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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012184
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】フィルターユニット及び住宅
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/28 20060101AFI20250117BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20250117BHJP
   F24F 7/003 20210101ALI20250117BHJP
   B01D 46/00 20220101ALI20250117BHJP
   A61L 9/16 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
F24F13/28
F24F8/108 110
F24F7/003
B01D46/00 C
A61L9/16 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114833
(22)【出願日】2023-07-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 刊行物名 設備・内装商品ガイド EQUIPMENT&INTERIOR2023、第101頁及び第109頁~第110頁 発行者名 パナソニックホームズ株式会社 発行日(頒布日) 令和5年4月2日(令和5年6月3日) 展示場所 パナソニックホームズ北関東株式会社 展示日 令和5年6月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000004673
【氏名又は名称】パナソニックホームズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594047511
【氏名又は名称】ケィ・マック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 萌
(72)【発明者】
【氏名】井下 晴可
(72)【発明者】
【氏名】伊吹 耕一
(72)【発明者】
【氏名】中繁 誠司
(72)【発明者】
【氏名】久保 雅揮
(72)【発明者】
【氏名】小原 寛人
【テーマコード(参考)】
4C180
4D058
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA19
4C180CC03
4C180DD09
4C180EA14X
4C180HH05
4D058JA12
4D058JB50
4D058KB12
4D058KC04
4D058KC81
4D058LA05
4D058QA05
4D058TA03
4D058TA06
4D058TA07
(57)【要約】
【課題】 圧力損失を小さくすることが可能なフィルターユニット1を提供する。
【解決手段】 空気を浄化するためのフィルターユニット1である。このフィルターユニット1は、空気の入口28及び出口29を有するチャンバーボックス26と、チャンバーボックス26の内部空間30を、入口28側の第1室30aと出口29側の第2室30bとに区分するように配されたフィルター部材27とを含む。チャンバーボックス26は、脱着自在な蓋部材31によって閉じられた開口部32を有する円形状の上面26Aと、上面26Aと対向する円形状の下面26Bと、上面26Aと下面26Bとの間を繋いで環状に延びる側面26Cとを含む円柱形状である。入口28及び出口29は、フィルター部材27を介して互いに対向するように、チャンバーボックス26の側面26Cにそれぞれ形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を浄化するためのフィルターユニットであって、
空気の入口及び出口を有するチャンバーボックスと、
前記チャンバーボックスの内部空間を、前記入口側の第1室と前記出口側の第2室とに区分するように配されたフィルター部材とを含み、
前記チャンバーボックスは、脱着自在な蓋部材によって閉じられた開口部を有する円形状の上面と、前記上面と対向する円形状の下面と、前記上面と前記下面との間を繋いで環状に延びる側面とを含む円柱形状であり、
前記入口及び前記出口は、前記フィルター部材を介して互いに対向するように、前記チャンバーボックスの前記側面にそれぞれ形成されている、
フィルターユニット。
【請求項2】
前記開口部には、前記蓋部材を固定するための固定具が設けられている、請求項1に記載のフィルターユニット。
【請求項3】
前記固定具は、一端が前記開口部の縁に取り付けられた可動片を含み、
前記可動片は、前記蓋部材を前記チャンバーボックス側に押圧するように前記蓋部材の上に位置する固定位置と、前記蓋部材が前記開口部から取り外せるように、前記蓋部材から離れて位置する開放位置とに回動自在に設けられている、請求項2に記載のフィルターユニット。
【請求項4】
前記開口部は、前記蓋部材の下面の周縁部を支持するためのリング状の受け部を備え、
前記周縁部には、前記受け部との間の気密性を維持するためのリング状のパッキンが設けられている、請求項1に記載のフィルターユニット。
【請求項5】
前記パッキンの前記受け部側を向く下面は、前記蓋部材を前記受け部に載置した初期載置状態において、前記受け部との接触面積を減らすように、パッキン半径方向内側に向かって、上方又は下方に傾斜している、請求項4に記載のフィルターユニット。
【請求項6】
前記チャンバーボックスを、建物の矩形状の床開口から下方に延びる床下空間に配置するための取付フレームをさらに含み、
前記取付フレームは、中央が開口し、かつ、前記床開口に固定可能な固定部と、前記固定部が前記床開口に固定されたときに前記固定部から下方に筒状に延びる垂下部とを含み、
前記垂下部には、前記チャンバーボックスを係止するための係合部が設けられている、請求項1に記載のフィルターユニット。
【請求項7】
前記係合部は、前記チャンバーボックス側に設けられた凸部と、前記垂下部側に設けられ、かつ、前記凸部を受け入れて前記チャンバーボックスの荷重を支持する凹部とを含む、請求項6に記載のフィルターユニット。
【請求項8】
前記凹部は、前記凸部を受け入れた後、前記チャンバーボックスを、その円柱軸心周りに回動させることにより、前記凸部と嵌合するように構成されている、請求項7に記載のフィルターユニット。
【請求項9】
前記取付フレームは、4つのピースに分解可能であり、
各ピースは、互いに直交するように配された第1片と、第2片と、コーナ部とを含むL字状部材であり、
前記第1片には、第1端部が形成されており、
