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2025-12120走行状態判別装置、走行状態判別方法、およびプログラム
<図1>
  • -走行状態判別装置、走行状態判別方法、およびプログラム 図1
  • -走行状態判別装置、走行状態判別方法、およびプログラム 図2
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  • -走行状態判別装置、走行状態判別方法、およびプログラム 図10
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012120
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】走行状態判別装置、走行状態判別方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/015 20060101AFI20250117BHJP
   G07B 15/00 20110101ALI20250117BHJP
【FI】
G08G1/015 C
G07B15/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114710
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】坂寄 貴宏
【テーマコード(参考)】
3E127
5H181
【Fターム(参考)】
3E127AA16
3E127BA45
3E127CA16
3E127FA19
3E127FA20
3E127FA23
3E127FA24
3E127FA25
5H181AA01
5H181AA05
5H181BB15
5H181CC01
5H181CC21
5H181EE07
5H181EE10
(57)【要約】
【課題】二輪車と四輪車とを精度よく判別することができる走行状態判別装置を提供する。
【解決手段】走行状態判別装置は、前記車両検知位置を通過する車両のタイヤによる押圧を検出可能な押圧信号を取得する押圧信号取得部と、車両検知器の受光部の受光の有無に基づき前記車両の存在の有無を検出可能な車両検知信号を取得する車両検知信号取得部と、前記車両検知信号に基づいて前記車両の到達時刻および通過時刻を特定する時刻特定部と、前記押圧信号の波形パターンに基づいて前記車両が二輪車であるか否かを推定する推定部と、前記車両が二輪車であると推定された場合に、前記車両検知信号を時間軸上に並べて得られる前記車両の車体シルエットを取得するシルエット取得部と、前記車体シルエットに基づいて前記車両が二輪車であるか否かを判別する判別部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車線の車両検知位置に車線幅方向に並べて配置された複数の押圧センサそれぞれから、前記車両検知位置を通過する車両のタイヤによる押圧を検出可能な押圧信号を取得する押圧信号取得部と、
前記車両検知位置に高さ方向に並べて配置されて検査光を投光する複数の投光部と、複数の前記投光部それぞれの前記検査光または前記検査光の反射光を受光する複数の受光部とを有する車両検知器から、前記受光部の受光の有無に基づき前記車両の存在の有無を検出可能な車両検知信号を取得する車両検知信号取得部と、
前記車両検知信号に基づいて前記車両が前記車両検知位置に到達した到達時刻、および前記車両検知位置を通過した通過時刻を特定する時刻特定部と、
前記到達時刻から前記通過時刻までの間に取得した前記押圧信号の波形パターンに基づいて、前記車両が二輪車であるか否かを推定する推定部と、
前記車両が二輪車であると推定された場合に、前記到達時刻から前記通過時刻までの間に取得した前記車両検知信号を時間軸上に並べて得られる前記車両の車体シルエットを取得するシルエット取得部と、
前記車体シルエットに基づいて前記車両が二輪車であるか否かを判別する判別部と、
を備える走行状態判別装置。
【請求項2】
前記判別部は、前記車体シルエットの面積が第1閾値未満である場合に、前記車両が二輪車であると判別する、
請求項1に記載の走行状態判別装置。
【請求項3】
前記判別部は、
前記車体シルエットのうち、高さ方向の最下段の前記受光部の受光の有無に基づいて前記車両の前輪を検出し、
検出した前記前輪よりも時間軸上の前側における車体シルエットの面積が第2閾値未満である場合に、前記車両が二輪車であると判別する、
請求項1に記載の走行状態判別装置。
【請求項4】
前記判別部は、
前記車体シルエットのうち、高さ方向の最下段の前記受光部の受光の有無に基づいて前記車両の前輪および後輪を検出し、
検出した前記前輪および前記後輪の時間軸上の長さが第3閾値未満である場合に、前記車両が二輪車であると判別する、
請求項1に記載の走行状態判別装置。
【請求項5】
前記判別部は、複数の車両の車体シルエットを学習した推論モデルであって、車体シルエットを入力とし、入力された車体シルエットが二輪車であるか否かを示す判定結果を出力とする推論モデルを用いて、前記車両が二輪車であると判別する、
請求項1に記載の走行状態判別装置。
【請求項6】
前記推定部は、前記到達時刻から前記通過時刻までの間に取得した前記押圧信号に基づいて、前記車両が三輪車であるか否かをさらに推定し、
前記シルエット取得部は、前記車両が三輪車であると推定された場合に、前記車両の車体シルエットを取得し、
前記判別部は、前記車体シルエットに基づいて前記車両が三輪車であるか否かを判別する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の走行状態判別装置。
【請求項7】
車線の車両検知位置に車線幅方向に並べて配置された複数の押圧センサそれぞれから、前記車両検知位置を通過する車両のタイヤによる押圧を検出可能な押圧信号を取得するステップと、
前記車両検知位置に高さ方向に並べて配置されて検査光を投光する複数の投光部と、複数の前記投光部それぞれの前記検査光または前記検査光の反射光を受光する複数の受光部とを有する車両検知器から、前記受光部の受光の有無に基づき前記車両の存在の有無を検出可能な車両検知信号を取得するステップと、
前記車両検知信号に基づいて前記車両が前記車両検知位置に到達した到達時刻、および前記車両検知位置を通過した通過時刻を特定するステップと、
前記到達時刻から前記通過時刻までの間に取得した前記押圧信号の波形パターンに基づいて、前記車両が二輪車であるか否かを推定するステップと、
前記車両が二輪車であると推定された場合に、前記到達時刻から前記通過時刻までの間に取得した前記車両検知信号を時間軸上に並べて得られる前記車両の車体シルエットを取得するステップと、
前記車体シルエットに基づいて前記車両が二輪車であるか否かを判別するステップと、
を有する走行状態判別方法。
【請求項8】
車線の車両検知位置に車線幅方向に並べて配置された複数の押圧センサそれぞれから、前記車両検知位置を通過する車両のタイヤによる押圧を検出可能な押圧信号を取得するステップと、
前記車両検知位置に高さ方向に並べて配置されて検査光を投光する複数の投光部と、複数の前記投光部それぞれの前記検査光または前記検査光の反射光を受光する複数の受光部とを有する車両検知器から、前記受光部の受光の有無に基づき前記車両の存在の有無を検出可能な車両検知信号を取得するステップと、
前記車両検知信号に基づいて前記車両が前記車両検知位置に到達した到達時刻、および前記車両検知位置を通過した通過時刻を特定するステップと、
前記到達時刻から前記通過時刻までの間に取得した前記押圧信号の波形パターンに基づいて、前記車両が二輪車であるか否かを推定するステップと、
