(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012170
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】改装建具
(51)【国際特許分類】
E06B 1/56 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
E06B1/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114801
(22)【出願日】2023-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞岩 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】松田 絢佳
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA03
2E011KA04
2E011KA06
2E011KB03
2E011KC03
2E011KD14
2E011KD26
2E011KD28
2E011KH01
(57)【要約】
【課題】改装建具の新設下枠を建物の載置部に固定する際の手間を削減して、新設下枠の施工性を向上させる。
【解決手段】改装建具1は、建物10の載置部13の上側に配置されて、既設下枠32を覆う新設下枠5を備えている。新設下枠5は、載置部13の上側に配置されて、固定具により載置部13に固定される固定部5Eを一体に有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の載置部の上側に配置されて既設下枠を覆う新設下枠を備えた改装建具であって、
前記新設下枠は、前記載置部の上側に配置されて固定具により前記載置部に固定される固定部を一体に有する改装建具。
【請求項2】
請求項1に記載された改装建具において、
取付ネジにより前記新設下枠に取り付けられる新設縦枠を備え、
前記新設下枠は、前記取付ネジが取り付けられるビスホール部を有し、
前記固定部は、前記ビスホール部に連続して形成された改装建具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された改装建具において、
前記載置部と前記固定部の間に配置されて前記固定部を受けるスペーサを備え、
前記新設下枠は、前記スペーサと当接して前記載置部と前記固定部の間に向かって前記スペーサをガイドするガイド面を有する改装建具。
【請求項4】
請求項3に記載された改装建具において、
前記新設下枠は、前記スペーサと当接して前記ガイド面及び前記載置部と前記固定部の間に向かって前記スペーサをガイドするガイド部を有する改装建具。
【請求項5】
請求項4に記載された改装建具において、
前記ガイド部の下面は、前記固定部の下面と面一となる位置に配置される改装建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の載置部の上側に配置される新設下枠を備えた改装建具に関する。
【背景技術】
【0002】
建具を改装するときには、既設建具の既設下枠を残して、改装用の新設下枠を設置する。その際、新設下枠を支持するため、新設下枠を建物の載置部にスペーサ等を介して載置することが行われている。また、このような改装建具として、従来、下枠アタッチメントとネジを用いて、新設下枠である新設枠の下枠を建物の載置部である土間に固定する改装建具が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された従来の改装建具では、下枠アタッチメントが新設枠の下枠の下側部に取り付けられて、下枠アタッチメントの平面に形成された下面と土間の間にスペーサが配置される。また、ネジが下枠アタッチメント及びスペーサを貫通して土間に取り付けられて、ネジ及び下枠アタッチメントにより、新設枠の下枠が土間に固定される。このように、従来の改装建具では、新設枠の下枠を土間に固定する際に、新設枠の下枠と下枠アタッチメントを組み立てる必要があり、新設枠の下枠を土間に固定するために手間が掛かる。そのため、新設枠の下枠の施工性を向上させる観点から、改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、改装建具の新設下枠を建物の載置部に固定する際の手間を削減して、新設下枠の施工性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