前記第2片には、前記第1端部を差し込み可能であり、かつ、前記第1端部との重なり代を調整可能な長さを有する第2端部が形成されている、請求項6ないし8のいずれかに記載のフィルターユニット。
【請求項10】
外気を屋内に取り込むための換気経路を備えた住宅であって、
前記換気経路中に、請求項1ないし6のいずれか1項に記載されたフィルターユニットを備える、
住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルターユニット及び住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、空気を浄化するためのフィルターユニットが記載されている。このフィルターユニットには、空気の入口及び出口を有するチャンバーボックスと、チャンバーボックス内の空間を入口側の第1室と出口側の第2室とに区分するようにチャンバーボックスに配されたフィルター部材とが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-190228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のフィルターユニットは、圧力損失が大きいという問題があった。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、圧力損失を小さくすることが可能なフィルターユニットを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、空気を浄化するためのフィルターユニットであって、空気の入口及び出口を有するチャンバーボックスと、前記チャンバーボックスの内部空間を、前記入口側の第1室と前記出口側の第2室とに区分するように配されたフィルター部材とを含み、前記チャンバーボックスは、脱着自在な蓋部材によって閉じられた開口部を有する円形状の上面と、前記上面と対向する円形状の下面と、前記上面と前記下面との間を繋いで環状に延びる側面とを含む円柱形状であり、前記入口及び前記出口は、前記フィルター部材を介して互いに対向するように、前記チャンバーボックスの前記側面にそれぞれ形成されている、フィルターユニットである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のフィルターユニットは、上記の構成を採用したことにより、チャンバーボックス内での空気の圧力損失を小さくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態のフィルターユニットが備えられた住宅を概念的に示す断面図である。
図2図1の部分斜視図である。
図3図2のフィルターユニットの分解断面図である。
図4】フィルターユニットの分解斜視図である。
図5】チャンバーボックスの断面図である。
図6】(a)は、固定具の固定位置を示す平面図、(b)は、固定具の開放位置を示す平面図である。
図7】蓋部材に設けられたパッキンの断面図である。
図8】係合部の凸部及び凹部を示す斜視図である。
図9】取付フレームの分解斜視図である。
図10】(a)は、チャンバーボックスを床下空間内に配置する工程を説明する断面図、(b)は、チャンバーボックスに換気経路を接続する工程及び取付フレームを床開口に取り付ける工程を説明する断面図である。
図11】(a)は、取付フレームに、チャンバーボックスを取り付ける工程を説明する断面図、(b)は、チャンバーボックスにフィルター部材を取り付ける工程及びチャンバーボックスに蓋部材を取り付ける工程を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態が図面に基づき説明される。図面は、発明の内容の理解を助けるために、誇張表現や、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれることが理解されなければならない。また、各実施形態を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。さらに、実施形態及び図面に表された具体的な構成は、本発明の内容理解のためのものであって、本発明は、図示されている具体的な構成に限定されるものではない。
【0010】
図1は、本実施形態のフィルターユニット1が備えられた住宅2を概念的に示す断面図である。本実施形態のフィルターユニット1は、住宅2の内部に供給される空気(本例では、外気Ao)の浄化に用いられているが、このような用途に限定されない。例えば、空気調和機によって空調された空気が、フィルターユニット1によって浄化されてもよい。
【0011】
[住宅の全体構造]
本実施形態の住宅2は、例えば、工業化住宅として構成されているが、特に限定されない。本実施形態の住宅2は、床下空間3と、床下空間3の上に設けられた床上空間4とを含んで構成されている。
【0012】
本実施形態の床下空間3は、基礎5と床6と土間7とで区画されている。基礎5には、床下空間3に外気Aoを取り込むための給気口8が設けられている。本実施形態の床上空間4は、床6、天井9、外壁10、及び、間仕切り壁11で区画されている。
【0013】
図2は、図1の部分斜視図である。図3は、図2のフィルターユニット1の分解断面図である。図2に示されるように、床6は、根太12、大引13及び束14を介して、土間7に支持されているが、このような態様に限定されない。本実施形態では、図1に示されるように、基礎断熱の場合が示されており、図2に示されるように、断熱材15がさらに配置されている。なお、住宅2は、基礎断熱に限定されるわけではなく、例えば、床断熱であってもよい。
【0014】
図1及び図2に示されるように、本実施形態の床6には、床開口16が設けられている。この床開口16は、床下空間3に連通している。図2に示されるように、本実施形態の床開口16は、平面視において、矩形状に形成されているが、特に限定されない。
【0015】
図1及び図3に示されるように、床開口16は、脱着自在な床蓋部17によって閉じられていてもよい。このような床蓋部17により、床上空間4側において、床開口16の露出が抑制され、平滑な床面が形成されうる。
【0016】
図3に示されるように、床開口16には、床6よりも床下空間3側において、床開口16よりも内側に突出した枠体18が設けられている。これにより、床開口16(床6)には、その内周面16iと、枠体18の上面18uとによって、入隅部が形成される。この入隅部の上面18uにより、床開口16には、床蓋部17の下面を支持するための受け部20が備えられる。
【0017】
[換気経路]
図1に示されるように、本実施形態の住宅2には、外気Ao(床下空気Au)を屋内に取り込むための換気経路21が設けられている。本実施形態の換気経路21は、住宅2の配管スペースに配置されるダクト21Aによって構成されている。なお、換気経路21は、例えば、間仕切り壁等で囲まれた空間(図示省略)によって構成されてもよい。
【0018】
