(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012059
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】パンツ及びパンツの製造方法
(51)【国際特許分類】
A41B 9/02 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
A41B9/02 H
A41B9/02 G
A41B9/02 M
A41B9/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114595
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】523264688
【氏名又は名称】株式会社オズファクトリー
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大空 正明
【テーマコード(参考)】
3B128
【Fターム(参考)】
3B128EA01
3B128EB07
3B128EB13
3B128EC02
3B128EC06
3B128EC12
3B128SB08
(57)【要約】
【課題】
陰茎が上を向いた状態で陰毛と離れて保持しやすくし、陰茎を簡単かつ格好良く取り出し・収納することができるパンツを提供することを目的とする。
【解決手段】
上記課題を解決する本願発明は、パンツ本体1と、パンツ本体1の前面を覆う外幕2と、を備えるパンツXであって、パンツ本体1は、使用者の臀部を覆う身頃部11と、下腹部を覆う前掛け部12と、を有し、前掛け部12の下端部122と身頃部11とは離間して開口部13を形成し、外幕2は、少なくとも開口部13を覆うように身頃部11と接続し、外幕2の上端と、パンツ本体1との間に陰茎Pを取り出し可能な取り出し部23を形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンツ本体と、前記パンツ本体の前面を覆う外幕と、を備えるパンツであって、
前記パンツ本体は、使用者の臀部を覆う身頃部と、下腹部を覆う前掛け部と、を有し、前記前掛け部の下端部と前記身頃部とは離間して開口部を形成し、
前記外幕は、少なくとも前記開口部を覆うように前記身頃部と接続し、
前記外幕の上端と、前記パンツ本体との間に陰茎を取り出し可能な取り出し部を形成するパンツ。
【請求項2】
前記外幕は、弾性を有し、
使用者の陰茎を前記パンツ本体の方向へ押し付ける請求項1に記載のパンツ。
【請求項3】
前記下端部は、前記取り出し部に向けて凸のアーチ状に設けられている請求項1に記載のパンツ。
【請求項4】
前記下端部には、弾性を有する線状の弾性部材が設けられている請求項3に記載のパンツ。
【請求項5】
前記前掛け部の前面には、画像がプリントされている請求項1から4のいずれか1項に記載のパンツ。
【請求項6】
本体パーツと、前記本体パーツの前面に接続される外幕パーツと、を備え、
前記本体パーツは、使用者の臀部を覆う身頃パーツと、下腹部を覆う前掛けパーツと、を有し、前記前掛けパーツの下端と前記身頃パーツとは離間して開口部を形成し、
前記外幕パーツの上端は、前記本体パーツと離間して取り出し部を形成するパンツの製造方法であって、
前記外幕パーツの側辺である外幕側辺と、前記身頃パーツの側辺である身頃側辺とを接合する接合工程を含むパンツの製造方法。
【請求項7】
前記接合工程では、
前記外幕側辺と、前記身頃側辺と、前記前掛けパーツの側辺である前掛け側辺と、を同時に縫合する請求項6に記載のパンツの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、男性用のパンツ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者が長時間パンツの着用を続けていると、陰茎の位置が自分の思うような位置からずれてしまうことで、陰毛と絡まるなどして不快な思いをすることがある。特にランニングを行う際には、陰茎の位置が激しく変化するため、擦れて痛みを生じることもある。
