IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社マコトプラスチックの特許一覧 ▶ 株式会社羽根の特許一覧

特開2025-12295衝撃緩衝性を有する果実輸送容器の製造方法
<>
  • 特開-衝撃緩衝性を有する果実輸送容器の製造方法 図1
  • 特開-衝撃緩衝性を有する果実輸送容器の製造方法 図2
  • 特開-衝撃緩衝性を有する果実輸送容器の製造方法 図3A
  • 特開-衝撃緩衝性を有する果実輸送容器の製造方法 図3B
  • 特開-衝撃緩衝性を有する果実輸送容器の製造方法 図3C
  • 特開-衝撃緩衝性を有する果実輸送容器の製造方法 図4A
  • 特開-衝撃緩衝性を有する果実輸送容器の製造方法 図4B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012295
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】衝撃緩衝性を有する果実輸送容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/34 20060101AFI20250117BHJP
   B65D 81/07 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
B65D85/34 160
B65D81/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115030
(22)【出願日】2023-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】523267335
【氏名又は名称】株式会社マコトプラスチック
(71)【出願人】
【識別番号】000140074
【氏名又は名称】株式会社羽根
(74)【代理人】
【識別番号】110003823
【氏名又は名称】弁理士法人柳野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞次 圭太
(72)【発明者】
【氏名】田中 祐敦
(72)【発明者】
【氏名】森 健剛
【テーマコード(参考)】
3E066
3E096
【Fターム(参考)】
3E066AA37
3E066AA44
3E066BA01
3E066CA01
3E066HA04
3E066JA01
3E066KA02
3E066MA06
3E066NA53
3E096AA08
3E096BA27
3E096BB09
3E096CA06
3E096CA19
3E096CB02
3E096CC02
3E096DA03
3E096DA04
3E096DA25
3E096DC04
3E096EA02X
3E096EA02Y
3E096FA09
3E096FA30
3E096GA11
3E096GA13
(57)【要約】
【課題】傷みやすい果実を輸送するために用いる果実輸送容器の製造コストを低減する。
【解決手段】熱可塑性プラスチックである第1シートからシート成形により第1容器1を製造する第1容器製造工程と、熱可塑性プラスチックである第2シートからシート成形により第2容器2を製造する第2容器製造工程とを含む。シート成形型は、前記第1シートに収納凹部Bを賦形するための形状を有し、前記第1容器製造工程及び前記第2容器製造工程で共通して用いられる。前記熱可塑性プラスチックの成形収縮率を考慮して、前記第1シートの材質及び厚み、並びに、前記第2シートの材質及び厚みを選定する。前記第1容器製造工程及び前記第2容器製造工程を経て製造された第1容器1及び第2容器2は、第2容器2により第1容器1を支持した状態で、収納凹部B内に収納された果実は宙吊り状態となる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃緩衝性を有する果実輸送容器の製造方法であって、
前記果実輸送容器は、果実を収納する収納凹部が形成された軟質の第1容器と、前記第1容器を支持する硬質の第2容器とからなり、
前記製造方法は、
熱可塑性プラスチックである第1シートからシート成形により前記第1容器を製造する第1容器製造工程と、
熱可塑性プラスチックである第2シートからシート成形により前記第2容器を製造する第2容器製造工程と、
を含み、
前記シート成形を行うシート成形型は、前記第1シートに前記収納凹部を賦形するための形状を有し、前記第1容器製造工程及び前記第2容器製造工程で共通して用いられ、
前記熱可塑性プラスチックの成形収縮率を考慮して、前記第1シートの材質及び厚み、並びに、前記第2シートの材質及び厚みを選定して前記第1容器製造工程及び前記第2容器製造工程を行うことで、前記第1容器製造工程及び前記第2容器製造工程を経て製造された前記第1容器及び前記第2容器は、前記第2容器により前記第1容器を支持した状態で、前記収納凹部内に収納された果実は宙吊り状態となる、
