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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025122514
(43)【公開日】2025-08-21
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20250814BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20250814BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024018068
(22)【出願日】2024-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100164471
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 大和
(74)【代理人】
【識別番号】100221899
【弁理士】
【氏名又は名称】高倉 みゆき
(72)【発明者】
【氏名】柏倉 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】因幡 千尋
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 聖惟
(72)【発明者】
【氏名】岡田 強志
(72)【発明者】
【氏名】小畠 康宏
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181FF11
5H181FF32
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】自動運転車両の運行の安全性を向上させる。
【解決手段】運転支援装置10は、自動運転車両51のオペレータ52の端末装置20と通信する通信部と、自動運転車両10が走行する車道に接し歩行者が通行する歩道をカメラ30により撮影して得られた動画を取得し、取得した動画内に歩行者を検知すると、通信部を介して端末装置20に動画を表示させ、自動運転車両51がカメラ30の設置された位置を通過する前に、通信部を介して端末装置20に動画の表示を終了させる制御部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転車両のオペレータの端末装置と通信する通信部と、
前記自動運転車両が走行する車道に接し歩行者が通行する歩道をカメラにより撮影して得られた動画を取得し、取得した前記動画内に歩行者を検知すると、前記通信部を介して前記端末装置に前記動画を表示させ、前記自動運転車両が前記カメラの設置された位置を通過する前に、前記通信部を介して前記端末装置に前記動画の表示を終了させる制御部と
を備える運転支援装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記自動運転車両と前記カメラとの距離が閾値距離以下となったと判定するか、又は前記自動運転車両が前記カメラの設置された位置を通過するまでの時間が閾値時間以下となったと判定すると、前記通信部を介して前記端末装置に前記動画の表示を終了させる請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記制御部は、天候によって、前記閾値距離又は前記閾値時間を調整する請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記制御部は、時間帯によって、前記閾値距離又は前記閾値時間を調整する請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記端末装置に前記動画の表示を終了させる際に、前記通信部を介して前記端末装置に、前記歩行者を目視で確認するよう前記オペレータに促す通知を出力させる請求項1に記載の運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、所定の交通領域を通過する予定の自動運転車両の挙動を認識し、自動運転車両以外の車両又は歩行者に対して、通行の可否及び注意喚起などの報知を行う報知システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-050629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車内又は遠隔地のオペレータが自動運転車両の運行を支援することが考えられる。円滑な支援のために、オペレータに歩行者の動画を提示することが考えられる。しかし、オペレータに動画を常に提示すると、オペレータが目視確認を怠るおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、自動運転車両の運行の安全性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る運転支援装置は、
自動運転車両のオペレータの端末装置と通信する通信部と、
前記自動運転車両が走行する車道に接し歩行者が通行する歩道をカメラにより撮影して得られた動画を取得し、取得した前記動画内に歩行者を検知すると、前記通信部を介して前記端末装置に前記動画を表示させ、前記自動運転車両が前記カメラの設置された位置を通過する前に、前記通信部を介して前記端末装置に前記動画の表示を終了させる制御部と
