(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025120766
(43)【公開日】2025-08-18
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/641 20060101AFI20250808BHJP
H01R 13/639 20060101ALI20250808BHJP
【FI】
H01R13/641
H01R13/639 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024015845
(22)【出願日】2024-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】TE Connectivity Japan合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】浦池 大輔
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FB07
5E021FC05
5E021FC31
5E021JA05
5E021KA05
(57)【要約】
【課題】より好適なケーブル配策を可能とするコネクタ位置保証機構を備えるコネクタを提供すること。
【解決手段】ハウジングと、前記ハウジングに取り付けられるスライド部材とを備え、前記ハウジングは、相手コネクタと組み合わされる嵌合口を備え、前記スライド部材は、前記ハウジングの内部にて、前記相手コネクタとの嵌合方向に沿ってスライド可能であり、前記ハウジングと前記相手コネクタとが未嵌合である状態における前記スライド部材の初期位置が、前記ハウジング内に位置する、コネクタが提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジングに取り付けられるスライド部材とを備え、
前記ハウジングは、相手コネクタと組み合わされる嵌合口を備え、
前記スライド部材は、前記ハウジングの内部にて、前記相手コネクタとの嵌合方向に沿ってスライド可能であり、
前記ハウジングと前記相手コネクタとの嵌合完了前までの状態における前記スライド部材の初期位置が、前記ハウジング内に位置する、コネクタ。
【請求項2】
前記スライド部材が、前記ハウジングと前記相手コネクタとの嵌合が完了した状態にて、前記初期位置から、前記初期位置より前記嵌合口側に位置する嵌合完了位置にまでスライド移動可能となっている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記スライド部材が前記ハウジングの内部側に収容されている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記スライド部材が、前記スライド部材のスライド方向にて前記嵌合口の反対側に位置する基部を備え、
前記基部が前記ハウジングの内部側に位置する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングが、前記スライド部材のスライド方向に沿って延在する側壁を備え、
前記初期位置にある前記スライド部材は、前記側壁よりも前記ハウジングの内部側に位置している、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記ハウジングが、前記スライド部材のスライド方向に沿って延在する側壁を備え、
前記基部が、前記ハウジングの外側に位置する角部を備え、
前記側壁が、前記角部を覆っている、請求項4に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記ハウジングが、前記スライド部材のスライド方向に沿って延在する側壁を備え、
前記側壁は、前記スライド部材のスライド方向にて前記嵌合口の反対側に位置する端面を備え、
前記端面が、前記初期位置にある前記スライド部材の前記基部の外面と面一となっている、請求項4に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記ハウジングが、前記スライド部材のスライド方向に沿って延在する側壁を備え、
前記側壁は、前記スライド部材のスライド方向にて前記嵌合口の反対側に位置する端面を備え、
前記基部は、前記スライド方向にて前記端面よりも前記ハウジングの内部側に位置する、請求項4に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記ハウジングが、前記スライド部材のスライド方向に沿って延在する側壁を備え、
前記側壁は、前記スライド方向に沿って延在するガイド部を備え、
前記初期位置での前記スライド部材の前記基部は、前記側壁と対向する側面にて、前記ガイド部と凹凸係合可能となっている、請求項4に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記ガイド部は、前記側壁にて、前記ハウジングの内側に向かって突出した凸形状を備え、
前記スライド部材は、前記側壁と対向する側面にて、前記スライド方向に沿って延在する溝部を備え、
前記スライド部材は、前記溝部と係合した前記ガイド部に沿って摺動可能となっている、請求項9に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記ハウジングが、
前記スライド部材を挟んで互いに対向し、前記スライド部材のスライド方向に沿って延在する2つの側壁と、
前記2つの側壁の間を連結し、且つ前記スライド方向に沿って、前記嵌合口の反対側に位置する前記側壁の端面にまで延在する支持部と
を備え、
前記スライド部材が、前記支持部上で前記スライド方向に沿ってスライド可能に構成される、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記スライド部材が、前記スライド部材のスライド方向にて前記嵌合口の反対側に位置する基部を備え、
前記初期位置における前記基部が、前記支持部上に配置される、請求項11に記載のコネクタ。
【請求項13】
前記ハウジングが、前記スライド部材のスライド方向に沿って延在する側壁を備え、