衝撃緩衝性を有する果実輸送容器の製造方法。
【請求項2】
前記第1シートの材質はポリエチレンで、厚みは0.1mm~0.5mmであり、
前記第2シートの材質はポリプロピレンで、厚みは0.3mm~1.5mm、又は、
前記第2シートの材質はポリエチレンテレフタレートで、厚みは0.2mm~0.8mmである、
請求項1に記載の衝撃緩衝性を有する果実輸送容器の製造方法。
【請求項3】
前記第2容器は、前記第1容器の前記収納凹部に重合する前記第2容器の凹部の外周縁に繋がる平坦部の所要箇所に、上に凸で、上方に向かって外径の縮径する第2突起を複数有する形状を成し、
前記シート成形型は、前記第2突起を賦形するための形状も有し、
前記第1容器製造工程及び前記第2容器製造工程を行った後、
前記シート成形型により前記第2突起に対応して前記第1容器に形成された第1突起の根元部を、刃物を用いて切断して貫通孔を形成する工程をさらに含み、
前記第2容器により前記第1容器を支持した状態で、前記第2突起が前記貫通孔に挿通する、
請求項1又は2に記載の衝撃緩衝性を有する果実輸送容器の製造方法。
【請求項4】
前記貫通孔の径を、前記第2突起の根元の径より大きく形成するか、又は、
前記貫通孔を、前記第1シートの収縮が大きい方向に長い径を持つ長孔としてなる、
請求項3に記載の衝撃緩衝性を有する果実輸送容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傷みやすい果実を輸送するために用いる果実輸送容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
苺等の傷みやすい果実を輸送するために用いる果実輸送容器として、前記果実を収納する収納凹部が形成された軟質の容器を硬質の容器で支持し、前記収納凹部内に前記果実を収納して宙吊り状態にすることで衝撃緩衝性を付与するものがある(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
特許文献1の衝撃緩衝性を有する果実輸送容器である衝撃吸収性容器10は、収納凹部11が形成された弾性発泡材シート12を、保持用凹部14が形成された硬質材からなる容器で支持し、収納凹部11と保持用凹部14との間に空間を形成している。それにより、クッション性を有する弾性発泡材シート12に形成した収納凹部11内に傷みやすい果実である収納物13を収納した状態で収納物13を宙吊り状態にしている。
【0004】
特許文献2の衝撃緩衝性を有する果実輸送容器である宙吊り物品収納容器10A’は、熱可塑性合成樹脂薄フィルム9’からなる、果実収納凹部2が形成された宙吊り物品収納フィルム1Aを、硬質の上面開口容器10Aで支持し、果実収納凹部2と上面開口容器10Aの底面14との間に空間を形成している。それにより、柔軟な熱可塑性合成樹脂薄フィルム9’からなる果実収納凹部2内に傷みやすい果実を収納した状態で前記果実を宙吊り状態にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭61-125967号公報
【特許文献2】特許第6637018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のような従来の衝撃緩衝性を有する果実輸送容器は、前記果実輸送容器を構成する軟質の容器と硬質の容器との形状が異なることから、軟質の容器を成形するための真空成形型と硬質の容器を成形するための真空成形型とは異なる。したがって、前記果実輸送容器を真空成形で製造する際に二つの真空成形型が必要になるので、真空成形型の製造コストが嵩むという問題点がある。
【0007】
本発明は、傷みやすい果実を収納する収納凹部が形成された軟質の容器を硬質の容器で支持し、前記収納凹部内に前記果実を収納して宙吊り状態にする果実輸送容器の製造コストを低減できる果実輸送容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明において、「シート成形」とは、真空成形、圧空成形、又は真空圧空成形など真空及び/又は圧空を利用する成形全般を意味し、「シート成形型」とは、真空成形型、圧空成形型、又は真空圧空成形型など真空及び/又は圧空を利用する成形に用いられる金型全般をいう。
【0009】
