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特開2025-12132光学部品、車両用灯具及び光学部品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012132
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】光学部品、車両用灯具及び光学部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/37 20180101AFI20250117BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20250117BHJP
   F21S 41/153 20180101ALI20250117BHJP
   F21S 41/39 20180101ALI20250117BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20250117BHJP
【FI】
F21S41/37
F21S41/143
F21S41/153
F21S41/39
F21W102:13
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114723
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110004509
【氏名又は名称】弁理士法人シリウスIP
(74)【代理人】
【識別番号】100122183
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】野村 幸生
(57)【要約】
【課題】軽量化が図られた新たな光学部品を提供する。
【解決手段】リフレクタ16は、樹脂材料で構成されている第1のリフレクタ17と、金属材料で構成されており、第1のリフレクタ17に組み付けられるシェード18と、金属材料で構成されており、第1のリフレクタ17に組み付けられる第2のリフレクタ19と、を備える。第1のリフレクタ17は、光源から出射した光が通過する開口部17aが形成されている板状の本体部17bと、開口部17aの周囲に設けられているとともに、該開口部を通過する光の一部を車両前方へ反射する上部反射部17dと、を有する。本体部17bは、シェード18が第1の方向から組み付けられて固定される第1の固定部17eと、第2のリフレクタ19が、第1の方向と異なる第2の方向から組み付けられて固定される第2の固定部17fと、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料で構成されている第1のリフレクタと、
金属材料で構成されており、前記第1のリフレクタに組み付けられるシェードと、
金属材料で構成されており、前記第1のリフレクタに組み付けられる第2のリフレクタと、備え、
前記第1のリフレクタは、
光源から出射した光が通過する開口部が形成されている板状の本体部と、
前記開口部の周囲に設けられているとともに、該開口部を通過する光の一部を車両前方へ反射する第1の反射部と、を有し、
前記シェードは、車両前方から見て前記開口部を横切るように設けられているとともに、該開口部を通過する光の一部を遮ることで配光パターンのカットラインを形成し、
前記第2のリフレクタは、前記開口部の一部を塞ぐように、前記シェードを挟んで前記第1の反射部の反対側に設けられているとともに、該開口部を通過する光の一部を車両前方へ反射する第2の反射部を有し、
前記本体部は、
前記シェードが第1の方向から組み付けられて固定される第1の固定部と、
前記第2のリフレクタが、前記第1の方向と異なる第2の方向から組み付けられて固定される第2の固定部と、を有することを特徴とする光学部品。
【請求項2】
前記第1の固定部は、熱カシメされる一対のボスであり、
前記シェードは、前記一対のボスの一方が入り込むことで前記本体部に対して位置決めされる位置決め孔と、前記一方のボスの他方が入り込む長孔と、を有することを特徴とする請求項1に記載の光学部品。
【請求項3】
前記第2の固定部は、前記第1の固定部の車両上下方向の下方、かつ、前記開口部を挟んだ車幅方向の両側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光学部品。
【請求項4】
前記第2の固定部は、熱カシメされる一対のボスであり、
