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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001220
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】移送器具
(51)【国際特許分類】
   A61M 31/00 20060101AFI20241225BHJP
   A61F 2/08 20060101ALI20241225BHJP
   A61M 37/00 20060101ALI20241225BHJP
   C12N 5/071 20100101ALN20241225BHJP
   A61L 27/38 20060101ALN20241225BHJP
【FI】
A61M31/00
A61F2/08
A61M37/00
C12N5/071
A61L27/38 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100696
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】早川 浩一
【テーマコード(参考)】
4B065
4C066
4C081
4C097
4C267
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065BC41
4B065CA44
4C066AA10
4C081AB11
4C081BA12
4C081CD34
4C081DA02
4C097AA20
4C097BB01
4C097CC03
4C097CC04
4C097CC07
4C097EE01
4C097EE07
4C267AA72
4C267BB26
4C267CC19
4C267GG01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】医療用シートを処置対象部へとより効率的に移送することができる移送器具を提供する。
【解決手段】移送器具10において、第1支持部26の先端縁部100は、係止凸部102と、第1支持部26の幅方向において係止凸部102に隣接して形成された凹部とを有する。係止凸部102は、先端方向に向かって上方に傾斜するように突出している。凹部は、第2シャフト48の通過を許容する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用シートを生体の処置対象部に移送するための移送器具であって、
第1シャフトと、前記第1シャフトの先端部に設けられて第1支持面を有する第1支持部とを含む第1キャリア部材と、
前記第1シャフトに沿って延在して前記第1シャフトに沿って移動可能な第2シャフトと、前記第2シャフトの先端部に設けられて前記第1支持面よりも小さい第2支持面を有する第2支持部とを含む第2キャリア部材と、
を備え、
前記医療用シートは、前記第1支持面と前記第2支持面とによって支持され、
前記第1支持部は、前記第2支持部及び前記第2シャフトと向かい合う前記第1支持面を含む表面と、前記表面の反対面である裏面とを有し、
前記第1支持部の先端縁部は、前記第1支持面の先端から突出する係止凸部と、前記第1シャフトの軸方向と直交する前記第1支持部の幅方向において前記係止凸部に隣接して形成された凹部とを有し、
前記裏面から前記表面に向かう方向を上方としたとき、前記係止凸部は、先端方向に向かって上方に傾斜するように突出し、
前記凹部は、前記第2シャフトの通過を許容する、移送器具。
【請求項2】
請求項1記載の移送器具において、
前記第1支持部は、前記幅方向に互いに離間した一対の前記係止凸部を有し、
前記凹部は、一対の前記係止凸部の間に形成される、移送器具。
【請求項3】
請求項1又は2記載の移送器具において、
前記係止凸部は、前記第1支持部の先端縁部を前記先端方向に対して10°~60°の角度の範囲内で折り曲げることにより形成される、移送器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用シートを生体の処置対象部に移送するための移送器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、例えば臓器移植に用いられる医療用シート(細胞シート)を生体の処置対象部に移送するための移送器具が開示されている。この移送器具は、外筒と、外筒内に摺動可能に支持されたスライド部材と、スライド部材の先端部に設けられたシート支持部材とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-000511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医療用シートを処置対象部へとより効率的に移送することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の態様は、医療用シートを生体の処置対象部に移送するための移送器具であって、第1シャフトと、前記第1シャフトの先端部に設けられて第1支持面を有する第1支持部とを含む第1キャリア部材と、前記第1シャフトに沿って延在して前記第1シャフトに沿って移動可能な第2シャフトと、前記第2シャフトの先端部に設けられて前記第1支持面よりも小さい第2支持面を有する第2支持部とを含む第2キャリア部材と、を備え、前記医療用シートは、前記第1支持面と前記第2支持面とによって支持され、前記第1支持部は、前記第2支持部及び前記第2シャフトと向かい合う前記第1支持面を含む表面と、前記表面の反対面である裏面とを有し、前記第1支持部の先端縁部は、前記第1支持面の先端から突出する係止凸部と、前記第1シャフトの軸方向と直交する前記第1支持部の幅方向において前記係止凸部に隣接して形成された凹部とを有し、前記裏面から前記表面に向かう方向を上方としたとき、前記係止凸部は、先端方向に向かって上方に傾斜するように突出し、前記凹部は、前記第2シャフトの通過を許容する、移送器具である。
【0006】
この構成によれば、第1支持面と第2支持面とにより医療用シートを支持した状態から、第1シャフトに沿って第2シャフトを移動させることで、医療用シートを処置対象部へと効率的に移送することができる。
【0007】
また、この構成によれば、係止凸部は、第1支持部の第1支持面の先端から斜め上方に突出している。凹部は、係止凸部に隣接して形成され、第2シャフトの通過を許容する。これにより、第1支持面と第2支持面とにより医療用シートを支持した状態から、凹部を介して第2シャフトを先端方向に移動させ、医療用シートを処置対象部に移送させることができる。また、医療用シートを処置対象部に移送した後、第1シャフトに沿って第2シャフトを基端方向に移動させる場合に、第2支持部と共に医療用シートが戻ってくるときには、医療用シートが係止凸部に当接するので、処置対象部に配置された医療用シートが第1支持部に戻ることを阻止することができる。
【0008】
(2)上記の(1)記載の移送器具において、前記第1支持部は、前記幅方向に互いに離間した一対の前記係止凸部を有し、前記凹部は、一対の前記係止凸部の間に形成されてもよい。
【0009】
この構成によれば、医療用シートを処置対象部に移送した後、第1シャフトに沿って第2シャフトを基端方向に移動させる場合に、第2支持部と共に医療用シートが戻ってくるときには、医療用シートが一対の係止凸部に当接する。この結果、処置対象部に配置された医療用シートが第1支持部に戻ることを効果的に阻止することができる。
【0010】
(3)上記の(1)又は(2)記載の移送器具において、前記係止凸部は、前記第1支持部の先端縁部を前記先端方向に対して10°~60°の角度の範囲内で折り曲げることにより形成されてもよい。
【0011】
この構成によれば、医療用シートを処置対象部に移送した後、第1シャフトに沿って第2シャフトを基端方向に移動させる場合に、第2支持部と共に医療用シートが戻ってくるときには、医療用シートが係止凸部に当接する。この結果、処置対象部に配置された医療用シートが第1支持部に戻ることをより効果的に阻止することができる。また、係止凸部が10°~60°の角度の範囲内で折り曲げられているので、第1シャフトに沿って第2シャフトが先端方向に移動するときに、第2支持部が係止凸部を乗り越えやすくなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1支持面と第2支持面とにより医療用シートを支持した状態から、第1シャフトに沿って第2シャフトを移動させることで、医療用シートを処置対象部へと効率的に移送することができる。
【0013】
また、本発明によれば、係止凸部は、第1支持部の第1支持面の先端から斜め上方に突出している。凹部は、係止凸部に隣接して形成され、第2シャフトの通過を許容する。これにより、第1支持面と第2支持面とにより医療用シートを支持した状態から、凹部を介して第2シャフトを先端方向に移動させ、医療用シートを処置対象部に移送させることができる。また、医療用シートを処置対象部に移送した後、第1シャフトに沿って第2シャフトを基端方向に移動させる場合に、第2支持部と共に医療用シートが戻ってくるときには、医療用シートが係止凸部に当接するので、処置対象部に配置された医療用シートが第1支持部に戻ることを阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施形態に係る移送器具の斜視図である。
図2図2は、図1の移送器具の分解斜視図である。
図3図3は、図1の移送器具の先端部の平面図である。
図4図4は、図3のIV-IV線に沿った縦断面図である。
図5図5は、図3のV-V線に沿った横断面図である。
図6図6は、図1の移送器具を用いた医療用シートの移送方法の手順を示すフローチャートである。
図7図7は、シート載置工程での医療用シートの配置を示す第1説明図である。
図8図8は、シート載置工程での医療用シートの配置を示す第2説明図である。
図9図9は、収容工程の説明図である。
図10図10は、図9のX-X線に沿った横断面図である。
図11図11は、配置工程の説明図である。
図12図12は、展開工程の説明図である。
図13図13は、移動工程の説明図である。
図14図14は、抜去工程の第1説明図である。
図15図15は、抜去工程の第2説明図である。