前記側壁は、前記スライド部材が、前記初期位置より前記嵌合口側の嵌合完了位置に配置されていることを検知可能な窓部を備える、請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はコネクタに関する。特に、本開示は、相手コネクタとの嵌合が完了した状態にあることを保証する機構を備えるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、相手コネクタとの嵌合を保証するCPA(Connector Position Assurance)機構を備えるコネクタが開示されている。
【0003】
かかるコネクタは、ハウジングに取り付けられたスライド部材を待機位置からロック位置に向かってスライドさせることで、相手コネクタとの嵌合の完了を確認可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、従来のCPA機構を備えるコネクタに克服すべき課題があることに気づき、そのための対策をとる必要性を見出した。具体的には、以下の課題があることを見出した。
【0006】
例えば、特許文献1に記載のコネクタでは、ハウジングから、コネクタの外部にスライド部材が突出している。一般に、コネクタの周囲には、当該コネクタ、および当該コネクタの周囲に位置付けられる他のコネクタから延出するケーブルが存在する。従来のコネクタでは、コネクタの周囲に存在するケーブルの配策に際して、ハウジングから突出するスライド部材にケーブルが引っ掛かり、場合によってはケーブルおよび/またはスライド部材の破損が発生する虞がある。
【0007】
本開示は、かかる課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本開示の主たる目的は、より好適なケーブル配策を可能とするコネクタ位置保証機構を備えるコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本開示では、ハウジングと、前記ハウジングに取り付けられるスライド部材とを備え、
前記ハウジングは、相手コネクタと組み合わされる嵌合口を備え、
前記スライド部材は、前記ハウジングの内部にて、前記相手コネクタとの嵌合方向に沿ってスライド可能であり、
前記ハウジングと前記相手コネクタとの嵌合完了までの状態における前記スライド部材の初期位置が、前記ハウジング内に位置する、コネクタが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係るコネクタは、コネクタ位置保証機構を備え、且つより好適なケーブル配策を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係るコネクタの正面側を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施形態に係るコネクタの背面側を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本開示の一実施形態に係るコネクタを模式的に示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は、本開示の一実施形態に係るハウジングの正面側を模式的に示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本開示の一実施形態に係るハウジングの背面側を模式的に示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施形態に係るハウジングを模式的に示す上面図である。
【
図7】
図7は、本開示の一実施形態に係るハウジングを模式的に示す側面図である。
【
図8】
図8は、本開示の一実施形態に係るスライド部材を模式的に示す斜視図である。
【
図9】
図9は、本開示の一実施形態に係るスライド部材を模式的に示す側面図である。
【
図10】
図10は、本開示の一実施形態に係るコネクタにおいて、スライド部材が第1位置にある状態を模式的に示す斜視図である。
【
図11】
図11は、本開示の一実施形態に係るコネクタにおいて、スライド部材が第1位置にある状態を模式的に示す上面図である。
【
図12】
図12は、本開示の一実施形態に係るコネクタにおいて、スライド部材が第1位置にある状態を模式的に示す側面図である。
【
図13】
図13は、本開示の一実施形態に係るコネクタにおいて、スライド部材が第1位置にある状態を模式的に示す背面図である。
【
図16】
図16は、本開示の一実施形態に係るコネクタにおいて、スライド部材が第1位置と第2位置との間に位置する状態のB-B断面を模式的に示す断面図である。
【
図17】
図17は、本開示の一実施形態に係るコネクタにおいて、スライド部材が第2位置にある状態を模式的に示す斜視図である。
【
図18】
図18は、本開示の一実施形態に係るコネクタにおいて、スライド部材が第2位置にある状態を模式的に示す上面図である。
【
図19】
図19は、本開示の一実施形態に係るコネクタにおいて、スライド部材が第2位置にある状態を模式的に示す側面図である。
【
図20】
図20は、本開示の一実施形態に係るコネクタにおいて、スライド部材が第2位置にある状態を模式的に示すA-A断面図である。
【
図21】
図21は、本開示の一実施形態に係るコネクタにおいて、スライド部材が第2位置にある状態を模式的に示すB-B断面図である。
【
図22】
図22は、コネクタの従来構造を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、図面を参照して本開示の一実施形態に係るコネクタをより詳細に説明する。図面における各種の要素は、本開示の説明のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。
【0012】
さらに、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語を用いる。しかしながら、これらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、これらの用語の意味によって本開示の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面の同一符号の部分は、同一または同等の部分を指す。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合がある。
【0013】
また、本開示の例示態様の説明は、添付の図面(記載された説明全体の一部とみなされる図面)に関連して読まれることを意図している。本願明細書で開示される本開示の態様に関する説明において、方向または向きに関する言及は、単に説明の便宜上であり、本開示の範囲を限定することは意図されていない。「下方」、「上方」、「水平」、「垂直」、「上」、「下」、「頂」、「底」などの相対的な用語、ならびに、その派生用語、「水平に」、「下方に」、「上方に」などは、記載された如くまたは図示される如くの方向に言及すると解されるべきである。かかる相対的な用語は説明の便宜のためのみであり、特に明示的な説明がされない限り、特定の方向に装置が構成または操作されていることを要するものではない。また、「取り付けられた」、「付加された」、「接続された」、「結合された」および「相互接続された」などの用語、ならびに、同様の用語は、別途で明示的に説明されない限り、介在物によって構造物同士が互いに直接的または間接的に固定または取り付けられている関係や、双方が可動もしくは剛性の取り付けまたはその関係であることを述べている。
【0014】
本開示の特徴または利益は、好ましい態様を参照することによって例示されている。このような態様は十分に詳細に説明されており、当業者が本開示を実施できるようになっている。また、他の態様も利用することができ、プロセス、電気的もしくは機械的な変更が本開示の範囲を逸脱せずに可能であることを理解されたい。便宜上、実施形態に分けて示す場合があるものの、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組合せは可能である。したがって、本開示は、考えられる特徴の非制限的な組合せを例示する好ましい態様(単独または他の特徴と組み合わされた態様)に明示的に限定されない。後述の実施形態においては、前述と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態ごとに逐次言及しないものとする。
【0015】
本開示の特徴は、コネクタにおけるコネクタ位置保証機構に関連するハウジングの構造に関係する。ただし、ここでは、コネクタの全体構造の把握のため、図面を参照して、以下にコネクタ構造の概要を説明する。
【0016】
[コネクタの基本構造]
図1は、本開示の一実施形態に係るコネクタを模式的に示す斜視図である。
図2は、
図1に示すコネクタ100を
図1とは反対側から捉えた斜視図である。
図3は、本開示の一実施形態に係るコネクタの分解図である。コネクタ100は、主たる構成要素として、ハウジング10と、ハウジング10内に配置される端子(図示せず)と、当該端子に接続されるケーブル20とを備える。コネクタ100は、ハウジング10に取り付けられるスライド部材50をさらに備える。
【0017】
ハウジング10は、相手コネクタとの嵌合に際して、相手コネクタと組み合わされる嵌合口12を備える。嵌合口12にてコネクタと相手コネクタとが組み合わされることで、ハウジング10内の端子と相手コネクタの端子とが接触し、コネクタ同士が電気的に接続される。
【0018】
本明細書では、ハウジング10の嵌合口12が位置する側をコネクタ100の正面側、当該正面側の反対側をコネクタ100の背面側と称する。また、コネクタと相手コネクタとの嵌合および脱嵌合の方向をZ方向と称する。すなわち、コネクタ100の正面側と背面側とは、Z方向にて互いに対向して位置付けられる。
【0019】
図4および
図5は、それぞれ、本開示の一実施形態に係るハウジングを模式的に示す斜視図である。また、
図6および
図7は、それぞれ、本開示の一実施形態に係るハウジングの上面図および側面図である。ハウジング10は、Z方向と交差する方向にて互いに対向する2つの側壁14と、当該2つの側面を接続する第1主面11aおよび第2主面11bとを備える。第1主面11aと第2主面11bとは、互いに対向して位置付けられる(
図7参照)。例えば、
図4~
図7に示すように、2つの側壁14は、Z方向と交差するコネクタの幅方向Xにて互いに対向していてよい。第1主面11aと第2主面11bとは、Z方向およびX方向と互いに交差するY方向にて互いに対向していてよい。
【0020】
一実施形態において、コネクタ100は、L型コネクタであってよい。より具体的には、コネクタは、相手コネクタとの嵌合方向と交差する方向(例えば、
図1におけるY方向)にケーブルが引き出されるL字型のコネクタであってよい。例えば、
図1に示されるように、コネクタ100は、ハウジング10の第2主面11bにケーブル20の引出口を備えていてよい。
【0021】
コネクタ100は、さらに相手コネクタとの嵌合完了を保証するコネクタ位置保証機構(CPA機構)を備える。コネクタ位置保証機構は、スライド部材50と、スライド部材50を取付可能なスライド部材取付部15とを備える。位置保証部材取付部15はコネクタ100のハウジング10に形成されてよい。本開示のコネクタ100は、主として位置保証部材取付部15の構造に特徴を備えるものであり、公知のコネクタ位置保証機構に応用することが可能である。以下に、例示的なコネクタ位置保証機構について説明する。
【0022】
コネクタ100のハウジング10には、相手コネクタとの嵌合状態に応じてスライド移動可能に構成されるスライド部材50が取付けられる(
図1参照)。ハウジング10は、スライド部材50を取り付け可能なスライド部材取付部15をさらに備える。スライド部材取付部15は、ハウジング10の第1主面11a側に設けられていてよい。すなわち、スライド部材50は、ハウジング10の第1主面11a側に取り付けられてよい。スライド部材取付部15は、Z方向に沿って背面側から正面側に延在する、スライド部材50のスライド移動を可能とするスライド通路152を備えてよい(
図4~
図7参照)。スライド部材50は、スライド通路152にて、コネクタ100と相手コネクタとの嵌合方向(すなわち、Z方向)に沿ってスライド移動可能となっている。
