(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025122956
(43)【公開日】2025-08-22
(54)【発明の名称】透明シート
(51)【国際特許分類】
B32B 17/04 20060101AFI20250815BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20250815BHJP
E04B 1/94 20060101ALI20250815BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20250815BHJP
【FI】
B32B17/04
B32B27/30 101
E04B1/94 F
E04B2/74 551Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024018719
(22)【出願日】2024-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】堀越 裕樹
【テーマコード(参考)】
2E001
4F100
【Fターム(参考)】
2E001DE01
2E001FA07
2E001FA31
2E001GA24
2E001HA33
2E001HD07
4F100AG00
4F100AG00B
4F100AH06
4F100AK01B
4F100AK15
4F100AK15A
4F100AK15C
4F100AK53
4F100BA03
4F100BA06
4F100DG01
4F100DG01B
4F100DG12
4F100DH01
4F100DH01B
4F100EJ08
4F100EJ52
4F100EJ55
4F100EJ67
4F100EJ82
4F100EJ82B
4F100GB07
4F100JB12
4F100JJ07
4F100JN01
4F100JN01A
4F100JN01B
4F100JN01C
4F100JN02
4F100JN02A
4F100JN02B
4F100JN02C
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
(57)【要約】
【課題】 ガラス繊維布と、ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる樹脂層と、樹脂層の少なくとも一方の面側に積層されるカバー層とを含む、透明シートにおいて、シートが炎に接したときに燃え広がりにくい、透明シートの提供を主な課題とする。
【解決手段】 ガラス繊維布と、前記ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる樹脂層と、前記樹脂層の少なくとも一方の面側に積層されるカバー層とを含む、透明シートであって、
前記カバー層が塩化ビニル樹脂を含有し、塩素濃度が40%以上であり、
前記透明シートの全光線透過率が80%以上であり、ヘーズが30%以下である、透明シート。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス繊維布と、前記ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる樹脂層と、前記樹脂層の少なくとも一方の面側に積層されるカバー層とを含む、透明シートであって、
前記カバー層が塩化ビニル樹脂を含有し、塩素濃度が40%以上であり、
前記透明シートの全光線透過率が80%以上であり、ヘーズが30%以下である、透明シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス繊維布と樹脂との透明樹脂複合体を含む透明シートに関する。
【背景技術】
【0002】
建築基準法及び建築基準法施行令は、建築物の火災時に発生する煙、有毒ガスなどの流動を妨げて、避難及び消火活動が円滑に行えるように、排煙設備を設けることを規定している。従って、オフィスビル、商業施設などの建築物には、排煙設備及び遮煙設備として、防煙垂壁などが設置されることが多い。
【0003】
防煙垂壁は、火災発生時の煙、有毒ガスなどが廊下や上層階へ流動することを一時的に遮断し、避難に必要な時間を確保することなどを目的として、通常、建築物の天井に取り付けられている。このため、防煙垂壁によって視野が妨げられたり、美観が損なわれないよう、防煙垂壁としては、透明板ガラス、ガラス繊維と樹脂との透明樹脂複合体などが用いられている。ガラス繊維と樹脂との透明樹脂複合体は、透明板ガラスに比して割れにくいという利点を有する。
【0004】
