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特開2025-12051位相シフタアレイおよび光フェーズドアレイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012051
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】位相シフタアレイおよび光フェーズドアレイ
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/025 20060101AFI20250117BHJP
   G02F 1/295 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
G02F1/025
G02F1/295
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114587
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 達弥
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA17
2K102BA01
2K102BA07
2K102BB01
2K102BB04
2K102BB08
2K102BC04
2K102BD09
2K102CA20
2K102DB04
2K102DD03
2K102EA08
2K102EA17
2K102EA18
2K102EA25
2K102EB08
(57)【要約】
【課題】制御部の大型化を抑制する位相シフタアレイおよび光フェーズドアレイを提供する。
【解決手段】光フェーズドアレイの位相シフタアレイは、第1位相シフタ301と、第2位相シフタ302と、第3位相シフタ303と、を含むサブアレイ300を有し、第1位相シフタ301は、DAC20からの第1電圧V1が印加されることによって、光の位相を変化させ、第2位相シフタ302は、DAC20からの第2電圧V2が印加されることによって、光の位相を変化させ、第3位相シフタ303は、第1電圧V1が印加される第1シフタ部311と、第2電圧V2が印加される第2シフタ部312と、第1シフタ部311および第2シフタ部312の間を絶縁する絶縁層313と、を含み、第3位相シフタ303は、第1電圧V1が第1シフタ部311に印加されるとともに、第2電圧V2が第2シフタ部312に印加されることによって、光の位相を変化させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相シフタアレイであって、
第1位相シフタ(301)と、前記第1位相シフタと並んでいる第2位相シフタ(302)と、前記第1位相シフタおよび前記第2位相シフタの間にて前記第1位相シフタおよび前記第2位相シフタとともに並んでいる少なくとも1つの第3位相シフタ(303)と、を有する少なくとも1つのサブアレイ(300)を備え、
前記第1位相シフタは、前記サブアレイに電圧を印加する制御部(20)からの第1電圧(V1)が印加されることによって、前記第1位相シフタに入射する光の位相を変化させ、
前記第2位相シフタは、前記制御部からの第2電圧(V2)が印加されることによって、前記第2位相シフタに入射する光の位相を変化させ、
前記第3位相シフタは、
前記第1電圧が印加される第1シフタ部(311)と、
前記第2電圧が印加される第2シフタ部(312)と、
を含み、
前記第3位相シフタは、前記第1電圧が前記第1シフタ部に印加されるとともに、前記第2電圧が前記第2シフタ部に印加されることによって、前記第3位相シフタに入射する光の位相を変化させる位相シフタアレイ。
【請求項2】
前記第3位相シフタは、前記第1位相シフタおよび前記第2位相シフタの並列方向(Dp)に複数並んでおり、
前記第1位相シフタと隣り合う前記第3位相シフタから前記第2位相シフタと隣り合う前記第3位相シフタに向かって、順に、前記第1シフタ部の長さは、小さくなっており、
前記第1位相シフタと隣り合う前記第3位相シフタから前記第2位相シフタと隣り合う前記第3位相シフタに向かって、順に、前記第2シフタ部の長さは、大きくなっている請求項1に記載の位相シフタアレイ。
【請求項3】
前記第1位相シフタの長さと、前記第2位相シフタの長さと、互いに対応する前記第1シフタ部の長さおよび前記第2シフタ部の長さの和とは、等しくなっている請求項1に記載の位相シフタアレイ。
【請求項4】
前記第1位相シフタおよび前記第2位相シフタの並列方向(Dp)における前記第1位相シフタから前記第2位相シフタまでの長さをWsとし、
前記並列方向における前記第1位相シフタから前記第3位相シフタまでの距離をD(S)とし、
前記第1シフタ部の長さをLa(S)とし、
前記第2シフタ部の長さをLb(S)とすると、
前記第1シフタ部は、
【数1】
の関係式(1)が成り立つように形成されており、
前記第2シフタ部は、
【数2】
の関係式(2)が成り立つように形成されている請求項1に記載の位相シフタアレイ。
【請求項5】
前記第1位相シフタは、第1導波路(421)を有し、
前記第2位相シフタは、第2導波路(422)を有し、
前記第1シフタ部は、第3導波路(423)を含み、
前記第2シフタ部は、第4導波路(424)を含み、
前記第1位相シフタに入射する光は、前記第1導波路を伝搬し、
前記第2位相シフタに入射する光は、前記第2導波路を伝搬し、
前記第3位相シフタに入射する光は、前記第3導波路および前記第4導波路を伝搬し、
前記第1導波路、前記第2導波路、前記第3導波路および前記第4導波路は、PN接合を含み、
前記第3位相シフタは、電気絶縁性を有しており、前記第1シフタ部および前記第2シフタ部の間を絶縁する絶縁部(313)を含み、
前記絶縁部の不純物濃度は、前記第1導波路、前記第2導波路、前記第3導波路および前記第4導波路の不純物濃度よりも低くなっている請求項1に記載の位相シフタアレイ。
【請求項6】
前記位相シフタアレイは、半導体基板(400)をさらに備え、
前記第1位相シフタは、第1導波路(421)を有し、
前記第2位相シフタは、第2導波路(422)を有し、
前記第1シフタ部は、第3導波路(423)と、第1電極(435、436)と、第1配線(445、446)と、を含み、
前記第2シフタ部は、第4導波路(424)と、第2電極(437、438)と、第2配線(447、448)と、を含み、
前記第1位相シフタに入射する光は、前記第1導波路を伝搬し、
前記第2位相シフタに入射する光は、前記第2導波路を伝搬し、
前記第3位相シフタに入射する光は、前記第3導波路および前記第4導波路を伝搬し、
前記第1電極は、前記第3導波路と接続されているとともに、前記半導体基板の厚み方向に延びており、
前記第1配線は、前記第1電極および前記制御部と接続されており、
前記第2電極は、前記第4導波路と接続されているとともに、前記厚み方向に延びており、
前記第2配線は、前記第2電極および前記制御部と接続されており、
前記第1配線は、前記厚み方向と交差する方向に前記第1電極と接続されている第1配線層(661、663)を含み、
前記第2配線は、前記厚み方向と交差する方向に前記第2電極と接続されている第2配線層(665、668)を含み、
前記厚み方向における前記第3導波路から前記第1電極と前記第1配線層との境界部までの距離(T1)と、前記厚み方向における前記第4導波路から前記第2電極と前記第2配線層との境界部までの距離(T2)とは異なっている請求項1または2に記載の位相シフタアレイ。
【請求項7】
前記位相シフタアレイは、前記サブアレイを複数有する請求項1または2に記載の位相シフタアレイ。
【請求項8】
光フェーズドアレイであって、
入射光(Li)を複数の光に分岐させるスプリッタツリー(10)と、
電圧を印加する制御部(20)と、
前記制御部からの電圧が印加されることによって、前記スプリッタツリーからの光の位相を変化させる位相シフタアレイ(30)と、
前記位相シフタアレイによって変化した光の位相に応じた角度で光を射出するアンテナアレイ(70)と、
を備え、
前記位相シフタアレイは、
第1位相シフタ(301)と、前記第1位相シフタと並んでいる第2位相シフタ(302)と、前記第1位相シフタおよび前記第2位相シフタの間にて前記第1位相シフタおよび前記第2位相シフタとともに並んでいる少なくとも1つの第3位相シフタ(303)と、を含む少なくとも1つのサブアレイ(300)を有し、
前記第1位相シフタは、前記制御部からの第1電圧(V1)が印加されることによって、前記第1位相シフタに入射する光の位相を変化させ、
前記第2位相シフタは、前記制御部からの第2電圧(V2)が印加されることによって、前記第2位相シフタに入射する光の位相を変化させ、
前記第3位相シフタは、
前記第1電圧が印加される第1シフタ部(311)と、
前記第2電圧が印加される第2シフタ部(312)と、
を含み、
前記第3位相シフタは、前記第1電圧が前記第1シフタ部に印加されるとともに、前記第2電圧が前記第2シフタ部に印加されることによって、前記第3位相シフタに入射する光の位相を変化させる光フェーズドアレイ。
【請求項9】
前記制御部は、
前記第1位相シフタに入射する光および前記第1位相シフタから射出される光の位相差に基づいて、前記第1電圧を制御し、
前記第2位相シフタに入射する光および前記第2位相シフタから射出される光の位相差に基づいて、前記第2電圧を制御する請求項8に記載の光フェーズドアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、位相シフタアレイおよび光フェーズドアレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、入射する光の位相を変化させる複数の位相シフタをグルーピングしたサブアレイを備える光フェーズドアレイが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第10613410号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された光フェーズドアレイでは、1つのサブアレイにおけるそれぞれの位相シフタに、位相シフタに入射する光の位相を変化させるための電圧信号が制御部から出力される。このため、1つのサブアレイにおける位相シフタの数が増加すると、増加した分、制御部から電圧信号の数が多くなることから、制御部の配線等の数が多くなる。したがって、制御部が大型化する。
【0005】
本開示は、制御部の大型化を抑制する位相シフタアレイおよび光フェーズドアレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、位相シフタアレイであって、第1位相シフタ(301)と、第1位相シフタと並んでいる第2位相シフタ(302)と、第1位相シフタおよび第2位相シフタの間にて第1位相シフタおよび第2位相シフタとともに並んでいる少なくとも1つの第3位相シフタ(303)と、を有する少なくとも1つのサブアレイ(300)を備え、第1位相シフタは、サブアレイに電圧を印加する制御部(20)からの第1電圧(V1)が印加されることによって、第1位相シフタに入射する光の位相を変化させ、第2位相シフタは、制御部からの第2電圧(V2)が印加されることによって、第2位相シフタに入射する光の位相を変化させ、第3位相シフタは、第1電圧が印加される第1シフタ部(311)と、第2電圧が印加される第2シフタ部(312)と、を含み、第3位相シフタは、第1電圧が第1シフタ部に印加されるとともに、第2電圧が第2シフタ部に印加されることによって、第3位相シフタに入射する光の位相を変化させる位相シフタアレイである。
【0007】
また、請求項8に記載の発明は、光フェーズドアレイであって、入射光(Li)を複数の光に分岐させるスプリッタツリー(10)と、電圧を印加する制御部(20)と、制御部からの電圧が印加されることによって、スプリッタツリーからの光の位相を変化させる位相シフタアレイ(30)と、位相シフタアレイによって変化した光の位相に応じた角度で光を射出するアンテナアレイ(70)と、を備え、位相シフタアレイは、第1位相シフタ(301)と、第1位相シフタと並んでいる第2位相シフタ(302)と、第1位相シフタおよび第2位相シフタの間にて第1位相シフタおよび第2位相シフタとともに並んでいる少なくとも1つの第3位相シフタ(303)と、を含む少なくとも1つのサブアレイ(300)を有し、第1位相シフタは、制御部からの第1電圧(V1)が印加されることによって、第1位相シフタに入射する光の位相を変化させ、第2位相シフタは、制御部からの第2電圧(V2)が印加されることによって、第2位相シフタに入射する光の位相を変化させ、第3位相シフタは、第1電圧が印加される第1シフタ部(311)と、第2電圧が印加される第2シフタ部(312)と、を含み、第3位相シフタは、第1電圧が第1シフタ部に印加されるとともに、第2電圧が第2シフタ部に印加されることによって、第3位相シフタに入射する光の位相を変化させる光フェーズドアレイである。
【0008】
これにより、制御部からの1つのサブアレイに出力される電圧の数が、2つになる。このため、制御部からの電圧の数は、位相シフタの全数に対応するNの2倍を、1つのサブアレイの第3位相シフタの数に対応するSに2を加算した値で除算した値、すなわち、2×N/(S+2)となる。したがって、位相シフタの数が増加しても、第3位相シフタの数が増加することから、制御部からの電圧の数が増加することが抑制される。よって、制御部の配線等の数が増加することが抑制されることから、制御部の大型化が抑制される。
【0009】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の位相シフタアレイを備える光フェーズドアレイの構成図。
図2】位相シフタアレイのサブアレイの構成図。
図3】第3位相シフタの数が2つであるときのサブアレイの構成図。
図4】サブアレイの上面レイアウト図。
図5図4のV-V線断面図。
図6図4のVI-VI線断面図。
図7図4のVII-VII線断面図。
図8図4のVIII-VIII線断面図。
図9図4のIX-IX線断面図。
図10図4のX-X線断面図。
図11図4のXI-XI線断面図。
図12図4のXII-XII線断面図。
図13図4のXIII-XIII線断面図。
図14図4のXIV-XIV線断面図。
図15】位相シフタアレイにおける各位相差を説明するための図。
図16】射出角および放射角を説明するための図。
図17】第2実施形態の光フェーズドアレイにおける第1テーブルおよび第2テーブルの生成を説明するための構成図。
図18】第3実施形態の光フェーズドアレイの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0012】
(第1実施形態)
本実施形態の位相シフタアレイを備える光フェーズドアレイは、制御部の大型化を抑制するところ、例えば、Lidarに用いられる。なお、Lidarは、Light Detection and Ranging/Laser Imaging Detection and Rangingの略である。
【0013】
具体的には、図1に示すように、光フェーズドアレイ5は、スプリッタツリー10、DAC20、位相シフタアレイ30およびアンテナアレイ70を備える。
【0014】
スプリッタツリー10は、光を分岐させる複数のスプリッタ100を用いることにより、図示しない光源からの入射光LiをN個の光に分岐させる。例えば、光を2つに分岐させるスプリッタ100が直列に接続されている。これにより、スプリッタツリー10は、入射光LiをN個の光に分岐させる。なお、後述するように、Nは、3以上の自然数である。
【0015】
DAC20は、制御部に相当しており、後述の位相シフタアレイ30に電圧を印加する。なお、DACは、Digital-to-Analog Converterの略である。
【0016】
位相シフタアレイ30は、スプリッタツリー10からの光の位相を変化させる。具体的には、位相シフタアレイ30は、少なくとも1つのサブアレイ300と、後述する半導体基板400と、を有する。
【0017】
サブアレイ300は、ここでは、複数並べられている。また、サブアレイ300は、図2に示すように、1つの第1位相シフタ301、1つの第2位相シフタ302および少なくとも1つの第3位相シフタ303を含む。
【0018】
第1位相シフタ301は、スプリッタツリー10から位相シフタアレイ30を介して後述のアンテナアレイ70に向かう方向に延びている。さらに、第1位相シフタ301には、DAC20からの第1電圧V1が印加される。これにより、第1位相シフタ301は、スプリッタツリー10から第1位相シフタ301に入射する光の位相を変化させる。なお、第1位相シフタ301の詳細な構造については後述する。
【0019】
第2位相シフタ302は、スプリッタツリー10から位相シフタアレイ30を介して後述のアンテナアレイ70に向かう方向に延びているとともに、第1位相シフタ301と並んでいる。また、第2位相シフタ302には、DAC20からの第2電圧V2が印加される。これによって、第2位相シフタ302は、スプリッタツリー10から第2位相シフタ302に入射する光の位相を変化させる。なお、第2位相シフタ302の詳細な構造については後述する。
【0020】
第3位相シフタ303は、第1位相シフタ301および第2位相シフタ302の間にて、第1位相シフタ301および第2位相シフタ302とともに並んでいる。また、第3位相シフタ303は、第1シフタ部311、第2シフタ部312および絶縁層313を有する。
【0021】
第1シフタ部311および第2シフタ部312は、スプリッタツリー10から位相シフタアレイ30を介して後述のアンテナアレイ70に向かう方向に延びている。さらに、第1シフタ部311には、第1電圧V1が印加される。また、第2シフタ部312には、第2電圧V2が印加される。これらによって、第3位相シフタ303は、スプリッタツリー10から第3位相シフタ303に入射する光の位相を変化させる。したがって、第1位相シフタ301、第2位相シフタ302および第3位相シフタ303によって、スプリッタツリー10による分岐数が3つ以上となることから、Nは、3以上の自然数とされている。
【0022】
絶縁層313は、絶縁部に相当しており、電気絶縁性を有する。さらに、絶縁層313は、第1シフタ部311および第2シフタ部312の間を絶縁する。なお、第3位相シフタ303の詳細な構造については後述する。
【0023】
ここで、第1位相シフタ301および第2位相シフタ302が並ぶ方向を並列方向Dpとする。また、第3位相シフタ303の数をSとする。さらに、ここでは、Sは、2以上であり、第3位相シフタ303は、並列方向Dpに複数並んでいる。第1位相シフタ301の長さをLa(0)とする。第2位相シフタ302の長さをLb(0)とする。さらに、第1位相シフタ301と隣り合う第3位相シフタ303から第2位相シフタ302と隣り合う第3位相シフタ303に向かって、順に、第1シフタ部311の長さを、La(1)、La(2)、La(3)、・・・、La(S-1)、La(S)とする。また、第1位相シフタ301と隣り合う第3位相シフタ303から第2位相シフタ302と隣り合う第3位相シフタ303に向かって、順に、第2シフタ部312の長さを、Lb(1)、Lb(2)、Lb(3)、・・・、Lb(S-1)、Lb(S)とする。このとき、互いに対応する第1シフタ部311の長さおよび第2シフタ部312の長さの和は、La(S)+Lb(S)で表される。なお、ここでは、第1位相シフタ301、第2位相シフタ302、第1シフタ部311および第2シフタ部312の長さとは、スプリッタツリー10から位相シフタアレイ30を介して後述のアンテナアレイ70に向かう方向の長さである。
【0024】
さらに、並列方向Dpにおける第1位相シフタ301の中心から第2位相シフタ302の中心までの距離をWsとする。また、第1位相シフタ301と隣り合う第3位相シフタ303から第2位相シフタ302と隣り合う第3位相シフタ303に向かって、順に、並列方向Dpにおける第1位相シフタ301から第3位相シフタ303までの距離を、D(1)、・・・、D(S)とする。なお、並列方向Dpにおける第1位相シフタ301から第3位相シフタ303までの距離とは、例えば、並列方向Dpにおける第1位相シフタ301の中心から第3位相シフタ303の中心までの距離である。
【0025】
そして、La(0)、Lb(0)、および、La(S)+Lb(S)は、Lsと等しくなっている、すなわち、La(0)=Lb(0)=La(S)+Lb(S)=Lsとされている。なお、ここでは、「等しい」は、製造誤差範囲を含むものとする。
【0026】
また、La(1)、La(2)、La(3)、・・・、La(S-2)、La(S-1)、La(S)は、順に、小さくなっている、すなわち、La(1)>La(2)>La(3)>・・・>La(S-2)>La(S-1)>La(S)とされている。さらに、Lb(1)、Lb(2)、Lb(3)、・・・、Lb(S-2)、Lb(S-1)、Lb(S)は、順に、大きくなっている、すなわち、Lb(1)<Lb(2)<Lb(3)<・・・<Lb(S-2)<Lb(S-1)<Lb(S)とされている。
【0027】
また、La(S)は、下記関係式(1)に示すように、WsからD(s)を減算した値をWsで除算した値とされている。さらに、Lb(S)は、下記関係式(2)に示すように、D(s)をWsで除算した値とされている。
【0028】
【数1】
【0029】
また、ここで、図3に示すように、例えば、第3位相シフタ303の数に対応するSを2とする。さらに、並列方向Dpにおける第1位相シフタ301の中心から、第1位相シフタ301と隣り合う第3位相シフタ303の中心までの距離をd1とする。また、並列方向Dpにおける第1位相シフタ301と隣り合う第3位相シフタ303の中心から、第2位相シフタ302と隣り合う第3位相シフタ303の中心までの距離をd2とする。さらに、並列方向Dpにおける第2位相シフタ302と隣り合う第3位相シフタ303の中心から、第2位相シフタ302の中心までの距離をd3とする。
【0030】
この場合、D(1)は、d1である。また、D(2)は、d1+d2である。さらに、Wsは、d1+d2+d3である。したがって、La(1)、La(2)、Lb(1)、Lb(2)は、下記関係式(3)~(6)のように表される。
【0031】
【数2】
【0032】
図1に戻って、アンテナアレイ70は、N個のアンテナ700を有する。また、アンテナ700には、位相シフタアレイ30によって位相が変化した光が入射する。さらに、アンテナ700は、回折格子等を含む。これにより、アンテナアレイ70は、位相シフタアレイ30によって変化した光の位相に応じた角度で光を射出する。
【0033】
以上のように、第1実施形態の位相シフタアレイ30を備える光フェーズドアレイ5は、構成されている。次に、第1位相シフタ301、第2位相シフタ302および第3位相シフタ303の構造の詳細について、図4図14を参照して説明する。なお、これらの構造をわかりやすくするため、S=2であるとする。
【0034】
第1位相シフタ301、第2位相シフタ302および第3位相シフタ303は、例えば、SOI基板等の半導体基板400上に形成されている。なお、SOIは、Silicon on Insulatorの略である。
【0035】
また、第1位相シフタ301は、第1導波路421、第1電極431、第2電極432、第1配線441および第2配線442を有する。
【0036】
第1位相シフタ301に入射する光は、第1導波路421を伝搬する。さらに、第1導波路421は、半導体基板400の活性層から形成されており、例えば、PN接合を有するシリコン導波路である。また、第1導波路421は、半導体基板400のBOX410および第1層間絶縁膜411に覆われている。なお、BOXは、Buried OXideの略であって、埋め込み絶縁膜を意味する。
【0037】
具体的には、第1導波路421は、図5に示すように、第1リブ部451、第2リブ部452、第1接続部461、第2接続部462、第1コンタクト部471および第2コンタクト部472を含む。
【0038】
第1リブ部451は、N型とされている。また、第1リブ部451は、半導体基板400の面方向における一方向に延びている。例えば、図4中では、紙面左右方向が一方向となる。また、半導体基板400の厚み方向を単に厚み方向と記載する。さらに、ここで、一方向および厚み方向と直交する方向を幅方向とする。また、幅方向は、厚み方向と交差する方向に対応する。
【0039】
