(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025121523
(43)【公開日】2025-08-20
(54)【発明の名称】薬剤カセット搬送システム
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20250813BHJP
【FI】
A61J3/00 310F
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024016959
(22)【出願日】2024-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小池 直樹
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA17
4C047CC15
4C047JJ01
4C047JJ06
4C047JJ31
(57)【要約】
【課題】人手による作業に比べ簡単かつ迅速に薬剤カセットを搬送する。
【解決手段】薬剤カセットを収容しかつ薬剤カセットから薬剤を払い出す主収容装置、薬剤カセットを収容する副収容装置、及び主収容装置に対して薬剤カセットを装着又は脱離するための所定の主着脱領域と、副収容装置に対して薬剤カセットを装着又は脱離するための所定の副着脱領域との間で薬剤カセットを搬送する搬送装置、を備え、主収容装置は、薬剤カセットを保持する主保持部、及び主保持部で保持された薬剤カセットを主着脱領域に移動させる主移動機構、を含む主収容部を有し、副収容装置は、薬剤カセットを保持する副保持部、及び副保持部で保持された薬剤カセットを副着脱領域に移動させる副移動機構、を含む副収容部を有している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤カセットを収容しかつ前記薬剤カセットから薬剤を払い出す主収容装置、
薬剤カセットを収容する副収容装置、及び
前記主収容装置に対して前記薬剤カセットを装着又は脱離するための所定の主着脱領域と、前記副収容装置に対して前記薬剤カセットを装着又は脱離するための所定の副着脱領域との間で前記薬剤カセットを搬送する搬送装置、を備え、
前記主収容装置は、
前記薬剤カセットを保持する主保持部、及び
前記主保持部で保持された前記薬剤カセットを前記主着脱領域に移動させる主移動機構、を含む主収容部を有し、
前記副収容装置は、
前記薬剤カセットを保持する副保持部、及び
前記副保持部で保持された前記薬剤カセットを前記副着脱領域に移動させる副移動機構、を含む副収容部を有している、薬剤カセット搬送システム。
【請求項2】
前記主収容装置は、2つの前記主収容部を含み、
一方の前記主収容部における前記主移動機構と他方の前記主収容部における前記主移動機構とが個別に動作する、請求項1に記載の薬剤カセット搬送システム。
【請求項3】
前記主保持部は、複数の前記薬剤カセットを保持し、
前記主移動機構は、前記各薬剤カセットを前記主着脱領域に移動させる、請求項2に記載の薬剤カセット搬送システム。
【請求項4】
前記主保持部は、複数の薬剤カセットを並べて保持し、
前記主移動機構は、複数の前記薬剤カセットの並び方向に前記各薬剤カセットを移動させる、請求項3に記載の薬剤カセット搬送システム。
【請求項5】
前記主着脱領域が、2つの前記主収容部のそれぞれに対して設定され、
前記搬送装置は、双方の前記主収容部の前記主着脱領域において前記薬剤カセットを装着又は脱離する1つの搬送部を有する、請求項2~4のいずれか1項に記載の薬剤カセット搬送システム。
【請求項6】
2つの前記主収容部が上下に配置され、
前記主収容装置は、
上側の前記主収容部の前記主保持部に保持された前記薬剤カセットから払い出される薬剤と、下側の前記主収容部の前記主保持部に保持された前記薬剤カセットから払い出される薬剤との双方を通過させる共通の通路と、
上側の前記主収容部の前記主保持部に保持された前記薬剤カセットと前記通路とを連通する上排出口と、
下側の前記主収容部の前記主保持部に保持された前記薬剤カセットと前記通路とを連通する下排出口と、
少なくとも一部が前記下排出口の上側に配置され上方から前記下排出口への薬剤の侵入を防止する侵入防止部材と、を有する、請求項2~4のいずれか1項に記載の薬剤カセット搬送システム。
【請求項7】
前記主収容装置は、
一方の前記主収容部における前記主保持部と、他方の前記主収容部における前記主保持部とを相対移動可能に連結する軸受を有する、請求項2~4のいずれか1項に記載の薬剤カセット搬送システム。
【請求項8】
前記主収容部に対して2つの前記主着脱領域が設定され、
前記搬送装置が、前記各主着脱領域において前記薬剤カセットを装着又は脱離する2つの搬送部を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の薬剤カセット搬送システム。
【請求項9】
一方の前記搬送部が一方の前記主着脱領域で前記薬剤カセットを装着し、他方の前記搬送部が他方の前記主着脱領域で前記薬剤カセットを脱離する、請求項8に記載の薬剤カセット搬送システム。
【請求項10】
前記副収容装置は、2つの前記副収容部を含み、
一方の前記副収容部における前記副移動機構と他方の前記副収容部における前記副移動機構とが個別に動作する、請求項1に記載の薬剤カセット搬送システム。
【請求項11】
前記副保持部は、複数の前記薬剤カセットを保持し、
前記副移動機構は、前記各薬剤カセットを前記副着脱領域に移動させる、請求項10に記載の薬剤カセット搬送システム。
【請求項12】
前記副保持部は、複数の前記薬剤カセットを環状に並べて保持し、
前記副移動機構は、複数の前記薬剤カセットの並び方向に前記各薬剤カセットを移動させる、請求項11に記載の薬剤カセット搬送システム。
【請求項13】
前記副移動機構は、前記主収容装置側に対向する第1の移動経路と、前記第1の移動経路を挟んで前記主収容装置とは反対側に配置された第2の移動経路とを含む環状の移動経路で前記カセットを移動させ、
前記副着脱領域が、前記第1の移動経路に設定されている、請求項1に記載の薬剤カセット搬送システム。
【請求項14】
前記副収容装置は、前記副保持部を支持する基台を備え、
前記副保持部が、前記基台上を転動するローラを有する、請求項1~4、10~13のいずれか1項に記載の薬剤カセット搬送システム。
【請求項15】
前記副着脱領域が、2つの前記副収容部のそれぞれに対して設定され、
前記搬送装置が、双方の前記副収容部の前記副着脱領域において前記薬剤カセットを装着又は脱離する1つの搬送部を有する、請求項10~13のいずれか1項に記載の薬剤カセット搬送システム。
【請求項16】
前記副収容部に対して2つの前記副着脱領域が設定される、請求項1~4、10~13のいずれか1項に記載の薬剤カセット搬送システム。
【請求項17】
前記搬送装置が、前記各副着脱領域において前記薬剤カセットを装着又は脱離する2つの搬送部を含み、
一方の前記搬送部が一方の副着脱領域で前記薬剤カセットを装着し、他方の搬送部が他方の副着脱領域で前記薬剤カセットを脱離する、請求項16に記載の薬剤カセット搬送システム。
【請求項18】
前記主収容装置と、前記搬送装置と、前記副収容装置とがこの順で並べて配置されている、請求項1~4、10~13のいずれか1項に記載の薬剤カセット搬送システム。
【請求項19】
1つの前記主収容装置と、2つの前記副収容装置と、2つの前記搬送装置とを含み、
一方の前記副収容装置と、一方の前記搬送装置と、前記主収容装置と、他方の前記搬送装置と、他方の前記副収容装置とがこの順で並べて配置されている、請求項18に記載の薬剤カセット搬送システム。
【請求項20】
2つの前記主収容装置と、1つの前記副収容装置と、2つの前記搬送装置とを含み、
一方の前記主収容装置と、一方の前記搬送装置と、前記副収容装置と、他方の前記搬送装置と、他方の前記主収容装置とが、この順で並べて配置されている、請求項18に記載の薬剤カセット搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬剤カセット搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の薬剤カセットから必要な薬剤を払い出して分包する薬剤分包機が開示されている。この薬剤分包機は、複数の薬剤カセットを着脱自在に保持する薬品庫部と、薬剤を受け入れて区分封入する分包装置と、薬剤カセットから排出された薬剤を収集して分包装置に引き渡す薬剤収集機構と、予備となる複数の薬剤カセットを着脱可能に保持する予備庫部と、を備えている。薬品庫部のいずれかの薬剤カセットが空になった場合、当該薬剤カセットを薬品庫部から取り外し、予備庫部内の予備の薬剤カセットと交換することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された薬剤分包機では、予備庫部から薬剤カセットを取り出して薬品庫部に装着する作業が人手によって行われていたため、煩雑で時間を要する作業となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る薬剤カセット搬送システムは、
薬剤カセットを収容しかつ前記薬剤カセットから薬剤を払い出す主収容装置、
薬剤カセットを収容する副収容装置、及び
前記主収容装置に対して前記薬剤カセットを装着又は脱離するための所定の主着脱領域と、前記副収容装置に対して前記薬剤カセットを装着又は脱離するための所定の副着脱領域との間で前記薬剤カセットを搬送する搬送装置、を備え、
前記主収容装置は、
前記薬剤カセットを保持する主保持部、及び
前記主保持部で保持された前記薬剤カセットを前記主着脱領域に移動させる主移動機構、を含む主収容部を有し、
前記副収容装置は、
前記薬剤カセットを保持する副保持部、及び
前記副保持部で保持された前記薬剤カセットを前記副着脱領域に移動させる副移動機構、を含む副収容部を有している。
【0006】