図16図16は、抜去工程の第3説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る移送器具10の斜視図である。移送器具10は、医療用シート300を生体の処置対象部に移送するための医療機器である。移送器具10は、例えば、虚血性心疾患による重症心不全の治療に使用される。この場合、医療用シート300は、心臓400の移植対象部402(生体の処置対象部)に移植される(図11図16参照)。移送器具10では、複数枚の医療用シート300を移植対象部402に貼付することができる。
【0016】
このような医療用シート300は、医療用途の医薬品や再生医療等製品、医療機器等を含む。医療用シート300は、フィルム状、膜状(ゲル状の物体)等のシート状に形成されている。医療用シート300は、フィブリン等を塗布して補強されてもよい。細胞を含む再生医療等製品は、例えば、細胞シート(シート状細胞培養物)、スフェロイド等を含む。細胞シートは、自家細胞又は他家細胞を培養して形成することができる。細胞シートを構成する細胞は、例えば、体性幹細胞(somatic stem cells)(成体幹細胞(adult stem cells))、間葉系幹細胞(mesenchymal stem cells)、又はiPS細胞(人工多能性幹細胞:induced Pluripotent Stem Cells)由来心筋細胞を含む。体性幹細胞は、好ましくは、骨格筋芽細胞(筋芽細胞(myoblast cells))を含む。
【0017】
医療用シート300は、組織接着剤、局所麻酔剤等を含んでもよい。医療用シート300の厚さは、例えば、約100μmであり、医療用シート300の直径は、例えば、約60mmである。ただし、医療用シート300の厚さ及び直径(大きさ)は、適宜設定可能である。
【0018】
医療用シート300は、心臓400以外の臓器(例えば、肺、肝臓、膵臓、腎臓、小腸、食道等)に移植されるシートであってもよい。また、医療用シート300は、医療用途であれば、例えば、癒着を防止するためのシートであってもよい。
【0019】
図1及び図2に示すように、移送器具10は、器具本体12と、内視鏡14と、固定部材16とを備える。器具本体12は、第1キャリア部材18と、第2キャリア部材20と、外筒22とを有する。なお、移送器具10は、内視鏡14を備える場合に限定されない。
【0020】
図2において、第1キャリア部材18は、第1シャフト24及び第1支持部26を有する。
【0021】
第1シャフト24は、第1内腔28を有する管状体(本実施形態では、円管部材)である。第1内腔28は、第1シャフト24の先端(矢印X1方向の端)に開口すると共に第1シャフト24の基端(矢印X2方向の端)に開口する。第1シャフト24の基端には、第2シャフト48の外周面に密着する気密用の弁体55が設けられる。弁体55の外周面にはマーカ551が設けられる。移送器具10を使用するとき、ユーザがマーカ551を視認可能である。なお、第1シャフト24は、管状体に限定されるものではなく、管状体でなくてもよい。
【0022】
第1シャフト24は、外筒22の軸方向に延在して外筒22の内部に軸方向に沿って移動可能に配置される。第1シャフト24は、例えば、樹脂材料によって構成されている。第1シャフト24の構成材料としては、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等が挙げられる。第1シャフト24は、金属材料によって構成されてもよい。
【0023】
第1シャフト24は、可撓性を有してもよい。第1シャフト24は、曲げた形状を保持可能なフレキシブルチューブ部を有してもよい。この場合、体腔内において第1シャフト24を適宜の形状に屈曲させると共にその屈曲形状を保持できる。
【0024】
図2図4に示すように、第1支持部26は、第1シャフト24の先端部に取り付けられる。第1支持部26は、例えば、樹脂材料によって構成されている。第1支持部26は、医療用シート300を保持可能である。第1支持部26は、可撓性を有した樹脂製のシート材(フィルム材)を所定形状に折り曲げることにより形成される。第1支持部26は、例えば、シート成形型によってシート材を所定形状に成形することにより形成される。シート材の肉厚は、特に限定されないが、例えば、100μm以上200μm以下に設定されるのが好ましい。第1支持部26は、第1接合部30及び第1支持本体32を有する。
【0025】
第1支持部26の構成材料としては、特に限定されないが、透明性を有することが望ましく、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、フッ素樹脂等が挙げられる。また、第1支持部26はメッシュ状であってもよい。
【0026】
図4において、第1接合部30は、第1シャフト24の先端部の内周面に接着剤によって接着されている。接着剤としては、特に限定されないが、例えば、UV接着剤、ホットメルト接着剤、瞬間接着剤(例えば、シアノアクリレート系瞬間接着剤)等が挙げられる。第1接合部30は、第1シャフト24の内周面に熱融着されてもよい。なお、第1シャフト24の先端部に対して第1支持部26が着脱可能であってもよい。
【0027】