図5に戻って、第2リブ部452は、P型とされている。さらに、第2リブ部452は、一方向に延びている。また、第2リブ部452は、第1リブ部451と幅方向に接合されている。これにより、PN接合が構成されている。さらに、第2リブ部452の厚みは、第1リブ部451の厚みと等しくされている。
【0040】
第1接続部461は、不純物濃度が第1リブ部451よりも高くされたN型とされている。また、第1接続部461は、第1リブ部451のうち第2リブ部452とは反対側と幅方向に接続されている。さらに、第1接続部461の厚みは、第1リブ部451の厚みよりも小さくされている。
【0041】
第2接続部462は、不純物濃度が第2リブ部452よりも高くされたP型とされている。また、第2接続部462は、第2リブ部452のうち第1リブ部451とは反対側と幅方向に接続されている。さらに、第2接続部462の厚みは、第2リブ部452の厚みよりも小さくされている。
【0042】
第1コンタクト部471は、不純物濃度が第1接続部461よりも高くされたN++型とされている。また、第1コンタクト部471は、第1接続部461のうち第1リブ部451とは反対側と幅方向に接続されている。さらに、第1コンタクト部471の厚みは、例えば、第1接続部461の厚みと等しくされている。このため、第1コンタクト部471の厚みは、第1リブ部451の厚みよりも小さくされている。
【0043】
第2コンタクト部472は、不純物濃度が第2接続部462よりも高くされたP++型とされている。また、第2コンタクト部472は、第2接続部462のうち第2リブ部452とは反対側と幅方向に接続されている。さらに、第2コンタクト部472の厚みは、例えば、第2接続部462の厚みと等しくされている。このため、第2コンタクト部472の厚みは、第2リブ部452の厚みよりも小さくされている。
【0044】
第1電極431は、一方向に延びているとともに、厚み方向に延びている。また、第1電極431は、第1ビアホール501、第1ビア551、第1電極層601、第2ビアホール502、第2ビア552および第2電極層602を含む。
【0045】
第1ビアホール501は、第1コンタクト部471につながっている。さらに、第1ビアホール501は、第1層間絶縁膜411に覆われている。
【0046】
第1ビア551は、タングステン等の金属で形成されている。また、第1ビア551は、第1ビアホール501に埋め込まれていることにより、第1コンタクト部471と厚み方向に接続されている。さらに、第1ビア551は、第1層間絶縁膜411に覆われている。
【0047】
第1電極層601は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第1電極層601は、第1ビア551と厚み方向に接続されている。さらに、第1電極層601は、第2層間絶縁膜412に覆われている。なお、第2層間絶縁膜412は、第1層間絶縁膜411上に形成されている。
【0048】
第2ビアホール502は、第1電極層601につながっている。さらに、第2ビアホール502は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0049】
第2ビア552は、タングステン等の金属で形成されている。また、第2ビア552は、第2ビアホール502に埋め込まれていることにより、第1電極層601と厚み方向に接続されている。さらに、第2ビア552は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0050】
第2電極層602は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第2電極層602は、第2ビア552と厚み方向に接続されている。さらに、第2電極層602は、第3層間絶縁膜413に覆われている。なお、第3層間絶縁膜413は、第2層間絶縁膜412上に形成されている。
【0051】
第2電極432は、一方向に延びているとともに、厚み方向に延びている。また、第2電極432は、第3ビアホール503、第3ビア553、第3電極層603、第4ビアホール504、第4ビア554および第4電極層604を含む。
【0052】
第3ビアホール503は、第2コンタクト部472につながっている。さらに、第3ビアホール503は、第1層間絶縁膜411に覆われている。
【0053】
第3ビア553は、タングステン等の金属で形成されている。また、第3ビア553は、第3ビアホール503に埋め込まれていることにより、第2コンタクト部472と厚み方向に接続されている。さらに、第3ビア553は、第1層間絶縁膜411に覆われている。
【0054】
第3電極層603は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第3電極層603は、第3ビア553と厚み方向に接続されている。さらに、第3電極層603は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0055】
第4ビアホール504は、第3電極層603につながっている。さらに、第4ビアホール504は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0056】
第4ビア554は、タングステン等の金属で形成されている。また、第4ビア554は、第4ビアホール504に埋め込まれていることにより、第3電極層603と厚み方向に接続されている。さらに、第4ビア554は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0057】
第4電極層604は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第4電極層604は、第4ビア554と厚み方向に接続されている。さらに、第4電極層604は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0058】
第1配線441は、第1配線層651、第5ビアホール505、第5ビア555および第2配線層652を含む。
【0059】
第1配線層651は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第1配線層651は、第2電極層602の一部と幅方向に接続されているとともに、第2電極層602との境界部から幅方向に延びている。さらに、第1配線層651は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0060】
第5ビアホール505は、第1配線層651につながっている。さらに、第5ビアホール505は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0061】
第5ビア555は、タングステン等の金属で形成されている。また、第5ビア555は、第5ビアホール505に埋め込まれていることにより、第1配線層651と厚み方向に接続されている。さらに、第5ビア555は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0062】
第2配線層652は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第2配線層652は、第5ビア555と厚み方向に接続されている。さらに、第2配線層652は、第3層間絶縁膜413上に形成されていることにより、第3層間絶縁膜413の外部に露出している。また、第2配線層652は、DACと接続されている。
【0063】
第2配線442は、図14に示すように、第3配線層653、第6ビアホール506、第6ビア556および第4配線層654を含む。
【0064】
第3配線層653は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第3配線層653は、第4電極層604の一部と幅方向に接続されているとともに、第4電極層604との境界部から幅方向に延びている。さらに、第3配線層653は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0065】
第6ビアホール506は、第3配線層653につながっている。さらに、第6ビアホール506は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0066】
第6ビア556は、タングステン等の金属で形成されている。また、第6ビア556は、第6ビアホール506に埋め込まれていることにより、第3配線層653と厚み方向に接続されている。さらに、第6ビア556は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0067】
第4配線層654は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第4配線層654は、第6ビア556と厚み方向に接続されている。さらに、第4配線層654は、第3層間絶縁膜413上に形成されていることにより、第3層間絶縁膜413の外部に露出している。また、第4配線層654は、DAC20と接続されている。さらに、上記したように、第2配線層652は、DAC20と接続されている。したがって、第1位相シフタ301は、DAC20と電気的に接続されている。
【0068】
また、第2位相シフタ302は、図4等に示すように、第2導波路422、第3電極433、第4電極434、第3配線443および第4配線444を有する。なお、図4において、第3配線443および第4配線444は、第1配線441および第2配線442と区別しやすくするため、破線で示されている。
【0069】
第2位相シフタ302に入射する光は、第2導波路422を伝搬する。さらに、第2導波路422は、半導体基板400の活性層から形成されており、例えば、PN接合を有するシリコン導波路である。また、第2導波路422は、半導体基板400のBOX410および第1層間絶縁膜411に覆われている。
【0070】
具体的には、第2導波路422は、図5に示すように、第3リブ部453、第4リブ部454、第3接続部463、第4接続部464、第3コンタクト部473および第4コンタクト部474を含む。
【0071】
第3リブ部453は、N型とされている。また、第3リブ部453は、一方向に延びている。
【0072】
第4リブ部454は、P型とされている。さらに、第4リブ部454は、一方向に延びている。また、第4リブ部454は、第3リブ部453と幅方向に接合されている。これにより、PN接合が構成されている。さらに、第4リブ部454の厚みは、第3リブ部453の厚みと等しくされている。
【0073】
第3接続部463は、不純物濃度が第3リブ部453よりも高くされたN型とされている。また、第3接続部463は、第3リブ部453のうち第4リブ部454とは反対側と幅方向に接続されている。さらに、第3接続部463の厚みは、第3リブ部453の厚みよりも小さくされている。
【0074】
第4接続部464は、不純物濃度が第4リブ部454よりも高くされたP型とされている。また、第4接続部464は、第4リブ部454のうち第3リブ部453とは反対側と幅方向に接続されている。さらに、第4接続部464の厚みは、第4リブ部454の厚みよりも小さくされている。
【0075】
第3コンタクト部473は、不純物濃度が第3接続部463よりも高くされたN++型とされている。また、第3コンタクト部473は、第3接続部463のうち第3リブ部453とは反対側と幅方向に接続されている。さらに、第3コンタクト部473の厚みは、例えば、第3接続部463の厚みと等しくされている。このため、第3コンタクト部473の厚みは、第3リブ部453の厚みよりも小さくされている。
【0076】
第4コンタクト部474は、不純物濃度が第4接続部464よりも高くされたP++型とされている。また、第4コンタクト部474は、第4接続部464のうち第4リブ部454とは反対側と幅方向に接続されている。さらに、第4コンタクト部474の厚みは、例えば、第4接続部464の厚みと等しくされている。このため、第4コンタクト部474の厚みは、第4リブ部454の厚みよりも小さくされている。
【0077】
第3電極433は、一方向に延びているとともに、厚み方向に延びている。また、第3電極433は、第7ビアホール507、第7ビア557および第5電極層605を含む。
