階91において作業者により把持可能な状態である。
【0028】
図3及び図5(A)に示すように、ステップS13において、反転工程が行われる。反転工程は、第1上層階91から吊り出されたカーテンウォール10を反転させる工程である。特に、反転工程は、カーテンウォール10の外壁面12が建物99の外側に向かうようにカーテンウォール10を反転させる工程である。
【0029】
具体的に、第1上層階91では、作業者は、カーテンウォール10の外壁面12が建物99の内側に向かう姿勢から、カーテンウォール10の外壁面12が建物99の外側に向かう姿勢となるように、カーテンウォール10を反転させる。第1上層階91では、作業者は、複数本のワイヤー31を用いてカーテンウォール10を反転させてもよく、カーテンウォール10自体を触接することにより、カーテンウォール10を反転させてもよい。
【0030】
図3及び図5(B)に示すように、ステップS14において、巻取装置接続工程が行われる。巻取装置接続工程は、カーテンウォール10と巻取装置30とを接続する工程である。特に、巻取装置接続工程は、カーテンウォール10を吊り出した後に、カーテンウォール10と巻取装置30とを接続する工程である。
【0031】
図3及び図6(A)に示すように、ステップS15において、吊下工程が行われる。吊下工程は、吊下装置20がカーテンウォール10を吊り下げる工程である。吊下工程は、第2上層階92で吊下装置20の作業者による操作により、カーテンウォール10を少なくとも下方に移動させる工程である。これにより、鉛直方向Zにおけるカーテンウォール10の位置調整が行われる。吊下工程は、第2上層階92で吊下装置20の作業者による操作により、カーテンウォール10を幅方向X及び奥行方向Yに移動させてもよい。
【0032】
ステップS16において、巻取位置調整工程が行われる。巻取位置調整工程は、巻取装置30により、幅方向X及び奥行方向Yに対するカーテンウォール10の位置調整を行う工程である。巻取装置30は、弛んだ複数本のワイヤー31を巻き取る。巻取装置30は、規定トルクを超える場合に、ワイヤー31を巻き取らなくてもよい。つまり、巻取装置30は、所定の張力で張っているワイヤー31を巻き取らなくてもよい。
【0033】
吊下工程において、カーテンウォール10が下方に移動すると、吊り天秤21を介してカーテンウォール10と巻取装置30とを接続する複数本のワイヤー31が弛む。弛んだ複数本のワイヤー31は、巻取位置調整工程において、巻取装置30により巻き取られる。
【0034】
具体的に、複数本のワイヤー31は、カーテンウォール10の上枠13に対応し、かつ、カーテンウォール10の両側端部の縦枠15に対応する位置にそれぞれ接続されている。複数本のワイヤー31は、カーテンウォール10の上枠13に対応し、かつ、カーテンウォール10の両側端部の縦枠15に対応する位置に装着された巻取装置30に巻き取られる。これにより、カーテンウォール10は、カーテンウォール10の上枠13に対応し、かつ、カーテンウォール10の両側端部の縦枠15に対応する位置に誘導される。つまり、幅方向X及び奥行方向Yに対するカーテンウォール10の位置調整が行われる。
【0035】
このように、吊下工程と巻取位置調整工程とが行われることにより、カーテンウォール10は、幅方向X及び奥行方向Yに対する位置調整が行われた状態で取付位置に移動する。吊下工程と巻取位置調整工程とが同時に行われるが、これに限定されない。例えば、吊下工程と巻取位置調整工程とが同時に行われる期間と、吊下工程と巻取位置調整工程とが同時に行われない期間とがあってもよい。例えば、吊下工程が行われた後に、巻取位置調整工程が行われ、更に、吊下工程が行われてもよい。
【0036】
図3及び図6(B)に示すように、ステップS17において、取付工程が行われる。取付工程は、カーテンウォール10を取付階90に取り付ける工程である。取付階90において、カーテンウォール10の取付領域を基準として、第1幅方向に隣り合うようにカーテンウォール10が取り付けられている場合について具体的な一例をあげる。このような場合、取付階90において、作業者は、カーテンウォール10の第1幅方向の縦枠15を、取付階90の第1幅方向に取付済みであるカーテンウォール10の第2幅方向の縦枠15に挿入する。そして、吊下装置20の作業者による操作により、カーテンウォール10を下降させ、カーテンウォール10の下枠14を、1層下の階に取付済みであるカーテンウォール10の上枠13に挿入する。
【0037】
また、取付階90において、カーテンウォール10の取付領域を基準として、幅方向Xのうち第1幅方向と第2幅方向とに隣り合うようにカーテンウォール10が取り付けられている場合について具体的な一例をあげる。このような場合、取付階90において、作業者は、カーテンウォール10の第1幅方向の縦枠15を、取付階90の第1幅方向に取付済みであるカーテンウォール10の第2幅方向の縦枠15に挿入する。取付階90において、作業者は、カーテンウォール10の第2幅方向の縦枠15を、取付階90の第2幅方向に取付済みであるカーテンウォール10の第1幅方向の縦枠15に挿入する。そして、吊下装置20の作業者による操作により、カーテンウォール10を下降させ、カーテンウォール10の下枠14を、1層下の階に取付済みであるカーテンウォール10の上枠13に挿入する。
【0038】
第1上層階91において、作業者は、カーテンウォール10の上枠13を、ファスナー94を介して第1上層階91の躯体91Aに固定する。カーテンウォール10の取付後、第1上層階91の躯体91Aから巻取装置30が取り外される。