換気経路21の一端21aは、床下空間3に配されている。換気経路21の他端21bは、床上空間4に配されている。これにより、換気経路21は、床下空間3と床上空間4とを連通させることができる。
【0019】
[給気ファン]
本実施形態の住宅2には、換気経路21において、床下空間3から床上空間4に向かって送風する向きに設置された給気ファン22が設けられている。本実施形態の給気ファン22は、換気経路21の一端21aと他端21bとの間に配置されているが、特に限定されるわけではない。給気ファン22は、例えば、一端21aに設けられてもよいし、他端21bに設けられてもよい。給気ファン22の風量は、例えば、住宅2に必要な換気回数に基づいて設定されうる。
【0020】
本実施形態の住宅2では、給気ファン22の駆動により、床下空間3が負圧となる。これにより、床下空間3には、給気口8を介して、外気Aoが取り込まれる。この床下空間3に取り込まれた外気Ao(床下空気Au)は、換気経路21を介して、床上空間4に供給されうる。これにより、屋内(床下空間3及び床上空間4)が換気されうる。
【0021】
[排気ファン]
本実施形態の住宅2には、床上空間4の空気(以下、「床上空気」ということがある。)Aiを、屋外23に排気するための排気ファン24がさらに設けられてもよい。このような排気ファン24により、床上空気Aiが屋外23に排気され、屋内(床上空間4)が効率よく換気されうる。排気ファン24の風量は、例えば、給気ファン22と同様に、住宅2に必要な換気回数に基づいて設定されうる。
【0022】
[フィルターユニット]
本実施形態のフィルターユニット1は、換気経路21中に備えられている。本実施形態のフィルターユニット1は、換気経路21の一端21aと給気ファン22との間に設置されているが、このような態様に限定されない。フィルターユニット1は、例えば、給気ファン22の位置等に応じて適宜設置されうる。
【0023】
図1図3に示されるように、本実施形態のフィルターユニット1は、チャンバーボックス26と、フィルター部材27とを含んで構成されている。チャンバーボックス26は、空気の入口28及び出口29を有している。一方、フィルター部材27は、図2及び図3に示されるように、チャンバーボックス26の内部空間30を、入口28側の第1室30aと、出口29側の第2室30bとに区分するように配されている。
【0024】
図1に示されるように、本実施形態の入口28は、換気経路21の一端21a側に配されている。これにより、フィルター部材27で浄化される前の空気(外気Ao(床下空気Au))が、入口28からチャンバーボックス26内に供給され、その供給された空気中に含まれる異物等が、フィルター部材27によって捕集されうる。
【0025】
本実施形態の出口29は、換気経路21の他端21b(図1に示す)側に配されている。これにより、フィルターユニット1では、フィルター部材27で清浄化された空気Ac(図1に示す)が、出口29を介して床上空間4に供給され、床上空間4が換気されうる。
【0026】
図4は、フィルターユニット1の分解斜視図である。本実施形態において、フィルターユニット1の各構成部材の位置等は、x軸と、y軸と、z軸との直交座標上で特定される。x軸方向及びy軸方向が水平方向に設定されており、これらのx軸方向とy軸方向とが直交している。z軸方向は、上下方向に設定されており、x軸方向及びy軸方向と直交している。なお、z軸方向が上下方向に設定される態様に限定されるわけではなく、例えば、x軸方向又はy軸方向が、上下方向に設定されてもよい。
【0027】
[チャンバーボックス]
図2図4に示されるように、チャンバーボックス26は、円形状の上面26Aと、円形状の下面26Bと、上面26Aと下面26Bとの間を繋いで環状に延びる側面26Cとを含んで構成されている。これにより、チャンバーボックス26は、円柱形状を有している。
【0028】
本実施形態のチャンバーボックス26は、発泡樹脂で形成されている。これにより、チャンバーボックス26の断熱性が向上し、さらに、チャンバーボックス26の重量の増大が抑制されうる。発泡樹脂の一例としては、発泡ポリスチレン(EPS)等が挙げられる。
【0029】
本実施形態のチャンバーボックス26の上面26A及び下面26Bは、x軸-y軸の平面に広がる板状の部材で形成されている。
【0030】
図3及び図4に示されるように、本実施形態のチャンバーボックス26の上面26Aは、脱着自在な蓋部材31によって閉じられた開口部32を有している。この開口部32は、チャンバーボックス26の内部空間30に連通している。本実施形態の開口部32は、z軸方向から見た平面視において、円形状に形成されているが、特に限定されるわけではない。開口部32は、例えば、矩形状等に形成されていてもよい。
【0031】
本実施形態の蓋部材31は、チャンバーボックス26の上面26Aの一部を構成している。このような蓋部材31が取り外されることで、開口部32からチャンバーボックス26の内部空間30へのアクセスが容易となり、フィルター部材27のメンテナンス性が向上する。また、図2に示されるように、蓋部材31が開口部32に取り付けられることで、開口部32から内部空間30への空気の進入が抑制されうる。
【0032】
図3及び図4に示されるように、本実施形態の蓋部材31は、開口部32が閉じられた状態において、x軸-y軸の平面に広がる第1部分31Aと、第1部分31Aの下面から下方に延びる第2部分31Bとを含んで構成されている。
【0033】
本実施形態の第1部分31Aは、板状に形成されている。図4に示されるように、第1部分31Aは、開口部32と同様に、z軸方向から見た平面視において円形状に形成されているが、このような態様に限定されない。第1部分31Aは、開口部32の形状に合わせて、例えば、矩形状等であってもよい。
【0034】
図3及び図4に示されるように、第1部分31Aには、例えば、ユーザー等によって把持することが可能な溝部33が設けられていてもよい。このような溝部33により、開口部32への蓋部材31の取り付け及び取り外しが容易となる。
【0035】
本実施形態の第2部分31Bは、第1部分31Aの半径方向の外端31tよりも、蓋部材31の半径方向の内側において、第1部分31Aの下面から下方に向かって筒状に延びている。これにより、蓋部材31(第1部分31A)の下面には、第2部分31Bの半径方向の外側に、周縁部31pが形成される。
【0036】
図2図4に示されるように、本実施形態の側面26Cは、上面26Aと下面26Bとの間をz軸方向に延びている。図4に示されるように、側面26Cは、z軸方向から見た平面視において、環状に形成されている。上述した入口28及び出口29は、フィルター部材27を介して互いに対向するように、側面26Cにそれぞれ形成されている。本実施形態では、入口28と出口29とが、x軸方向で対向しているが、このような態様に限定されるわけではなく、例えば、y軸方向で対向していてもよい。