【0023】
スライド部材取付部15には、スライド部材50が載置される支持部16が設けられていてよい(
図5参照)。支持部16は、ハウジング10の内部にて、スライド部材50のスライド方向であるZ方向に沿って延在する。スライド部材50は、当該支持部16上をスライド移動してよい。また、ハウジング10には、支持部16の両側に立設する2つの側壁14が設けられる。つまり、スライド部材取付部15は、ハウジング10の内部に形成された支持部16と、当該支持部16の両側に設けられたハウジング10の側壁14とによって画定される空間と解され得る。
【0024】
スライド部材取付部15にて、スライド部材50は、コネクタ100の背面側の第1位置50A(
図10参照)と、コネクタ100の正面側の第2位置50B(
図17参照)との間をスライド移動可能となっている。つまり、スライド部材50は、第1位置50Aと第2位置50Bとの間にて、コネクタ100の嵌合方向Zに沿ってスライド移動することができる。
図10~
図15は、それぞれ、第1位置にあるスライド部材50Aを備えるハウジング10を示す模式図である。
図16は、スライド部材50が第1位置と第2位置との間に位置する状態を模式的に示す断面図である。また、
図17~
図21は、それぞれ、第2位置にあるスライド部材50Bを備えるハウジング10を示す模式図である。
【0025】
コネクタと相手コネクタとが組み合わされる前の状態において、スライド部材は第1位置50Aに配置される。コネクタが相手コネクタと組み合わされた後、スライド部材50を第2位置50Bにスライドさせることにより、コネクタと相手コネクタとが正常に嵌合完了していることが保証される。第1位置50Aは、例えばスライド部材の「初期位置」と称すことができる。第2位置50Bは、例えば「嵌合完了位置」、「嵌合完了保証位置」などと称すこともできる。このような機構は、コネクタ位置保証機構、またはCPA機構と称されるところ、スライド部材50およびスライド部材取付部15は、それぞれ、位置保証部材またはCPA部材、ならびに位置保証部材取付部またはCPA部材取付部などと称すこともできる。
【0026】
図8および
図9は、それぞれ、本開示の一実施形態に係るスライド部材を模式的に示す斜視図および側面図である。スライド部材50は、コネクタ100の正面側に向かって片持ち梁形状に延在する弾性アーム55を備えてよい。弾性アーム55は、第1主面11a側に向かって突出した先端552を備える。コネクタと相手コネクタとが未嵌合状態にあり、スライド部材50が第1位置50Aにある状態にて、当該弾性アーム55の先端552は、ハウジングに設けられた保持部154に対面する(
図15参照)。未嵌合状態においては、弾性アーム55の先端552における正面側に位置する面552aとハウジング10の保持部154とが当接することにより、スライド部材50は第1位置50Aから第2位置50B(
図21参照)に向かってスライド移動することができない。つまり、未嵌合状態において、スライド部材50は、弾性アーム55とハウジング10の保持部154との当接によって第1位置50Aに保持される。なお、本明細書において「未嵌合状態」とは、コネクタと相手コネクタとの嵌合完了前までの状態を意味する。端的に言えば、嵌合完了前までの状態とは、嵌合完了状態を除く状態に相当する。つまり、「未嵌合状態」とは、コネクタと相手コネクタとの嵌合が完了していない状態であり、嵌合前の状態、コネクタと相手コネクタとの嵌合開始時点から嵌合操作の途中の状態を包含する。すなわち、スライド部材は、コネクタと相手コネクタとの嵌合が完了した状態を除き、第1位置50Aにて保持される。
【0027】
コネクタと相手コネクタとが嵌合されると、相手コネクタとスライド部材50の弾性アーム55とが互いに当接し、弾性アーム55はハウジング10の内部に向かって撓ませられる。これにより、弾性アーム55とハウジング10の保持部154とのスライド方向Zにおける当接が解除され、スライド部材50の第2位置50B(
図21参照)に向かうスライド移動が可能となる。この状態でスライド部材50がスライド方向Zに沿って正面側に押し込まれると、弾性アーム55の先端に形成された傾斜面552aと保持部154と当接しながら、弾性アーム55がハウジング10の内部側に撓ませられる(
図16参照)。スライド部材50をさらに押し込むと、スライド通路152を通ってスライド部材50が第2位置50Bにまで移動することができる(
図21参照)。
【0028】
図20に示すように、第2位置50Bにまで移動したスライド部材50は、サイドアーム56の先端の鉤部562がハウジングの係止面159に当接することにより、第2位置50Bよりさらに正面側への移動が制限されてよい。また、弾性アーム55の先端552の背面側の面552b(
図9参照)が保持部154と当接することにより、第2位置50Bにて保持されてもよい。面552bは、第2位置50Bから第1方向50A(
図12参照)に向かって(すなわち、コネクタの背面側に向かって)漸次傾斜する傾斜面であってよい。かかる特徴により、ユーザが基部52を背面側に引っ張ると、スライド部材50を第1位置50Aにスライド移動させることができる。
【0029】
すなわち、コネクタと相手コネクタとが正常に嵌合されることで、スライド部材50を第2位置50Bにスライド移動させることが可能となる。換言すれば、コネクタと相手コネクタとが正常に嵌合されていない未嵌合状態では、スライド部材50の第1位置50Aから第2位置50Bへの移動が防止される一方で、コネクタと相手コネクタとが嵌合した嵌合完了状態では、スライド部材50を第1位置50Aから第2位置50Bに向かって移動させることができる。つまり、嵌合完了状態以外の状態では、スライド部材50は第2位置50Bに向かってスライド移動不可となっている。かかる構造により、ユーザは、スライド部材50を第2位置50Bにスライドさせることで、コネクタと相手コネクタとが正常に嵌合完了しているか否かを判断することができる。
【0030】
[本開示のコネクタの特徴]
本開示のコネクタ100は、スライド部材50の取付構造に特徴を有する。以下に、本開示のコネクタ100の特徴について詳細に説明する。
【0031】
