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  • 特開-アンダーボディー部材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025120808
(43)【公開日】2025-08-18
(54)【発明の名称】アンダーボディー部材
(51)【国際特許分類】
   F16B 35/04 20060101AFI20250808BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20250808BHJP
【FI】
F16B35/04 E
B62D25/20 N
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024015914
(22)【出願日】2024-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390038069
【氏名又は名称】株式会社青山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宮永 祐哉
(72)【発明者】
【氏名】増井 啓一郎
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA01
3D203BB03
3D203CA66
3D203CB09
(57)【要約】
【課題】水の進入を抑制する。
【解決手段】アンダーボディー部材は、車両のアンダーボディーに含まれる部材であり、取付面と、かしめボルトと、を備える。かしめボルトは、取付面から突出するように設けられる。かしめボルトの根元側の端面は、取付面に、かしめにより接合されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のアンダーボディーに含まれるアンダーボディー部材であって、
取付面と、
前記取付面から突出するように設けられたかしめボルトと、
を備え、
前記かしめボルトの根元側の端面は、前記取付面に、かしめにより接合されている
アンダーボディー部材。
【請求項2】
請求項1に記載のアンダーボディー部材であって、
前記取付面は、前記車両の内側に向かうように設けられており、
前記かしめボルトは、前記車両の内側に向かって突出する
アンダーボディー部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンダーボディー部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、部材にかしめ接合されるかしめボルトが知られている。このようなかしめボルトを用いることで、ウェルドボルトを用いる場合に比べ、部材への接合に必要な作業負荷を低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-16813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のかしめボルトは、軸部が部材の貫通孔を貫通した状態でヘッドの座面が部材にかしめ接合されるため、このかしめボルトを用いる場合には、部材に貫通孔を形成する必要がある。これに対し、車両のボディーの下部を構成するアンダーボディー部材は、錆びの抑制のため、他の部材に比べ、より一層、水の進入を阻止することが求められる。
【0005】
本開示の一態様では、水の進入を抑制するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、車両のアンダーボディーに含まれるアンダーボディー部材であって、取付面と、かしめボルトと、を備える。かしめボルトは、取付面から突出するように設けられる。かしめボルトの根元側の端面は、取付面に、かしめにより接合されている。
【0007】
上記構成によれば、アンダーボディー部材に貫通孔を設けること無く、アンダーボディー部材にボルトを接合できる。このため、水の進入を抑制できる。
本開示の一態様では、取付面は、車両の内側に向かうように設けられていてもよい。かしめボルトは、車両の内側に向かって突出してもよい。
【0008】
上記構成によれば、好適にボルトを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】車両のボディーの説明図である。
図2】かしめボルトの説明図である。
図3】アンダーボディー部材にかしめ接合されたかしめボルトの説明図である。
図4】かしめボルトをアンダーボディー部材に接合する際の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.アンダーボディー]
車両のボディー2における下部に位置する部分は、アンダーボディー20と呼ばれる(図1参照)。以後、アンダーボディー20に含まれる部材を、アンダーボディー部材21と記載する。アンダーボディー部材21とは、例えば、車両のキャビン及びトランクルームのフロア、又は、エンジンルームの下部に含まれる部材や、ドアの下方に位置するサイドシル等に含まれる部材であってもよい。そして、本実施形態のアンダーボディー部材21には、少なくとも1つのかしめボルト1(図2参照)が接合されている。
【0011】
[2.かしめボルト]
かしめボルト1は、軸線Aの方向に延びており、ヘッド10と、軸部14とを備える(図2参照)。
【0012】