前記第2のリフレクタは、前記一対のボスの一方が入り込むことで前記本体部に対して位置決めされる位置決め孔と、前記一方のボスの他方が入り込む長孔と、を有することを特徴とする請求項3に記載の光学部品。
【請求項5】
前記シェードは、車両前後方向の後端が前記開口部の中まで延びた状態で前記第1の固定部に固定されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項6】
前記第2のリフレクタは、車両前後方向の後端が前記開口部の中まで延びた状態で前記第2の固定部に固定されていることを特徴とする請求項5に記載の光学部品。
【請求項7】
複数の発光素子が配置されている光源と、
請求項1に記載の光学部品と、
前記光源から出射し、前記光学部品の前記開口部を通過した光を車両前方へ投影する投影レンズと、を備え、
前記光学部品は、前記第1のリフレクタと前記シェードの間を通過した光によって第1の用配光パターンを形成し、前記シェードと前記第2のリフレクタの間を通過した光によって第2の配光パターンを形成するように構成されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項8】
樹脂材料で構成されている第1のリフレクタと、金属材料で構成されており、前記第1のリフレクタに組み付けられるシェードと、金属材料で構成されており、前記第1のリフレクタに組み付けられる第2のリフレクタと、を備える光学部品の製造方法であって、
光源から出射した光が通過する開口部が形成されている板状の本体部と、前記開口部の周囲に設けられているとともに、該開口部を通過する光の一部を車両前方へ反射する第1の反射部と、を有する前記第1のリフレクタを準備する工程と、
車両前方から見て前記開口部を横切るように設けられているとともに、該開口部を通過する光の一部を遮ることで配光パターンのカットラインを形成する前記シェードを、前記本体部に設けられている第1の固定部に車両上下方向の下方から組み付ける第1の組み付け工程と、
前記開口部の一部を塞ぐように、前記シェードを挟んで前記第1の反射部の反対側に設けられているとともに、該開口部を通過する光の一部を車両前方へ反射する第2の反射部を有する第2のリフレクタを、前記本体部に設けられている第2の固定部に車両前後方向の前方から組み付ける第2の組み付け工程と、
を含む光学部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部品に関し、例えば、車両用灯具に用いられる光学部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水平線よりも上側で左右方向に分割された複数の個別照射領域をそれぞれ照射可能に構成された、複数個の半導体発光素子からなる発光素子アレイを備える車両用前照灯が知られている。例えば、ハイビーム用配光パターンを構成する個別照射領域をそれぞれ有する、個別点灯可能に構成された複数の発光素子が基板上に一列に搭載されてなる発光素子アレイと、発光素子アレイの前方に配置される投影レンズと、発光素子アレイの下方に配置されるリフレクタと、を備えた車両用前照灯が考案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第16/013447号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の車両用前照灯が備えるリフレクタは、全体が金属製の一部品であり、部品重量が増加するとともに材料費も高い傾向にある。一方、外部から太陽光が投影レンズを通じて入射し、灯具内で集光された場合、集光部は高温となるため、集光部となり得る部分には耐熱性が求められる。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的の一つは、配光や耐熱性といった所望の性能を満たしつつ軽量化が図られた新たな光学部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の光学部品は、樹脂材料で構成されている第1のリフレクタと、金属材料で構成されており、第1のリフレクタに組み付けられるシェードと、金属材料で構成されており、第1のリフレクタに組み付けられる第2のリフレクタと、を備える。第1のリフレクタは、光源から出射した光が通過する開口部が形成されている板状の本体部と、開口部の周囲に設けられているとともに、該開口部を通過する光の一部を車両前方へ反射する第1の反射部と、を有する。シェードは、車両前方から見て開口部を横切るように設けられているとともに、該開口部を通過する光の一部を遮ることで配光パターンのカットラインを形成し、第2のリフレクタは、開口部の一部を塞ぐように、シェードを挟んで第1の反射部の反対側に設けられているとともに、該開口部を通過する光の一部を車両前方へ反射する第2の反射部を有する。本体部は、シェードが第1の方向から組み付けられて固定される第1の固定部と、第2のリフレクタが、第1の方向と異なる第2の方向から組み付けられて固定される第2の固定部と、を有する。