本開示のコネクタ100は、スライド部材50がハウジング10内にてスライド移動可能となっている点に特徴を有する。本開示のコネクタ100において、ハウジング10と相手コネクタとが未嵌合である状態におけるスライド部材50は、ハウジング10内に位置する。つまり、本開示のコネクタ100は、スライド部材50の初期位置が、ハウジングの内部側となるように構成される。より具体的には、本開示のコネクタ100において、スライド部材50は、ハウジング10内の第1位置50Aと、同じくハウジング10内にあり、第1位置50Aより正面側に位置する第2位置50Bとの間でスライド移動可能に構成される。つまり、スライド部材50は、ハウジング10の内部側に取り付けられていてよい。例えば、スライド部材50がハウジング10から外部に飛び出すことのないように、コネクタには、スライド部材50の第1位置50Aより背面側への移動を防止するストッパ機構が設けられていてよい。
【0032】
例えば、
図8に示すように、スライド部材50が、ハウジング10の側壁14側に配置されるサイドアーム56を備え、当該サイドアーム56の先端に鉤部562が形成されていてよい。他方で、
図4に示すように、ハウジング10のスライド部材取付部15には、サイドアーム56の先端の鉤部562と係合可能な係合面153が形成されていてよい。
図14に示すように、第1位置にあるスライド部材50Aは、ハウジング10の係合面153とスライド部材の鉤部562との係合により、第1位置50Aより背面側に向かう移動が防止されていてよい。斯かる係合は、スライド部材50がハウジング10の外部に突出することを防止することにも寄与している。
【0033】
ここで、本開示における「ハウジング内」、「ハウジングの内部」、「ハウジングの内部側」とは、対象物がハウジング10の外輪郭と一致する位置、または外輪郭より内側に存在することを意味する。つまり、対象物は必ずしもハウジング10によって包囲されていなくてよく、例えば、対象物の一部分がハウジング10の外輪郭を成し、ハウジング10の外側に露出していてもよい。これは、ハウジング10の一部と対象物の一部分とが成す面が略平坦であることを意味する。
【0034】
かかる構成において、スライド部材50は、ハウジング10の外部側に突出する部分を備えない。スライド部材50は、最も背面側の配置である第1位置50Aにある場合においても、ハウジング10の外部側には突出していない。つまり、スライド部材50は、第1位置50Aおよび第2位置50Bのいずれにおいても、コネクタ100の背面側において、ハウジング10の外輪郭から突出することなくハウジング10の内部側に位置していてよい。換言すれば、ハウジング10のスライド部材取付部15は、ハウジング10の内部側にスライド部材50が位置付けられるように構成されていてよい。
【0035】
上述の構成によれば、スライド部材50がハウジング10の内部側に位置しているため、スライド部材50がハウジング10から突出することなく、その内部に配置される。そのため、コネクタ10の周囲に配されるケーブル20A(
図22参照)がスライド部材50に引っかかる虞を低減できる。これにより、ケーブルの配策に際するケーブル20Aの引っ掛かりに起因する、ケーブル20Aおよび/またはコネクタの破損を抑制可能となる。さらに、ケーブル20Aがスライド部材50に引っかかることが抑制されるため、ケーブルの配策における作業効率が向上し得る。したがって、本開示によれば、より好適なケーブル配策を可能とするコネクタが供される。
【0036】
図10~
図21に示されるように、スライド部材50は、コネクタ100の背面側に位置する基部52を備えてよい。基部52は、スライド部材50の背面側の端部に位置付けられていてよい。そのため、当該基部52は、スライド部材50の背面側端部と称すこともできる。ユーザは、基部52を操作することによってスライド部材50をスライド移動させてよい。
【0037】
基部52は、ハウジング10の背面側に配置される外面52aを備える。外面52aは、背面側に位置するスライド部材50の端面と解することもできる。ユーザは、外面52aを押し込むことによってスライド部材50を第1位置から第2位置に向かってスライド移動させることができる。
図12に示すように、外面52aは、側壁14の端面14aの延在方向Yに対して、ハウジング10の第1主面側11aに向かって漸次コネクタの正面方向に傾斜する傾斜面であってよい。例えば、傾斜面は平面であってよく、または
図12に示す側面視にて曲面が含まれていてもよい。かかる構造により、スライド部材50は、ユーザによるスライド部材50の押し込みに際して、スライド方向Xに対して斜めに力が加えられた際においても、円滑に第1位置から第2位置に向かってスライド移動可能となり得る。すなわち、ユーザによるスライド部材50の押し込み方向がスライド方向Xに沿う方向に限定されないため、スライド部材50の移動における操作性が向上し得る。
【0038】
また、
図9に示すように、基部52の外面52aには、外面52aの延在方向に沿って延在する1つまたは複数の隆起部521が形成されていてもよい。例えば、外面52aは、コネクタの幅方向Xに沿って線状に延在する2つ以上の隆起部521を有していてよい。かかる隆起部521は、ユーザがスライド部材50をスライド移動させるに際して、滑り止めとして機能し得、スライド部材50の移動における操作性の向上に寄与し得る。
【0039】
本開示のコネクタ100において、スライド部材50の基部52は、ハウジング10の内部側に位置してよい。つまり、スライド部材50が第1位置50Aにある場合、および第2位置50Bにある場合のいずれにおいても、スライド部材50の背面側の端部はハウジング10の内部側に位置してよい。例えば、基部52の両側にハウジング10の側壁14が位置付けられることにより、基部52を含むスライド部材50の全体がハウジング10の内部側に配置されていてもよい。換言すれば、側壁14は、スライド部材50をハウジング10の内部側に位置付けるように、少なくとも第1位置に存在するスライド部材50の基部52の外面52aにまで、スライド方向Zに沿って延在していてよい。つまり、第1位置にあるスライド部材50Aの基部52は、ハウジング10の側壁14の間に位置付けられていてもよい。
【0040】