ヘッド10は、かしめボルト1の端部に位置する。ヘッド10には、かしめボルト1の軸線Aの方向に対面する端面11と座面13とが形成されている。つまり、端面11は、ヘッド10における座面13の反対側に位置する。また、端面11及び座面13の形状は、例えば、円形や多角形等、適宜定められる。
【0013】
軸部14は、円柱状の部位であり、ヘッド10の座面13から軸線Aの方向に突出する。軸部14の外周面には、ねじ山が形成されており、軸部14におけるヘッド10の反対側に位置する先端が、ナットやねじ穴に挿入される。
【0014】
そして、ヘッド10の端面11には、かしめ部12が形成されており、かしめ部12により、ヘッド10の端面11と他の部材とがかしめ接合される。
[3.アンダーボディー部材]
本実施形態のアンダーボディー部材21における板状の接合部22に位置する取付面23には、かしめボルト1の端面11がかしめ接合されている(図3参照)。なお、接合部22は、板状に限らず、様々な形状を有し得る。また、アンダーボディー部材21の取付面23とは、車両の内側、具体的には、例えば、キャビンやトランクルームやエンジンルーム等に向かう面である。
【0015】
つまり、かしめボルト1は、先端が車両の内側に向かうように取付面23から突出し、その根元側の端面11が取付面23にかしめ接合されている。一例として、かしめボルト1は、上方に向かって取付面23から突出していてもよい。
【0016】
なお、取付面23に設けられたかしめボルト1は、例えば、車両に搭載された部材を保持するために用いられてもよい。具体的には、かしめボルト1は、例えば、ケーブル等といった比較的軽量な部材を保持するために用いられてもよい。
【0017】
[4.かしめ接合]
次に、かしめボルト1の端面11と、アンダーボディー部材21の取付面23とのかしめ接合の手順の一例について説明する。かしめ接合の際には、一例として、パンチ30と、パッド31と、ダイ32とが用いられる(図4参照)。
【0018】
パンチ30は、円柱状に形成されていると共に、かしめボルト1の軸部14を収容するための穴部30Aを有する。穴部30Aは、パンチ30の下側の端面から上方に延びるように形成される。
【0019】
パッド31は、円筒状の部材であり、パンチ30とかしめボルト1とを内部に収容可能となっている。また、パッド31は、内部に配置されたパンチ30をガイドするよう構成されている。
【0020】
まず、アンダーボディー部材21における接合部22の取付面23の上側に、かしめボルト1と、パンチ30と、パッド31とが配置される。また、接合部22の下側には、接合部22を挟んでパンチ30及びパッド31と対面するように、ダイ32が配置される。
【0021】
この時、接合部22における取付面23の反対側の面は、ダイ32に当接する。
また、かしめボルト1の端面11のかしめ部12は、取付面23に当接し、かしめボルト1は取付面23から上方に延びる。また、パッド31もまた、取付面23から上方に延びるように配置され、かしめボルト1は、パッド31の内部に収容される。また、パンチ30もまた、上下方向に変位可能な状態で、パッド31の内部に収容される。パンチ30は、かしめボルト1の上方に位置し、穴部30Aはかしめボルト1に対面する。
【0022】
そして、パンチ30を下方に変位させることで、かしめボルト1の端面11を取付面23に向けて押圧する。この時、かしめボルト1の軸部14は穴部30Aに収容された状態となる。これにより、端面11のかしめ部12と取付面23とが塑性変形し、端面11及びかしめ部12が取付面23にめり込んだ状態となり、かしめ部12と取付面23とがかしめ接合される。
【0023】
[5.効果]
(1)上記実施形態によれば、かしめボルト1の根元側の端面11が、アンダーボディー部材21における接合部22の取付面23にかしめ接合されている。このため、アンダーボディー部材21に貫通孔を設けること無く、アンダーボディー部材21にかしめボルト1を接合できる。このため、アンダーボディー20から車両の内部に水が進入するのをより確実に抑制でき、これにより、アンダーボディー20の錆びを抑制できる。
【0024】
(2)また、上記実施形態のかしめボルト1を用いる場合、溶接を行う手間や、アンダーボディー部材21に貫通孔を形成する手間を省くことができる。さらに、プレス成形によりアンダーボディー部材21を形成する工程において、かしめボルト1をアンダーボディー部材21に接合することが可能となる。このため、製造時の作業負荷を抑制でき、製造コストを低減できる。
【0025】
(3)また、かしめボルト1は、車両の内側に向かうように取付面23に設けられている。このため、好適にかしめボルト1を用いることができる。
[6.他の実施形態]
(1)上記実施形態のかしめボルト1では、ヘッド10の端面11にかしめ部12が設けられている。しかし、かしめボルト1には、ヘッド10が設けられておらず、かしめボルト1は軸部14により構成されていてもよい。そして、軸部14の一方の端面に、かしめ部12が設けられていてもよい。このような場合であっても、軸部14の端面をアンダーボディー部材21の取付面23にかしめ接合することで、同様の効果が得られる。
【0026】
(2)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0027】
A…軸線、1…かしめボルト、10…ヘッド、11…端面、12…かしめ部、13…座面、14…軸部、2…ボディー、20…アンダーボディー、21…アンダーボディー部材、22…接合部、23…取付面、30…パンチ、30A…穴部、31…パッド、32…ダイ。
図1
図2
図3
図4