(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012176
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】入力装置および回転入力検出装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/03 20060101AFI20250117BHJP
H01H 19/00 20060101ALI20250117BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20250117BHJP
G06F 3/0362 20130101ALI20250117BHJP
【FI】
G06F3/03 400Z
H01H19/00 Y
G06F3/044
G06F3/0362 461
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114818
(22)【出願日】2023-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】伊東 真理子
(72)【発明者】
【氏名】西條 勝也
【テーマコード(参考)】
5B087
5G219
【Fターム(参考)】
5B087AA09
5B087BC13
5G219FU17
5G219HT02
5G219HU01
5G219KS07
5G219KY02
5G219MS11
(57)【要約】
【課題】適度な操作感を得られるとともに、安定した検知を行うことができる入力装置および回転入力検出装置を提供すること。
【解決手段】入力装置は、誘電体からなる部分を有し、第1の方向に沿う回転軸周りに回転操作可能な操作部材と、操作部材を回動可能に保持するケースと、誘電体からなる部分を有し、少なくとも一部がケース内に位置し、操作部材とともに回転する回転押圧体と、誘電体からなる部分を有し、少なくとも一部がケース内に位置し、回転押圧体に対して回転方向に、少なくとも一時的に摺動接触する駆動体群と、を備え、操作部材の回転に伴い、回転押圧体と駆動体群とには、位置関係が異なる第1の状態と第2の状態とが繰り返し生じ、第1の状態では第1導電経路が形成可能となり、第2の状態では第1導電経路が形成不能となり、駆動体群は、第1の状態と第2の状態との変更タイミングが互いに相違する第1の駆動体および第2の駆動体を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体からなる部分を有し、第1の方向に沿う回転軸周りに回転操作可能な操作部材と、
前記第1の方向の一方側である上側に位置する前記操作部材を回動可能に保持するケースと、
誘電体からなる部分を有し、少なくとも一部が前記ケース内に位置し、前記操作部材とともに回転する回転押圧体と、
誘電体からなる部分を有し、少なくとも一部が前記ケース内に位置し、前記回転押圧体に対して前記回転軸周りの回転方向に、少なくとも一時的に摺動接触する駆動体群と、
を備え、
前記操作部材の回転に伴い、前記回転押圧体と前記駆動体群とには、位置関係が異なる第1の状態と第2の状態とが繰り返し生じ、
前記第1の状態では、前記操作部材から前記回転押圧体および前記駆動体群を介して、前記ケースにおける前記第1の方向の他方側である下側の端部に対向配置される第1部材へと至る第1導電経路が形成可能となり、
前記第2の状態では、前記第1導電経路が形成不能となり、
前記駆動体群は、前記操作部材の回転に伴う前記第1の状態と前記第2の状態との変更タイミングが互いに相違する第1の駆動体および第2の駆動体を有すること
を特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記ケースは、前記下側の端部に、誘電体からなる下側誘電体を有し、
前記第1の状態において、前記駆動体群は前記回転押圧体および前記下側誘電体に接触し、
前記第1導電経路は、前記操作部材から前記回転押圧体および前記駆動体群を経て前記下側誘電体に至る導電経路を含む、請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記第2の状態において、前記駆動体群は前記回転押圧体と非接触となる、請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記駆動体群は弾性変形する弾性部を有し、
前記第1の状態において、前記駆動体群と前記回転押圧体との接触に基づき前記弾性部は圧縮変形し、
前記第2の状態において、前記弾性部の弾性回復により前記駆動体群は無負荷形状に復帰する、請求項3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記駆動体群は、前記操作部材の回転に伴う前記第1の状態と前記第2の状態との変更タイミングが前記第1の駆動体および前記第2の駆動体のいずれとも相違する第3の駆動体を有し、
前記操作部材が回転して、
前記第1の駆動体と前記第2の駆動体とがいずれも前記第1の状態にある第1の組み合わせから、
前記第1の駆動体と前記第3の駆動体とがいずれも前記第1の状態にある第2の組み合わせになったときに、前記操作部材は第1の向きに回転していることを示し、
前記第2の駆動体と前記第3の駆動体とがいずれも前記第1の状態にある第3の組み合わせになったときに、前記操作部材は前記第1の向きとは反対向きに回転していることを示す、
請求項2に記載の入力装置。
【請求項6】
前記ケースは、前記下側の端部に、前記駆動体群がその内部で前記第1の方向に進退可能な孔を有する底部を有し、
前記第1の状態において、
前記駆動体群の前記下側の端部は相対的に前記孔の前記下側に位置し、
前記第1導電経路は、前記操作部材から前記回転押圧体を経て前記駆動体群の前記下側の端部に至る導電経路を含み、
前記第2の状態において、前記駆動体群の前記下側の端部は相対的に前記孔の前記上側に位置する、請求項1に記載の入力装置。
【請求項7】
前記駆動体群は弾性変形する弾性部を有し、
前記第1の状態において、前記駆動体群と前記回転押圧体との接触に基づき前記弾性部は圧縮変形し、
前記第2の状態において、前記弾性部の弾性回復により前記駆動体群の前記下側の端部は前記上側に移動する、請求項6に記載の入力装置。
【請求項8】
前記回転押圧体は、前記下側に突出する突出部を周方向に複数有し、
前記操作部材が1回転する間に、前記突出部と前記駆動体群とが接触することにより、前記第1の状態が断続的に複数回発生し、
前記第1の駆動体が前記第1の状態となった後、前記第2の駆動体が前記第1の状態となったときに、前記操作部材は第1の向きに回転していることを示し、
前記第2の駆動体が前記第1の状態となった後、前記第1の駆動体が前記第1の状態となったときに、前記操作部材は前記第1の向きとは反対向きに回転していることを示す、請求項6に記載の入力装置。
【請求項9】
前記操作部材は前記ケースに対して前記第1の方向に弾性的に保持され、
前記操作部材が前記下側への外力を受けたときに、前記第1の駆動体および前記第2の駆動体の双方が前記第1の状態となる、請求項7に記載の入力装置。
