(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012245
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】溶接用トーチ
(51)【国際特許分類】
B23K 9/29 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
B23K9/29 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114955
(22)【出願日】2023-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】391046584
【氏名又は名称】株式会社トーキン
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】松尾 健司
(72)【発明者】
【氏名】中畑 暁人
【テーマコード(参考)】
4E001
【Fターム(参考)】
4E001MA02
4E001NA07
(57)【要約】
【課題】操作レバーの操作過程における作動部の押圧タイミングを必要に応じて容易に変更することができる溶接用トーチを提供する。
【解決手段】先端にアークを発生させて溶接可能なトーチボディ1と、溶接に必要な電力、シールドガスまたは溶接ワイヤを溶接機Dからトーチボディ1に供給するトーチケーブル2と、トーチケーブル2とトーチボディ1とを連結する連結部材3と、作業者が把持可能なトーチハンドル4と、作業者が操作可能な操作レバー6と、作動部7aを有したマイクロスイッチ7とを具備した溶接用トーチであって、操作レバー6に取り付けられ、操作レバー6の操作過程でマイクロスイッチ7の作動部7aを押圧して制御信号を発生させるとともに、操作レバー6の操作過程における作動部7aの押圧タイミングを任意に変更する変更手段8を具備したものである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端にアークを発生させて溶接可能なトーチボディと、
溶接に必要な電力、シールドガスまたは溶接ワイヤを溶接機から前記トーチボディに供給するトーチケーブルと、
前記トーチケーブルと前記トーチボディとを連結する連結部材と、
前記連結部材を覆うとともに、作業者が把持可能なトーチハンドルと、
前記トーチハンドルに取り付けられ、作業者が操作可能な操作レバーと、
前記操作レバーの操作により押圧される作動部を有するとともに、前記作動部の押圧を条件として制御信号を前記溶接機に送信し、前記トーチケーブルを介して前記トーチボディに前記電力、シールドガスまたは溶接ワイヤを供給させるスイッチ手段と、
を具備した溶接用トーチであって、
前記操作レバーに取り付けられ、前記操作レバーの操作過程で前記スイッチ手段の前記作動部を押圧して前記制御信号を発生させるとともに、前記操作レバーの操作過程における前記作動部の押圧タイミングを任意に変更する変更手段を具備したことを特徴とする溶接用トーチ。
【請求項2】
前記変更手段は、前記操作レバーに選択的に取り付け可能な複数の別体部品から成り、それぞれが互いに異なる突出寸法とされるとともに、前記操作レバーに取り付ける変更手段に応じて前記操作レバーの操作過程における前記作動部の押圧タイミングを任意に変更することを特徴とする請求項1記載の溶接用トーチ。
【請求項3】
前記トーチハンドルは、前記操作レバーに取り付けられない前記変更手段を保持する保持部を有することを特徴とする請求項2記載の溶接用トーチ。
【請求項4】
前記変更手段は、前記操作レバーに対して姿勢または向きを異ならせて取り付け可能な別体部品から成り、姿勢または向きを異ならせて取り付けることにより突出寸法が異なるものとされるとともに、前記操作レバーに取り付ける変更手段の姿勢または向きに応じて前記操作レバーの操作過程における前記作動部の押圧タイミングを任意に変更することを特徴とする請求項1記載の溶接用トーチ。
【請求項5】
前記スイッチ手段は、マイクロスイッチから成ることを特徴とする請求項1~4の何れか1つに記載の溶接用トーチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者が把持しつつ溶接作業するための溶接用トーチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