本発明に係る衝撃緩衝性を有する果実輸送容器の製造方法において、前記果実輸送容器は、果実を収納する収納凹部が形成された軟質の第1容器と、前記第1容器を支持する硬質の第2容器とからなる。前記製造方法は、熱可塑性プラスチックである第1シートからシート成形により前記第1容器を製造する第1容器製造工程と、熱可塑性プラスチックである第2シートからシート成形により前記第2容器を製造する第2容器製造工程とを含む。前記シート成形を行うシート成形型は、前記第1シートに前記収納凹部を賦形するための形状を有し、前記第1容器製造工程及び前記第2容器製造工程で共通して用いられる。前記熱可塑性プラスチックの成形収縮率を考慮して、前記第1シートの材質及び厚み、並びに、前記第2シートの材質及び厚みを選定して前記第1容器製造工程及び第2容器製造工程を行うことで、前記第1容器製造工程及び前記第2容器製造工程を経て製造された前記第1容器及び前記第2容器は、前記第2容器により前記第1容器を支持した状態で、前記収納凹部内に収納された果実は宙吊り状態となる。
【0010】
ここで、前記第1シートの材質はポリエチレンで、厚みは0.1mm~0.5mmであり、前記第2シートの材質はポリプロピレンで、厚みは0.3mm~1.5mm、又は、前記第2シートの材質はポリエチレンテレフタレートで、厚みは0.2mm~0.8mmであるのが好ましい実施態様である。
【0011】
また、前記第2容器は、前記第1容器の前記収納凹部に重合する前記第2容器の凹部の外周縁に繋がる平坦部の所要箇所に、上に凸で、上方に向かって外径の縮径する第2突起を複数有する形状を成し、前記シート成形型は、前記第2突起を賦形するための形状も有し、前記第1容器製造工程及び前記第2容器製造工程を行った後、前記シート成形型により前記第2突起に対応して前記第1容器に形成された第1突起の根元部を、刃物を用いて切断して貫通孔を形成する工程をさらに含み、前記第2容器により前記第1容器を支持した状態で、前記第2突起が前記貫通孔に挿通するのも好ましい実施態様である。
【0012】
さらに、前記貫通孔の径を、前記第2突起の根元の径より大きく形成するか、又は、前記貫通孔を、前記第1シートの収縮が大きい方向に長い径を持つ長孔としてなるのも好ましい実施態様である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る衝撃緩衝性を有する果実輸送容器の製造方法によれば、熱可塑性プラスチックである第1シートからシート成形により軟質の第1容器を製造する第1容器製造工程に用いるシート成形型と、熱可塑性プラスチックである第2シートからシート成形により硬質の第2容器を製造する第2容器製造工程に用いるシート成形型とが共通である。そして、前記熱可塑性プラスチックの成形収縮率を考慮して、前記第1シートの材質及び厚み、並びに、前記第2シートの材質及び厚みを選定して前記第1容器製造工程及び前記第2容器製造工程を行う。
【0014】
前記第1容器製造工程及び前記第2容器製造工程を経て製造された前記第1容器及び前記第2容器は、前記第2容器により前記第1容器を支持した状態で、前記収納凹部内に収納された果実は宙吊り状態となる。
【0015】
したがって、一つのシート成形型のみで軟質の第1容器及び硬質の第2容器の両方を製造できるので、傷みやすい果実を収納する収納凹部が形成された軟質の容器を硬質の容器で支持し、前記収納凹部内に前記果実を収納して宙吊り状態にする果実輸送容器の製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る衝撃緩衝性を有する果実輸送容器の斜視図である。
図2】前記果実輸送容器の縦断面図である。
図3A】第1容器の斜視図である。
図3B】第1容器の側面図である。
図3C】第1容器の変形例を示す側面図である。
図4A】第2容器の斜視図である。
図4B】第2容器の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
JIS Z 0108:2012の「包装-用語」によれば、「プラスチックシート」は「厚さが0.25mm以上のプラスチックの薄い板状のもの。」とされ、「プラスチックフィルム」は「厚さが0.25mm未満のプラスチックの膜状のもの。」とされる。本明細書では、厚さが0.25mm未満のものも含めて「シート」と呼ぶことにする。
【0018】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
[果実輸送容器]
図1及び図2に示す本発明の実施形態に係る衝撃緩衝性を有する果実輸送容器Aは、苺等の傷みやすい果実を輸送するために用いるものであり、前記果実を収納する収納凹部Bが形成された軟質の第1容器1と、第1容器1を支持する硬質の第2容器2とからなる。第2容器2により第1容器1を支持し、第1容器1の収納凹部B内に前記果実を収納すると、前記果実は宙吊り状態となる。
【0020】
図3A及び図3Bに示す第1容器1は、平面視矩形状の外形を有し、前記収納凹部Bとなる、例えば8個の凹部1Aを有する。凹部1Aの外周縁は平坦部C1に繋がり、平坦部C1の矩形状の外周縁の外方D1には、下方に開口する係止部1Bを有する。
【0021】
軟質の第1容器1は、熱可塑性プラスチックである第1シートからシート成形により製造される。前記第1シートは、例えば、ポリエチレンである。
【0022】
