(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025120580
(43)【公開日】2025-08-18
(54)【発明の名称】走行式草刈機
(51)【国際特許分類】
A01D 34/685 20060101AFI20250808BHJP
【FI】
A01D34/685
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024015460
(22)【出願日】2024-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 正樹
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA02
2B083BA18
2B083CA08
2B083CA09
2B083CA28
2B083DA03
2B083GA01
2B083HA17
2B083HA34
2B083JA03
2B083LA02
(57)【要約】
【課題】 走行式草刈機において、刈った草の絡みやつまりを低減するとともに、草を刈る力を低減すること。
【解決手段】 走行式草刈機100において、上刃31及び下刃32が、刈刃軸22の軸方向における異なる高さに配置され、前記上刃31は、前記下刃32よりも刈刃軸22まわりの半径方向における外側に配置されるもの。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行式草刈機において、
上刃及び下刃が、刈刃軸の軸方向における異なる高さに配置され、
前記上刃は、前記下刃よりも刈刃軸まわりの半径方向における外側に配置されることを特徴とする走行式草刈機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は走行式草刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載の如くの走行式草刈機がある。
【0003】
特許文献1に記載の走行式草刈機は、刈刃円盤に備えた刈刃を保護する刈刃保護部を該刈刃円盤に一体に設け、該刈刃の先端部を該刈刃保護部よりも下方に位置させたものである。これにより、刈刃を外部の異物から保護しつつ、刈刃による草刈り性能を高めることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の走行式草刈機は、背の高い草を刈るときに、刈った草の絡みやつまりを生じたり、草を刈る力が大きくなる。このことは、草刈機の刈刃駆動モータの過負荷によって走行速度の低下や停止を招き、草刈時間が増加したり、該モータの容量や、該モータのための充電バッテリーの容量が増加するという不都合を伴う。
【0006】
本発明の課題は、走行式草刈機において、刈った草の絡みやつまりを低減するとともに、草を刈る力を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、走行式草刈機において、上刃及び下刃が、刈刃軸の軸方向における異なる高さに配置され、前記上刃は、前記下刃よりも刈刃軸まわりの半径方向における外側に配置されるようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、背の高い草は、まず上刃で短くしてから、低く低密度となった残りの草の根元を下刃で刈るものになり、刈った草の絡みやつまりを低減するとともに、草を刈る力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態に係る走行式草刈機を上方から視た斜視図である。
【
図2】
図2は走行式草刈機を下方から視た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1乃至
図3に示した草刈機100は、芝草等の草を自律的に走行して刈り取る無人自律走行式草刈機である。
【0011】
草刈機100は、ハウジング11と、ハウジング11の左右両側に備えたキャタピラ12(左右両側のそれぞれに前輪と後輪を備えても可)と、ハウジング11の中央の下部に備えた草刈作業部20とを有する。左右のキャタピラ12は、不図示の走行用モータによって駆動される。
【0012】
草刈作業部20は、
図4に示す如く、ハウジング11のベースプレート11Aの下面にボルト止め等された軸受箱21に刈刃軸22を回転自在に支持する。刈刃軸22はハウジング11の内部に設置された不図示の刈刃駆動モータにより駆動可能とされて上下方向に延在し、ベースプレート11の下方に突出する該刈刃軸22の下端部に刈刃円盤23の中心部をボルト止めして備える。刈刃軸22はベースプレート11Aに垂直をなすように概ね鉛直配置される。刈刃円盤23はベースプレート11Aに平行をなすように概ね水平配置され、地面と相対する。
【0013】
草刈作業部20は、刈刃円盤23の外周寄りの周方向複数位置(本実施形態では互いに120度間隔をなす3位置)のそれぞれに支持軸24を固定的に立設している。各支持軸24は、上刃31、下刃32、刈後粉砕刃33が固定されている。上刃31、下刃32、刈後粉砕刃33は、例えば平面視略矩形状の金属製板材によって構成される。
【0014】
上刃31と下刃32は、刈刃軸22の軸方向における異なる高さに配置され、上羽31は下刃32よりも高い位置に配置される。下刃32は刈刃円盤23の下面レベルよりも下方に配置され、下刃32の刃先32Aは草Gの刈りたい高さH0に対応する高さレベルに設定されている(
図4)。上刃31の刃先31Aは、下刃32の刃先32Aよりも刈刃軸22まわりの半径方向における外側に配置される。上刃31及び下刃32は、刈刃円盤23の回転中心(刈刃軸22)から半径方向の外側かつ下方へ、緩い勾配をなすように傾きつつ延びる。
【0015】
刈後粉砕刃33は、上刃31の上部に配置される。刈後粉砕刃33の刃先33Aは、上刃31の刃先31Aよりも刈刃軸22まわりの半径方向における内側に配置される。刈後粉砕刃33は、刈刃円盤23の回転中心(刈刃軸22)から半径方向の外側かつ上方へ、緩い勾配をなすように傾きつつ延びる。
【0016】
草刈機100による草刈作業に際し、草刈作業部20の刈刃軸22及び刈刃円盤23が回転し、草刈機100が草地上を走行するとき、
図4に示す如く、背の高い草G1はまず上刃31で刈られ、低く低密度になった残りの草G2の根元が下刃32で刈られる。この草刈後の草G0の高さは、刈りたい高さH0に整えられる。
【0017】
尚、上刃31、下刃32により刈り取った草がそのまま草刈機100内に滞留することがあり、刈後粉砕刃33はそのような草を粉々に粉砕することにより、草刈機100外に排出し易くする。
【0018】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(a)背の高い草G1は、まず上刃31で短くしてから、低く低密度となった残りの草G2の根元を下刃32で刈るものになり、刈った草の絡みやつまりを低減するとともに、草を刈る力を低減することができる。
【0019】
(b)これにより、草刈機100の刈刃駆動モータに作用する負荷を低減して草刈機100の走行速度の低減や停止を回避し、草刈時間を低減するとともに、該刈刃駆動モータの容量や、該刈刃駆動モータのための充電バッテリーの容量を低減することができる。ひいては、草刈機100の軽量化及び低コスト化を実現できる。
【0020】
以上、本発明の実施形態を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、上刃31と下刃32は刈刃円盤23の周方向に関して同位相(刈刃軸22まわりの同一角度位置)であることを必須としない。
また、上刃31と下刃32は支持軸24の同一軸上に設けられることを必須としない。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明によれば、走行式草刈機において、刈った草の絡みやつまりを低減するとともに、草を刈る力を低減することができる。
【符号の説明】
【0022】
22 刈刃軸
31 上刃
32 下刃
100 走行式草刈機