(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012104
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】供給電力算出方法、プログラムおよび供給電力算出装置
(51)【国際特許分類】
H02P 29/00 20160101AFI20250117BHJP
B25J 19/00 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
H02P29/00
B25J19/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114687
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】加納 英朗
【テーマコード(参考)】
3C707
5H501
【Fターム(参考)】
3C707BS12
3C707BS15
3C707HS27
3C707HT40
3C707KS22
3C707KS23
3C707KS28
3C707KS37
3C707KS38
5H501AA22
5H501BB20
5H501CC05
5H501DD01
5H501GG20
5H501HA01
5H501HA04
5H501HA08
5H501HA09
5H501HB07
5H501HB16
5H501JJ03
5H501JJ04
5H501JJ17
5H501JJ26
5H501LL01
5H501LL22
5H501LL27
(57)【要約】
【課題】一次電源から対象物に供給される電力をより正確に算出することが可能な供給電力算出方法を提供する。
【解決手段】この供給電力算出方法は、一次電源200からモータMにより駆動されるロボット100に供給される電力をシミュレーションにより算出する供給電力算出方法である。供給電力算出方法は、一次電源200からロボット100に供給される電力を平滑する平滑コンデンサ24に蓄積される静電エネルギを算出することと、算出された平滑コンデンサ24の静電エネルギに応じて、一次電源200が供給した電力を算出することと、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次電源からモータにより駆動される対象物に供給された電力をシミュレーションにより算出する供給電力算出方法であって、
前記一次電源から前記対象物に供給される電力を平滑する平滑コンデンサに蓄積される静電エネルギを算出することと、
算出された前記平滑コンデンサの静電エネルギに応じて、前記一次電源が供給した電力を算出することと、を備える、供給電力算出方法。
【請求項2】
前記一次電源と前記平滑コンデンサとの間の抵抗に基づいて、前記一次電源から前記平滑コンデンサに充電電力を供給する際の一次電源系統損失を算出することを備え、
前記一次電源が供給した電力を算出することは、前記一次電源系統損失を含めて、前記一次電源が供給した電力を算出することを含む、請求項1に記載の供給電力算出方法。
【請求項3】
前記一次電源が供給した電力を算出することは、前記平滑コンデンサの静電エネルギに基づいて、前記一次電源が供給した電力として、前記一次電源が前記平滑コンデンサの充電に要した電力を算出することを含む、請求項1に記載の供給電力算出方法。
【請求項4】
前記一次電源から供給される電力を前記モータに供給するアンプに含まれる半導体素子のスイッチング損失と、前記半導体素子の導通損失とのうちの少なくとも一方に基づいて、前記アンプのアンプ損失を算出することを備え、
前記平滑コンデンサに蓄積される静電エネルギを算出することは、前記静電エネルギに前記アンプ損失を加算することを含む、請求項1に記載の供給電力算出方法。
【請求項5】
電気エネルギを機械エネルギに変換する際の前記対象物の機械的損失を算出することを備え、
前記平滑コンデンサに蓄積される静電エネルギを算出することは、前記静電エネルギに前記機械的損失を加算することを含む、請求項1に記載の供給電力算出方法。
【請求項6】
電気エネルギを機械エネルギに変換する際の前記対象物の機械的損失を算出することと、
前記一次電源から供給される電力を前記モータに供給するアンプのアンプ損失を算出することと、
前記機械的損失と前記アンプ損失とが加算された前記平滑コンデンサの静電エネルギに基づいて、回生抵抗の回生抵抗損失を算出することと、を備え、
前記平滑コンデンサに蓄積される静電エネルギを算出することは、前記静電エネルギに前記回生抵抗損失を加算することを含む、請求項1に記載の供給電力算出方法。
【請求項7】
電気エネルギを機械エネルギに変換する際の前記対象物の機械的損失を算出することと、
前記一次電源から供給される電力を前記モータに供給するアンプのアンプ損失を算出することと、
前記機械的損失と前記アンプ損失とが加算された前記平滑コンデンサの静電エネルギに基づいて、前記一次電源に回生した回生電力を算出することと、を備え、
前記平滑コンデンサに蓄積される静電エネルギを算出することは、前記静電エネルギから前記回生電力の分を減算することを含む、請求項1に記載の供給電力算出方法。
【請求項8】
前記一次電源が供給した電力を算出することは、前記対象物の姿勢を維持するブレーキの解除状態を維持するためのブレーキ損失を含めて、前記一次電源が供給した電力を算出することを含む、請求項1に記載の供給電力算出方法。
【請求項9】
前記一次電源が供給した電力を算出することは、前記対象物を制御する制御電源の制御電源損失を含めて、前記一次電源が供給した電力を算出することを含む、請求項1に記載の供給電力算出方法。
【請求項10】
前記平滑コンデンサの静電エネルギに基づいて、前記一次電源に回生した回生電力を算出することを備え、
前記一次電源が供給した電力を算出することは、算出された前記回生電力の分を減算して、前記一次電源が供給した電力を算出することを含む、請求項1に記載の供給電力算出方法。
【請求項11】
前記対象物は、ロボットを含み、
前記モータは、前記ロボットの関節を駆動する、請求項1に記載の供給電力算出方法。
【請求項12】
一次電源からモータにより駆動される対象物に供給された電力をシミュレーションにより算出するプログラムであって、
前記一次電源から前記対象物に供給される電力を平滑する平滑コンデンサに蓄積される静電エネルギを算出することと、
算出された前記平滑コンデンサの静電エネルギに応じて、前記一次電源が供給した電力を算出することと、を備える、プログラム。
【請求項13】
一次電源からモータにより駆動される対象物に供給された電力をシミュレーションにより算出する供給電力算出装置であって、