【請求項10】
前記第1の方向に貫通する開口部を有する、請求項1に記載の入力装置。
【請求項11】
前記操作部材の回転に伴い、前記操作部材との当接状態が変化することによりクリック感を生成するクリック部材を前記ケース内に備える、請求項1に記載の入力装置。
【請求項12】
前記クリック部材は前記回転押圧体側へ付勢される付勢部を有する、請求項11に記載の入力装置。
【請求項13】
前記第1部材は静電容量型のタッチパネルである、請求項1に記載の入力装置。
【請求項14】
請求項13に記載の入力装置と、前記第1部材としての静電容量型のタッチパネルとを備える回転入力検出装置であって、
前記タッチパネルの表示画面に前記入力装置は付設され、
前記表示画面のうち、前記入力装置の前記第1の方向に貫通する開口部から視認可能な画面領域は、前記入力装置に関連する情報が表示される、回転入力検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置および回転入力検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、静電容量式タッチパネルで短時間に入力操作体と識別して補助入力具のノブの入力操作を検出可能な静電容量式タッチパネルの補助入力具が開示される。この補助入力具は、静電容量式タッチパネルの検出面上に移動自在に配置される絶縁性ノブと、ノブに取り付けられる入力操作電極とを備え、入力操作電極に対向する検出面の位置で静電容量が変化することから、静電容量式タッチパネルが、検出面上を移動させるノブの入力操作を検出する構成を備える。そして、この入力操作電極は、静電容量式タッチパネルにより検出可能なスリットで隔てられた第1分電極と第2分電極を有し、第1分電極と第2分電極の中心位置間の距離は、検出面にマルチタッチする2本以上の入力操作体の各中心位置間の距離より充分に短くなっている。
【0003】
特許文献2には、開口部を有する回転部と、第1領域内において光を透過する押圧部材と、第1電極体を有する回転電極部と、第2電極体を有し、回転電極部の回転によって、第2電極体が第1電極体と接離する保持電極部と、保持電極部に対向するように配置される第1検出電極部と、第1検出電極部が形成される基板部と、を備え、第1領域内において、基板部および押圧部材を介して光が透過する入力装置が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-126384号公報
【特許文献2】国際公開第2019/098055号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
入力装置においては、入力操作を行う部分とケース部分との相対的な位置関係によって入力の検知を行うことになる。入力操作においては、軽すぎず重たすぎず適度な操作感を得られることや、操作量を把握しやすいようにクリック感を得られるようになっている。また、入力装置においては、適度な操作感やクリック感とともに、入力操作に対して安定した検知を行うことが望まれる。
【0006】
本発明は、適度な操作感を得られるとともに、安定した検知を行うことができる入力装置および回転入力検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る入力装置は、誘電体からなる部分を有し、第1の方向に沿う回転軸周りに回転操作可能な操作部材と、第1の方向の一方側である上側に位置する操作部材を回動可能に保持するケースと、誘電体からなる部分を有し、少なくとも一部がケース内に位置し、操作部材とともに回転する回転押圧体と、誘電体からなる部分を有し、少なくとも一部がケース内に位置し、回転押圧体に対して回転軸周りの回転方向に、少なくとも一時的に摺動接触する駆動体群と、を備え、操作部材の回転に伴い、回転押圧体と駆動体群とには、位置関係が異なる第1の状態と第2の状態とが繰り返し生じ、第1の状態では、操作部材から回転押圧体および駆動体群を介して、ケースにおける第1の方向の他方側である下側の端部に対向配置される第1部材へと至る第1導電経路が形成可能となり、第2の状態では、第1導電経路が形成不能となり、駆動体群は、操作部材の回転に伴う第1の状態と第2の状態との変更タイミングが互いに相違する第1の駆動体および第2の駆動体を有する。
【0008】
このような構成によれば、第1の駆動体の下側の端部および第2の駆動体の下側の端部には、操作部材と接続される第1の導電経路が、操作部材の回転に伴い、互いに異なったタイミングで生成・消滅する。第1部材がこの第1の導電経路の生成・消滅を検出可能であれば、簡素な構成で操作部材の回転操作が検出される。また、第1部材との接触部は第1部材に対して摺動しないため、第1部材側で入力装置からの信号入力位置を固定することができ、入力検出が安定化する。
【0009】
上記入力装置において、ケースは、下側の端部に、誘電体からなる下側誘電体を有し、第1の状態において、駆動体群は回転押圧体および下側誘電体に接触し、第1導電経路は、操作部材から回転押圧体および駆動体群を経て下側誘電体に至る導電経路を含む構成でもよい。これにより、第1導電経路が明確となり、入力検出が安定化する。
【0010】
上記入力装置において、第2の状態において、駆動体群は回転押圧体と非接触となる構成でもよい。このように、駆動体群と回転押圧体との非接触によって第2の状態が構成されることで、第1導電経路の形成不能が明確となる。
【0011】
上記入力装置において、駆動体群は弾性変形する弾性部を有し、第1の状態において、駆動体群と回転押圧体との接触に基づき弾性部は圧縮変形し、第2の状態において、弾性部の弾性回復により駆動体群は無負荷形状に復帰する構成でもよい。これにより、弾性部の弾性変形および弾性回復を利用して駆動体群の第1の方向への移動が行われる。
【0012】
上記入力装置において、駆動体群は、操作部材の回転に伴う第1の状態と第2の状態との変更タイミングが第1の駆動体および第2の駆動体のいずれとも相違する第3の駆動体を有し、操作部材が回転して、第1の駆動体と第2の駆動体とがいずれも第1の状態にある第1の組み合わせから、第1の駆動体と第3の駆動体とがいずれも第1の状態にある第2の組み合わせになったときに、操作部材は第1の向きに回転していることを示し、第2の駆動体と第3の駆動体とがいずれも第1の状態にある第3の組み合わせになったときに、操作部材は第1の向きとは反対向きに回転していることを示す構成でもよい。これにより、操作部材の回転方向の検出が行われる。
【0013】
上記入力装置において、ケースは、下側の端部に、駆動体群がその内部で第1の方向に進退可能な孔を有する底部を有し、第1の状態において、駆動体群の下側の端部は相対的に孔の下側に位置し、第1導電経路は、操作部材から回転押圧体を経て駆動体群の下側の端部に至る導電経路を含み、第2の状態において、駆動体群の下側の端部は相対的に孔の前記上側に位置する構成でもよい。これにより、ケースの底部に設けられた孔に対して駆動体群が第1の方向に進退することで、駆動体群の下側の端部の孔に対する相対的な位置が変化して、第1の状態と第2の状態との切り替えが行われる。