【0039】
<実施形態の作用及び効果>
実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)巻取装置30により、幅方向X及び奥行方向Yに対するカーテンウォール10の位置調整が行われる。このため、巻取装置30を用いることにより、幅方向X及び奥行方向Yに対するカーテンウォール10の位置調整が容易となる。これにより、作業者一人一人の作業量を削減することができるとともに、作業者の人数を減少させることもできる。したがって、カーテンウォール10の取付に関する作業性を向上させることができる。また、これに加えて、建物99の外壁際での作業者による作業を行う機会を低減させることができる。これにより、作業者の安全性を向上させることができる。
【0040】
(2)カーテンウォール10の外壁面12を上面とした状態でカーテンウォール10が第1上層階91から吊り出される。そして、カーテンウォール10の外壁面12が建物99の外方に向かうようにカーテンウォール10が反転される。このため、第1上層階91からカーテンウォール10を吊り出す際に、カーテンウォール10の外壁面12から突出する部材を損傷することを抑制することができる。
【0041】
(3)巻取装置30は、第1上層階91の躯体91Aに着脱可能である。このため、カーテンウォール10の取付に伴って、巻取装置30を着脱することにより、幅方向X及び奥行方向Yに対するカーテンウォール10の位置調整を実現することができる。したがって、カーテンウォール10の取付に関する作業性を向上させることができる。
【0042】
[変更例]
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0043】
・ワイヤー31は、巻取装置30に接続された後に、吊り天秤21又はカーテンウォール10に接続されてもよい。ワイヤー31は、巻取装置30に組み込まれてもよい。つまり、巻取装置30は、ワイヤー31を備える構成であってもよい。
【0044】
・カーテンウォール10が反転される前に、カーテンウォール10と巻取装置30とが接続されてもよい。カーテンウォール10が第1上層階91から吊り出される前に、カーテンウォール10と巻取装置30とが接続されてもよい。
【0045】
・巻取装置30は、ファスナー94を躯体91Aへ固定するための先付アンカーに装着されてもよい。巻取装置30は、ファスナー94自体に装着されてもよい。巻取装置30は、カーテンウォール10の幅方向Xにおける中央部に対応する位置に装着されてもよい。この場合、カーテンウォール10の中央部に対応する位置にワイヤーが接続されてもよい。
【0046】
・巻取装置30は、作業者により遠隔操作が可能であってもよい。作業者により巻取装置30の遠隔操作が行われることにより、巻取装置接続工程が実行されてもよい。
・吊下装置20は、第2上層階92に配置されなくてもよい。具体的な一例をあげると、吊下装置20は、第2上層階92よりも上層である第3上層階に配置されてもよい。吊下装置20は、第1上層階91に配置されてもよい。吊下装置20は、建物99とは別で配置されてもよい。
【0047】
・カーテンウォール10は、上枠13と下枠14との間に、両側端部の縦枠15と連結する無目を備えてもよい。カーテンウォール10は、上枠13と、下枠14と、縦枠15とのうち少なくとも何れかを枠形状ではない構成としてもよい。
【0048】
・本明細書において使用される「少なくとも何れか」という表現は、所望の選択肢の1つ以上を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも何れか」という表現は、選択肢の数が2つであれば1つの選択肢のみ又は2つの選択肢の双方を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも何れか」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば1つの選択肢のみ又は2つ以上の任意の選択肢の組み合わせを意味する。
【0049】
[付記]
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(A)取付階にカーテンウォールを取り付けるカーテンウォール取付方法において、前記取付階の上層である第1上層階に仮置きされた前記カーテンウォールと、前記第1上層階の上層である第2上層階に設置された吊下装置とを接続することと、前記カーテンウォールと、前記第1上層階に設置された巻取装置とを接続することと、前記カーテンウォールを前記第1上層階から吊り出すことと、前記吊下装置が前記カーテンウォールを吊り下げることと、前記巻取装置により、建物の幅方向及び奥行方向に対する前記カーテンウォールの位置調整を行うことと、前記カーテンウォールを前記取付階に取り付けることと、を含む、カーテンウォール取付方法。
【0050】
(B)上記カーテンウォール取付方法において、前記カーテンウォールを吊り出した後に前記カーテンウォールと前記巻取装置とを接続すること、を含む。
【符号の説明】
【0051】
10…カーテンウォール、11…内壁面、12…外壁面、13…上枠、14…下枠、15…縦枠、20…吊下装置、21…吊り天秤、30…巻取装置、31…ワイヤー、90…取付階、91…第1上層階、91A…躯体、92…第2上層階、94…ファスナー、99…建物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6