図3Cは、第1容器1の変形例であり、図3A及び図3Bに示す第1容器1と同様に、前記収納凹部Bとなる凹部1Aを有する。図3Cに示す第1容器1は、シート成形により図3A及び図3Bに示す第1容器1を製造した後、トムソン刃等により下方延出部Eを切除して下方に開口する係止部1Bを無くしており、略水平方向である外方へ延びる外方延出部Fを有する。
【0023】
図4A及び図4Bに示す第2容器2は、平面視矩形状の外形を有し、例えば8個の凹部2Aを有する。凹部2Aの外周縁は平坦部C2に繋がり、平坦部C2の矩形状の外周縁の外方D2には、下方に開口する係止部2Bを有する。
【0024】
硬質の第2容器2は、熱可塑性プラスチックである第2シートからシート成形により製造される。前記第2シートは、例えば、ポリプロピレン、又はポリエチレンテレフタレートである。
【0025】
図3A及び図3Bに示す第1容器1の平坦部C1は、図1及び図2に示すように、第2容器2の平坦部C2に載置するだけで、凹部1Aと凹部2Aの自然な重合により組み合わされる構造になっている。同様に、図3Cに示す第1容器1の平坦部C1も、第2容器2の平坦部C2に載置するだけで、凹部1Aと凹部2Aの自然な重合により組み合わされる構造になっている。
【0026】
図3A及び図3Bに示す第1容器1を、図4A及び図4Bに示す第2容器2に組み合わせた場合、図1及び図2のように、硬質の第2容器2により軟質の第1容器1が支持されるとともに、第1容器1の係止部1Bが第2容器2の係止部2Bに係止する。それにより、前記果実の輸送等において、硬質の第2容器2による軟質の第1容器1の支持がより安定かつ確実になる。
【0027】
図3Cに示す第1容器1を、図4A及び図4Bに示す第2容器2に組み合わせた場合は、第2容器2の係止部2Bの上面に第1容器1の外方延出部Fが載った状態となり、硬質の第2容器2により軟質の第1容器1が支持される。
【0028】
[果実輸送容器の製造方法]
本発明の実施形態に係る衝撃緩衝性を有する果実輸送容器Aの製造方法は、熱可塑性プラスチックである第1シートからシート成形により第1容器1を製造する第1容器製造工程と、熱可塑性プラスチックである第2シートからシート成形により第2容器2を製造する第2容器製造工程とを含む。
【0029】
前記シート成形を行うシート成形型は、前記第1シートに収納凹部Bを賦形するための形状を有し、第1容器1のシート成形及び第2容器2のシート成形に共通して用いられる。共通のシート成形型による第1容器1のシート成形及び第2容器2のシート成形の順序は限定されない。すなわち、前記第1容器製造工程を先に行ってから前記第2容器製造工程を行うようにしてもよく、前記第2容器製造工程を先に行ってから前記第1容器製造工程を行うようにしてもよい。
【0030】
前記第1シートの熱可塑性プラスチックの成形収縮率、及び前記第2シートの熱可塑性プラスチックの成形収縮率を考慮して、前記第1シートの材質及び厚み、並びに、前記第2シートの材質及び厚みを選定する。一般的な成形収縮率の参考値は、例えば、ポリエチレンは約1.5~4.0%、ポリプロピレンは約1.5%、ポリエチレンテレフタレートは約0.4%である。
【0031】
前記第1シートの材質がポリエチレンである場合、前記第1シートの厚みは、0.1mm~0.5mmとし、好ましくは0.1mm~0.3mm、更に好ましくは0.1mm~0.2mmとする。
【0032】
前記第2シートの材質がポリプロピレンである場合、前記第2シートの厚みは、0.3mm~1.5mmとし、好ましくは0.5mm~1.0mm、更に好ましくは0.5mm~0.7mmとする。
【0033】
前記第2シートの材質がポリエチレンテレフタレートである場合、前記第2シートの厚みは、0.2mm~0.8mmとし、好ましくは0.3mm~0.8mm、更に好ましくは0.4mm~0.5mmとする。
【0034】
前記シート成形が、例えば真空成形である場合、前記第1容器製造工程では、前記第1シートを加熱軟化させた後、前記第1シートと真空成形型との間の空気を前記真空成形型の空気孔から吸引して前記第1シートと前記真空成形型との間を真空状態にし、大気圧により前記第1シートを前記真空成形型に密着させて成形し、成形後の前記第1シートを冷却固化させて第1容器1を製造する。
【0035】
前記第2容器製造工程では、前記第2シートを加熱軟化させた後、前記第2シートと前記真空成形型との間の空気を前記真空成形型の空気孔から吸引して前記第2シートと前記真空成形型との間を真空状態にし、大気圧により前記第2シートを前記真空成形型に密着させて成形し、成形後の前記第2シートを冷却固化させて第2容器2を製造する。
【0036】
前記シート成形が、例えば圧空成形である場合、前記第1容器製造工程では、前記第1シートを加熱軟化させた後、圧縮空気で加圧して前記第1シートを圧空成形型に密着させて成形し、成形後の前記第1シートを冷却固化させて第1容器1を製造する。