【0007】
この態様によると、第1のリフレクタを樹脂材料で構成することで全体が金属部材の場合と比較して光学部品を軽量化できる。一方で、シェードと第2のリフレクタを金属材料で構成することで耐熱性を向上できる。
【0008】
第1の固定部は、熱カシメされる一対のボスであり、シェードは、一対のボスの一方が入り込むことで本体部に対して位置決めされる位置決め孔と、一方のボスの他方が入り込む長孔と、を有してもよい。これにより、樹脂材料で構成されている第1のリフレクタと、金属材料で構成されているシェードとで熱膨張係数に差があっても、熱によって第1の固定部に組み付けられたシェードが変形しにくくなる。
【0009】
第2の固定部は、第1の固定部の車両上下方向の下方、かつ、開口部を挟んだ車幅方向の両側に設けられていてもよい。
【0010】
第2の固定部は、熱カシメされる一対のボスであり、第2のリフレクタは、一対のボスの一方が入り込むことで本体部に対して位置決めされる位置決め孔と、一方のボスの他方が入り込む長孔と、を有してもよい。これにより、樹脂材料で構成されている第1のリフレクタと、金属材料で構成されている第2のリフレクタとで熱膨張係数に差があっても、熱によって第2の固定部に組み付けられた第2のリフレクタが変形しにくくなる。
【0011】
シェードは、車両前後方向の後端が開口部の中まで延びた状態で第1の固定部に固定されていてもよい。これにより、所望の配光パターンの制約でシェードの先端部を前に出せなくても、シェードの奥行きを延ばすことができる。そのため、仮にシェードが薄い場合であっても全体の強度を確保できる。
【0012】
第2のリフレクタは、車両前後方向の後端が開口部の中まで延びた状態で第2の固定部に固定されていてもよい。
【0013】
本発明の他の態様は、車両用灯具である。この車両用灯具は、複数の発光素子が配置されている光源と、前述の光学部品と、光源から出射し、光学部品の開口部を通過した光を車両前方へ投影する投影レンズと、を備えている。光学部品は、第1のリフレクタとシェードの間を通過した光によって第1の用配光パターンを形成し、シェードと第2のリフレクタの間を通過した光によって第2の配光パターンを形成するように構成されている。
【0014】
この態様によると、仮に外部から太陽光が投影レンズを通じて入射し、灯具内で集光された場合でも、金属部材で構成されたシェードは耐熱性が高く変形しにくいため、精度の高い配光パターンを実現できる。
【0015】
本発明の別の態様は、光学部品の製造方法である。この方法は、樹脂材料で構成されている第1のリフレクタと、金属材料で構成されており、第1のリフレクタに組み付けられるシェードと、金属材料で構成されており、第1のリフレクタに組み付けられる第2のリフレクタと、を備える光学部品の製造方法である。この方法は、光源から出射した光が通過する開口部が形成されている板状の本体部と、開口部の周囲に設けられているとともに、該開口部を通過する光の一部を車両前方へ反射する第1の反射部と、を有する第1のリフレクタを準備する工程と、車両前方から見て開口部を横切るように設けられているとともに、該開口部を通過する光の一部を遮ることで配光パターンのカットラインを形成するシェードを、本体部に設けられている第1の固定部に車両上下方向の下方から組み付ける第1の組み付け工程と、開口部の一部を塞ぐように、シェードを挟んで第1の反射部の反対側に設けられているとともに、該開口部を通過する光の一部を車両前方へ反射する第2の反射部を有する第2のリフレクタを、本体部に設けられている第2の固定部に車両前後方向の前方から組み付ける第2の組み付け工程と、を含む。
【0016】
この態様によると、第1のリフレクタからシェードが脱落しても、第2のリフレクタによってそのまま下方に落下することを抑制できる。
【0017】
以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を製造方法、灯具や照明などの装置、発光モジュール、光源などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、軽量化が図られた新たな光学部品を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施の形態に係る車両灯具の概略構成を示す側面図である。