より具体的には、スライド部材50が第1位置50Aにある状態にて、スライド部材50の基部52は、ハウジング10の側壁14の背面側の端面14aと実質的に面一となるように配置されていてよい。すなわち、スライド部材50が第1位置にある状態にて、ハウジング10の背面側は、スライド部材50の基部52とハウジング10の側壁14の端面14aとによって略平坦となっていてよい。本明細書における「実質的に面一」および「略平坦」とは、側面視にて、スライド部材50の基部52がハウジング10の背面側から突出することなく、端面14aと同一平面上に位置付けられていることを意味し、微小な凹凸などは許容される。かかる構造によれば、スライド部材50が第1位置にある状態にて、ケーブルの引っ掛かりの要因となり得るスライド部材50の突出がないため、より好適なケーブルの配策が可能となる。
【0041】
代替的には、スライド部材50が第1位置50Aにある状態にて、スライド部材50の基部52は、ハウジング10の側壁14の背面側の端面14aよりも内側に位置付けられていてよい。すなわち、側面視にて、スライド部材50の基部52は、ハウジング10の側壁14の端面14aよりもZ方向に関してハウジング10の内側にオフセットされていてよい。換言すれば、ハウジング10の側壁14は、Z方向に沿って、第1位置に配置されるスライド部材50の基部52よりも外側にまで延在していてよい。かかる構造によれば、スライド部材50がハウジング10の側壁14によって外部から好適に保護されるため、ケーブルの配策に際する引っ掛かりに起因するスライド部材50の破損を抑制可能となる。また、スライド部材50は、ハウジング10の内部の第1位置と第2位置との間でスライド移動するため、当該スライド移動に際して、コネクタ100の周囲に配されるケーブルが誤って挟まれることを抑制可能となる。
【0042】
上述の構成において、スライド部材50は、第1位置50Aおよび第2位置50Bのいずれにおいても、スライド部材50の側部がハウジング10の側壁14と対向するように構成されていてよい。例えば、スライド部材50は、第1位置および第2位置のいずれにおいても、スライド部材50の側部がスライド方向Zにわたってハウジング10の側壁14と対向するように構成されていてよい。一実施形態においては、スライド部材50の側部が全領域にわたってハウジングの側壁14と対向していてもよい。これにより、スライド部材取付部15に配置されるスライド部材50は、コネクタ100の内部側にスライドされた後の第2位置50Bにある状態のみならず、コネクタ100の背面側に位置する第1位置50Aにある状態においても、ハウジング10の側壁14によってハウジング10内にて好適に保持され得る。これにより、ハウジング10内におけるスライド部材50のガタつきが抑制され得、スライド部材50のスライド移動をより円滑に実施可能となる。
【0043】
ハウジング10の側壁14は、スライド部材50の移動方向であるZ方向に沿って延在するガイド部157をさらに備えてよい(
図5参照)。ガイド部157は、側壁14の内面側にて、側壁14の端面14aにまで延在していてよい。側壁14と対向するスライド部材50の側面は、ガイド部17と凹凸係合可能に構成されていてよい。より具体的には、
図8および
図9に示すように、スライド部材50の基部52は、第1位置において、側壁と対向する側面にて、ガイド部と凹凸係合可能となっていてよい。スライド部材50は、側面にて、ガイド部157と凹凸係合可能な被ガイド部53を備えてよい。スライド部材50は、ガイド部157と被ガイド部53とは互いに組み合わされた状態で、ガイド部17に沿って摺動することで、方向Zにスライド移動可能となっていてよい(
図10および
図13参照)。すなわち、ガイド部157は、スライド部材50のスライド移動の案内に資することができる。
【0044】
スライド部材50の被ガイド部53は、基部52にまで延在するように形成されてよい。例えば、被ガイド部53は、スライド部材50の背面側の端面52aにまで延在するように形成されていてよい。上述したように、本開示のコネクタ100において、スライド部材50はコネクタ100の内部側に位置付けられ、ハウジング100内の第1位置50Aおよび第2位置50Bとの間でスライド可能となっている。そのため、スライド部材50は、被ガイド部53の全領域にわたってハウジング10のガイド部17と凹凸係合した状態で、第1位置50Aと第2位置50Bとの間をスライド移動可能となる。
【0045】
具体的には、スライド部材50は、ハウジング10の側壁14と対向する側にて、スライド部材50がスライドするZ方向に沿って延在する溝部53を備えていてよい。また、ハウジング10の側壁14に設けられたガイド部157は、当該溝部53と組み合わせ可能に構成された、Z方向に沿って延在するリブであってよい。リブ157は、ハウジング10の側壁14からハウジング10の内部側に向かって突出していてよい。スライド部材50は、溝部53にハウジング10のリブ157が入り込むようにしてスライド部材取付部15と組み合わされ、当該リブ17によってZ方向に沿うスライド移動を案内されてよい。
【0046】
図22は、従来のコネクタ200を模式的に示す斜視図である。図示されるように、従来のコネクタ200では、スライド部材50が最も背面側(すなわち、第1位置に相当する位置)にある状態において、スライド部材50の背面側の一部がハウジング10から突出している。そのため、スライド部材50が第1位置にある状態では、溝部53の背面側の一部分は、ハウジング10の外側にとび出しているためにハウジング10のリブと組み合わされない。このような構造では、スライド部材50が第1位置にある場合に、スライド部材50の正面側のみがハウジング10によって保持されることになるため、スライド部材50がガタつく虞がある。
【0047】
一方で、
図10に示すような本開示のコネクタでは、スライド部材50が第1位置にある状態においても、背面側の溝部53は、ハウジング10からはみ出すことなく、リブ157と組み合わせられる。より具体的には、第1位置に配置されたスライド部材50Aにおいて、基部52の外面52aにまで延在する溝部53がハウジング10のリブ157と組み合わされる。このため、本開示のコネクタ100によれば、スライド部材50が最も背面側に位置する(すなわち、第1位置に位置する)場合においても、スライド部材50の溝部53とハウジング10のリブ157とが広範囲にわたって互いに組み合わされることにより、スライド部材50のガタつきをより好適に抑制可能となる。