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、自動運転車両の運行の安全性が向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第1実施形態及び第2実施形態に係るシステムの構成を示す図である。
図2】本開示の第1実施形態及び第2実施形態に係るシステムの使用例を表す図である。
図3】本開示の第1実施形態及び第2実施形態に係る運転支援装置の構成を示すブロック図である。
図4】本開示の第1実施形態に係る運転支援装置の動作を示すフローチャートである。
図5】本開示の第2実施形態に係る運転支援装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の幾つかの実施形態について、図を参照して説明する。
【0010】
各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。各実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0011】
本開示の一実施形態である第1実施形態について説明する。
【0012】
図1を参照して、本実施形態に係るシステム1の構成を説明する。
【0013】
本実施形態に係るシステム1は、運転支援装置10と、端末装置20と、カメラ30とを備える。運転支援装置10は、ネットワーク40を介して、端末装置20と通信可能である。運転支援装置10は、ネットワーク40を介して、カメラ30と通信可能である。
【0014】
運転支援装置10は、データセンタなどの施設に設置される。運転支援装置10は、クラウドコンピューティングシステム又はその他のコンピューティングシステムに属するサーバなどのコンピュータである。
【0015】
端末装置20は、自動運転車両51の運行を支援するオペレータ52によって利用される。オペレータ52は、車内にいてもよいし、又は運行管理室などの外部施設にいてもよい。オペレータ52が車内にいる場合、端末装置20は、オペレータ52によって保持される。オペレータ52が外部施設にいる場合、端末装置20は、外部施設に設置される。端末装置20は、例えば、携帯電話機、スマートフォン、若しくはタブレットなどのモバイル機器、又はPCである。「PC」は、personal computerの略語である。
【0016】
カメラ30は、図2に示したように、自動運転車両51が走行する車道54に接し歩行者53が通行する歩道55を撮影可能な位置に設置される。図2に示した例において、カメラ30の設置された位置は、車道54からの死角の近傍であるが、カメラ30は、死角に直接設置されてもよい。図2に示した例において、カメラ30の設置された位置は、車道54上の横断歩道56の近傍であるが、カメラ30は、横断歩道56に直接設置されてもよい。図2に示した例では、車道54を左から右に走行する車両があるとき、その車両が横断歩道56を通過するまでは、歩道55の、建物57で遮られている部分が車道54からの死角になる。カメラ30は、所望の高さに位置するように円柱などの長尺状の支柱によって支持されている。この支柱には、カメラ30のほかに、自動運転車両51の接近を歩行者53に通知するための、LEDなどのライト、スピーカ、又はディスプレイが取り付けられていてもよい。「LED」は、light-emitting diodeの略語である。
【0017】
ネットワーク40は、インターネット、少なくとも1つのWAN、少なくとも1つのMAN、又はこれらの任意の組合せを含む。「WAN」は、wide area networkの略語である。「MAN」は、metropolitan area networkの略語である。ネットワーク40は、少なくとも1つの無線ネットワーク、少なくとも1つの光ネットワーク、又はこれらの任意の組合せを含んでもよい。無線ネットワークは、例えば、アドホックネットワーク、セルラーネットワーク、無線LAN、衛星通信ネットワーク、又は地上マイクロ波ネットワークである。「LAN」は、local area networkの略語である。
【0018】
自動運転車両51は、例えば、ガソリン車、ディーゼル車、水素車、HEV、PHEV、BEV、又はFCEVなどの任意の種類の自動車である。「HEV」は、hybrid electric vehicleの略語である。「PHEV」は、plug-in hybrid electric vehicleの略語である。「BEV」は、battery electric vehicleの略語である。「FCEV」は、fuel cell electric vehicleの略語である。自動運転車両51は、本実施形態ではAVであり、高度なレベルで運転が自動化されている。「AV」は、autonomous vehicleの略語である。自動化のレベルは、例えば、SAEのレベル分けにおけるレベル3及びレベル4のいずれかである。「SAE」は、Society of Automotive Engineersの略語である。
【0019】
図1及び図2を参照して、本実施形態の概要を説明する。
【0020】
本実施形態では、運転支援装置10は、歩道55をカメラ30により撮影して得られた動画VDを取得する。運転支援装置10は、取得した動画VD内に歩行者53を検知すると、端末装置20に動画VDを表示させる。歩行者53は、人に限らず、車いすなどの歩道55を通行可能な移動体を含む。運転支援装置10は、自動運転車両51がカメラ30の設置された位置を通過する前に、端末装置20に動画VDの表示を終了させる。
【0021】
本実施形態によれば、オペレータ52に歩行者53の動画を常に提示する場合とは異なり、自動運転車両51がカメラ30の設置された位置を通過する直前の目視確認をオペレータ52に促すことができる。よって、自動運転車両51の運行の安全性が向上し得る。