【0037】
図2図4に示されるように、本実施形態の入口28及び出口29は、チャンバーボックス26(側面26C)の半径方向において、側面26Cから外側に突出する筒状に形成されている。これにより、換気経路21を形成するダクト21A(図1に示す)との接続が容易となる。
【0038】
図5は、チャンバーボックス26の断面図である。本実施形態では、フィルター部材27を介して互いに対向するように、入口28及び出口29が側面26Cに形成されている。これにより、入口28から供給された床下空気Auは、側面26Cを構成する環状の部材の内周面26Ciに沿って、フィルター部材27に円滑に案内される。さらに、フィルター部材27によって清浄化された空気Acは、環状に延びる内周面26Ciに沿って、出口29へと円滑に案内される。これにより、空気(床下空気Au及び清浄化されたAc)の乱流の発生が抑制される。さらに、フィルター部材27によって清浄化された空気Acは、出口29に向かって収束しながら排出されうる。これにより、フィルターユニット1は、清浄化された空気Acの圧力損失が小さくなり、換気効率の低下が抑制されうる。
【0039】
本実施形態では、環状に形成された側面26Cの入口28と出口29との間に、フィルター部材27が配置されている。これにより、フィルター部材27は、内部空間30の広範囲に配置されるため、入口28から供給された空気(床下空気Au)との接触面積が大きくなる。したがって、空気(床下空気Au)がフィルター部材27を円滑に通過し、圧力損失が大きくなるのが抑制される。このような圧力損失の増大を効果的に抑制するために、フィルター部材27の少なくとも一部(第1フィルター部材27A)が、チャンバーボックス26(側面26C)の円柱軸心(本例では、z軸方向に沿って延びる中心軸)26cと交差するのが好ましい。
【0040】
図3及び図4に示されるように、チャンバーボックス26には、フィルター部材27の縁部を嵌め込み可能な溝34がそれぞれ設けられるのが好ましい。本実施形態の溝34は、上面26A(蓋部材31)を構成する部材の内面26Ai、下面26Bを構成する部材の内面26Bi、及び、側面26Cを構成する環状の部材の内周面26Ciにそれぞれ設けられている。このような溝34により、チャンバーボックス26の内部空間30に、フィルター部材27が、容易かつ安定して保持されうる。
【0041】
本実施形態の側面26Cを構成する環状の部材のうち、内部空間30を区画する内周面26Ciは、z軸方向から見た平面視において、開口部32よりも直径が小さく設定されている。これにより、開口部32の内周面32iと、側面26Cの上端26Cuとによって、入隅部が形成される。この入隅部の上端26Cuにより、開口部32には、蓋部材31の周縁部31pを支持するためのリング状の受け部36が備えられる。このような受け部36は、開口部32が蓋部材31によって閉じられた状態(図2に示す)において、蓋部材31の周縁部31pと面接触することが可能となり、開口部32から内部空間30への空気の進入が抑制されうる。
【0042】
[固定具]
図2に示されるように、開口部32には、蓋部材31を固定するための固定具37が設けられるのが好ましい。このような固定具37により、蓋部材31の予期しない取り外しが防止され、開口部32から内部空間30への空気の進入が、より確実に抑制されうる。蓋部材31をより安定して固定するために、複数の固定具37が、開口部32の周りに隔設されるのが好ましい。固定具37の個数は、例えば、固定具37の固定力等に応じて、適宜設定される。本実施形態では、図4に示されるように、4つの固定具37が設けられている。
【0043】
図6(a)は、固定具37の固定位置P1を示す平面図である。図6(b)は、固定具37の開放位置P2を示す平面図である。固定具37は、蓋部材31を固定できれば、適宜形成されうる。本実施形態の固定具37は、一端38aが開口部32の縁32sに取り付けられた可動片38を含んで構成されている。
【0044】
図4及び図6に示されるように、本実施形態の可動片38は、第1部分38Aと、第1部分38Aの上面から上方に延びる第2部分38Bとを含んで構成されている。
【0045】
第1部分38Aは、x軸-y軸の平面に広がる板状に形成されている。第1部分38Aの下面の少なくとも一部は、蓋部材31が固定された状態において、蓋部材31の上面に当接している。
【0046】
第2部分38Bは、第1部分38Aの上面の幅方向の中央部から上方(z軸方向)に延びている。これらの第1部分38A及び第2部分38Bにより、可動片38は、断面T字状に形成される。このような可動片38により、ユーザー等は、第2部分38Bを指先で摘むことができる。
【0047】
可動片38は、開口部32の半径方向外側の一端38aに、可動片38を回動させるための軸部39が設けられている。本実施形態の軸部39は、上下方向(z軸方向)に延びており、開口部32の縁32s(本例では、取付フレーム41の固定部41A)に取り付けられている。このような軸部39により、図6(b)に示されるように、z軸方向の軸心周りに、可動片38が回動されうる。
【0048】
本実施形態の可動片38は、その一端38aが開口部32の縁32sに取り付けられることで、固定位置P1(図6(b)において二点鎖線で示す)と開放位置P2とに回動自在に設けられている。
【0049】
図6(a)に示されるように、固定位置P1は、蓋部材31の上に可動片38が位置している。このような固定位置P1では、図2に示されるように、蓋部材31がチャンバーボックス26側に押圧されうる。本実施形態では、可動片38が蓋部材31を安定して押圧するために、固定位置P1において、可動片38の他端38bが、チャンバーボックス26(側面26C)の中心軸(本例では、z軸方向に沿って延びる円柱軸心26c)に向いているのが好ましい。
【0050】
図6(b)に示されるように、開放位置P2は、可動片38が蓋部材31から離れて位置している。このような開放位置P2では、開口部32から蓋部材31が取り外されうる。本実施形態では、可動片38の他端38bが、開口部32の縁32sに位置している。これにより、可動片38の回動を最小限に抑えつつ、開口部32から蓋部材31を取り外すことが可能となり、メンテナンス性が向上する。
【0051】
[パッキン]
図3に示されるように、蓋部材31の周縁部31pには、開口部32の受け部36との間の気密性を維持するためのリング状のパッキン40が設けられるのが好ましい。このようなパッキン40により、蓋部材31と開口部32との気密性が確保され、開口部32からの空気の進入がより確実に防止されうる。パッキン40を形成する材料は、上記の気密性を確保することができれば、適宜採用されうる。材料の一例には、ポリウレタンフォーム等が挙げられる。
【0052】