【0048】
なお、図面および上記では、スライド部材50が溝部53を備え、ハウジング10がリブ157を備えるものとして説明しているものの、必ずしも当該構成に制限されるものではない。例えば、溝部53とリブ157の個数は特に制限されず、1つ、2つ、または3つ以上の溝部53とリブ157とが形成されていてもよい。例えば、スライド部材50がハウジング10の側壁14に向かって突出するリブを備え、ハウジング10の側壁14が当該リブと組み合わされる溝部を備えていてもよい。
【0049】
一実施形態において、スライド部材50は、第1主面11a側の2つの角部にて、切り欠き部54を備えていてよい(
図8および
図10参照)。また、ハウジング10の側壁14は、スライド部材取付部15が位置する第1主面側において、当該切り欠き部54と組み合わされ、Z方向に帯状に延在する鉤部158を備える。鉤部158は、側壁14が第1主面11aの延在方向に沿って折り返すように、第1主面11a側の側壁14の端縁が相対的に肉厚となることによって形成されていてよい。スライド部材50がスライド部材取付部15に取り付けられた状態にて、鉤部158は、切り欠き部54よりもコネクタ100の外側に位置する。かかる構造において、ハウジング10の側壁14は、スライド部材50の角部を覆うように組み合わされている。スライド部材50の切り欠き部54とハウジング10の鉤部158とが組み合わされることにより、スライド部材取付部15の第1主面11a側からのスライド部材50の脱離を防止できる。すなわち、切り欠き部54とハウジング10の鉤部158との噛み合いにより、スライド部材50はスライド部材取付部15にて保持される。さらに、鉤部158は、Z方向に沿って延在することで、スライド部材50のZ方向に沿うスライド移動のガイドとして機能することもできる。
【0050】
例えば、鉤部158は、ハウジング10の背面側の端面14aにまで、スライド方向Zに沿って延在していてよい。これにより、最も背面側の配置である第1位置にスライド部材50が配置されている状態においても、スライド方向Zにわたって切り欠き部54と鉤部158とが組み合わされていてよい。これにより、より広範囲にわたって切り欠き部54と鉤部158とが係合可能となるため、第1位置にあるスライド部材50の姿勢がより好適に保持される。
【0051】
上述したように、本開示のコネクタ100によれば、スライド部材50がハウジング10の背面側から外部に突出しない構造を有するため、当該コネクタ100の周囲に配策されたケーブルの引っ掛かりを抑制可能となる。さらに、本開示のコネクタ100は、ハウジング10の第1主面11a側においてもスライド部材50が外部に突出しない構造を有し得る(
図12参照)。例えば、スライド部材50の背面側の端部に位置付けられた基部52を含め、スライド部材50は、ハウジング10の第1主面11aに沿って延在する仮想平面よりもハウジング10の内部側に位置していてよい。つまり、スライド部材50は、ハウジング10の背面側のみではなく、第1主面11a側においても突出しない構造を有し得る。かかる構造により、コネクタ100の第1主面11a側にて他のコネクタのケーブルが配策されている場合においても、当該ケーブルが本開示のコネクタのスライド部材50に引っ掛かることによるケーブルおよび/またはスライド部材の破損を抑制することが可能となる。
【0052】
本開示のコネクタ100において、ハウジング10の2つの側壁14の間を接続するように延在する支持部16の面16a(
図5参照)は、ハウジング10内を移動するスライド部材50のスライド面として機能することができる。スライド面16aは、スライド部材50側に面するX-Z方向に延在する面である。スライド面16aを備える支持部16は、ハウジング10の背面側にまで延在していてよい。より具体的には、支持部16は、ハウジング10の2つの側壁14間にてZ方向に沿って延在し、側壁14の背面側の端面14aと面一となる端面を形成してよい。支持部16は、第1位置に配置されるスライド部材50Aの基部52にまで延在してよい。換言すれば、スライド部材50は、第1位置にて、基部52が支持部16上に位置付けられるように配置されてよい。これにより、第1位置に配置されるスライド部材50Aが、基部52を含めた広範囲にわたって支持部16によって好適に保持され得る。そのため、支持部16は、スライド部材取付部15にてスライド部材50を好適に保持し、スライド部材50のガタ付きを低減するとともに、支持部16のスライド面16aに沿ったスライド部材50のより円滑なスライド移動を可能とする。
【0053】
さらに、側壁14を接続する支持部16がハウジング10の背面にまで延在することにより、支持部16は、ハウジング構造を支持する梁としても好適に機能することができる。そのため、ハウジング10の強度が向上され、外部から加えられる圧力などによるハウジング10の変形を抑制可能となる。これにより、スライド部材取付部15におけるスライド部材50のスライド通路の形状を好適に保持可能となる。すなわち、側壁14の端面14aと面一となるようにハウジングの背面にまで延在する支持部16の存在により、スライド部材50が好適にスライド移動できるスライド通路が確保され得る。
【0054】
図7に示すように、ハウジング10の側壁14には、ハウジング10の内部にまで貫通した窓部19が設けられていてよい。窓部19は、スライド部材取付部15にて、スライド部材50が第2位置に配置しているか否かを確認するための検知窓として機能する。窓部19は、ハウジング10の内側に位置するスライド部材50の位置を側面視にて確認可能に構成されていてよい。例えば、
図12および
図19に示すように、窓部19は、スライド部材50のサイドアームの先端562の位置を確認可能に構成されていてよい。かかる構成において、スライド部材50が第1位置に位置する場合には、サイドアームの先端562は背面側の面153側に位置してよい(
図12参照)。一方、スライド部材50が第2位置に位置する場合には、サイドアームの先端562は正面側の面159側に位置してよい(