図2に示すように、第1支持本体32は、第1接合部30から先端方向に延出している。第1支持本体32は、基端支持部34と、中間支持部36と、一対の第1突出部38と、一対の第2突出部40と、先端支持部42とを有する。第1支持本体32は、第1支持面261を有する。第1支持面261を上方に向けたときに第1シャフト24のマーカ551が上方に向くように、マーカ551が配置される。すなわち、マーカ551によって、ユーザが第1支持部26における第1支持面261の方向を確認可能である。
【0028】
図3に示すように、基端支持部34は、その延出方向に向かって幅広に形成されている。換言すれば、基端支持部34の幅方向(矢印X1方向、矢印X2方向及び矢印Y方向(図2参照)に直交する矢印W方向)の両側部は、第1接合部30に向かってテーパ状に傾斜している。中間支持部36は、先端から基端方向(矢印X2方向)に向けて徐々に幅が小さくなるテーパ状に形成される。
【0029】
先端支持部42は、中間支持部36の先端と一対の第2突出部40の先端とに繋がっている。先端支持部42は、先端方向(矢印X1方向)に向かって突出している。図3に示す第1支持面261と直交する方向から見て、第1支持部26の先端支持部42は、一対の第2突出部40を繋いでいる。先端支持部42の両側部は、円弧状である。
【0030】
図4に示すように、基端支持部34は、第1接合部30の先端から先端方向(矢印X1方向)に向かって第1シャフト24の軸線Axに概ね沿うように延出している。中間支持部36は、基端支持部34の先端から先端方向(矢印X1方向)に向かって第1シャフト24の軸線Axに対して交差し、第1支持部26の先端方向(矢印X1方向)に向かって延出している。
【0031】
図2及び図3において、一対の第1突出部38は、第1シャフト24の移動方向と直交する中間支持部36の幅方向(矢印W方向)の両側部から上方(矢印Y方向)且つ中間支持部36の幅方向内方に突出している。一対の第1突出部38は、基端支持部34に接続されている。第1突出部38は、第1支持面261から離間する方向に向けて凸状に膨出した円弧状である。
【0032】
図3に示すように、一対の第2突出部40は、一対の第1突出部38の先端にそれぞれ繋がっている。一対の第2突出部40は、中間支持部36の幅方向の両側部から上方且つ中間支持部36の幅方向外方に突出している。第2突出部40は、第1突出部38よりも小さな曲率で形成される。第2突出部40は、第1突出部38より第1支持面261に対する突出高さが低い。
【0033】
一対の第1突出部38の各々は、一対の折曲部444を有する。一対の折曲部444の各々は、一対の第1突出部38を第1支持部26の第1支持面261(中間支持部36)に対して折り曲げる(図5参照)。
【0034】
第1支持本体32は、上方(矢印Y方向)を向いて第1支持面261を含む表面461と、表面461の反対面である裏面462とを有する。第1支持面261は、基端支持部34の上面、中間支持部36及び先端支持部42の上面に連なった平坦面である。第1支持面261には、第2キャリア部材20の後述する第2支持部50を第1支持面261に対して円滑にスライドできるように潤滑剤が塗布されてもよい。
【0035】
図2に示すように、第2キャリア部材20は、第2シャフト48と、第2支持部50と、ハブ52とを有する。
【0036】
第2シャフト48は、第2内腔57を有する管状体(本実施形態では、円管部材)である。第2シャフト48の軸方向に沿った長さは、第1シャフト24の軸方向に沿った長さよりも長い。第2シャフト48は、第1シャフト24の第1内腔28に挿通されている(図1及び図4参照)。換言すれば、第2シャフト48の先端部は、第1シャフト24の先端開口から先端方向(矢印X1方向)に突出している。第2シャフト48の基端部は、第1シャフト24の基端開口から基端方向(矢印X2方向)に突出している(図1参照)。第2シャフト48は、第1シャフト24に沿って延在して第1シャフト24に沿って移動可能に設けられる。なお、第2シャフト48は、管状体に限定されるものではなく、管状体でなくてもよい。
【0037】
第2シャフト48は、第1支持部26の形状に追従できるように構成される。第2シャフト48の構成材料としては、例えば、第1シャフト24の構成材料よりも柔軟性がある材料が選択される。具体的に、第2シャフト48の構成材料としては、例えば、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、シリコーンゴム、金属コイル(樹脂との複合も含む)等が挙げられる。第2シャフト48は、可撓性を有する。
【0038】
図4に示すように、第2シャフト48は、キャリア保持部54と、第2シャフト48の先端部により構成された押付部56を有する。押付部56は、エラストマ材等の弾性体から形成される。押付部56は、外筒22内に第1支持部26が収容された状態で、第1支持部26を外筒22の内面に押し付ける。
【0039】
キャリア保持部54の先端は、押圧面58を有する。キャリア保持部54は、第1支持部26に支持された医療用シート300の外周端面を押圧面58により先端方向(矢印X1方向)に押圧可能である。本実施形態では、押付部56には、第2支持部50を支持するキャリア保持部54が設けられる。キャリア保持部54は、押圧面58と、取付孔60とを備える。
