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特開2025-12168バイオマス発電の燃料用バイオマス片の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012168
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】バイオマス発電の燃料用バイオマス片の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C10L 5/44 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
C10L5/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114799
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】523266800
【氏名又は名称】セルマークジャパン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594095176
【氏名又は名称】牧 恒雄
(74)【代理人】
【識別番号】100119091
【弁理士】
【氏名又は名称】豊山 おぎ
(74)【代理人】
【識別番号】100113860
【弁理士】
【氏名又は名称】松橋 泰典
(72)【発明者】
【氏名】牧 恒雄
(72)【発明者】
【氏名】ケリー ナー
【テーマコード(参考)】
4H015
【Fターム(参考)】
4H015AA12
4H015AB01
4H015BA01
4H015BA08
4H015BA13
4H015BB03
4H015BB04
4H015BB05
4H015BB10
4H015CB01
(57)【要約】
【課題】本発明は、燃焼熱量が高く、カリウムやナトリウムが低減されたバイオマス発電に適した燃料用バイオマス片の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】リグノセルロース系バイオマスを半炭化する工程(1)、半炭化した前記リグノセルロース系バイオマスを水で洗浄する工程(2)を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リグノセルロース系バイオマスを半炭化する工程(1)、半炭化した前記リグノセルロース系バイオマスを水で洗浄する工程(2)を有するバイオマス発電の燃料用バイオマス片の製造方法。
【請求項2】
前記リグノセルロース系バイオマスを半炭化する工程(1)が、205℃~230℃の範囲の水蒸気で加圧水熱処理する工程である請求項1に記載のバイオマス発電の燃料用バイオマス片の製造方法。
【請求項3】
前記205℃~230℃の範囲の水蒸気で加圧水熱処理する工程が、1.8MPa~3.0MPaの圧力下で行う請求項2に記載のバイオマス発電の燃料用バイオマス片の製造方法。
【請求項4】
前記リグノセルロース系バイオマスを半炭化する工程(1)が、リグノセルロース系バイオマスを撹拌しながら行う工程である請求項1~3のいずれか一項に記載のバイオマス発電の燃料用バイオマス片の製造方法。
【請求項5】
バイオマス発電の燃料用バイオマス片のナトリウムイオン、及びカリウムイオイン濃度が、2000ppm以下である請求項1~3のいずれか一項に記載のバイオマス発電の燃料用バイオマス片の製造方法。
【請求項6】
前記リグノセルロース系バイオマスが、ナトリウムイオン又はカリウムイオン濃度が2000ppmを超えるリグノセルロース系バイオマスである請求項1~3のいずれか一項に記載のバイオマス発電の燃料用バイオマス片の製造方法。
【請求項7】
前記リグノセルロース系バイオマスが、ゴムの木である請求項1~3のいずれか一項に記載のバイオマス発電の燃料用バイオマス片の製造方法。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法で得られたバイオマス発電の燃料用バイオマス片を用いたバイオマスペレット。
【請求項9】
請求項4に記載の製造方法で得られたバイオマス発電の燃料用バイオマス片を用いたバイオマスペレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス発電の燃料用バイオマス片の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオマスを石炭や石油の代替燃料として発電する場合、燃焼釜に悪影響を与えるカリウムやナトリウムの存在が問題となる。