図7は、蓋部材31に設けられたパッキン40の断面図である。本実施形態のパッキン40の蓋部材31側を向く上面40uは、蓋部材31の周縁部31pに固着されている。本実施形態の周縁部31pは、蓋部材31の半径方向内側に向かって、上方に傾斜している。さらに、パッキン40の厚さは、一定に形成されている。これにより、パッキン40の受け部36側を向く下面40dは、蓋部材31を受け部36に載置した初期載置状態において、受け部36との接触面積を減らすように、パッキン半径方向内側に向かって、上方に傾斜している。本実施形態において、「初期載置状態」は、図6(b)に示した可動片38が開放位置P2となっており、蓋部材31がチャンバーボックス26側に押圧される前の状態を示している。
【0053】
パッキン40は、初期載置状態において、受け部36との接触面積が小さいため、小さな圧縮力(押圧力)で受け部36に密着することができる。これにより、蓋部材31と開口部32との気密性を確保するために必要な蓋部材31への押圧力が小さくなり、蓋部材31を開口部32に容易に閉じることが可能となる。このような気密性の確保と、押圧力の低下とを実現するために、初期載置状態において、パッキン40の下面40dと開口部32の受け部36との角度θ1が、5~20度に設定されるのが好ましい。
【0054】
本実施形態では、初期裁置状態において、パッキン40の下面40dが、パッキン半径方向内側に向かって、上方に傾斜している態様が例示されたが、このような態様に限定されない。例えば、パッキン40の下面40dは、パッキン半径方向内側に向かって、下方に傾斜していてもよい。このようなパッキン40も、小さな圧縮力で受け部36に密着することができる。
【0055】
また、本実施形態では、パッキン40の上面40uが蓋部材31の周縁部31pに固着される態様が例示されたが、このような態様に限定されない。例えば、パッキン40の下面40dが、開口部32の受け部36に固着されてもよい。この場合、パッキン40の上面40uは、初期載置状態において、周縁部31pとの接触面積を減らすように、パッキン半径方向内側に向かって、上方又は下方に傾斜するのが好ましい。このようなパッキン40は、これまでのパッキン40と同様に、小さな圧縮力(押圧力)で周縁部31pに密着することができる。なお、パッキン40と受け部36との接触面積、及び、パッキン40と周縁部31pとの接触面積を減らすために、周縁部31pを傾斜させる態様が例示されたが、このような態様に限定されるわけではなく、例えば、受け部36を傾斜させてもよい。また、周縁部31p及び受け部36を傾斜させずに、パッキン40の上面40u又は下面40dを傾斜させてもよい。
【0056】
[取付フレーム]
図2及び図3に示されるように、本実施形態のフィルターユニット1には、チャンバーボックス26を、建物(住宅2)の矩形状の床開口16から下方に延びる床下空間3に配置するための取付フレーム41が含まれている。このような取付フレーム41により、フィルターユニット1が、床下空間3に容易に配置されうる。
【0057】
本実施形態の取付フレーム41は、樹脂製であるのが好ましい。このような取付フレーム41は、例えば、金属製の取付フレーム(図示省略)とは異なり、錆が発生することがないため、フィルターユニット1を、例えば、塩害地域の住宅2にも設置することが可能となる。樹脂は、取付フレーム41に求められる強度や、耐熱性等を考慮して、適宜選択されうる。樹脂の一例としては、ABS樹脂等が挙げられる。
【0058】
本実施形態の取付フレーム41は、固定部41Aと、垂下部41Bとを含んで構成されている。
【0059】
[固定部]
本実施形態の固定部41Aは、中央が開口し、かつ、床開口16に固定可能とされている。本実施形態の固定部41Aは、第1部分43と、第2部分44と、第3部分45とを含んで構成されている。
【0060】
図2及び図4に示されるように、本実施形態の第1部分43は、x軸-y軸の平面に広がる板状に形成されている。図3に示されるように、第1部分43の下面43dの少なくとも一部は、床開口16に設けられた枠体18の上面18uに当接する。これにより、図2に示されるように、第1部分43を含む取付フレーム41が、床開口16(床6)に安定して支持されうる。
【0061】
第1部分43の外周部43pは、床開口16の内周面16iに沿って配置される。この第1部分43は、枠体18の上面18uに配された後に、例えば、図2に示されるように、床開口16の内周面16iに沿って配される固定枠体46によって、上面18uとの間で固定されてもよい。また、第1部分43の中央は、開口している。
【0062】
図2及び図4に示されるように、本実施形態の第2部分44は、x軸-y軸の平面に広がる板状に形成されている。図3に示されるように、第2部分44の下面44dの少なくとも一部は、チャンバーボックス26が取付フレーム41に取り付けられたときに、チャンバーボックス26の上面26Aに当接する。これにより、チャンバーボックス26が、取付フレーム41に安定して支持されうる。
【0063】
図4に示されるように、第2部分44の外周部44pは、第1部分43の開口43oと同一の形状に形成されてもよい。第2部分44の中央は、開口している。この第2部分44の開口44oは、第1部分43の開口43oよりも小さく形成されている。この開口44oは、チャンバーボックス26の蓋部材31(第1部分31A)と同様に、z軸方向から見た平面視において、円形状に形成されている。
【0064】
本実施形態の第3部分45は、第1部分43(開口43o)と、第2部分44(外周部44p)との間を、z軸方向に延びる板状に形成されている。図3に示されるように、第3部分45の外周面45pの少なくとも一部は、床開口16の枠体18の内周面18iに当接する。これにより、図2に示されるように、第3部分45を含む取付フレーム41が、床開口16(床6)に安定して支持されうる。
【0065】
[垂下部]
垂下部41Bは、固定部41Aが床開口に固定されたときに、固定部41Aから下方に筒状に延びている。図3に示されるように、本実施形態の垂下部41Bは、第2部分44の外周部44pから下方(z軸方向)に延びる板状に形成されている。この垂下部41Bの外周面41Bpの少なくとも一部は、床開口16の枠体18の内周面18iに当接する。これにより、図2に示されるように、垂下部41Bを含む取付フレーム41が、床開口16(床6)に安定して支持されうる。
【0066】
図3及び図4に示されるように、垂下部41Bには、チャンバーボックス26を係止するための係合部48が設けられている。このような係合部48により、垂下部41Bを含む取付フレーム41は、チャンバーボックス26を支持し、かつ、チャンバーボックス26を床下空間3に配置することが可能となる。図4に示されるように、係合部48は、z軸方向からみた平面視において、チャンバーボックス26や垂下部41Bの周方向に複数設けられるのが好ましい。
【0067】