前記対象物に供給される電力をシミュレーションするプログラムを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記プログラムを用いて、前記一次電源から前記対象物に供給される電力を平滑する平滑コンデンサに蓄積される静電エネルギを算出し、算出した前記平滑コンデンサの静電エネルギに応じて、前記一次電源が供給した電力を算出する制御部と、を備える、供給電力算出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、供給電力算出方法、プログラムおよび供給電力算出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータにより駆動される対象物に供給される電力を算出する方法が開示されている。たとえば、特許文献1には、モータにより駆動される産業機器の消費電力を推定する消費電力量推定装置が開示されている。特許文献1では、消費電力量推定装置は、モータの速度の模擬値、および、モータのトルクの模擬値に基づいて、モータの模擬的な出力を算出する。また、消費電力量推定装置は、モータに流れる電流の模擬値およびモータの巻線の抵抗模擬値に基づいて、モータの模擬的な損失を算出する。また、消費電力量推定装置は、交流電源からモータに供給される電力を平滑する平滑コンデンサの電圧を算出するとともに、平滑コンデンサの電圧に基づいて、回生抵抗で消費される模擬的な電力を算出する。そして、消費電力量推定装置は、モータの模擬的な出力および損失、および、回生抵抗で消費される模擬的な電力に基づいて、モータの消費電力量を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の消費電力量推定装置では、平滑コンデンサの電圧に基づいて回生抵抗で消費される模擬的な電力が算出されている一方、特許文献1では、回生抵抗で消費される模擬的な電力の算出の際に交流電源の電圧は考慮されておらず、交流電源の電圧よりも平滑コンデンサの電圧が高い場合にまで回生抵抗で消費される模擬的な電力が算出されていると考えられる。しかしながら、実際には、交流電源の電圧よりも平滑コンデンサの電圧が高い場合には、交流電源から平滑コンデンサに電力は供給されない。すなわち、特許文献1では、実際には交流電源から電力が供給されない場合にも産業機器などの対象物が電力を消費していると算出されてしまうので、正確に消費電力を推定できない場合があるという問題点が考えられる。
【0005】
この開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この開示の1つの目的は、一次電源から対象物に供給される電力をより正確に算出することが可能な供給電力算出方法、プログラムおよび供給電力算出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示の第1の局面による供給電力算出方法は、一次電源からモータにより駆動される対象物に供給された電力をシミュレーションにより算出する供給電力算出方法であって、一次電源から対象物に供給される電力を平滑する平滑コンデンサに蓄積される静電エネルギを算出することと、算出された平滑コンデンサの静電エネルギに応じて、一次電源が供給した電力を算出することと、を備える。
【0007】
この開示の第1の局面による供給電力算出方法は、上記のように、算出された平滑コンデンサの静電エネルギに応じて、一次電源が供給した電力を算出することを備える。これにより、平滑コンデンサの電圧が一次電源の電圧よりも高い場合のように平滑コンデンサを充電する必要がない場合には、一次電源から供給する電力は算出されない。その結果、実際には一次電源から電力が供給されない場合に対象物が電力を消費していると算出されるのが抑制されるので、一次電源から対象物に供給される電力をより正確に算出することができる。
【0008】
この開示の第2の局面によるプログラムは、一次電源からモータにより駆動される対象物に供給された電力をシミュレーションにより算出するプログラムであって、一次電源から対象物に供給される電力を平滑する平滑コンデンサに蓄積される静電エネルギを算出することと、算出された平滑コンデンサの静電エネルギに応じて、一次電源が供給した電力を算出することと、を備える。
【0009】
この開示の第2の局面によるプログラムは、上記のように、算出された平滑コンデンサの静電エネルギに応じて、一次電源が供給した電力を算出することを備える。これにより、平滑コンデンサの電圧が一次電源の電圧よりも高い場合のように平滑コンデンサを充電する必要がない場合には、一次電源から供給する電力は算出されない。その結果、実際には一次電源から電力が供給されない場合に対象物が電力を消費していると算出されるのが抑制されるので、一次電源から対象物に供給される電力をより正確に算出することが可能なプログラムを提供できる。
【0010】
この開示の第3の局面による供給電力算出装置は、一次電源からモータにより駆動される対象物に供給された電力をシミュレーションにより算出する供給電力算出装置であって、対象物に供給される電力をシミュレーションするプログラムを記憶する記憶部と、記憶部に記憶されたプログラムを用いて、一次電源から対象物に供給される電力を平滑する平滑コンデンサに蓄積される静電エネルギを算出し、算出した平滑コンデンサの静電エネルギに応じて、一次電源が供給した電力を算出する制御部と、を備える。
【0011】
この開示の第3の局面による供給電力算出装置は、上記のように、記憶部に記憶されたプログラムを用いて、一次電源から対象物に供給される電力を平滑する平滑コンデンサに蓄積される静電エネルギを算出し、算出した平滑コンデンサの静電エネルギに応じて、一次電源が供給した電力を算出する制御部を備える。これにより、平滑コンデンサの電圧が一次電源の電圧よりも高い場合のように平滑コンデンサを充電する必要がない場合には、一次電源から供給する電力は算出されない。その結果、実際には一次電源から電力が供給されない場合に対象物が電力を消費していると算出されるのが抑制されるので、一次電源から対象物に供給される電力をより正確に算出することが可能な供給電力算出装置を提供できる。
【発明の効果】
【0012】
本開示の供給電力算出方法、プログラムおよび供給電力算出装置は、一次電源から対象物に供給される電力をより正確に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態による供給電力算出装置およびロボットを示す図である。
【
図4】一実施形態による供給電力算出装置を示すブロック図である。
【
図5】一実施形態による供給電力算出方法を説明するためのフロー図である。
【
図6】インバータの上アームのスイッチング素子がオンしている状態を示す図である。
【
図7】インバータの下アームのスイッチング素子がオンしている状態を示す図である。
【
図8】スイッチング素子に含まれるFETのスイッチング損失を説明するための図である。
【
図9】スイッチング素子に含まれるFETのスイッチング損失の算出方法を説明するための図である。
【
図10】コンデンサが回生抵抗を介して放電している状態を説明するための図である。
【
図11】一次電源が平滑コンデンサを充電している状態を説明するための図である。
【
図12】(a)静電エネルギに機械的損失を加算する状態を説明するための図である。(b)静電エネルギにアンプ損失を加算する状態を説明するための図である。(c)静電エネルギに回生抵抗損失を加算する状態を説明するための図である。(d)静電エネルギに一次電源系統損失を加算する状態を説明するための図である。
【
図13】一次電源が平滑コンデンサを充電しているときの計算により求められるPN電圧を説明するための図である。
【
図14】一次電源が平滑コンデンサを充電しているときの実際のPN電圧を説明するための図である。
【
図15】一次電源系統損失の計算に使用されるPN電圧を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示を具体化した本開示の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
本実施形態の供給電力算出装置1について説明する。
図1に示すように、供給電力算出装置1は、一次電源200から