【0022】
図2に示した例において、オペレータ52は、自動運転車両51に乗車している。オペレータ52は、端末装置20を操作し、及び端末装置20からの通知を確認する。歩行者53は、歩道55を通行しており、車道54上の横断歩道56を渡ろうとしているところである。歩行者53は、自動運転車両51の進行方向に向かって、歩道55を遮る建物57の奥にいるため、オペレータ52からは歩行者53を目視しにくくなっている。このようにオペレータ52から目視することができない車道54からの死角の近傍に、カメラ30が設置されている。カメラ30は、車道54に背を向けて歩道55を撮影している。カメラ30は、歩道55を撮影して得られた動画VDをネットワーク40を介して運転支援装置10に送信することができる。別の例として、カメラ30は、建物57の入口に向けて設置されるなど、建物57から外に出てくる歩行者の車道54への動線上に設置されてもよい。
【0023】
図3を参照して、本実施形態に係る運転支援装置10の構成を説明する。
【0024】
運転支援装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13とを備える。
【0025】
制御部11は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つのプログラマブル回路、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの任意の組合せを含む。プロセッサは、CPU若しくはGPUなどの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。「CPU」は、central processing unitの略語である。「GPU」は、graphics processing unitの略語である。プログラマブル回路は、例えば、FPGAである。「FPGA」は、field-programmable gate arrayの略語である。専用回路は、例えば、ASICである。「ASIC」は、application specific integrated circuitの略語である。制御部11は、運転支援装置10の各部を制御しながら、運転支援装置10の動作に関わる処理を実行する。
【0026】
記憶部12は、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、又はこれらの任意の組合せを含む。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。「RAM」は、random access memoryの略語である。「ROM」は、read only memoryの略語である。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。「SRAM」は、static random access memoryの略語である。「DRAM」は、dynamic random access memoryの略語である。ROMは、例えば、EEPROMである。「EEPROM」は、electrically erasable programmable read only memoryの略語である。記憶部12は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部12には、運転支援装置10の動作に用いられるデータと、運転支援装置10の動作によって得られたデータとが記憶される。
【0027】
通信部13は、少なくとも1つの通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LANインタフェースである。通信部13は、運転支援装置10の動作に用いられるデータを受信し、また運転支援装置10の動作によって得られるデータを送信する。
【0028】
運転支援装置10の機能は、本実施形態に係る制御プログラムを、制御部11としてのプロセッサで実行することにより実現される。すなわち、運転支援装置10の機能は、ソフトウェアにより実現される。制御プログラムは、運転支援装置10の動作をコンピュータに実行させることで、コンピュータを運転支援装置10として機能させる。すなわち、コンピュータは、制御プログラムに従って運転支援装置10の動作を実行することにより運転支援装置10として機能する。
【0029】
プログラムは、非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体に記憶しておくことができる。非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体は、例えば、フラッシュメモリ、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又はROMである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記憶したSDカード、DVD、又はCD-ROMなどの可搬型媒体を販売、譲渡、又は貸与することによって行う。「SD」は、Secure Digitalの略語である。「DVD」は、digital versatile discの略語である。「CD-ROM」は、compact disc read only memoryの略語である。プログラムをサーバのストレージに格納しておき、サーバから他のコンピュータにプログラムを転送することにより、プログラムを流通させてもよい。プログラムをプログラムプロダクトとして提供してもよい。
【0030】