【0014】
ケースに設けられた孔に対して駆動体群が進退する上記入力装置において、駆動体群は弾性変形する弾性部を有し、第1の状態において、駆動体群と回転押圧体との接触に基づき弾性部は圧縮変形し、第2の状態において、弾性部の弾性回復により駆動体群の下側の端部は上側に移動する構成でもよい。これにより、弾性部の弾性変形および弾性回復を利用して孔に対する駆動体群の第1の方向への進退動作が行われる。
【0015】
上記入力装置において、回転押圧体は、下側に突出する突出部を周方向に複数有し、操作部材が1回転する間に、突出部と駆動体群とが接触することにより、第1の状態が断続的に複数回発生し、第1の駆動体が第1の状態となった後、第2の駆動体が第1の状態となったときに、操作部材は第1の向きに回転していることを示し、第2の駆動体が第1の状態となった後、第1の駆動体が第1の状態となったときに、操作部材は第1の向きとは反対向きに回転していることを示す構成でもよい。これにより、操作部材の回転方向の検出が行われる。
【0016】
上記入力装置において、操作部材はケースに対して第1の方向に弾性的に保持され、操作部材が下側への外力を受けたときに、第1の駆動体および第2の駆動体の双方が第1の状態となる構成でもよい。このように、第1の駆動体および第2の駆動体の双方が第1の状態となることで、操作部材の下側への動作、すなわちプッシュ動作が検出される。
【0017】
上記入力装置において、第1の方向に貫通する開口部を有していてもよい。これにより、入力装置の下側の像が開口部を介して入力装置の上側で視認可能となる。
【0018】
上記入力装置において、操作部材の回転に伴い、操作部材との当接状態が変化することによりクリック感を生成するクリック部材をケース内に備える構成でもよい。これにより、操作部材の回転に伴うクリック感が操作者に伝わる。
【0019】
上記入力装置において、クリック部材は回転押圧体側へ付勢される付勢部を有していてもよい。これにより、付勢部の付勢力によってクリック感が明確に生成される。
【0020】
上記入力装置において、第1部材は静電容量型のタッチパネルであってもよい。これにより、入力装置の操作部材の回転によって第1の状態および第2の状態の切り替わりによる第1導電経路の形成および非形成がタッチパネルの静電容量の変化として検出される。
【0021】
本発明の他の一態様は、上記入力装置と、第1部材としての静電容量型のタッチパネルとを備える回転入力検出装置であって、タッチパネルの表示画面に入力装置は付設され、タッチパネルの表示画面のうち、入力装置の第1の方向に貫通する開口部から視認可能な画面領域は、入力装置に関連する情報が表示される。これにより、入力装置の操作部材の回転をタッチパネルの静電容量の変化として検出するとともに、タッチパネルの表示画面の一部の画面領域が入力装置の貫通孔から視認可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、適度な操作感を得られるとともに、安定した検知を行うことができる入力装置および回転入力検出装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1実施形態に係る入力装置を例示する外観斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る入力装置を例示する分解斜視図(その1)である。
【
図3】第1実施形態に係る入力装置を例示する平面図である。
【
図4】第1実施形態に係る入力装置を例示する分解斜視図(その2)である。
【
図5】駆動体群の構成を例示する分解斜視図である。
【
図6】第1実施形態に係る入力装置の取り付けを例示する模式断面図である。
【
図7】回転押圧体および駆動部を例示する断面図である。
【
図8】(a)から(e)は、回転押圧体と駆動体群との接触関係を説明する模式図である。
【
図9】(a)から(c)は、第1実施形態に係る入力装置の検出動作を説明する模式図である。
【
図10】クリックポジションと各駆動体によるON/OFF状態を説明する図である。
【
図11】第2実施形態に係る入力装置を例示する外観斜視図(その1)である。
【
図12】第2実施形態に係る入力装置を例示する外観斜視図(その2)である。
【
図13】第2実施形態に係る入力装置を例示する分解斜視図(その1)である。
【
図14】第2実施形態に係る入力装置を例示する分解斜視図(その2)である。
【
図15】第2実施形態に係る入力装置を例示する分解斜視図(その3)である。
【
図16】回転押圧体および駆動体群を説明する分解斜視図である。
【
図17】第2実施形態に係る入力装置に用いられる駆動体群の分解斜視図である。
【
図18】第2実施形態に係る入力装置の取り付けを例示する模式断面図である。
【
図20】第2実施形態に係る入力装置のクリックおよび検出動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る入力装置を例示する外観斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る入力装置を例示する分解斜視図(その1)である。
第1実施形態に係る入力装置1Aは、操作者による操作部材10の回転操作を検出する装置である。入力装置1Aは、第1の方向(Z1-Z2方向)に沿う回転軸Oの周りに回転操作可能な操作部材10と、操作部材10を回転可能に保持するケース20と、ケース20内に位置する回転押圧体30と、ケース20内に位置する駆動体群40と、を備える。入力装置1Aは、第1部材の例である静電容量型のタッチパネル100に載置され、操作部材10の回転操作に基づきタッチパネル100の検知領域における所定位置を駆動させることで回転検出を行う。
【0026】
ここで、以下の実施形態に係る説明において、第1の方向であるZ1-Z2方向のうち一方(Z1側)を上(上側)、他方(Z2側)を下(下側)とも言うことにする。
【0027】
入力装置1Aには第1の方向(Z1-Z2方向)に貫通する開口部10hが設けられていてもよい。開口部10hが設けられていることで、タッチパネル100の表示画面のうち、開口部10hを通過して視認可能な画面領域に所定の情報(例えば入力装置1Aに関連する情報)を表示できるようになる。
【0028】
図2に示すように、入力装置1Aにおいて、例えば円筒形の外形を有する操作部材10は、ケース20の上側および外側に被せられるように取り付けられる。操作部材10はケース20に対して回転軸Oの周りに回転摺動可能に取り付けられる。操作部材10とケース20との間にはカバー15が設けられていてもよい。カバー15はケース20に対して固定される。カバー15はケース20の上側開口を塞ぐ役目を果たすとともに、カバー15の平坦な上面15aが操作部材10の内面10aと接して操作部材10の滑らかな回転摺動を助ける役目を果たす。
【0029】
回転押圧体30は、少なくとも一部がケース20内に位置し、操作部材10とともに回転軸Oの周りに回転可能に設けられる。回転押圧体30の詳細については後述する。
【0030】
