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  • 特開-ボトル充填なめ茸 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012189
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】ボトル充填なめ茸
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/00 20160101AFI20250117BHJP
   A47J 43/28 20060101ALI20250117BHJP
   B65B 25/04 20060101ALI20250117BHJP
   A23B 7/00 20060101ALI20250117BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20250117BHJP
   B65D 1/02 20060101ALI20250117BHJP
   B65D 47/08 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
A23L19/00 101
A47J43/28
B65B25/04 D
A23B7/00 101
A23L5/00 G
B65D1/02 100
B65D47/08 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114847
(22)【出願日】2023-07-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 下記の日付にて、丸善食品工業株式会社が、特許出願の発明である『ボトル充填なめ茸』を公開した。 1.2022年9月22日、発明を小林容器株式会社に公開。 2.2022年9月28日、発明を株式会社フジシールに公開。 3.2022年10月27日、発明を株式会社吉野工業所に公開。 4.2022年11月15日、発明を株式会社吉野工業所に公開。 5.2022年12月15日、発明を株式会社イトーヨーカ堂に公開。 6.2022年12月20日、発明を株式会社ヨークに公開。 7.2023年1月18日、発明を株式会社オザムに公開。 8.2023年1月23日、発明を株式会社日本アクセス、株式会社ヤオコーに公開。 9.2023年1月25日、発明をユアサ・フナショク株式会社に公開。 10.2023年1月27日、発明を株式会社サンベルクスに公開。 11.2023年1月31日、発明を株式会社ベイシアに公開。 12.2023年2月2日、発明を国分グループ本社株式会社に公開。 13.2023年2月10日、発明を株式会社日本アクセスに公開。 14.2023年2月20日、発明を大阪シーリング印刷株式会社に公開。 15.2023年3月1日、発明をヤマエ久野株式会社株式会社に公開。 16.2023年3月10日、発明を国分西日本株式会社に公開。 17.2023年3月10日、発明を東洋ガラス株式会社に公開。 18.2023年3月17日、発明を東洋製罐株式会社に公開。 19.2023年3月23日、発明を大和製罐株式会社に公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 20.2023年4月6日、発明を株式会社日刊経済通信社に公開。 21.2023年4月13日、発明を共立金属工業株式会社に公開。 22.2023年4月27日、発明を共同印刷株式会社に公開。 23.2023年5月23日、発明を三菱食品株式会社に公開。 24.2023年6月13日、発明をイオンリテール株式会社に公開。 25.2023年6月15日、発明を株式会社日本食糧新聞に公開。 26.2023年3月15日、発明を丸善食品工業株式会社のフェイスブックに公開。 27.2023年4月11日、発明を丸善食品工業株式会社のフェイスブックへ公開。 28.2023年6月13日、発明を丸善食品工業株式会社のフェイスブックへ公開。 29.2023年3月15日、発明をテーブルランド株式会社インスタグラムへ公開。 30.2023年4月4日、発明をテーブルランド株式会社インスタグラムへ公開。 31.2023年4月11日、発明をテーブルランド株式会社インスタグラムへ公開。 32.2023年5月16日、発明をテーブルランド株式会社インスタグラムへ公開。 33.2023年6月13日、発明をテーブルランド株式会社インスタグラムへ公開。 34.2023年6月30日、日本食糧新聞に発明を公開。 35.2023年6月30日、日本食糧新聞電子版に発明を公開。 36.2023年4月19日、日刊食品通信に発明を公開。 37.2023年3月24日、おためし新商品ナビウェブサイトに発明を公開。 38.2023年4月28日、おためし新商品ナビウェブサイトに発明を公開。 39.2023年5月10日、おためし新商品ナビウェブサイトに発明を公開。 40.『ボトル充填なめ茸納品先リスト』に記載の出荷日および出荷先に、発明品を出荷。
(71)【出願人】
【識別番号】394018591