コンピュータは、例えば、可搬型媒体に記憶されたプログラム又はサーバから転送されたプログラムを、一旦、主記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、主記憶装置に格納されたプログラムをプロセッサで読み取り、読み取ったプログラムに従った処理をプロセッサで実行する。コンピュータは、可搬型媒体から直接プログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行してもよい。コンピュータは、コンピュータにサーバからプログラムが転送される度に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行してもよい。サーバからコンピュータへのプログラムの転送は行わず、実行指示及び結果取得のみによって機能を実現する、いわゆるASP型のサービスによって処理を実行してもよい。「ASP」は、application service providerの略語である。プログラムは、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものを含む。例えば、コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【0031】
運転支援装置10の一部又は全ての機能が、制御部11としてのプログラマブル回路又は専用回路により実現されてもよい。すなわち、運転支援装置10の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0032】
図4を参照して、本実施形態に係るシステム1の動作を説明する。この動作は、本実施形態に係る運転支援方法に相当する。
【0033】
S101において、運転支援装置10の制御部11は、動画VDを取得する。具体的には、制御部11は、カメラ30から通信部13を介して動画VDを受信する。制御部11は、自動運転車両51が車道54を走行している間、少なくとも自動運転車両51がカメラ30の設置された位置を通過するまで、動画VDを受信し続ける。
【0034】
S102において、運転支援装置10の制御部11は、S101で取得した動画VD内の歩行者53を検知する。具体的には、制御部11は、S101で取得した動画VDのフレーム間で位置が変化している物体を、移動体と認識する。フレーム内の物体を認識する方法としては、任意の方法を採用することができる。制御部11は、認識した移動体を矩形で囲んだときの矩形領域が大きいほど、移動体はカメラ30に近く、矩形領域が小さいほど、移動体はカメラ30から離れていると判定する。制御部11は、矩形領域が時間の経過とともに大きくなると、移動体はカメラ30に接近し、小さくなると、移動体はカメラ30から遠ざかっていると判定する。制御部11は、矩形領域が所定サイズ以上であり、かつ時間の経過とともに大きくなっている場合、移動体を歩行者53として検知する。所定サイズは、例えばフレームの大きさの10%である。制御部11は、矩形領域が所定サイズ未満である、又は時間の経過とともに小さくなっている場合、移動体を歩行者53として検知しなくてもよい。歩行者53を検知した場合、制御部11は、S103の処理に進む。制御部11は、歩行者53が検知されるまで、順次取得される動画VDのフレーム内の移動体を認識する処理を繰り返す。
【0035】
S103において、運転支援装置10の制御部11は、通信部13を介して端末装置20に動画VDを送信し始める。具体的には、制御部11は、動画VDをストリーミング形式で送信する。このとき、制御部11は、端末装置20を、動画VDを送信する端末装置として特定している。動画VDを送信する端末装置を特定する方法としては、任意の方法を採用することができる。一例として、制御部11は、端末装置20の位置を示す位置データを通信部13を介して受信する。制御部11は、受信した位置データが示す位置とカメラ30が設置された位置との距離を算出する。制御部11は、算出した距離が所定距離範囲内、かつ算出した距離が小さくなっていくと、端末装置20を動画VDを送信する端末装置として特定する。制御部11は、算出した距離が所定距離範囲より大きい、又は算出した距離が大きくなっていくと、端末装置20を動画VDを送信する端末装置として特定しない。所定距離は、例えば100mである。制御部11は、後述するS106まで、通信部13を介して端末装置20に動画VDを送信し続ける。端末装置20は、運転支援装置10から送信された動画VDを受信する。端末装置20は、受信した動画VDを端末装置20のディスプレイの画面に表示する。オペレータ52は、ディスプレイに表示された動画VDを見ることによって、歩行者53が車道54及び横断歩道56に接近することを確認することができる。
【0036】
本実施形態では、制御部11は、S102で歩行者53を検知した後、自動的に端末装置20に動画VDを表示させているが、制御部11は、オペレータ52による操作に応じて、端末装置20に動画VDを表示させてもよい。そのような変形例において、端末装置20は、運転支援装置10から動画VDを受信すると、動画VDを表示可能である旨の通知NDをディスプレイの画面に表示する。通知NDは、オペレータ52による、動画VDの表示を指示する操作を受け付けるためのグラフィック要素を含む。グラフィック要素は、例えば、「動画」ボタンなどのボタン、又は歩行者を表すアイコンである。端末装置20は、通知NDをスピーカから音声出力してもよい。端末装置20は、オペレータ52による、動画VDの表示を指示する操作を受け付ける。操作は、例えばグラフィック要素のタップである。オペレータ52がグラフィック要素をタップすると、すなわち端末装置20が操作を受け付けると、端末装置20は、動画VDをディスプレイの画面に表示する。