図2に示すモータMにより駆動されるロボット100に供給された電力をシミュレーションにより算出する装置である。なお、ロボット100は、対象物の一例である。
【0016】
まず、ロボット100の構成について説明する。ロボット100は、ロボットアーム10と、ロボットコントローラ20とを含む。ロボットアーム10は、たとえば、垂直多関節型または水平多関節型である。また、ロボットアーム10は、関節JTを有している。関節JTには、関節JTを駆動する
図2に示すモータMが配置されている。モータMは、たとえば、サーボモータである。
図1のロボットアーム10は、6軸の垂直多関節型であり、JT1関節からJT6関節を含む。JT1関節からJT6関節の各々にモータMが配置されている。
【0017】
ロボットコントローラ20について説明する。ロボットコントローラ20は、ロボットアーム10の動作を制御する。
図2に示すように、ロボットアーム10は、メイン制御部21と、サーボ制御部22と、を含む。メイン制御部21、および、サーボ制御部22は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)を含む。サーボ制御部22は、メイン制御部21からの指令に基づいて、モータMに供給される電力を制御する。
【0018】
また、ロボットコントローラ20は、整流器23と、平滑コンデンサ24と、回生抵抗25と、回生スイッチ26と、インバータ27と、を含む。整流器23は、一次電源200から供給される交流電力を直流電力に変換する。平滑コンデンサ24は、整流器23によって変換された直流電力を平滑化する。回生スイッチ26は、モータMによって回生された電力が余剰な場合にオン状態となる。これにより、余剰な電力が回生抵抗25に流れ、余剰な電力が熱として消費される。インバータ27は、整流器23によって変換された直流電力を交流電力に変換する。また、平滑コンデンサ24の正側Pと負側Nとの間の電圧をPN電圧とする。PN電圧は、母線電圧と呼ばれる。
【0019】
また、サーボ制御部22とインバータ27とを含めた構成をアンプ28と呼ぶ。ロボットアーム10が複数の関節JTを有する場合、モータMも複数配置されている。この場合、整流器23、平滑コンデンサ24、回生抵抗25および回生スイッチ26は、複数のモータMに対して共通である。一方、アンプ28は、複数のモータMの各々に対して配置されている。なお、複数のモータMに対して共通の1つのアンプ28を配置してもよい。
【0020】
ブレーキ31および制御電源32について説明する。ロボットコントローラ20は、整流器23と並列に配置された整流器30を含む。整流器30は、一次電源200からの交流電力を直流電力に変換して、ブレーキ31および制御電源32に供給する。なお、ブレーキ31は、ロボット100の姿勢を維持するためにモータMにブレーキ31をかける。制御電源32は、メイン制御部21やサーボ制御部22などを動作させるための電源である。
【0021】
インバータ27の具体的な構成について説明する。
図3に示すように、インバータ27は、複数のスイッチング素子SWを含む。スイッチング素子SWは、上アームを構成するスイッチング素子SW1、SW2およびSW3と、下アームを構成するスイッチング素子SW4、SW5およびSW6とを含む。スイッチング素子SWは、たとえば、FET(Field Effect Transistor)と、還流ダイオードDと、を含む。スイッチング素子SWは、たとえば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。なお、スイッチング素子SWは、半導体素子の一例である。
【0022】
供給電力算出装置1の構成について説明する。
図4に示すように、供給電力算出装置1は、一次電源200からモータMにより駆動されるロボット100に供給される電力をシミュレーションにより算出する装置である。供給電力算出装置1は、ロボット100とは別個に配置されたパーソナルコンピュータなどである。供給電力算出装置1は、制御部2と、記憶部3と、表示部4と、を備えている。制御部2は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)を含む。記憶部3は、不揮発性のメモリやハードディスクなどを含み、一次電源200からモータMにより駆動されるロボット100に供給される電力をシミュレーションにより算出するプログラム5が記憶されている。表示部4は、液晶モニタなどを含み、制御部2によるシミュレーション結果が表示される。
【0023】
(供給電力算出方法)
次に、一次電源200からモータMにより駆動されるロボット100に供給される電力をシミュレーションにより算出する供給電力算出方法について説明する。なお、供給電力の算出は、供給電力算出装置1の記憶部3に記憶されたプログラム5を用いて制御部2が実行する。本実施形態では、制御部2は、一次電源200からロボット100に供給される電力を平滑する平滑コンデンサ24に蓄積される静電エネルギを算出し、算出した平滑コンデンサ24の静電エネルギに応じて、一次電源200が供給した電力を算出する。すなわち、本実施形態の供給電力算出方法では、一次電源200側からは、平滑コンデンサ24より先の二次側としてのロボット100の損失などは直接的に考慮しておらず、平滑コンデンサ24に印加される電圧であるPN電圧に応じて一次電源200が平滑コンデンサ24を充電しているとして、一次電源200からロボット100に供給される電力が算出される。つまり、ロボット100の損失などは、PN電圧に基づいて一次電源200からロボット100に供給される電力に間接的に影響している。以下、具体的に説明する。
【0024】
図5に示すように、ステップS1において、制御部2は、ロボット100の動作情報を取得する。ロボット100の動作情報とは、ロボット100の移動軌跡の各点における、関節JTの速度および加速度などの情報である。なお、ロボット100の動作情報は、たとえば使用者によって予め設定されており、記憶部3に記憶されている。制御部2は、ロボット100の動作情報を記憶部3から取得する。
【0025】
(機械的損失)
ステップS2において、制御部2は、ロボット100の機械的損失を算出する。なお、機械的損失とは、電気エネルギを機械エネルギに変換する際の損失である。ロボット100の加速時や、ロボット100が負荷の持ち上げる時など、電気的エネルギがロボット100や、ロボット100に取り付けられるツールの力学的エネルギに変換される。一方、ロボット100の減速時や、ロボット100が負荷を下ろす時などは、逆に力学的エネルギから電気的エネルギにエネルギが変換される。この力学的エネルギから電気的エネルギにエネルギが変換される電力を、回生電力と呼ぶ。ロボット100が、ある姿勢から動作を開始し、最終的に同じ姿勢で動作を終了した場合、力学的エネルギは動作の前後で変わっていないので、電気的エネルギの損失は理論上ゼロである。しかしながら、電気的エネルギから力学的エネルギへの変換時と、力学的エネルギから電気的エネルギへの変換時に、それぞれ、減速機などに含まれるギアのギア効率と、摩擦トルクの影響によりエネルギをロスしている。このエネルギのロスが機械的損失である。
【0026】
機械的損失の計算式について説明する。機械的損失は、下記の数式1により算出される。
【数1】
ここで、Σは、ロボット100の軸数分の総和である。なお、ロボット100の軸数とは、ロボット100の関節JTの数である。τは、トルクであり、トルク定数×モータMに流れる電流より算出される。ωは、関節に含まれるモータMの出力軸の各軸速度である。なお、トルクおよび軸速度の単位は、それぞれ、Nmおよびrad/sである。