【0078】
第7ビアホール507は、第3コンタクト部473につながっている。さらに、第7ビアホール507は、第1層間絶縁膜411に覆われている。
【0079】
第7ビア557は、タングステン等の金属で形成されている。また、第7ビア557は、第7ビアホール507に埋め込まれていることにより、第3コンタクト部473と厚み方向に接続されている。さらに、第7ビア557は、第1層間絶縁膜411に覆われている。
【0080】
第5電極層605は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第5電極層605は、第7ビア557と厚み方向に接続されている。さらに、第5電極層605は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0081】
第4電極434は、一方向に延びているとともに、厚み方向に延びている。また、第4電極434は、第8ビアホール508、第8ビア558および第6電極層606を含む。
【0082】
第8ビアホール508は、第4コンタクト部474につながっている。さらに、第8ビアホール508は、第1層間絶縁膜411に覆われている。
【0083】
第8ビア558は、タングステン等の金属で形成されている。また、第8ビア558は、第8ビアホール508に埋め込まれていることにより、第4コンタクト部474と厚み方向に接続されている。さらに、第8ビア558は、第1層間絶縁膜411に覆われている。
【0084】
第6電極層606は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第6電極層606は、第8ビア558と厚み方向に接続されている。さらに、第6電極層606は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0085】
第3配線443は、第5配線層655、第9ビアホール509、第9ビア559、第6配線層656、第10ビアホール510、第10ビア560および第7配線層657を含む。
【0086】
第5配線層655は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第5配線層655は、第5電極層605の一部と幅方向に接続されているとともに、第5電極層605との境界部から幅方向に延びている。さらに、第5配線層655は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0087】
第9ビアホール509は、第5配線層655につながっている。さらに、第9ビアホール509は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0088】
第9ビア559は、タングステン等の金属で形成されている。また、第9ビア559は、第9ビアホール509に埋め込まれていることにより、第5配線層655と厚み方向に接続されている。さらに、第9ビア559は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0089】
第6配線層656は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第6配線層656は、第9ビア559と厚み方向に接続されている。さらに、第6配線層656は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0090】
第10ビアホール510は、第6配線層656につながっている。さらに、第10ビアホール510は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0091】
第10ビア560は、タングステン等の金属で形成されている。また、第10ビア560は、第10ビアホール510に埋め込まれていることにより、第6配線層656と厚み方向に接続されている。さらに、第10ビア560は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0092】
第7配線層657は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第7配線層657は、第10ビア560と厚み方向に接続されている。さらに、第7配線層657は、第3層間絶縁膜413上に形成されていることにより、第3層間絶縁膜413の外部に露出している。また、第7配線層657は、DAC20と接続されている。
【0093】
第4配線444は、図14に示すように、第8配線層658、第11ビアホール511、第11ビア561、第9配線層659、第12ビアホール512、第12ビア562および第10配線層660を含む。
【0094】
第8配線層658は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第8配線層658は、第6電極層606の一部と幅方向に接続されているとともに、第6電極層606との境界部から幅方向に延びている。さらに、第8配線層658は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0095】
第11ビアホール511は、第8配線層658につながっている。さらに、第11ビアホール511は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0096】
第11ビア561は、タングステン等の金属で形成されている。また、第11ビア561は、第11ビアホール511に埋め込まれていることにより、第8配線層658と厚み方向に接続されている。さらに、第11ビア561は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0097】
第9配線層659は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第9配線層659は、第11ビア561と厚み方向に接続されている。さらに、第9配線層659は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0098】
第12ビアホール512は、第9配線層659につながっている。さらに、第12ビアホール512は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0099】
第12ビア562は、タングステン等の金属で形成されている。また、第12ビア562は、第12ビアホール512に埋め込まれていることにより、第9配線層659と厚み方向に接続されている。さらに、第12ビア562は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0100】
第10配線層660は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第10配線層660は、第12ビア562と厚み方向に接続されている。さらに、第10配線層660は、第3層間絶縁膜413上に形成されていることにより、第3層間絶縁膜413の外部に露出している。また、第10配線層660は、DAC20と接続されている。さらに、上記したように、第7配線層657は、DAC20と接続されている。したがって、第2位相シフタ302は、DAC20と電気的に接続されている。
【0101】
また、第3位相シフタ303の第1シフタ部311は、図5および図7等に示すように、第3導波路423、第5電極435、第6電極436、第5配線445および第6配線446を有する。
【0102】
第3位相シフタ303に入射する光、ここでは、第2シフタ部312に入射し、第2シフタ部312を伝搬した光が、第3導波路423を伝搬する。さらに、第3導波路423は、半導体基板400の活性層から形成されており、例えば、PN接合を有するシリコン導波路である。また、第3導波路423は、半導体基板400のBOX410および第1層間絶縁膜411に覆われている。
【0103】
具体的には、第3導波路423は、第5リブ部455、第6リブ部456、第5接続部465、第6接続部466、第5コンタクト部475および第6コンタクト部476を含む。
【0104】
第5リブ部455は、N型とされている。また、第5リブ部455は、一方向に延びている。
【0105】
第6リブ部456は、P型とされている。さらに、第6リブ部456は、一方向に延びている。また、第6リブ部456は、第5リブ部455と幅方向に接合されている。これにより、PN接合が構成されている。さらに、第6リブ部456の厚みは、第5リブ部455の厚みと等しくされている。
【0106】
第5接続部465は、不純物濃度が第5リブ部455よりも高くされたN型とされている。また、第5接続部465は、第5リブ部455のうち第6リブ部456とは反対側と幅方向に接続されている。さらに、第5接続部465の厚みは、第5リブ部455の厚みよりも小さくされている。
【0107】
第6接続部466は、不純物濃度が第6リブ部456よりも高くされたP型とされている。また、第6接続部466は、第6リブ部456のうち第5リブ部455とは反対側と幅方向に接続されている。さらに、第6接続部466の厚みは、第6リブ部456の厚みよりも小さくされている。
【0108】
第5コンタクト部475は、不純物濃度が第5接続部465よりも高くされたN++型とされている。また、第5コンタクト部475は、第5接続部465のうち第5リブ部455とは反対側と幅方向に接続されている。さらに、第5コンタクト部475の厚みは、例えば、第5接続部465の厚みと等しくされている。このため、第5コンタクト部475の厚みは、第5リブ部455の厚みよりも小さくされている。
【0109】
第6コンタクト部476は、不純物濃度が第6接続部466よりも高くされたP++型とされている。また、第6コンタクト部476は、第6接続部466のうち第6リブ部456とは反対側と幅方向に接続されている。さらに、第6コンタクト部476の厚みは、例えば、第6接続部466の厚みと等しくされている。このため、第6コンタクト部476の厚みは、第6リブ部456の厚みよりも小さくされている。
【0110】
第5電極435は、一方向に延びているとともに、厚み方向に延びている。また、第5電極435は、第13ビアホール513、第13ビア563、第7電極層607、第14ビアホール514、第14ビア564および第8電極層608を含む。
【0111】
第13ビアホール513は、第5コンタクト部475につながっている。さらに、第13ビアホール513は、第1層間絶縁膜411に覆われている。
【0112】
第13ビア563は、タングステン等の金属で形成されている。また、第13ビア563は、第13ビアホール513に埋め込まれていることにより、第5コンタクト部475と厚み方向に接続されている。さらに、第13ビア563は、第1層間絶縁膜411に覆われている。
【0113】
第7電極層607は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第7電極層607は、第13ビア563と厚み方向に接続されている。さらに、第7電極層607は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0114】
第14ビアホール514は、第7電極層607につながっている。さらに、第14ビアホール514は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0115】
第14ビア564は、タングステン等の金属で形成されている。また、第14ビア564は、第14ビアホール514に埋め込まれていることにより、第7電極層607と厚み方向に接続されている。さらに、第14ビア564は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0116】
第8電極層608は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第8電極層608は、第14ビア564と厚み方向に接続されている。さらに、第8電極層608は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0117】