本開示は、上記のような特徴的な構成を備える薬剤カセット搬送システムとして実現することができるだけでなく、薬剤カセットの搬送方法として実現したり、薬剤カセット搬送システムが適用される薬剤包装システムとして実現したり、薬剤カセットの搬送を制御する制御装置として実現したりすることができる。本開示は、コンピュータを制御装置として機能させるコンピュータプログラムとして実現したり、制御装置の一部又は全部を半導体集積回路として実現したりすることができる。また、本開示は、上記のような特徴的な構成を備える薬剤カセット搬送システムの個々の装置として実現することができる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の薬剤カセット搬送システムによれば、主収容部の主保持部で保持された薬剤カセットを主移動機構により主着脱領域に移動させ、副収容部の副保持部で保持された薬剤カセットを副移動機構により副着脱領域に移動させ、搬送装置によって主着脱領域及び副着脱領域の一方から他方へ薬剤カセットを搬送することができる。そのため、人手による作業に比べ簡単かつ迅速に薬剤カセットを搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る薬剤包装システムの全体構成の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、薬剤包装システムの全体構成の概略的な正面図である。
【
図3】
図3は、薬剤包装システムの全体構成の概略的な平面図である。
【
図4】
図4は、
図2のIV-IV矢視における概略的な断面図である。
【
図5】
図5は、
図4のV-V矢視における概略的な断面図である。
【
図6】
図6は、主収容装置における主着脱領域を示す概略的な側面図である。
【
図7】
図7は、薬剤の払い出し構造を示す説明図である。
【
図8】
図8は、電線の支持構造を示す説明図である。
【
図9】
図9は、主収容部の回転範囲を示す説明図である。
【
図13】
図13は、副収容装置における副着脱領域を示す概略的な側面図である。
【
図19】
図19は、薬剤包装システムの他の構成例を示す概略的な正面図である。
【
図20】
図20は、薬剤包装システムのさらに他の構成例を示す概略的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の実施形態の概要>
以下、本開示の実施形態の概要を列記して説明する。
【0010】
(1) 本実施形態に係る薬剤カセット搬送システムは、
薬剤カセットを収容しかつ前記薬剤カセットから薬剤を払い出す主収容装置、
薬剤カセットを収容する副収容装置、及び
前記主収容装置に対して前記薬剤カセットを装着又は脱離するための所定の主着脱領域と、前記副収容装置に対して前記薬剤カセットを装着又は脱離するための所定の副着脱領域との間で前記薬剤カセットを搬送する搬送装置、を備え、
前記主収容装置は、
前記薬剤カセットを保持する主保持部、及び
前記主保持部で保持された前記薬剤カセットを前記主着脱領域に移動させる主移動機構、を含む主収容部を有し、
前記副収容装置は、
前記薬剤カセットを保持する副保持部、及び
前記副保持部で保持された前記薬剤カセットを前記副着脱領域に移動させる副移動機構、を含む副収容部を有している。
【0011】
上記構成によれば、主収容部の主保持部で保持された薬剤カセットを主移動機構により主着脱領域に移動させることができる。また、副収容部の副保持部で保持された薬剤カセットを副移動機構により副着脱領域に移動させることができる。そして、搬送装置によって主着脱領域及び副着脱領域の一方から他方へ薬剤カセットを搬送することができる。そのため、人手による作業に比べ簡単かつ迅速に薬剤カセットを搬送することができる。また、主移動機構、副移動機構、及び搬送装置のうち、いずれか1つが作動している間、他の2つ又は1つを同時に作動させることが可能になるので、薬剤カセットの搬送をより短時間に効率よく行うことが可能となる。主移動機構によって主着脱領域まで薬剤カセットを移動させ、副移動機構によって副着脱領域まで薬剤カセットを移動させることができるので、搬送装置による搬送距離を短くし、搬送装置の小型化を図ることができる。また、搬送装置の単位時間当たりの薬剤カセットの搬送数を増大することができる。
なお、上記構成において、主保持部及び副保持部は、1つの薬剤カセットを保持するものであってもよいし、複数の薬剤カセットを保持するものであってもよい。
【0012】
(2) 上記(1)において、前記主収容装置は、2つの前記主収容部を含み、
一方の前記主収容部における前記主移動機構と他方の前記主収容部における前記主移動機構とが個別に動作する。
【0013】
この構成によれば、双方の主収容部の主移動機構によって、主保持部で保持された薬剤カセットを個別に主着脱領域に移動させることができ、より迅速に薬剤カセットを搬送することができる。
なお、本開示において、主収容装置は、3つ以上の主収容部を備えていてもよく、そのうちの2つが上記の構成を有していればよい。
【0014】
(3) 上記(2)において、前記主保持部は、複数の前記薬剤カセットを保持し、
前記主移動機構は、前記各薬剤カセットを前記主着脱領域に移動させる。
【0015】
この構成によれば、複数の薬剤カセットそれぞれを、主着脱領域に移動させて搬送装置によって搬送することが可能となる。
【0016】
(4) 上記(3)において、前記主保持部は、複数の薬剤カセットを並べて保持し、
前記主移動機構は、複数の前記薬剤カセットの並び方向に前記各薬剤カセットを移動させる。
【0017】
(5) 上記(4)において、前記主保持部は、複数の前記薬剤カセットを環状に並べて保持する。
【0018】
この構成によれば、複数の薬剤カセットをそれぞれ環状に並べることによって、限られたスペースにより多くのカセットを収容することができ、複数の薬剤カセットを循環して移動させることができる。
【0019】
(6) 上記(2)から(5)のいずれか1つにおいて、前記主着脱領域が、2つの前記主収容部のそれぞれに対して設定され、
前記搬送装置は、双方の前記主収容部の前記主着脱領域において前記薬剤カセットを装着又は脱離する1つの搬送部を有する。
【0020】
この構成によれば、各主収容部に設定された主着脱領域に移動された薬剤カセットを1つの搬送部により搬送することができる。
【0021】
(7) 上記(2)から(6)のいずれか1つにおいて、2つの前記主収容部が上下に配置され、
前記主収容装置は、
上側の前記主収容部の前記主保持部に保持された前記薬剤カセットから払い出される薬剤と、下側の前記主収容部の前記主保持部に保持された前記薬剤カセットから払い出される薬剤との双方を通過させる共通の通路と、
上側の前記主収容部の前記主保持部に保持された前記薬剤カセットと前記通路とを連通する上排出口と、
下側の前記主収容部の前記主保持部に保持された前記薬剤カセットと前記通路とを連通する下排出口と、
少なくとも一部が前記下排出口の上側に配置され上方から前記下排出口への薬剤の侵入を防止する侵入防止部材と、を有する。
【0022】
この構成によれば、上排出口から排出された薬剤が下排出口に侵入することを防止することができる。
【0023】
(8) 上記(2)から(7)のいずれか1つにおいて、前記主収容装置は、
一方の前記主収容部における前記主保持部と、他方の前記主収容部における前記主保持部とを相対移動可能に連結する軸受を有する。
この構成によれば、2つの主収容部の間に軸受を介在させることで、一方の主収容部で他方の主収容部を支持することができ、主収容部の支持構造を簡素化することができる。
【0024】
(9) 上記(1)から(8)のいずれか1つにおいて、前記主収容部に対して2つの前記主着脱領域が設定される。
【0025】
この構成によれば、主収容部の薬剤カセットを2つの主着脱領域で装着又は脱離することができ、搬送装置による搬送の効率を高めることができる。なお、この構成では、主着脱領域は少なくとも2つ設定されていればよく、3つ以上設定されていてもよい。
【0026】
(10) 上記(9)において、前記搬送装置が、前記各主着脱領域において前記薬剤カセットを装着又は脱離する2つの搬送部を含む。
【0027】
この構成によれば、2つの搬送部は、それぞれに対応した主着脱領域において薬剤カセットを装着又は脱離することができ、搬送装置による搬送の効率を高めることができる。なお、主着脱領域が3つ以上設定される場合には、3つの搬送部を備えていてもよい。そのうち2つの主着脱領域と2つの搬送部とが、上記の構成を有していればよい。
【0028】
(11) 上記(10)において、一方の前記搬送部が一方の前記主着脱領域で前記薬剤カセットを装着し、他方の前記搬送部が他方の前記主着脱領域で前記薬剤カセットを脱離する。
【0029】
この構成によれば、2つの搬送部を同時に作動することで、主収容装置から副収容装置への薬剤カセットの移動と、副収容装置から主収容装置への薬剤カセットの移動とを同時に行うことができ、搬送の高速化を実現することができる。
【0030】
(12) 上記(1)から(11)のいずれか1つにおいて、前記副収容装置は、2つの前記副収容部を含み、
一方の前記副収容部における前記副移動機構と他方の前記副収容部における前記副移動機構とが個別に動作する。
【0031】
この構成によれば、双方の副収容部の副移動機構によって、副保持部で保持された薬剤カセットを個別に副着脱領域に移動させることができるので、より迅速に薬剤カセットを搬送することができる。
なお、本開示において、副収容装置は、3つ以上の副収容部を備えていてもよく、そのうちの2つが上記の構成を有していればよい。
【0032】
(13) 上記(12)において、前記副保持部は、複数の前記薬剤カセットを保持し、
前記副移動機構は、前記各薬剤カセットを前記副着脱領域に移動させる。
【0033】
この構成によれば、複数の薬剤カセットそれぞれを、順次副着脱領域まで移動させることができる。
【0034】
(14) 上記(13)において、前記副保持部は、複数の前記薬剤カセットを環状に並べて保持し、
前記副移動機構は、複数の前記薬剤カセットの並び方向に前記各薬剤カセットを移動させる。
【0035】
この構成によれば、複数の薬剤カセットをそれぞれ環状に並べることによって、限られたスペースにより多くのカセットを収容することができ、複数の薬剤カセットを循環して移動させることができる。
【0036】
(15) 上記(13)において、前記副移動機構は、前記主収容装置側に対向する第1の移動経路と、前記第1の移動経路を挟んで前記主収容装置とは反対側に配置された第2の移動経路とを含む環状の移動経路で前記カセットを移動させ、
前記副着脱領域が、前記第1の移動経路に設定されている。
【0037】
この構成によれば、第2の移動経路に位置している薬剤カセットを主収容装置に近い第1の移動経路の副着脱領域に移動させることができ、搬送装置による薬剤カセットの搬送距離を短縮することができる。
【0038】
(16) 上記(1)から(15)のいずれか1つにおいて、前記副収容装置は、前記副保持部を支持する基台を備え、