図2】本実施の形態に係る車両灯具ユニットの主要部の斜視図である。
図3図2に示す車両灯具ユニットの分解斜視図である。
図4】本実施の形態に係るリフレクタの斜視図である。
図5図4に示すリフレクタを他の方向から見た斜視図である。
図6】第1のリフレクタの正面図である。
図7】本実施の形態に係るリフレクタの正面図である。
図8】本実施の形態に係るリフレクタの側面図である。
図9】本実施の形態に係るシェードの上面図である。
図10】本実施の形態に係る第2のリフレクタの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組合せは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0021】
図1は、本実施の形態に係る車両灯具の概略構成を示す側面図である。図2は、本実施の形態に係る車両灯具ユニットの主要部の斜視図である。図3は、図2に示す車両灯具ユニットの分解斜視図である。図2図3に示す車両灯具ユニット10は、車両前部に設けられる車両用前照灯であり、ロービーム用及びハイビーム用の配光パターンのいずれも形成できるように構成されている。図4は、本実施の形態に係るリフレクタの斜視図である。図5は、図4に示すリフレクタを他の方向から見た斜視図である。
【0022】
車両灯具100は、ランプボディ2と、ランプボディ2の開口部を覆うアウタレンズ4と、ランプボディ2及びアウタレンズ4とで囲まれた灯室6内に設けられた車両灯具ユニット10と、車両灯具ユニット10をエイミング可能に保持するエイミング機構8とを備える。車両灯具ユニット10は、光源から出射した光を車両前方へ投影する投影レンズ12と、レンズホルダ14と、リフレクタ16と、回路基板20と、ヒートシンク22と、ファン24とを備える。
【0023】
レンズホルダ14は、略円筒状のレンズ保持部14aと、レンズ保持部14aから車両後方に向けて突出している3つの脚部14bとを有している。投影レンズ12は、光源から出射した光の光路を制御するレンズ本体部12aと、レンズ本体部12aの外周から外側へ張り出したフランジ状の被取付部12bとが一体に形成されている透明部材である。そして、レンズホルダ14のレンズ保持部14aに投影レンズ12の被取付部12bの位置を合わせてネジ26で固定することで、投影レンズ12がレンズホルダ14に保持される。投影レンズ12は、例えば、アクリルやポリカーボネートといった透明度が高く耐熱性が高い樹脂材料を用いて射出成形によって製造される。
【0024】
本実施の形態に係るリフレクタ16は、コストの低減や軽量化のために一部が樹脂材料で構成され、その他の一部が金属材料で構成された光学部品である。リフレクタ16は、樹脂材料で構成されている第1のリフレクタ17と、金属材料で構成されており、第1のリフレクタ17に組み付けられるシェード18と、金属材料で構成されており、第1のリフレクタ17に組み付けられる第2のリフレクタ19と、を備える。
【0025】
図6は、第1のリフレクタ17の正面図である。第1のリフレクタ17は、光源から出射した光が通過する開口部17aが形成されている板状の本体部17bと、開口部17aの左右両側から前方に突出するように設けられている側方反射部17cと、開口部17aの上側の梁状部分の内面が反射面となる上部反射部17dと、を有する。本実施の形態に係る第1のリフレクタ17においては、側方反射部17c及び上部反射部17dが第1の反射部を構成する。これにより、光源から出射した光のうち開口部17aを通過して側方反射部17cに向かった光も配光パターンの形成に寄与できる。
【0026】
図7は、本実施の形態に係るリフレクタの正面図である。シェード18は、車両前方から見て開口部17aを横切るように設けられているとともに、開口部17aを通過する光の一部を遮ることで配光パターンのカットラインを形成する。第2のリフレクタ19は、開口部17aの一部(図6の開口部17aの下部)を塞ぐように、シェード18を挟んで上部反射部17dの反対側に設けられているとともに、開口部17aを通過する光の一部を車両前方へ反射する下部反射部19aを有する。これにより、第1のリフレクタ17を樹脂材料で構成することで全体が金属部材の場合と比較してリフレクタ16全体を軽量化できる。一方で、シェード18と第2のリフレクタ19を金属材料で構成することで耐熱性を向上できる。