本実施形態の係合部48は、チャンバーボックス26側に設けられた凸部49と、垂下部41B側に設けられ、かつ、凸部49を受け入れてチャンバーボックス26の荷重を支持する凹部50とを含んで構成されている。このような凸部49及び凹部50により、チャンバーボックス26が垂下部41Bに安定して支持されうる。
【0068】
本実施形態の凸部49は、チャンバーボックス26の側面26Cに設けられている。この凸部49は、チャンバーボックス26の側面26Cのうち、上面26A側に配置されている。図8は、係合部48の凸部49及び凹部50を示す斜視図である。
【0069】
本実施形態の凸部49は、漸増凸部49Aと、主凸部49Bとを含んで構成されている。漸増凸部49Aは、チャンバーボックス26の円柱軸心周りにおいて、凸部49の一端49aから主凸部49B側にかけて、水平方向の突出厚さW1が徐々に大きくなっている。一方、主凸部49Bは、チャンバーボックス26の円柱軸心周りにおいて、漸増凸部49Aから凸部49の他端49bにかけて、水平方向の突出厚さW1が一定となっている。
【0070】
本実施形態の凹部50は、垂下部41Bの内周面41Biと、第2部分44の下面44dと、垂下部41Bの内周面41Biから突出する凸片51の上面51uとを含んで構成されている。凸片51の上面51uは、第2部分44よりも下方において、第2部分44の下面44dと平行に延びている。
【0071】
本実施形態の凹部50は、主凹部50Aと、漸減凹部50Bとを含んで構成されている。主凹部50Aは、チャンバーボックス26の円柱軸心周りにおいて、凹部50の一端50aから漸減凹部50B側にかけて、水平方向の深さD1が一定となっている。漸減凹部50Bは、チャンバーボックス26の円柱軸心周りにおいて、主凹部50Aから凹部50の他端50bにかけて、水平方向の深さD1が漸減している。
【0072】
本実施形態では、凸部49の一端49aを凹部50の一端50aに挿入し、凸部49の漸増凸部49Aを、凹部50の主凹部50Aが受け入れた後、チャンバーボックス26の円柱軸心周りの一方側に回動される。これにより、凸部49の漸増凸部49Aが、凹部50の漸減凹部50Bに嵌合され、その後、凸部49の主凸部49Bが、凹部50の主凹部50Aに嵌合されうる。
【0073】
このように、本実施形態の係合部48は、凹部50が凸部49を受け入れた後、チャンバーボックス26が、その円柱軸心周りに回動させられることにより、凸部49と凹部50とを容易に嵌合することができる。また、本実施形態では、主凸部49B及び主凹部50Aが、円柱軸心周りに延びているため、主凸部49Bの一部と主凹部50Aの一部とが重複することで、凸部49と凹部50とが安定して嵌合されうる。このため、主凸部49Bと主凹部50Aとが重複する範囲で、凹部50に対する凸部49の嵌合位置の微調整が可能となる。このような嵌合位置の微調整により、例えば、チャンバーボックス26の円柱軸心周りにおいて、図1に示した住宅2の換気経路21(ダクトA)の取り回しに応じて、空気の入口28及び出口29の位置の微調整が可能となる。したがって、フィルターユニット1の施工性が向上する。
【0074】
図2に示されるように、垂下部41Bにチャンバーボックス26が係止された後に、チャンバーボックス26が床開口16に、ビス等の固着具52を用いて固定されるのが好ましい。これにより、チャンバーボックス26が床下空間3に安定して配置されうる。チャンバーボックス26は、適宜固定されうる。
【0075】
本実施形態の固着具52は、図3に示したチャンバーボックス26の開口部32の内周面32iから、取付フレーム41の垂下部41Bを経て、床開口16の枠体18に至るように配されている。このような固着具52により、チャンバーボックス26は、床開口16に安定して固定されうる。
【0076】
図8に示されるように、本実施形態の係合部48は、凸部49がチャンバーボックス26側に設けられ、かつ、凹部50が垂下部41B側に設けられる態様が例示されたが、このような態様に限定されない。係合部48は、例えば、凸部49が垂下部41B側に設けられ、かつ、凹部50がチャンバーボックス26側に設けられてもよい。
【0077】
図9は、取付フレーム41の分解斜視図である。取付フレーム41は、複数のピース53に分解可能とされてもよい。これにより、取付フレーム41(複数のピース53)は、施工対象の住宅2(図1に示す)への輸送性や、工場等での保管性が向上する。本実施形態の取付フレーム41は、固定部41Aの開口43o、44oの軸心周りにおいて、4つのピース53に分解可能とされている。
【0078】
各ピース53は、互いに直交するように配された第1片53Aと、第2片53Bと、コーナ部53Cとを含むL字状部材である。ここで、「L字状部材」とは、z軸方向からみた平面視において、L字状に形成された部材であることを意味している。これらの第1片53A、第2片53B及びコーナ部53Cは、それぞれ、取付フレーム41の固定部41Aの一部、及び、取付フレーム41の垂下部41Bの一部を構成している。
【0079】
本実施形態の各ピース53は、固定部41Aの開口43o、44oの軸心周り(z軸方向と平行な軸心の周り)において、一方側に第1片53Aが設けられており、他方側に第2片53Bが設けられている。このため、各ピース53の第1片53Aは、開口43o、44oの軸心周りの一方側で隣接するピース53の第2片53Bと、向き合って配置されうる。
【0080】
第1片53Aには、第1端部54が形成されている。本実施形態では、第1片53Aが部分的に薄く形成されることで、第1端部54が形成されている。この第1端部54は、第1部分43及び第2部分44の各上面と、第3部分45の内周面とを部分的に凹ませることで形成されているが、このような態様に限定されない。
【0081】
第2片53Bには、第2端部55が形成されている。この第2端部55は、第1端部54を差し込み可能とされており、かつ、第1端部54との重なり代を調整可能な長さL2を有している。
【0082】
本実施形態では、第2片53Bが部分的に薄く形成されることで、第2端部55が形成されている。この第2端部55は、第1部分43及び第2部分44の各下面と、第3部分45の外周面とを部分的に凹ませること形成されているが、このような態様に限定されない。
【0083】
本実施形態では、各ピース53の第1端部54が、開口43o、44oの軸心周りの一方側で隣接するピース53の第2端部55に差し込まれることで、図4に示した取付フレーム41が形成されうる。本実施形態では、第1端部54と第2端部55との重なり代が調整されることで、開口43o、44oの軸心周りにおいて、取付フレーム41の長さが調整されうる。これにより、取付フレーム41が固定される床開口16(図2に示す)の寸法誤差が吸収されうる。したがって、取付フレーム41と床開口16との間に隙間が形成されるのが抑制され、床上空間4と床下空間3との間で空気が流入するのが防がれうる。このような作用を効果的に発揮させるために、第1端部54及び第2端部55の長さL2は、5mm~20mmに設定されるのが好ましい。