前記副保持部が、前記基台上を転動するローラを有する。
【0039】
(17) 上記(12)から(15)のいずれか1つにおいて、前記副着脱領域が、2つの前記副収容部のそれぞれに対して設定され、
前記搬送装置が、双方の前記副収容部の前記副着脱領域において前記薬剤カセットを装着又は脱離する1つの搬送部を有する。
【0040】
この構成によれば、各副収容部に設定された副着脱領域に移動された薬剤カセットを1つの搬送部により搬送することができる。
【0041】
(18) 上記(1)から(17)のいずれか1つにおいて、前記副収容部に対して2つの前記副着脱領域が設定される。
【0042】
この構成によれば、副収容部の薬剤カセットを2つの副着脱領域で装着又は脱離することができ、搬送装置による搬送の効率を高めることができる。なお、この構成では、副着脱領域は少なくとも2つ設定されていればよく、3つ以上設定されていてもよい。
【0043】
(19) 上記(18)において、前記搬送装置が、前記各副着脱領域において前記薬剤カセットを装着又は脱離する2つの搬送部を含む。
【0044】
この構成によれば、副収容部の薬剤カセットを2つの搬送部によりそれぞれに対応した副着脱領域で装着又は脱離することができ、搬送装置による搬送の効率を高めることができる。
【0045】
(20) 上記(19)において、一方の前記搬送部が一方の副着脱領域で前記薬剤カセットを装着し、他方の搬送部が他方の副着脱領域で前記薬剤カセットを脱離する。
【0046】
この構成によれば、2つの搬送部を同時に作動することで、主収容装置から副収容装置への薬剤カセットの移動と、副収容装置から主収容装置への薬剤カセットの移動とを同時に行うことができ、搬送の高速化を実現することができる。
【0047】
(21) 上記(1)から(20)のいずれか1つにおいて、前記主収容装置と、前記搬送装置と、前記副収容装置とがこの順で並べて配置されている。
【0048】
(22) 上記(21)において、1つの前記主収容装置と、2つの前記副収容装置と、2つの前記搬送装置とを含み、
一方の前記副収容装置と、一方の前記搬送装置と、前記主収容装置と、他方の前記搬送装置と、他方の前記副収容装置とがこの順で並べて配置されている。
【0049】
この構成によれば、2つの副収容装置の双方に収容された薬剤カセットを主収容装置に搬送することができる。一方の副収容装置に収容された薬剤カセットを、一方の搬送装置、主収容装置、他方の搬送装置を介して他方の副収容装置に搬送することも可能となる。
【0050】
(23) 上記(21)において、2つの前記主収容装置と、1つの前記副収容装置と、2つの前記搬送装置とを含み、
一方の前記主収容装置と、一方の前記搬送装置と、前記副収容装置と、他方の前記搬送装置と、他方の前記主収容装置とが、この順で並べて配置されている。
【0051】
この構成によれば、1つの副収容装置に収容された薬剤カセットを2つの主収容装置の双方に搬送することができる。一方の主収容装置に収容された薬剤カセットを、一方の搬送装置、副収容装置、他方の搬送装置を介して他方の主収容装置に搬送することも可能となる。
【0052】
<本開示の実施形態の詳細>
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態の詳細を説明する。なお、以下に記載する実施形態は、その一部同士のみを任意に組み合わせたものとすることができる。
【0053】
[薬剤包装システムの全体構成]
図1は、実施形態に係る薬剤包装システムの全体構成の一例を示す斜視図である。
図2は、薬剤包装システムの全体構成の概略的な正面図である。
図3は、薬剤包装システムの全体構成の概略的な平面図である。
薬剤包装システム10は、主収容装置12と、分包装置(包装装置)11と、副収容装置13と、搬送装置14と、を含む。また、薬剤包装システム10は、分包装置11,主収容装置12、副収容装置13、及び搬送装置14を覆う筐体20を含む。なお、以下の説明における左右方向、前後方向、上下方向の記載は、
図1~
図3に矢印X,Y,Zで示す互いに直交する3つの方向に基づく。具体的に、以下の説明における、左右方向は第1方向Xの一例であり、前後方向は第2方向Yの一例であり、上下方向は第3方向Zの一例である。ただしこれらの方向の記載は本開示を限定するものではない。
【0054】
分包装置11は、薬剤を包装体で包装する装置である。本実施形態の薬剤は錠剤である。主収容装置12は、薬剤カセット(以下、単に「カセット」ともいう)50を収容し、このカセット50内の薬剤を払い出して分包装置11に供給する。分包装置11と主収容装置12とは上下に並べて配置されている。具体的に、主収容装置12が上に配置され、分包装置11が下に配置されている。主収容装置12から払い出された薬剤は下方に落下して分包装置11に供給される。分包装置11と主収容装置12とは共通の筐体20Aで覆われる。筐体20Aの前面には、主収容装置12に対してカセット50を出し入れするための扉20A1が設けられている。
【0055】
本実施形態の薬剤包装システム10は、2種類の薬剤カセット50,60を扱う。一方のカセット50は、特定種類の薬剤専用のカセットである。1つのカセット50には、一種類の薬剤が貯留される。主収容装置12は、複数の薬剤種に対応するために互いに異なる種類の薬剤を貯留する複数のカセット50を収容する。
図18に示すように、カセット50は、箱体であり、上面視で略台形に形成されている。カセット50の上端には、開閉自在な蓋50Cが設けられている。この蓋50Cを開くことでカセット50内に薬剤を充填することができる。カセット50の一端側(上面視における台形の長い底辺側)の両側面には凹部50Bが形成されている。カセット50の内部には、貯留した薬剤を1錠ずつ払い出す払い出し機構50A(
図7参照)が設けられ、この払い出し機構50Aは、主収容装置12に設けられた駆動機構51(
図7参照)によって動作する。
【0056】
他方のカセット60には、カセット50に貯留される薬剤以外の複数種類の薬剤から選択される薬剤が貯留される。カセット60は、複数種類の薬剤に対応可能なカセットである。具体的には、カセット60は、薬剤の排出経路の大きさを調整可能であり、複数種類の薬剤の中から選択された薬剤の大きさに応じて排出経路の大きさを調整することで、当該薬剤を払い出し可能である。一方のカセット50には、例えば、使用頻度が高い薬剤が貯留され、他方のカセット60には、使用頻度が低い薬剤が貯留される。薬剤包装システム10は、主収容装置12及び副収容装置13以外に、他方のカセット60を収容する補助収容ユニット21を含む。
【0057】
副収容装置13は、主収容装置12と同様に複数のカセット50を収容し保管する。副収容装置13は、主収容装置12で収容しきれないカセット50を収容し、必要に応じて主収容装置12へカセット50に供給するために用いられる。したがって、副収容装置13は、主収容装置12のようにカセット50から分包装置11へ薬剤を払い出す機能を備えていない。
【0058】
主収容装置12は、薬剤カセット50を収容しかつ薬剤カセット50から薬剤を払い出す薬剤カセット収容装置の一例である。副収容装置13は、薬剤カセット50を収容する薬剤カセット収容装置の一例である。
【0059】
搬送装置14は、主収容装置12と副収容装置13との間でカセット50を搬送する。副収容装置13に収容されたカセット50から薬剤を払い出す必要があるとき、搬送装置14は、副収容装置13から当該カセット50を取り出して主収容装置12に搬送し、主収容装置12に当該カセット50を装着する。また、搬送装置14は、使用していないカセット50を主収容装置12から取り出して副収容装置13に搬送し、副収容装置13に装着する。主収容装置12、搬送装置14、及び副収容装置13は、2つの収容装置12,13の間で薬剤カセット50を搬送する「薬剤カセット搬送システム」を構成している。
【0060】
分包装置11及び主収容装置12と、搬送装置14と、副収容装置13とは、この順で並べて配置されている。本実施形態では、分包装置11及び主収容装置12と、搬送装置14と、副収容装置13とは、左右方向(第1方向)Xで並べて配置されている。搬送装置14と副収容装置13とは、共通の筐体20Bで覆われる。したがって、薬剤包装システム10の筐体20は、分包装置11及び主収容装置12を覆う筐体20Aと、搬送装置14及び副収容装置13を覆う筐体20Bとを備える。筐体20Bの前面には、副収容装置13に対してカセット50を出し入れするための扉20B1が設けられている。
【0061】
筐体20Aと筐体20Bとは別体で構成され、互いに連結されている。筐体20Aと筐体20Bとは、連結を解いて分解することができる。そのため、病院や薬局などの施設に薬剤包装システム10を導入するとき、2つの筐体20A,20Bを分解した状態で設置場所に搬入し、搬入後にこれらを連結して設置することができる。
【0062】
図1に示すように、薬剤包装システム10は、カセット充填装置15を含む。カセット充填装置15は、主収容装置12及び副収容装置13にカセット50を充填するための装置である。カセット充填装置15は、搬送装置14の前方に配置される。カセット充填装置15は、操作部16と、授受部17とを含む。
【0063】
操作部16は、オペレータによる薬剤包装システム10の操作に用いられる。操作部16は、オペレータが薬剤の情報を入力するための入力部16A、16Bを含む。入力部16A、16Bは、例えば、バーコードリーダ、RFID(Radio Frequency Identification)リーダ16Aと、ディスプレイ16Bとを含む。例えば、製薬会社からは薬剤が収容された薬剤容器が供給される。薬剤容器には、収容する薬剤に関する情報が記録されたバーコードが付されている。オペレータは、バーコードリーダ16Aによって薬剤容器のバーコードを読み出す。これにより、薬剤に関する情報(薬剤IDを含む)が操作部16に入力される。カセット50にはRFタグが付されており、このRFタグには、当該カセット50を識別するためのカセット番号と、当該カセット50に収容すべき薬剤の薬剤IDとが記録されている。オペレータは、カセット50に薬剤を入れた後、当該カセット50のRFタグをRFIDリーダによって読み出す。読み出された薬剤IDとカセット番号とがディスプレイ16Bに表示され、オペレータは、カセット番号と薬剤IDとの照合を行うことができる。
【0064】