特許文献1には、少なくとも1枚のガラス繊維織物と、当該ガラス繊維織物に含浸される光硬化樹脂と、を有する不燃性シートであって、前記ガラス繊維織物中のガラス繊維を構成するガラス組成物と、前記光硬化樹脂との屈折率との差が0.02以下であり、前記不燃性シートに対する前記ガラス繊維織物の割合が20~70重量%、前記不燃性シートに対する前記光硬化樹脂の割合が80~30重量%であり、前記光硬化樹脂は、少なくとも臭素化ビニルエステルを含有する組成物を硬化させたものである不燃性シートが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、ガラス繊維布帛にスチレン系熱可塑性エラストマーが含浸されてなる中間層と、前記中間層の両面にアクリル系樹脂層を介して塩化ビニル樹脂層を積層させてなり、前記アクリル系樹脂層には、アクリル-スチレン共重合性樹脂粒子が含有されてなり、シートの全光線透過率が80%以上であり、且つヘーズが30%以下である透明不燃シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-213489号公報
【特許文献2】特開2020-69710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、建築基準法における不燃材料の認定基準の概略は、コーンカロリーメーター試験による輻射強度50kW/m2での20分間加熱燃焼において、(1)総発熱量が8MJ/m2以下であること、(2)200kW/m2を超える発熱時間が10秒未満であること、(3)裏面に達する割れや貫通が生じないこと、である。これらの基準は、炎が材料を燃え抜けない性質を有するとはいえるが、炎に接したときに材料自体が燃え広がらない性質を有しているとまではいえない。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題を解決し、シートが炎に接したときに燃え広がりにくい、透明シートの提供を主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく本発明者等が検討したところ、ガラス繊維布と、前記ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる樹脂層と、前記樹脂層の少なくとも一方の面側に積層されるカバー層とを含む、透明シートにおいて、前記カバー層が塩化ビニル樹脂を含有し、塩素濃度が40%以上であるものとすることにより、上記課題を解決できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
【0010】
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1.ガラス繊維布と、前記ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる樹脂層と、前記樹脂層の少なくとも一方の面側に積層されるカバー層とを含む、透明シートであって、前記カバー層が塩化ビニル樹脂を含有し、塩素濃度が40%以上であり、前記透明シートの全光線透過率が80%以上であり、ヘーズが30%以下である、透明シート。
【発明の効果】
【0011】
本発明の透明シートによれば、ガラス繊維布と、前記ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる樹脂層と、前記樹脂層の少なくとも一方の面側に積層されるカバー層とを含む、透明シートであって、前記カバー層が塩化ビニル樹脂を含有し、塩素濃度が40%以上であり、前記透明シートの全光線透過率が80%以上であり、ヘーズが30%以下であることから、シートが炎に接したときに燃え広がりにくいものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の透明シートの一態様を説明する横断面模式図である。
【
図2】透明シートに炎が接したときの燃え広がり方の試験の装置について説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の透明シートは、ガラス繊維布と、前記ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる樹脂層と、前記樹脂層の少なくとも一方の面側に積層されるカバー層とを含む、透明シートであって、前記カバー層が塩化ビニル樹脂を含有し、塩素濃度が40%以上であり、前記透明シートの全光線透過率が80%以上であり、ヘーズが30%以下である。以下、本発明の透明シートについて詳述する。
【0014】
例えば、
図1に示すように、本発明の透明シート1は、ガラス繊維布2と、ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる樹脂層3と、前記樹脂層3の少なくとも一方の面側に積層されるカバー層4とを含む。
