(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012285
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】ペット用冷却マット
(51)【国際特許分類】
A01K 1/015 20060101AFI20250117BHJP
A01K 1/035 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
A01K1/015 D
A01K1/035 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115019
(22)【出願日】2023-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】511190096
【氏名又は名称】株式会社ブレイン
(74)【代理人】
【識別番号】110001885
【氏名又は名称】弁理士法人IPRコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】大倉 博則
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101AA20
2B101BB01
2B101GB01
(57)【要約】
【課題】 ペット用冷却マットをシンプルに構成し、マットに接触したペットを効率的に冷却しつつ、接触感や動作音等に関してペットに快適な環境を提供する。
【解決手段】 主面及び前記主面に対向する底面を備え、内部に収納空間を有する本体と、前記収納空間内に収納される貯水袋と、前記主面に沿って張り巡らされた循環路と、前記貯水袋内の水を前記循環路に供給するポンプと、を具備し、前記水が前記循環路を循環することで、前記主面に接触したペットの身体を冷却すること、を特徴とするペット用水冷マット。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面及び前記主面に対向する底面を備え、内部に収納空間を有する本体と、
前記収納空間内に収納される貯水袋と、
前記主面に沿って張り巡らされた循環路と、
前記貯水袋内の水を前記循環路に供給するポンプと、を具備し、
前記水が前記循環路を循環することで、前記主面に接触したペットの身体を冷却すること、
を特徴とするペット用水冷マット。
【請求項2】
前記循環路が、前記主面に沿って蛇行するホースであること、
を特徴とする請求項1に記載のペット用水冷マット。
【請求項3】
前記本体が前記底面にバッテリ収納部を有し、
前記バッテリ収納部にバッテリが収納された状態において、前記本体がその設置面に対して傾くこと、
を特徴とする請求項1に記載のペット用水冷マット。
【請求項4】
前記収納空間が断熱性のシート材で覆われていること、
を特徴とする請求項1に記載のペット用水冷マット。
【請求項5】
前記貯水袋を前記収納空間内に着脱自在に保持する保持部を更に具備すること、
を特徴とする請求項1に記載のペット用水冷マット。
【請求項6】
前記本体を収納するカバーを更に具備すること、
を特徴とする請求項1に記載のペット用水冷マット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットの身体の冷却に好適に利用することができる冷却マットに関する。
【背景技術】
【0002】
ペットを冷却するための装置として種々のものが提案されている。例えば特許文献1(特開2000-175582)は、ベース上に設置した熱伝導板の表面上にペットが乗るスペースを設け、熱伝導板に電子冷却ユニットを設け、電子冷却ユニットに放熱フィンを、放熱フィンに送風する送風ファンを設けた小動物用冷房装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、熱伝導板は硬く、動物にとって座り心地に難がある。また、送風ファンの動作音や排気される温かい空気を嫌がる動物もいる。電子冷却ユニット及び熱伝導板が結露するおそれがある。また、構造が複雑で製造コストがかかる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、ペット用冷却マットをシンプルに構成し、マットに接触したペットを効率的に冷却しつつ、接触感や動作音等に関してペットに快適な環境を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決すべく、本発明は、
主面及び前記主面に対向する底面を備え、内部に収納空間を有する本体と、
前記収納空間内に収納される貯水袋と、
前記主面に沿って張り巡らされた循環路と、
前記貯水袋内の水を前記循環路に供給するポンプと、を具備し、
前記水が前記循環路を循環することで、前記主面に接触したペットの身体を冷却すること、
を特徴とするペット用水冷マット、を提供する。
【0007】
本発明のペット用冷却マットにおいては、前記循環路が、前記主面に沿って蛇行するホースであること、が好ましい。
【0008】
また、本発明のペット用冷却マットにおいては、前記本体が前記底面にバッテリ収納部を有し、前記バッテリ収納部にバッテリが収納された状態において、前記本体がその設置面に対して傾くこと、が好ましい。
【0009】
また、本発明のペット用冷却マットにおいては、前記収納空間が断熱性のシート材で覆われていること、が好ましい。
【0010】
また、本発明のペット用冷却マットにおいては、前記貯水袋を前記収納空間内に着脱自在に保持する保持部を更に具備すること、が好ましい。
【0011】