前記車両が二輪車であると推定された場合に、前記到達時刻から前記通過時刻までの間に取得した前記車両検知信号を時間軸上に並べて得られる前記車両の車体シルエットを取得するステップと、
前記車体シルエットに基づいて前記車両が二輪車であるか否かを判別するステップと、
を走行状態判別装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、走行状態判別装置、走行状態判別方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路では、走行する車両の車種区分に応じて異なる通行料金を徴収する場合がある。車種区分は、たとえば、特大車、大型車、中型車、普通車、軽自動車(二輪車を含む)の5つに区分される。このため、有料道路の料金所には、車両の特徴情報を検出するセンサと、センサの検出結果に基づき車両の車種区分を判別する車種判別装置が設けられる。車両の特徴情報は、たとえば車両の軸数である。車両の軸数を検出するためのセンサとして、踏板が知られている。踏板は、料金所の車線の幅方向に複数の押圧センサを並べて配置し、車両のタイヤによる踏み付け位置および踏み付け回数を検出する。車種判別装置は、踏板が検出した踏み付け位置および踏み付け回数に基づいて、車両の軸数を特定し、車種区分を判別する。
【0003】
また、将来的には、二輪車の通行料金を別料金とする可能性がある。このため、車両が四輪車であるか二輪車であるかを判別する必要がある。例えば特許文献1には、踏板が検出した踏み付け位置、踏み付け回数、および検出時刻から、車両が二輪車であるか否かを判別する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-33819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、踏板の幅と車線の幅とは同一ではなく、車線の幅方向の両端部には踏板の押圧センサが敷設されていない箇所がある。従来の技術では、たとえば四輪車の片輪が踏板(押圧センサ)の敷設されていない箇所を通った場合に、二輪車が走行したと誤判断する可能性がある。
【0006】
本開示の目的は、二輪車と四輪車とを精度よく判別することができる走行状態判別装置、走行状態判別方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、走行状態判別装置は、車線の車両検知位置に車線幅方向に並べて配置された複数の押圧センサそれぞれから、前記車両検知位置を通過する車両のタイヤによる押圧を検出可能な押圧信号を取得する押圧信号取得部と、前記車両検知位置に高さ方向に並べて配置されて検査光を投光する複数の投光部と、複数の前記投光部それぞれの前記検査光または前記検査光の反射光を受光する複数の受光部とを有する車両検知器から、前記受光部の受光の有無に基づき前記車両の存在の有無を検出可能な車両検知信号を取得する車両検知信号取得部と、前記車両検知信号に基づいて前記車両が前記車両検知位置に到達した到達時刻、および前記車両検知位置を通過した通過時刻を特定する時刻特定部と、前記到達時刻から前記通過時刻までの間に取得した前記押圧信号の波形パターンに基づいて、前記車両が二輪車であるか否かを推定する推定部と、前記車両が二輪車であると推定された場合に、前記到達時刻から前記通過時刻までの間に取得した前記車両検知信号を時間軸上に並べて得られる前記車両の車体シルエットを取得するシルエット取得部と、前記車体シルエットに基づいて前記車両が二輪車であるか否かを判別する判別部と、を備える。
【0008】
本開示の一態様によれば、走行状態判別方法は、車線の車両検知位置に車線幅方向に並べて配置された複数の押圧センサそれぞれから、前記車両検知位置を通過する車両のタイヤによる押圧を検出可能な押圧信号を取得するステップと、前記車両検知位置に高さ方向に並べて配置されて検査光を投光する複数の投光部と、複数の前記投光部それぞれの前記検査光または前記検査光の反射光を受光する複数の受光部とを有する車両検知器から、前記受光部の受光の有無に基づき前記車両の存在の有無を検出可能な車両検知信号を取得するステップと、前記車両検知信号に基づいて前記車両が前記車両検知位置に到達した到達時刻、および前記車両検知位置を通過した通過時刻を特定するステップと、前記到達時刻から前記通過時刻までの間に取得した前記押圧信号の波形パターンに基づいて、前記車両が二輪車であるか否かを推定するステップと、前記車両が二輪車であると推定された場合に、前記到達時刻から前記通過時刻までの間に取得した前記車両検知信号を時間軸上に並べて得られる前記車両の車体シルエットを取得するステップと、前記車体シルエットに基づいて前記車両が二輪車であるか否かを判別するステップと、を有する。
【0009】
本開示の一態様によれば、プログラムは、車線の車両検知位置に車線幅方向に並べて配置された複数の押圧センサそれぞれから、前記車両検知位置を通過する車両のタイヤによる押圧を検出可能な押圧信号を取得するステップと、前記車両検知位置に高さ方向に並べて配置されて検査光を投光する複数の投光部と、複数の前記投光部それぞれの前記検査光または前記検査光の反射光を受光する複数の受光部とを有する車両検知器から、前記受光部の受光の有無に基づき前記車両の存在の有無を検出可能な車両検知信号を取得するステップと、前記車両検知信号に基づいて前記車両が前記車両検知位置に到達した到達時刻、および前記車両検知位置を通過した通過時刻を特定するステップと、前記到達時刻から前記通過時刻までの間に取得した前記押圧信号の波形パターンに基づいて、前記車両が二輪車であるか否かを推定するステップと、前記車両が二輪車であると推定された場合に、前記到達時刻から前記通過時刻までの間に取得した前記車両検知信号を時間軸上に並べて得られる前記車両の車体シルエットを取得するステップと、前記車体シルエットに基づいて前記車両が二輪車であるか否かを判別するステップと、を走行状態判別装置に実行させる。
【発明の効果】
【0010】
上記態様によれば、二輪車と四輪車とを精度よく判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る踏板の構成を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る車両検知器の構成を示す図である。
図4】第1の実施形態に係る走行状態判別装置の機能構成を示す図である。
図5】第1の実施形態に係る走行状態判別装置の処理の一例を示す第1のフローチャートである。
図6】第1の実施形態に係る走行状態判別装置の処理の一例を示す第2のフローチャートである。
図7】第1の実施形態に係る押圧信号の一例を示す図である。
図8】第1の実施形態に係る車体シルエットの一例を示す第1の図である。
図9】第1の実施形態に係る車体シルエットの一例を示す第2の図である。
図10】走行状態判別装置のハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
【0013】
(全体構成)
図1は、第1の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
本実施形態に係る料金収受システム100は、有料道路の料金所(入口料金所または出口料金所)に設けられ、有料道路と一般道路とを接続する車線Lを走行する車両Vから通行料金を収受する。
【0014】