【氏名又は名称】丸善食品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】保坂 和仁
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 誠
【テーマコード(参考)】
3E028
3E033
3E084
4B016
4B035
4B053
4B169
【Fターム(参考)】
3E028AA01
3E028BA04
3E028HA02
3E033AA01
3E033BA13
3E033BA15
3E033DA02
3E033DA09
3E033DB01
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA25
3E084AB06
3E084BA03
3E084CA01
3E084CB01
3E084CC04
3E084DA01
3E084DC04
3E084FA02
3E084GA06
3E084GB06
3E084LA03
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD01
4B016LE03
4B016LG14
4B016LP03
4B016LP06
4B016LP10
4B016LP13
4B035LC16
4B035LE11
4B035LG39
4B035LP46
4B035LP59
4B053AA03
4B053CA30
4B169AB05
4B169HA17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】合成樹脂製の容器にすることで取り扱い中や流通上における容器破損を防止すると共に、スプーンを用いなくても容易になめ茸が取り出し可能なボトル充填なめ茸を提供すること。
【解決手段】キャップ付き合成樹脂製ボトル100に充填されたなめ茸を、キャップ120に形成された注ぎ口121から注ぎ出して用いられるボトル充填なめ茸であって、キャップ120は、注ぎ口121における開口径が16.2~25.0mmであると共に、注ぎ口121を開口・閉塞する蓋体123を有し、なめ茸のボストウィック型粘度計により計測された粘度が、品温20℃において70mm/30秒よりも緩いことを特徴とするボトル充填なめ茸である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップ付き合成樹脂製ボトルに充填されたなめ茸を、キャップに形成された注ぎ口から注ぎ出して用いられるボトル充填なめ茸であって、
前記キャップは、前記注ぎ口における開口径が16.2~25.0mmであると共に、前記注ぎ口を開口・閉塞する蓋体を有し、
前記なめ茸のボストウィック型粘度計により計測された粘度が、品温20℃において70mm/30秒よりも緩いことを特徴とするボトル充填なめ茸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル充填なめ茸に関するものである。
【背景技術】
【0002】
株の状態から石突を取り除いた後に所要長さに裁断したえのき茸を醤油、味醂、日本酒、食塩等と共に混ぜながら加熱調理したなめ茸は、日本人の食生活において古から慣れ親しまれている。このようななめ茸は、ガラス製容器(ガラス瓶)に瓶詰めされた状態で流通していることが多い。特許文献1(特開2000-335540号公報)には、なめ茸の取り出しを容易に行うことが可能な瓶状容器の構造例が開示されている。
【0003】
特許文献1においては、瓶状容器に瓶詰めされたなめ茸をスプーンで取り出しやすくするための容器本体の高さ寸法、容器本体の高さと胴部の長径との比、容器本体の高さと胴部の短径の比が最適化されている。これにより、従来のなめ茸(のガラス容器)のイメージを損なうことなく、容器本体からのなめ茸の取り出しが容易に行えるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-335540号公報(請求項1,請求項2,図1図3図5等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている瓶状容器は、ガラス容器であるため、取り扱い中や流通上で容器破損のおそれがあり、改善の余地がある。また、容器本体からなめ茸を取り出しする際にスプーンが必要になるため、煩雑であるといった課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は上記課題を解決するためのものであり、その目的とするところは次のとおりである。すなわち、合成樹脂製の容器にすることで取り扱い中や流通上での容器破損を防止することができると共に、スプーンを用いなくても容易にきのこ加工食品を取り出すことが可能なボトル充填なめ茸の提供を目的としている。
【0007】
上記課題を解決するため発明者が鋭意研究した結果、以下の構成に想到した。すなわち、本発明は、キャップ付き合成樹脂製ボトルに充填されたなめ茸を、キャップに形成された注ぎ口から注ぎ出して用いられるボトル充填なめ茸であって、前記キャップは、前記注ぎ口における開口径が16.2~25.0mmであると共に、前記注ぎ口を開口・閉塞する蓋体を有し、前記きのこ加工食品のボストウィック型粘度計により計測された粘度が、品温20℃において70mm/30秒よりも緩いことを特徴とするボトル充填なめ茸である。