授受部17は、主収容装置12及び副収容装置13に充填するカセット50を受け入れる。授受部17は、筐体20Bに形成された授受口17Aを含む。授受口17Aは、開閉自在な蓋で覆われている。オペレータは、蓋が開かれた状態の授受口17Aにカセット50を充填することができる。授受口17Aに充填されたカセット50は、搬送装置14によって主収容装置12又は副収容装置13に搬送され、収容される。
【0065】
操作部16及び授受部17は、筐体20Bの前部に配置されている。授受口17Aは、筐体20Bの前面で開口する。入力部16Aも筐体20Bの前面に設けられている。これにより、オペレータは、筐体20Bの前面で集中してカセット充填装置15の操作を行うことができる。
【0066】
図1に示すように、薬剤包装システム10は、補助収容ユニット21を含む。補助収容ユニット21は、複数のカセット60を収容する。補助収容ユニット21には、4つのカセット60が左右方向Xに並べて収容される。補助収容ユニット21は、各カセット60から薬剤を払い出すことができる。補助収容ユニット21は、主収容装置12の前に配置されている。
【0067】
図1に示すように、薬剤包装システム10は、手撒きユニット22をさらに含む。手撒きユニット22は、DTA(Detachable Tablet Adapter)とも称される。手撒きユニット22は、例えば1錠未満の半錠又は1/4錠の錠剤のようにカセット50,60からの払い出しに適さない錠剤の払い出しに用いられる。手撒きユニット22は、主収容装置12及び補助収容ユニット21の下方に設けられている。手撒きユニット22は、引出し状の箱体であり、その内部において、薬剤を収容可能な複数のマスが格子状に設けられている。オペレータは、手撒きユニット22を使用する場合、手撒きユニット22を引き出し、マスに薬剤を入れた後、手撒きユニット22を戻す。
【0068】
図1に示すように、薬剤包装システム10は、筐体20の上面に空調機90を備えている。空調機90は、筐体20の内部の温度及び湿度を調整する。薬剤包装システム10が、24時間空調ではない室内に設置される場合、夏場の夜間等に筐体20内が高温となり、収容された薬剤に悪影響を及ぼす可能性がある。そのため、本実施形態では、空調機90によって筐体20内の温度及び湿度を調整し、薬剤の適切な管理を可能とする。空調機90は、筐体20内の温度及び湿度の一方のみを調整するものであってもよい。また、空調機90は、筐体20内に送風する装置であってもよい。
【0069】
[主収容装置の具体的構成]
図2及び
図3に示すように、主収容装置12は、複数のカセット50を収容する主収容部30を備える。主収容装置12は、複数の主収容部30を備える。複数の主収容部30は、並べて配置されている。本実施形態では、3つの主収容部30が、上段、中段、下段の3段に上下方向Zに並べて配置されている。各主収容部30は、複数のカセット50を並べて収容する。具体的に、各主収容部30は、複数のカセット50を水平に並べて収容する。また、各主収容部30は、複数のカセット50を環状に並べて収容する。具体的に、各主収容部30は、複数のカセット50を真円状に並べて収容する。このように複数のカセット50を真円状に並べて収容することで、限られたスペースにより多くのカセット50を収容することができる。
【0070】
図4は、
図2のIV-IV矢視における概略的な断面図である。
図5は、
図4のV-V矢視における概略的な断面図である。
各主収容部30は、カセット50を保持する主保持部31と、主保持部31で保持されたカセット50を移動させる主移動機構32とを含む。主保持部31は、各カセット50を載置して下方から支持する複数の支持プレート34を有する。各支持プレート34は、上面視においてカセット50と略同じ台形状に形成されている。複数の支持プレート34は、上面視において真円状に並べて配置されている。支持プレート34及びその周辺には、カセット50内の薬剤の払い出し機構50A(
図7参照)を駆動するためのモータ等の駆動機構51,支持プレート34上のカセット50の有無等を検出するセンサ52が設けられている。なお、払い出し機構50Aとしては、カセット50内に装備したロータをモータにより回転させることでカセット50内の薬剤を払い出し箇所(後述する通路部材46)に導く従来公知の構成を採用することができる。
【0071】
各主保持部31は、複数の支持プレート34が連結される回転シリンダ35を有する。回転シリンダ35は、筒形状に形成されている。回転シリンダ35は、上下方向Zの回転軸心C回りに回転する。複数の支持プレート34は、回転シリンダ35の外周面から放射方向に突出している。回転シリンダ35は、外筒体35aと、内筒体35bとを含む。外筒体35aは、略多角形状の筒である。内筒体35bは、円筒形状の筒である。内筒体35bは、外筒体35aの径方向内側に配置される。外筒体35aは、円筒形であってもよい。内筒体35bは、多角形状の筒であってもよい。
【0072】
外筒体35aの上端には、上フランジ39が設けられ、下端には、下フランジ36が設けられている。上フランジ39には、環状の上取付部材40が設けられている。下フランジ36の径方向外端部には、下取付部材37が設けられている。下フランジ36及び下取付部材37上には、支持プレート34が取り付けられている。下取付部材37の下面には、従動ギヤ38が設けられている。
【0073】
主移動機構32は、上下方向Zに延びる支柱33に取り付けられている。支柱33は、上下方向Zに延びている。全ての主収容部30における主移動機構32が、共通の支柱33に取り付けられている。全ての主移動機構32は、上下方向Zに並べて配置されている。
【0074】
主移動機構32は、駆動モータ32aと、駆動ギヤ32bとを有する。駆動ギヤ32bは、従動ギヤ38よりも小径であり、従動ギヤ38に噛み合っている。駆動モータ32aは駆動ギヤ32bを回転駆動する。駆動ギヤ32bが回転すると、これに噛み合う従動ギヤ38が回転軸心C回りに回転する。これにより、主保持部31が回転し、主保持部31で保持されたカセット50が、複数のカセット50が並ぶ方向である環状の経路で循環移動する。
【0075】
図5に示すように、上下に隣接する主収容部30の主保持部31同士は、互いに相対回転自在に連結されている。具体的に、下側に位置する主収容部30の上取付部材40と、上側に位置する主収容部30の下取付部材37とが、軸受41によって相対回転自在に連結されている。軸受41は、ラジアル荷重とアキシアル荷重とを受けることができるもの、例えば、深溝玉軸受や円すいころ軸受等の転がり軸受である。また、軸受41の他の例として、クロスローラベアリングを用いることもできる。このクロスローラベアリングは、90度のV字溝を有する内輪と外輪との間に、軸心を交互に直交させた複数の円筒ころを配列したものである。
【0076】
図5に示すように、下段の主収容部30における主保持部31は、下側ベース42に軸受45を介して回転自在に支持されている。下側ベース42は、筐体20A等に固定されており、主保持部31とは異なって回転しない。下側ベース42は、下段の主収容部30の下方に配置された支持板42aと、支持板42a上に設けられた環状の取付部材42bとを有する。下側ベース42の取付部材42bと、下段の主収容部30における下取付部材37とは、軸受45によって回転自在に連結されている。この軸受45には、前述した軸受41と同じものが用いられている。
【0077】
図5に示すように、上段の主収容部30における主保持部31は、上側ベース43に軸受45を介して回転自在に支持されている。上側ベース43は、回転シリンダ35の径方向内側に間隔(後述する薬剤通路)Tをあけて配置された中央シリンダ44の上端に設けられている。上側ベース43及び中央シリンダ44は、筐体20A等に固定されており、主保持部31とは異なり回転しない。上側ベース43は、上段の主収容部30の上方に配置された支持板43aと、支持板43aに設けられた環状の取付部材43bとを有する。上段の主収容部30における上取付部材40と、上側ベース43の取付部材43bとは、軸受45によって回転自在に連結されている。この軸受45も、前述した軸受41と同じものが用いられている。
【0078】
したがって、複数の主保持部31は、全体として下側ベース42及び上側ベース43に軸受45を介して回転自在に支持されている。上下に並ぶ主保持部31同士は、両者の間に配置された軸受41を介して相互に回転自在に支持されている。
【0079】
図6は、主収容装置における主着脱領域を示す概略的な側面図である。
図3及び
図6に示すように、主収容装置12における主収容部30には、カセット50を装着又は脱離させるための主着脱領域Ra1,Ra2が設定されている。主着脱領域Ra1,Ra2は、主収容部30におけるカセット50の移動経路上に設定されている。主収容部30の主移動機構32は、主保持部31に保持された各カセット50を主着脱領域Ra1,Ra2に移動させる。搬送装置14は、主着脱領域Ra1,Ra2に移動したカセット50を取り出して搬送し、逆に、搬送したカセット60を主着脱領域Ra1,Ra2にある主保持部31に装着する。
【0080】
本実施形態では、複数の主収容部30それぞれに2つの主着脱領域Ra1,Ra2が設定されている。各主収容部30において、一方の主着脱領域Ra1と他方の主着脱領域Ra2とは前後方向Yに並べて配置される。
【0081】
図6に示すように、複数の主収容部30の一方の主着脱領域Ra1同士は、いずれも回転軸心C回りの周方向において互いに同じ位相に配置されている。言い換えると、複数の主収容部30の一方の主着脱領域Ra1同士は、上下方向Zに並べて配置されている。同様に、複数の主収容部30の他方の主着脱領域Ra2同士は、いずれも回転軸心C回りの周方向において互いに同じ位相に配置されている。言い換えると、複数の主収容部30の他方の主着脱領域Ra2同士は、上下方向Zに並べて配置されている。したがって、後述する搬送装置14は、同じ位相にある主着脱領域Ra1,Ra2に対して高さを変えるだけでカセット50を装着又は脱離させることができる。
【0082】
本実施形態では、主収容部30が複数設けられ、主収容部30毎に主移動機構32が主保持部31に保持されたカセット50を主着脱領域Ra1,Ra2に移動させる。そのため、複数の主移動機構32が同時に主着脱領域Ra1,Ra2にカセット50を移動させることができる。そのため、ある主収容部30において所定のカセット50を主着脱領域Ra1,Ra2へ移動させている間に、他の主収容部30においても他の所定のカセット50を主着脱領域Ra1,Ra2に移動させることができ、これらを別々のタイミングで行う場合に比べて効率のよく短時間でカセット50を移動させることができる。