なお、本実施形態では、料金収受システム100が入口料金所に設けられている例について説明する。以下、車線Lの延びる方向(±X方向)を「車線方向」と記載する。また、車線方向の一般道路側(-X側)を「上流側」、有料道路側(+X側)を「下流側」とも記載する。さらに、車線Lの幅方向(±Y方向)を「車線幅方向」と記載する。
【0015】
また、図1には、料金所に一つの車線Lのみが設けられている例が示されているが、これに限られることはない。他の実施形態では、料金所に複数の車線Lが設けられていてもよい。
【0016】
図1に示すように、料金収受システム100は、走行状態判別装置10と、踏板20と、車両検知器21と、ナンバープレート読取装置(NP読取装置)22と、車種判別装置23とを備える。
【0017】
走行状態判別装置10は、二輪車(または三輪車)と、四輪車とで車種区分(通行料金)が異なる有料道路において、車両Vが二輪車(または三輪車)であるか、四輪車であるかを判別する。走行状態判別装置10の機能構成の詳細については後述する。
【0018】
踏板20は、車線方向(X方向)の所定位置である車両検知位置X1において車線Lに敷設される。踏板20は、車両検知位置X1を通過する車両Vのタイヤによる踏み付け(押圧)の位置および回数を検出可能な押圧信号を走行状態判別装置10および車種判別装置23に出力する。
【0019】
車両検知器21は、車両検知位置X1に設置され、車両検知位置X1を通過する車両Vの存在の有無を検出可能な車両検知信号を走行状態判別装置10および車種判別装置23に出力する。
【0020】
NP読取装置22は、車両検知器21が車両Vの存在を検知したタイミングで車両Vを撮影し、撮影した画像から車両Vのナンバープレート情報(NP情報)を読み取る。NP情報は、ナンバープレートのサイズ、色、ナンバープレート上に表記された記号、地名、一連番号などを含む。NP読取装置22は、読み取ったNP情報を車種判別装置23に出力する。
【0021】
車種判別装置23は、踏板20の押圧信号、車両検知器21の車両検知信号、NP読取装置22が読み取ったNP情報、および走行状態判別装置10の判別結果に基づいて、車両Vの車種区分を判別する。料金収受システム100は、車種判別装置23が判別した車種区分を含む入口情報を通行券や、車両Vの車載器(不図示)に挿入されたETCカードに記録する。ETCカードは、電子式料金収受システム(Electronic Toll Collection System;ETC(登録商標)システム、「自動料金収受システム」とも言う)において料金収受に関する各種情報を記録するICカードである。出口料金所では、入口情報に含まれる車種区分に応じた通行料金を算出して、車両Vの搭乗者から通行料金を収受する。通行料金は、車線Lに駐在する収受員が車両Vの搭乗者から直接収受してもよいし、ETCシステムを利用して自動的に収受してもよい。
【0022】
なお、他の実施形態では、料金収受システム100は、車両Vの車高、車長、車幅などの特徴情報を取得するための機器を更に備えていてもよい。この場合、車種判別装置23は、これら車両Vの車高、車長、車幅などの特徴情報にさらに基づいて、車両Vの車種区分を判別してもよい。また、図1には、車種判別装置23が独立した装置として設けられている例が示されているが、これに限られることはない。他の実施形態では、車種判別装置23は、車両検知器21の筐体内に設けられる構成であってもよい。
【0023】
(踏板の構成)
図2は、第1の実施形態に係る踏板の構成を示す図である。
図2に示すように、踏板20は、車線幅方向(Y方向)に並べて配置された複数の押圧センサ200を有している。図2には、踏板20が押圧センサ200A~200Eの5つの押圧センサ200を有している例が示されているが、これに限られることはない。他の実施形態では、踏板20の設置環境(車線Lの幅等)、使用する押圧センサの特性等に応じて押圧センサの数を増減させてもよい。
【0024】
また、各押圧センサ200は、車線方向に少なくとも二つのセンサを並べて構成されたものである。図2の例では、各押圧センサ200(200A~200E)は、車線方向の上流側(-X側)に配置された上流側センサ201(201A~201E)と、車線方向の下流側(+X側)に配置された下流側センサ202(202A~202E)とを有する。たとえば、上流側センサ201および下流側センサ202が押圧された順序から、車両Vの前後進を検出することが可能である。
【0025】
(車両検知器の構成)
図3は、第1の実施形態に係る車両検知器の構成を示す図である。
図3に示すように、本実施形態に係る車両検知器21は、いわゆる透過型の車両検知器であり、車線Lを挟んで対向配置される投光塔211aおよび受光塔211bを有する。投光塔211aおよび受光塔211bは対向配置されていれば良く、投光塔211aと受光塔211bを逆の配置にしても良い。
【0026】
投光塔211aは、高さ方向(Z方向)に等間隔で並べて配置され、受光塔211bに向かって検査光P(たとえば赤外線)を投光する複数の投光部S1を有する。受光塔211bは、各投光部S1と一対一に対応するように配置され、検査光Pを受光する複数の受光部S2を有する。各受光部S2は、対応する投光部S1の検査光Pを受光しているか(受光ON)、受光していないか(受光OFF)を検知する。車両検知器21は、各時刻における各受光部S2の受光ON/OFFを示す検知信号(車両検知信号)を出力する。
【0027】
車両Vが車両検知位置X1に存在するとき、車両Vの車体によって検査光Pが遮光されるので、車体が存在する高さ方向の範囲に位置する受光部S2は受光OFFとなる。したがって、少なくとも一つの受光部S2が受光ONであるときは車両Vが存在し(車両検知ON)、全ての受光部S2が受光OFFであるときは車両Vが存在しない(車両検知OFF)ことを検出可能である。なお、ごみなどの誤検出を抑制するため、高さ方向に連続する所定数の受光部S2が受光OFFであるときのみ、車両Vが存在することを検出してもよい。
【0028】
なお、他の実施形態では、車両検知器21は、反射型の車両検知器であってもよい。この場合、車両検知器21は、車線幅方向の一方側に投光部および受光部の対を高さ方向に並べた投受光塔を有する。車両Vが車両検知位置X1に存在するとき、車両Vの車体によって反射された検査光Pを受光部が受光するので、車体が存在する高さ方向の範囲に位置する受光部は受光ONとなる。したがって、反射型の車両検知器においては、少なくとも一つの受光部が受光ONであるときは車両Vが存在し(車両検知ON)、全ての受光部S2が受光OFFであるときは車両Vが存在しない(車両検知OFF)ことを検出可能である。なお、透過型の車両検知器と同様に、ごみなどの誤検出を抑制するため、高さ方向に連続する所定数の受光部S2が受光ONであるときのみ、車両Vが存在することを検出してもよい。
【0029】
(走行状態判別装置の構成)
図4は、第1の実施形態に係る走行状態判別装置の機能構成を示す図である。
図4に示すように、走行状態判別装置10は、プロセッサ11と、記憶媒体12とを備える。
【0030】
プロセッサ11は、所定のプログラムに従って動作することにより、押圧信号取得部110、車両検知信号取得部111、時刻特定部112、推定部113、シルエット取得部114、および判別部115としての機能を発揮する。
【0031】
押圧信号取得部110は、踏板20の複数の押圧センサ200それぞれから車両Vのタイヤによる押圧を検出可能な押圧信号を取得する。
【0032】