駆動体群40は、少なくとも一部がケース20内に位置し、回転押圧体30に対して回転軸Oの周りの回転方向に、少なくとも一時的に回転押圧体30と摺動接触する。駆動体群40の詳細については後述する。
【0031】
(回転押圧体および駆動体群)
図3は、第1実施形態に係る入力装置を例示する平面図である。
図4は、第1実施形態に係る入力装置を例示する分解斜視図(その2)である。
図3および
図4では、説明の便宜上、操作部材10およびカバー15を外した状態における平面図および分解斜視図が示される。
回転押圧体30は、円環部31と、円環部31の内周縁から下方に延在する内周延出部32とを有する。円環部31には円周に沿って複数の孔部311と複数の連結部312とが交互に設けられる。連結部312は回転軸Oを中心とした放射方向に延在するよう設けられる。孔部311の代わりにZ2側からZ1側に凹む凹部であってもよい。すなわち、円環部31の下面側(Z1-Z2方向Z2側)に円周方向に所定の間隔で凹凸を繰り返す形状が設けられていればよい。
【0032】
ケース20は、円環状の底部21と、底部21の外周縁から上方に延出する外周側壁部22と、底部21の内周縁から上方に延出する内周側壁部23とを有する。底部21、外周側壁部22および内周側壁部23によって上方が開口した収容部201が構成される。
【0033】
収容部201内における底部21の上には駆動体群40が配置される。駆動体群40は、底部21に設けられた立片21aに嵌め込まれる。本実施形態では、駆動体群40として、第1の駆動体40A、第2の駆動体40Bおよび第3の駆動体40Cが設けられる。ここで、第1の駆動体40A、第2の駆動体40Bおよび第3の駆動体40Cを区別せずに総称するときは駆動体群40と言うことにする。第1の駆動体40A、第2の駆動体40Bおよび第3の駆動体40Cは、底部21の上において円周に沿って120°の間隔で配置される。
【0034】
ケース20の収容部201の上には回転押圧体30が被せられるように配置される。回転押圧体30の内周延出部32には凹部32aが設けられ、この凹部32aがケース20の内周側壁部23と嵌合する。これにより、回転押圧体30の円環部31は収容部201の開口を覆うように配置される。回転押圧体30の内周延出部32に設けられた凹部32aは、ケース20の内周側壁部23に緩嵌しているため、内周側壁部23の上端面と凹部32aの底面とを摺動面として回転押圧体30が回転軸Oの周りに回転摺動できるようになる。
【0035】
図2に示すように、カバー15を備える場合には、カバー15はケース20の外周側壁部22の外周面に設けられた爪22aとカバー15に設けられた孔15hとの係合によって取り付けられる。この際、カバー15と回転押圧体30とは干渉せず、カバー15は回転押圧体30の回転摺動に影響を与えない。また、操作部材10は回転押圧体30と係合しており、操作部材10の回転操作に伴い回転押圧体30が回転摺動することになる。
【0036】
(駆動体群)
図5は、駆動体群の構成を例示する分解斜視図である。
駆動体群40は、駆動片41、ラバー42およびパッド43を有する。駆動片41、ラバー42およびパッド43は互いにZ1-Z2方向に重ね合わされる。パッド43は、
図4に示すケース20の底部21と接触する。ラバー42は弾性部の一例である。ラバー42はパッド43の上に配置され、上からの押圧力によって弾性変形する。ラバー42の上には駆動片41が設けられる。したがって、駆動片41を上から押圧することで、駆動体群40と回転押圧体30との接触に基づきラバー42が圧縮変形して駆動片41が下方へ押し下げられる。駆動片41への押圧力が解除されるとラバー42の弾性回復によって駆動片41が無負荷形状に復帰するようになる。
【0037】
駆動体群40の駆動片41への押圧力は、回転押圧体30の連結部312から与えられる。すなわち、回転押圧体30が摺動回転し、Z1-Z2方向に見て連結部312と駆動片41とが重なる位置において連結部312が駆動片41と当接し、駆動片41を下方に押圧することになる。これによって駆動片41が押し下げられるとともに、ラバー42が弾性変形する。一方、回転押圧体30が摺動回転し、Z1-Z2方向に見て連結部312と駆動片41とが重ならない位置においては、連結部312から駆動片41に押圧力が与えられず、ラバー42の弾性回復力によって駆動片41が押し上げられる。なお、弾性部はラバー42以外のもの(例えば、コイルバネ)であってもよい。
【0038】
図6は、第1実施形態に係る入力装置の取り付けを例示する模式断面図である。
入力装置1Aは、第1部材の例である静電容量型のタッチパネル100の検知領域の上に載置される。入力装置1Aは、例えば接着剤や接着テープによってタッチパネル100の上に固定されてもよい。入力装置1Aとタッチパネル100とは互いに電気的な接続はされていない。操作部材10の回転操作に基づきタッチパネル100の検知領域における所定位置を駆動させることで回転検出を行う。
【0039】
入力装置1Aは、タッチパネル100の表示画面の所定領域の上に配置されてもよい。入力装置1Aの中央に開口部10hが設けられていることで、タッチパネル100の表示画面のうち、開口部10hと重なる位置の画像は開口部10hを介して上方に通過して、入力装置1Aの上方からその画像を視認することができるようになる。
【0040】
入力装置1Aにおいて、操作部材10の回転操作に基づき静電容量型のタッチパネル100を駆動させるため、少なくとも操作部材10、回転押圧体30および駆動体群40は誘電体からなる部分を有する。
【0041】
(導電経路)
図7は、回転押圧体および駆動部を例示する断面図である。
図7には、回転押圧体30の連結部312が駆動体群40の駆動片41に当接している状態が示される。回転押圧体30の連結部312が駆動体群40の駆動片41に当接すると、連結部312から押圧力を受けた駆動片41は下方に押し下げられ、ラバー42を弾性変形させる。この状態では、操作部材10から回転押圧体30の連結部312、駆動片41、ラバー42およびパッド43を介して第1部材(例えば、タッチパネル100)に至る導電経路(第1導電経路C1)が形成される。第1導電経路C1が形成される状態は第1の状態である。
【0042】
一方、回転押圧体30の連結部312が駆動体群40の駆動片41に当接しない状態では、連結部312からの押圧力が駆動片41に与えられず、駆動片41はラバー42の弾性回復力によって上方に押し上げられる。この状態では、第1導電経路C1は形成不能となる。第1導電経路C1が形成不能となる状態は第2の状態である。
【0043】
入力装置1Aにおいては、操作部材10の回転に伴い、回転押圧体30と駆動体群40とには、位置関係が異なる第1の状態と第2の状態とが繰り返し生じ、第1の状態では第1導電経路C1が形成され、第2の状態では第1導電経路C1が形成不能となる。第1導電経路C1の形成と、第1導電経路C1の形成不能との導電経路の状態変化によって、パッド43の下方に位置するタッチパネル100の検知領域の静電容量が変化して、第1の状態と第2の状態とを検知できることになる。
【0044】