建物の載置部の上側に配置されて既設下枠を覆う新設下枠を備えた改装建具であって、
前記新設下枠は、前記載置部の上側に配置されて固定具により前記載置部に固定される固定部を一体に有する改装建具である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、改装建具の新設下枠を建物の載置部に固定する際の手間を削減して、新設下枠の施工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態の改装建具を示す正面図である。
【
図2】第1実施形態の改装建具を示す横断面図である。
【
図3】第1実施形態の改装建具を示す縦断面図である。
【
図4】第1実施形態の改装建具の既設下枠及び新設下枠を含む部分を示す縦断面図である。
【
図5】第2実施形態の改装建具の既設下枠及び新設下枠を含む部分を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の改装建具の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の改装建具は、既設建具が改装用の新設建具により改装された建具であり、既設枠の既設下枠と新設枠の新設下枠を備えている。以下、改装建具が改装ドアである場合を例にとり、枠改建具の2つの実施形態について説明する。従って、既設建具は、既設ドアであり、新設建具は、新設ドアである。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の改装建具1を示す正面図であり、建物10に設置された改装建具1を室外側からみて示している。
図示のように、改装建具1は、建物10の勝手口に設置される勝手口ドアであり、建物10の室内(屋内)と室外(屋外)の間に配置される。また、改装建具1は、片開きドアであり、建物10の開口部11に設置される。
【0011】
なお、建物10に設置した改装建具1を正面からみたときに、上下となる方向が上下方向Rであり、左右となる方向が左右方向Sである。
図1では、上下方向Rは鉛直方向であり、左右方向Sは水平方向である。室内外方向は、建物10に設置した改装建具1における室内外方向(屋内外方向)である。また、室内外方向は、建物10に設置した改装建具1を正面からみたときに、前後となる方向(奥行方向)であり、
図1では、左右方向Sに直交する水平方向である。このように、改装建具1に関する方向は、建物10に設置した状態での方向で特定する。また、改装建具1に関して室内側、室外側とは、建物10に設置した状態での室内側、室外側である。
【0012】
改装建具1は、既設建具の既設枠(
図1では図示せず)と、既設建具の改装に用いられる新設建具2を備えている。新設建具2は、既設枠を改装する新設枠3と、扉体20を有している。扉体20は、開閉可能なパネル体であり、複数の丁番21、22により、新設枠3に開閉可能に連結されている。扉体20は、新設枠3の内側に配置され、室外側と新設枠3側とに回動して開閉する。開閉時に、扉体20は、新設枠3の内側の閉位置から室外側の開位置に向かって回動して開き、開位置から新設枠3側の閉位置に向かって回動して閉じる。
【0013】
新設枠3は、方形状の開口枠(新設ドア枠)であり、互いに組み合わされた新設上枠4、新設下枠5、及び、一対の新設縦枠6、7を有している。新設上枠4、新設下枠5、及び、新設縦枠6、7は、新設枠3を構成する新設枠構成材であり、それぞれ押出成形により形成された金属製(例えば、アルミニウム合金製)の形材からなる。新設上枠4と新設下枠5は、新設枠3の上部と下部に位置する上下の新設横枠であり、横方向(左右方向S)に延びる。新設縦枠6、7は、新設枠3の左右の側部に位置して、縦方向(上下方向R)に延びる。新設上枠4、新設下枠5、及び、左右の新設縦枠6、7の端部同士が接続されて、新設上枠4、新設下枠5、及び、新設縦枠6、7が枠組みされている。
【0014】
扉体20は、戸先側に位置する戸先部23と、吊元側に位置する吊元部24を有している。戸先部23は、扉体20の戸先側の端部を含む戸先側の部分であり、吊元部24は、扉体20の吊元側の端部を含む吊元側の部分である。扉体20が閉じた状態で、新設枠3の新設縦枠6、7のうち、一方の新設縦枠6は、扉体20の戸先部23側に位置し、他方の新設縦枠7は、扉体20の吊元部24側に位置している。扉体20の戸先部23は、戸先部23側の新設縦枠6に沿って配置され、扉体20の吊元部24は、吊元部24側の新設縦枠7に沿って配置される。丁番21、22は、互いに上下方向Rに離隔して、扉体20の吊元部24と吊元部24側の新設縦枠7に取り付けられ、扉体20の吊元部24を吊元部24側の新設縦枠7に連結している。