【0027】
(アンプ損失)
ステップS3において、制御部2は、アンプ損失を算出する。アンプ損失とは、一次電源200から供給される電力をモータMに供給するアンプ28の損失である。また、アンプ損失は、アンプ28からモータMへ電流を出力する際に、熱としてアンプ28の回路において失われるエネルギである。アンプ損失は、機械的損失と異なり、一度損失した電気的エネルギが回生されることはない。
【0028】
本実施形態では、制御部2は、アンプ28に含まれるスイッチング素子SWのスイッチング損失と、スイッチング素子SWの導通損失とのうちの少なくとも一方に基づいてアンプ損失を算出する。具体的には、制御部2は、アンプ28に含まれる配線やコネクタの抵抗と、モータMの巻線抵抗と、スイッチング素子SW1からSW6までの6つのスイッチング素子SWのスイッチング損失と、スイッチング素子SW1からSW6までの6つのスイッチング素子SWがオンする際の導通損失と、スイッチング素子SW1からSW6までの6つのスイッチング素子SWの各々の還流ダイオードDの導通損失と、に基づいて、アンプ損失を算出する。
【0029】
アンプ28に含まれる配線やコネクタの抵抗と、モータMの巻線抵抗とに基づくアンプ損失に算出法について説明する。まず、配線、コネクタ、および、モータMの巻線の各々の抵抗Rが設定される。そして、配線、コネクタ、および、モータMの巻線によりアンプ損失は、下記の数式2によって算出される。
【数2】
ここで、I_u、I_v、および、I_wは、各相における実効電流値であり、互いに同じ値であると仮定する。また、モータ電流値は、Q軸の電流値である。
【0030】
FETのスイッチング損失および導通損失と、還流ダイオードDの導通損失と、について説明する。各相のスイッチング素子SWは、上アームのFETがオンするとともに下アームのFETがオフことにより電流がFETを介してモータMに電流が流れる
図6に示す動作モード1と、上アームのFETがオフするとともに下アームのFETがオンすることにより電流が還流ダイオードDを流れる
図7に示す動作モード2と、を有する。なお、上アームおよび下アームが同時にオフするデッドタイム中はスイッチング素子SWの動作モードは、動作モード2となる。スイッチング素子SWのオンオフするPWM信号の1回の周期中で、動作モード1にある時間と、動作モード2にある時間との比率はPWM DUTYにより決まる。また、PWM DUTYは、たとえば、電圧指令値に合うように、モータMの回転に同期する正弦波の形で変動している。FETの導通損失と還流ダイオードDの導通損失との比率はPWM DUTYによって変わるが、時間的に平均するとおよそ50%ずつ程度であろうと見なすことができる。そこで、本実施形態では、スイッチング素子SWの導通損失と還流ダイオードDの導通損失については、PWM DUTY=50%として計算する。なお、スイッチング素子SWのスイッチング損失についてはPWM DUTYには依存せず、PWM信号の1周期の間に必ず1回ずつのターンオン損失およびターンオフ損失が発生する。
【0031】
(FETの導通損失)
FETの導通損失について説明する。FETの導通損失は、FETのオン時に生じる損失である。FETは、完全にオンになった状態でもコレクタとエミッタとの間には電圧が残り、この電圧をコレクタエミッタ間飽和電圧(Vce)と呼ぶ。FETのオン時の導通損失は、このコレクタエミッタ間飽和電圧(Vce)に逆らって電流を流すために消費される電力であると考える。この消費される電力は、熱損失量Jとして、下記の数式3により算出される。
【数3】
ここで、Iは、各相の電流の実行値である。FETの導通時間は、DUTYを50%としているため、全体の経過時間の半分となる。また、FETが3相の各々に対して配置されているので、数式3により求められた熱損失量Jを3倍することにより、3相文のFETの導通損失が算出される。
【0032】
(還流ダイオードの導通損失)
還流ダイオードDの導通損失について説明する。還流ダイオードDの導通損失は、FETの導通損失と同様の考え方により求められる。具体的には、還流ダイオードDの導通損失は、下記の数式4により求められる。
【数4】
【0033】
(FETのスイッチング損失)
FETのスイッチングについて説明する。
図8に示すように、FETのコレクタとエミッタとの間に電圧V
DSMAXが印加されて電流が完全に止められている状態から、FETがターンオンし、最終的にFETに印加される電圧がV
ceまで低下し、FETに電流I
DMAXが流れる状態を考える。ここで、VceはV
DSMAXに比べて十分に小さいものとして無視する。また、FETのターンオン中の、ドレインとソースとの間の電圧v
DSおよびドレイン電流i
Dは、線形に変化していくものと仮定すると、電圧v
DSおよびドレイン電流i
Dは、下記の数式5によって算出される。
【数5】
上記の数式5に基づき、FETが1回オンした時の損失W
SWONは、下記の数式6によって算出される。
【数6】
FETのターンオフ時のスイッチング損失も、ターンオン時のスイッチング損失と同様に求めることができる。FETのスイッチング損失は、1秒間にPWM信号の周波数(fsw)の回数分、かつ、ターンオン時およびターンオフ時のそれぞれに発生する。従って、FETのスイッチング損失P
SWは、下記の数式7によって算出される。なお、スイッチング損失P
SWの単位は、Wである。
【数7】
ここで、T
Fはターンオフ時間である。
【0034】
上記のスイッチング損失PSWは、FETに印加される電圧が一定で、FETに流れる電流も一定の場合の一般解である。実際には、VDSMAXおよびIDMAXはモータ回転に同期して時間変化しているものと考えられる。そこで、時間変化するVDSMAX(t)について考える。スイッチング素子SWの出力電圧を平滑化していない場合、各相の電圧は、PWM信号の周波数に同期して矩形波状に瞬時に変動している。この矩形波電圧を時間平均した電圧が指令電圧と一致し、モータMに印加されている。したがって、動作モード2からFETがターンオンして動作モード1に遷移するとき、ターンオン前のFETのコレクタ側の電圧は、PN電圧のP側電位と等しく、エミッタ側の電圧はPN電圧のN側電位にほぼ等しい。なお、実際には、FETのコレクタ側の電圧は、還流ダイオードDの順方向電圧Vfの分だけP側電位と異なっている。FETのエミッタ側の電圧についても同様である。したがって、VDSMAX(t)=PN電圧(t)と考えることができる。
【0035】
そこで、時間変化するI
DMAX(t)について考える。I
DMAX(t)は、モータMのもつ巨大なインダクタンスにより平滑されるので、I
DMAX(t)は、モータMの回転に同期する正弦波形状を有すると仮定して、下記の数式8によって算出される。
【数8】
ここでIoはモータMに流れる電流の1相あたりの電流の波高値で、簡単のためにこれは3相とも同じ値であるとする。ωはモータMの角速度である。そして、FETに印加される電圧が一定で、FETに流れる電流も一定の場合の一般解である上記の数式7は、下記の数式9に修正される。
【数9】
ここで、Σは、1秒間あたりのPWM信号のターンオフおよびターンオンの全ての回の損失を加算することを意味している。したがって、加算回数は、PWM信号の周波数fsw回であるが、Σの括弧内は時々刻々と変化している時間の関数となっている。PN電圧V