車両検知信号取得部111は、車両検知器21から車両Vの存在を検出可能な車両検知信号を取得する。車両検知信号は、車両検知器21の複数の受光部S2それぞれの受光の有無(ON/OFF)を示す。上記したように、本実施形態では、車両検知器21は透過型の車両検知器であるとする。したがって、少なくとも一つの受光部S2が受光ONであるときは車両Vが存在し(車両検知ON)、全ての受光部S2が受光OFFであるときは車両Vが存在しない(車両検知OFF)ことを検出可能である。なお、ごみなどの誤検出を抑制するため、高さ方向に連続する所定数の受光部S2が受光OFFであるときのみ、車両Vが存在することを検出してもよい。
【0033】
時刻特定部112は、車両検知信号に基づいて車両Vが車両検知位置X1に到達した到達時刻、および車両検知位置X1を通過した通過時刻を特定する。到達時刻は、車両検知OFFから車両検知ONに切り替わった時刻、通過時刻は、車両検知ONから車両検知OFFに切り替わった時刻である。
【0034】
推定部113は、到達時刻から通過時刻までの間に取得した押圧信号の波形パターンに基づいて、車両Vが二輪車であるか否かを推定する。
【0035】
シルエット取得部114は、車両Vが二輪車であると推定された場合に、到達時刻から通過時刻までの間に取得した車両検知信号を時間軸上に並べて得られる車両Vの車体シルエットを取得する。
【0036】
判別部115は、車体シルエットに基づいて車両Vが二輪車であるか否かを判別する。
【0037】
記憶媒体12は、いわゆる補助記憶装置であり、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの大容量記憶デバイスである。記憶媒体12には、プロセッサ11の各部が取得または生成した情報が記録される。
【0038】
(走行状態判別装置の処理フロー)
図5は、第1の実施形態に係る走行状態判別装置の処理の一例を示す第1のフローチャートである。
図6は、第1の実施形態に係る走行状態判別装置の処理の一例を示す第2のフローチャートである。
ここでは、図5図6を参照しながら走行状態判別装置10の処理の流れについて説明する。
【0039】
図5に示すように、まず、押圧信号取得部110は、各押圧センサ200A~200Eそれぞれから押圧信号を取得する(ステップS10)。取得した押圧信号は、記憶媒体12に記憶されて蓄積される。
【0040】
また、車両検知信号取得部111は、車両検知器21から車両検知信号を取得する(ステップS11)。
【0041】
なお、ステップS10~S11は同時に実行されてもよいし、逆の順序で実行されてもよい。
【0042】
次に、時刻特定部112は、車両検知信号取得部111が取得した車両検知信号が車両検知OFFからONに切り替わったか判断する(ステップS12)。時刻特定部112は、車両検知ONに切り替わっていない場合(ステップS12:NO)、すなわち、車両Vが車両検知位置X1に存在していない場合、ステップS10に戻る。
【0043】
一方、時刻特定部112は、車両検知信号が車両検知ONに切り替わった場合(ステップS12:YES)、すなわち、車両Vが車両検知位置X1に到達した場合、この車両検知信号の取得時間に基づいて、車両Vの車両検知位置X1への到達時刻を特定する(ステップS13)。
【0044】
また、押圧信号取得部110は、車両Vが車両検知位置X1を走行中も、継続して押圧信号を取得する(ステップS14)。取得した押圧信号は、記憶媒体12に記憶されて蓄積される。同様に、車両検知信号取得部111も、継続して車両検知信号を取得する(ステップS15)。
【0045】
次に、時刻特定部112は、車両検知信号取得部111が取得した車両検知信号が車両検知ONからOFFに切り替わったか判断する(ステップS16)。時刻特定部112は、車両検知OFFに切り替わっていない場合(ステップS16:NO)、すなわち、車両Vが車両検知位置X1を走行中である場合、ステップS14に戻る。
【0046】
一方、時刻特定部112は、車両検知信号が車両検知OFFに切り替わった場合(ステップS16:YES)、すなわち、車両Vが車両検知位置X1を通過した場合、この車両検知信号の取得時間に基づいて、車両Vの車両検知位置X1の通過時刻を特定する(ステップS17)。
【0047】
次に、走行状態判別装置10は、到達時刻から通過時刻までの間に取得された押圧信号、および車両検知信号に基づいて、車両Vの走行状態を推測する処理を実行する(ステップS18)。なお、本実施形態において、車両Vの走行状態とは、「一台の四輪車が走行」、「一台の三輪車が走行」、「一台の二輪車が走行」、「二台の二輪車が走行(並走)」のうちいずれかを示す。具体的には、走行状態判別装置10は、図6に示す各処理を実行して、車両Vの走行状態を推定する。
【0048】
図6に示すように、まず、推定部113は、車両Vの車両検知位置X1への到達時刻から通過時刻までの間に、車線幅方向に配置された複数の押圧センサ200のうち、異なる二つの押圧センサ200から車両Vのタイヤに押圧されたことを示す押圧信号(押圧ON信号)を取得したか否かを判断する(ステップS1801)。つまり、車線幅方向(左右)の二か所でタイヤによる押圧が検出されたか判断する。
【0049】
図7は、第1の実施形態に係る押圧信号の一例を示す図である。
図7のケースAの例では、車両検知ONとなった到達時刻t1から車両検知OFFとなった通過時刻t10までの間において、期間D1(時刻t2~t3)と、期間D2(時刻t4~t5)に押圧センサ200A,200Dから押圧ON信号を取得している。推定部113は、ケースAの押圧信号の波形パターンから、期間D1の押圧ON信号は車両Vの一軸目(前輪)のものであり、期間D2の押圧ON信号は車両Vの二軸目(後輪)のものであると仮定する。また、このケースAでは、各期間D1,D2において、異なる二つの押圧センサ200A,200Dから押圧ON信号を取得しているので、推定部113は、車線幅方向の二か所でタイヤによる押圧が検出されたと判断する(ステップS1801;YES)。
【0050】
図7のケースBの例では、車両検知ONとなった到達時刻t1から車両検知OFFとなった通過時刻t10までの間において、期間D1(時刻t2~t3)に押圧センサ200B,200Dから押圧ON信号を取得し、期間D2(時刻t4~t5)に押圧センサ200Cからのみ押圧ON信号を取得している。推定部113は、ケースBの押圧信号の波形パターンから、期間D1の押圧ON信号は車両Vの一軸目(前輪)のものであり、期間D2の押圧ON信号は車両Vの二軸目(後輪)のものであると仮定する。また、このケースBでは、期間D1において、異なる二つの押圧センサ200B,200Dから押圧ON信号を取得しているので、推定部113は、車線幅方向の二か所でタイヤによる押圧が検出されたと判断する(ステップS1801;YES)。なお、図示は略すが、期間D1において車線幅方向の一か所のみでタイヤの押圧が検出され、期間D2において車線幅方向の二か所でタイヤによる押圧が検出された場合も、ケースBと同様に判断される。
【0051】
図7のケースCの例では、車両検知ONとなった到達時刻t1から車両検知OFFとなった通過時刻t10までの間において、期間D1(時刻t2~t3)と、期間D2(時刻t4~t5)に押圧センサ200Cのみから押圧ON信号を取得している。推定部113は、ケースCの押圧信号の波形パターンから、期間D1の押圧ON信号は車両Vの一軸目(前輪)のものであり、期間D2の押圧ON信号は車両Vの二軸目(後輪)のものであると仮定する。また、このケースCでは、各期間D1,D2において、一つの押圧センサ200Cのみから押圧ON信号を取得しているので、推定部113は、車線幅方向の一か所のみでタイヤによる押圧が検出されたと判断する(ステップS1801;NO)。
【0052】