【0015】
図2は、第1実施形態の改装建具1を示す横断面図であり、左右方向Sと室内外方向Tを含む面で切断した改装建具1と建物10の一部を示している。
図3は、第1実施形態の改装建具1を示す縦断面図であり、上下方向Rと室内外方向Tを含む面で切断した改装建具1と建物10の一部を示している。
図2、
図3では、扉体20を二点鎖線で示している。
図示のように、既設建具の既設枠30は、建物10に取り付けられて、建物10の開口部11に設けられている。新設建具2の設置前(施工前)に、既設枠30を残して、既設建具の扉体を既設枠30から取り外す。既設枠30が建物10の開口部11に残存する状態で、新設建具2は、既設枠30の内側に配置されて、建物10の開口部11に新たに設置される。新設枠3は、既設枠30の内側に配置されて、既設枠30に連結され、既設枠30の少なくとも一部を覆う。
【0016】
既設枠30は、方形状の開口枠(既設ドア枠)であり、互いに組み合わされた既設上枠31、既設下枠32、及び、一対の既設縦枠33、34を有している。既設上枠31、既設下枠32、及び、既設縦枠33、34は、既設枠30を構成する既設枠構成材であり、それぞれ押出成形により形成された金属製(例えば、アルミニウム合金製)の形材からなる。既設上枠31と既設下枠32は、既設枠30の上部と下部に位置する上下の既設横枠であり、横方向(左右方向S)に延びる。既設縦枠33、34は、既設枠30の左右の側部に位置して、縦方向(上下方向R)に延びる。既設上枠31、既設下枠32、及び、左右の既設縦枠33、34の端部同士が接続されて、既設上枠31、既設下枠32、及び、既設縦枠33、34が枠組みされている。
【0017】
既設上枠31、既設下枠32、及び、既設縦枠33、34は、それぞれ建物10に取り付けられて、建物10の開口部11に設けられている。新設上枠4、新設下枠5、新設縦枠6、7は、それぞれ既設上枠31、既設下枠32、既設縦枠33、34に対して既設枠30の内側に設けられて、既設上枠31、既設下枠32、既設縦枠33、34に沿って配置され、既設上枠31、既設下枠32、既設縦枠33、34の少なくとも一部(一部、又は、全体)を覆う。このように、改装建具1は、建物10の開口部11に設けられた既設上枠31、既設下枠32、及び、既設縦枠33、34を備えるとともに、既設上枠31を覆う新設上枠4、既設下枠32を覆う新設下枠5、及び、既設縦枠33、34を覆う新設縦枠6、7を備えている。
【0018】
新設縦枠6、7は、それぞれ取付ネジ(図示せず)により、新設下枠5に取り付けられている。取付ネジは、ビス(取付ビス)であり、新設縦枠6、7の下端部を新設下枠5の端部に取り付けている。新設縦枠6、7の下端部は、新設縦枠6、7の長手方向(上下方向R)における下側の端部であり、新設下枠5の端部は、新設下枠5の長手方向(左右方向S)における両側の端部である。新設縦枠6、7の下端部は、新設下枠5に対して、新設下枠5の長手方向における外側に配置されて、新設下枠5の端部に接続している。
【0019】
図4は、第1実施形態の改装建具1の既設下枠32及び新設下枠5を含む部分を示す縦断面図であり、
図3の一部を拡大して、改装建具1の下枠改装構造を示している。
図示のように、既設下枠32は、建物10の土間12の上に配置されて、土間12に設置されている。土間12は、コンクリート製の床体(土間コンクリート)であり、既設下枠32及び新設下枠5の下側に位置している。既設下枠32は、上下方向Rにおいて、土間12と新設下枠5の間に位置している。土間12は、既設下枠32よりも室内側の位置から既設下枠32の設置位置を経て既設下枠32よりも室外側の位置まで設けられている。
【0020】
新設下枠5は、扉体20の下側及び室内側に位置し、建物10の載置部13と扉体20の間に配置されている。ここでは、載置部13は、建物10の土間12であり、改装建具1の設置箇所に設けられて、既設下枠32の室外側に位置している。新設下枠5は、既設下枠32の室外側で、載置部13(土間12)の上側に配置されて、載置部13を覆う。また、新設下枠5は、載置部13の室内側で、既設下枠32の上側に配置されて、既設下枠32を覆う。
【0021】