【0040】
図4において、押圧面58は、キャリア保持部54の先端面に設けられる。押圧面58に取付孔60が開口する。押圧面58には、第2支持部50が取り付けられる。押圧面58は、医療用シート300の外周端面を先端方向(矢印X1方向)に押圧する(図13参照)。
【0041】
図2図4において、第2支持部50は、可撓性を有したシート状に構成される。第2支持部50は、第2接合部70及び第2支持本体72を有する。第2接合部70は、第2支持部50の基端に設けられる。第2接合部70は、第2支持本体72の基端に設けられる。第2接合部70は、キャリア保持部54の取付孔60に挿入され、例えば、接着されている。第2接合部70は、接着以外の適宜の接合方法によりキャリア保持部54の取付孔60に接合されてもよい。また、第2支持部50は、キャリア保持部54と一体的に成形されてもよい。
【0042】
第2支持本体72は、第2接合部70から先端方向(矢印X1方向)に延出している。第2支持本体72の第2接合部70からの延出方向長さは、第1支持本体32の第1接合部30からの延出方向長さよりも短い。第2支持本体72の上面には、医療用シート300を載せるための第2支持面74が設けられる。第2支持面74は、平坦面である。第2支持本体72は、第1支持本体32よりも小さい。すなわち、第2支持面74の面積は、第1支持面261の面積よりも小さい。
【0043】
図2において、ハブ52は、第2シャフト48の基端部に取り付けられている。
【0044】
図1及び図2において、外筒22は、内腔78を有する円筒部材である。内腔78は、外筒22の先端(矢印X1方向の端)に開口する先端開口80を有する。内腔78は、外筒22の基端(矢印X2方向の端)に開口する。外筒22は、可撓性を有する。外筒22の構成材料は、上述した第1シャフト24の構成材料と同様の材料が挙げられる。
【0045】
外筒22の内腔78には、第1シャフト24が挿通されている。外筒22の軸方向に沿った長さは、第1シャフト24の軸方向に沿った長さよりも短い。外筒22の基端には、第1シャフト24の外周面に密着する気密用の弁体84が設けられる。
【0046】
図2及び図4において、外筒22の先端面は、外筒22の軸方向と直交する方向に沿って延在している。
【0047】
図2に示すように、内視鏡14は、長尺な内視鏡本体86を有する。内視鏡本体86の先端部は、外筒22の外周面に固定部材16によって固定されている(図1参照)。内視鏡本体86の先端面に設けられた対物レンズ88は、外筒22の先端方向(矢印X1方向)を向いている。内視鏡本体86の先端部は、外筒22の軸方向の中間部に固定される。ただし、内視鏡本体86の先端部は、外筒22の先端部に固定されてもよい。
【0048】
固定部材16は、例えば、固定筒90と、固定チューブ92とを含む。固定筒90は、例えば、硬質な樹脂材料によって構成されている。固定筒90の内腔には、内視鏡本体86を挿入可能である。固定筒90は、外筒22の長手方向に沿うように配置されている。固定チューブ92は、固定筒90を外筒22の所定位置に固定するためのチューブである。固定チューブ92は、例えば、熱収縮チューブである。なお、内視鏡本体86の先端部の外筒22への固定方法は、適宜設定可能である。
【0049】
図3に示すように、以下、第1支持部26の第1突出部38及び第2突出部40を合わせた部分を「突出部37」という。従って、第1支持部26の幅方向の両側には一対の突出部37が設けられている。図3において、第1シャフト24の軸方向と直交する方向(W方向)が第1支持部26の幅方向である。W方向は、他の構成要素(外筒22等)の幅方向でもある。第1実施形態において、第1支持部26は、一対の突出部37を有するが、図3におけるW1は、第1支持部26を平面状に展開した場合の第1支持部26の幅が最大になる箇所の幅である。すなわち、第1支持部26の幅W1は、一対の突出部37を形成する前(折曲げ前)の平面状態での第1支持部26Pの最大幅である。第1支持部26の幅W1は、外筒22の内周長さL(図10参照)よりも大きい。図10において、外筒22の内周長さLは、外筒22の周方向に沿った内周面の長さである(L=2πR)。Rは、外筒22の内腔78の半径である。
【0050】
図5に示すように、第2シャフト48の軸線と直交する断面において、キャリア保持部54は、キャリア保持部54の中心線Cを通り且つキャリア保持部54の幅方向(矢印W方向)と平行な仮想線L1に対して線対称な形状を有する。換言すれば、キャリア保持部54は、仮想線L1を中心として上下方向に対称形状である。図5に示すように、キャリア保持部54は断面扁平状である。なお、キャリア保持部54は、断面扁平状に形成される場合に限定されず、例えば、断面円形状、断面楕円形状、断面正方形状、断面長方形状等で形成されてもよい。
【0051】
取付孔60は、押圧面58においてキャリア保持部54の中心線C上に配置される。取付孔60は、中心線Cからキャリア保持部54の幅方向と平行に延在するスリット状である。取付孔60は、中心線Cを中心として幅方向に対称形状である。取付孔60は、押圧面58から軸方向に延在する(図4参照)。上記のように、取付孔60には、第2支持部50の第2接合部70が挿入され接続される。