このような課題がある中、前身頃に布材を設け、前身頃と布材の間に陰茎を挟んで保持できるパンツが特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のパンツでは、通常の男性用パンツと同様に、上下方向に設けられた切り込みとして取り出し口が設けられ、ここから陰茎を取り出す構成であるため、陰茎の位置が一意に定まらず、適切に保持されない。また、陰茎を外部に取り出す際には、上から手を突っ込んで探さなければならないため、不衛生で不便であり、取り出し時や収容時の恰好も悪い。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、陰茎が上を向いた状態で陰毛と離れた状態で保持しやすくし、陰茎を簡単かつ格好良く取り出し・収納することができるパンツを提供することを目的とする。併せてそのようなパンツを簡単に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本願発明は、パンツ本体と、前記パンツ本体の前面を覆う外幕と、を備えるパンツであって、前記パンツ本体は、使用者の臀部を覆う身頃部と、下腹部を覆う前掛け部と、を有し、前記前掛け部の下端部と前記身頃部とは離間して開口部を形成し、前記外幕は、少なくとも前記開口部を覆うように前記身頃部と接続し、前記外幕の上端と、前記パンツ本体との間に陰茎を取り出し可能な取り出し部を形成する。
このように、身頃の下端に陰茎を挿入可能な開口部を設けていることによって、陰茎が上を向いた状態で保持しやすくし、さらに外幕の上端を下方向にめくり下げることにより陰茎をかっこよく取り出し、収納時も外幕をめくりあげるだけで容易に収納することができる。
【0007】
好ましくは、前記外幕は、弾性を有し、使用者の陰茎を前記パンツ本体の方向へ押し付ける。これにより、上方向に向けた陰茎の保持をより容易にすることができる。
【0008】
好ましくは、前記下端部には、前記取り出し部に向けて凸のアーチ状に設けられている。これにより、下端部から容易に陰茎を保持できるようになる。
【0009】
好ましくは、前記下端部には、弾性を有する線状の弾性部材が設けられている。これにより、陰茎の根本の直上を押圧し、陰茎をより上向きに保持しやすくなる。
【0010】
好ましくは、前記前掛け部の前面には、画像がプリントされている。これにより、意匠性を向上させ、陰茎の見栄えをさらによくすることができる。
【0011】
上記目的を達成するための本発明は、
本体パーツと、前記本体パーツの前面に接続される外幕パーツと、を備え、前記本体パーツは、使用者の臀部を覆う身頃パーツと、下腹部を覆う前掛けパーツと、を有し、前掛けパーツの下端と身頃パーツとは離間して開口部を形成し、前記外幕パーツの上端は、前記パンツ本体とは離間して取り出し部を形成するパンツの製造方法であって、前記外幕パーツの側辺である外幕側辺と、前記身頃パーツの側辺である身頃側辺とを接合する接合工程を含む。これにより、穴のあるパーツを設けず材料を切り出しやすくするとともに部品点数を削減し、製造方法を単純にすることができる。
【0012】
好ましくは、前記接合工程では、前記外幕側辺と、前記身頃側辺と、前記前掛けパーツの側辺である前掛け側辺と、を同時に縫合する。これにより、より製造方法を簡潔にすることができる。
【発明の効果】
【0013】
上記課題を解決する本発明は、陰茎が上を向いた状態で陰毛と離れた状態で保持しやすくし、陰茎を簡単かつ格好良く取り出し・収納することができるパンツを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る、パンツの斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る、パンツの正面図及び背面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る、外幕をめくった状態におけるパンツの斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る、外幕を外したパンツの正面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る、パンツを構成するパーツを表す説明図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る、パンツを使用者が穿いた状態を表す断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る、前掛けパーツの変更例である。
【
図8】本発明の別の実施形態に係る、パンツの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて、本発明の各実施形態に係るパンツXについて説明する。説明は、実施形態の構成、実施形態の製造方法、実施の方法、他の実施形態の順に詳述する。
なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の各実施形態に限定するものではない。また、出願書類中の「略」は、その後に続く形状に面取りや丸め加工がなされていること、また形状を構成する要素がその構成の目的を阻害しない範囲内で変形や長さ変更されているものを含むことを意味する概念である。
本明細書において、中心に対してパンツXの穿き口が設けられる方向を上方向、足の出し口が設けられる方向を下方向とし、さらにパンツXが使用者の腹部側と接触する方向を前方向、背側と接触する方向を後方向とする。
【0016】
≪第一の実施形態≫
本発明に係るパンツXは、
図1、
図2に示すように、使用者の腰下を覆う下着部分であるパンツ本体1と、パンツ本体1の前面を覆う外幕2と、使用者の腰回りにおいてパンツ本体1を保持する腰回り部3を備える。また、パンツ本体1は、使用者の臀部から側部を覆う身頃部11と、使用者の下腹部を覆う前掛け部12と、を有する。
なお、
図2(a)は、パンツXの正面図であり、
図2(b)は背面図である。
【0017】
身頃部11は、少なくとも使用者の臀部、腰骨の周辺部及び会陰部(いわゆる蟻の門渡り)を覆う身頃であって、綿、レーヨン、ナイロン、ポリエステル等の種々の天然繊維又は化学繊維で設けられている。
【0018】
前掛け部12は、身頃部11と接続してパンツ本体1を形成する布材である。
図3には、外幕2をめくり前掛け部12を露出させた状態にあるパンツ本体1の斜視図を示し、
図4には、外幕2を外した状態にあるパンツXの正面図を表している。
前掛け部12は前掛け本体121と、前掛け本体121の周縁に設けられる端辺のうち、下端の辺を構成する下端部122と、使用時に前掛け本体121の前側に設けられる面である画像部123と、を有する。
【0019】
前掛け本体121は、略台形状の部分であって、使用時に使用者の下腹部と当接する。前掛け本体121の上端部は腰回り部3と接続されており、側端部は身頃部11と接続されていることで、使用者の腰回りを布材が一周するようにしている。
【0020】
前掛け本体121の下端部122と身頃部11とは、離間していることでその間に開口部13を形成する。使用者は開口部13から陰茎Pを挿入し、下方から上方に向けて陰茎Pを保持しやすくできる。
【0021】
下端部122は、その周縁が上方向(後述する取り出し部23の方向)に向けて凸のアーチ状に設けられている部分である。アーチ状に設けることによって、陰茎Pの干渉を防ぎ、下方から開口部13に挿入しやすくしている。
下端部122の描くアーチの曲率半径は、外幕本体21の下端に設けられる凸部の曲率半径よりも大きくなるように設けられている。これにより、下端部122の下側よりも上側の空間に余裕を持たせることができるため、陰茎Pを上方向に誘導しやすくできる。
【0022】
画像部123は、前掛け本体121の前側の面において設けられる部分であって、シルクスクリーンプリントなどの方法で、所定の顔料インクによる画像が布面に印刷されている部分である。なお、画像プリントを適切にするためにはパンツ本体1には表面が滑らかな材質を使用することが好ましく、実施形態においてはポリエステルを利用している。
これにより、
図2のように外幕2を上方向からめくったときに画像部123が現れるようになる。実際の使用時において画像部123は、陰茎Pを露出させるときの背景となり、親しい女性とコミュニケーションを行う際に演出としての効果を奏する。
実施形態においては、ロケットが発射する画像が描かれているが、背景としての演出のために羽や爆発などの効果的な画像が描かれていてもよい。
【0023】
なお、画像は、外幕2の前側の面にも描かれていてもよく、画像部123と併せてシナリオ展開できるようにすることが好ましい。例えば、外幕2にはロケットが発射する前の画像が描かれており、ロケットが発射される画像である画像部123とすることや、外幕2に「OPEN」、画像部123に「FOR YOU」など、文字が描かれていてもよい。
【0024】
弾性部材14は、下端部122と略同一の長さである線状の部材であって、ゴム紐やラテックス製の紐材であることが想定されるが、特に可塑性ポリウレタン(TPU)のバンドを用いることが好ましい。
【0025】
実施形態において、弾性部材14は、パンツ本体1の複数箇所に配置されている。