ここで、ケース20の下側の端部に誘電体からなる下側誘電体(図示せず)を設けてもよい。第1の状態において、駆動体群40は回転押圧体30と下側誘電体に接触し、これにより、操作部材10から回転押圧体30および駆動体群40を経て下側誘電体に至る第1導電経路C1が構成される。下側誘電体を設けることで、第1導電経路C1が明確となり、入力検出の安定化を図ることができる。
【0045】
また、第2の状態において、駆動体群40と回転押圧体30とが非接触となるように構成されてもよい。駆動体群40と回転押圧体30とが非接触になることで第2の状態での第1導電経路C1の形成不能が明確となり、第1導電経路C1が形成される第1の状態との切り替えの明確化による入力検出の安定化を図ることができる。
【0046】
図8(a)から(e)は、回転押圧体と駆動体群との接触関係を説明する模式図である。
図8(a)から(e)にかけて駆動体群40に対する回転押圧体30の位置が変化しており、各図ではそれぞれの回転押圧体30の位置での駆動体群40との接触状態が示されている。
図7に示されるように、駆動片41の連結部312との対向面411は、両側の肩部41a、中央部分の凸部41b、肩部41aと凸部41bとの間の平坦部41cを有する。
図8(a)から(d)に示すように、駆動片41の肩部41a、平坦部41cおよび凸部41bのいずれかに連結部312が当接している状態では、駆動片41が押し下げられて第1導電経路C1が形成される。第1導電経路C1の形成によってタッチパネル100は静電容量の変化による例えばON状態を検知する。
【0047】
図8(e)に示すように、連結部312が駆動片41の肩部41a、平坦部41cおよび凸部41bのいずれにも当接していない状態では、駆動片41には押圧力が与えられず、ラバー42の弾性回復力によって駆動片41は押し上げられている。この状態では第1導電経路C1は形成不能となる。第1導電経路C1の形成不能によってタッチパネル100は静電容量の変化による例えばOFF状態を検知する。
【0048】
ここで、駆動片41の連結部312との対向面411が有する凸部41bによって、操作部材10の回転によるクリック感を明確に生成することができる。操作部材10とともに回転押圧体30が回転し、連結部312が駆動片41に当接すると、この当接によってクリック感が生じる。このクリック感は、連結部312が凸部41bに当接する際により明確に生成される。
【0049】
駆動片41の対向面411における連結部312との摺動接触方向の中間部分に凸部41bが設けられていると、連結部312と対向面411との接触による第1導電経路C1の形成開始位置から形成終了位置までの途中で明確なクリック感が生成される。対向面411における凸部41bの位置や高さ、傾斜形状によってクリック感の生成タイミングや強さ、感触が設定される。
【0050】
入力装置1Aでは、第1の駆動体40A、第2の駆動体40Bおよび第3の駆動体40Cについて、操作部材10の回転に伴う第1の状態と第2の状態との変更タイミングが互いに相違するよう構成される。
【0051】
(クリックおよび検出動作)
図9(a)から(c)は、第1実施形態に係る入力装置の検出動作を説明する模式図である。
図10は、クリックポジションと各駆動体によるON/OFF状態を説明する図である。
図10では、駆動体群40において第1導電経路C1が形成されるタイミング(ON状態)をハッチングで示している。すなわち、ハッチングで示されたタイミングがON状態、ハッチングで示されないタイミングがOFF状態である。
【0052】
図9に示すように、駆動体群40における第1の駆動体40A、第2の駆動体40Bおよび第3の駆動体40Cは、ケース20の収容部201において回転軸Oの周りに120°の間隔で配置される。回転押圧体30における連結部312は、回転軸Oの周りに36°の間隔で設けられる。これにより、第1の駆動体40A、第2の駆動体40Bおよび第3の駆動体40Cのそれぞれについて、連結部312と駆動片41の凸部41bとが当接した際のクリック感の発生タイミングが相違することになる。
【0053】
例えば、
図9(a)に示すクリックポジションP1では、第1の駆動体40Aの凸部41bと連結部312との当接によってクリック感が生じ、
図9(b)に示す次の12°回転後のクリックポジションP2では、第2の駆動体40Bの凸部41bと連結部312との当接によってクリック感が生じ、
図9(c)に示すさらに次の12°回転後のクリックポジションP3では、第3の駆動体40Cの凸部41bと連結部312との当接によってクリック感が生じる。本例では、操作部材10の回転によって12°ごとのクリック感が繰り返され、操作部材10の1回転では30回のクリック感を得られることになる。
【0054】
また、操作部材10の回転に伴い、第1の駆動体40A、第2の駆動体40Bおよび第3の駆動体40Cのそれぞれについて、第1の状態と第2の状態との変更タイミングが互いに相違するようになっている。
図10に示すように、第1の駆動体40Aでは、クリックポジションP1、P2、P4、P5、…のタイミングで第1導電経路C1が形成されるON状態となり、クリックポジションP3、P6、…のタイミングで第1導電経路C1が形成不能なOFF状態となる。第2の駆動体40Bでは、クリックポジションP2、P3、P5、P6、…のタイミングで第1導電経路C1が形成されるON状態となり、クリックポジションP1、P4、…のタイミングで第1導電経路C1が形成不能なOFF状態となる。第3の駆動体40Cでは、クリックポジションP1、P3、P4、P6、…のタイミングで第1導電経路C1が形成されるON状態となり、クリックポジションP2、P5、…のタイミングで第1導電経路C1が形成不能なOFF状態となる。
【0055】
このような第1の駆動体40A、第2の駆動体40Bおよび第3の駆動体40CのそれぞれのON(第1の状態)とOFF(第2の状態)との変更タイミングの相違によって、操作部材10の回転方向および回転角度を検出することができる。
【0056】
すなわち、操作部材10が回転して、第1の駆動体40Aと第2の駆動体40BとがいずれもON状態(第1の状態)にある第1の組み合わせから、第1の駆動体40Aと第3の駆動体40CとがいずれもON状態(第1の状態)にある第2の組み合わせになったときに、操作部材10は第1の向きに回転していることを示し、第1の組み合わせから、第2の駆動体40Bと第3の駆動体40CとがいずれもON状態(第1の状態)にある第3の組み合わせになったときに、操作部材10は第1の向きとは反対向きに回転していることを示すことになる。
【0057】
具体的には、第1の駆動体40Aと第2の駆動体40BとがON状態(第1の組み合わせ)となる操作部材10の位置(例えば、クリックポジションP2)から回転操作を行い、次の状態変化によって第1の駆動体40Aと第3の駆動体40CとがON状態(第2の組み合わせ)となったことを検知した場合、左回転で1クリック分(12°)回転したこと(例えば、クリックポジションP2からクリックポジションP1へ回転したこと)を検出できる。また、第1の駆動体40Aと第2の駆動体40BとがON状態(第1の組み合わせ)となる操作部材10の位置(例えば、クリックポジションP2)から回転操作を行い、次の状態変化によって第2の駆動体40Bと第3の駆動体40CとがON状態(第3の組み合わせ)となったことを検知した場合、右回転で1クリック分(12°)回転したこと(例えば、クリックポジションP2からクリックポジションP3へ回転したこと)を検出できる。