作業者が手で把持して溶接を行う半自動溶接においては、従来、溶接に必要な電力、シールドガス及び溶接ワイヤを溶接機からトーチボディに供給するトーチケーブルと、作業者が把持可能なトーチハンドルと、トーチハンドルに取り付けられ、作業者が揺動操作可能な操作レバーと、操作レバーの操作により制御信号を溶接機に送信してトーチケーブルを介してトーチボディに電力、シールドガス及び溶接ワイヤを供給させるマイクロスイッチとを具備した溶接用トーチが用いられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の溶接用トーチは、操作レバーの操作過程で所定部位がマイクロスイッチの作動部を押圧して電気的にオンさせ、制御信号を溶接機に送信するよう構成されていたので、例えばスイッチレバーの寸法誤差や組付け誤差等により、マイクロスイッチの作動タイミングにばらつきが生じた場合、当該作動タイミングを設定通りに変更するのが困難となっていた。
【0005】
また、操作レバーを操作する過程におけるマイクロスイッチの適切な作動タイミングが作業者に応じて異なることがあり、その場合であっても当該作動タイミングを変更することが困難となっていた。すなわち、マイクロスイッチの作動タイミングを変更するためには、マイクロスイッチの作動部を押圧するための操作レバーの所定部位の突出寸法を任意変更する必要があり、そのために突出部を必要な寸法になるように切削したりスイッチレバー自体を交換する必要があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、操作レバーの操作過程における作動部の押圧タイミングを必要に応じて容易に変更することができる溶接用トーチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、先端にアークを発生させて溶接可能なトーチボディと、溶接に必要な電力、シールドガスまたは溶接ワイヤを溶接機から前記トーチボディに供給するトーチケーブルと、前記トーチケーブルと前記トーチボディとを連結する連結部材と、前記連結部材を覆うとともに、作業者が把持可能なトーチハンドルと、前記トーチハンドルに取り付けられ、作業者が操作可能な操作レバーと、前記操作レバーの操作により押圧される作動部を有するとともに、前記作動部の押圧を条件として制御信号を前記溶接機に送信し、前記トーチケーブルを介して前記トーチボディに前記電力、シールドガスまたは溶接ワイヤを供給させるスイッチ手段とを具備した溶接用トーチであって、前記操作レバーに取り付けられ、前記操作レバーの操作過程で前記スイッチ手段の前記作動部を押圧して前記制御信号を発生させるとともに、前記操作レバーの操作過程における前記作動部の押圧タイミングを任意に変更する変更手段を具備したことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の溶接用トーチにおいて、前記変更手段は、前記操作レバーに選択的に取り付け可能な複数の別体部品から成り、それぞれが互いに異なる突出寸法とされるとともに、前記操作レバーに取り付ける変更手段に応じて前記操作レバーの操作過程における前記作動部の押圧タイミングを任意に変更することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の溶接用トーチにおいて、前記トーチハンドルは、前記操作レバーに取り付けられない前記変更手段を保持する保持部を有することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の溶接用トーチにおいて、前記変更手段は、前記操作レバーに対して姿勢または向きを異ならせて取り付け可能な別体部品から成り、姿勢または向きを異ならせて取り付けることにより突出寸法が異なるものとされるとともに、前記操作レバーに取り付ける変更手段の姿勢または向きに応じて前記操作レバーの操作過程における前記作動部の押圧タイミングを任意に変更することを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1~4の何れか1つに記載の溶接用トーチにおいて、前記スイッチ手段は、マイクロスイッチから成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、操作レバーに取り付けられ、操作レバーの操作過程でスイッチ手段の作動部を押圧して制御信号を発生させるとともに、操作レバーの操作過程における作動部の押圧タイミングを任意に変更する変更手段を具備したので、操作レバーの操作過程における作動部の押圧タイミングを必要に応じて容易に変更することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、変更手段は、操作レバーに選択的に取り付け可能な複数の別体部品から成り、それぞれが互いに異なる突出寸法とされるとともに、操作レバーに取り付ける変更手段に応じて操作レバーの操作過程における作動部の押圧タイミングを任意に変更するので、複数の別体部品から