【0083】
図7は、薬剤の払い出し構造を示す説明図である。
各主収容部30の主保持部31は、保持するカセット50毎に通路部材46を有する。通路部材46は、筒形状に形成されている。具体的に、通路部材46は、角筒形状に形成されている。通路部材46の一端(下端)は、回転シリンダ35の内筒体35bに連結されている。内筒体35bには、通路部材46に連通する排出口35cが形成されている。通路部材46の他端(上端)は、回転シリンダ35の外筒体35a及び支持プレート34を貫通し、支持プレート34の上方で開口している。通路部材46は、内筒体35bに連結される一端側が低く、支持プレート34を貫通する他端側が高くなるように傾斜している。
【0084】
通路部材46の上端部は、支持プレート34上のカセット50の内部に連通している。カセット50内に貯留された薬剤Mは、払い出し機構50Aによって1つずつ通路部材46に導かれ、通路部材46から外部へ払い出される。通路部材46を通過する薬剤Mは、内筒体35bの排出口35cから排出され、中央シリンダ44と回転シリンダ35(内筒体35b)との間隔Tを通って下方に落下する。したがって、間隔Tは、カセット50から払い出された薬剤の通路となる。この薬剤通路Tは、回転軸心Cを中心とし、周方向に連続する環状に形成されている。したがって、主収容装置12に収容された全てのカセット50から払い出された薬剤は、共通の薬剤通路Tを通過する。また、薬剤通路Tは、環状に形成されるので、各主収容部30の回転シリンダ35が個別に回転し、それぞれの排出口35cが周方向に移動したとしても、薬剤を通過させることができる。
【0085】
主収容装置12は、ホッパ47を備えている。ホッパ47は、略円すい形状(漏斗状)に形成され、上端及び下端が開口している。ホッパ47の上端開口には、下段の回転シリンダ35における内筒体35bの下端が挿入されている。このホッパ47の内部も薬剤通路となる。
【0086】
主収容装置12は、ホッパ47を開閉する弁装置48を備えている。弁装置48は、弁体48aと、弁体48aを上下に昇降させる駆動機構48bとを備えている。弁体48aは、中央シリンダ44の内部に配置されている。弁体48aは、中央シリンダ44の内部に上下方向Zに移動自在に挿入されている。弁体48aは、下方に先細りとなる略円すい形に形成されている。弁体48aは、その上端の外周面が中央シリンダ44の内周面に近接し、中央シリンダ44の内周面に案内されて上下方向Zに移動する。駆動機構48bは、モータと、モータにより回転するリンク部材等により弁体48aを上下に昇降させる。駆動機構48bは、巻掛伝動機構やシリンダ等によって構成されていてもよい。
【0087】
弁装置48は、弁体48aを下降させてホッパ47の内周面に接触させることで、ホッパ47を閉じる。弁装置48は、弁体48aを上昇させてホッパ47から離反させることでホッパ47を開く。本実施形態の主収容装置12は、カセット50から薬剤が払い出される間、弁装置48によってホッパ47を閉じる。そして、一服用単位として包装される全ての薬剤Mがカセット50から払い出され、ホッパ47内に貯まると、主収容装置12は、弁装置48によってホッパ47を開く。これにより、一服用単位の薬剤Mが同時にホッパ47から排出される。そのため、一服用単位の薬剤を確実に一包に包装することができる。なお、一服用単位の薬剤Mは、主収容装置12に収容された単一のカセット50から払い出されてもよいし、複数のカセット50から払い出されてもよい。
【0088】
本実施形態の各主収容部30は、複数のカセット50を真円状に並べて収容する。そのため、各主収容部30において、各カセット50から払い出された薬剤Mがホッパ47に到達するまでの距離は一定となり、ホッパ47に到達するまでの時間も略一定とすることができる。そのため、カセット50から払い出された薬剤Mがホッパ47に到達したかどうかを把握し易くなり、弁装置48を開くタイミングを正確に設定することができる。
【0089】
図4及び
図7に示すように、主収容装置12は、侵入防止部材49を備えている。侵入防止部材49は、中段及び下段の主収容部30における回転シリンダ35の排出口35cに対応して設けられている。侵入防止部材49は、円環状に形成され、薬剤通路T内に配置されている。侵入防止部材49は、環状の案内部49aと、環状の被覆部49bとを有する。案内部49aは、上方ほど径が大きくなる円すい形状に形成され、上端部が内筒体35bの内周面に連結されている。案内部49aは、対応する排出口35cよりも上に配置されている。被覆部49bは、円筒形状に形成され、案内部49aの下端から下方に延びている。被覆部49bは、対応する排出口35cの上部側を径方向内側から覆っている。
【0090】
上段及び中段の主収容部30に収容されたカセット50から薬剤Mが払い出され、排出口35cから排出されて薬剤通路Tを落下すると、当該薬剤Mは、当該排出口35cより下方に配置された侵入防止部材49の案内部49aによって径方向内側(中央シリンダ44側)に案内され、被覆部49bの径方向内側を通過する。そのため、中段及び下段の主収容部30における排出口35cに上から落下する薬剤Mが侵入することが防止される。つまり、侵入防止部材49は、より上側の排出口35c(上排出口)から排出された薬剤Mが、より下側の排出口35c(下排出口)へ侵入することを防止する。本実施形態では、全てのカセット50から払い出された薬剤が共通の環状の薬剤通路Tを通過するので、環状の侵入防止部材49を中段及び下段の主保持部31に対して1つずつ設ければ足りる。そのため、主収容部30の構成を簡素化することができる。
【0091】
図8は、電線の支持構造を示す説明図である。
図9は、主収容部の回転範囲を示す説明図である。
図10は、電線の支持構造を示す説明図である。
複数の主収容部30は、それぞれ制御基板(制御部)55を備えている。制御基板55は、カセット50内の払い出し機構50Aを駆動する駆動機構51を制御する。制御基板55は、主保持部31におけるカセット50の有無等を検出するセンサ52の信号が入力される。制御基板55は、駆動機構51及びセンサ52等の電気部品と、電源線や信号線等の電線53で接続される。
【0092】
図4に示すように、主保持部31は、カセット50を保持する複数の支持プレート34を回転軸心C回りに並べて備えている。そのうちの1つの支持プレート34にはカセット50が保持されず、この支持プレート34の上方空間を利用して制御基板55が設けられている。制御基板55は、カセット50と同様に回転軸心C回りに回転する。そのため、制御基板55と電気部品51,52との相対位置やこれらと電線53との相対位置が変化しない。したがって、制御基板55と駆動機構51等とを最短で電線53で接続したり、電線53の配線経路を簡素化したりすることができ、電線53の接続を容易に行うことができる。
【0093】
主収容装置12は、全体の動作を制御する制御装置56を備えている。制御装置56は、主収容装置12の上部に配置されている。制御装置56と各制御基板55とは、電源線や信号線等の電線57で接続されている。各電線57は、支持部材によって支持される。支持部材は、ダクト58a~58cと支持台59a~59cを含む。ダクト58a~58cは、上段の制御基板55に接続される電線57を通す内ダクト(第1ダクト)58aと、中段の制御基板55に接続される電線57を通す中間ダクト(第2ダクト)58bと、下段の制御基板55に接続される電線57を通す外ダクト(第3ダクト)58cと、を含む。各ダクト58a~58cは、略U字状に屈曲されている。各ダクト58a~58cの下端部は、対応する段の支持プレート34に固定されている。
【0094】
支持台59a~59cは、複数の主収容部30に対応して複数備えられている。複数の支持台59a~59cは、上下方向Zに並べて配置されている。複数の支持台59a~59cは、中央シリンダ44から上方に延びる円筒状の支柱62に固定されている。
【0095】
支持台59a~59cは、下段の制御基板55に接続される電線57を支持する上支持台(第1支持台)59aと、中段の制御基板55に接続される電線57を支持する中間支持台(第2支持台)59bと、上段の制御基板55に接続される電線57を支持する下支持台(第3支持台)59cと、を含む。内ダクト58aの上端は、下支持台59cに連結されている。中間ダクト58bの上端は、中間支持台59bに連結されている。外ダクト58cの上端は、上支持台59aに連結されている。各ダクト58a~58cは、各主収容部30の径方向外側を上下方向Zに通過している。ダクト58a~58c及び支持台59a~59cは、主収容部30に応じた数だけ設けられる。
【0096】
複数のダクト58a~58cは、周方向において互いに重ならない位置に配置されている。また、複数のダクト58a~58cは、径方向において互いに重なることができる位置に配置されている。具体的に、外ダクト58cは、中間ダクト58bの上下方向Z及び径方向の外側に配置され、中間ダクト58bは、内ダクト58aの上下方向Z及び径方向の外側に配置される。
【0097】
複数の主収容部30における主保持部31は、それぞれ
図9に実線で示す位置と2点鎖線で示す位置との間でダクト58a~58cが移動する範囲W(例えば、約300°~330°の範囲)で回転する。この範囲Wは、主収容部30の主移動機構32を避けた範囲である。そのため、ダクト58a~58cと主移動機構32との干渉が防止される。
【0098】
図10に示すように、電線57は、支柱62の回りに緩く渦巻き状に巻かれた状態で支持台59a~59cに支持される。ダクト58a~58cが実線の位置から2点鎖線の位置まで移動したとき、電線57は、支柱62回りに緩く巻かれた状態から約1周分多く巻き付けられる。ただし、多く巻き付けられた状態でも引っ張られることがないように電線57の長さが設定されている。そのため、電線57は、ダクト58a~58cの移動によって引っ張られることなく追従することができる。
【0099】
なお、電線57は、各主収容部30の制御基板55から回転シリンダ35及び中央シリンダ44を貫通し、中央シリンダ44及び支柱62内を通って制御装置56に接続されていてもよい。ただし、この場合、電線57が、環状の薬剤通路Tを横切ることになり、薬剤の通過の邪魔になる可能性があるため、上記実施形態のように、電線57は、制御基板55から各主収容部30の径方向外側を通って制御装置56に接続されることが好適である。