【0052】
医療用シート300は、第1支持面261と第2支持面74とによって支持される(図7及び図8参照)。具体的には、医療用シート300は、第1支持面261及び第2支持面74の上に載置される。医療用シート300が第2支持面74に載置されているときに、医療用シート300のうち、第2支持面74に収まりきらない部分は、第1支持面261によって支持される。第1支持面261は、第2支持部50及び第2シャフト48と向かい合っている。第1支持面261は、第1支持本体32の表面461に含まれる。
【0053】
図1図3に示すように、第1支持部26の第1支持本体32は、先端縁部100を有する。先端縁部100は、第1支持本体32の先端部である。先端縁部100は、先端支持部42に対して先端方向に繋がっている。詳しくは、先端縁部100は、第1支持面261の先端に対して先端方向に繋がっている。先端縁部100は、一対の係止凸部102と、凹部104とを有する。
【0054】
一対の係止凸部102は、第1シャフト24の軸線Ax(図4参照)を挟むように、第1支持部26の幅方向(矢印W方向)に互いに離間して、第1支持面261の先端に設けられている。一対の係止凸部102の各々は、第1支持面261の先端から先端方向に突出している。
【0055】
本実施形態では、裏面462(図4参照)から表面461に向かう方向を上方としている。図2及び図4に示すように、一対の係止凸部102の各々は、第1支持面261の先端から先端方向に向かって上方に傾斜するように突出している。すなわち、一対の係止凸部102の各々は、第1支持面261の先端から斜め上方に突出している。一対の係止凸部102は、第1支持部26の先端部(先端縁部100)の一部を先端方向に対して斜め上方に折り曲げることにより形成される。図4に示すように、一対の係止凸部102の各々について、先端方向に対する折曲角度θは、10°~60°の範囲内であることが望ましい。なお、本実施形態において、係止凸部102は、少なくとも1つ形成されていればよい。
【0056】
図1図3に示すように、凹部104は、第1支持部26の幅方向(矢印W方向)において、一対の係止凸部102に隣接して形成されている。凹部104は、一対の係止凸部102の間に形成されている。すなわち、凹部104は、矢印W方向における先端縁部100の中央部に形成されている。凹部104は、一対の係止凸部102の先端よりも基端方向に凹むように、先端縁部100に形成されている。凹部104は、第2シャフト48の通過を許容する程度の大きさを有する。
【0057】
次に、医療用シート300を生体の処置対象部に移送する移送方法について説明する。具体的に、図11図16に示すように、胸腔鏡下手術により医療用シート300を心臓400の移植対象部402(生体の処置対象部)に移送する移送方法について説明する。図6に示すように、本実施形態に係る移送方法は、準備工程、シート載置工程、収容工程、配置工程、展開工程、移動工程、抜去工程を含む。
【0058】
まず、準備工程(ステップS1)において、上述した本実施形態に係る移送器具10を準備する。以下では、図1に示すような状態を移送器具10の初期状態として説明する。初期状態では、第1シャフト24及び第2シャフト48を外筒22に対して先端方向(矢印X1方向)に移動させ、第1支持部26及び第2支持部50を外筒22の先端開口80から先端方向に突出させた突出位置(第2位置)の状態となっている。第1及び第2支持部26、50の各々は、外筒22から先端方向に露出することで展開し、第1支持部26の第1支持面261の上に第2支持部50を配置させる。すなわち、第2支持部50は、第1支持部26の第1支持面261に重なった後退位置に配置される。このとき、キャリア保持部54の基端部は、第1シャフト24の第1内腔28に挿入されている。
【0059】
続いて、シート載置工程(ステップS2)において、図7及び図8に示すように、シャーレ401内に配置されている医療用シート300を第2支持面74に載せる。医療用シート300は、第2支持面74に載せた状態で第2支持部50から外側に張り出している。第1支持面261は、医療用シート300のうち第2支持部50から外側に張り出した張出部302を支持する。なお、上記のように、第1支持本体32の先端縁部100は、第1支持面261の先端に対して先端方向に繋がっている。すなわち、先端縁部100は、第1支持面261ではない。そのため、シート載置工程において、医療用シート300は、先端縁部100に配置されることはない。
【0060】
その後、収容工程(図6のステップS3)において、図9に示すように、医療用シート300を第1支持部26及び第2支持部50(図8参照)と共に外筒22内に収容した収容位置(第1位置)とする。具体的に、第1キャリア部材18の第1シャフト24と第2キャリア部材20の第2シャフト48とを一緒に外筒22に対して基端方向(矢印X2方向)に移動させる。
【0061】