任意のものを選択して操作レバーに取り付けることにより、容易に作動部の押圧タイミングを任意に変更することができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、トーチハンドルは、操作レバーに取り付けられない変更手段を保持する保持部を有するので、操作レバーに取り付ける変更手段を保持部に保持された変更手段に交換することができ、ユーザや作業者が必要に応じて変更手段を任意選択して取り付けることができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、変更手段は、操作レバーに対して姿勢または向きを異ならせて取り付け可能な別体部品から成り、姿勢または向きを異ならせて取り付けることにより突出寸法が異なるものとされるとともに、操作レバーに取り付ける変更手段の姿勢または向きに応じて操作レバーの操作過程における作動部の押圧タイミングを任意に変更するので、別体部品の姿勢または向きを異ならせて取り付けることにより、容易に作動部の押圧タイミングを任意に変更することができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、スイッチ手段は、マイクロスイッチから成るので、スイッチ手段として汎用部品を用いることができ、信頼性を維持しつつ製造コストを低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る溶接用トーチの全体外観を示す斜視図
【
図2】同溶接用トーチの全体外観を示す側面図及び底面図
【
図4】同溶接用トーチにおける操作レバー、マイクロスイッチ及び変更手段を示す分解斜視図
【
図5】同溶接用トーチにおける操作レバーを示す側面図及び正面図
【
図6】同溶接用トーチにおける変更手段を示す側面図
【
図7】同溶接用トーチのトーチケーブルの断面構造を示す模式図
【
図8】図溶接用トーチにおいて操作レバーが初期位置にある状態を示す模式図
【
図9】図溶接用トーチにおいて操作レバーが操作されて変更手段がマイクロスイッチの作動部を押圧する状態を示す模式図
【
図10】本発明の他の実施形態に係る溶接用トーチにおける操作レバー及び変更手段を示す分解斜視図
【
図11】同溶接用トーチにおける操作レバーを示す側面図及び正面図
【
図12】同溶接用トーチにおける変更手段を示す側面図
【
図13】同溶接用トーチにおける変更手段(第1凸部が突出状態)が取り付けられた操作レバーを示す模式図
【
図14】同溶接用トーチにおける変更手段(第2凸部が突出状態)が取り付けられた操作レバーを示す模式図
【
図15】同溶接用トーチにおける変更手段(第3凸部が突出状態)が取り付けられた操作レバーを示す模式図
【
図16】同溶接用トーチにおける変更手段(第4凸部が突出状態)が取り付けられた操作レバーを示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る溶接用トーチは、シールドガスを噴出させつつチップの先端から溶接ワイヤを供給して溶接可能なもので、
図1~3に示すように、トーチボディ1と、トーチケーブル2と、連結部材3と、トーチハンドル4と、操作レバー6と、スイッチ手段としてのマイクロスイッチ7と、変更手段8(8a~8d)とを具備して構成されている。
【0019】
トーチボディ1は、先端部に向かって溶接ワイヤWを供給しつつアークを発生させて溶接可能なもので、長手方向に対して緩やかに湾曲した部位を有している。トーチケーブル2は、溶接機D(
図1参照)と接続されるとともに、溶接に必要な電力、シールドガスまたは溶接ワイヤWを溶接機Dからトーチボディ1に供給可能とされたものである。なお、溶接機Dは、溶接ワイヤWを送り込み可能な送り込み手段、溶接に必要な電力及びシールドガスを供給可能な供給手段を有して構成されている。
【0020】
また、本実施形態に係るトーチケーブル2は、
図7に示すように、外皮2a及びその内部に位置する中心管2bを有するとともに、外皮2aと中心管2bとの間には、複数の電線Eと、マイクロスイッチ7から延設された配線hとが延設されている。電線Eは、溶接機Dと接続されており、溶接に必要な電力を供給可能とされるとともに、配線hは、マイクロスイッチ7からの制御信号を溶接機Dに送信し得るものとされている。さらに、中心管2bの内部には、ライナ2cが延設されており、当該ライナ2c内に溶接ワイヤWが挿通されている。
【0021】
連結部材3は、トーチケーブル2の先端部とトーチボディ1の基端部とを連結するためのもので、トーチハンドル4にて覆われて絶縁が図られるようになっている。かかるトーチハンドル4は、連結部材3を覆うとともに、溶接作業時に作業者が把持可能なもので、例えば左右半割状の絶縁部材(樹脂部材等)を合致させて成る。なお、トーチハンドル4の後端側には、カバー部材5が取り付けられており、このカバー部材5によってトーチケーブル2の一部が覆われるようになっている。