【0015】
本発明の透明シート1において、ガラス繊維布2は、少なくとも1枚含まれていればよく、複数枚含まれていてもよい。また、
図1に示されるように、本発明の透明シート1において、樹脂層3は、ガラス繊維布2を構成しているガラス繊維の隙間を埋めており、樹脂層3の一方の表面側部分と、他方の表面側部分とは、当該隙間を介して通じている。また、本発明の透明シート1においては、透明性を高める観点から、例えば
図1に示されるように、ガラス繊維布2の層の少なくとも一方の面上に樹脂層3が形成されていることが好ましく、ガラス繊維布2の層の両面上に当該樹脂層3が形成されていることがより好ましい。また、本発明の透明シート1において、カバー層4は樹脂層3の少なくとも一方の面側に積層され、樹脂層3の両面側に積層されていることがより好ましい。また、カバー層4は、透明シート1の最表面となるように配置することが好ましい。また、本発明の透明シート1は、ガラス繊維布2、樹脂層3及びカバー層4、以外の他の層を含むことができる。
【0016】
(ガラス繊維布2)
本発明の透明シート1において、ガラス繊維布2は、後述する樹脂層3が含浸された状態で含まれる。本発明の透明シート1において、ガラス繊維布2は、該シートの機械的強度を高めることに寄与する。そして、ガラス繊維布2の屈折率は、後述する樹脂層3の屈折率と近似するように設定することができ、これにより、後述する本発明の透明シート1の透明性の指標である全光線透過率80%以上、ヘーズ30%以下という構成にすることができる。換言すれば、上記本発明の透明シート1が備える透明性の指標である、全光線透過率が80%以上、ヘーズが30%以下という構成は、少なくとも、ガラス繊維布2の屈折率と後述する樹脂層3の屈折率とが十分に近似(例えば、ガラス繊維布2の屈折率と樹脂層3の屈折率との差が0.02以下となっていることが挙げられる。)していることを示す。
【0017】
本発明の透明シート1において、ガラス繊維布2は、複数のガラス繊維により構成されている。ガラス繊維布2において、複数のガラス繊維は、互いに絡み合って1枚の布を形成している。ガラス繊維布2としては、例えば、複数の経糸と複数の緯糸とで構成されるガラス繊維織物(ガラスクロス)が挙げられる。ガラス繊維織物の織組織としては、特に制限されず、例えば、平織、朱子織、綾織、斜子織、畦織などが挙げられる。ガラス繊維織物の織密度については、特に制限されないが、例えば経、緯ともに20~100本/25mm以上が挙げられ、20~80本/25mm以上が好ましく挙げられる。
【0018】
ガラス繊維布2を構成するガラス繊維のガラス材料としては、特に制限されず、例えば公知のガラス材料を用いることができる。ガラス材料としては、例えば、無アルカリガラス(Eガラス)、耐酸性の含アルカリガラス(Cガラス)、高強度・高弾性率ガラス(Sガラス、Tガラス等)、耐アルカリ性ガラス(ARガラス)等が挙げられ、好ましくは汎用性の高い無アルカリガラス(Eガラス)が挙げられる。ガラス繊維布2を構成するガラス繊維は、1種類のガラス材料からなるものであってもよいし、異なるガラス材料からなるガラス繊維を2種類以上組み合わせたものであってもよい。また、透明性を向上させる観点から、後述する、樹脂層3の屈折率と近似するガラス材料を選択することが好ましい。
【0019】
ガラス繊維布2を構成するガラス繊維の番手は、ガラス繊維布2を形成できれば、特定のものに制限されない。ガラス繊維の番手としては、透明性を向上するという観点から、好ましくは20tex以下が挙げられ、3~6texが好ましく、3~5texがより好ましい。ガラス繊維の番手は、1種類単独であってもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。なお、ガラス繊維のtex番手は、1000m当たりのグラム数に相当している。
【0020】
ガラス繊維布2を構成するガラス繊維としては、ガラス長繊維である単繊維が複数本撚りまとめられたガラスヤーンが好ましい。ガラスヤーンにおける単繊維の本数は、30~400本程度が好ましく、40~120本程度がより好ましい。また、ガラスヤーンにおける単繊維の直径は、透明シート1の色にじみの抑制の観点から3.0~6.0μm程度が好ましく、3.0~5.0μm程度がより好ましい。ガラスヤーンの番手は、色にじみの抑制の観点から3~30texが好ましく、3~12texがより好ましく、3~5texがさらに好ましい。
【0021】