まず、車両Vの一軸目および二軸目の両方において、車線幅方向の一か所のみでタイヤによる押圧が検出された図7のケースC(ステップS1801;NO)について説明する。このケースCでは、推定部113は、仮に車両Vが二輪車であると推定する(ステップS1812)。
【0053】
しかしながら、実際には、車両Vが四輪車または三輪車であるが、片輪(左右いずれかのタイヤ)が押圧センサ200上を通過しなかった場合も考えられる。このため、本実施形態では、この車両Vが二輪車であるか否かを判別する処理をさらに実行する。
【0054】
具体的には、まず、シルエット取得部114は、到達時刻t1から通過時刻t10までの間に取得した車両検知信号に基づいて車両Vの車体シルエットを取得する(ステップS1813)。
【0055】
図8は、第1の実施形態に係る車体シルエットの一例を示す第1の図である。
図9は、第1の実施形態に係る車体シルエットの一例を示す第2の図である。
図8は四輪車の車体シルエットの例、図9は二輪車の車体シルエットの例を示す。図8および図9に示すように、車体シルエットは、各時刻に取得した車両検知信号を時間軸上に並べて得られる二次元情報である。縦軸は各受光部S2が配置される高さ方向の空間軸であり、横軸は各車両検知信号の取得時刻を示す時間軸である。図中の白丸は各時刻における各受光部S2の受光ON(非遮光領域)、黒丸は受光OFF(遮光領域)を示す。黒丸で表される遮光領域が、車両Vの車線幅方向(Y方向)の一方側から見た側面の射影、すなわち車体シルエットである。
【0056】
また、車体シルエットは、車両Vが車両検知位置X1を通過する際の速度に応じて変動する。たとえば、車体シルエットは、車両Vの速度が相対的に低速である場合に横軸(時間軸)方向に引き伸ばされ、逆に速度が相対的に高速である場合に横軸(時間軸)方向に圧縮された形状となる。したがって、シルエット取得部114は、車両Vの速度に応じた変動成分を除去するために正規化処理を行って車体シルエットを取得する。正規化処理は既知の技術を利用してよい。また、車両Vの速度は、車線Lに設けられた速度計(不図示)から取得してもよいし、踏板20の上流側センサ201と下流側センサ202の押圧タイミングの時間差などから計測してもよい。
【0057】
次に、判別部115は、車体シルエットが二輪車のものであるか否かを判定する(ステップS1814)。
【0058】
図8および図9の例のように、四輪車の車体シルエット(遮光領域)と比較して、二輪車の車体シルエット(遮光領域)は面積が小さい。このため、判別部115は、車体シルエットの面積が第1閾値未満である場合に、この車体シルエットは二輪車のものであると判定する(ステップS1814;YES)。第1閾値は、事前にサンプルとして取得した二輪車および四輪車の車体シルエットに基づいて、予め設定した値である。また、図7のケースCでは、押圧信号の波形パターンから一軸目、二軸目とも一つのタイヤにより押圧されていることが分かっているので、判別部115は、この車両Vは一台の二輪車であると判別し(ステップS1815)、この車両Vに対する処理を終了する。判別結果は、車種判別装置23に送信されて車種区分の判別のための情報として用いられる。
【0059】
一方、判別部115は、車体シルエットの面積が第1閾値以上である場合に、この車体シルエットは四輪車のものであると判定する(ステップS1814;NO)。このとき、判別部115は、車両Vが一台の四輪車であると判別し(ステップS1809)、この車両Vに対する処理を終了する。判別結果は、車種判別装置23に送信されて車種区分の判別のための情報として用いられる。
【0060】
なお、二輪車は四輪車と比較して車長が短いため、二輪車の場合は到達時刻t1から通過時刻t10までの時間(車両検知ON期間)が四輪車よりも短くなることが想定される。このため、四輪車と二輪車とでは、到達時刻t1から通過時刻t10までの間の車両検知信号のみを並べた二次元情報の総面積は大きく異なる可能性がある。このため、シルエット取得部114は、各車両Vの車両検知信号を並べた二次元情報の総面積が略同一となるように正規化した二次元情報を作成した上で、車体シルエットを取得するようにしてもよい。具体的には、シルエット取得部114は、たとえば二輪車と区別したい四輪車(軽自動車)の最大車両検知ON期間を予め決めておき、実際の車両検知ON期間(到達時刻t1~通過時刻t10)が最大車両検知ONよりも短い場合には、車両Vの実際の通過時刻t10から最大車両検知ON期間後の時刻t10’までの期間の車両検知信号(全ての受光部S2が受光ON)を補った二次元情報を作成する。そうすると、図9の例のように、二輪車の場合の二次元情報は、実際の通過時刻t10から時刻t10’までの期間は全ての受光部S2が受光ON(非遮光領域)となる。このようにすることで、二輪車と四輪車の車体シルエットの面積差が明確となるため、二輪車であるか四輪車であるかをより精度よく判別可能となる。
【0061】
次に、車両Vの一軸目および二軸目の少なくとも一方において、車線幅方向の二か所でタイヤによる押圧が検出された図7のケースA,B(ステップS1801;YES)について説明する。
【0062】
ケースA,Bでは、推定部113は、車線幅方向の二か所で検出された押圧ON信号が、一台の車両の左右のタイヤによる押圧を示すものであるか、異なる二台の二輪車それぞれのタイヤによる押圧を示すものであるか判断する。ここで、一台の車両の左右のタイヤによる押圧である場合、これら左右のタイヤは同時、また非常に短い時間差で押圧センサ200上を通過することが想定される。一方、異なる二台の二輪車それぞれのタイヤによる押圧である場合、二輪車のタイヤ径、軸距等の形状的な特徴、速度の相違により、タイヤが押圧センサ200上を通過する時間が異なることが想定される。このような想定のもと、推定部113は、二つの押圧センサ200それぞれから押圧ON信号を取得した時刻の時間差が、所定の判定閾値未満であるか否かを判断する(ステップS1802)。なお、判定閾値は押圧センサ200の特性等に応じて任意に設定される。
【0063】
たとえば、推定部113は、ケースAでは、期間D1,D2の両方において、押圧センサ200Aの押圧信号がOFFからONになった第1時刻と、押圧センサ200Dの押圧信号がOFFからONになった第2時刻との時間差が判定閾値未満であるか否かを判断する。また、推定部113は、ケースBでは、期間D1において、押圧センサ200Aの押圧信号がOFFからONになった第1時刻と、押圧センサ200Dの押圧信号がOFFからONになった第2時刻との時間差が判定閾値未満であるか否かを判断する。
【0064】
推定部113は、時間差が判定閾値以上である場合(ステップS1802;NO)、車両Vは一台の車両ではないと推定する(ステップS1810)。この場合、判別部115は、車両Vは二台の二輪車(並走)であると判別し(ステップS1811)、この車両Vに対する処理を終了する。判別結果は、車種判別装置23に送信されて車種区分の判別のための情報として用いられる。
【0065】
一方、推定部113は、時間差が判定閾値未満である場合(ステップS1802;YES)、車両Vは一台の車両(三輪車または四輪車)であると推定する(ステップS1803)。この場合、推定部113は、この車両が三輪車であるか四輪車であるかをさらに推定する。
【0066】
具体的には、推定部113は、到達時刻t1から通過時刻t10までの間に取得した押圧信号の波形パターンから、車両Vの車輪数が「3」であるか否かを判断する(ステップS1804)。
【0067】
推定部113は、到達時刻t1から通過時刻t10までの間に取得した押圧信号の波形パターンから、押圧ON信号を取得した回数(押圧信号がOFF→ONに変化した立ち上がりエッジの数)を、車両Vの車輪数として特定する。