【0022】
操作レバー6は、トーチハンドル4の下部に取り付けられ、トーチハンドル4を把持した作業者が指を伸ばして操作可能な所謂トリガーとして機能するもので、
図4、5に示すように、軸部材Lを挿通する挿通孔6aと、リターンスプリングSの下端部を受ける凹部6bと、変更手段8を嵌合して保持する嵌合溝6cと、側方に突出した突出部6dとを有した樹脂製部品から成る。特に、嵌合溝6cは、第1溝形状6ca及び第2溝形状6cbを有した溝形状から成り、後述する複数の変更手段8を選択的に嵌合して保持可能とされている。
【0023】
本実施形態に係る操作レバー6は、
図8に示すように、揺動操作される前の初期位置にあるとき、リターンスプリングSにて下方に付勢されるとともに、突出部6dがトーチハンドル4の所定部位に当接して位置決めされている。また、操作レバー6は、トーチハンドル4に固定された軸部材Lを挿通孔6aに挿通して取り付けられており、
図9に示すように、作業者によりα方向に操作されると、リターンスプリングSの付勢力に抗して軸部材Lを中心として揺動可能とされている。
【0024】
マイクロスイッチ7(スイッチ手段)は、操作レバー6の操作により押圧される作動部7aを有するとともに、作動部7aの押圧を条件として電気回路が形成され、配線hを介して制御信号を溶接機Dに送信し得るものである。すなわち、マイクロスイッチ7は、作動部7aが押圧されてオンすると、配線hを介して制御信号(オン信号)を溶接機Dに送信して作動させるとともに、トーチケーブル2を介してトーチボディ1に電力、シールドガスおよび溶接ワイヤWを供給させるよう構成されている。
【0025】
ここで、本実施形態に係る変更手段8は、操作レバー6の嵌合溝6cに取り付けられ、マイクロスイッチ7の作動部7aに対峙するよう構成されており、操作レバー6の操作過程(揺動操作過程)でマイクロスイッチ7(スイッチ手段)の作動部7aを押圧して制御信号を発生させるとともに、操作レバー6の操作過程における作動部7aの押圧タイミングを任意に変更するものとされている。
【0026】
具体的には、本実施形態に係る変更手段8は、
図6に示すように、操作レバー6の嵌合溝6cに選択的に取り付け可能な複数の別体部品(変更手段8a~8e)から成り、それぞれが互いに異なる突出寸法(t1~t5)とされるとともに、操作レバー6に取り付ける変更手段(8a~8e)に応じて操作レバー6の操作過程における作動部7aの押圧タイミングを任意に変更するよう構成されている。
【0027】
すなわち、各変更手段(8a~8e)は、
図6に示すように、幅広の嵌合部位Aと、この嵌合部位Aから所定寸法突出した突出部位Bとを有して構成された樹脂製部品から成り、
図8、9に示すように、操作レバー6の嵌合溝6cにおける第1溝形状6caに嵌合部位Aを嵌合するとともに、第2溝形状6cbに突出部位Bを嵌合させることにより取付可能とされている。そして、任意の変更手段(8a~8e)を選択するとともに、その変更手段(8a~8e)を嵌合溝6cに嵌合して取り付けると、突出部位Bがマイクロスイッチ7の作動部7aと対峙するようになっている。
【0028】
また、例えば変更手段8aにおける突出部位Bの突出寸法はt1、変更手段8bにおける突出部位Bの突出寸法はt2、変更手段8cにおける突出部位Bの突出寸法はt3、変更手段8dにおける突出部位Bの突出寸法はt4、変更手段8eにおける突出部位Bの突出寸法はt5にそれぞれ設定されており、嵌合溝6cに取り付けられた変更手段8に応じて操作レバー6からの突出寸法を任意寸法(t1~t5の何れか)に設定することができる。
【0029】
したがって、
図8、9に示すように、操作レバー6を初期位置からα方向に揺動操作する過程において、嵌合溝6cに取り付けられた変更手段8の突出部位Bがマイクロスイッチ7の作動部7aに当接して押圧することにより、マイクロスイッチ7から溶接機Dに制御信号を送信するので、溶接に必要な電力、シールドガスまたは溶接ワイヤを溶接機Dからトーチボディ1に供給してアーク溶接することができる。
【0030】
このように、嵌合溝6cに嵌合して操作レバー6に取り付ける変更手段8を任意のものに交換することにより、突出寸法をt1~t5の何れかに変更することができるので、操作レバー6の操作過程における作動部7aの押圧タイミングを任意に変更することができる。言い換えるならば、操作レバー6に取り付ける変更手段8を任意選択することにより、マイクロスイッチ7を作動(作動部7aを押圧)させて制御信号を溶接機Dに送信するための揺動操作角度を任意に調整することができるのである。