【0058】
入力装置1Aをタッチパネル100の上に載置して、タッチパネル100の検知領域で第1導電経路C1の生成・消滅を検出することで、入力装置1Aに特別なコントローラ等を設けることなく、操作部材10の回転に関する情報を検出することができる。しかも、入力装置1Aの駆動体群40はタッチパネル100に対して摺動しないため、タッチパネル100側で入力装置1Aからの信号入力位置を予め設定した検出領域の所定の位置に固定することができる。このため、入力装置1Aからの信号入力をタッチパネル100の検出領域における所定の位置で確実に検知することができ、入力の安定性を高めることができる。
【0059】
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態に係る入力装置を例示する外観斜視図(その1)である。
図12は、第2実施形態に係る入力装置を例示する外観斜視図(その2)である。
図11では、第2実施形態に係る入力装置を上側から見た外観斜視図が示され、
図12では、第2実施形態に係る入力装置を下側から見た外観斜視図が示される。
第2実施形態に係る入力装置1Bは、第1実施形態に係る入力装置1Aと同様、操作者による操作部材10の回転操作を検出する装置である。入力装置1Bは、第1の方向(Z1-Z2方向)に沿う回転軸Oの周りに回転操作可能な操作部材10と、操作部材10を回転可能に保持するケース20と、ケース20内に位置する回転押圧体35と、ケース20内に位置する駆動体群45と、を備える。入力装置1Bは、第1部材の例である静電容量型のタッチパネル100に載置され、操作部材10の回転操作に基づく駆動体群45のタッチパネル100の検知領域への接近/離間によって検知領域における所定位置を駆動させ、これにより回転検出を行う。
【0060】
入力装置1Bには第1の方向(Z1-Z2方向)に貫通する開口部10hが設けられていてもよい。開口部10hが設けられていることで、タッチパネル100の表示画面のうち、開口部10hを通過して視認可能な画面領域に所定の情報(例えば入力装置1Bに関連する情報)を表示できるようになる。
【0061】
入力装置1Bにおいて、例えば円筒形の外形を有する操作部材10は、ケース20の上側および外側に被せられるように取り付けられる。操作部材10はケース20に対して回転軸Oの周りに回転摺動可能に取り付けられる。操作部材10の上にはキャップ17が設けられていてもよい。キャップ17は化粧板として利用されてもよい。
【0062】
回転押圧体35は、少なくとも一部がケース20内に位置し、操作部材10とともに回転軸Oの周りに回転可能に設けられる。回転押圧体35の詳細については後述する。
【0063】
駆動体群45は、少なくとも一部がケース20内に位置し、回転押圧体35に対して回転軸Oの周りの回転方向に、少なくとも一時的に回転押圧体35と摺動接触する。駆動体群45の詳細については後述する。
【0064】
図12に示すように、ケース20の底部21には孔21hが設けられる。ケース20に収容された駆動体群45は、ケース20の底部21の孔21hに対して第1の方向(Z1-Z2方向)に進退可能に設けられる。
【0065】
図13は、第2実施形態に係る入力装置を例示する分解斜視図(その1)である。
図14は、第2実施形態に係る入力装置を例示する分解斜視図(その2)である。
図15は、第2実施形態に係る入力装置を例示する分解斜視図(その3)である。
図13では、第2実施形態に係る入力装置1Bを上側から見た分解斜視図が示され、
図14では、第2実施形態に係る入力装置1Bを下側から見た分解斜視図が示される。
図15では、説明の便宜上、操作部材10および回転押圧体35を外した状態における分解斜視図が示される。
ケース20は、円環状の底部21と、底部21の外周縁から上方に延出する外周側壁部22と、底部21の内周縁から上方に延出する内周側壁部23とを有する。底部21、外周側壁部22および内周側壁部23によって上方が開口した収容部201が構成される。
【0066】
収容部201内における底部21の上には駆動体群45が配置される。駆動体群45は、底部21に設けられた立片21aに嵌め込まれる。本実施形態では、駆動体群45として、第1の駆動体45Aおよび第2の駆動体45Bが設けられる。ここで、第1の駆動体45Aおよび第2の駆動体45Bを区別せずに総称するときは駆動体群45と言うことにする。第1の駆動体45Aと第2の駆動体45Bとの周方向の配置間隔は、回転軸Oを中心として非180°(本実施形態では、一例として90°)となっている。第1の駆動体45Aおよび第2の駆動体45Bのそれぞれは、ケース20の底部21に設けられた孔21h内で進退可能に設けられる。
【0067】
ケース20の収容部201には、クリック部材50が設けられる。クリック部材50は、クリック突起51と、付勢部の例である板バネ部52とを有する。クリック突起51は、板バネ部52の付勢力によって回転押圧体35側(Z1側)に付勢される。この付勢力によってクリック突起51は回転押圧体35のZ2側に設けられたクリック山53に所定の押圧力で当接している。クリック部材50は、このクリック突起51とクリック山53との当接状態が変化することによりクリック感を生成する。
【0068】
回転押圧体35は操作部材10の内側に嵌め込まれており、操作部材10の回転操作とともに回転する。回転押圧体35が嵌め込まれた操作部材10はケース20の上に被せられる。ケース20の内周側壁部23にはコイルバネ60が取り付けられており、操作部材10を上方に付勢している。
【0069】
操作部材10にはケース20の外周側壁部22に周方向に設けられたフランジ部22bと係合する係合片10bが設けられる。フランジ部22bに係合片10bが係合することで、操作部材10はコイルバネ60で上方に付勢されつつ上方への位置が規制される。操作部材10はフランジ部22bと係合片10bとの当接面を摺動面として回転摺動可能となる。
【0070】
また、操作部材10がケース20に係合することで、操作部材10の内側に嵌め込まれた回転押圧体35の上方への位置も規制され、これによって回転押圧体35とクリック突起51との当接位置や、回転押圧体35と駆動体群45との当接位置が規定される。
【0071】
操作部材10の下方への位置規制は行われていないため、操作部材10へコイルバネ60の付勢力に打ち勝つ力を下方へ与えると、操作部材10はケース20に対して下方へ押し込まれる。操作部材10への押し込み力を解除すると、コイルバネ60の弾性回復力によって操作部材10は上方へ押し戻され、フランジ部22bと係合片10bとが係合する位置まで復帰することになる。
【0072】