【0068】
図7のケースAでは、期間D1,D2それぞれにおいて二つずつ、計四つの押圧ON信号を取得している。したがって、ケースAでは、推定部113は、車両Vの車輪数が「3」ではないと判断する(ステップS1804;NO)。この場合、判別部115は、車両Vが一台の四輪車であると判別し(ステップS1809)、この車両Vに対する処理を終了する。判別結果は、車種判別装置23に送信されて車種区分の判別のための情報として用いられる。
【0069】
一方、図7のケースBでは、期間D1において2つの押圧ON信号を取得し、期間D2において1つの押圧ON信号を取得している。したがって、ケースBでは、推定部113は、車両Vの車輪数が「3」であると判断する(ステップS1804;YES)。この場合、推定部113は、仮に車両Vが三輪車であると推定する(ステップS1805)。
【0070】
しかしながら、実際には、車両Vが四輪車であるが、一軸目または二軸目の片輪(左右いずれかのタイヤ)が押圧センサ200上を通過しなかった場合も考えられる。このため、本実施形態では、この車両Vが三輪車であるか否かを判別する処理をさらに実行する。
【0071】
具体的には、まず、シルエット取得部114は、到達時刻t1から通過時刻t10までの間に取得した車両検知信号に基づいて車両Vの車体シルエットを取得する(ステップS1806)。この処理は、上記したステップS1813と同じである。
【0072】
次に、判別部115は、車体シルエットが三輪車のものであるか否かを判定する(ステップS1807)。本実施形態では、三輪車の車体シルエットは、二輪車と同様に、四輪車の車体シルエットと比較して面積が小さいとする。したがって、判別部115は、車体シルエットの面積が第1閾値未満である場合に、この車体シルエットは三輪車のものであると判定する(ステップS1807;YES)。この場合、判別部115は、この車両Vは一台の三輪車であると判別し(ステップS1808)、この車両Vに対する処理を終了する。判別結果は、車種判別装置23に送信されて車種区分の判別のための情報として用いられる。
【0073】
一方、判別部115は、車体シルエットの面積が第1閾値以上である場合に、この車体シルエットは四輪車のものであると判定する(ステップS1807;NO)。このとき、判別部115は、車両Vが一台の四輪車であると判別し(ステップS1809)、この車両Vに対する処理を終了する。判別結果は、車種判別装置23に送信されて車種区分の判別のための情報として用いられる。
【0074】
走行状態判別装置10は、料金所に車両Vが到来する度に、図5図6に示す一連の処理を実行する。
【0075】
(作用、効果)
以上のように、本実施形態に係る走行状態判別装置10は、複数の押圧センサ200それぞれから車両Vのタイヤによる押圧を検出可能な押圧信号を取得する押圧信号取得部110と、車両検知器21から受光部S2の受光の有無に基づき車両Vの存在の有無を検出可能な車両検知信号を取得する車両検知信号取得部111と、車両検知信号に基づいて車両Vが車両検知位置X1に到達した到達時刻、および車両検知位置X1を通過した通過時刻を特定する時刻特定部112と、到達時刻から通過時刻までの間に取得した押圧信号の波形パターンに基づいて、車両Vが二輪車であるか否かを推定する推定部113と、車両Vが二輪車であると推定された場合に、到達時刻から通過時刻までの間に取得した車両検知信号を時間軸上に並べて得られる車両Vの車体シルエットを取得するシルエット取得部114と、車体シルエットに基づいて車両Vが二輪車であるか否かを判別する判別部115と、を備える。
【0076】
従来の技術では、四輪車の片輪が押圧センサの敷設されていない箇所を通った(押圧センサ上を通過しなかった)場合に、押圧信号の波形パターンから、二輪車であると誤判断する可能性があった。これに対し、本実施形態に係る走行状態判別装置10は、たとえ四輪車の片輪が押圧センサ上を通過しなかったために、押圧信号の波形パターンから仮に車両Vが二輪車であると推定された場合であっても、車両Vの車体シルエットから、この車両Vが二輪車あるか四輪車であるかを精度よく判別することができる。
【0077】
また、判別部115は、車体シルエットの面積が第1閾値未満である場合に、車両Vが二輪車であると判別する。
【0078】
二輪車は、四輪車と比較して車体の大きさが小さい。したがって、二輪車の車体シルエット(遮光領域)は、四輪車の車体シルエット(遮光領域)と比較して、面積が小さくなる。このような形状的な差異を利用することにより、走行状態判別装置10は、複雑な処理を行うことなく、二輪車と四輪車とを容易に、且つ精度よく判別することができる。
【0079】
また、推定部113は、到達時刻から通過時刻までの間に取得した押圧信号に基づいて、車両Vが三輪車であるか否かをさらに推定し、シルエット取得部114は、車両Vが三輪車であると推定された場合に、車両Vの車体シルエットを取得し、判別部115は、車体シルエットに基づいて車両Vが三輪車であるか否かを判別する。
【0080】
このようにすることで、走行状態判別装置10は、たとえ四輪車の前後いずれかの片輪が押圧センサ上を通過しなかったために、押圧信号の波形パターンから仮に車両Vが三輪車であると推定された場合であっても、車両Vの車体シルエットから、この車両Vが三輪車あるか四輪車であるかを精度よく判別することができる。
【0081】
<第2の実施形態>
第1の実施形態において、判別部115が車体シルエットの面積に基づいて二輪車(または三輪車)と、四輪車とを判別する例について説明したが、これに限られることはない。第2の実施形態では、判別部115は、車体シルエットから得られる車体形状を考慮して、二輪車(または三輪車)と、四輪車とを判別してもよい。
【0082】
たとえば、車線幅方向(Y方向)の一方側から車両Vの側面を見たとき、四輪車の場合、一軸目のタイヤ(前輪)よりも前方に車体(フロントバンパーやボンネットなど)が存在する。一方、二輪車または三輪車の場合、一軸目のタイヤ(前輪)よりも前方には車体が存在しない。このため、第2の実施形態に係る走行状態判別装置10の判別部115は、ステップS1814において、まず、車体シルエットから車両Vの前輪を検出する。車両Vのタイヤは地面に接し、車体は地面に接していないことから、車体シルエットのうち、高さ方向(Z方向)の最下段の受光部S2の受光の有無を参照することで、車両Vのタイヤを検出することができる。つまり、判別部115は、時間軸上の最も前側で、最下段の受光部S2が受光ON(非遮光状態)から受光OFF(遮光状態)に切り替わり、次に受光OFFから受光ONに切り替わるまでの範囲を、車両Vの前輪として検出する。
【0083】
また、判別部115は、検出した前輪よりも前側(時間軸上の前側)における車体シルエット(遮光領域)の面積が第2閾値未満である場合に、車両Vが一台の二輪車であると判別する(ステップS1814;YES)。第2閾値は、事前にサンプルとして取得した二輪車および四輪車の車体シルエットに基づいて、予め設定した値である。
【0084】
たとえば、図8の車体シルエットから、時間軸上の時刻t2~t3の範囲において車両Vの前輪を検出したとする。このとき、時刻t2よりも時間軸上の前側の車体シルエットは、車両Vのボンネットなどが含まれるため、第2閾値以上となる(ステップS1814;NO)。したがって、判別部115は、図8に示す車体シルエットから、車両Vは一台の四輪車であると判別する(ステップS1809)。
【0085】