新設下枠5は、中空状の室内側部5Aと板状の室外側部5Bを一体に有し、固定具である固定ネジ40、41により、建物10の土間12と載置部13に固定されている。また、新設下枠5は、室外側部5Bに設けられた見込み部5C、ビスホール部5D、固定部5E、ガイド面5F、及び、ガイド部5Gを一体に有している。室内側部5Aは、新設下枠5の室内側の端部を含む室内側の部分であり、室外側部5Bは、新設下枠5の室外側の端部を含む室外側の部分である。新設下枠5の室内側部5A、室外側部5B、及び、室外側部5Bの各部5C~5Gは、一体に形成されて、それぞれ新設下枠5の一部を構成している。
【0022】
新設下枠5の室内側部5Aは、建物10の土間12に固定される新設下枠5の土間固定部であり、既設下枠32に載置されて、扉体20の室内側に配置されている。固定ネジ40は、上側から下側に向かって室内側部5A及び既設下枠32を貫通して、土間12に取り付けられている。室内側部5A及び新設下枠5は、載置部13及び室外側部5Bの室内側で、固定ネジ40により、土間12に固定されて、土間12に保持されている。新設下枠5は、既設下枠32の上側に配置された室内側部5A及び室外側部5Bの見込み部5C(室内側の部分)により、既設下枠32を上側において覆う。
【0023】
新設下枠5の室外側部5Bは、建物10の載置部13に固定される新設下枠5の載置部固定部であり、室内側部5Aの室外側に位置している。室外側部5B及び新設下枠5は、既設下枠32の室外側で、固定ネジ41により、載置部13に固定されて、載置部13に保持されている。見込み部5Cは、新設下枠5の板状の上面部であり、新設下枠5の見込み方向(室内外方向T)に沿って配置されている。見込み部5C及び室外側部5Bは、室内側部5Aから室外側に突出して、室内側部5Aと新設下枠5の室外側の端部の間に設けられ、扉体20の下側、及び、載置部13と扉体20の間に配置されている。
【0024】
見込み部5C、室外側部5B、及び、新設下枠5は、建物10の開口部11において既設下枠32を覆う位置から既設下枠32よりも室外側の位置まで配置されて、既設下枠32に対して室外側に張り出している。室外側部5B、室外側部5Bの各部5C~5G、及び、新設下枠5は、建物10の載置部13から上側に離隔して、載置部13の上側に配置され、上下方向Rにおいて、載置部13と対向して配置されている。新設下枠5は、既設下枠32の室外側で、見込み部5C及び室外側部5Bにより、載置部13を上側において覆う。室外側部5Bの見込み部5Cと載置部13は、上下方向Rにおいて、互いの間に空所を形成した状態で相対する。
【0025】
新設下枠5のビスホール部5D、固定部5E、ガイド面5F、及び、ガイド部5Gは、見込み部5Cの下側に位置して、建物10の載置部13と見込み部5Cの間に配置されている。また、ガイド部5Gは、新設下枠5の室外側の端部に位置している。ビスホール部5D、固定部5E、及び、ガイド面5Fは、新設下枠5の室外側の端部(ガイド部5G)よりも室内側、かつ、室内外方向Tにおける見込み部5Cの中間部に位置し、新設下枠5の室外側の端部と既設下枠32の間に設けられている。
【0026】
新設下枠5のビスホール部5Dは、ビスホール5Hを有し、見込み部5Cに接続して、見込み部5Cから下側に突出している。ビスホール部5D及びビスホール5Hは、新設下枠5の両側の端部の間で、新設下枠5の長手方向に延びる。新設下枠5の両側の端部のそれぞれで、新設縦枠6、7の取付用の取付ネジは、ビスホール部5Dに形成されたビスホール5Hに挿入されて、ビスホール5H及びビスホール部5Dに取り付けられている。取付ネジにより、新設縦枠6、7は、ビスホール部5D及び新設下枠5の端部に取り付けられている。
【0027】
新設下枠5の固定部5Eは、建物10の載置部13に支持される突片(固定片)であり、載置部13の上側に配置されて、固定ネジ41により載置部13に固定されている。また、固定部5Eは、ビスホール部5Dに接続して、ビスホール部5Dから室内側に向かって突出し、新設下枠5の見込み方向(室内外方向T)に沿って配置されている。固定部5Eは、ビスホール部5Dに連続して形成されて、ビスホール部5D及び見込み部5Cよりも下側に位置している。固定部5E及び新設下枠5は、載置部13に直接又は間接に載置されて、載置部13により直接又は間接に支持されている。載置部13は、固定部5E及び新設下枠5を支持する支持部であり、固定部5E及び新設下枠5の下側に位置して、固定部5E及び新設下枠5を直接又は間接に受ける。
【0028】