そうすると、第1支持部26の基端支持部34(図2参照)が外筒22の先端開口80から基端方向に引き込まれる。このとき、基端支持部34のテーパ状の両側部が外筒22の先端開口80に接触することにより、基端支持部34には、基端支持部34を外筒22の周方向に沿って丸まろうとする力が作用する。そのため、基端支持部34は、丸まりながら外筒22内にスムーズに引き込まれる。このとき、第1支持部26は、先端側が大径で、基端支持部34が小径となるように円錐状に丸まりながら、外筒22内に収容される。
【0062】
第1支持部26の基端支持部34が変形すると、第1支持部26の中間支持部36に外筒22の周方向に沿って丸まろうとする力が作用するため、中間支持部36(図2参照)は、丸まりながら外筒22内に引き込まれる。このとき、中間支持部36は、外筒22の内面に沿って円筒状に変形する。一対の第1突出部38の各々は、第1支持部26の表面461が内側、第1支持部26の裏面462が外側となるように湾曲していく。図10に示すように、第1支持部26の幅方向両側の裏面462同士が外筒22の中心軸と直交方向に延在する仮想線L2上で互いに接触する。一方の第1突出部38と他方の第1突出部38とが接触して下方(第1支持面261、表面461)に向けて収容されていく。
【0063】
これにより、第1支持部26の裏面462が外筒22の内面に密着した湾曲形状となり、各第1突出部38が外筒22の中心に向けて折り返すようにさらに湾曲し、各第1突出部38の自由端が外筒22の中心軸より下方に配置される。すなわち、第1支持部26は、外筒22の内面に沿ったハート型に湾曲する。
【0064】
ハート型とは、一方において凸状に湾曲した形状と、一方とは反対側となる他方において二つの凸状に湾曲した形状からなる略円形状の形状をいう。管状体(外筒22)の内腔78にハート型が形成される場合、管状体の内面に沿って他方に突出した二つの凸状の湾曲形状が互いに近づいて一部の周面が互いに接することで、全体の輪郭が管状体の内面に沿った略円形状となる(図10中、第1支持部26の形状を参照)。
【0065】
第1支持部26の湾曲変形に伴って、第2支持部50も同様に、第1支持部26の内側(表面461側)で第1支持部26に沿って第2支持部50が湾曲変形する。第1支持部26及び第2支持部50の湾曲変形に伴って、医療用シート300が、第1支持本体32及び第2支持本体72の形状に対応した形状に変形し、医療用シート300が外筒22内に収容される。
【0066】
収容工程は、図9に示すように、第1支持部26の全体が外筒22内に完全に挿入されることにより完了する。収容工程完了時において、第1支持部26の一部が外筒22の先端開口80から突出してもよい。この場合、第1支持部26の一部が外筒22の先端開口80から突出している状態が、第1支持部26の第1位置である。
【0067】
その後、配置工程(図6のステップS4)において、図11に示すように、胸部408の切開創409から胸腔410内に移送器具10を挿入する。この時、心臓400における移植対象部402の近くに移送器具10の先端を位置させると共に内視鏡14の先端を胸腔410内に位置させる。なお、移送器具10を胸腔410内に挿入する前に、ハブ52の接続ポート部に図示しない液体供給器具を接続して液体(例えば、生理食塩水)を導入してもよい。
【0068】
続いて、展開工程(図6のステップS5)において、図12に示すように、第1支持部26、第2支持部50及び医療用シート300を展開させる。具体的に、展開工程では、第1シャフト24を把持し、第1シャフト24を外筒22に対して先端方向(矢印X1方向)に移動させる。これにより、第1シャフト24の弁体55によって、第1シャフト24と共に第2シャフト48が先端方向(矢印X1方向)に向けて一体的に移動する。このとき、第1シャフト24と第2シャフト48とが一体的に先端方向に移動する。そうすると、外筒22の先端開口80から露出した第1支持部26は、復元力によって元の形状に復帰する。第1支持部26が展開した第2位置において、第2支持部50は、平面形状に広がる。
【0069】
展開工程において、第2キャリア部材20は、医療用シート300を載せた第2支持面74の全体が第1支持面261の上に位置する。この時、医療用シート300は、第1支持面261と第2支持面74とによって支持される。これにより、医療用シート300を心臓400の移植対象部402に移送する前の状態で、医療用シート300の張出部302に皺が発生することを抑制できる。
【0070】
次いで、移動工程(図6のステップS6)において、図13に示すように、第2キャリア部材20を第1キャリア部材18に対して先端方向(矢印X1方向)に移動させる。これにより、医療用シート300を載せた第2支持部50が後退位置から進出位置へと移動し、第2支持部50が第1支持部26の先端よりも先端方向(矢印X1方向)に突出する。
【0071】
具体的に、移動工程では、第2シャフト48を第1シャフト24に対して先端方向に移動させる。これにより、第2支持部50が第1支持部26に対して先端方向(矢印X1方向)に移動する。このとき、医療用シート300の基端部がキャリア保持部54の押圧面58に当接する。
【0072】
第2シャフト48を第1シャフト24に対して先端方向にさらに移動させると、キャリア保持部54は、押圧面58を介して、医療用シート300の基端部を先端方向に押圧する。これにより、医療用シート300の全体は、第2キャリア部材20と共に先端方向に移動する。