【0027】
図8は、本実施の形態に係るリフレクタ16の側面図である。本体部17bは、シェード18が第1の方向D1(車両灯具ユニット10の前方から後方に向かう方向)から組み付けられて固定される第1の固定部17eと、第2のリフレクタ19が、第1の方向D1と異なる第2の方向D2(車両灯具ユニット10の下方から上方に向かう方向)から組み付けられて固定される第2の固定部17fと、を有する。第1の固定部17eは、一対の側方反射部17cの車両上下方向の下方、かつ、開口部17aを挟んだ車幅方向の両側に設けられている。具体的には、第1の固定部17eは、熱カシメされる一対のボスであり、先端が車両上下方向の下方に向かって設けられている。
【0028】
図9は、本実施の形態に係るシェードの上面図である。シェード18は、第1の固定部17eである一対のボスの一方が入り込むことで本体部17bに対して位置決めされる位置決め孔18aと、一方のボスの他方が入り込む長孔18bと、を有している。各孔にボスが挿入された状態でボスが溶かされることで第1のリフレクタ17に対してシェード18が所定の位置で固定される。これにより、樹脂材料で構成されている第1のリフレクタ17と、金属材料(例えばアルミニウム)で構成されているシェード18とで熱膨張係数に差があっても、熱によって第1の固定部17eに組み付けられたシェード18が変形しにくくなる。また、仮に外部から太陽光が投影レンズ12を通じて入射し、灯具内で集光された場合でも、金属部材で構成されたシェード18は耐熱性が高く変形しにくいため、精度の高い配光パターンを実現できる。
【0029】
第1のリフレクタ17の第2の固定部17fは、第1の固定部17eの車両上下方向の下方、かつ、開口部17aを挟んだ車幅方向の両側に設けられている。具体的には、第2の固定部17fは、熱カシメされる一対のボスであり、先端が車両前後方向の前方に向かって設けられている。
【0030】
図10は、本実施の形態に係る第2のリフレクタの正面図である。第2のリフレクタ19は、一対のボスの一方が入り込むことで本体部に対して位置決めされる位置決め孔19bと、一方のボスの他方が入り込む長孔19cと、を有している。各孔にボスが挿入された状態でボスが溶かされることで第1のリフレクタ17に対してシェード18が所定の位置で固定される。これにより、樹脂材料で構成されている第1のリフレクタ17と、金属材料で構成されている第2のリフレクタ19とで熱膨張係数に差があっても、熱によって第2の固定部17fに組み付けられた第2のリフレクタ19が変形しにくくなる。
【0031】
また、シェード18は、図5に示すように、車両前後方向の後端部18cが開口部17aの中まで延びた状態で第1の固定部17eに固定されている。これにより、所望の配光パターンの制約でシェードの先端部18dを前に出せなくても、シェード18の奥行きを延ばすことができる。そのため、シェード18が薄い場合(例えば先端部18dの厚みが0.6~1.4mm、後端部の厚みが0.4~0.8mm)であっても全体の強度を確保できる。また、第2のリフレクタ19は、車両前後方向の後端19dが開口部17aの中まで延びた状態で第2の固定部17fに固定されている。
【0032】
回路基板20は、主としてロービーム用配光パターンを形成するための複数の発光素子21aが水平方向に横一列に配列した第1の光源20aと、主としてハイビーム用配光パターンを形成するための複数の発光素子21bが水平方向に横一列に配列した第2の光源20bと、各発光素子を駆動する駆動回路(不図示)とを有する。第2の光源20bは、第1の光源20aに隣接して配置されている。なお、第1の光源20aは上段側に位置し、第2の光源20bは下段側に位置している。換言すると、発光素子21aは、発光素子21bの上方に配列している。また、第1の光源20a及び第2の光源20bは、光の出射面が車両前方を向くように配置されている。
【0033】
駆動回路は、コンデンサやコイルといった受動素子、トランジスタやダイオードといった能動素子、ICチップ、メモリ等を組み合わせたものであり、回路基板の各光源20a,20bが搭載されている領域よりも下方の領域に搭載されている。
【0034】
第1の光源20aから出射した光は、第1のリフレクタ17の開口部17aのうち、上部反射部17dとシェード18の上面18eとの間の上部領域を通過する。その際、一部の光は、側方反射部17c、上部反射部17d及びシェード18の上面18eのそれぞれの反射面で反射され、配光制御が行われた状態で投影レンズ12へ向けて照射される。投影レンズ12は、第1の光源20aから直接到達した光、及び、各反射面で配光制御された光を車両前方に所望の配光パターンとして投影する。これにより、車両前方のスクリーン上において、主に水平線よりも下方の領域がロービーム用配光パターンの光で照射される。