なお、操作部材10の上方への付勢力は、コイルバネ60のほかにクリック部材50の板バネ部52や、後述する駆動体群45の付勢力も寄与している。したがって、板バネ部52や駆動体群45の付勢力によって操作部材10を上方に十分に付勢できる場合には、コイルバネ60を省略することもできる。一方、操作部材10の上方への安定した付勢力を得るためにはコイルバネ60を設けることが好ましい。
【0073】
(回転押圧体および駆動体群)
図16は、回転押圧体および駆動体群を説明する分解斜視図である。
図16では、回転押圧体35の下側から見た分解斜視図が示される。
回転押圧体35は、円環部36と、円環部36の下面に円周に沿って所定の間隔で設けられた複数の突出部37と、円環部36の下面に円周に沿って設けられた複数のクリック山53とを有する。複数のクリック山53は、先に説明したクリック部材50のクリック突起51と当接する。操作部材10の回転操作に伴い回転押圧体35が回転すると、クリック山53と当接するクリック突起51が複数のクリック山53を乗り越えていくときにクリック感が生成される。
【0074】
回転押圧体35の円環部36に設けられた複数の突出部37は、駆動体群45に当接可能に設けられる。すなわち、回転押圧体35が摺動回転し、Z1-Z2方向に見て突出部37と駆動体群45とが重なる位置において突出部37が駆動体群45と当接し、駆動体群45を下方に押圧することになる。突出部37による駆動体群45の押圧および非押圧によって駆動体群45はケース20の底部21に設けられた孔21hの内部で進退することになる。
【0075】
入力装置1Bでは、第1の駆動体45Aおよび第2の駆動体45Bについて、操作部材10の回転に伴う突出部37との当接と非当接との変更タイミングが互いに相違するよう構成される。
【0076】
(駆動体群)
図17は、第2実施形態に係る入力装置に用いられる駆動体群の分解斜視図である。
駆動体群45は、駆動部材46、バネ部47およびパッド48を有する。駆動部材46、バネ部47およびパッド48は互いにZ1-Z2方向に重ね合わされる。駆動部材46の下端にはパッド48が嵌め込まれており、駆動部材46のZ1-Z2方向への進退動作に伴いパッド48も進退する。
【0077】
バネ部47は弾性部の一例である。バネ部47は駆動部材46とケース20の底部21との間に配置され、ケース20に対して駆動部材46を上方に付勢している。したがって、駆動部材46を上から押圧することでバネ部47が圧縮変形して駆動部材46が下方へ押し下げられ、これとともにパッド48が孔21hから下方に突出する。駆動部材46への押圧力が解除されるとバネ部47の弾性回復によって駆動部材46およびパッド48が元の位置に押し戻されることになる。
【0078】
駆動体群45の駆動部材46への押圧力は、回転押圧体35の突出部37から与えられる。すなわち、回転押圧体35が摺動回転し、Z1-Z2方向に見て突出部37と駆動部材46とが重なる位置において突出部37が駆動部材46と当接し、駆動部材46を下方に押圧することになる。これによって駆動部材46が押し下げられるとともに、バネ部47が弾性変形する。一方、回転押圧体30が摺動回転し、Z1-Z2方向に見て突出部37と駆動部材46とが重ならない位置においては、突出部37から駆動部材46に押圧力が与えられず、バネ部47の弾性回復力によって駆動部材46が押し上げられる。
【0079】
ここで、駆動部材46の突出部37(
図16参照)との対向面461に凸部46bが設けられていてもよい。対向面461における凸部46bの位置や高さ、傾斜形状によって操作部材10を回転させた際の駆動体群45の押圧タイミングや強さ、押圧力の変化が設定される。
【0080】
図18は、第2実施形態に係る入力装置の取り付けを例示する模式断面図である。
入力装置1Bは、第1部材の例である静電容量型のタッチパネル100の検知領域の上に載置される。入力装置1Bは、例えば接着剤や接着テープによってタッチパネル100の上に固定されてもよい。入力装置1Bとタッチパネル100とは互いに電気的な接続はされていない。操作部材10の回転操作に基づく駆動体群45のタッチパネル100の検知領域への接近/離間によって検知領域の所定位置を駆動させ、これにより回転検出を行う。駆動体群45の駆動によってパッド48はタッチパネル100に接触しても、接触しなくてもよい。
【0081】
入力装置1Bは、タッチパネル100の表示画面の所定領域の上に配置されてもよい。入力装置1Bの中央に開口部10hが設けられていることで、タッチパネル100の表示画面のうち、開口部10hと重なる位置の画像は開口部10hを介して上方に通過して、入力装置1Bの上方からその画像を視認することができるようになる。
【0082】
入力装置1Bにおいて、操作部材10の回転操作に基づき静電容量型のタッチパネル100を駆動させるため、少なくとも操作部材10、回転押圧体35および駆動体群45は誘電体からなる部分を有する。
【0083】
(導電経路)
図19は、導電経路を説明する図である。
回転押圧体35の突出部37が駆動体群45の駆動部材46に当接すると、突出部37から押圧力を受けた駆動部材46は下方に押し下げられ、バネ部47を弾性変形させる。この状態では、操作部材10から回転押圧体35の突出部37、駆動部材46およびパッド48を介して第1部材(例えば、タッチパネル100)に至る導電経路(第1導電経路C1)が形成される。第1導電経路C1が形成される状態は第1の状態である。第1の状態において、駆動体群45の下側の端部は相対的に孔21hの下側に位置する。
【0084】
一方、回転押圧体35の突出部37が駆動体群45の駆動部材46に当接しない状態では、突出部37からの押圧力が駆動部材46に与えられず、駆動部材46はバネ部47の弾性回復力によって上方に押し上げられる。この状態では、第1導電経路C1は形成不能となる。第1導電経路C1が形成不能となる状態は第2の状態である。第2の状態において、駆動体群45の下側の端部は相対的に孔21hの上側に位置する。
【0085】
入力装置1Bにおいては、操作部材10が1回転する間に、回転押圧体35と駆動体群45との接触によって第1の状態が断続的に複数回発生する。第1の状態では第1導電経路C1が形成され、第2の状態では第1導電経路C1が形成不能となる。第1導電経路C1の形成と、第1導電経路C1の形成不能との導電経路の状態変化によって、パッド48の下方に位置するタッチパネル100の検知領域の静電容量が変化して、第1の状態と第2の状態とを検知できることになる。
【0086】
入力装置1Bでは、第1の駆動体45Aおよび第2の駆動体45Bについて、操作部材10の回転に伴う第1の状態と第2の状態との変更タイミングが互いに相違するよう構成される。
【0087】
(クリックおよび検出動作)
図20は、第2実施形態に係る入力装置のクリックおよび検出動作を説明する図である。
本実施形態では、回転押圧体35に設けられる複数の突出部37の周方向の配置の角度として、0°、6.6°、13.2°、20°、…の繰り返しとなっている場合を例として説明する。また、本実施形態では、クリック部材50における複数のクリック山53の周方向の間隔は20°である場合を例として説明する。
【0088】