PNは時間の関数であるが、短時間であれば電流の変化であるIo|sin(ωt)|に比べて変化の割合が極めて小さいため、以降の議論では定数と見なしている。
【0036】
数式9の実際の計算において、Σのままでは計算しづらいため、以下のように工夫をし、積分の形に変形する。まず、下記の数式10のように、時間変化しない要素の一部をΣの前に出す。
【数10】
Σの計算箇所を図で表すと、以下の
図9のようになる。なお、正弦波を見やすくするために、
図9では、sinの絶対値は省略している。
図9において、ある時刻において、Io×sin(ωt)と微小時間TRおよびTFとにより表される面積があり、これを各時刻で求めてΣにより足し合わせている。TRおよびTFの区間はPWM信号の1周期ごとに1回ずつあり、PWM信号の周期をΔtとすると、TR,TF<<Δtである。また、Δt<<2π/ωである。
図9から、上記の数式10は、正弦波を時間積分した値から、細い面積の部分だけを抜き出して、抜き出した面積同士を足し合わせていることと同様になる。つまり、正弦波を時間積分した値に、(TR+TF)/Δtを乗算すれば、スイッチング損失P
SWを計算することができる。したがって、数式10は、下記の数式11のように近似できる。
【数11】
なお、積分する範囲は1秒間である。また、モータMの回転周期は、2π/ωであるので、モータMは1秒間にω/2π回回転していることになるが、一般的にはモータMの回転は速く、2π/ω<<1である。そのため、sinの積分範囲の端の部分を無視することにより、数式11は、下記の数式12のように近似できる。
【数12】
つまり、数式11は、sinの1周期分を積分し、積分後の値をω/2π倍したものである数式12のように近似できる。数式12を解くと、下記の数式13が得られる。
【数13】
ここで、f
swは、PWM信号の周波数である。なお、周波数の単位は、Hzである。スイッチング損失P
SWは、3相分存在することから、数式13のスイッチング損失P
SWを3倍することにより、3相分のスイッチング損失P
SWが算出される。
【0037】
(回生抵抗損失)
ステップS4において、制御部2は、平滑コンデンサ24の静電エネルギに基づいて、回生抵抗25の回生抵抗損失を算出する。回生スイッチ26がオンして、回生抵抗25に電流が流れた場合、回生抵抗25により電力が消費され、熱として外部へエネルギが流出する。回生抵抗25が作動したか否かは、モータMに流れる電流の電流値からは分からない。そこで、ロボット100への電気的エネルギの流入および流出量を監視し、エネルギが蓄積される平滑コンデンサ24の電圧をシミュレーションすることで、回生抵抗25から放出されたエネルギである回生抵抗損失を算出する。回生抵抗損失を算出において、PN電圧を可能な限り正確にシミュレーションすることにより、回生抵抗25の作動開始電圧、および、作動終了電圧に応じて回生抵抗損失の算出式を切り替えている。
【0038】
具体的には、回生抵抗25の作動状態を表す回生抵抗作動フラグを算出する。直前の計算サイクルで求めていたPN電圧から出発し、PN電圧と、平滑コンデンサ24の静電エネルギとを求める。直前の計算サイクルの平滑コンデンサ24の静電エネルギは、下記の数式14により算出される。
【数14】
ここで、E_pnは、平滑コンデンサ24の静電エネルギである。なお、静電エネルギの単位は、Jである。また、E_pn(前)、直前の計算サイクルの静電エネルギを意味している。Cは、平滑コンデンサ24のコンデンサ容量である。なお、コンデンサ容量の単位は、Fである。V2は、直前の計算サイクルのPN電圧である。そして、下記の数式15に示すように、E_pn(前)に機械的損失を加算することにより、機械的損失を考慮した平滑コンデンサ24の静電エネルギが算出される。
【数15】
ここで、E_pn(a)は、機械的損失が加味された平滑コンデンサ24の静電エネルギを意味している。さらに、アンプ損失が加味された平滑コンデンサ24の静電エネルギE_pn(a、b)、後述する回生抵抗損失が加味された平滑コンデンサ24の静電エネルギE_pn(a、b、c)、後述する回生電力が加味された平滑コンデンサ24の静電エネルギE_pn(a、b、c、e)、および、後述する一次電源系統損失が加味された平滑コンデンサ24の静電エネルギE_pn(a、b、c、e、f)が、下記の数式16により算出される。
【数16】
このように、本実施形態では、平滑コンデンサ24に蓄積される静電エネルギを算出することは、静電エネルギに機械的損失を加算することと、静電エネルギにアンプ損失を加算することと、静電エネルギに回生抵抗損失を加算することと、静電エネルギに一次電源系統損失を加算することと、を含む。なお、回生電力については、平滑コンデンサ24から出ていく電力であるため、静電エネルギから回生電力の分が減算されることになる。そして、次の計算サイクルの最初において、各損失が加味された最終的な静電エネルギE_pn(a、b、c、e、f)に対して、回生抵抗作動フラグの判定が下記の数式17に基づいて行われる。なお、ブレーキ31および制御電源32に対して、平滑コンデンサ24からではなく、整流器30から電力が供給されるため、後述するブレーキ損失および制御電源損失はPN電圧に影響を及ぼさない。
【数17】
ここで、Vlimは、回生開始電圧であり、Vendは、回生終了電圧である。回生抵抗損失は、回生抵抗作動フラグがオンの場合のみ、以下の数式18により算出される。回生抵抗作動フラグがオフのときは、回生抵抗損失は0とされる。
【数18】
ここで、tは、計算サイクルの時間幅であり、Rは、回生抵抗25の抵抗値であり、Cは、平滑コンデンサ24の静電容量である。なお、時間幅の単位はsecである。また、
図10に、平滑コンデンサ24に蓄積されていた静電エネルギが回生抵抗損失により減少している様子を示す。
【0039】
回生抵抗損失は、下記のように、平滑コンデンサ24に蓄積された電荷が回生抵抗25を介して放電されたものとして計算されている。具体的には、平滑コンデンサ24の電圧Vは、V=Q/Cにより表される。ここで、Qは、平滑コンデンサ24に蓄積された電荷量であり、Cは、平滑コンデンサ24の静電容量である。回生抵抗25の抵抗値をRとすると、平滑コンデンサ24からの放電される電流Iは、下記の数式19により表される。
【数19】
なお、電流Iの符号が負である理由は、充電する電流の向きを正と定義しているためである。電流Iは電荷Qの時間微分であるから、下記の数式20が成り立つ。
【数20】
数式20を時間について解くと、下記の数式21が得られる。
【数21】
ここで、Qoは、放電開始時の平滑コンデンサ24の電荷量である。また、平滑コンデンサ24の静電エネルギは、下記の数式22により表される。
【数22】
数式22に、数式21のQ(t)を代入すると下記の数式23が得られる。
【数23】
ここで、Eoは、放電開始時の平滑コンデンサ24の静電エネルギであり、下記の数式24により表される。
【数24】
平滑コンデンサ24から回生抵抗25に放電されて減少した静電エネルギは、放電開始時の静電エネルギからの差分なので、下記の数式25により表される。
【数25】
上記の数式25に基づき、数式18の回生抵抗損失が求められる。
【0040】
(ブレーキ損失および制御電源損失)
ステップS5において、制御部2は、ブレーキ損失および制御電源損失を算出する。制御電源駆動用の電力の他、ロボット100の姿勢を維持するためのブレーキ31を解除しておくための電力損失が発生する。ブレーキ損失は、ブレーキ解除時とブレーキロック時で電力使用量が大きく異なるが、ブレーキロック時間よりもブレーキ解除時間のほうが圧倒的に長いと見なして、固定値としている。なお、ブレーキ31および制御電源32が平滑コンデンサ24からではなく、整流器30から供給されるため、ブレーキ損失および制御電源損失は、平滑コンデンサ24の静電エネルギの算出のためには用いられず、最終的に一次電源200が供給した電力を算出する際に用いられる。