図19参照)。ユーザは、サイドアームの先端562が窓部の面159側に位置することを確認することで、コネクタと相手コネクタとが正常に嵌合しているか否かを判断することができる。
【0055】
代替的には、窓部19は、スライド部材50が窓部19から目視可能な位置にあるか否かによってスライド部材50の位置を検知可能に構成されていてよい。例えば、側面視にて、スライド部材50が第2位置にある場合において、スライド部材50は、窓部19よりも正面側に位置していてよい。換言すれば、窓部19は、第2位置に配置されたスライド部材50よりも背面側に位置付けられてよい。かかる構造により、スライド部材50が第1位置にある場合には窓部19からスライド部材50を確認可能である一方で、スライド部材50が第2位置にある場合には窓部19からスライド部材50を確認不可となる。そのため、窓部19からスライド部材50が確認可能であるか否かによって、側面視においてもスライド部材50の位置を判断することができる。これにより、ユーザは、窓部19からスライド部材50が目視できるか否かを確認することで、スライド部材50が第2位置にあり、相手コネクタとの嵌合が完了しているか否かを判断することができる。
【0056】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、上記構成を組み合わせるなど、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0057】
なお、本開示のコネクタは、以下の好適な態様を包含している。
<1>ハウジングと、前記ハウジングに取り付けられるスライド部材とを備え、
前記ハウジングは、相手コネクタと組み合わされる嵌合口を備え、
前記スライド部材は、前記ハウジングの内部にて、前記相手コネクタとの嵌合方向に沿ってスライド可能であり、
前記ハウジングと前記相手コネクタとの嵌合完了前までの状態における前記スライド部材の初期位置が、前記ハウジング内に位置する、コネクタ。
<2>前記スライド部材が、前記ハウジングと前記相手コネクタとの嵌合が完了した状態にて、前記初期位置から、前記初期位置より前記嵌合口側に位置する嵌合完了位置にまでスライド移動可能となっている、<1>に記載のコネクタ。
<3>前記スライド部材が前記ハウジングの内部側に収容されている、<1>または<2>に記載のコネクタ。
<4>前記ハウジングが、前記スライド部材のスライド方向に沿って延在する側壁を備え、
前記初期位置にある前記スライド部材は、前記側壁よりも前記ハウジングの内部側に位置している、<1>~<3>のいずれかに記載のコネクタ。
<5>前記スライド部材が、前記スライド部材のスライド方向にて前記嵌合口の反対側に位置する基部を備え、
前記基部が前記ハウジングの内部側に位置する、<1>~<4>のいずれかに記載のコネクタ。
<6>前記ハウジングが、前記スライド部材のスライド方向に沿って延在する側壁を備え、
前記基部が、前記ハウジングの外側に位置する角部を備え、
前記側壁が、前記角部を覆っている、<5>に記載のコネクタ。
<7>前記ハウジングが、前記スライド部材のスライド方向に沿って延在する側壁を備え、
前記側壁は、前記スライド部材のスライド方向にて前記嵌合口の反対側に位置する端面を備え、
前記端面が、前記初期位置にある前記スライド部材の前記基部の外面と面一となっている、<5>または<6>に記載のコネクタ。
<8>前記ハウジングが、前記スライド部材のスライド方向に沿って延在する側壁を備え、
前記側壁は、前記スライド部材のスライド方向にて前記嵌合口の反対側に位置する端面を備え、
前記基部は、前記スライド方向にて前記端面よりも前記ハウジングの内部側に位置する、<5>または<6>のいずれかに記載のコネクタ。
<9>前記ハウジングが、前記スライド部材のスライド方向に沿って延在する側壁を備え、
前記側壁は、前記スライド方向に沿って延在するガイド部を備え、
前記初期位置での前記スライド部材の前記基部は、前記側壁と対向する側面にて、前記ガイド部と凹凸係合可能となっている、<5>~<8>のいずれかに記載のコネクタ。
<10>前記ガイド部は、前記側壁にて、前記ハウジングの内側に向かって突出した凸形状を備え、
前記スライド部材は、前記側壁と対向する側面にて、前記スライド方向に沿って延在する溝部を備え、
前記スライド部材は、前記溝部と係合した前記ガイド部に沿って摺動可能となっている、<9>に記載のコネクタ。
<11>前記ハウジングが、
前記スライド部材を挟んで互いに対向し、前記スライド部材のスライド方向に沿って延在する2つの側壁と、
前記2つの側壁の間を連結し、且つ前記スライド方向に沿って、前記嵌合口の反対側に位置する前記側壁の端面にまで延在する支持部と
を備え、
前記スライド部材が、前記支持部上で前記スライド方向に沿ってスライド可能に構成される、<1>~<10>のいずれかに記載のコネクタ。
<12>前記スライド部材が、前記スライド部材のスライド方向にて前記嵌合口の反対側に位置する基部を備え、
前記初期位置における前記基部が、前記支持部上に配置される、<11>に記載のコネクタ。
<13>前記ハウジングが、前記スライド部材のスライド方向に沿って延在する側壁を備え、
前記側壁は、前記スライド部材が、前記初期位置より前記嵌合口側の嵌合完了位置に配置されていることを検知可能な窓部を備える、<1>~<12>のいずれかに記載のコネクタ。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本開示のコネクタ位置保証機構を備えたコネクタは、電気的接続を要する各種技術分野で好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
100 コネクタ
10 ハウジング
12 嵌合口
14 側壁
14a 端面
15 スライド部材取付部
152 通路
153 係止面
154 保持部
157 リブ
158 鉤部
159 係止面
16 支持部
19 窓部
20 ケーブル
50 スライド部材
52 基部
52a 基部の外面
521 隆起部
53 溝部
54 切り欠き部
55 弾性アーム
552 弾性アームの先端
56 サイドアーム
562 鉤部
200 コネクタ