【0084】
[フィルター部材]
図1に示されるように、フィルター部材27は、空気(本例では、外気Ao(床下空気Au))を浄化するためのものである。図2に示されるように、本実施形態のフィルター部材27は、板状に形成されており、y軸-z軸の平面に広がっている。
【0085】
図2及び図3に示されるように、フィルター部材27は、上述したように、チャンバーボックス26の内部空間30を、入口28側の第1室30aと、出口29側の第2室30bとに区分するように配されている。これにより、フィルター部材27は、入口28から出口29へと流れる空気(本例では、外気Ao(床下空気Au))に対して交差する向きに配され、その空気を効率よく浄化することが可能となる。
【0086】
本実施形態のフィルター部材27は、第1フィルター部材27Aと、第2フィルター部材27Bとを含んで構成される。
【0087】
第1フィルター部材27Aには、例えば、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルターが採用されている。第1フィルター部材27Aは、HEPAフィルターに限定されるわけではなく、例えば、光触媒フィルター、活性炭脱臭フィルター、又は、電気集塵フィルター等が採用されてもよいし、これらが組み合わされてもよい。
【0088】
第2フィルター部材27Bには、例えば、メッシュ状に形成されたプレフィルターが採用されている。本実施形態の第2フィルター部材27Bは、第1フィルター部材27Aに対して、チャンバーボックス26の入口28側(空気の上流側)に配置されている。このような第2フィルター部材27Bにより、入口28から供給された床下空気Auに含まれる粗塵が濾過された後に、第1フィルター部材27Aで濾過されうる。第1フィルター部材27Aの寿命が向上し、かつ、濾過効率の低下が抑制されうる。
【0089】
図5に示されるように、本実施形態の第2フィルター部材27Bは、チャンバーボックス26(側面26C)の円柱軸心26cと交わる位置に配置された第1フィルター部材27Aに隣接して設けられている。これにより、第2フィルター部材27Bは、例えば、チャンバーボックス26の入口28に面して配される場合に比べて、濾過効率を高めつつ、圧力損失の低下が抑制されうる。
【0090】
第2フィルター部材27Bは、第1フィルター部材27Aと離間して配置されるのが好ましい。これにより、第1フィルター部材27A及び第2フィルター部材27Bの取り付け、及び、取り外しが容易となる。さらに、第1フィルター部材27Aと第2フィルター部材27Bとが離間されることで、例えば、第2フィルター部材27Bにカビ等が発生したとしても、そのカビの菌糸が、第1フィルター部材27Aに到達するのが抑制される。これにより、第1フィルター部材27Aのカビの発生が抑制され、第1フィルター部材27Aの寿命が向上する。このような作用を効果的に発揮させるために、第1フィルター部材27Aと第2フィルター部材27Bとの最短距離(x軸方向の最短距離)は、好ましくは20mm以上であり、また、好ましくは40mm以下である。
【0091】
[フィルターユニットの施工方法]
次に、本実施形態の住宅2へのフィルターユニット1の施工方法が説明される。図10(a)は、チャンバーボックス26を床下空間3内に配置する工程S1を説明する断面図である。図10(b)は、チャンバーボックス26に換気経路21を接続する工程S2、及び、取付フレーム41を床開口16に取り付ける工程S3を説明する断面図である。
【0092】
[チャンバーボックスを床下空間内に配置]
本実施形態の施工方法では、先ず、図10(a)に示されるように、床開口16から床下空間3内に、チャンバーボックス26が配置される(工程S1)。本実施形態の工程S1では、土間7の上に、チャンバーボックス26が配置される。また、チャンバーボックス26の蓋部材31(図3に示す)は、開口部32から取り外されている。さらに、図3に示したフィルター部材27は、チャンバーボックス26の内部空間30内から取り外されているが、配置されていてもよい。
【0093】
[換気経路を接続]
次に、本実施形態の施工方法では、図10(b)に示されるように、チャンバーボックス26に、換気経路21(ダクト21A)が接続される(工程S2)。本実施形態の工程S2では、図1に示した換気経路21の一端21a側が、チャンバーボックス26の入口28に接続され、図1に示した換気経路21の他端21b側が、チャンバーボックス26の出口29に接続される。
【0094】
[取付フレームを床開口に取り付け]
次に、本実施形態の施工方法では、床開口16に、取付フレーム41が取り付けられる(工程S3)。本実施形態の工程S3では、先ず、図9に示した取付フレーム41を構成する4つのピース53が、図10(a)に示した枠体18にそれぞれ配置される。このとき、図3に示した第1部分43の下面43dが、枠体18の上面18uに当接される。さらに、固定部41Aの開口43o、44oの軸心周りで隣接する4つのピース53について、第1片53Aの第1端部54が、第2片53Bの第2端部55に差し込まれる。これにより、図4に示した取付フレーム41が形成され、床開口16に取り付けられる。
【0095】
工程S3では、取付フレーム41と床開口16との間に隙間が形成されないように、図9に示した第1端部54と第2端部55との重なり代が調整されるのが好ましい。そして、本実施形態では、床開口16の内周面16iに沿って配される固定枠体46とともに、取付フレーム41が、床開口16に固定される。
【0096】
[チャンバーボックスを取り付け]
図11(a)は、取付フレーム41に、チャンバーボックス26を取り付ける工程S4を説明する断面図である。図11(b)は、チャンバーボックス26にフィルター部材27を取り付ける工程S5及びチャンバーボックス26に蓋部材31を取り付ける工程S5を説明する断面図である。
【0097】
次に、本実施形態の施工方法では、図11(a)に示されるように、取付フレーム41に、チャンバーボックス26が取り付けられる(工程S4)。本実施形態の工程S4では、取付フレーム41側に、チャンバーボックス26が持ち上げられ、取付フレーム41の垂下部41Bに、チャンバーボックス26が係止される。
【0098】
本実施形態では、図8に示されるように、垂下部41B側に設けられた凹部50が、チャンバーボックス26側に設けられた凸部49を受け入れた後に、チャンバーボックス26を、その円柱軸心周りに回動させることで、凹部50と凸部49とが嵌合される。これにより、工程S4では、図11(a)に示されるように、取付フレーム41に、チャンバーボックス26が取り付けられる。そして、上述の固着具52が用いられることで、チャンバーボックス26が床開口16に固定される。
【0099】
[フィルター部材を取り付け]