【0031】
さらに、本実施形態に係るトーチハンドル4は、
図3に示すように、操作レバー6に取り付けられない複数の変更手段8(本実施形態においては2つの変更手段8)を保持する保持部4aを有している。かかる保持部4aは、操作レバー6の嵌合溝6cに嵌合されていない変更手段8を保持可能な部位から成り、保持部4aに保持された変更手段8を取り外して嵌合溝6cに嵌合された変更手段8と交換することにより、操作レバー6の操作過程における作動部7aの押圧タイミングを突出部位Bの突出寸法に応じて変更することができる。
【0032】
上記実施形態によれば、操作レバー6に取り付けられ、操作レバー6の操作過程でマイクロスイッチ7(スイッチ手段)の作動部7aを押圧して制御信号を発生させるとともに、操作レバー6の操作過程における作動部7aの押圧タイミングを任意に変更する変更手段8を具備したので、操作レバー6の操作過程における作動部7aの押圧タイミングを必要に応じて容易に変更することができる。
【0033】
また、本実施形態に係る変更手段8は、操作レバー6に選択的に取り付け可能な複数の別体部品(変更手段8a~8e)から成り、それぞれが互いに異なる突出寸法(t1~t5)とされるとともに、操作レバー6に取り付ける変更手段(8a~8e)に応じて操作レバー6の操作過程における作動部7aの押圧タイミングを任意に変更するので、複数の別体部品(変更手段(8a~8e)から任意のものを選択して操作レバー6に取り付けることにより、容易に作動部7aの押圧タイミングを任意に変更することができる。
【0034】
さらに、本実施形態に係るトーチハンドル4は、操作レバー6に取り付けられない変更手段8を保持する保持部4aを有するので、操作レバー6に取り付ける変更手段を保持部4aに保持された変更手段8に交換することができ、ユーザや作業者が必要に応じて変更手段8を任意選択して取り付けることができる。なお、本実施形態に係る保持部4aは、交換用の変更手段8を2つ保持しているが、1つ或いは3つ以上保持するようにしてもよく、トーチハンドル4の内部に限らず、トーチハンドル4の外部や他の部位に形成されて変更手段8を保持するようにしてもよい。
【0035】
次に、他の実施形態に係る溶接用トーチについて説明する。
本実施形態に係る溶接用トーチは、先の実施形態と同様、シールドガスを噴出させつつチップの先端から溶接ワイヤを供給して溶接可能なもので、トーチボディ1と、トーチケーブル2と、連結部材3と、トーチハンドル4と、操作レバー9と、スイッチ手段としてのマイクロスイッチ7と、変更手段10とを具備して構成されている。なお、先の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
【0036】
本実施形態に係る操作レバー9は、トーチハンドル4の下部に取り付けられ、トーチハンドル4を把持した作業者が指を伸ばして操作可能な所謂トリガーとして機能するもので、
図10、11に示すように、軸部材Lを挿通する挿通孔9aと、リターンスプリングSの下端部を受ける凹部9bと、変更手段10を嵌合して保持する嵌合溝9cと、側方に突出した突出部9dとを有した樹脂製部品から成る。特に、嵌合溝9cは、第1溝形状9ca、第2溝形状9cb、第3溝形状9cc、第4溝形状9cdを有した溝形状から成り、後述する複数の変更手段10を任意の向きで嵌合して保持可能とされている。
【0037】
ここで、本実施形態に係る変更手段10は、操作レバー9の嵌合溝9cに取り付けられ、マイクロスイッチ7の作動部7aに対峙するよう構成されており、操作レバー9の操作過程(揺動操作過程)でマイクロスイッチ7(スイッチ手段)の作動部7aを押圧して制御信号を発生させるとともに、操作レバー9の操作過程における作動部7aの押圧タイミングを任意に変更するものとされている。
【0038】
具体的には、本実施形態に係る変更手段10は、
図12に示すように、操作レバー9に対して姿勢または向きを異ならせて取り付け可能な別体部品から成り、
図13~16に示すように、姿勢または向きを異ならせて取り付けることにより突出寸法(t6~t9)が異なるものとされるとともに、操作レバー9に取り付ける変更手段10の姿勢または向きに応じて操作レバー9の操作過程における作動部7aの押圧タイミングを任意に変更するよう構成されている。
【0039】
すなわち、変更手段10は、
図10、12に示すように、4方向に向かってそれぞれ突出した4つの凸部(第1凸部10a、第2凸部10b、第3凸部10c、第4凸部10d)が形成された樹脂製部品から成り、