【0008】
これにより、取り扱い中や流通上における容器破損を防止することができると共に、スプーンを用いなくても容易になめ茸を取り出すことが可能になる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の構成によれば、合成樹脂製のボトルに所定配合のなめ茸を充填することで取り扱い中や流通上における容器破損を防止することができると共に、スプーンを用いなくても容易になめ茸の取り出しが可能なボトル充填なめ茸を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態におけるキャップ付き合成樹脂製ボトルの正面図である。
図2】本実施形態におけるキャップ付き合成樹脂製ボトルの蓋体を開いた状態を示す斜視図である。
図3】本実施形態におけるキャップ付き合成樹脂製ボトルの蓋体を開いた状態を示す平面図である。
図4図1に示すキャップ付き合成樹脂製ボトルになめ茸を充填したボトル充填なめ茸の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1図3に示すように、本実施形態におけるキャップ付き合成樹脂製ボトル100は、合成樹脂製のボトル本体部110とボトル本体部110に取り付けられた合成樹脂製のキャップ120を有している。本実施形態においては、合成樹脂製のボトル本体部110およびキャップ120はいずれもポリエチレン製であるが、これらの合成樹脂に限定されるものではない。ボトル本体部110は、上面が図示しない開口部を有する有底の自立可能な中空体に形成されている。ボトル本体部110の開口部にはキャップ120が嵌合等の公知の手法により着脱可能に取り付けられている。なお、ボトル本体部110とキャップ120は、ボトル本体部110の開口部に形成された雄ねじ部をキャップ120に形成された雌ねじ部に螺着させることにより着脱可能とした形態を採用することもできる。
【0012】
キャップ120は、ボトル本体部110の開口部に連通する注ぎ口121が形成されたキャップ本体部122と、注ぎ口121を開口・閉塞する蓋体123を有している。注ぎ口121の開口径は、直径16.2~25.0mmに形成されており、注ぎ口121にはプルトップ型の栓124が配設されている。ボトル本体部110の開口部に貼着されている封止用フィルム(いずれも図示はせず)の剥ぎ取りと注ぎ口121から栓124を分離することによりキャップ付き合成樹脂製ボトル100(後述するボトル充填なめ茸300)を開封することができる。注ぎ口121には、注ぎ口121の外周縁に沿って壁体125が立設されている。壁体125は、注ぎ口121の上端部所要高さ範囲が径外方向に向けて徐々に下方に凸となるように湾曲しながら拡径する湾曲傾斜面125Aに形成されている。壁体125の上端部は高位上端部125Bと低位上端部125Cを有している。低位上端部125Cはヒンジ部126側に配設されており、高位上端部125Bは低位上端部125Cと向かい合う平面位置に配設されている。これらにより充填物であるなめ茸200の注ぎ出し後における注ぎ口121からのなめ茸200の垂れ落ちを防止することができる。
【0013】
蓋体123は、ヒンジ部126を介してキャップ本体部122に対して接離動可能(回動可能)な状態でキャップ本体部122と一体に形成されている。栓124を注ぎ口121から分離させた後は、蓋体123により注ぎ口121を閉塞することができる。これにより、キャップ付き合成樹脂製ボトル100(ボトル本体部110)の内容物であるなめ茸200と空気との接触を抑えることができ、キャップ付き合成樹脂製ボトル100に充填されているなめ茸200の乾燥が防止できる。また、蓋体123には、壁体125の中途高さ位置における内径寸法と等しい外径寸法に形成された起立片123Aが形成されている。蓋体123により注ぎ口121を閉塞すると起立片123Aと壁体125とが当接した状態になり、キャップ付き合成樹脂製ボトル100が横向きになった状態であっても、なめ茸200の流出を防止することができる。
【0014】
図4は、以上のように形成されたキャップ付き合成樹脂製ボトル100になめ茸200を充填したボトル充填なめ茸300の正面図である。キャップ付き合成樹脂製ボトル100になめ茸200を充填する際には、ボトル本体部110の開口部から公知の手法により充填することができる。ボトル本体部110に所定量のなめ茸200が充填された後、開口部を封止用フィルムによって封止した後に、ボトル本体部110の開口部にキャップ120が装着された後、キャップ付き合成樹脂製ボトル100に包装用フィルムFが装着される。
【0015】