まず、弾性部材14は、下端部122の縁に沿って配置されている。すなわち弾性部材14は、下端部122の少なくとも両端において縫合されることで接続されており、身頃部11と併せて、パンツ本体1の径を収縮させるように作用する。これによって、使用時に陰茎Pの根本の直上部分に圧迫作用を与えることで、陰茎Pを上向きの状態で保持しやすくできる。特に、下端部122はアーチ型となっているため、収縮することによって、身体に密着して強い圧迫作用を与える。
また、下端部122の弾性部材14は、下端部122からさらに伸びてパンツ本体1を一周するように設けてもよく、これにより陰茎Pの根元を抑える強さをさらに向上させることができる。
【0026】
外幕2は、使用時に前掛け部12及び開口部13を覆うように身頃部11と接続される、弾性を有する布材である。外幕2は、弾性を有する布材である外幕本体21と、外幕本体21のパンツ本体1を向く面で陰茎Pを保持する保持部22と、外幕本体21の上端とパンツ本体1の間に形成される陰茎Pを取り出し可能な開口である取り出し部23と、を備える。
【0027】
外幕本体21は、正面視で略逆三角形状の布材であって、上端の辺以外の周縁が身頃部11と接続されている。外幕本体21の上端は、縁辺に沿って折り返されることで重なるようにして設けられており、これによって亀頭に加わる衝撃を緩和している。
【0028】
保持部22は、外幕本体21の後ろ側の面及び外幕本体21がパンツ本体1の間に形成される空間であって、パンツ本体1と外幕2とが略密着するように縫合されていることによって、陰茎Pをパンツ本体1と外幕本体21の間に挟んで保持する。
【0029】
また、実施形態においては、外幕本体21には、一方の側辺の中心よりも上側の点から、上端の辺と水平になるように弾性部材14が配置されており、これによって外幕本体21における、陰茎Pを保持しやすい方向の弾性を補強している。
【0030】
取り出し部23は、パンツ本体1と前掛け部12との間に形成されている、上部に向けて開口する部分である。
図2に示すように、外幕本体21に外力を加えることによって、取り出し部23を少なくとも前方向ないし下方向に拡幅することができる。これにより前掛け部12が露出し、ここから陰茎Pを簡単に外部に取り出し、収納することができる。
【0031】
腰回り部3は、パンツ本体1の上端で巻き回されて設けられる弾性の帯材であって、パンツ本体1を使用者の腰よりも上に巻き付けて保持する。
腰回り部3は、帯材によらずとも、弾性部材14が身頃部11及び前掛け本体121の上端において、それぞれの部材の一端から他端にかけて設けられる構成としてもよい。
【0032】
以下、
図1~
図5を用いて、本願発明に係るパンツXの製造方法について記載する。本発明は、パンツXを構成する複数のパーツを組み合わせ、製造する目的を持つ製造者によって製造される。なお、以下に示す製造方法は一例であり、製造方法はこれに限られず順番は前後してよい。
【0033】
まず、本発明を構成するパーツについて詳述する。本発明は
図5に示すように、パンツ本体1を形成する本体パーツAと、外幕2を形成する外幕パーツBと、を備える。また、本体パーツAは、身頃部11を形成する身頃パーツA1と、前掛け部12を形成する前掛けパーツA2と、股間を覆うためのマチパーツA3と、の3つのパーツによって形成されている。
【0034】
身頃パーツA1は、略扇形形状の左右対称に設けられている布材であって、完成時に最上部に位置する身頃上辺A11と、身頃上辺A11に対して外側方向に傾斜する身頃の側辺である身頃第一側辺A12と、身頃第一側辺A12と隣接し、身頃第一側辺A12よりも身頃上辺A11に対してさらに外側に向けて傾斜する身頃第二側辺A13と、身頃第二側辺A13と隣接し、身頃第二側辺A13よりも身頃上辺A11に対して内側に傾斜する身頃第三側辺A14と、を有する。さらに、身頃第三側辺A14に対して直角に足回り辺A15が伸びており、足回り辺A15と隣接して身頃パーツA1の中心方向に向かう凹部の縁辺として、身頃曲辺A16が設けられている。
【0035】
また、身頃パーツA1には、身頃上辺A11の中途位置から足回り辺A15の中途位置に向けて折り目線(
図5(a)の破線部分)が設けられており、完成品を折り目線に沿って折ることで、
図3のように左右対称に畳んだ状態とすることができる。なお、折り目線と身頃第三側辺A14とは平行になるように設けられており、厚みを容易に付けられるようにしている。
【0036】
前掛けパーツA2は、略台形状の左右対称に設けられている布材であって、完成時に最上部に位置する直線状の前掛け上辺A21と、身頃第一側辺A12に対応する傾斜を付けて設けられている前掛け側辺A22と、下端部122に対応する前掛け下辺A23が設けられている。