改装建具1は、建物10の載置部13と新設下枠5の固定部5Eの間に配置されたスペーサ50を備えている。スペーサ50は、固定部5Eを受ける受け材であり、固定部5Eは、スペーサ50に載置されている。既設下枠32の室外側で、スペーサ50は、載置部13に載置されて、載置部13の上側及び固定部5Eの下側に位置し、載置部13と固定部5Eの間に挟まれる。そのため、固定部5E及び新設下枠5は、スペーサ50を介して、載置部13に間接に載置されて、載置部13により間接に支持されている。載置部13は、スペーサ50を介して、固定部5E及び新設下枠5を間接に受ける。
【0029】
固定ネジ41は、既設下枠32及び固定ネジ40よりも室外側の位置で、新設下枠5の上側から、見込み部5Cに形成された通過孔5Iを通過して、固定部5Eに形成された挿通孔5Jを挿通し、スペーサ50を貫通して、載置部13に捻じ込まれている。これにより、固定ネジ41は、固定部5Eの上側から固定部5E及びスペーサ50を貫通して、載置部13に取り付けられる。
【0030】
固定部5E及び新設下枠5は、既設下枠32に対して室内外方向Tにずれた位置(室内外方向Tにおける既設下枠32のない位置)で、固定ネジ41により載置部13に固定される。固定ネジ41の頭部は、見込み部5Cの下側に配置される。見込み部5Cに形成された通過孔5Iにはキャップ42が嵌められて、通過孔5Iがキャップ42により塞がれている。
【0031】
スペーサ50は、新設下枠5の室外側から建物10の載置部13と新設下枠5の固定部5Eの間に向かって移動して、載置部13と固定部5Eの間に挿入される。その際、新設下枠5のガイド面5Fは、スペーサ50と当接して、載置部13と固定部5Eの間に向かってスペーサ50をガイドする。ガイド面5Fは、固定部5Eにおける室外側の部分(固定部5Eのビスホール部5Dに接続する部分(角部))に設けられて、ビスホール部5Dの下側に位置している。ガイド面5Fは、水平面に対して傾斜する傾斜面であり、室外側から室内側に向かって斜め下方に傾斜する。
【0032】
新設下枠5のガイド面5Fは、水平面に対し、固定部5Eの室外側から載置部13と固定部5Eの間に向かって斜め下方に傾斜して、室外側及び下側に向けて配置されている。スペーサ50を載置部13と固定部5Eの間の箇所に室外側から挿入する際に、スペーサ50は、載置部13と固定部5Eの間に向かって室内側に移動して、ガイド面5Fに室外側から当接する。スペーサ50は、ガイド面5Fに沿って下側に変位し、ガイド面5Fにより載置部13と固定部5Eの間の箇所に向かってガイドされて、載置部13と固定部5Eの間に挿入される。また、スペーサ50は、室内側に向かって移動して、載置部13と固定部5Eの間に配置されるとともに、ガイド部5Gの室内側の位置に配置される。
【0033】
新設下枠5のガイド部5Gは、見込み部5Cに接続して、見込み部5Cから下側に突出している。建物10の載置部13と見込み部5Cの間で、ガイド部5Gは、ビスホール部5D、固定部5E、及び、ガイド面5Fよりも室外側に位置して、ビスホール部5D、固定部5E、及び、ガイド面5Fから室外側に離隔している。ガイド部5Gとガイド面5Fは、室内外方向Tに離隔した状態で、室内外方向Tにおいて相対し、ガイド面5Fは、室外側のガイド部5Gに向けて配置されている。
【0034】
スペーサ50は、新設下枠5の室外側から載置部13とガイド部5Gの間の箇所を経て載置部13と固定部5Eの間に向かって室内側に移動して、載置部13と固定部5Eの間に挿入される。その際、新設下枠5のガイド部5Gは、スペーサ50と当接して、ガイド面5F及び載置部13と固定部5Eの間に向かってスペーサ50をガイドする。スペーサ50は、ガイド部5Gの室外側から載置部13とガイド部5Gの間に挿入されて、ガイド部5Gに下側から当接する。その状態で、スペーサ50は、ガイド部5Gにより、ガイド面5Fに向かって、かつ、載置部13と固定部5Eの間に向かってガイドされつつ、室内側に向かって移動する。また、スペーサ50は、載置部13と固定部5Eの間に向かって移動して、ガイド面5Fに当接し、載置部13と固定部5Eの間に配置される。
【0035】
ガイド部5Gの下面は、固定部5Eの下面と面一となる位置に配置されている。ガイド部5Gの下面と固定部5Eの下面は、それぞれ平面であり、建物10の載置部13から上側に離隔して、上下方向Rにおいて、載置部13の上面と対向する位置に配置されている。また、ガイド部5Gの下面と固定部5Eの下面は、室内外方向Tに離隔した状態で、同一の平面上に位置している。ここでは、ガイド部5Gの下面と固定部5Eの下面は、上下方向Rにおける位置を一致させて、同一の水平面上に位置している。スペーサ50は、載置部13の上面とガイド部5Gの下面の間、及び、載置部13の上面と固定部5Eの下面の間に挿入されて、載置部13の上面と固定部5Eの下面の間に配置されている。