【0100】
[分包装置の具体的構成]
図1に示すように、分包装置11は、主収容装置12に収容されたカセット50から払い出された薬剤、補助収容ユニット21に収容されたカセット60から払い出された薬剤、及び手撒きユニット22から払い出された薬剤を包装する。分包装置11は、帯状のシート材を用いて包装帯を形成する。包装帯は、袋状の包装体が帯状に連続したものである。また、分包装置11は、カセット50,60から払い出された薬剤を包装帯の各包装体に供給し、包装する。包装された薬剤は、筐体20Aの前面の取り出し口63から排出される。
【0101】
[副収容装置の具体的構成]
図11は、
図2のXI-XI矢視における概略的な断面図である。
図12は、
図11のXII-XII矢視における概略的な断面図である。
図2、
図3、及び
図11に示すように、副収容装置13は、複数のカセット50を収容する副収容部70を備える。副収容装置13は、複数の副収容部70を備える。複数の副収容部70は、並べて配置されている。本実施形態では、複数の副収容部70が、上下方向Zに並べて配置されている。本実施形態では、主収容装置12が、上下方向Zに3つの主収容部30を備えているのに対して、副収容装置13は、上下方向Zに4つ以上の副収容部70を備えている。副収容装置13におけるカセット50の収容数は、主収容装置12におけるカセット50の収容数よりも多くなっている。
図2に示すように、副収容装置13は、上下方向Zにおいて主収容装置12と分包装置11とに渡る範囲で配置されている。
【0102】
各副収容部70は、複数のカセット50を並べて収容する。各副収容部70は、複数のカセット50を水平に並べて収容する。各副収容部70は、複数のカセット50を環状に並べて収容する。具体的に、副収容部70は、複数のカセット50を長円状に並べて収容する。より具体的に、副収容部70は、複数のカセット50を前後方向(第2方向)Yに長く左右方向(第1方向)Xに短い長円状に並べて収容する。本実施形態では、カセット50の配列形態である長円の直線部に沿って3つ又は4つのカセット50が並べて配置され、長円の半円部に沿って1つ又は2つのカセット50が配置される。したがって、長円の半円部よりも直線部により多くのカセット50に収容することができる。副収容部70は、複数のカセット50を長円状に並べて収容するので、限られたスペースにより多くのカセット50を収容できる。
【0103】
図3に示すように、副収容部70は、左右方向Xの長さL1が前後方向Yの長さL2よりも小さい。また、副収容部70の左右方向Xの長さL1は、主収容部30の左右方向Xの長さよりも小さく、副収容部70の前後方向Yの長さL2は、主収容部30の前後方向Yの長さよりも大きい。したがって、副収容部70は、主収容装置12と搬送装置14と副収容装置13とが並ぶ方向である左右方向(第1方向)Xにおいて、コンパクトに構成されている。そのため、薬剤包装システム10全体を左右方向Xにコンパクトに構成することができる。
【0104】
副収容部70は、カセット50を保持する副保持部71と、カセット50を移動させる副移動機構72とを含む。副保持部71は、各カセット50を載置して下方から支持する複数の支持プレート74を有する。各支持プレート74は、上面視でカセット50と略同じ形状に形成されている。複数の支持プレート74は、上面視において、長円状に並べて配置されている。
【0105】
副収容部70は、さらに基台75を有する。基台75は、複数の支持プレート74の下方に配置され、複数の支持プレート74を下方から支持する。基台75は、上面視で長円状に形成されている。
図12に示すように、支持プレート74の下面には回転自在なローラ74aが設けられている。支持プレート74は、ローラ74aによって基台75の上面を走行可能である。
【0106】
副移動機構72は、巻掛伝動機構76と、駆動部79とを有する。巻掛伝動機構76は、一対の回転体77と、一対の回転体77に巻き掛けられる索状体78とを有している。回転体77は、例えばプーリ又はスプロケットである。索状体78は、例えば無端状のベルト又はチェーンである。本実施形態の一対の回転体77は、前後方向Yに間隔をあけて配置されている。各回転体77は、上下方向Zに延びる支軸80に回転自在に支持されている。各回転体77は、上下方向Zの軸心回りに回転する。支軸80は、複数の副収容部70に渡って設けられ、複数の副収容部70で共用されている。
【0107】
索状体78の外周面には、複数の支持プレート74が並べて連結されている。索状体78が回送すると、複数の支持プレート74がその並び方向に移動、すなわち長円状の経路で移動する。
【0108】
駆動部79は、モータ79aと、伝動機構79bとを有する。モータ79aは、水平な出力軸を有する。伝動機構79bは、モータ79aの出力軸に取り付けられた駆動ギヤと、駆動ギヤに噛み合い、回転体77と一体回転する従動ギヤとを有する。本実施形態の駆動ギヤ及び従動ギヤはベベルギヤである。モータ79aを駆動すると伝動機構79bを介して一方の回転体77が回動し、索状体78が回送する。駆動部79は、上面視において、複数のカセット50に囲まれたスペースに配置されている。これにより、副収容部70をコンパクトに構成することができる。
【0109】
図13は、副収容装置における副着脱領域を示す概略的な側面図である。
図3及び
図13に示すように、副収容装置13における副収容部70には、カセット50を装着又は脱離させるための副着脱領域Rb1,Rb2が設定されている。副着脱領域Rb1,Rb2は、副収容部70におけるカセット50の移動経路上に設定されている。したがって、副収容部70の副移動機構72は、副保持部71に保持された各カセット50を副着脱領域Rb1,Rb2に移動させる。搬送装置14は、副着脱領域Rb1,Rb2に移動したカセット50を取り出して搬送し、逆に、搬送したカセット50を副着脱領域Rb1,Rb2にある副保持部71に装着する。
【0110】
本実施形態では、複数の副収容部70それぞれに2つの副着脱領域Rb1,Rb2が設定されている。各副収容部70において、一方の副着脱領域Rb1と他方の副着脱領域Rb2とは前後方向Yに並べて配置される。
【0111】
図13に示すように、複数の副収容部70の一方の副着脱領域Rb1同士は、いずれもカセット50が移動する周方向において互いに同じ位相に配置されている。言い換えると、複数の副収容部70の一方の副着脱領域Rb1同士は、上下方向Zに並べて配置されている。同様に、複数の副収容部70の他方の副着脱領域Rb2同士は、いずれもカセット50の移動経路の周方向において互いに同じ位相に配置されている。言い換えると、複数の副収容部70の他方の副着脱領域Rb2同士は、上下方向Zに並べて配置されている。したがって、後述する搬送装置14は、同じ位相にある副着脱領域Rb1,Rb2に対して高さを変えるだけでカセット50を装着又は脱離させることができる。
【0112】
副収容部70において、複数のカセット50は、長円状の移動経路に含まれる2つの直線経路のうち、一方の直線経路(第1移動経路)は搬送装置14及び主収容部30に対向し、他方の直線経路(第2移動経路)は、一方の直線経路を挟んで、搬送装置14及び主収容部30とは反対側に位置している。副着脱領域Rb1,Rb2は、一方の直線経路に設定されているが、副収容部70は、複数のカセット50を長円状の移動経路で循環移動させるので、他方の直線経路に配置されたカセット50であっても副着脱領域Rb1,Rb2に移動させることができる。
【0113】
[主着脱領域と副着脱領域との関係]
図6及び
図13に示すように、複数の主収容部30には、それぞれ2箇所の主着脱領域Ra1,Ra2が設定され、複数の副収容部70には、それぞれ2箇所の副着脱領域Rb1,Rb2が設定されている。本実施形態では、次に説明する搬送装置14によって、いずれかの主収容部30の一方の主着脱領域Ra1といずれかの副収容部70の一方の副着脱領域Rb1との間でカセット50が搬送され、いずれかの主収容部30の他方の主着脱領域Ra2といずれかの副収容部70の他方の副着脱領域Rb2との間でカセット50が搬送される。つまり、本実施形態では、一方の主着脱領域Ra1と他方の副着脱領域Rb2との間、及び、他方の主着脱領域Ra2と一方の副着脱領域Rb1との間ではカセット50は搬送されない。ただし、この搬送形態は一例であり限定されるものではない。
【0114】
[搬送装置]
図14は、搬送装置の平面図である。
図15は、搬送装置の搬送部の正面図である。
図16は、搬送装置の搬送部の平面図である。
搬送装置14は、主収容装置12に設定された主着脱領域Ra1,Ra2と、副収容装置13に設定された副着脱領域Rb1,Rb2との間でカセット50を搬送する。本実施形態の搬送装置14は、2つの搬送部81を有する。2つの搬送部81a、81bは、前後方向Yに並べて配置されている。言い換えると、2つの搬送部81a、81bは、主収容装置12及び分包装置11と搬送装置14と副収容装置13が並ぶ方向である左右方向(第1方向)Xと交差する方向に並べて配置されている。そのため、薬剤包装システム10の全体を左右方向Xにコンパクトに構成することができる。
【0115】
2つの搬送部81a、81bのうち一方の搬送部81aは、
図14に矢印A1で示すように、一方の主着脱領域Ra1と一方の副着脱領域Rb1との間でカセット50を搬送する。他方の搬送部81bは、矢印A2で示すように、他方の主着脱領域Ra2と他方の副着脱領域Rb2との間でカセット50を搬送する。より具体的には、一方の搬送部81aは、
図14に矢印A1で示すように、一方の主着脱領域Ra1から一方の副着脱領域Rb1へカセット50を搬送する。他方の搬送部81bは、矢印A2で示すように、他方の副着脱領域Rb2から他方の主着脱領域Ra2へカセット50を搬送する。したがって、一方の主着脱領域Ra1は、カセット50を脱離するために用いられ、他方の主着脱領域Ra2は、カセット50を装着するために用いられる。また、一方の副着脱領域Rb1は、カセット50を装着するために用いられ、他方の副着脱領域Rb2は、カセット50を脱離するために用いられる。以上のように2つの搬送部81a、81bが、それぞれカセット50を一方向に搬送することで、各搬送部81a、81bの制御や主収容部30及び副収容部70の制御を簡素化することができる。
【0116】