【0037】
S104において、運転支援装置10の制御部11は、閾値距離TDを設定する。後述するように、制御部11は、S105で自動運転車両51とカメラ30との距離が閾値距離TD以下となったと判定すると、S106で通信部13を介して端末装置20に動画VDの表示を終了させる。動画VDの表示が終了すると、オペレータ52は、自動運転車両51の前方又は前方付近を目視する可能性が高いと考えられる。例えば、オペレータ52が車内にいるとき、動画VDの表示が終了すると、オペレータ52は、車窓を通して車外を目視で確認するか、又は車載カメラにより撮影された車外のリアルタイム画像が車載ディスプレイに表示されていれば、そのリアルタイム画像を目視で確認する可能性が高いと考えられる。オペレータ52が外部施設にいるときも、動画VDの表示が終了すると、オペレータ52は、車載カメラにより撮影された車外のリアルタイム画像が端末装置20のディスプレイに表示されていれば、そのリアルタイム画像を目視で確認する可能性が高いと考えられる。閾値距離TDは、以下に例示するような方法で設定することができる。
【0038】
第1例として、制御部11は、天候によって、閾値距離TDを調整してもよい。例えば、天候が晴れであるとき、制御部11は、閾値距離TDを30mに設定する。天候が曇りであるとき、制御部11は、閾値距離TDを40mに設定する。天候が曇りのときは天候が晴れのときよりも自動運転車両51の前方又は前方付近を目視しにくくなるため、制御部11は、閾値距離TDを天候が晴れのときよりも長く設定する。天候が雨であるとき、制御部11は、閾値距離TDを50mに設定する。天候が雨のときは天候が曇りのときよりも自動運転車両51の前方又は前方付近を目視しにくくなるため、制御部11は、閾値距離TDを天候が曇りのときよりも長く設定する。制御部11は、雨が強いとき、閾値距離TDを50mよりも長く設定してもよい。
【0039】
第2例として、制御部11は、時間帯によって、閾値距離TDを調整してもよい。例えば、8時0分から14時59分など、陽の出ている朝から昼の時間帯、制御部11は、閾値距離TDを30mに設定する。6時0分から7時59分又は15時0分から17時59分など、陽の弱い早朝又は夕方の時間帯、制御部11は、閾値距離TDを40mに設定する。早朝又は夕方の時間帯は朝から昼の時間帯よりも自動運転車両51の前方又は前方付近を目視しにくくなるため、制御部11は、閾値距離TDを朝から昼の時間帯よりも長く設定する。18時0分から翌日5時59分など、陽の出ていない夜から明け方の時間帯、制御部11は、閾値距離TDを50mに設定する。夜から明け方の時間帯は早朝又は夕方の時間帯よりも自動運転車両51の前方又は前方付近を目視しにくくなるため、制御部11は、閾値距離TDを早朝又は夕方の時間帯よりも長く設定する。
【0040】
S105において、運転支援装置10の制御部11は、自動運転車両51とカメラ30との距離が閾値距離TD以下となったか否かを判定する。距離が閾値距離TD以下となったか否かを判定する方法としては、任意の方法を採用することができる。一例として、制御部11は、端末装置20の位置を示す位置データを通信部13を介して受信する。制御部11は、受信した位置データが示す位置とカメラ30が設置された位置との距離を算出する。算出した距離が、S104で設定した閾値距離TD以下となったと判定すると、制御部11は、S106の処理に進む。算出した距離が閾値距離TD以下となったと判定するまで、制御部11は、S105の処理を繰り返す。
【0041】
S106において、運転支援装置10の制御部11は、動画VDの送信を終了する。これにより、端末装置20では、動画VDの表示が終了する。すなわち、制御部11は、自動運転車両51がカメラ30の設置された位置を通過する前に、通信部13を介して端末装置20に動画VDの表示を終了させる。
【0042】
運転支援装置10の制御部11は、S106で端末装置20に動画VDの表示を終了させる際に、通信部13を介して端末装置20に、歩行者53を目視で確認するようオペレータ52に促す通知NVを出力させてもよい。具体的には、制御部11は、通信部13を介して端末装置20に通知NVを送信してもよい。端末装置20は、通知NVを受信すると、通知NVをディスプレイの画面に表示する。通知NVは、例えば「前方をご確認ください」といったメッセージである。端末装置20は、メッセージを音声出力してもよい。端末装置20は、メッセージの表示及び音声出力の両方を行ってもよい。制御部11は、自動運転車両51がカメラ30の設置された位置を通過するまで、メッセージの表示又は音声出力を継続する。動画VDの表示を終了するとともにメッセージを出力することにより、オペレータ52に歩行者53の目視確認を明示的に促すことができる。
【0043】
上述したように、本実施形態では、運転支援装置10の制御部11は、歩道55をカメラ30により撮影して得られた動画VDを取得する。運転支援装置10の制御部11は、取得した動画VD内に歩行者53を検知すると、通信部13を介して端末装置20に動画VDを表示させる。運転支援装置10の制御部11は、自動運転車両51がカメラ30の設置された位置を通過する前に、通信部13を介して端末装置20に動画VDの表示を終了させる。
【0044】
本実施形態によれば、オペレータ52に動画VDを提示した後、カメラ30の撮影対象を目視で確認するようオペレータ52を暗示的又は明示的に誘導することができる。よって、自動運転車両51の運行の安全性が向上し得る。
【0045】