操作部材10を回転させた場合のクリック感の生成間隔は、クリック突起51が隣接する2つのクリック山53の間(谷)に当たる位置(角度0°、20°、40°、…)となる。1回のクリック感(例えば、角度0°から20°)の間では、複数の突出部37の周方向の配置の角度ごとに、第1の駆動体45Aおよび第2の駆動体45Bの状態変化が繰り返される。すなわち、本実施形態の例では、1回のクリック感の間(角度0°から20°の間)で、第1の駆動体45Aおよび第2の駆動体45Bの状態変化は、角度0°、6.6°、13.2°、20°(0°)、…の繰り返しとなる。
【0089】
例えば、操作部材10の角度が0°の場合、第1の駆動体45Aおよび第2の駆動体45Bとも突出部37の当接による押圧力を受けないため第1導電経路C1が形成不能なOFF状態となる。次に操作部材10の角度が6.6°の場合、第1の駆動体45Aは突出部37の当接による押圧力を受けて第1導電経路C1が形成されるON状態となり、第2の駆動体45Bは突出部37の当接による押圧力を受けないため第1導電経路C1が形成不能なOFF状態となる。
【0090】
次に操作部材10の角度が13.2°の場合、第1の駆動体45Aは突出部37の当接による押圧力を受けないため第1導電経路C1が形成不能なOFF状態となり、第2の駆動体45Bは突出部37の当接による押圧力を受けて第1導電経路C1が形成されるON状態となる。次に操作部材10の角度が20°の場合、角度0°と同じ状態、すなわち第1の駆動体45Aおよび第2の駆動体45BともにOFF状態となる。操作部材10の回転に伴い、この状態変化が繰り返されることになる。
【0091】
このような第1の駆動体45Aおよび第2の駆動体45BのそれぞれのON(第1の状態)とOFF(第2の状態)との変更タイミングの相違によって、操作部材10の回転方向および回転角度を検出することができる。
【0092】
具体的には、第1の駆動体45AがON(第1の状態)となった後、第2の駆動体45BがON(第1の状態)となったときに、操作部材10は第1の向きに回転(例えば、左回転)していることを示し、第2の駆動体45BがON(第1の状態)となった後、第1の駆動体45AがON(第1の状態)となったときに、操作部材10は第1の向きとは反対向きに回転(例えば、右回転)していることを示すことになる。
【0093】
また、第2の駆動体45BがON(第1の状態)となった後、第1の駆動体45Aおよび第2の駆動体45BがともにOFF(第2の状態)となったときに、操作部材10は第1の向き回転(例えば、左回転)していることを示し、第1の駆動体45AがON(第1の状態)となった後、第1の駆動体45Aおよび第2の駆動体45BがともにOFF(第2の状態)となったときに、操作部材10は第1の向きとは反対向きに回転(例えば、右回転)していることを示すことになる。
【0094】
(プッシュ動作)
入力装置1Bにおいて、操作部材10を押下するプッシュ動作を行った場合、操作部材10はコイルバネ60などの上方への付勢力に打ち勝って操作部材10とともに回転押圧体35がケース20に対して下方へ移動する。回転押圧体35の下方への移動によって第1の駆動体45Aおよび第2の駆動体45Bの双方が押圧され、双方とも第1導電経路C1が形成されるON(第1の状態)となる。第1の駆動体45Aおよび第2の駆動体45Bの両方がON(第1の状態)になることをタッチパネル100で検出することで、操作部材10のプッシュ動作を検出することができる。
【0095】
入力装置1Bをタッチパネル100の上に載置して、タッチパネル100の検知領域で第1導電経路C1の生成・消滅を検出することで、入力装置1Bに特別なコントローラ等を設けることなく、操作部材10の回転に関する情報を検出することができる。しかも、入力装置1Bの駆動体群45はタッチパネル100に対して摺動しないため、タッチパネル100側で入力装置1Bからの信号入力位置を予め設定した検出領域の所定の位置に固定することができる。このため、入力装置1Bからの信号入力をタッチパネル100の検出領域における所定の位置で確実に検知することができ、入力の安定性を高めることができる。また、入力装置1Bでは操作部材10のプッシュ動作も検出することができようになる。
【0096】
なお、第2実施形態に係る入力装置1Bにおいては、駆動体群45の駆動によってパッド48が下方に突出し、パッド48を第1部材に接触させることが可能であるため、第1部材として抵抗膜式のタッチパネル100であっても適用可能である。
【0097】
(回転入力検出装置)
本実施形態に係る回転入力検出装置は、上記説明した入力装置と、第1部材としての静電容量型のタッチパネルとを備える。例えば、
図1に示す入力装置1Aまたは
図11に示す入力装置1Bと、タッチパネル100とによって回転入力検出装置が構成される。
入力装置1Aまたは1Bは、タッチパネル100の表示画面に付設される。タッチパネル100の表示画面のうち、入力装置1Aまたは1Bの第1の方向に開口する開口部10hから視認可能な画面領域は、入力装置1Aまたは1Bに関連する情報を表示してもよい。
【0098】
本実施形態によれば、適度な操作感を得られるとともに、安定した検知を行うことができる入力装置1A、1Bおよび回転入力検出装置を提供することが可能となる。
【0099】
なお、上記に本実施形態を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、上記説明では、回転押圧体30および35は操作部材10と別体である例を示したが、回転押圧体30および35は操作部材10と一体であってもよい。また、第1実施形態に係る入力装置1Aにおいても、操作部材10の押し込み(プッシュ)によって全ての駆動体群40を同時に押し込んで第1導電経路C1を形成する機構を設け、操作部材10のプッシュ動作を検出できるようにしてもよい。また、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の構成例の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。
【符号の説明】
【0100】
1A,1B…入力装置
10…操作部材
10a…内面
10b…係合片
10h…開口部
15…カバー
15a…上面
15h…カバーに設けられた孔
17…キャップ
20…ケース
21…底部
21a…立片
21h…ケースに設けられた孔
22…外周側壁部
22a…爪
22b…フランジ部
23…内周側壁部
30…回転押圧体
31,36…円環部
32…内周延出部
32a…凹部
35…回転押圧体
37…突出部
40,45…駆動体群
40A…第1の駆動体
40B…第2の駆動体
40C…第3の駆動体
41…駆動片
41a…肩部
41b…凸部
41c…平坦部
42…ラバー
43…パッド
45A…第1の駆動体
45B…第2の駆動体
46…駆動部材
46b…凸部
47…バネ部
48…パッド
50…クリック部材
51…クリック突起
52…板バネ部
53…クリック山
60…コイルバネ
100…タッチパネル
201…収容部
311…孔部
312…連結部
411,461…対向面
C1…第1導電経路
O…回転軸
P1~P6…クリックポジション