【0041】
(回生電力)
ステップS6において、制御部2は、平滑コンデンサ24の静電エネルギに基づいて、一次電源200に回生した回生電力を算出する。回生電力が発生した場合、一次電源200に回生電力が戻される。具体的には、まず、機械的損失およびアンプ損失が加算された平滑コンデンサ24の静電エネルギE_pn(a,b)からPN電圧が算出される。次に、PN電圧が、PN電圧の目標値を上回っていた場合、アンプ28により上回った分の電力が一次電源200に回生されて、目標値までPN電圧が下がる。なお、回生された電力は、最終的に一次電源200が供給した電力から減算される。また、今回に計算サイクルにおいて算出されたPN電圧および静電エネルギの各々から、アンプ28によって回生された電力の分のエネルギが差し引かれた値が、次回の計算サイクルのPN電圧および静電エネルギとして用いられる。このように、PN電圧が短時間でも目標値を上回ることがないようにPN電圧がシミュレーションされる。
【0042】
(一次電源系統損失)
ステップS7において、制御部2は、一次電源200と平滑コンデンサ24との間のインピーダンス抵抗Rに基づいて、一次電源200から平滑コンデンサ24に充電電力を供給する際の一次電源系統損失を算出する。一次電源系統損失は、一次電源200から入力インピーダンスRを介して平滑コンデンサ24が充電される際の、入力インピーダンスRによる損失である。具体的には、まず、機械的損失、アンプ損失、回生抵抗損失および回生電力を考慮した、平滑コンデンサ24の静電エネルギE_pn(a,b,c,e)を算出する。なお、E_pn(a,b,c,e)は、一次電源200の存在を無視した平滑コンデンサ24の静電エネルギであるため、二次側のみの影響による静電エネルギと考えることができる。E_pn(a,b,c,e)に基づいて、二次側のみの影響によるPN電圧を求めることができる。なお、二次側とは、平滑コンデンサ24に対して一次電源200とは反対側を意味し、二次側には、アンプ28、回生抵抗25などが配置されている。また、PN電圧を、充電開始電圧Voとする。
図11に示すように、直流電圧√2×Vrms=Vrefを有する一次電源200から、充電開始電圧Voを有する平滑コンデンサ24に、入力インピーダンスRを介して充電すると仮定する。なお、Vrmsは、電圧の実効値を意味する。このように平滑コンデンサ24を充電したときの、平滑コンデンサ24の電荷量Q(t)を求める。まず、充電中でのPN電圧をV(t)とすると、充電電流I(t)は、下記の数式26により表せる。
【数26】
ここで、Cは平滑コンデンサ24の静電容量である。このQ(t)に対する微分方程式を解き、t=0でQ(t)=CVo、t→∞でQ(t)=CVrefより積分定数を決定すると、Q(t)の解は、下記の数式27により表せる。
【数27】
数式27により、一次電源200により充電された電荷量Q(t)が算出され、一次電源200から平滑コンデンサ24に供給された静電エネルギの計算できる。本実施形態では、平滑コンデンサ24の静電エネルギに基づいて、一次電源200が供給した電力として、一次電源200が平滑コンデンサ24の充電に要した電力を算出する。具体的には、平滑コンデンサ24の静電エネルギEの下記の数式28を用いる。
【数28】
数式28に基づいて、一次電源200により充電された電荷量Q(t)を用いて算出されたEが、平滑コンデンサ24の充電に要した電力である。また、数式28を用いて、一次電源200から電力が供給された後の平滑コンデンサ24のPN電圧であるVが算出される。このPN電圧とVrefとの電圧差から、一次電源200の入力インピーダンスRで消費される一次電源系統損失は、下記の数式29により表せる。
【数29】
なお、一次電源系統損失の算出においては、一次電源200による充電のみが行われるとし、静電エネルギは、指数関数的に変化すると仮定している。
【0043】
ここで、平滑コンデンサ24の静電エネルギに対して、離散化された時間t内で、各損失がどのように加算されていくのかを説明する。
図12(a)に示すように、前回の計算サイクルにおいて算出された静電エネルギE_pn(前)に対して、機械的損失が加算され、静電エネルギが、E_pn(a)となる。さらに、
図12(b)に示すように、E_pn(a)にアンプ損失が加算され、静電エネルギが、E_pn(a,b)となる。さらに、
図12(c)に示すように、E_pn(a,b)に回生抵抗損失が加算され、静電エネルギが、E_pn(a,b,c)となる。さらに、
図12(d)に示すように、E_pn(a,b,c)に一次電源系統損失が加算され、静電エネルギが、E_pn(a,b,c,f)となる。実際にはこれらの静電エネルギの授受は同時進行的に行われるため、厳密には正確ではない。しなしながら、データのサンプリング周期を短くして計算サイクルを小さくしてくことにより、計算サイクル内のPN電圧の変化量は小さくなっていくので、計算による静電エネルギと実施の静電エネルギとの誤差は小さくなると考えられる。
【0044】
また、各損失を算出に用いられるPN電圧について説明する。実際のPN電圧の変化は正確にはわからないが、上記の計算では、
図13に示すように、まず二次側のアンプ28などの要素によるPN電圧の降圧を求めて、その後に一次電源200による充電を行うとして計算したのに対して、実際の事象では、PN電圧の降圧と同時並行的に充電が行われるため、実施には
図14のようにPN電圧は大きく変化せずに、Vrefに近い位置でPN電圧が小幅に変化すると考えられる。この計算によるPN電圧と実際のPN電圧との誤差は、回生抵抗損失と、一次電源系統損失とに対して影響を及ぼす。ここで、回生抵抗損失は、数式22のように、PN電圧の2乗に比例する一方、一次電源系統損失は、数式29のように、PN電圧とVrefの差分の2乗に比例する。このため、PN電圧がVrefに近い場合は、計算によるPN電圧と実際のPN電圧との誤差は、一次電源系統損失に大きく影響する。そのため、一次電源系統損失の計算では、
図15に示すように、計算サイクルtごとのPN電圧だけを使用して、計算サイクルtの間は線形にPN電圧が変化するものと見なして計算している。
【0045】
(一次電源供給電力)
ステップS8において、制御部2は、最終的な消費電力の積算として、一次電源200が供給した電力を算出する。具体的には、制御部2は、下記の数式30に示すように、一次電源200が平滑コンデンサ24の充電に要した電力と、一次電源系統損失と、ブレーキ損失と、制御電源損失と、回生電力と、を含めて、一次電源200が供給した電力を算出する。
【数30】
なお、回生電力は、一次電源200に戻ってくる電力なので、一次電源200が供給した電力からは減算される。一次電源供給電力を積算したものが、一次電源200が供給した電力量であり、ロボット100の消費電力量である。このように、本実施形形態では、機械的損失、アンプ損失、回生抵抗損失などの積算値は、最終的に一次電源200が供給した電力の計算時には参照していない。すなわち、一次電源200は、平滑コンデンサ24よりも先の、ロボット100のアンプ28などの二次側の要素は直接的には考慮せずに、単にPN電圧に応じて平滑コンデンサ24を充電しているだけである。つまり、一次電源200が供給した電力を計算する上では二次側の情報は必要ない。二次側の要素は、PN電圧を介して間接的に一次電源200側に影響を及ぼすため、一次電源200としてはPN電圧だけを把握できていればよい。