【0037】
前掛け下辺A23は、前掛けパーツA2の中心に向かう方向に凸の曲線となるように設けられており、周縁に沿って弾性部材14が設けられている。
【0038】
マチパーツA3は、略長方形状の左右対称に設けられており、取り付け時に前側に位置するマチ前辺A31と、取り付け時に後ろ側に位置するマチ後辺A33と、を備え、マチ前辺A31の中点の付近には、マチパーツA3の中心に向けて凸の曲線となるようにマチ曲部A32が設けられている。また、マチ後辺A33は身頃曲辺A16と略同一の長さとなるように設けられている。実施形態においてマチパーツA3は、ムレを抑止するために特に通気性の良いメッシュ材であって、身頃パーツA1や前掛けパーツA2と異なる素材であってもよい。
【0039】
外幕パーツBは、略三角形状の左右対称に設けられている布材であって、取り付け時に最上部に位置する外幕上辺B1と、外幕パーツBの内側方向に向けて傾斜を付けて設けられている外幕の側辺である外幕第一側辺B2と、外幕第一側辺B2と隣接し、外幕第一側辺B2よりも内側方向に向くゆるい傾斜をもつ側辺である外幕第二側辺B3と、外幕第二側辺B3と隣接し、外幕パーツBの中心から離れる方向に向く曲線である外幕曲辺B4を有する。なお、実施形態において外幕パーツBは、少なくともマチパーツA3よりも厚く、好ましくは本体パーツAよりも厚い布材であり、陰茎の形状が外から浮かばないようにしている。
【0040】
外幕第一側辺B2及び外幕第二側辺B3は、身頃第一側辺A12及び身頃第二側辺A13と対応する長さや角度となるように設けられており、さらに外幕第一側辺B2は、身頃第一側辺A12に対応する長さや角度となるように設けられている。また、外幕曲辺B4の曲率半径はマチ曲部A32の曲率半径と略同一になるように設けられている。
【0041】
また、外幕上辺B1の上部には、外幕上辺B1を軸に線対称とする部分、外幕上辺B1から2~6cm上方向に対称に突出する折り返し部B5が設けられている。折り返し部B5は、外幕上辺B1を軸として、折り返された状態で縁辺が外幕パーツ本体と縫合されることによって、外幕本体21の上端を布が重なりあう状態とする。これにより、肌触りをよくするとともに使用者が外幕2を摺動によってめくりやすくできる。
【0042】
実施形態において、身頃第一側辺A12よりも、身頃第二側辺A13の方が長く設けられている。これにより、前掛け下辺A23の下方の空間が狭くなり、陰茎Pを上向きに保持しやすくできる。
【0043】
上記パーツを組み合わせてパンツXを製造する製造者は、まず、それぞれのパーツの所定位置に弾性部材14を取り付ける。実施形態で取り付ける位置は、
図5においてジグザグ線で示す、身頃上辺A11、前掛け上辺A21、前掛け下辺A23、折り返し部B5の上端部(折り返し部B5において折り返された状態にあるときに最も下側に位置する辺)である。これによって、使用者の腰回りでパンツXを適切に保持し、さらに陰茎Pの直上を適切に抑え、外幕パーツBの弾性を補強することができる。
【0044】
さらに、弾性部材14は、外幕第二側辺B3と、外幕曲辺B4との境界付近の点同士を架け渡すように設けられていてもよい。これにより、使用時に陰嚢と陰茎の境界を抑えつける力が発生し、陰嚢と陰茎の接触を低減させ、使用時の快適性を高める。
【0045】
次に、製造者は、外幕上辺B1を軸として折り返し部B5を後方に折り返し、その状態で折り返し部B5を接合する。このとき、折り返し部B5の上端部で外幕パーツBの本体と縫合し、布材が二重となるようにし、折り返し部B5で摺動可能となるようにする。
【0046】
次に、製造者は、接合工程としてパーツ同士を接合する。接合の順序は前後してもよく、必要に応じて折り返しを設けてもよい。まず製造者は、マチ曲部A32と、外幕曲辺B4とを縁辺において縫合する。続いて、身頃第三側辺A14と、マチ前辺A31とをそれぞれ縫合する。さらに、製造者は、マチパーツA3を曲げた状態で、マチ後辺A33と身頃曲辺A16とを縫合することで、身頃にマチを取り付ける。
【0047】
次に製造者は、身頃パーツA1にマチパーツA3が取り付けられたものの前側を表面とする。製造者はその上に、前掛けパーツA2を重ね、さらにその上に外幕パーツBを重ねる。