図13~16に示すように、操作レバー9の嵌合溝9cにおける第1溝形状9ca~第4溝形状9cdに対してそれぞれ第1凸部10a~第4凸部10dを嵌合させることにより、任意の向きまたは姿勢で取付可能とされている。そして、第4溝形状9cdに嵌合した凸部(第1凸部10a~第4凸部10d)がマイクロスイッチ7の作動部7aと対峙するようになっている。
【0040】
また、例えば変更手段10における第1凸部10aの突出寸法はt6、変更手段10における第2凸部10bの突出寸法はt7、変更手段10における第3凸部10cの突出寸法はt8、変更手段10における第4凸部10dの突出寸法はt9にそれぞれ設定されており、嵌合溝9cに取り付けられた変更手段10の姿勢または向きに応じて操作レバー9からの突出寸法を任意寸法(t6~t9の何れか)に設定することができる。
【0041】
したがって、操作レバー9を初期位置から揺動操作する過程において、嵌合溝9cに取り付けられた変更手段10の上方に向いた凸部(第1凸部10a~第4凸部10d)がマイクロスイッチ7の作動部7aに当接して押圧することにより、マイクロスイッチ7から溶接機Dに制御信号を送信するので、溶接に必要な電力、シールドガスまたは溶接ワイヤを溶接機Dからトーチボディ1に供給してアーク溶接することができる。
【0042】
このように、嵌合溝9cに嵌合して操作レバー9に取り付ける変更手段10を任意の姿勢または向きとすることにより、突出寸法をt6~t9の何れかに変更することができるので、操作レバー9の操作過程における作動部7aの押圧タイミングを任意に変更することができる。言い換えるならば、操作レバー9に取り付ける変更手段10を任意の向きまたは姿勢にすることにより、マイクロスイッチ7を作動(作動部7aを押圧)させて制御信号を溶接機Dに送信するための揺動操作角度を任意に調整することができるのである。
【0043】
上記実施形態によれば、操作レバー9に取り付けられ、操作レバー9の操作過程でマイクロスイッチ7(スイッチ手段)の作動部7aを押圧して制御信号を発生させるとともに、操作レバー9の操作過程における作動部7aの押圧タイミングを任意に変更する変更手段10を具備したので、操作レバー9の操作過程における作動部7aの押圧タイミングを必要に応じて容易に変更することができる。
【0044】
また、本実施形態に係る変更手段10は、操作レバー9に対して姿勢または向きを異ならせて取り付け可能な別体部品から成り、姿勢または向きを異ならせて取り付けることにより突出寸法(t6~t9)が異なるものとされるとともに、操作レバー9に取り付ける変更手段10の姿勢または向きに応じて操作レバー9の操作過程における作動部7aの押圧タイミングを任意に変更するので、別体部品(変更手段10)の姿勢または向きを異ならせて取り付けることにより、容易に作動部7aの押圧タイミングを任意に変更することができる。
【0045】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば変更手段は、本実施形態のものに限定されず、操作レバーに取り付けられ、操作レバーの操作過程でマイクロスイッチ7(スイッチ手段)の作動部7aを押圧して制御信号を発生させるとともに、操作レバーの操作過程における作動部7aの押圧タイミングを任意に変更するものであれば他の形態のものであってもよい。
【0046】
また、操作レバーは、揺動操作可能なものに限らず、直線状に摺動操作可能なものであってもよく、全体が他の形状或いはトーチハンドル4の他の部位に取り付けられたものであってもよい。さらに、制御信号を送信するためのマイクロスイッチ7に代えて、変更手段(8、10)で押圧可能な作動部を有した他のスイッチ手段を用いるようにしてもよい。本実施形態に係るスイッチ手段は、マイクロスイッチ7から成るので、スイッチ手段として汎用部品を用いることができ、信頼性を維持しつつ製造コストを低下させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明と同様の趣旨であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 トーチボディ
2 トーチケーブル
2a 外皮
2b 中心管
2c ライナ
3 連結部材
4 トーチハンドル
4a 保持部
5 カバー部材
6 操作レバー
6a 挿通孔
6b 凹部
6c 嵌合溝
6ca 第1溝形状
6cb 第2溝形状
6d 突出部
7 マイクロスイッチ(スイッチ手段)
7a 作動部
8(8a~8d) 変更手段
9 操作レバー
9a 挿通孔
9b 凹部
9c 嵌合溝
9ca 第1溝形状
9cb 第2溝形状
9cc 第3溝形状
9cd 第4溝形状
9d 突出部
10 変更手段
10a 第1凸部
10b 第2凸部
10c 第3凸部
10d 第4凸部
D 溶接機
L 軸部材
S リターンスプリング
h 配線
E 電線
W 溶接ワイヤ
h 配線
A 嵌合部位
B 突出部位