【0046】
[本実施形態の効果]
供給電力算出方法は、算出された平滑コンデンサ24の静電エネルギに応じて、一次電源200が供給した電力を算出することを備える。これにより、平滑コンデンサ24が一次電源200の電圧よりも高い場合のように平滑コンデンサ24を充電する必要がない場合には、一次電源200から供給する電力は算出されない。その結果、実際には一次電源200から電力が供給されない場合にロボット100が電力を消費していると算出されるのが抑制されるので、一次電源200からモータMに供給される電力をより正確に算出することができる。
【0047】
供給電力算出方法は、一次電源200と平滑コンデンサ24との間のインピーダンス抵抗Rに基づいて、一次電源200から平滑コンデンサ24に充電電力を供給する際の一次電源系統損失を算出することを備える。そして、一次電源200が供給した電力を算出することは、一次電源系統損失を含めて、一次電源200が供給した電力を算出することを含む。ここで、二次側としてのロボット100の消費電力を算出する場合では、ロボット100の消費電力のみが考慮され、一次電源200が平滑コンデンサ24を充電する際の損失は考慮されない。そこで、一次電源200から平滑コンデンサ24に充電電力を供給する際の一次電源系統損失を算出することによって、実際に一次電源200が平滑コンデンサ24を充電する際の損失も考慮されるので、一次電源200からロボット100に供給される電力をより一層正確に算出することができる。
【0048】
一次電源200が供給した電力を算出することは、平滑コンデンサ24の静電エネルギに基づいて、一次電源200が供給した電力として、一次電源200が平滑コンデンサ24の充電に要した電力を算出することを含む。これにより、平滑コンデンサ24の電圧が一次電源200の電圧よりも高い場合のように平滑コンデンサ24を充電する必要がない場合には、一次電源200が平滑コンデンサ24の充電に要した電力はゼロになるので、一次電源200からロボット100に供給される電力を適切に算出することができる。
【0049】
供給電力算出方法は、一次電源200から供給される電力をモータMに供給するアンプ28に含まれるスイッチング素子SWのスイッチング損失と、スイッチング素子SWの導通損失とのうちの少なくとも一方に基づいて、アンプ28のアンプ損失を算出することを備える。平滑コンデンサ24に蓄積される静電エネルギを算出することは、静電エネルギにアンプ損失を加算することを含む。これにより、アンプ28に含まれる複数の構成要素を1つの抵抗と見なしてアンプ損失を算出する場合と異なり、アンプ損失を正確に算出することができる。
【0050】
供給電力算出方法は、電気エネルギを機械エネルギに変換する際のロボット100の機械的損失を算出することを備える。平滑コンデンサ24に蓄積される静電エネルギを算出することは、静電エネルギに機械的損失を加算することを含む。これにより、機械的損失を加味して、一次電源200からロボット100に供給される電力を適切に算出することができる。
【0051】
供給電力算出方法は、電気エネルギを機械エネルギに変換する際のロボット100の機械的損失を算出することと、一次電源200から供給される電力をモータMに供給するアンプ28のアンプ損失を算出することと、機械的損失とアンプ損失とが加算された平滑コンデンサ24の静電エネルギに基づいて、回生抵抗25の回生抵抗損失を算出することと、を備える。平滑コンデンサ24に蓄積される静電エネルギを算出することは、静電エネルギに回生抵抗損失を加算することを含む。これにより、回生抵抗損失を加味して、一次電源200からロボット100に供給される電力を適切に算出することができる。
【0052】
供給電力算出方法は、電気エネルギを機械エネルギに変換する際のロボット100の機械的損失を算出することと、一次電源200から供給される電力をモータMに供給するアンプ28のアンプ損失を算出することと、機械的損失とアンプ損失とが加算された平滑コンデンサ24の静電エネルギに基づいて、一次電源200に回生した回生電力を算出することと、を備える。平滑コンデンサ24に蓄積される静電エネルギを算出することは、静電エネルギから回生電力の分を減算することを含む。これにより、回生電力を加味して、一次電源200からロボット100に供給される電力を適切に算出することができる。
【0053】
一次電源200が供給した電力を算出することは、ロボット100の姿勢を維持するブレーキ31の解除状態を維持するためのブレーキ損失と、ロボット100を制御する制御電源32の制御電源損失と、を含めて、一次電源200が供給した電力を算出することを含む。これにより、ブレーキ損失と制御電源損失とを加味して、一次電源200からロボット100に供給される電力を適切に算出することができる。
【0054】
供給電力算出方法は、平滑コンデンサ24の静電エネルギに基づいて、一次電源200に回生した回生電力を算出することを備える。一次電源200が供給した電力を算出することは、算出された回生電力の分を減算して、一次電源200が供給した電力を算出することを含む。これにより、ロボット100が回生電力を生成する場合でも、一次電源200からロボット100に供給される電力をより正確に算出することができる。
【0055】
ロボット100のモータMは、関節JTを駆動する。これにより、一次電源200から関節JTにより駆動されるロボット100に供給される電力をより正確に算出することができる。
【0056】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0057】
上記実施形態では、本開示の対象物として、ロボット100を適用する例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、本開示の対象物として、ロボット100以外の産業機械などを適用してもよい。
【0058】
上記実施形態では、一次電源200が供給した電力に、一次電源200が平滑コンデンサ24の充電に要した電力、一次電源系統損失、ブレーキ損失、制御電源損失および回生電力の全てを含める例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、一次電源200が供給した電力に、一次電源200が平滑コンデンサ24の充電に要した電力のみを含めるなど、一次電源200が供給した電力に、一次電源200が平滑コンデンサ24の充電に要した電力、一次電源系統損失、ブレーキ損失、制御電源損失および回生電力の全てを含めないようにしてもよい。たとえば、一次電源200と平滑コンデンサ24との間の入力インピーダンスRが無視できるほど小さければ、一次電源200が供給した電力に一次電源系統損失を含めなくてもよい。
【0059】
上記実施形態では、アンプ28に含まれる配線やコネクタの抵抗と、モータMの巻線抵抗と、スイッチング素子SWのスイッチング損失と、スイッチング素子SWがオンする際の導通損失と、スイッチング素子SWの還流ダイオードDの導通損失と、の全てに基づいて、アンプ損失を算出する例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、上記の抵抗および損失の全てではなく、一部に基づいて、アンプ損失を算出してもよい。また、上記の抵抗および損失を1つの抵抗と見なしてアンプ損失を算出してもよい。