透明シート1において、ガラス繊維布2の割合(質量%)は、透明性と、建築基準法における不燃材料の認定基準の発熱性試験における総発熱量及び発熱速度をより低いものとすること、とをより一層両立するという観点から、ガラス繊維布2及び樹脂層3の合計質量に対するガラス繊維布2の質量の割合が5~50質量%が好ましく、10~35質量%がより好ましく、20~30質量%が特に好ましい。また、ガラス繊維布2の1枚の質量(g/m2)は、10~120(g/m2)が好ましく、10~60(g/m2)がより好ましく、10~40(g/m2)がさらに好ましい。
【0022】
ガラス繊維布2と後述の樹脂層3の屈折率の差としては、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.02以下、さらに好ましくは0.01以下が挙げられる。ガラス繊維布2の屈折率としては、好ましくは1.45~1.65程度、より好ましくは1.50~1.60程度が挙げられる。
【0023】
なお、上記ガラス繊維布2の屈折率の測定は、JIS K 7142:2008のB法に準じて行う。具体的には、ガラス繊維布2を構成するガラス繊維について、浸液としてヨウ化メチレン(nD
231.747)、フタル酸ブチル(nD
231.491)及び炭酸ジメチル(nD
231.366)を用い、アッベ屈折計として(株)アタゴ製のNAR-2Tを用い、光源として波長589nmのナトリウムD線を用いて温度23℃で測定を行い、試験数5回の平均値を屈折率の値とする。また、樹脂層3の屈折率の測定は、JIS K 7142:2008のB法に準じて行う。具体的には、硬化又は固化させた樹脂層3を粉体化し、浸液としてヨウ化メチレン(nD
231.747)、フタル酸ブチル(nD
231.491)及び炭酸ジメチル(nD
231.366)を用い、顕微鏡として小型測定顕微鏡STM5-311(オリンパス社製、観察倍率400倍)を用い、光源として波長589nmのナトリウムD線を用いて温度23℃で測定を行い、試験数5回の平均値を屈折率の値とする。
【0024】
ガラス繊維布2と樹脂層3とのアッベ数の差としては、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。ガラス繊維布2のアッベ数としては、30~80が好ましく、40~70がより好ましく、50~65がさらに好ましい。なお、樹脂層、ガラス繊維布のアッベ数は、次のように測定する。
【0025】
(樹脂層のアッベ数)
ガラス繊維布が含まれていない硬化樹脂組成物のシートを、ガラス繊維布を含む場合と同じ条件で同じ厚みとして作製し、試験片を幅8mm、長さ20mmとして表面をよく研磨し、JIS K 7142A法に準じ、アッベ屈折計として(株)アタゴ製のNAR-2T、接触液としてジヨードメタン、光源として波長589nmのナトリウムD線を用い、測定温度を23℃として、波長589nmの屈折率を測定する。続いて、光源を自然光として分散値を測定、算出し、下記式(I)に従い、アッベ数を算出する。
アッベ数=(波長589nmの屈折率-1)/分散値 (I)
【0026】
(ガラス繊維布のアッベ数)
ガラス繊維を構成するガラス材料を用いて、幅8mm、長さ20mm、厚み5mmのガラスシートを作製し、表面をよく研磨し、JIS K 7142A法に準じ、アッベ屈折計として(株)アタゴ製のNAR-2T、接触液としてジヨードメタン、光源として波長589nmのナトリウムD線を用い、測定温度を23℃として、波長589nmの屈折率を測定する。続いて、光源を自然光として分散値を測定、算出し、上記式(I)に従い、アッベ数を算出する。
【0027】
ガラス繊維布2の厚みとしては、例えば10~100μm程度が挙げられ、色にじみの抑制の観点から、10~55μmが好ましく、10~35μm程度がより好ましい。ガラス繊維布2の厚みを10~35μmとする場合、ガラス繊維布2は、下記式(II)にて算出されるガラス体積率が38%以上であることが特に好ましい。10~35μmの厚みであって、ガラス体積率が38%以上であるガラス繊維布2は、例えば、ガラス繊維に開繊処理を施すことにより得られる。
【0028】
ガラス体積(%)=(A/(B×C))×100 (II)
A:ガラス繊維布の質量(g/m2)
B:ガラス繊維布を構成するガラス材料の比重(g/m3)
C:ガラス繊維布の厚み(m)
【0029】
(樹脂層3)
本発明の透明シート1において、樹脂層3は、ガラス繊維布2に含浸されており、樹脂を含む樹脂組成物が硬化又は固化されて得られるものにより形成されている。具体的には、樹脂層3は、硬化性樹脂層又は熱可塑性樹脂層とすることができる。硬化樹脂層とする場合、硬化性樹脂を含む樹脂組成物に対して、光、熱などのエネルギーを与えることによって樹脂組成物が硬化した硬化物(光硬化された樹脂組成物又は熱硬化された樹脂組成物)とすることができる。熱可塑性樹脂層とする場合、熱可塑性樹脂組成物が乾燥、固化されることにより得られる、硬化物とすることができる。
【0030】