【0073】
移動工程では、第2支持部50は、第2支持面74の上に医療用シート300を支持した状態で、一対の係止凸部102を乗り越えて先端方向に移動する。第2シャフト48は、凹部104を通過して先端方向に移動する。これにより、第2キャリア部材20は、医療用シート300を心臓400の移植対象部402の上まで移動させることができる。医療用シート300が移植対象部402の上まで移動すると、医療用シート300の張出部302が移植対象部402に接触する。
【0074】
その後、抜去工程(図6のステップS7)において、図14に示すように、第2キャリア部材20を第2位置から第1位置まで移動させることにより第2支持部50を移植対象部402と医療用シート300との間から引き抜く。そうすると、医療用シート300の全体が移植対象部402の表面に接触する。これにより、医療用シート300の移植対象部402への移送が完了する。
【0075】
抜去工程において、第2シャフト48を基端方向に移動させるときに、第2支持部50と共に医療用シート300が戻ってくる場合がある。すなわち、医療用シート300を移植対象部402に移送させても、第2支持面74と医療用シート300との接触抵抗(摩擦)によって、医療用シート300が第2支持面74に接触した状態で、第2支持部50と共に戻ってくる場合がある。
【0076】
本実施形態では、第1支持本体32の先端縁部100に一対の係止凸部102が設けられている。図14図16に示すように、第2シャフト48を基端方向に移動させるときに、医療用シート300が第2支持部50と共に戻ってきても、第2シャフト48が凹部104を通過して、医療用シート300のみが一対の係止凸部102に当接する。第2シャフト48を基端方向にさらに移動させると、医療用シート300は、一対の係止凸部102に当接した状態で、移植対象部402に留まる。これにより、医療用シート300が第1支持部26に戻ることを阻止することができる。
【0077】
その後、移送器具10は、第1支持部26及び第2支持部50を外筒22内に収容した状態で、胸部408から抜去される。
【0078】
本実施形態は、以下の効果を奏する。
【0079】
図12に示すように、第1支持面261と第2支持面74とにより医療用シート300を支持した状態から、第1シャフト24に沿って第2シャフト48を移動させることで、医療用シート300を移植対象部402(生体の処置対象部)へと効率的に移送することができる(図13参照)。
【0080】
図2に示すように、第1支持部26は、少なくとも1つの係止凸部102を有する。係止凸部102は、第1支持部26の第1支持面261の先端から斜め上方に突出している。凹部104は、係止凸部102に隣接して形成され、第2シャフト48の通過を許容する。これにより、第1支持面261と第2支持面74とにより医療用シート300を支持した状態(図12参照)から、凹部104を介して第2シャフト48を先端方向に移動させ、医療用シート300を移植対象部402に移送させることができる(図13参照)。また、図14のように、医療用シート300を移植対象部402に移送した後、第1シャフト24に沿って第2シャフト48を基端方向に移動させる場合に、第2支持部50と共に医療用シート300が戻ってくるときには、医療用シート300が係止凸部102に当接するので、移植対象部402に配置された医療用シート300が第1支持部26に戻ることを阻止することができる(図16参照)。この結果、生体内の狭い空間にある移植対象部402に医療用シート300を配置するときに、鉗子等のサポート部材を用いなくても、移植対象部402に医療用シート300を移送して配置することができる。
【0081】
第1支持部26の先端縁部100には、幅方向(矢印W方向)に互いに離間した一対の係止凸部102が設けられている。一対の係止凸部102の間には、凹部104が形成されている。そのため、図13のように医療用シート300を移植対象部402に移送した後、第1シャフト24に沿って第2シャフト48を基端方向に移動させる場合に、第2支持部50と共に医療用シート300が戻ってくるときには、医療用シート300が一対の係止凸部102に当接する(図14参照)。この結果、移植対象部402に配置された医療用シート300が第1支持部26に戻ることを効果的に阻止することができる。
【0082】
図4に示すように、係止凸部102が10°~60°の折曲角度θの範囲内で折り曲げられているので、第1シャフト24に沿って第2シャフト48が先端方向に移動するときに、第2支持部50が係止凸部102を乗り越えやすくなる。
【0083】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0084】
10…移送器具
18…第1キャリア部材
20…第2キャリア部材
24…第1シャフト
26…第1支持部
48…第2シャフト
50…第2支持部
74…第2支持面
100…先端縁部
102…係止凸部
104…凹部
261…第1支持面
300…医療用シート
402…移植対象部(生体の処置対象部)
461…表面
462…裏面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16