搬送部81は、支柱82と、この支柱82に支持された搬送機構83とを有する。支柱82は、副収容装置13の上下方向Zの高さに渡る範囲で上下方向Zに延びている。支柱82は、搬送機構83を上下方向Zに移動させる昇降機構82aを備えている。この昇降機構82aは、例えばベルトやチェーンを用いた巻掛伝動機構や流体圧シリンダ等の公知の構成が採用される。
【0117】
搬送機構83は、昇降機構82aに連結され、支柱82に沿って上下方向Zに移動可能である。搬送機構83は、支柱82に連結される上側アーム(第1アーム)83aと、上側アーム83aに連結される下側アーム(第2アーム)83bと、下側アーム83bに連結される把持部83cと、を含む。
【0118】
上側アーム83aは、支柱82から水平方向に突出している。上側アーム83aは、水平方向に長い棒状又はブロック状に形成されている。上側アーム83aは、支柱82の昇降機構82aにより上下方向Zに移動する。上側アーム83aは、下側アーム83bを動作(回転)させる駆動機構83a1を含む。駆動機構83a1は、モータや変速ギヤ等を含む。
【0119】
下側アーム83bは、上側アーム83aの先端部に連結されている。下側アーム83bは、水平方向に長い棒状又はブロック状に形成されている。下側アーム83bは、長手方向の中央部において上下方向Zの軸心c1回りに回転自在に上側アーム83aに連結されている。下側アーム83bは、上側アーム83aの駆動機構83a1によって回転動作する。下側アーム83bは、把持部83cを動作(回転及び直線移動)させる駆動機構83b1を備えている。駆動機構83b1は、モータやアクチュエータ(流体圧シリンダ、電動シリンダ、リニアスライダ、巻掛伝動機構等)等の公知の駆動部品を含む。
【0120】
把持部83cは、下側アーム83bの一端部に連結されている。把持部83cは、上下方向Zの軸心c2回りに回転自在に下側アーム83bに連結されている。把持部83cは、下側アーム83bの駆動機構83b1によって回転動作する。また、把持部83cは、下側アーム83bの駆動機構83b1によって、下側アーム83bの長手方向に沿って直線移動する。
【0121】
把持部83cは、一対の把持爪83c1と、把持爪83c1を動作させる駆動機構83c2とを含む。一対の把持爪83c1は、カセット50の両側面を挟むことによってカセット50を把持する。本実施形態の把持爪83c1は、カセット50の両側面に形成された凹部50Bを挟んで把持する。駆動機構83c2は、一対の把持爪83c1の間隔を開閉し、カセット50の把持する態様と、把持を解除する態様とを切り替える。
【0122】
以下、搬送装置14の搬送部81による具体的な動作について説明する。一例として、副収容装置13の副収容部70から主収容装置12の主収容部30へのカセット50について説明する。
図17A~
図17Dは、搬送装置の動作を示す説明図である。
図17Aに示すように、副収容部70の副移動機構72は、副保持部71で保持されたカセット50を副着脱領域Rbまで移動させる。搬送部81は、支柱82の昇降機構82aによって搬送機構83を副着脱領域Rbの高さまで移動させる。その後、搬送部81は、下側アーム83bの回転動作、及び、把持部83cの回転動作及び直線移動によって把持部83cを副着脱領域Rbに近づけ、把持爪83c1でカセット50を把持する。
【0123】
次いで、
図17Bに示すように、搬送部81は、把持部83cを副着脱領域Rbから離れる方向へ直線移動させることでカセット50を副収容部70から脱離させる。そして、
図17Cに示すように、搬送部81は、支柱82の昇降機構82aによって搬送機構83を主着脱領域Raの高さまで移動させるとともに、下側アーム83bを回転させてカセット50の向きを変え、主収容部30の主着脱領域Raにカセット50を正対させる。最後に、
図17Dに示すように、搬送部81は、把持部83cを水平に直線移動させて主着脱領域Raに近づけ、把持したカセット50を主収容部30に装着する。主収容部30から副収容部70への搬送は、上記とは逆の動作となる。
【0124】
主収容装置12の複数の主収容部30には、それぞれ2つの主着脱領域Ra1,Ra2が設定され、搬送装置14は、各主着脱領域Ra1,Ra2に対応する2つの搬送部81a、81bを備えている。そのため、2つの搬送部81a、81bは、それぞれに対応する主着脱領域Ra1,Ra2において主収容部30に対してカセット50を装着又は脱離することができる。同様に、副収容装置13の複数の副収容部70には、それぞれ2つの副着脱領域Rb1,Rb2が設定され、搬送装置14は、各副着脱領域Rb1,Rb2に対応する2つの搬送部81a、81bを備えている。そのため、2つの搬送部81a、81bは、それぞれに対応する副着脱領域Rb1,Rb2において、カセット50を装着又は脱離することができる。したがって、2つの主着脱領域Ra1,Ra2及び2つの副着脱領域Rb1,Rb2において1つの搬送部がカセット50を着脱又は脱離する場合に比べて、カセット50の搬送を迅速に行うことができる。
【0125】
図14に矢印Bで示すように、前側の搬送部81aは、カセット充填装置15の授受部17に供給されたカセット50を主収容装置12又は副収容装置13に搬送する。この場合、搬送部81aは、昇降機構82aによって搬送機構83を授受部17の高さまで移動させるとともに、下側アーム83bの回転動作、及び、把持部83cの回転動作及び直線移動によって把持部83cを授受部17に近づけ、把持爪83c1でカセット50を把持する。次いで、搬送部81aは、把持部83cを授受部17から離れる方向へ直線移動させることでカセット50を授受部17から脱離させる。その後、搬送部81は、支柱82の昇降機構82aによって搬送機構83を主着脱領域Ra又は副着脱領域Rbの高さまで移動させるとともに、下側アーム83bを回転させて主着脱領域Ra1又は副着脱領域Rb1にカセット50を正対させ、把持部83cを水平に直線移動させることでカセット50を主着脱領域Ra1又は副着脱領域Rb1に装着する。
【0126】
以上説明した薬剤包装システム10では、主収容装置12が、主収容部30に収容されたカセット50を主着脱領域Ra1,Ra2に移動させ、副収容装置13が、副収容部70に収容されたカセット50を副着脱領域Rb1,Rb2に移動させ、搬送装置14が、主着脱領域Ra1,Ra2と副着脱領域Rb1,Rb2との間でカセット50を搬送する。そのため、主収容装置12と副収容装置13との間で人手によりカセット50を搬送する場合に比べて簡単かつ迅速にカセット50を搬送することができる。
【0127】
また、主収容装置12がカセット50を主着脱領域Ra1,Ra2に移動する動作、副収容装置13がカセット50を副着脱領域Rb1,Rb2に移動する動作、及び、搬送装置14がカセット50を搬送する動作のうち、少なくとも2つを同時に行うことができるので、カセット50の搬送を短時間で効率よく行うことができる。また、主収容装置12の複数の主収容部30が個別にカセット50を主着脱領域Ra1,Ra2に移動させ、副収容装置13の複数の副収容部70が個別にカセット50を副着脱領域Rb1,Rb2に移動させるので、カセット50の搬送をより短時間で効率よく行うことができる。
【0128】
上記実施形態の薬剤包装システム10では、主収容装置12が主着脱領域Ra1,Ra2までカセット50を移動させ、副収容装置13が副着脱領域Rb1,Rb2までカセット50を移動させるので、搬送装置14による搬送距離を短くすることができ、搬送装置14の小型化を図り、搬送装置14の単位時間当たりのカセット50の搬送数を増大することができる。
【0129】
薬剤包装システム10において、カセット50は、主収容装置12と副収容装置13との双方に収容される。そのため、薬剤包装システム10全体で収容することができるカセット50の数を増大することができる。また、主収容装置12に収容されたカセット50は、直接薬剤を払い出して包装することができ、副収容装置13に収容されたカセット50は、一旦、主収容装置12に搬送してから薬剤を払い出して包装することができる。
【0130】
患者ごとに必要な薬剤を所定期間分(例えば1か月分)、連続して分包する場合、1又は複数のカセット50から薬剤を連続的に払い出して順次分包することができるが、大病院等において多数の入院患者が服用する薬剤を分包する場合、1日の特定時間(例えば、X月Y日の朝食後)のみに服用する一包分の薬剤を、多数の患者分連続して分包する場合がある。この場合、患者ごとに服用する薬剤が異なるので、一包ごとに異なるカセット50から薬剤を払い出す必要がある。したがって、より多くのカセット50を準備しておく必要があるとともに、主収容装置12と副収容装置13との間で頻繁にカセット50を搬送する必要がある。上記実施形態の薬剤包装システム10は、主収容装置12と副収容装置13とによって多くのカセット50を収容可能であるとともに、上述したように迅速なカセット50の搬送が可能になるので、多数の異種薬剤を連続して分包する場合においても短時間の分包が可能となる。
【0131】
[薬剤包装システムの構成例]
図19は、薬剤包装システムの他の構成例を示す概略的な正面図である。
図20は、薬剤包装システムのさらに他の構成例を示す概略的な正面図である。
以上に説明した薬剤包装システム10は、1つの分包装置11及び主収容装置12と、1つの搬送装置14と、1つの副収容装置13とがこの順で左右方向(第1方向)Xに並べられていたが、そのような構成例に限定されるものではない。例えば、
図19に示すように、薬剤包装システム10は、1つの分包装置11及び主収容装置12と、2つの搬送装置14と、2つの副収容装置13とを備え、一方の副収容装置13と、一方の搬送装置14と、分包装置11及び主収容装置12と、他方の搬送装置14と、他方の副収容装置13とがこの順で左右方向(第1方向)Xに並べられていてもよい。
【0132】
あるいは、
図20に示すように、薬剤包装システム10は、2つの分包装置11及び主収容装置12と、2つの搬送装置14と、1つの副収容装置13とを備え、一方の分包装置11及び主収容装置12と、一方の搬送装置14と、副収容装置13と、他方の搬送装置14と、他方の分包装置11及び主収容装置12とがこの順で左右方向(第1方向)Xに並べられていてもよい。
【0133】
図19に示す構成例の場合、矢印Aで示すように、一方の搬送装置14により一方の副収容装置13と主収容装置12との間でカセット50を搬送することができ、他方の搬送装置14により他方の副収容装置13と主収容装置12との間でカセット50を搬送することができる。また、1つのカセット50についてこれらの搬送を行うことによって、矢印Cで示すように、一方の副収容装置13と他方の副収容装置13との間でカセット50を搬送することができる。