第6電極436は、一方向に延びているとともに、厚み方向に延びている。また、第6電極436は、第15ビアホール515、第15ビア565、第9電極層609、第16ビアホール516、第16ビア566および第10電極層610を含む。
【0118】
第15ビアホール515は、第6コンタクト部476につながっている。さらに、第15ビアホール515は、第1層間絶縁膜411に覆われている。
【0119】
第15ビア565は、タングステン等の金属で形成されている。また、第15ビア565は、第15ビアホール515に埋め込まれていることにより、第6コンタクト部476と厚み方向に接続されている。さらに、第15ビア565は、第1層間絶縁膜411に覆われている。
【0120】
第9電極層609は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第9電極層609は、第15ビア565と厚み方向に接続されている。さらに、第9電極層609は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0121】
第16ビアホール516は、第9電極層609につながっている。さらに、第16ビアホール516は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0122】
第16ビア566は、タングステン等の金属で形成されている。また、第16ビア566は、第16ビアホール516に埋め込まれていることにより、第9電極層609と厚み方向に接続されている。さらに、第16ビア566は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0123】
第10電極層610は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第10電極層610は、第16ビア566と厚み方向に接続されている。さらに、第10電極層610は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0124】
第5配線445は、第11配線層661、第17ビアホール517、第17ビア567および第12配線層662を含む。
【0125】
第11配線層661は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第11配線層661は、第8電極層608の一部と幅方向に接続されているとともに、第8電極層608との境界部から幅方向に延びている。さらに、第11配線層661は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0126】
第17ビアホール517は、第11配線層661につながっている。さらに、第17ビアホール517は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0127】
第17ビア567は、タングステン等の金属で形成されている。また、第17ビア567は、第17ビアホール517に埋め込まれていることにより、第11配線層661と厚み方向に接続されている。さらに、第17ビア567は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0128】
第12配線層662は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第12配線層662は、第17ビア567と厚み方向に接続されている。さらに、第12配線層662は、第3層間絶縁膜413上に形成されていることにより、第3層間絶縁膜413の外部に露出している。また、第12配線層662は、DAC20と接続されているとともに、第1位相シフタ301の第2配線層652と並列接続されている。
【0129】
第6配線446は、図7および10に示すように、第13配線層663、第18ビアホール518、第18ビア568および第14配線層664を含む。
【0130】
第13配線層663は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第13配線層663は、第10電極層610の一部と幅方向に接続されているとともに、第10電極層610との境界部から幅方向に延びている。さらに、第13配線層663は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0131】
第18ビアホール518は、第13配線層663につながっている。さらに、第18ビアホール518は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0132】
第18ビア568は、タングステン等の金属で形成されている。また、第18ビア568は、第18ビアホール518に埋め込まれていることにより、第13配線層663と厚み方向に接続されている。さらに、第18ビア568は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0133】
第14配線層664は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第14配線層664は、第18ビア568と厚み方向に接続されている。さらに、第14配線層664は、第3層間絶縁膜413上に形成されていることにより、第3層間絶縁膜413の外部に露出している。また、第14配線層664は、DAC20と接続されているとともに、第1位相シフタ301の第4配線層654と並列接続されている。したがって、第1シフタ部311には、第1電圧V1が印加される。
【0134】
また、第3位相シフタ303の第2シフタ部312は、図9等に示すように、第4導波路424、第7電極437、第8電極438、第7配線447および第8配線448を有する。
【0135】
第3位相シフタ303に入射する光は、第4導波路424を伝搬する。さらに、第4導波路424は、半導体基板400の活性層から形成されており、例えば、PN接合を有するシリコン導波路である。また、第4導波路424は、半導体基板400のBOX410および第1層間絶縁膜411に覆われている。
【0136】
具体的には、第4導波路424は、第7リブ部457、第8リブ部458、第7接続部467、第8接続部468、第7コンタクト部477および第8コンタクト部478を含む。
【0137】
第7リブ部457は、N型とされている。また、第7リブ部457は、一方向に延びている。
【0138】
第8リブ部458は、P型とされている。さらに、第8リブ部458は、一方向に延びている。また、第8リブ部458は、第7リブ部457と幅方向に接合されている。これにより、PN接合が構成されている。さらに、第8リブ部458の厚みは、第7リブ部457の厚みと等しくされている。
【0139】
第7接続部467は、不純物濃度が第7リブ部457よりも高くされたN型とされている。また、第7接続部467は、第7リブ部457のうち第8リブ部458とは反対側と幅方向に接続されている。さらに、第7接続部467の厚みは、第7リブ部457の厚みよりも小さくされている。
【0140】
第8接続部468は、不純物濃度が第8リブ部458よりも高くされたP型とされている。また、第8接続部468は、第8リブ部458のうち第7リブ部457とは反対側と幅方向に接続されている。さらに、第8接続部468の厚みは、第8リブ部458の厚みよりも小さくされている。
【0141】
第7コンタクト部477は、不純物濃度が第7接続部467よりも高くされたN++型とされている。また、第7コンタクト部477は、第7接続部467のうち第7リブ部457とは反対側と幅方向に接続されている。さらに、第7コンタクト部477の厚みは、例えば、第7接続部467の厚みと等しくされている。このため、第7コンタクト部477の厚みは、第7リブ部457の厚みよりも小さくされている。
【0142】
第8コンタクト部478は、不純物濃度が第8接続部468よりも高くされたP++型とされている。また、第8コンタクト部478は、第8接続部468のうち第8リブ部458とは反対側と幅方向に接続されている。さらに、第8コンタクト部478の厚みは、例えば、第8接続部468の厚みと等しくされている。このため、第8コンタクト部478の厚みは、第8リブ部458の厚みよりも小さくされている。
【0143】
第7電極437は、一方向に延びているとともに、厚み方向に延びている。また、第7電極437は、第19ビアホール519、第19ビア569および第11電極層611を含む。
【0144】
第19ビアホール519は、第7コンタクト部477につながっている。さらに、第19ビアホール519は、第1層間絶縁膜411に覆われている。
【0145】
第19ビア569は、タングステン等の金属で形成されている。また、第19ビア569は、第19ビアホール519に埋め込まれていることにより、第7コンタクト部477と厚み方向に接続されている。さらに、第19ビア569は、第1層間絶縁膜411に覆われている。
【0146】
第11電極層611は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第11電極層611は、第19ビア569と厚み方向に接続されている。さらに、第11電極層611は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0147】
第8電極438は、一方向に延びているとともに、厚み方向に延びている。また、第8電極438は、第20ビアホール520、第20ビア570および第12電極層612を含む。
【0148】
第20ビアホール520は、第8コンタクト部478につながっている。さらに、第20ビアホール520は、第1層間絶縁膜411に覆われている。
【0149】
第20ビア570は、タングステン等の金属で形成されている。また、第20ビア570は、第20ビアホール520に埋め込まれていることにより、第8コンタクト部478と厚み方向に接続されている。さらに、第20ビア570は、第1層間絶縁膜411に覆われている。
【0150】
第12電極層612は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第12電極層612は、第20ビア570と厚み方向に接続されている。さらに、第12電極層612は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0151】
第7配線447は、図9および図12に示すように、第15配線層665、第21ビアホール521、第21ビア571、第16配線層666、第22ビアホール522、第22ビア572および第17配線層667を含む。
【0152】
第15配線層665は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第15配線層665は、第11電極層611の一部と幅方向に接続されているとともに、第11電極層611との境界部から幅方向に延びている。さらに、第15配線層665は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0153】
第21ビアホール521は、第15配線層665につながっている。さらに、第21ビアホール521は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0154】
第21ビア571は、タングステン等の金属で形成されている。また、第21ビア571は、第21ビアホール521に埋め込まれていることにより、第15配線層665と厚み方向に接続されている。さらに、第21ビア571は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0155】
第16配線層666は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第16配線層666は、第21ビア571と厚み方向に接続されている。さらに、第16配線層666は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0156】
第22ビアホール522は、第16配線層666につながっている。さらに、第22ビアホール522は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0157】