一方、図9の車体シルエットから、時間軸上の時刻t2~t3において車両Vの前輪を検出したとする。このとき、時刻t2よりも時間軸上の前側の車体シルエットは、車体が存在しないため、第2閾値未満となる(ステップS1814;YES)。したがって、判別部115は、図9に示す車体シルエットから、車両Vは一台の二輪車であると判別する(ステップS1815)。
【0086】
また、ステップS1807についても、ステップS1814と同様の処理が行われる。
【0087】
このようにすることで、走行状態判別装置10は、二輪車および四輪車の車体の形状的な特徴を考慮して、車体シルエットから二輪車であるか四輪車であるかを精度よく判別することができる。
【0088】
<第3の実施形態>
また、二輪車の前輪と後輪との間の距離(軸距)は、四輪車と比較して短い。このため、第3の実施形態に係る走行状態判別装置10の判別部115は、ステップS1814において、まず、車体シルエットから車両Vの一軸目および二軸目のタイヤ(前輪および後輪)を検出する。前輪および後輪の検出方法は、第2の実施形態と同様である。すなわち、判別部115は、時間軸上の最も前側で、最下段の受光部S2が受光ONから受光OFFに切り替わり、次に受光OFFから受光ONに切り替わるまでの範囲を、車両Vの前輪として検出する。また、判別部115は、時間軸上の検出した前輪よりも後ろ側で、最下段の受光部S2が受光ONから受光OFFに切り替わり、次に受光OFFから受光ONに切り替わるまでの範囲を、車両Vの後輪として検出する。
【0089】
また、判別部115は、検出した前輪と後輪との間の時間軸上の長さ(すなわち、前輪が検出されてから後輪が検出されるまでの時間)が第3閾値未満である場合に、車両Vが一台の二輪車であると判別する(ステップS1814;YES)。第3閾値は、事前にサンプルとして取得した二輪車および四輪車の軸距や、料金所の平均的な走行速度などの統計情報に基づいて予め設定した値である。
【0090】
たとえば、図8の車体シルエットから、時間軸上の時刻t2~t3の範囲において車両Vの前輪を検出し、時刻t4~t5の範囲において後輪を検出したとする。このとき、時刻t3からt4までの時間(時間軸上の長さ)は、第3閾値以上である(ステップS1814;NO)。したがって、判別部115は、図8に示す車体シルエットから、車両Vは一台の四輪車であると判別する(ステップS1809)。
【0091】
一方、図9の車体シルエットから、時間軸上の時刻t2~t3において車両Vの前輪を検出し、時刻t4~t5の範囲において後輪を検出したとする。このとき、時刻t3からt4までの時間(時間軸上の長さ)は、第3閾値未満となる(ステップS1814;YES)。したがって、判別部115は、図9に示す車体シルエットから、車両Vは一台の二輪車であると判別する(ステップS1815)。
【0092】
また、ステップS1807についても、ステップS1814と同様の処理が行われる。
【0093】
このようにすることで、走行状態判別装置10は、二輪車および四輪車の軸距の差異を考慮して、車体シルエットから二輪車であるか四輪車であるかを精度よく判別することができる。
【0094】
<第4の実施形態>
さらに、判別部115は、予め二輪車、三輪車、四輪車の車体シルエットを学習データとして取得し、深層学習により学習した推論モデルを生成してもよい。推論モデルは、車体シルエットを入力とし、車体シルエットで示される車両が二輪車、三輪車、四輪車の何れであるかを出力とする。
【0095】
第4の実施形態に係る走行状態判別装置10の判別部115は、ステップS1814において、シルエット取得部114が取得した車体シルエットを推論モデルに入力する。推論モデルの出力が二輪車である場合(ステップS1814;YES)、判別部115は、車両Vは一台の二輪車であると判別する(ステップS1815)。一方、推論モデルの出力が四輪車である場合(ステップS1814;NO)、判別部115は、車両Vは一台の四輪車であると判別する(ステップS1809)。
【0096】
また、ステップS1807についても、ステップS1814と同様の処理が行われる。
【0097】
このようにすることで、走行状態判別装置10は、学習データにより学習した推論モデルを利用して、車体シルエットから二輪車であるか四輪車であるかを容易かつ精度よく判別することができる。
【0098】
<その他の実施形態>
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。すなわち、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。
【0099】
たとえば、上述の実施形態では、走行状態判別装置10が踏板20の押圧センサ200から押圧信号を取得する例について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、走行状態判別装置10は、車両Vの軸重を計測するための重量計測装置の押圧センサから押圧信号を取得してもよい。
【0100】
<ハードウェア構成>
図10は、走行状態判別装置のハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
【0101】
コンピュータ900は、プロセッサ901、主記憶装置902、補助記憶装置903、および、インタフェース904を備える。
【0102】
上述の走行状態判別装置10は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。プロセッサ901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ901は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置902に確保する。
【0103】
プログラムは、コンピュータ900に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータ900は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。この場合、プロセッサ901によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0104】
補助記憶装置903の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。補助記憶装置903は、コンピュータ900のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース904または通信回線を介してコンピュータ900に接続される外部記憶装置910であってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0105】
また、プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0106】
<付記>
上述の実施形態に記載の走行状態判別装置、走行状態判別方法、およびプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0107】