【0037】
前記第2容器製造工程では、前記第2シートを加熱軟化させた後、圧縮空気で加圧して前記第2シートを前記圧空成形型に密着させて成形し、成形後の前記第2シートを冷却固化させて第2容器2を製造する。
【0038】
前記シート成形が真空圧空成形である場合は、前記第1容器製造工程における前記第1シートの真空圧空成形型への密着、及び前記第2容器製造工程における前記第2シートの前記真空圧空成形型への密着には、真空吸引と圧縮空気の加圧を併用する。
【0039】
以上のとおり、第1容器1のシート成形と第2容器2のシート成形には共通のシート成形型が使用され、第1容器1は第2容器2よりも成形収縮率が大きい。
【0040】
前記熱可塑性プラスチックの成形収縮率を考慮して、前記第1シートの材質及び厚み、並びに、前記第2シートの材質及び厚みを選定することで、前記第1容器製造工程及び前記第2容器製造工程を経て製造された第1容器1及び第2容器2は、例えば図1及び図2に示すように第2容器2により第1容器1を支持させた果実輸送容器Aとすることが容易である。果実輸送容器Aにおいて、第1容器1の収納凹部B内に苺等の傷みやすい果実を収納した状態で、前記果実は宙吊り状態となる。
【0041】
なお、前記シート成形型により、第1容器1の平坦部C1の所要箇所に複数の第1突起を設けるとともに、第2容器2の平坦部C2の所要箇所に複数の第2突起を設けるようにしてもよい。前記第1突起及び前記第2突起は、上に凸で、上方に向かって外径の縮径する突起である。その場合、前記第1容器製造工程及び前記第2容器製造工程を行うと、第1容器1には前記第1突起が設けられ、第2容器2には前記第2突起が設けられる。
【0042】
前記第1容器製造工程及び前記第2容器製造工程を行った後に、第1容器1に形成された前記第1突起の根元部を、トムソン刃等の刃物を用いて切断して貫通孔を形成する工程をさらに含む。第2容器2により第1容器1を支持した状態で、前記第2突起が前記貫通孔に挿通するので、両容器1,2の重合をより確実にすることができる。
【0043】
第1容器1に形成する前記貫通孔は、成形収縮率を考慮して、前記貫通孔に挿通される第2容器2の前記第2突起の根元の径よりも少し大きく形成したり、前記貫通孔を、前記第1シートの収縮が大きい方向に長い径を持つ長孔とする等の工夫を適宜採用することができる。
【0044】
[作用効果]
以上のような本発明の実施形態に係る衝撃緩衝性を有する果実輸送容器Aの製造方法によれば、熱可塑性プラスチックである第1シートからシート成形により軟質の第1容器1を製造する第1容器製造工程に用いるシート成形型と、熱可塑性プラスチックである第2シートからシート成形により硬質の第2容器2を製造する第2容器製造工程に用いるシート成形型とが共通である。そして、前記熱可塑性プラスチックの成形収縮率を考慮して、前記第1シートの材質及び厚み、並びに、前記第2シートの材質及び厚みを選定して前記第1容器製造工程及び前記第2容器製造工程を行う。
【0045】
前記第1容器製造工程及び前記第2容器製造工程を経て製造された第1容器1及び第2容器2は、第2容器2により第1容器1を支持した状態で、収納凹部B内に収納された果実は宙吊り状態となる。
【0046】
したがって、一つのシート成形型のみで軟質の第1容器1及び硬質の第2容器2の両方を製造できるので、傷みやすい果実を収納する収納凹部Bが形成された軟質の第1容器1を硬質の第2容器2で支持し、収納凹部B内に前記果実を収納して宙吊り状態にする果実輸送容器Aの製造コストを低減できる。
【0047】
また、本発明では、軟質の第1容器1及び硬質の第2容器2を重ねるだけで果実輸送容器Aとして使用できるので、一度、第1容器1の収納凹部B内に果実を収納して使用した後、果実の汁や異物により汚染されたり損傷した第1容器1を、第2容器2から外し、新しい第1容器1を、先に使用した第2容器2に重合し直して新しい組み合わせの果実輸送容器Aとして、第2容器2を再使用できる。あるいは、洗浄し終えた先の第1容器1を先に使用した第2容器2に重合し直して果実輸送容器Aとして再使用できる。よって、廃棄する資源量の削減に資することもでき、持続可能な開発目標(SDGs)の観点からも好ましい効果を奏する。
【0048】
以上の実施形態の記載はすべて例示であり、これに制限されるものではない。本発明の範囲から逸脱することなく種々の改良及び変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0049】
1 第1容器
1A 凹部
1B 係止部
2 第2容器
2A 凹部
2B 係止部
A 衝撃緩衝性を有する果実輸送容器
B 果実収容凹部
C1,C2 平坦部
D1,D2 平坦部の外周縁の外方
E 下方延出部
F 外方延出部
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B