第22ビア572は、タングステン等の金属で形成されている。また、第22ビア572は、第22ビアホール522に埋め込まれていることにより、第16配線層666と厚み方向に接続されている。さらに、第22ビア572は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0158】
第17配線層667は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第17配線層667は、第22ビア572と厚み方向に接続されている。さらに、第17配線層667は、第3層間絶縁膜413上に形成されていることにより、第3層間絶縁膜413の外部に露出している。また、第17配線層667は、DAC20と接続されているとともに、第2位相シフタ302の第7配線層657と並列接続されている。
【0159】
第8配線448は、図14に示すように、第18配線層668、第23ビアホール523、第23ビア573、第19配線層669、第24ビアホール524、第24ビア574および第20配線層670を含む。
【0160】
第18配線層668は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第18配線層668は、第12電極層612の一部と幅方向に接続されているとともに、第12電極層612との境界部から幅方向に延びている。さらに、第18配線層668は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0161】
第23ビアホール523は、第18配線層668につながっている。さらに、第23ビアホール523は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0162】
第23ビア573は、タングステン等の金属で形成されている。また、第23ビア573は、第23ビアホール523に埋め込まれていることにより、第18配線層668と厚み方向に接続されている。さらに、第23ビア573は、第2層間絶縁膜412に覆われている。
【0163】
第19配線層669は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第19配線層669は、第23ビア573と厚み方向に接続されている。さらに、第19配線層669は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0164】
第24ビアホール524は、第19配線層669につながっている。さらに、第24ビアホール524は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0165】
第24ビア574は、タングステン等の金属で形成されている。また、第24ビア574は、第24ビアホール524に埋め込まれていることにより、第19配線層669と厚み方向に接続されている。さらに、第24ビア574は、第3層間絶縁膜413に覆われている。
【0166】
第20配線層670は、アルミニウム等の金属で形成されている。また、第20配線層670は、第24ビア574と厚み方向に接続されている。さらに、第20配線層670は、第3層間絶縁膜413上に形成されていることにより、第3層間絶縁膜413の外部に露出している。また、第20配線層670は、DAC20と接続されているとともに、第2位相シフタ302の第10配線層660と並列接続されている。したがって、第2シフタ部312には、第2電圧V2が印加される。
【0167】
また、第3位相シフタ303の絶縁層313は、図8および図11に示すように、半導体基板400の活性層に不純物がドープされないことにより形成されている。このため、絶縁層313の不純物濃度は、第1導波路421、第2導波路422、第3導波路423および第4導波路424の不純物濃度よりも低くなっている。さらに、絶縁層313は、BOX410および第1層間絶縁膜411に覆われている。
【0168】
また、ここで、図5に示すように、厚み方向における第3導波路423から第7電極層607と第11配線層661との境界部までの最小距離を第1距離T1とする。図9に示すように、厚み方向における第4導波路424から第11電極層611と第15配線層665との境界部までの最小距離を第2距離T2とする。
【0169】
そして、第1距離T1と、第2距離T2とは、異なっている、すなわち、T1≠T2とされている。ここでは、第1距離T1は、第2距離T2よりも大きくなっている、すなわち、T1>T2とされている。なお、第1距離T1は、第2距離T2よりも小さくなっていてもよい、すなわち、T1<T2とされてもよい。
【0170】
また、ここでは、図5に示すように、第1距離T1は、厚み方向における第1導波路421から第2電極層602と第1配線層651との境界部までの最小距離と等しくなっている。さらに、図14に示すように、第1距離T1は、厚み方向における第1導波路421から第4電極層604と第3配線層653との境界部までの最小距離と等しくなっている。また、図7および図10に示すように第1距離T1は、厚み方向における第3導波路423から第10電極層610と第13配線層663との境界部までの最小距離と等しくなっている。
【0171】
さらに、ここでは、図5に示すように、第2距離T2は、厚み方向における第2導波路422から第5電極層605と第5配線層655との境界部までの最小距離と等しくなっている。また、図14に示すように、第2距離T2は、厚み方向における第2導波路422から第6電極層606と第8配線層658との境界部までの最小距離と等しくなっている。さらに、第2距離T2は、厚み方向における第4導波路424から第12電極層612と第18配線層668との境界部までの最小距離と等しくなっている。したがって、厚み方向における第4導波路424から第12電極層612と第18配線層668との境界部までの最小距離は、厚み方向における第3導波路423から第10電極層610と第13配線層663との境界部までの最小距離と異なっている。
【0172】
以上のように、第1位相シフタ301、第2位相シフタ302および第3位相シフタ303は、構成されている。次に、第1位相シフタ301、第2位相シフタ302および第3位相シフタ303の製造方法について説明する。
【0173】
SOI等の半導体基板400が準備される。続いて、エッチングにより、半導体基板400の活性層が、絶縁層313、第1導波路421、第2導波路422、第3導波路423および第4導波路424に対応する形状に形成される。続いて、第1導波路421、第2導波路422、第3導波路423および第4導波路424に対応する形状の活性層にイオン注入等することにより、第1導波路421、第2導波路422、第3導波路423および第4導波路424が形成される。このとき、絶縁層313に対応する形状の活性層にイオン注入しないことにより、不純物がドープされないことで、絶縁層313が形成される。
【0174】
続いて、CVD等により、第1層間絶縁膜411が形成される。これにより、絶縁層313、第1導波路421、第2導波路422、第3導波路423および第4導波路424が、第1層間絶縁膜411に覆われる。なお、CVDは、Chemical Vapor Depositionの略である。
【0175】
続いて、エッチングにより、第1層間絶縁膜411内に、第1ビアホール501、第3ビアホール503、第7ビアホール507および第8ビアホール508が形成される。また、第1層間絶縁膜411内に、第13ビアホール513、第15ビアホール515、第19ビアホール519および第20ビアホール520が形成される。
【0176】
その後、CVD等により、第1ビア551、第3ビア553、第7ビア557、第8ビア558、第13ビア563、第15ビア565、第19ビア569および第20ビア570が形成される。
【0177】
また、CVDおよびエッチング等により、第1電極層601、第3電極層603、第5電極層605、第6電極層606、第7電極層607、第9電極層609、第11電極層611および第12電極層612が、第1層間絶縁膜411上に形成される。さらに、このとき、図5図9図12および図14に示すように、第5配線層655、第8配線層658、第15配線層665および第18配線層668が形成される。
【0178】
続いて、CVD等により、第2層間絶縁膜412が形成される。これにより、第1電極層601、第3電極層603、第5電極層605、第6電極層606、第7電極層607、第9電極層609、第11電極層611および第12電極層612が、第2層間絶縁膜412に覆われる。また、第5配線層655、第8配線層658、第15配線層665、第18配線層668が、第2層間絶縁膜412に覆われる。
【0179】
続いて、エッチングにより、第2層間絶縁膜412内に、第2ビアホール502、第4ビアホール504、第9ビアホール509、第11ビアホール511、第14ビアホール514、第16ビアホール516、第23ビアホール523が形成される。
【0180】
その後、CVD等により、第2ビア552、第4ビア554、第9ビア559、第11ビア561、第14ビア564、第16ビア566、第23ビア573が形成される。
【0181】
また、CVDおよびエッチング等により、第2電極層602、第4電極層604、第8電極層608および第10電極層610が、第2層間絶縁膜412上に形成される。さらに、このとき、図5図7図9図10図12図14に示すように、第1配線層651、第3配線層653、第6配線層656、第9配線層659、第11配線層661、第13配線層663、第16配線層666および第19配線層669が形成される。
【0182】
続いて、CVD等により、第3層間絶縁膜413が形成される。これにより、第2電極層602、第4電極層604、第8電極層608および第10電極層610が、第3層間絶縁膜413に覆われる。また、第1配線層651、第3配線層653、第6配線層656、第9配線層659、第11配線層661、第13配線層663、第16配線層666および第19配線層669が、第3層間絶縁膜413に覆われる。
【0183】
続いて、エッチングにより、第3層間絶縁膜413内に、第5ビアホール505、第6ビアホール506、第10ビアホール510、第12ビアホール512が形成される。また、第17ビアホール517、第18ビアホール518、第22ビアホール522、第24ビアホール524が形成される。
【0184】
その後、CVD等により、第5ビア555、第6ビア556、第10ビア560、第12ビア562、第17ビア567、第18ビア568、第22ビア572および第24ビア574が形成される。
【0185】
また、CVDおよびエッチング等により、第2配線層652、第4配線層654、第7配線層657、第10配線層660、第12配線層662、第14配線層664、第17配線層667および第20配線層670が、第3層間絶縁膜413上に形成される。したがって、第1位相シフタ301、第2位相シフタ302および第3位相シフタ303が完成する。
【0186】
以上のように、第1位相シフタ301、第2位相シフタ302および第3位相シフタ303は、製造される。また、本実施形態の位相シフタアレイ30を備える光フェーズドアレイ5は、Lidarに用いられるところ、次に、Lidarに用いられるときの光フェーズドアレイ5の作動について、図15を参照して説明する。
【0187】
スプリッタツリー10は、図示しない光源からの入射光LiをN個の光に分岐させる。分岐したそれぞれの光は、サブアレイ300の第1位相シフタ301、第2位相シフタ302および第3位相シフタ303のそれぞれに入射する。このとき、図15に示すように、第1位相シフタ301、第2位相シフタ302および第3位相シフタ303に入射する光の位相がΦ0となるように、第1位相シフタ301、第2位相シフタ302および第3位相シフタ303の配置等が調整されている。
【0188】
ここで、並列方向Dpにおける位相シフタアレイ30の一端側の第1位相シフタ301を、1番目の位相シフタとする。また、並列方向Dpにおける位相シフタアレイ30の他端側の第2位相シフタ302を、N番目の位相シフタとする。並列方向Dpにおける一端側の第1位相シフタ301から他端側の第2位相シフタ302に向かって数えて、i番目の第1位相シフタ301、第2位相シフタ302または第3位相シフタ303を、i番目の位相シフタとする。