(1)第1の態様によれば、走行状態判別装置10は、車線Lの車両検知位置X1に車線幅方向に並べて配置された複数の押圧センサ200それぞれから、車両検知位置X1を通過する車両Vのタイヤによる押圧を検出可能な押圧信号を取得する押圧信号取得部110と、車両検知位置X1に高さ方向に並べて配置されて検査光Pを投光する複数の投光部S1と、複数の投光部S1それぞれの検査光Pまたは検査光Pの反射光を受光する複数の受光部S2とを有する車両検知器21から、受光部S2の受光の有無に基づき車両Vの存在の有無を検出可能な車両検知信号を取得する車両検知信号取得部111と、車両検知信号に基づいて車両Vが車両検知位置X1に到達した到達時刻、および車両検知位置X1を通過した通過時刻を特定する時刻特定部112と、到達時刻から通過時刻までの間に取得した押圧信号の波形パターンに基づいて、車両Vが二輪車であるか否かを推定する推定部113と、車両Vが二輪車であると推定された場合に、到達時刻から通過時刻までの間に取得した車両検知信号を時間軸上に並べて得られる車両Vの車体シルエットを取得するシルエット取得部114と、車体シルエットに基づいて車両Vが二輪車であるか否かを判別する判別部115と、を備える。
【0108】
従来の技術では、四輪車の片輪が押圧センサの敷設されていない箇所を通った(押圧センサ上を通過しなかった)場合に、押圧信号の波形パターンから、二輪車であると誤判断する可能性があった。これに対し、本実施形態に係る走行状態判別装置10は、たとえ四輪車の片輪が押圧センサ上を通過しなかったために、押圧信号の波形パターンから仮に車両Vが二輪車であると推定された場合であっても、車両Vの車体シルエットから、この車両Vが二輪車あるか四輪車であるかを精度よく判別することができる。
【0109】
(2)第2の態様によれば、第1の態様に係る走行状態判別装置10において、判別部115は、車体シルエットの面積が第1閾値未満である場合に、車両Vが二輪車であると判別する。
【0110】
二輪車は、四輪車と比較して車体の大きさが小さい。したがって、二輪車の車体シルエット(遮光領域)は、四輪車の車体シルエット(遮光領域)と比較して、面積が小さくなる。このような形状的な差異を利用することにより、走行状態判別装置10は、複雑な処理を行うことなく、二輪車と四輪車とを容易に、且つ精度よく判別することができる。
【0111】
(3)第3の態様によれば、第1の態様に係る走行状態判別装置10において、判別部115は、車体シルエットのうち、高さ方向の最下段の受光部S2の受光の有無に基づいて車両Vの前輪を検出し、検出した前輪よりも時間軸上の前側における車体シルエットの面積が第2閾値未満である場合に、車両Vが二輪車であると判別する。
【0112】
このようにすることで、走行状態判別装置10は、二輪車および四輪車の車体の形状的な特徴を考慮して、車体シルエットから二輪車であるか四輪車であるかを精度よく判別することができる。
【0113】
(4)第4の態様によれば、第1の態様に係る走行状態判別装置10において、判別部115は、車体シルエットのうち、高さ方向の最下段の受光部S2の受光の有無に基づいて車両Vの前輪および後輪を検出し、検出した前輪および後輪の時間軸上の長さが第3閾値未満である場合に、車両Vが二輪車であると判別する。
【0114】
このようにすることで、走行状態判別装置10は、二輪車および四輪車の軸距の差異を考慮して、車体シルエットから二輪車であるか四輪車であるかを精度よく判別することができる。
【0115】
(5)第5の態様によれば、第1の態様に係る走行状態判別装置10において、判別部115は、複数の車両Vの車体シルエットを学習した推論モデルであって、車体シルエットを入力とし、入力された車体シルエットが二輪車であるか否かを示す判定結果を出力とする推論モデルを用いて、車両Vが二輪車であると判別する。
【0116】
このようにすることで、走行状態判別装置10は、学習データにより学習した推論モデルを利用して、車体シルエットから二輪車であるか四輪車であるかを容易かつ精度よく判別することができる。
【0117】
(6)第6の態様によれば、第1から第6のいずれか一の態様に係る走行状態判別装置10において、推定部113は、到達時刻から通過時刻までの間に取得した押圧信号に基づいて、車両Vが三輪車であるか否かをさらに推定し、シルエット取得部114は、車両Vが三輪車であると推定された場合に、車両Vの車体シルエットを取得し、判別部115は、車体シルエットに基づいて車両Vが三輪車であるか否かを判別する。
【0118】
このようにすることで、走行状態判別装置10は、たとえ四輪車の前後いずれかの片輪が押圧センサ上を通過しなかったために、押圧信号の波形パターンから仮に車両Vが三輪車であると推定された場合であっても、車両Vの車体シルエットから、この車両Vが三輪車あるか四輪車であるかを精度よく判別することができる。
【0119】
(7)第7の態様によれば、走行状態判別方法は、車線Lの車両検知位置X1に車線幅方向に並べて配置された複数の押圧センサ200それぞれから、車両検知位置X1を通過する車両Vのタイヤによる押圧を検出可能な押圧信号を取得するステップと、車両検知位置X1に高さ方向に並べて配置されて検査光Pを投光する複数の投光部S1と、複数の投光部S1それぞれの検査光Pまたは検査光Pの反射光を受光する複数の受光部S2とを有する車両検知器21から、受光部S2の受光の有無に基づき車両Vの存在の有無を検出可能な車両検知信号を取得するステップと、車両検知信号に基づいて車両Vが車両検知位置X1に到達した到達時刻、および車両検知位置X1を通過した通過時刻を特定する時刻特定部112と、到達時刻から通過時刻までの間に取得した押圧信号の波形パターンに基づいて、車両Vが二輪車であるか否かを推定するステップと、車両Vが二輪車であると推定された場合に、到達時刻から通過時刻までの間に取得した車両検知信号を時間軸上に並べて得られる車両Vの車体シルエットを取得するステップと、車体シルエットに基づいて車両Vが二輪車であるか否かを判別するステップと、を有する。
【0120】
(8)第8の態様によれば、プログラムは、車線Lの車両検知位置X1に車線幅方向に並べて配置された複数の押圧センサ200それぞれから、車両検知位置X1を通過する車両Vのタイヤによる押圧を検出可能な押圧信号を取得するステップと、車両検知位置X1に高さ方向に並べて配置されて検査光Pを投光する複数の投光部S1と、複数の投光部S1それぞれの検査光Pまたは検査光Pの反射光を受光する複数の受光部S2とを有する車両検知器21から、受光部S2の受光の有無に基づき車両Vの存在の有無を検出可能な車両検知信号を取得するステップと、車両検知信号に基づいて車両Vが車両検知位置X1に到達した到達時刻、および車両検知位置X1を通過した通過時刻を特定する時刻特定部112と、到達時刻から通過時刻までの間に取得した押圧信号の波形パターンに基づいて、車両Vが二輪車であるか否かを推定するステップと、車両Vが二輪車であると推定された場合に、到達時刻から通過時刻までの間に取得した車両検知信号を時間軸上に並べて得られる車両Vの車体シルエットを取得するステップと、車体シルエットに基づいて車両Vが二輪車であるか否かを判別するステップと、を走行状態判別装置10に実行させる。
【符号の説明】
【0121】
100 料金収受システム
10 走行状態判別装置
11 プロセッサ
110 押圧信号取得部
111 車両検知信号取得部
112 時刻特定部
113 推定部
114 シルエット取得部
115 判別部
12 記憶媒体
20 踏板
200,200A~200E 押圧センサ
201,201A~201E 上流側センサ
202,202A~202E 下流側センサ
21 車両検知器
211a 投光塔
S1 投光部
211b 受光塔
S2 受光部
22 ナンバープレート読取装置(NP読取装置)
23 車種判別装置
900 コンピュータ
901 プロセッサ
902 主記憶装置
903 補助記憶装置
904 インタフェース
910 外部記憶装置
L 車線
P 検査光
V 車両
X1 車両検知位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10