【0036】
建物10の載置部13と新設下枠5のガイド部5Gの間には、シール材43が設けられている。シール材43は、不定形のシーリング材からなり、スペーサ50により受けられて、スペーサ50の室外側に充填されている。新設下枠5の室外側の端部で、載置部13とガイド部5Gの間の箇所がシール材43により塞がれる。載置部13と新設下枠5の間の箇所及びスペーサ50は、室外側において、シール材43により遮蔽されている。
【0037】
以上説明した改装建具1では、新設下枠5に一体に設けられた固定部5Eを建物10の載置部13に固定する。そのため、新設下枠5を載置部13に固定する際の手間を削減して、新設下枠5の施工性を向上させることができる。また、固定部5E及び新設下枠5を載置部13により支持することで、新設下枠5の強度を確保して、新設下枠5の変形を抑制することができる。新設下枠5の長手方向に直交する断面における新設下枠5の断面積が大きくなるのを抑制することもできる。
【0038】
新設縦枠6、7から新設下枠5に加えられる荷重は、新設縦枠6、7の取付用の取付ネジ、新設下枠5のビスホール部5D、及び、ビスホール部5Dに連続する固定部5Eを介して、建物10の載置部13により受けられる。そのため、新設縦枠6、7を取付ネジ及び新設下枠5を介して載置部13により安定して支持することができる。
【0039】
スペーサ50を建物10の載置部13と新設下枠5の固定部5Eの間に配置するときに、新設下枠5のガイド面5Fにより、スペーサ50を載置部13と固定部5Eの間に円滑に配置することができる。また、新設下枠5のガイド部5Gにより、スペーサ50をガイド面5F及び載置部13と固定部5Eの間に向かって円滑に移動させることができる。ガイド部5Gの下面と固定部5Eの下面を面一となる位置に配置することで、スペーサ50をガイド部5Gの下面に沿って固定部5Eの下面に向かって円滑に移動させて、スペーサ50を載置部13と固定部5Eの間に容易に配置することができる。
【0040】
なお、建物10の載置部13は、土間12に限定されず、土間12以外の建物10の載置部(例えば、建物10の土間12以外の部分、土間12等に固定された固定材)であってもよい。また、固定部5E及び新設下枠5は、建物10の載置部13に直接に載置して、載置部13により直接に支持してもよい。本発明は、改装ドア以外の種々の改装建具(例えば、改装窓)に適用することができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の改装建具1について説明する。第2実施形態の改装建具1では、第1実施形態の改装建具1と同じ事項の説明は省略し、第1実施形態の改装建具1と相違する事項について主に説明する。また、第2実施形態の改装建具1に関し、第1実施形態の改装建具1の構成に相当する構成には、第1実施形態の改装建具1の構成と同じ名称及び符合を用いる。
【0042】
図5は、第2実施形態の改装建具1の既設下枠32及び新設下枠5を含む部分を示す縦断面図であり、
図4と同様に、改装建具1と建物10の一部を示している。
図示のように、ここでは、建物10の載置部13は、建物10の土間12に固定された固定材60である。固定材60は、L字形状のアングル(L型アングル)であり、新設下枠5の長手方向に直交する断面における固定材60の断面形状は、L字形状に形成されている。
【0043】
固定材60は、既設下枠32の室外側及び新設下枠5の下側に配置されて、固定具である固定ネジ61により、建物10の土間12に固定されている。固定ネジ61は、室外側から室内側に向かって固定材60及び既設下枠32を貫通して、土間12に捻じ込まれて、土間12に取り付けられている。固定材60は、新設下枠5の下側で、固定ネジ61により、土間12に固定されて、土間12に保持されている。新設下枠5は、室外側部5B及び見込み部5Cにより、固定材60を上側において覆う。
【0044】
建物10の載置部13(固定材60)は、土間12及び既設下枠32から室外側に向かって突出する。固定部5E及び新設下枠5は、載置部13に上側から当接し、載置部13に直接に載置されて、載置部13により直接に支持されている。載置部13は、固定部5E及び新設下枠5を直接に受ける。固定ネジ41は、固定部5Eに形成された挿通孔5Jを挿通して、載置部13に形成されたネジ孔14に取り付けられている。これにより、固定ネジ41が載置部13に取り付けられて、固定ネジ41により、固定部5Eが載置部13に固定される。