【0189】
そして、1番目の位相シフタである第1位相シフタ301には、第1電圧V1がDAC20から印加される。例えば、ここでは、第1電圧V1は、逆バイアスとされている。このとき、第1導波路421のPN接合に空乏層が形成されるため、第1導波路421のキャリア濃度が低下する。これにより、第1導波路421の屈折率が増加する。このため、1番目の位相シフタを伝搬する光の光路長が大きくなる。したがって、光路差が大きくなることから、1番目の位相シフタに入射する光と1番目の位相シフタから射出される光との位相差は、大きくなる。さらに、1番目の位相シフタに入射する光と、1番目の位相シフタから射出される光との位相差がΔΦとなるように、第1電圧V1等が調整されている。よって、1番目の位相シフタから射出される光の位相は、Φ0+ΔΦとされている。
【0190】
また、N番目の位相シフタである第2位相シフタ302には、第2電圧V2がDAC20から印加される。例えば、ここでは、第2電圧V2は、第1電圧V1と同様に、逆バイアスとされている。このとき、第2導波路422のPN接合に空乏層が形成されるため、第2導波路422のキャリア濃度が低下する。これにより、第2導波路422の屈折率が増加する。このため、N番目の位相シフタを伝搬する光の光路長が大きくなる。したがって、光路差が大きくなることから、N番目の位相シフタに入射する光と、N番目の位相シフタから射出される光との位相差が大きくなる。さらに、N番目の位相シフタに入射する光と、N番目の位相シフタから射出される光との位相差がN×ΔΦとなるように、第2電圧V2等が調整されている。よって、N番目の位相シフタから射出される光の位相は、Φ0+N×ΔΦとされている。
【0191】
また、i番目の位相シフタが第1位相シフタ301であれば、i番目の位相シフタに第1電圧V1がDAC20から印加される。このとき、1番目の位相シフタの場合と同様に、i番目の位相シフタに入射する光と、i番目の位相シフタから射出される光との位相差が大きくなる。さらに、i番目の位相シフタに入射する光と、i番目の位相シフタから射出される光との位相差がi×ΔΦとなるように、第1電圧V1等が調整されている。よって、i番目の位相シフタが第1位相シフタ301であれば、i番目の位相シフタから射出される光の位相は、Φ0+i×ΔΦとされている。
【0192】
また、i番目の位相シフタが第2位相シフタ302であれば、i番目の位相シフタに第2電圧V2がDAC20から印加される。このとき、N番目の位相シフタの場合と同様に、i番目の位相シフタに入射する光と、i番目の位相シフタから射出される光との位相差が大きくなる。さらに、i番目の位相シフタに入射する光と、i番目の位相シフタから射出される光との位相差がi×ΔΦとなるように、第2電圧V2等が調整されている。よって、i番目の位相シフタが第2位相シフタ302であれば、i番目の位相シフタから射出される光の位相は、Φ0+i×ΔΦとされている。
【0193】
また、i番目の位相シフタが第3位相シフタ303であれば、i番目の位相シフタの第1シフタ部311に第1電圧V1が印加される。このとき、第3導波路423のPN接合に空乏層が形成されるため、第3導波路423のキャリア濃度が低下する。これにより、第3導波路423の屈折率が増加する。このため、i番目の位相シフタを伝搬する光の光路長が大きくなる。また、i番目の位相シフタの第2シフタ部312に第2電圧V2が印加される。このとき、第4導波路424のPN接合に空乏層が形成されるため、第4導波路424のキャリア濃度が低下する。これにより、第4導波路424の屈折率が増加する。このため、i番目の位相シフタを伝搬する光の光路長が大きくなる。したがって、光路差が大きくなることから、i番目の位相シフタに入射する光とi番目の位相シフタから射出される光との位相差が大きくなる。さらに、i番目の位相シフタに入射する光と、i番目の位相シフタから射出される光との位相差がi×ΔΦとなるように、第1電圧V1、第2電圧V2、第1シフタ部311の長さおよび第2シフタ部312の長さ等が調整されている。よって、i番目の位相シフタが第3位相シフタ303であれば、i番目の位相シフタから射出される光の位相は、Φ0+i×ΔΦとされている。
【0194】
そして、1~N番目の位相シフタから射出される光は、対応するアンテナ700に入射する。また、アンテナアレイ70は、位相シフタアレイ30によって変化した光の位相、すなわち、1~N番目の位相シフタによって変化した光の位相に応じた角度で光を射出する。具体的には、アンテナアレイ70は、Φ0、・・・、Φ0+i×ΔΦ、・・・、Φ0+N×ΔΦに応じた角度で光を射出する。
【0195】
また、ここで、第1位相シフタ301、第2位相シフタ302および第3位相シフタ303が並列方向Dpに等間隔に並んでおり、並列方向Dpにおける互いに隣り合う位相シフタ同士の距離をdとする。さらに、位相シフタが延びている方向と直交する方向であって、1番目の位相シフタからN番目の位相シフタに向かう方向を、X軸の正方向とする。また、X軸と直交する方向であって、位相シフタアレイ30からアンテナアレイ70に向かう方向をZ軸の正方向とする。さらに、X軸およびZ軸と直交する方向をY軸の正方向とする。なお、X軸、Y軸、Z軸は、右手系で表されている。
【0196】
このとき、図16に示すようなアンテナアレイ70から射出される光の角度である射出角ψは、下記関係式(7)のように表される。なお、ここでは、射出角ψは、Z軸周りの角度である。また、下記関係式(7)において、λは、アンテナアレイ70から射出される光の波長であって、図示しない光源からの光の波長に対応する。さらに、πは、円周率である。
【0197】
【数3】
【0198】
また、このとき、図16に示すようなアンテナアレイ70から射出される光の放射角Δψは、下記関係式(8)のように表される。したがって、放射角Δψは、Nが増加することに伴って、大きくなる。なお、ここでは、放射角Δψは、Z軸周りの角度範囲である。
【0199】
【数4】
【0200】
また、アンテナアレイ70から射出される光は、図示しない対象物で反射される。対象物で反射された光は、アンテナアレイ70に入射する。アンテナアレイ70に入射した反射光は、位相シフタアレイ30およびスプリッタツリー10を経由して、図示しない受光器に入射する。さらに、図示しない測定装置は、光源からの入射光Liおよび受光器に入射した反射光の情報を用いて、光フェーズドアレイ5から対象物までの距離や対象物の形状を測定する。
【0201】
以上のように、光フェーズドアレイ5は、Lidarに用いられる。次に、本実施形態の位相シフタアレイ30を備える光フェーズドアレイ5では、制御部に相当するDAC20の大型化が抑制されることについて説明する。
【0202】
ここで、特許文献1では、16個の位相シフタをグルーピングしたサブアレイが記載されている。また、このサブアレイの数は、4つである。この場合、位相シフタの全数は、64個である。さらに、サブアレイにおける16個の位相シフタのそれぞれに、位相シフタに入射する光の位相を変化させるための電圧信号が制御部から出力されることから、制御信号の数は、16個である。この場合、サブアレイにおける位相シフタの数が増加すると、増加した分、制御部から電圧信号の数が多くなることから、制御部の配線の数等が多くなる。したがって、制御部が大型化する。
【0203】
これに対して、本実施形態の位相シフタアレイ30を備える光フェーズドアレイ5では、サブアレイ300は、第1位相シフタ301と、第2位相シフタ302と、第3位相シフタ303と、を有する。第1位相シフタ301は、DAC20からの第1電圧V1が印加されることによって、第1位相シフタ301に入射する光の位相を変化させる。第2位相シフタ302は、DAC20からの第2電圧V2が印加されることによって、第2位相シフタ302に入射する光の位相を変化させる。第3位相シフタ303は、第1シフタ部311と、第2シフタ部312と、を含む。第1シフタ部311には、第1電圧V1が印加される。第2シフタ部312には、第2電圧V2が印加される。また、第3位相シフタ303は、第1電圧V1が第1シフタ部311に印加されるとともに、第2電圧V2が第2シフタ部312に印加されることによって、第3位相シフタ303に入射する光の位相を変化させる。
【0204】
これにより、DAC20から1つのサブアレイ300に出力される電圧の数が、2つになる。このため、DAC20からの電圧の数は、位相シフタの全数に対応するNの2倍を、1つのサブアレイ300の第3位相シフタ303の数に対応するSに2を加算した値で除算した値、すなわち、2×N/(S+2)となる。したがって、位相シフタの数が増加しても、1つのサブアレイ300の第3位相シフタ303の数が増加することから、DAC20からの電圧の数が増加することが抑制される。
【0205】
例えば、位相シフタの全数に対応するNが64であるとする。また、1つのサブアレイ300における第3位相シフタ303の数に対応するSが14であるとする。この場合、1つのサブアレイ300における位相シフタの数は、14に、第1位相シフタ301および第2位相シフタ302の数を加算した数であるため、16である。このとき、DAC20からの電圧の数は、2×64/16であることから、8個となる。よって、本実施形態の位相シフタアレイ30を備える光フェーズドアレイ5では、制御信号の数が特許文献1に記載された光フェーズドアレイと比較して、減少している。したがって、DAC20の配線等の数が増加することが抑制されることから、DAC20の大型化が抑制される。
【0206】
また、DAC20の大型化が抑制されることから、DAC20の大型化を抑制した分、位相シフタの全数に対応するNを増やすことができる。Nが増加すると、上記関係式(8)に示すように、放射角Δψが小さくなる。よって、光フェーズドアレイ5の空間分解能を向上させることもできる。
【0207】
また、第1実施形態の位相シフタアレイ30を備える光フェーズドアレイ5では、以下に記載する効果も奏する。
【0208】
[1-1]第3位相シフタ303は、並列方向Dpに複数並んでいる。また、第1位相シフタ301と隣り合う第3位相シフタ303から第2位相シフタ302と隣り合う第3位相シフタ303に向かって、順に、第1シフタ部311の長さは、小さくなっている。すなわち、La(1)>La(2)>La(3)>・・・>La(S-2)>La(S-1)>La(S)とされている。さらに、第1位相シフタ301と隣り合う第3位相シフタ303から第2位相シフタ302と隣り合う第3位相シフタ303に向かって、順に、第2シフタ部312の長さは、大きくなっている。すなわち、Lb(1)<Lb(2)<Lb(3)<・・・<Lb(S-2)<Lb(S-1)<Lb(S)とされている。
【0209】
これにより、第1位相シフタ301と隣り合う第3位相シフタ303から第2位相シフタ302と隣り合う第3位相シフタ303に向かって、順に、第1シフタ部311に入射する光の光路長が短くなる。また、第1位相シフタ301と隣り合う第3位相シフタ303から第2位相シフタ302と隣り合う第3位相シフタ303に向かって、順に、第2シフタ部312に入射する光の光路長が長くなる。これらによって、第3位相シフタ303に入射する光の光路長の調整がしやすくなることから、第3位相シフタ303に入射する光と第3位相シフタ303から射出される光との位相差が調整されやすくなる。このため、1番目の位相シフタから、順に、位相シフタアレイ30の各位相差が、ΔΦ、2×ΔΦ、・・・、i×ΔΦ、・・・、N×ΔΦとされやすくなり、線形関係にされやすくなる。したがって、ΔΦの精度が向上することから、射出角ψの精度が向上する。
【0210】
[1-2]第1位相シフタ301の長さと、第2位相シフタ302の長さと、互いに対応する第1シフタ部311の長さおよび第2シフタ部312の長さの和とは、等しくなっている。すなわち、La(0)=Lb(0)=La(S)+Lb(S)=Lsとされている。
【0211】
これにより、第1電圧V1および第2電圧V2が印加されていないときの光路長が等しくなる。このため、第1電圧V1および第2電圧V2が印加されていないときの光路長が異なることによって生じる、位相シフタ同士の間の位相差が抑制される。したがって、位相シフタアレイ30の各位相差が、ΔΦ、2×ΔΦ、・・・、i×ΔΦ、・・・、N×ΔΦとされやすくなり、線形関係にされやすくなる。よって、ΔΦの精度が向上することから、射出角ψの精度が向上する。