例えば、バイオマスを乾燥処理し、更に大気圧を超える加圧処理をすることによる軟化処理又は細胞膜の破壊処理を施す第一工程と、前記第一工程の処理を施したバイオマスを水洗する第二工程とを有するバイオマスの洗浄方法がある。この方法により、アルカリ金属含有量の低いバイオマスを得て、アルカリ金属含有量の低いバイオマス炭が製造できることが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-270320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明は、製鉄において高価なコークスの使用量を抑えるための補助燃料である微粉炭の代替燃料に関する。この発明は、単位あたりのカロリー値が高い炭化物を得ることを目的としている。しかし、前記炭化物は、単位あたりカロリー値は高いものの、原料の木片からの収率が低く、バイオマス発電用の燃料として用いるには効率が悪いという問題があった。
本発明は、カリウムやナトリウムが低減されたバイオマス発電の燃料に適したバイオマス片の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、リグノセルロース系バイオマスを半炭化したバイオマスを水で洗浄することにより、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、リグノセルロース系バイオマスを半炭化する工程(1)、半炭化した前記リグノセルロース系バイオマスを水で洗浄する工程(2)を有するバイオマス発電の燃料用バイオマス片の製造方法に関する。
前記リグノセルロース系バイオマスを半炭化する工程(1)は、205℃~230℃の範囲の水蒸気で加圧水熱処理する工程であるのが好ましい。
前記205℃~230℃の範囲の水蒸気で加圧水熱処理する工程は、1.8MPa~3.0MPaの圧力下で行われるのが好ましい。
前記リグノセルロース系バイオマスを半炭化する工程(1)は、前記リグノセルロース系バイオマスを撹拌しながら行う工程であるのが好ましい。
バイオマス発電の燃料用バイオマス片のナトリウムイオン、及びカリウムイオイン濃度は、2000ppm以下であるのが好ましい。
前記リグノセルロース系バイオマスは、ナトリウムイオン又はカリウムイオン濃度が2000ppmを超えるリグノセルロース系バイオマスであるのが好ましい。
前記リグノセルロース系バイオマスは、ゴムの木であるのが好ましい。
さらに、本発明は、前記製造方法で得られたバイオマス発電の燃料用バイオマス片を用いた木材ペレットに関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、バイオマス片製造方法を用いることにより、カリウムやナトリウムが低減されたバイオマス発電の燃料に適したバイオマス片を得ることができる。
バイオマス発電に適した燃料用のバイオマス片とは、リグノセルロース系バイオマスから得られるエネルギー収率が高いバイオマス片である。半炭化した前記リグノセルロース系バイオマスのエネルギー密度は約6000Kcal/Kgであるのに対して、炭化したリグノセルロース系バイオマスのエネルギー密度は、約8000Kcal/Kgである。
【0008】
一方、前記半炭化したリグノセルロース系バイオマスの重量収率は、約60%であるのに対して、前記炭化したリグノセルロースの重量収率は約30%である。
したがって、前記半炭化したリグノセルロース系バイオマスのエネルギー収率が約80%であるのに対して、前記炭化したリグノセルロース系バイオマスのエネルギー収率が約40%となる。すなわち、本発明の前記半炭化したリグノセルロー系バイオマスのエネルギー収率は、前記炭化したリグノセルロース系バイオマスのエネルギー収率よりも高くなる(高温学会誌第37巻2号43~49頁参照)という効果を奏する。なお、エネルギー収率は、下記式で表される。
【0009】
(エネルギー収率)=(半炭化状態領域において得られた半炭化燃料のエネルギー密度)×(重量収率)/(100℃における絶乾セルロースのエネルギー密度)
【0010】
また、炭化したバイオマス片は圧縮成形できないが、本発明のバイオマス片は、半炭化されているので、圧縮成形するだけで結着剤を用いることなくバイオマス発電の燃料に適したペレットとすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のバイオマス発電の燃料用バイオマス片の製造方法は、リグノセルロース系バイオマスを半炭化する工程(1)及び半炭化した前記リグノセルロース系バイオマスを水で洗浄する工程(2)を有する。
【0012】
前記リグノセルロース系バイオマスは、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンを主成分とするバイオマスのことであり、植物由来のバイオマスであるのが好ましい。
【0013】
植物由来のバイオマスとは、植物由来の有機物資源をいい、木材、乾燥草木、農業系や林業系の廃棄物が含まれる。より具体的には、植物由来のバイオマスとして、剪定枝、廃材、樹皮チップ、ゴムの木、パームヤシ(アブラヤシ)、パルプ黒液、チップダスト等の製紙副産物、のこ屑等の製材副産物、葉、梢、端尺材等の林地残材、スギ、ヒノキ、マツ類等の除間伐材、食用菌類の廃ホダ木等の特用林産からのもの、シイ、コナラ、マツ等の薪炭林、ヤナギ、ポプラ、ユーカリ、マツ等の短伐期林業等の林業系バイオマス、企業の庭木等の剪定枝条、建設・建築廃材等の産業廃棄物、竹、やし殻、パームオイル残渣(EFB:Empty Fruit Bunch)などの木質系バイオマス、廃棄物・副産物を発生源とする過剰生産による廃棄野菜、野菜クズ、カット野菜、果実、籾殻、麦わら、稲わら、サトウキビカス、エネルギー作物を発生源とする米糠、菜種、大豆、草等の農業系バイオマス等が挙げられる。中でも、資源量が豊富であるという観点から、木質系バイオマスが、植物由来のバイオマスとして好ましく挙げられる。