また、本発明のペット用冷却マットにおいては、前記本体を収納するカバーを更に具備すること、が好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電子冷却素子や放熱フィン、送風ファンを用いずに、ポンプで流路に水を流すというシンプルな構成を採用し、これにより、マットに接触したペットを効率的に冷却することとしている。それゆえ、接触感や動作音等に関してペットに快適な環境を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係るペット用冷却マット1の使用状態の一例を示す図である。
【
図2】ペット用冷却マット1の概略を示す正面図、背面図、上面図、底面図、右側面図及び左側面図である。
【
図3】扉16を開いて収納空間14及び貯水袋20を露出させた状態のペット用冷却マット1を示す図である。
【
図5】設置面Fに載置されたペット用冷却マット1を示す図である。
【
図7】貯水袋20から開閉部22を取り外す過程及び取り外した後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るペット用冷却マットの代表的な実施形態について、図を参照しながら詳細に説明するが、本発明は図示されるものに限られない。また、各図面は本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために、必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表している場合もある。更に、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することもある。
【0015】
ペット用水冷マット1の構成を説明する。
図1に例示するように、ペット用水冷マット1は、ペットPを冷却するために用いられる。ペットPとしては犬、猫を想定しているが、これらに限られない。
図2~
図4に示すように、ペット用水冷マット1は、本体10、貯水袋20、循環路30、及びポンプ40を含む。
【0016】
本体10は、主面11及び主面11に対向する底面12を備える。
主面11は、ペットPがその上に乗るなど、ペットPが直接的又はカバー60等を介して間接的に接触する面であり、例えば上面である。主面11と底面12は略矩形であり、それぞれの外縁同士は周壁13により連結されている。主面11、底面12及び周壁13は例えばメッシュ生地で作製されてもよい。
したがって、本体10は、主面11と底面12との間、つまり内部に収納空間14を有する座布団ないしベッドのような形状を有している(
図3参照)。
【0017】
図4に示すように、収納空間14には、本体10に形成された開口15を通じてアクセス可能である。
本実施形態では、開口15は底面12に配置されているが、主面11に設けられてもかまわない。また、開口15は底面12の略全面に亘って形成されているが、開口15は底面12の一部分に形成されてもよい。
【0018】
開口15は、扉16によって開閉自在に閉じられる(
図2及び
図4参照)。扉16は、例えばスライドファスナなどの留め具17を介して開口15の縁に取り付けられてよい。
留め具17は、収納空間14のほぼ全体を露出させるように、略矩形状の底面12における3辺の略全てに亘って設けられることが好ましい。これにより、貯水袋20の着脱が容易になる。
【0019】
図3及び
図4に示すように、収納空間14内には貯水袋20が収納される。
貯水袋20は、内部に水を貯めることができる袋体である。貯水袋20は、ウレタン樹脂や塩化ビニル樹脂等の樹脂材料で作製され、水密性を有する。貯水袋20は、例えば250ml程度の水ないし氷水を貯めることができる。
【0020】
具体的には、貯水袋20は、上部に給水口21を有し、給水口21はスライドジッパーなどの開閉部22により開閉される(
図6及び
図7参照)。これにより貯水袋20が水密に保たれる。開閉部22には取付孔22Aが形成され、取付孔22Aには後述する保持部25が着脱自在に取り付けられてもよい。
【0021】
貯水袋20は、ポンプ40を介して循環路30の一端に繋がる取水口23、及び、循環路30の他端に繋がる排水口24を有する(
図4参照)。したがって、貯水袋20を出た水は、循環路30を経て、再び貯水袋20に戻ってくることができる。
【0022】
本実施形態では、取水口23は貯水袋20の底部(下部)側に、排水口24は貯水袋20の上部側に設けられている。したがって、ペット用水冷マット1が設置面Fに載置されると(
図5参照)、取水口23は排水口24よりも下側(設置面F側)に位置し、貯水袋20内の水は取水口23側に流れる。これにより、貯水袋20と循環路30との間の水の循環が滞りなく行われる。
【0023】
貯水袋20を収納空間14内に着脱自在に保持するために保持部25が更に設けられてもよい。保持部25は、例えば、本体10に取り付けられた、面ファスナ付きのストラップであり、開閉部22の取付孔22Aに着脱自在に挿通可能である(
図4参照)。
【0024】
本体10は底面12にバッテリ収納部50を有してもよい(
図2及び
図3参照)。
バッテリ収納部50は、ポンプ40を駆動するための携帯型電源、すなわちバッテリBを収納する空間であり、底面12のうち一方の側に偏って配置されている。本実施形態では、バッテリ収納部50は扉16の基端側に設けられているが、扉16の先端側に設けられてもかまわない。
したがって、バッテリ収納部50にバッテリBが収納されると、バッテリ収納部50は底面12から突出し、本体10がその設置面に対して傾く(
図5参照)。これにより、貯水袋20において取水口23に十分な水量が供給され、循環路30への水の供給が滞りなく行われる。
【0025】
本実施形態では、バッテリ収納部50を構成する生地は略矩形状であり、3辺において底面12に縫合されて袋状をなす。バッテリ収納部50は、残りの1辺において面ファスナなどの閉じ具51によって開閉自在に閉じられる(