重ね方について、身頃第一側辺A12と前掛け側辺A22と外幕第一側辺B2が重なるように配置し、さらに身頃第二側辺A13と外幕第二側辺B3とが重なるように配置する。そして、製造者は身頃第一側辺A12と前掛け側辺A22と外幕第一側辺B2とを同時に縫合し、さらに身頃第二側辺A13と外幕第二側辺B3とを縫合する。
これにより、パンツXを製造することができる。
【0048】
このようにパーツを準備し、縫合することによって、穴のあるパーツを設けず布地から切り出しやすくするとともに部品点数を削減し、製造方法を単純にすることができる。また、開口部13を前掛け部12の下端に配置し、さらに外幕2を略逆三角形状とし、傾斜に変化を付けて縁辺が縫合されていることによって、陰茎Pを上方向に向きやすくしている。
【0049】
以下、
図1~
図6を用いて、本発明の実施の方法について詳述する。本発明は、パンツXを穿く目的を持つ使用者によって実施される。また、以下に示す実施の方法は一例であり、実施の方法はこれに限られず、順番は前後してもよい。なお、
図6には、パンツXを穿いている状態にある使用者の断面図を示しており、パンツX以外の領域では断面線を省略している。
【0050】
使用者は、まず、履き口から足を通し、腰回り部3が腰に位置するまで持ち上げる。このとき、陰茎Pは前掛け部12の後ろ側に下に向けて位置している。
【0051】
次に使用者は、開口部13に陰茎Pを入れ込み、前掛け部12と外幕2との間の保持部22に陰茎Pを挟むことによって、上向きになるように陰茎Pを押し付けて支持する。
【0052】
最後に使用者は、
図6のように開口部13からはみ出た陰毛Hを開口部13の外側から内側に入れ込む。これにより、陰茎Pと陰毛Hが絡まることを防止するとともに、露出させた際の見た目をよくすることができる。
【0053】
また、使用者が陰茎Pを露出させたい時には、取り出し部23に手を入れて下方向又は前方向に外幕2をめくることによって行う。これにより、簡単かつかっこよく陰茎を露出させることができる。この際、画像部123が背景となることによって、意匠性をさらに向上させることができる。
さらに、使用者が陰茎Pを収納するときには、外幕2を持ちあげるだけで良く、保持部22に弾性部材14による補強パーツが設けられている場合には、弾発音を出しながらかっこよく収納することができる。
【0054】
他の実施例として、画像部123を、
図7に示すような模様とすることができる。すなわち、前掛け下辺A23(下端部122)の下方の一点を中心として同心円状の模様を等間隔に設ける。これにより、陰茎の大きさや、勃起の具合のバロメーターとして利用することができるため、親しい人とのコミュニケーションの一助とすることができる。
また、パンツ本体1の大きさを変えずに、外幕2の大きさでバリエーションを複数製造することによっても陰茎の大きさや勃起の具合のバロメーターとして利用することができる。
【0055】
また他の実施形態として、
図8に示すように、外幕本体21の下部において、使用時に使用者の陰嚢が格納される空間である陰嚢ケース24を設けてもよい。実施形態において陰嚢ケース24は、外幕本体21下方の一部に設けられており、前側に向けてマチを付け、膨らむようにして空間を形成している。なお、陰嚢ケース24は、通気性の高いメッシュ素材であることでムレを抑制する。
【0056】
外幕パーツBにおいて、陰嚢ケース24を形成する部分は、外幕第二側辺B3及び外幕曲辺B4に囲まれる部分であり、少なくとも完成品において前掛けパーツA2と当接せずに離間する。陰嚢ケース24を形成する部分は、左右方向の中心に上下に延びる線上で接合されており、身頃パーツA1及びマチパーツA3と、前後方向にゆとりを付けて縫合される。なお、陰嚢ケース24は、立体的形状を保つために内側に剛性の板材が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0057】
X パンツ
1 パンツ本体
11 身頃部
12 前掛け部
121 前掛け本体
122 下端部
123 画像部
13 開口部
14 弾性部材
2 外幕
21 外幕本体
22 保持部
23 取り出し部
24 陰嚢ケース
3 腰回り部
A 本体パーツ
A1 身頃パーツ
A11 身頃上辺
A12 身頃第一側辺
A13 身頃第二側辺
A14 身頃第三側辺
A15 足回り辺
A16 身頃曲辺
A2 前掛けパーツ
A21 前掛け上辺
A22 前掛け側辺
A23 前掛け下辺
A3 マチパーツ
A31 マチ前辺
A32 マチ曲部
A33 マチ後辺
B 外幕パーツ
B1 外幕上辺
B2 外幕第一側辺
B3 外幕第二側辺
B4 外幕曲辺
B5 折り返し部
P 陰茎
H 陰毛