【0134】
図20に示す構成例の場合、矢印Aで示すように、一方の搬送装置14により一方の主収容装置12と副収容装置13との間でカセット50を搬送することができ、他方の搬送装置14により他方の主収容装置12と副収容装置13との間でカセット50を搬送することができる。また、1つのカセット50についてこれらの搬送を行うことによって、矢印Dで示すように、一方の主収容装置12と他方の主収容装置12との間でカセット50を搬送することができる。
【0135】
他の構成例として、
図19に示す右側又は左側の副収容装置13の隣に、搬送装置14、主収容装置12、搬送装置14、副収容装置13…というように、各装置12~14を必要な数だけ続けて配置することができる。さらに他の構成として、
図20に示す右側又は左側の主収容装置12の隣に、搬送装置14、副収容装置13、搬送装置14、主収容装置12…というように、各装置12~14を必要な数だけ続けて配置することができる。このように、各装置12~14を続けて配置したとしても左右方向(第1方向)Xに寸法が拡大するだけで前後方向Yの寸法は変わらない。
【0136】
[変形例]
上述した実施形態は一例であり、薬剤包装システム10は実施形態に限定されない。
例えば、上述した実施形態では、主収容装置12の主収容部30は、複数のカセット50を真円状に並べて収容しているが、長円状、楕円状等に並べて収容してもよい。また、主収容部30は、複数のカセット50を直線状に並べて保持してもよい。
【0137】
上述した実施形態では、副収容装置13の副収容部70は、複数のカセット50を長円状に並べて収容しているが、真円状、楕円状等に並べて収容してもよい。また、副収容部70は、複数のカセット50を直線状に並べて保持してもよい。
【0138】
上述した実施形態では、搬送装置14が、2つの搬送部81を備えていたが、単一の搬送部81を備えていてもよいし、3つ以上の搬送部81を備えていてもよい。また、上述した実施形態では、2つの搬送部81a、81bのうち一方の搬送部81aが、主収容装置12から副収容装置13にカセット50を搬送し、他方の搬送部81bが副収容装置13から主収容装置12にカセット50を搬送していたが、双方の搬送部81が、主収容装置12と副収容装置13との間でカセット50を双方向に搬送してもよい。
【0139】
上記実施形態では、薬剤包装システム10の筐体20が、主収容装置12及び分包装置11を覆う筐体20Aと、搬送装置14及び副収容装置13を覆う筐体20Bとに分かれていたが、これに限定されない。例えば、筐体20は、全ての装置11~14を覆うものであってもよい。あるいは、筐体20は、主収容装置12及び分包装置11と、搬送装置14と、副収容装置13とを個別に覆うものであってもよい。
【0140】
薬剤包装システム(薬剤カセット搬送システム)10において、主収容装置12、搬送装置14、副収容装置13の配置は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、主収容装置12と副収容装置13とを左右方向(第1方向)Xに並べて配置し、これら12,13に対して搬送装置14を前後方向(第2方向)Yに並べて配置してもよい。主収容装置12及び副収容装置13の一方の収容装置と搬送装置14とを左右方向(第1方向)Xに並べて配置し、これらに対して他方の収容装置を前後方向(第2方向)Yに並べて配置してもよい。
【0141】
薬剤包装システム10は、分包装置11が形成した帯状の包装帯から、薬剤を包装済みの包装体を1つずつ切り離して、それぞれを個別のケースに収容する機能を備えていてもよい。例えば、薬剤包装システム10は、包装帯から1つずつ包装体を切り離す切断装置、及び、切り離された包装体を所定のケースに収容する収容装置をさらに備えていてもよい。
【0142】
[付記]
(付記1)
薬剤カセットを収容しかつ前記薬剤カセットから薬剤を払い出す主収容装置、
薬剤カセットを収容する副収容装置、及び
前記主収容装置に対して前記薬剤カセットを装着又は脱離するための所定の主着脱領域と、前記副収容装置に対して前記薬剤カセットを装着又は脱離するための所定の副着脱領域との間で前記薬剤カセットを搬送する搬送装置、を備え、
前記主収容装置は、2つの主収容部を有し、
前記各主収容部が、前記薬剤カセットを保持する主保持部と、前記主保持部で保持された前記薬剤カセットを前記主着脱領域に移動させる主移動機構とを含み、
一方の前記主収容部における前記主移動機構と他方の前記主収容部における前記主移動機構とが個別に動作する、薬剤カセット搬送システム。
なお、付記1の構成では、主収容装置は、3つ以上の主収容部を備えていてもよく、そのうちの2つが上記の構成を有していればよい。
【0143】
(付記2)
2つの前記主収容部それぞれが、前記主移動機構によって前記主保持部で保持された前記薬剤カセットとともに移動しかつ前記主保持部を制御する制御部を備える、付記1に記載の薬剤カセット搬送システム。
【0144】
(付記3)
前記主移動機構は、前記主保持部で保持された前記薬剤カセット及び前記制御部を環状の経路で移動させ、
前記制御部に接続される電線と、
前記環状の経路の中心回りに前記電線を渦巻き状に支持する支持台と、をさらに備える、付記2に記載の薬剤カセット搬送システム。
【0145】
(付記4)
前記主移動機構は、前記主保持部で保持された前記薬剤カセットを環状の経路で移動させ、
前記主収容装置は、前記経路の内側に配置されかつ2つの前記主保持部に保持された前記薬剤カセットから排出される薬剤を通過させる共通の薬剤通路を有し、
前記薬剤通路が、前記経路と同心の環状に形成されている、付記1~付記3のいずれか1つに記載の薬剤カセット搬送システム。
【0146】
(付記5)
前記主保持部は、筒形状に形成され所定の回転軸心回りに回転する回転シリンダと、前記回転シリンダの外周面に設けられ前記薬剤カセットを支持する支持部材とを含み、
前記主収容装置が、前記回転シリンダの径方向内側に配置された筒形状の中央シリンダを有し、
前記薬剤通路が、前記回転シリンダと前記中央シリンダとの径方向の間に形成される、付記4に記載の薬剤カセット搬送システム。
【0147】
(付記6)
前記主収容装置は、前記薬剤通路における薬剤の通過を許容する態様と通過を阻止する態様とに切り替える弁装置を備える、付記4又は付記5に記載の薬剤カセット搬送システム。
【0148】
(付記7)
前記弁装置は、前記中央シリンダ内に配置される弁体と、前記弁体を前記中央シリンダに沿って移動させる駆動機構と、を有する、付記6に記載の薬剤カセット搬送システム。
【0149】
(付記8)
薬剤カセットを収容しかつ前記薬剤カセットから薬剤を払い出す主収容装置、
薬剤カセットを収容する副収容装置、及び
前記主収容装置に対して前記薬剤カセットを装着又は脱離するための所定の主着脱領域と、前記副収容装置に対して前記薬剤カセットを装着又は脱離するための所定の副着脱領域との間で前記薬剤カセットを搬送する搬送装置、を備え、
前記副収容装置は、2つの副収容部を有し、
前記各副収容部は、前記薬剤カセットを保持する副保持部と、前記副保持部で保持された前記薬剤カセットを前記副着脱領域に移動させる副移動機構と、を含み、
一方の前記副収容部における前記副移動機構と他方の前記副収容部における前記副移動機構とが個別に動作する、薬剤カセット搬送システム。
なお、付記8の構成では、副収容装置は、3つ以上の副収容部を備えていてもよく、そのうちの2つが上記の構成を有していればよい。
【0150】
(付記9)
前記副保持部は、複数の前記薬剤カセットを環状に並べて保持し、
前記副移動機構は、複数の前記薬剤カセットの並び方向に環状の経路で前記各薬剤カセットを移動させ、
前記副移動機構は、環状に並べられた複数の前記薬剤カセットで囲まれるスペースに配置される、付記8に記載の薬剤カセット収容装置。
【0151】
(付記10)
前記主収容装置、前記搬送装置、及び前記副収容装置が所定の第1方向に並べて配置され、
前記副保持部は、前記第1方向に短く前記第1方向の直交方向に長い長円状に並べて複数の前記薬剤カセットを保持する、付記9に記載の薬剤カセット搬送システム。
【0152】
(付記11)
薬剤カセットを収容しかつ前記薬剤カセットから薬剤を払い出す主収容装置、
薬剤カセットを収容する副収容装置、及び
前記主収容装置に対して前記薬剤カセットを装着又は脱離するための所定の主着脱領域と、前記副収容装置に対して前記薬剤カセットを装着又は脱離するための所定の副着脱領域との間で前記薬剤カセットを搬送する搬送装置、を備え、
前記主着脱領域又は前記副着脱領域が2つ設定され、
前記搬送装置は、双方の主着脱領域又は双方の副着脱領域において前記薬剤カセットを装着又は脱離する2つの搬送部を有する、薬剤カセット搬送システム。
なお、付記11の構成では、主着脱領域又は副着脱領域は少なくとも2つ設定されていればよく、3つ以上設定されていてもよい。搬送装置は、少なくとも2つの搬送部を有していればよく、3つ以上の搬送部を有していてもよい。
【0153】
(付記12)
前記主収容装置と、前記搬送装置と、前記副収容装置とがこの順で所定の第1方向に並べて配置され、
前記2つの搬送部が前記第1方向に交差する第2方向に並べて配置されている、付記11又は付記12に記載の薬剤カセット搬送装置。
【0154】
(付記13)
付記1~13のいずれか1つに記載された薬剤カセット搬送システムと、
前記薬剤カセット搬送システムの前記主収容装置に収容された前記薬剤カセットから排出された薬剤を一服用単位毎に包装体で包装する包装装置と、を備える薬剤包装システム。
【0155】
[補記]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的ではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及びその範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0156】
10 :薬剤包装システム(薬剤カセット搬送システム)
11 :分包装置
12 :主収容装置
13 :副収容装置
14 :搬送装置
30 :主収容部
31 :主保持部
32 :主移動機構
35c :排出口
41 :軸受
49 :侵入防止部材
50 :薬剤カセット
70 :副収容部
71 :副保持部
72 :副移動機構
74a :ローラ
75 :基台
81a :搬送部
81b :搬送部