次に、本実施形態の施工方法では、チャンバーボックス26に、フィルター部材27が取り付けられる(工程S5)。工程S5では、フィルター部材27(第1フィルター部材27A及び第2フィルター部材27B)が、チャンバーボックス26の内部空間30内に配置される。これらのフィルター部材27は、チャンバーボックス26の内部空間に設けられた溝34(図4に示す)に嵌め込まれる。
【0100】
[蓋部材を取り付け]
次に、本実施形態の施工方法では、チャンバーボックス26に、蓋部材31が取り付けられる(工程S6)。本実施形態の工程S6では、図6(b)に示されるように、固定具37を構成する可動片38を開放位置P2に回動させた後に、チャンバーボックス26の開口部32(図11(a)に示す)に、蓋部材31が取り付けられる。そして、工程S6では、固定具37を構成する可動片38が開放位置P2から固定位置P1(図6(a)に示す)に回動されることで、蓋部材31をチャンバーボックス26側に押圧させて、蓋部材31が開口部32に固定される。その後、床開口16が、脱着自在な床蓋部17によって閉じられるのが好ましい。
【0101】
本実施形態の施工方法では、工程S1~工程S6が実施されることで、図1に示されるように、住宅2にフィルターユニット1が容易に設置されうる。
【0102】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【実施例0103】
図2図4に示したフィルターユニットが試作された(実施例)。実施例のフィルターユニットは、チャンバーボックスと、フィルター部材とを含んで構成されている。実施例のチャンバーボックスは、上面と下面との間を繋いで環状に延びる側面を含む円柱形状であり、入口及び出口が、フィルター部材を介して互いに対向するように、チャンバーボックスの側面にそれぞれ形成されている。
【0104】
また、比較のために、上記特許文献1に記載のフィルターユニットが試作された(比較例)。比較例のフィルターユニットは、チャンバーボックスと、フィルター部材とを含んで構成されている。比較例のチャンバーボックスは、上面と下面との間を繋いで矩形状に延びる側面を含む四角柱形状であり、入口及び出口が、フィルター部材を介して互いに対向するように、チャンバーボックスの側面にそれぞれ形成されている。
【0105】
そして、実施例及び比較例のフィルターユニットのそれぞれに、ダクトを介してファン風量測定装置が接続され、実施例のフィルターユニットの圧損係数、及び、比較例のフィルターユニットの圧損係数が取得された。圧損係数の取得には、先ず、公知の通気特性式を用いて、風量測定装置で測定された風量差から、通気率及び隙間特性値が求められた。そして、これらの通気率及び隙間特性値に基づいて、基準風量240m3/h及びダクト径0.15mでの圧損及び圧損係数が算出された。
【0106】
テストの結果、実施例のフィルターユニットの圧損係数は、比較例のフィルターユニットの圧損係数の82.5%となった。したがって、実施例のフィルターユニットは、比較例のフィルターユニットに比べて、圧力損失を小さくすることができた。
【0107】
[付記]
本発明は以下の態様を含む。
【0108】
[本発明1]
空気を浄化するためのフィルターユニットであって、
空気の入口及び出口を有するチャンバーボックスと、
前記チャンバーボックスの内部空間を、前記入口側の第1室と前記出口側の第2室とに区分するように配されたフィルター部材とを含み、
前記チャンバーボックスは、脱着自在な蓋部材によって閉じられた開口部を有する円形状の上面と、前記上面と対向する円形状の下面と、前記上面と前記下面との間を繋いで環状に延びる側面とを含む円柱形状であり、
前記入口及び前記出口は、前記フィルター部材を介して互いに対向するように、前記チャンバーボックスの前記側面にそれぞれ形成されている、
フィルターユニット。
[本発明2]
前記開口部には、前記蓋部材を固定するための固定具が設けられている、本発明1に記載のフィルターユニット。
[本発明3]
前記固定具は、一端が前記開口部の縁に取り付けられた可動片を含み、
前記可動片は、前記蓋部材を前記チャンバーボックス側に押圧するように前記蓋部材の上に位置する固定位置と、前記蓋部材が前記開口部から取り外せるように、前記蓋部材から離れて位置する開放位置とに回動自在に設けられている、本発明2に記載のフィルターユニット。
[本発明4]
前記開口部は、前記蓋部材の下面の周縁部を支持するためのリング状の受け部を備え、
前記周縁部には、前記受け部との間の気密性を維持するためのリング状のパッキンが設けられている、本発明1ないし3のいずれかに記載のフィルターユニット。
[本発明5]
前記パッキンの前記受け部側を向く下面は、前記蓋部材を前記受け部に載置した初期載置状態において、前記受け部との接触面積を減らすように、パッキン半径方向内側に向かって、上方又は下方に傾斜している、本発明4に記載のフィルターユニット。
[本発明6]
前記チャンバーボックスを、建物の矩形状の床開口から下方に延びる床下空間に配置するための取付フレームをさらに含み、
前記取付フレームは、中央が開口し、かつ、前記床開口に固定可能な固定部と、前記固定部が前記床開口に固定されたときに前記固定部から下方に筒状に延びる垂下部とを含み、
前記垂下部には、前記チャンバーボックスを係止するための係合部が設けられている、本発明1ないし5のいずれかに記載のフィルターユニット。
[本発明7]
前記係合部は、前記チャンバーボックス側に設けられた凸部と、前記垂下部側に設けられ、かつ、前記凸部を受け入れて前記チャンバーボックスの荷重を支持する凹部とを含む、本発明6に記載のフィルターユニット。
[本発明8]
前記凹部は、前記凸部を受け入れた後、前記チャンバーボックスを、その円柱軸心周りに回動させることにより、前記凸部と嵌合するように構成されている、本発明7に記載のフィルターユニット。
[本発明9]
前記取付フレームは、4つのピースに分解可能であり、
各ピースは、互いに直交するように配された第1片と、第2片と、コーナ部とを含むL字状部材であり、
前記第1片には、第1端部が形成されており、
前記第2片には、前記第1端部を差し込み可能であり、かつ、前記第1端部との重なり代を調整可能な長さを有する第2端部が形成されている、本発明6ないし8のいずれかに記載のフィルターユニット。
[本発明10]
外気を屋内に取り込むための換気経路を備えた住宅であって、
前記換気経路中に、本発明1ないし9のいずれかに記載されたフィルターユニットを備える、
住宅。
【符号の説明】
【0109】
1 フィルターユニット
26 チャンバーボックス
26A 上面
26B 下面
26C 側面
27 フィルター部材
28 入口
29 出口
30 内部空間
31 蓋部材
32 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
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図11