【0014】
前記リグノセルロース系バイオマスの中でも特に、カリウムやナトリウムなどのアルカリ金属を高濃度で含有するリグノセルロース系バイオマスを原料として、前記バイオマス片の製造に用いると効果的である。この観点では、カリウム濃度1質量%以上のリグノセルロース系バイオマスに本発明を用いることが好ましい。
カリウムやナトリウムなどのアルカリ金属を高濃度で含有するリグノセルロース系バイオマスとして、具体的には、ゴムの木、パームヤシ(アブラヤシ)、トウモロコシ、バナナ、竹類等が挙げられる。パームオイルの副産物であるパームヤシ(アブラヤシ)の空果房(EFB)は、オイルを含んだ果実をはがした果房茎部である。前記EFBは、ドライベースで、カリウムを2~3質量%含有していることが知られている。中でも、前記リグノセルロース系バイオマスは、ゴムの木であるのが好ましい。
【0015】
前記リグノセルロース系バイオマスは、そのまま前記工程(1)に供してもよい。前記リグノセルロース系バイオマスは、必要に応じて、破砕機、回転式カッター、ハンマーミル等の破砕手段で適度な大きさに破砕してから供すること、及び/又は乾燥して前記リグノセルロース系バイオマスに含まれる水分量を調整してから供してもよい。水分量を調整する方法は、特に限定されないが、風乾、乾燥機による加熱乾燥等の方法が挙げられる。
【0016】
リグノセルロース系バイオマスを半炭化する工程(以下、本明細書において「半炭化工程」という)(1)とは、燃焼に寄与しない水分をできるだけ除去し、その後炭化を途中で止めて、可燃分だけを製品に確保しようとする工程である。ここで炭化とは、炭素有機物を主成分とする木材等の素材が、酸素が少ない環境下で高温の熱をかけられることで、前記炭素有機物が分解して揮発分の低い固体の炭として生成される現象である。
【0017】
残炭分の低下は250℃付近でもっとも急激に起こり、さらに400℃以上でもゆっくり低下が続き、最終的には1/3~1/4くらいの質量の炭化物(木炭)が得られる。したがって、半炭化工程は酸素を絶った状態で180~300℃に加熱して行われる。
【0018】
半炭化には3種類の状態があり、I炭、II炭、III炭と分類される。
リグノセルロース系バイオマスから余分な水分を脱水しバイオマスを軟化させ、ヘミセルロースを140℃以上で熱分解し、セルロースのOH基がはずれて一部のセルロースが変性した状態になったものをI炭という。木質バイオマスをI炭の状態で止めることは可能である。
【0019】
I炭の状態から木質バイオマスの温度を上げていきセルロースの熱分解が240℃~250℃の範囲で起きて急激に質量の減少が生じたものをII炭という。
II炭から更に温度を上げることで、リグニンが350℃以上で熱分解して火炎燃焼が生じたものをIII炭の状態という。
なお、II炭、III炭の状態では、半炭化から炭化への進行を止めることが困難な場合がある。
【0020】
前記半炭化工程(1)においてリグノセルロース系バイオマスが半炭化されているか否かはTG-DTA試験(TG-DTA試験とは、試料及び基準物質の温度をプログラムに従って変化させながら、試料の重量変化測定、及び試料と基準物質の温度差を測定する示差熱測定を同時に行うもの。)で証明することができる。
【0021】
TG-DTA試験で分析すると、I炭は、セルロース、ヘミセルロース成分がほぼ50質量%、リグニン成分がほぼ40質量%となる。リグノセルロース系バイオマスがI炭になることで、セルロースはOH基がはずれ、変性したセルロースに変っているが、エネルギー的ロスはほとんど生じていない。また、I炭において、ヘミセルロースは、水分の揮発とともに揮発分が放出されているので変化しているが、質量的には大きくロスはしていない。また、I炭において、リグニンは、ほとんど影響を受けていない。
【0022】
前記半炭化工程(1)においては、出発原料となるリグノセルロース系バイオマスに比して、前記半炭化されたリグノセルロース系バイオマスは、質量は減少するものの、エネルギー収率はほとんど変わらずに単位あたりの熱量が増え、合計の発熱量が増大する。したがって、前記半炭化工程(1)は、前記I炭を得る工程であるのが好ましい。
【0023】
前記半炭化工程(I)は、205~230℃の範囲の水蒸気による加圧水熱処理であることが好ましく、210~230℃の範囲の水蒸気で加圧水熱処理する工程であるのがより好ましい。前記温度で加圧水熱処理することにより、「燃焼に寄与しない水分の除去」を効率的に行うことができ、短時間で半炭化することができる。