図2(B)参照)。これにより、バッテリ収納部50内のバッテリが、脱落することなくバッテリ収納部50内に保持される。
【0026】
バッテリ収納部50は、底面12に形成された孔部52を介して本体10の収納空間14と連通している(
図4参照)。孔部52には、バッテリBをポンプ40と接続するケーブルが挿通される。なお、バッテリB又はケーブルにはスイッチ(図示せず)が付属してもよい。
【0027】
収納空間14に戻ると、収納空間14は断熱性のシート材で覆われてもよい。
シート材は、例えばウレタンなどの合成樹脂の発泡体から構成され、表面(収納空間14の内面)にアルミ蒸着フィルムが積層されている。これにより収納空間14は保温性及び遮光性に優れ、貯水袋20内の水が環境温度から受ける影響を小さくすることができる。すなわち、貯水袋20内の水の保冷が可能である。
【0028】
収納空間14は、主面11側の壁に形成された孔部18を介して外部と連通している(
図2(A)及び
図4参照)。孔部18には、循環路30を構成するホースないしチューブが挿通される。
【0029】
循環路30は、主面11に沿ってサーペンタイン状に配置されて張り巡らされたホースないしチューブで構成されている(
図2(A)参照)。循環路30の一端はポンプ40を介して貯水袋20の取水口23に接続され、循環路30の他端は貯水袋20の排水口24に接続される。
【0030】
本実施形態では、循環路30は1本の流路として構成され、主面11に沿って所定の方向に蛇行する。ただし、循環路30をなす流路は分岐してもよい。また、循環路30は、渦巻き状などの他の配置でもよい。
【0031】
循環路30は、例えば塩化ビニル樹脂などの、水密性及び適度な柔軟性を持つ合成樹脂により作製されてよい。また、循環路30は、例えばテープ材によって主面11に取り付けられてもよい。
【0032】
ポンプ40は、貯水袋20内の水を循環路30に供給する。循環路30に適度な流量の水を供給できる限り、ポンプ40の種類としては、非容積式ポンプと容積式ポンプのいずれのタイプをも利用可能である。本実施形態では、ポンプ40は収納空間14内に収納されているが(
図3及び
図4参照)、これに限られない。
【0033】
ペット用水冷マット1は、本体10を収納するカバー60を更に具備してもよい(
図1参照)。
カバー60は、循環路30を覆って、循環路30がペットPによって傷つけられるのを防止する。また、カバー60は、ペットPが循環路30に直接触れることで過度に冷却されることを防止する。適度な熱を透過させるものである限り、カバー60としては、天然繊維及び化学繊維からなる生地を適宜用いることができる。本実施形態では、カバー60は袋状であり、ファスナにより開閉可能である。
【0034】
次いで、ペット用水冷マット1の使用手順を説明する。
【0035】
まず貯水袋20に水を入れる又は入れ替える。
具体的には、留め具17を解除して扉16を開き、収納空間14内の貯水袋20を露出させる(
図4参照)。保持部25を解除して、貯水袋20を収納空間14から取り外す。
次いで、貯水袋20から開閉部22を取り外し(
図7参照)、給水口21から貯水袋20内に水を注ぐ。このとき、併せて氷を貯水袋20に入れてもよい。
その後、開閉部22で給水口21を封止し、保持部25で貯水袋20を収納空間14に固定する。
貯水袋20の取水口23及び排水口24に循環路30の先端を取り付ける。
開口15を扉16で閉じ、留め具17で固定する。
【0036】
併せて、バッテリBとポンプ40とをケーブルで繋ぐ。バッテリBをバッテリ収納部50に入れ、その開口15を閉じ具51で閉じる。
更に、本体10にカバー60を被せてもよい。
【0037】
そして、ペット用水冷マット1を設置面Fに設置する。このとき、バッテリ収納部50が本体10の底面12の一方に偏って配置されているため、本体10の主面11は設置面に対して傾く(
図5参照)。これにより、貯水袋20内の水が取水口23側に片寄り、水が流水路30に滞りなく供給される。
【0038】
スイッチ(図示せず)を投入すると、バッテリBからポンプ40に電力が供給される。ポンプ40により水が貯水袋20から循環路30に供給され、循環路30に沿って循環し、貯水袋20に戻る。
このとき、ペットPが直接に又はカバー60を介して間接的に循環路30に接触することで、ペットPが冷却される(
図1参照)。
【0039】
本実施形態によれば、ペット用水冷マット1は、貯水袋20内の冷却水が循環路30を循環することで、本体10に乗るなどして接触したペットPの身体を冷却することができる。
【0040】
ペット用水冷マット1では、ペットPと接触する面(例えば主面11、循環路30及びカバー60)は柔軟な素材で作製されているため、ペットPにとって居心地がよい。
【0041】
その他、ペット用水冷マット1の動作音は静かであり、ペットPにとって不快でない。
ペット用水冷マット1はシンプルな構成であり、製造コストを抑えることができる。
【0042】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明してきたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、実用新案登録請求の範囲の記載の精神及び教示を逸脱しない範囲でその他の改良例や変形例が存在する。そして、かかる改良例や変形例は全て本発明の技術的範囲に含まれることは、当業者にとっては容易に理解されるところである。
【符号の説明】
【0043】
1 ペット用水冷マット
10 本体
11 主面
12 底面
14 収納空間
15 開口
16 扉
17 留め具
20 貯水袋
21 給水口
22 開閉部
23 取水口
24 排水口
30 循環路
40 ポンプ
50 バッテリ収納部
60 カバー
P ペット
F 設置面