【0060】
上記実施形態では、回生抵抗損失および回生電力が算出される例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、電力の回生が行われない対象物では、回生抵抗損失および回生電力は算出されない。
【0061】
上記実施形態では、ブレーキ損失および制御電源損失が、固定値である例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、アンプ28などと同様に整流器23からブレーキ31および制御電源32に電力が供給される場合には、平滑コンデンサ24の静電エネルギに基づいて、ブレーキ損失および制御電源損失が算出されてもよい。
【0062】
上記実施形態では、ロボットコントローラ20と別個に配置された供給電力算出装置1により、本開示の供給電力算出方法が実行される例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、ロボットコントローラ20により本開示の供給電力算出方法が実行されてもよい。
【0063】
本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、および/または、それらの組み合わせ、を含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、または手段は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、またはユニットはハードウェアとソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェアおよび/またはプロセッサの構成に使用される。
【0064】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0065】
(態様1)
一次電源からモータにより駆動される対象物に供給された電力をシミュレーションにより算出する供給電力算出方法であって、
前記一次電源から前記対象物に供給される電力を平滑する平滑コンデンサに蓄積される静電エネルギを算出することと、
算出された前記平滑コンデンサの静電エネルギに応じて、前記一次電源が供給した電力を算出することと、を備える、供給電力算出方法。
【0066】
(態様2)
前記一次電源と前記平滑コンデンサとの間の抵抗に基づいて、前記一次電源から前記平滑コンデンサに充電電力を供給する際の一次電源系統損失を算出することを備え、
前記一次電源が供給した電力を算出することは、前記一次電源系統損失を含めて、前記一次電源が供給した電力を算出することを含む、態様1に記載の供給電力算出方法。
【0067】
(態様3)
前記一次電源が供給した電力を算出することは、前記平滑コンデンサの静電エネルギに基づいて、前記一次電源が供給した電力として、前記一次電源が前記平滑コンデンサの充電に要した電力を算出することを含む、態様1または態様2に記載の供給電力算出方法。
【0068】
(態様4)
前記一次電源から供給される電力を前記モータに供給するアンプに含まれる半導体素子のスイッチング損失と、前記半導体素子の導通損失とのうちの少なくとも一方に基づいて、前記アンプのアンプ損失を算出することを備え、
前記平滑コンデンサに蓄積される静電エネルギを算出することは、前記静電エネルギに前記アンプ損失を加算することを含む、態様1から態様3までのいずれか1項に記載の供給電力算出方法。
【0069】
(態様5)
電気エネルギを機械エネルギに変換する際の前記対象物の機械的損失を算出することを備え、
前記平滑コンデンサに蓄積される静電エネルギを算出することは、前記静電エネルギに前記機械的損失を加算することを含む、態様1から態様4までのいずれか1項に記載の供給電力算出方法。
【0070】
(態様6)
電気エネルギを機械エネルギに変換する際の前記対象物の機械的損失を算出することと、
前記一次電源から供給される電力を前記モータに供給するアンプのアンプ損失を算出することと、
前記機械的損失と前記アンプ損失とが加算された前記平滑コンデンサの静電エネルギに基づいて、回生抵抗の回生抵抗損失を算出することと、を備え、
前記平滑コンデンサに蓄積される静電エネルギを算出することは、前記静電エネルギに前記回生抵抗損失を加算することを含む、態様1から態様5までのいずれか1項に記載の供給電力算出方法。
【0071】
(態様7)
電気エネルギを機械エネルギに変換する際の前記対象物の機械的損失を算出することと、
前記一次電源から供給される電力を前記モータに供給するアンプのアンプ損失を算出することと、
前記機械的損失と前記アンプ損失とが加算された前記平滑コンデンサの静電エネルギに基づいて、前記一次電源に回生した回生電力を算出することと、を備え、
前記平滑コンデンサに蓄積される静電エネルギを算出することは、前記静電エネルギから前記回生電力の分を減算することを含む、態様1から態様6までのいずれか1項に記載の供給電力算出方法。
【0072】
(態様8)
前記一次電源が供給した電力を算出することは、前記対象物の姿勢を維持するブレーキの解除状態を維持するためのブレーキ損失を含めて、前記一次電源が供給した電力を算出することを含む、態様1から態様7までのいずれか1項に記載の供給電力算出方法。
【0073】
(態様9)
前記一次電源が供給した電力を算出することは、前記対象物を制御する制御電源の制御電源損失を含めて、前記一次電源が供給した電力を算出することを含む、態様1から態様8までのいずれか1項に記載の供給電力算出方法。
【0074】
(態様10)
前記平滑コンデンサの静電エネルギに基づいて、前記一次電源に回生した回生電力を算出することを備え、
前記一次電源が供給した電力を算出することは、算出された前記回生電力の分を減算して、前記一次電源が供給した電力を算出することを含む、態様1から態様9までのいずれか1項に記載の供給電力算出方法。
【0075】
(態様11)
前記対象物は、ロボットを含み、
前記モータは、前記ロボットの関節を駆動する、態様1から態様10までのいずれか1項に記載の供給電力算出方法。
【0076】
(態様12)
一次電源からモータにより駆動される対象物に供給された電力をシミュレーションにより算出するプログラムであって、
前記一次電源から前記対象物に供給される電力を平滑する平滑コンデンサに蓄積される静電エネルギを算出することと、
算出された前記平滑コンデンサの静電エネルギに応じて、前記一次電源が供給した電力を算出することと、を備える、プログラム。
【0077】
(態様13)
一次電源からモータにより駆動される対象物に供給された電力をシミュレーションにより算出する供給電力算出装置であって、
前記対象物に供給される電力をシミュレーションするプログラムを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記プログラムを用いて、前記一次電源から前記対象物に供給される電力を平滑する平滑コンデンサに蓄積される静電エネルギを算出し、算出した前記平滑コンデンサの静電エネルギに応じて、前記一次電源が供給した電力を算出する制御部と、を備える、供給電力算出装置。
【符号の説明】
【0078】
1 供給電力算出装置
2 制御部
3 記憶部
5 プログラム
24 平滑コンデンサ
25 回生抵抗
28 アンプ
31 ブレーキ
32 制御電源
100 ロボット(対象物)
200 一次電源
JT 関節
M モータ
SW スイッチング素子(半導体素子)