S104及びS105の処理は、オペレータ52が車内にいるときだけ実行されてもよい。例えば、オペレータ52が外部施設にいるときは、S104及びS105の処理の代わりに、自動運転車両51がカメラ30の設置された位置を通過したか否かを判定する処理が実行されてもよい。あるいは、オペレータ52が車内にいるときでも、オペレータ52とは別の第2オペレータが外部施設にいるときは、その第2オペレータについて、S104及びS105の処理の代わりに、自動運転車両51がカメラ30の設置された位置を通過したか否かを判定する処理が実行されてもよい。そのような変形例において、運転支援装置10の制御部11は、自動運転車両51がカメラ30の設置された位置を通過したと判定すると、S106の処理を実行する。
【0046】
本実施形態では、閾値距離TDは、状況に応じて変動するが、閾値距離TDは、固定値であってもよい。そのような変形例では、S104の処理を省略することができる。固定値は、例えば30mである。
【0047】
本実施形態の一変形例として、運転支援装置10の制御部11は、閾値距離TDの代わりに閾値時間TTによって動画VDの送信を終了するタイミングを調整してもよい。そのような変形例である第2実施形態について説明する。
【0048】
図5を参照して、本実施形態に係るシステム1の動作を説明する。この動作は、本実施形態に係る運転支援方法に相当する。
【0049】
図5のS201からS203及びS206の処理については、図4のS101からS103及びS106の処理と同じであるため、説明を省略する。
【0050】
S204において、運転支援装置10の制御部11は、閾値時間TTを設定する。制御部11は、S205で自動運転車両51がカメラ30の設置された位置を通過するまでの時間が閾値時間TT以下となったと判定すると、S206で通信部13を介して端末装置20に動画VDの表示を終了させる。閾値時間TTは、以下に例示するような方法で設定することができる。
【0051】
第1例として、制御部11は、天候によって、閾値時間TTを調整してもよい。例えば、天候が晴れであるとき、制御部11は、閾値時間TTを3秒に設定する。天候が曇りであるとき、制御部11は、閾値時間TTを4秒に設定する。天候が曇りのときは天候が晴れのときよりも自動運転車両51の前方又は前方付近を目視しにくくなるため、制御部11は、閾値時間TTを天候が晴れのときよりも長く設定する。天候が雨であるとき、制御部11は、閾値時間TTを5秒に設定する。天候が雨のときは天候が曇りのときよりも自動運転車両51の前方又は前方付近を目視しにくくなるため、制御部11は、閾値時間TTを天候が曇りのときよりも長く設定する。制御部11は、雨が強いとき、閾値時間TTを5秒よりも長く設定してもよい。
【0052】
第2例として、制御部11は、時間帯によって、閾値時間TTを調整してもよい。例えば、8時0分から14時59分など、陽の出ている朝から昼の時間帯、制御部11は、閾値時間TTを3秒に設定する。6時0分から7時59分又は15時0分から17時59分など、陽の弱い早朝又は夕方の時間帯、制御部11は、閾値時間TTを4秒に設定する。早朝又は夕方の時間帯は朝から昼の時間帯よりも自動運転車両51の前方又は前方付近を目視しにくくなるため、制御部11は、閾値時間TTを朝から昼の時間帯よりも長く設定する。18時0分から翌日5時59分など、陽の出ていない夜から明け方の時間帯、制御部11は、閾値時間TTを5秒に設定する。夜から明け方の時間帯は早朝又は夕方の時間帯よりも自動運転車両51の前方又は前方付近を目視しにくくなるため、制御部11は、閾値時間TTを早朝又は夕方の時間帯よりも長く設定する。
【0053】
S205において、運転支援装置10の制御部11は、自動運転車両51がカメラ30の設置された位置を通過するまでの時間が閾値時間TT以下となったか否かを判定する。時間が閾値時間TT以下となったか否かを判定する方法としては、任意の方法を採用することができる。一例として、制御部11は、端末装置20の位置を示す位置データ及び端末装置20の速度、すなわち自動運転車両51の車速を示す車速データを通信部13を介して受信する。制御部11は、受信した位置データが示す位置とカメラ30が設置された位置との距離を算出する。制御部11は、算出した距離及び受信した車速データが示す車速から、自動運転車両51がカメラ30の設置された位置を通過するまでの時間を算出する。算出した時間が、S204で設定した閾値時間TT以下となったと判定すると、制御部11は、S206の処理に進む。算出した時間が閾値時間TT以下となったと判定するまで、制御部11は、S205の処理を繰り返す。
【0054】
本実施形態では、閾値時間TTは、状況に応じて変動するが、閾値時間TTは、固定値であってもよい。そのような変形例では、S204の処理を省略することができる。固定値は、例えば3秒である。
【0055】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の2つ以上のブロックを統合してもよいし、又は1つのブロックを分割してもよい。フローチャートに記載の2つ以上のステップを記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行してもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 システム
10 運転支援装置
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
20 端末装置
30 カメラ
40 ネットワーク
51 自動運転車両
52 オペレータ
53 歩行者
54 車道
55 歩道
56 横断歩道
57 建物
図1
図2
図3
図4
図5