【0024】
前記加圧水熱処理する方法として、具体的には、耐圧反応容器に、前記リグノセルロース系バイオマスを入れ密閉した状態で、耐圧反応容器を加熱し、水蒸気が液化しない圧力になるまで所定の温度に加圧加温された水蒸気を耐圧反応容器中に吹き込み、前記バイオマスを処理する方法が挙げられる。この方法は、水蒸気で加圧加熱処理するので、反応温度で圧力が決まる。前記方法において、205~230℃の前記水蒸気で加圧水熱処理した場合、前記加圧水熱状態の圧力は、1.8MPa~3.0MPaの範囲であることが好ましい。
【0025】
前記加圧水熱処理工程において、前記リグノセルロース系バイオマスを撹拌しながら加圧加熱処理を行うのが好ましい。
前記撹拌する方法として、具体的には、耐圧反応容器内に取り付けられたパドル付きのシャフトを回転させて前記リグノセルロース系バイオマスを撹拌しながら処理を行う方法等が挙げられる。
【0026】
前記リグノセルロース系バイオマスである木質系バイオマスの加圧水熱処理方法として、より具体的には、予めチップ状に粗粉砕された木質系バイオマスを、パドル付きシャフトが供えられた容量が3~7mの耐圧容器に入れ、212℃の水蒸気を前記耐容器内に注入することによって、容器内を2MPaかつ212℃にしていく。前記耐圧容器の圧力、温度を維持して前記パドルを回転させて、20~60分間加熱加圧処理をする。その後、耐圧容器の圧力を徐々に下げて、大気圧になったら耐圧容器の取り出し口から取り出すと、チップ状で入れた木質系バイオマスが細粒体となった、半炭化された木質系バイオマス片が得られる。
【0027】
工程(2)は、前記半炭化したリグノセルロース系バイオマスを水で洗浄する工程である。前記水で洗浄する工程として、具体的には、前記半炭化したリグノセルロース系バイオマスを水に接触させる工程等が挙げられる。
【0028】
前記水と接触させる工程は、前記半炭化されたリグノセルロース系バイオマスを水に浸漬させ、一定時間静置した後、水をデカント又は濾過して取り除く工程、又は、前記半炭化されたリグノセルロース系バイオマスを水中で一定時間撹拌した後、水をデカント又は濾過して取り除く工程、又は、前記半炭化されたリグノセルロース系バイオマスを水に浸漬させて、一定時間超音波を照射した後、水をデカント又は濾過して取り除く工程、又は、カラム管に前記半炭化したリグノセルロース系バイオマスを充填して、連続的に前記カラム管に通水する工程等が挙げられる。
これらの工程は、1種単独で、又は2種以上を組合せて行うことができる。また、これらの工程を複数回繰り返して行うこともできる。水に硫酸等の酸を添加して、酸洗処理とすることもできる。
【0029】
前記工程(2)は、室温でも、室温よりも高い温度まで加温して行うこともできる。
前記半炭化したリグノセルロース系バイオマスは、所定の粒径に破砕処理後に、水洗することが好ましい。粒径(最大長さ)が小さいほど洗浄効果が向上するため、粒径は10mm以下とすることが好ましい。
【0030】
前記バイオマス発電の燃料用バイオマス片の形状は特に限定されず、粒状であっても、粉体であってもよい。前記燃料用バイオマス片としての取扱い性、燃焼制御性、野積みする際の保存安定性を考慮すると、前記工程(2)で得られた前記バイオマス片を適宜圧縮・成形してペレットとするのが好ましい。圧縮・成形を行う装置としては、特に限定されないが、押出成型機を用いることができる。
【0031】
前記バイオマス発電の燃料用バイオマス片のナトリウムイオン、及びカリウムイオイン濃度は、2000ppm以下であるのが好ましい。前記金属含有量の測定は、JIS Z 7032-5に記載された方法に準じて測定することができる。
【実施例0032】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。
【実施例0033】
内容物を撹拌できる耐圧容器に粉砕したゴムの原木のチップAを入れ、密閉した後に、撹拌しながら200℃の加圧加熱水蒸気を内圧が2MPaになるまで吹き込み、同温度同圧力下で加圧水熱処理を行った。その後、常温常圧に戻し、得られた半炭化した木質片Bを水中で撹拌し、ろ過して水を取り除き、乾燥して本発明のバイオマス発電の燃料用半炭化木質片Cを得た。
【0034】
得られたバイオマス発電の燃料用木質片B及び前記チップAについて、JISZ-7032-5に記載された方法に準じて金属含有量の測定を行った。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
表1より、原木チップを半炭化することにより高位発熱量が上がり、半炭化後に水洗することによりナトリウムイオンおよびカリウムイオンの含有量を低減できることが分かった。
【実施例0037】
実施例1で得られた木質片Cをダイスと呼ばれる金型の円筒形の小さな孔に圧入することにより、ペレットを作製した。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の製造方法は、バイオマス発電の燃料用バイオマスの供給に有用である。