【0035】
シェード18は、光源を車両前方から正面に見た場合に、発光素子21aと発光素子21bとの間の領域に配置されている。その結果、シェード18は、第1の光源20aから出射した光の一部を遮ることでロービーム用配光パターンのカットラインを形成するために機能する。
【0036】
同様に、第2の光源20bから出射した光は、シェード18と第2のリフレクタ19の間を通過する。その際、一部の光は、シェード18の下面18f及び第2のリフレクタ19の下部反射部19aで反射され、配光制御行われた状態で投影レンズ12へ向けて照射される。投影レンズ12は、第2の光源20bから直接到達した光、及び、各反射面で配光制御された光を車両前方に所望の配光パターンとして投影する。これにより、車両前方のスクリーン上において、主に水平線よりも上方の領域がハイビーム用配光パターンの光で照射される。このように、投影レンズ12は、第1の光源20a及び第2の光源20bの少なくとも一方から出射した光で灯具前方に配光パターンを投影する。
【0037】
上記した各光源の駆動時には、光源、駆動回路を構成する部品、配線等から熱が発生する。光源20a,20b等から発生した熱の一部はヒートシンク22に伝達され、ヒートシンク22の各部、特に、フィン22aから外部へ放出される。この際、冷却用のファン24の回転によって発生する冷却風がフィン22aに沿って流れることで、放熱性が向上する。なお、レンズホルダ14は、ヒートシンク22にネジ26で固定されている。また、リフレクタ16は、回路基板20を挟んでヒートシンク22にネジ28で固定されている。
【0038】
次に、上述のリフレクタの製造方法について説明する。本実施の形態に係る製造方法は、樹脂材料で構成されている第1のリフレクタ17と、金属材料やセラミックス材料で構成されており、第1のリフレクタ17に組み付けられるシェード18と、金属材料やセラミックス材料で構成されており、第1のリフレクタ17に組み付けられる第2のリフレクタ19と、を備えるリフレクタ16の製造方法である。
【0039】
この方法は、光源から出射した光が通過する開口部17aが形成されている板状の本体部17bと、開口部17aの周囲に設けられているとともに、開口部17aを通過する光の一部を車両前方へ反射する側方反射部17cや上部反射部17dと、を有する第1のリフレクタ17を準備する工程と、車両前方から見て開口部17aを横切るように設けられているとともに、開口部17aを通過する光の一部を遮ることで配光パターンのカットラインを形成するシェード18を、本体部17bに設けられている第1の固定部17eに車両上下方向の下方から組み付ける第1の組み付け工程と、開口部17aの一部を塞ぐように、シェード18を挟んで上部反射部17dの反対側に設けられているとともに、開口部17aを通過する光の一部を車両前方へ反射する下部反射部19aを有する第2のリフレクタ19を、本体部17bに設けられている第2の固定部17fに車両前後方向の前方から組み付ける第2の組み付け工程と、を含む。これにより、図8に示すように、第1のリフレクタ17からシェード18が脱落しても、第2のリフレクタ19によってそのまま下方に落下することを抑制できる。
【0040】
以上、本発明を上述の実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
【符号の説明】
【0041】
10 車両灯具ユニット、 12 投影レンズ、 16 リフレクタ、 17 第1のリフレクタ、 17a 開口部、 17b 本体部、 17c 側方反射部、 17d 上部反射部、 17e 第1の固定部、 17f 第2の固定部、 18 シェード、 18a 位置決め孔、 18b 長孔、 18c 後端部、 18d 先端部、 18e 上面、 18f 下面、 19 第2のリフレクタ、 19a 下部反射部、 19b 位置決め孔、 19c 長孔、 19d 後端、 20a 第1の光源、 20b 第2の光源、 21a 発光素子、 21b 発光素子、 100 車両灯具、 D1 第1の方向、 D2 第2の方向。
図1
図2
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図8
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図10