きのこ加工食品としてのなめ茸200は、所定長さに裁断された所定容量のえのき茸に所定の調味料と混合させた後、加熱して水分を取り除き、所定の粘度(粘性)を有する流動体に調製されている。なめ茸200の具体的な製造方法は公知であるため、ここでの詳細な説明は省略する。本実施形態におけるなめ茸200の粘度は、ボストウィック型粘度計により計測した際の数値が、品温5~20℃の範囲内において70mm/30秒よりも緩く(70mm/30秒よりも粘度が低い)になっている。冷蔵(5℃)から常温(20℃)の温度帯におけるボストウィック型粘度計での計測値が70mm/30秒を超えることで、ボトル充填なめ茸300を冷蔵庫から取り出した直後でも、なめ茸200を容易に取り出すことができる。また、常温においてもキャップ付き合成樹脂製ボトル100からなめ茸200が必要以上に流れ出てしまうことも防止できる点において好都合である。
【0016】
出願人は、以上に説明したキャップ付き合成樹脂製ボトル100に充填するなめ茸200について固形量に応じた物性を確認する実験1を行った。具体的には、同一のボトル本体部110に複数の配合のなめ茸200を充填し、ボストウィック型粘度計(75g30秒間)による常温(20℃)での3回の粘度の計測値(ボストウィック粘度)が計測されている。また、出願人は、実験1においてボストウィック型粘度計になめ茸200を投入する際におけるボトル本体部110からのなめ茸200の取り出しやすさも記録した。本実施形態において出願人は、4種類の配合(配合A~配合D)のなめ茸200について実験1を行った。表1は実験1の結果をまとめたものである。
【0017】
【表1】
【0018】
表1より、配合B(固形量50%)と配合C(固形量45%)と、配合D(固形量30%)のなめ茸200は、ボトル本体部110に力を加えずになめ茸200を取り出すことができた。実験1の結果から、ボトル本体部110(キャップ付き合成樹脂製ボトル100)に充填するなめ茸200の配合は配合C(固形量45%)が最適である。また、配合B(固形量50%)と配合D(固形量30%)のなめ茸200については、食感の好みに応じて適宜選択することも可能であるといえる。
【0019】
次に出願人は、実験1において本実施形態におけるボトル本体部110(キャップ付き合成樹脂製ボトル100)に最適な配合C(固形量45%)であるなめ茸200について、常温(20℃)と冷蔵(5℃)の温度帯における粘度の確認を行う実験2を行った。具体的には、実験1と同じ方法でボストウィック型粘度計を用いたなめ茸200の粘度の計測が3回行われている。出願人は、実験2の比較対象として、自社の従来品(固形量65%)についても配合C(固形量45%)のなめ茸200と同様の計測を行った。表2は、実験2の計測結果をまとめたものである。
【0020】
【表2】
【0021】
表2より、配合C(固形量45%)のなめ茸200は、常温と冷蔵のいずれの温度帯においてもボストウィック粘度の計測値が70mmを超えている。これに対して自社従来品については、常温と冷蔵のいずれの温度帯においてもボストウィック粘度の計測値が配合Cの計測値の半分を下回っている。通常、ボトル充填なめ茸300は開封前であれば常温で保存されているが、開封後は冷蔵保存が望まれている。表2の結果から、本実施形態における配合C(固形量45%)のなめ茸200は、常温および冷蔵のいずれの温度帯であっても、きわめて容易にボトル本体部110(キャップ付き合成樹脂製ボトル100)からなめ茸200の取り出しを行うことができるといえる。このように本実施形態におけるボトル充填なめ茸300によれば、キャップ付き合成樹脂製ボトル100からなめ茸200の取り出しをする際は、従来品のようにスプーン等を用いる必要がなく、ボトル本体部110の注ぎ口121を下向きに傾けるだけでよい。
【0022】
次に出願人は、キャップ付き合成樹脂製ボトル100に装着するキャップ120の開口部分の大きさと、キャップ付き合成樹脂製ボトル100からのなめ茸200の取り出し量についての比較を行う実験3を行った。実験3ではキャップ付き合成樹脂製ボトル100へのなめ茸200の充填量を160gとして、注ぎ口121を鉛直軸に対して45度の角度で下向きにした状態にして3秒間で注ぎ口121から流出したなめ茸200の質量が3回計測されている。表3は、実験3における3回の計測値と3回の計測値の平均値をまとめたものである。なお、実験3においては、汎用品のキャップ120における注ぎ口121の開口径寸法と同じ寸法での計測が行われている。
【表3】
【0023】
表3より、常温と冷蔵のいずれの温度帯においてもキャップ120の注ぎ口121の開口径は16.2mmと25.0mmの場合の流出量が使い勝手が良好である。実験3においては、開口径が14.0mmの場合、取り出し量が少なすぎ、開口径が25.0mmの場合はなめ茸200の取り出し量が多めになるため、16.2mmの開口径が最も使い勝手が良好であるといえる。なお、実験3においては、開口径が25.0mmのときの冷蔵時におけるなめ茸200の流出量がキャップ付き合成樹脂製ボトル100へのなめ茸200の充填量である160gに迫っているため、実験対象の開口径は25.0mmを上限としている。
【0024】