【0045】
改装建具1は、載置部13の室外側に配置されたカバー44を備えている。カバー44は、ネジ45により、新設下枠5に取り付けられて、新設下枠5から下側に向かって突出している。ここでは、カバー44は、新設下枠5の室外側の端部に取り付けられて、新設下枠5から下方の土間12まで配置されている。新設下枠5の室外側の端部で、土間12と新設下枠5の間の箇所がカバー44により塞がれる。土間12と新設下枠5の間の箇所及び載置部13(固定材60)は、室外側において、カバー44により遮蔽されている。
【0046】
第2実施形態の改装建具1では、スペーサ50を使用せずに、新設下枠5の固定部5Eを建物10の載置部13に簡単に固定することができる。また、上下方向Rにおける建物10の土間12と新設下枠5の間の距離があるときでも、固定材60を載置部13にすることで、新設下枠5を容易に設置することができる。このように、固定部5Eは、建物10に設けられた種々の載置部に固定することができる。
【0047】
以上のとおり、本実施形態では、以下の(1)~(5)に記載された改装建具を開示している。
【0048】
(1) 建物の載置部の上側に配置されて既設下枠を覆う新設下枠を備えた改装建具であって、
前記新設下枠は、前記載置部の上側に配置されて固定具により前記載置部に固定される固定部を一体に有する改装建具。
(1)に記載された改装建具では、改装建具の新設下枠を建物の載置部に固定する際の手間を削減して、新設下枠の施工性を向上させることができる。
【0049】
(2) (1)に記載された改装建具において、
取付ネジにより前記新設下枠に取り付けられる新設縦枠を備え、
前記新設下枠は、前記取付ネジが取り付けられるビスホール部を有し、
前記固定部は、前記ビスホール部に連続して形成された改装建具。
(2)に記載された改装建具では、新設縦枠を取付ネジ及び新設下枠を介して建物の載置部により安定して支持することができる。
【0050】
(3) (1)又は(2)に記載された改装建具において、
前記載置部と前記固定部の間に配置されて前記固定部を受けるスペーサを備え、
前記新設下枠は、前記スペーサと当接して前記載置部と前記固定部の間に向かって前記スペーサをガイドするガイド面を有する改装建具。
(3)に記載された改装建具では、スペーサを建物の載置部と新設下枠の固定部の間に配置するときに、新設下枠のガイド面により、スペーサを載置部と固定部の間に円滑に配置することができる。
【0051】
(4) (3)に記載された改装建具において、
前記新設下枠は、前記スペーサと当接して前記ガイド面及び前記載置部と前記固定部の間に向かって前記スペーサをガイドするガイド部を有する改装建具。
(4)に記載された改装建具では、スペーサを建物の載置部と新設下枠の固定部の間に配置するときに、新設下枠のガイド部により、スペーサをガイド面及び載置部と固定部の間に向かって円滑に移動させることができる。
【0052】
(5) (4)に記載された改装建具において、
前記ガイド部の下面は、前記固定部の下面と面一となる位置に配置される改装建具。
(5)に記載された改装建具では、スペーサをガイド部の下面に沿って固定部の下面に向かって円滑に移動させて、スペーサを載置部と固定部の間に容易に配置することができる。
【符号の説明】
【0053】
1・・・改装建具、2・・・新設建具、3・・・新設枠、4・・・新設上枠、5・・・新設下枠、5A・・・室内側部、5B・・・室外側部、5C・・・見込み部、5D・・・ビスホール部、5E・・・固定部、5F・・・ガイド面、5G・・・ガイド部、5H・・・ビスホール、5I・・・通過孔、5J・・・挿通孔、6・・・新設縦枠、7・・・新設縦枠、10・・・建物、11・・・開口部、12・・・土間、13・・・載置部、14・・・ネジ孔、20・・・扉体、21・・・丁番、22・・・丁番、23・・・戸先部、24・・・吊元部、30・・・既設枠、31・・・既設上枠、32・・・既設下枠、33・・・既設縦枠、34・・・既設縦枠、40・・・固定ネジ、41・・・固定ネジ、42・・・キャップ、43・・・シール材、44・・・カバー、45・・・ネジ、50・・・スペーサ、60・・・固定材、61・・・固定ネジ、R・・・上下方向、S・・・左右方向、T・・・室内外方向。