【0212】
[1-3]第1シフタ部311は、上記関係式(1)が成り立つように形成されている。また、第2シフタ部312は、上記関係式(2)が成り立つように形成されている。
【0213】
これにより、第1位相シフタ301と隣り合う第3位相シフタ303から第2位相シフタ302と隣り合う第3位相シフタ303に向かって、順に、第1シフタ部311に入射する光の光路長が短くなる。また、第1位相シフタ301と隣り合う第3位相シフタ303から第2位相シフタ302と隣り合う第3位相シフタ303に向かって、順に、第2シフタ部312に入射する光の光路長が長くなる。これらによって、上記と同様に、位相シフタアレイ30の各位相差が、ΔΦ、2×ΔΦ、・・・、i×ΔΦ、・・・、N×ΔΦとされやすくなり、線形関係にされやすくなる。したがって、ΔΦの精度が向上することから、射出角ψの精度が向上する。
【0214】
[1-4]第3位相シフタ303は、絶縁層313を含む。絶縁層313は、電気絶縁性を有しており、第1シフタ部311および第2シフタ部312の間を絶縁する。絶縁層313の不純物濃度は、第1導波路421、第2導波路422、第3導波路423および第4導波路424の不純物濃度よりも低くなっている。
【0215】
これにより、イオン注入等によって第1導波路421、第2導波路422、第3導波路423および第4導波路424を形成するとき、イオン注入しないことにより、不純物がドープされないことで、絶縁層313を形成することができる。このため、絶縁層313を形成するための別工程を追加することがなくなる。したがって、絶縁層313の形成が容易になる。
【0216】
[1-5]第1距離T1と、第2距離T2とは異なっている。これにより、第5配線445と、第7配線447とがねじれの位置関係になりやすくなる。このため、第5配線445と、第7配線447とが導通することが抑制される。
【0217】
また、厚み方向における第3導波路423から第10電極層610と第13配線層663との境界部までの距離と、厚み方向における第4導波路424から第12電極層612と第18配線層668との境界部までの距離とは、異なっている。これにより、第6配線446と、第8配線448とがねじれの位置関係になりやすくなる。このため、第6配線446と、第8配線448とが導通することが抑制される。
【0218】
[1-6]位相シフタアレイ30は、複数のサブアレイ300を有する。
【0219】
これにより、位相シフタの全数に対応するNを固定した場合に、サブアレイ300の数が増加すると、1つのサブアレイ300における位相シフタの数が減少する。また、1つのサブアレイ300における位相シフタの数が減少すると、1つのサブアレイ300の大きさが小さくなる。このため、1つのサブアレイ300内における製造バラつきが、1つのサブアレイ300の大きさが比較的大きい場合と比較して、小さくなる。したがって、第1位相シフタ301、第2位相シフタ302および第3位相シフタ303に入射する光の位相に対応するΦ0および各位相差に対応するi×ΔΦのバラつきが小さくなる。よって、射出角ψのバラつきが小さくなる。
【0220】
(第2実施形態)
第2実施形態では、光フェーズドアレイ5は、図17に示すように、第1グレーティングカプラ71、第2グレーティングカプラ72および位相差モニタ回路80を備える。また、DAC20は、記憶媒体をさらに有する。さらに、DAC20の処理が第1実施形態と異なる。これら以外は、第1実施形態と同様である。
【0221】
第1グレーティングカプラ71は、第1位相シフタ301についての光の入出力を行う素子である。第2グレーティングカプラ72は、第2位相シフタ302についての光の入出力を行う素子である。位相差モニタ回路80は、例えば、光の位相差を光の強度差に変換するマハチェンダ型干渉計等を有する。また、位相差モニタ回路80は、第1グレーティングカプラ71および第2グレーティングカプラ72に接続されている。DAC20の記憶媒体には、第1電圧V1と、第1位相シフタ301に入射する光および第1位相シフタ301から射出される光の位相差との関係を示した第1テーブルが記憶されている。また、DAC20の記憶媒体には、第2電圧V2と、第2位相シフタ302に入射する光および第2位相シフタ302から射出される光の位相差との関係を示した第2テーブルが記憶されている。
【0222】
ここで、第1位相シフタ301に入射する光および第1位相シフタ301から射出される光の位相差は、第1グレーティングカプラ71および位相差モニタ回路80を用いて検出される。さらに、DAC20は、第1グレーティングカプラ71および位相差モニタ回路80によって得られた位相差と、第1電圧V1とを用いて、第1テーブルを生成する。また、第2位相シフタ302に入射する光および第2位相シフタ302から射出される光の位相差は、第2グレーティングカプラ72および位相差モニタ回路80を用いて検出される。さらに、DAC20は、第2グレーティングカプラ72および位相差モニタ回路80によって得られた位相差と、第2電圧V2とを用いて、第2テーブルを生成する。
【0223】
そして、これらの生成された第1テーブルおよび第2テーブルがDAC20の記憶媒体に記憶される。また、DAC20は、この記憶された第1テーブルおよび第2テーブルと、所望の位相差とを用いて、第1電圧V1および第2電圧V2を算出する。さらに、DAC20は、算出した第1電圧V1を第1位相シフタ301および第1シフタ部311に印加する。また、DAC20は、算出した第2電圧V2を第2位相シフタ302および第2シフタ部312に印加する。
【0224】
以上のように、第2実施形態の光フェーズドアレイ5は、構成されている。この第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第2実施形態では、以下に記載する効果も奏する。
【0225】
[2]DAC20は、第1テーブルと所望の位相差とを用いて第1電圧V1を算出するとともに、第2テーブルと所望の位相差とを用いて第2電圧V2を算出する。
【0226】
これにより、位相シフタアレイ30の各位相差が、ΔΦ、2×ΔΦ、・・・、i×ΔΦ、・・・、N×ΔΦとされやすくなり、線形関係にされやすくなる。したがって、ΔΦの精度が向上することから、射出角ψの精度が向上する。
【0227】
(第3実施形態)
第3実施形態では、光フェーズドアレイ5は、図18に示すように、位相差モニタ回路80をさらに備える。また、DAC20の処理が第1実施形態と異なる。これら以外は、第1実施形態と同様である。
【0228】
位相差モニタ回路80は、光の位相差を光の強度差に変換するマハチェンダ型干渉計等を有する。また、位相差モニタ回路80は、アンテナ700を介して、第1位相シフタ301および第2位相シフタ302と接続されている。さらに、位相差モニタ回路80は、第1位相シフタ301に入射する光および第1位相シフタ301から射出される光の位相差を検出する。また、位相差モニタ回路80は、第2位相シフタ302に入射する光および第2位相シフタ302から射出される光の位相差を検出する。さらに、位相差モニタ回路80は、これらの検出した位相差に応じた信号を、DAC20に出力する。なお、位相差モニタ回路80は、アンテナ700を介して、第1位相シフタ301および第2位相シフタ302と接続されているところ、これに限定されない。位相差モニタ回路80は、アンテナ700に代えて導波路を介して、第1位相シフタ301および第2位相シフタ302と接続されてもよい。この場合、位相差モニタ回路80は、導波路を介して、第1位相シフタ301および第2位相シフタ302による位相差を検出する。
【0229】
また、DAC20は、位相差モニタ回路80から取得した第1位相シフタ301に入射する光および第1位相シフタ301から射出される光の位相差に基づいて、第1電圧V1を制御する。例えば、DAC20は、第1位相シフタ301に入射する光および第1位相シフタ301から射出される光の位相差が所望の位相差よりも大きいとき、第1電圧V1を小さくする。これにより、第1導波路421および第3導波路423のキャリア濃度が上昇する。このため、第1導波路421および第3導波路423の屈折率が減少する。したがって、第1位相シフタ301および第1シフタ部311を伝搬する光の光路長が小さくなる。よって、DAC20は、位相シフタアレイ30の各位相差を小さくさせることで、位相シフタアレイ30の各位相差を所望の位相差にさせる。
【0230】
さらに、DAC20は、位相差モニタ回路80から取得した第2位相シフタ302に入射する光および第2位相シフタ302から射出される光の位相差に基づいて、第2電圧V2を制御する。例えば、DAC20は、第2位相シフタ302に入射する光および第2位相シフタ302から射出される光の位相差が所望の位相差よりも大きいとき、第2電圧V2を小さくする。これにより、第2導波路422および第4導波路424のキャリア濃度が上昇する。このため、第2導波路422および第4導波路424の屈折率が減少する。したがって、第2位相シフタ302および第2シフタ部312を伝搬する光の光路長が小さくなる。よって、DAC20は、位相シフタアレイ30の各位相差を小さくさせることで、各位相差を所望の位相差にさせる。
【0231】
以上のように、第3実施形態の光フェーズドアレイ5は、構成されている。この第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第3実施形態では、以下に記載する効果も奏する。
【0232】
[3]DAC20は、第1位相シフタ301に入射する光および第1位相シフタ301から射出される光の位相差に基づいて、第1電圧V1を制御する。また、DAC20は、第2位相シフタ302に入射する光および第2位相シフタ302から射出される光の位相差に基づいて、第2電圧V2を制御する。
【0233】
これにより、位相シフタアレイ30の各位相差が、ΔΦ、2×ΔΦ、・・・、i×ΔΦ、・・・、N×ΔΦとされやすくなり、線形関係にされやすくなる。したがって、ΔΦの精度が向上することから、射出角ψの精度が向上する。
【0234】
(他の実施形態)
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対して、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0235】
本開示に記載の制御部およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部およびその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部およびその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0236】
上記各実施形態では、スプリッタツリー10からの光は、第2シフタ部312に入射し、第2シフタ部312を伝搬した光が第1シフタ部311に入射する。また、第1シフタ部311からの光がアンテナ700に入射する。これに対して、スプリッタツリー10からの光は、第1シフタ部311に入射してもよく、第1シフタ部311を伝搬した光が第2シフタ部312に入射してもよい。このとき、第2シフタ部312からの光がアンテナ700に入射する。
【0237】
上記各実施形態では、第1電圧V1および第2電圧V2は、逆バイアスとされているところ、これに限定されない。第1電圧V1および第2電圧V2は、順バイアスとされてもよい。
【0238】
上記各実施形態では、1つのサブアレイ300における第3位相シフタ303の数が2以上である。これに対して、1つのサブアレイ300における第3位相シフタ303の数は、1つであってもよい。
【符号の説明】
【0239】
10 スプリッタツリー
20 DAC
30 位相シフタアレイ
70 アンテナアレイ
300 サブアレイ
301 第1位相シフタ
302 第2位相シフタ
303 第3位相シフタ
311 第1シフタ部
312 第2シフタ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18