次に出願人は、表3において最も使い勝手が良好と思われる注ぎ口121の開口径(径寸法)が16.2mmのキャップ120を用いてキャップ付き合成樹脂製ボトル100からなめ茸200を取り出しする際の最適角度を求める実験4を行った。実験4は、開口径が16.2mmの注ぎ口121が形成されたキャップ120を装着したボトル充填なめ茸300を用い、蓋体123を開いて注ぎ口121を下向きにした状態にして3秒間で注ぎ口121から流出したなめ茸200の質量の計測を3回行った。表4は、鉛直軸に対するキャップ付き合成樹脂製ボトル100の中心軸の鉛直軸に対する傾斜角度と実験4の結果をまとめたものである。
【表4】
【0025】
表4より、傾斜角度が30度、45度および60度の計測値が良好である。なかでも傾斜角度45が最適であるといえる。傾斜角度75度における実験結果はばらつきが大きく、平均計測値も1ケタの数値であるため、良好な結果には含めていない。傾斜角度90度における実験結果には計測値に0.0が含まれており、平均計測値も1ケタの数値であるため、良好な結果には含めていない。
【0026】
次に出願人は、表3と表4における最適条件を採用し、常温と冷蔵のそれぞれの温度帯において静置状態と振盪状態のボトル充填なめ茸300を用いたキャップ付き合成樹脂製ボトル100からのなめ茸200の取り出し量を比較する実験5を行った。具体的には、注ぎ口121の径寸法が16.2mmのキャップ120を装着したボトル充填なめ茸300を用い、蓋体123を開いたキャップ付き合成樹脂製ボトル100の中心軸の鉛直軸に対する傾斜角度を45度にして注ぎ口121を下向きにした状態とした。この状態が3秒間維持されている間の注ぎ口121からのなめ茸200の流出量の質量計測を5回行った。表5は、ボトル充填なめ茸300の実験5の直前状態(静置状態と振盪状態)に対応する実験結果をまとめたものである。
【表5】
【0027】
表5より、常温および冷蔵のいずれの温度帯、静止および振盪のいずれの状態であっても、キャップ付き合成樹脂製ボトル100からのなめ茸200の取り出し量は良好であった。本実験結果から、温度帯の相違や実験前におけるボトル充填なめ茸300の状態の相違はキャップ付き合成樹脂製ボトル100からのなめ茸200の取り出し量に大きな影響がないといえる。
【0028】
以上の実験結果からも明らかなように、合成樹脂製のボトル本体部110とボトル本体部110に装着されるキャップ120を有するキャップ付き合成樹脂製ボトル100において、キャップ120の注ぎ口121における開口径が16.2~25.0mmであること。また、注ぎ口121を開口・閉塞する蓋体123が備わっていること。そして、キャップ付き合成樹脂製ボトル100に充填されるなめ茸200のボストウィック型粘度計により計測された粘度が、品温5℃~20℃の範囲において70mm/30秒よりも緩いこと。これらの要件を備えたボトル充填なめ茸300とすることにより、ボトル本体部110に充填される内容物であるなめ茸200の質量に対するキャップ付き合成樹脂製ボトル100の質量をガラス製容器の質量に比べて大幅に軽量化することができると共に、取り扱い中や流通上で容器破損のおそれがない。また、ボトル本体部110に充填されているなめ茸200を注ぎ口121から容易に取り出すことができるため、スプーン等の準備が不要になる点においても使い勝手が良好である。
【0029】
以上にボトル充填なめ茸300について実施形態に基づいて説明したが、本発明は以上の実施形態に限定されるものではない。例えば、以上の実施形態においては、キャップ120には注ぎ口121を開口・閉塞する蓋体123がキャップ本体部122に一体に形成された形態を例示しているが、この形態に限定されるものではない。キャップ本体部122とは別体に形成され、キャップ本体部122に着脱可能な蓋体123の形態を採用することができる。
【0030】
また、以上の実施形態におけるキャップ120については、注ぎ口121にプルトップ型の栓124を配設した形態が例示されているが、この形態に限定されるものではない。ボトル本体部110の開口部が封止用フィルムにより封止されているのであれば、注ぎ口121への栓124の配設は省略することもできる。
【0031】
また、以上の実施形態におけるキャップ120の注ぎ口121には、内側面が湾曲傾斜面125Aに形成された高位上端部125Bと低位上端部125Cを有する壁体125が立設されているが、この形態に限定されるものではない。キャップ120の注ぎ口121は、単純な筒状に形成した形態を採用することもできる。
【0032】
さらに以上の実施形態における蓋体123は、壁体125の中途高さ位置における内径寸法と等しい外径寸法に形成された起立片123Aが配設されているが、蓋体123への起立片123Aの配設を省略した形態を採用することもできる。
【0033】
そして以上に説明した変形例の他、実施形態において説明した変形例等を適宜組み合わせた形態を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0034】
100:キャップ付き合成樹脂製ボトル
110:ボトル本体部
120:キャップ,121:注ぎ口,122:キャップ本体部,
123:蓋体,123A:起立片,
124:栓,
125:壁体,125A:湾曲傾斜面,125B:高位上端部,125C:低位上端部,
126:ヒンジ部
200:なめ茸
300:ボトル充填なめ茸
F:包装用フィルム
図1
図2
図3
図4