硬化性樹脂としては、透明シート1の透明性をより一層向上させる観点から、樹脂層3と前述したガラス繊維布2の屈折率とを近似させることができるものが好ましい。好ましい硬化性樹脂としては、硬化樹脂組成物が光硬化性となるものが好ましく、例えば、ビニルエステル樹脂(ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂)、臭素化ビニルエステル樹脂(臭素化ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂)、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、含フッ素(メタ)アクリレート樹脂、フルオレン(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、硬化性アクリル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、硬化性樹脂層としては、建築基準法における不燃材料の認定基準の発熱性試験における総発熱量及び発熱速度(コーンカロリーメーター試験による輻射強度50kW/m2での20分間加熱燃焼において、(1)総発熱量が8MJ/m2以下であること、(2)200kW/m2を超える発熱時間が10秒未満であること)をより低いものとしやすくする観点から、臭素化ビニルエステル樹脂を含むものとすることが好ましく、臭素化ビニルエステル樹脂及び含フッ素(メタ)アクリレートを含む樹脂組成物の硬化物により形成されているものとすることがより好ましい。含フッ素(メタ)アクリレートとしては、例えば2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、2-(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート、2-(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート、2-(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート等が挙げられる。なお、臭素化ビニルエステル樹脂の屈折率は1.6程度、含フッ素(メタ)アクリレートの屈折率は1.3~1.4程度である。一方、汎用的なガラス組成のガラス繊維の屈折率は1.53~1.57程度である。従って、臭素化ビニルエステル樹脂と含フッ素(メタ)アクリレートとの質量比率は、用いるガラス繊維の屈折率によって適宜調整すればよく、例えば、臭素化ビニルエステル樹脂の質量/含フッ素(メタ)アクリレートの質量としては1~10が挙げられ、2~8が好ましく挙げられ、3~5がより好ましく挙げられる。
【0031】
熱可塑性樹脂としては、透明シート1の透明性を向上させる観点から、樹脂層3とガラス繊維布2の屈折率とを近似させることができるものが好ましい。好ましい熱可塑性樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂等が挙げられる。例えば、ガラス繊維布2を構成するガラス繊維のガラス材料としてEガラスを用いた場合、屈折率の観点からは、これらの中でもポリ塩化ビニル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、熱可塑性アクリル樹脂などが好ましい。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、用いるガラス繊維の屈折率に近似させることなどを目的として、屈折率の異なる2種類以上を組み合わせて使用してもよい。なお、本発明の透明シート1において、樹脂層3を熱可塑性樹脂層とする場合、ガラス繊維布2に含浸された部分は、ゾル状または溶媒に溶解した熱可塑性樹脂組成物を含浸、固化(加熱による固化や、乾燥による固化)させたものであることが好ましい。
【0032】
樹脂層3を形成する樹脂組成物は、硬化促進剤、難燃剤、紫外線吸収剤、充填剤、光重合開始剤などの添加物をさらに含んでいてもよい。難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、トリクロロエチルホスフェート、トリアリルホスフェート、ポリリン酸アンモニウム、リン酸エステルなどが挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、タルクなどが挙げられる。光重合開始剤としては、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2,4,6,-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0033】
本発明において、透明シートの透明性を高めるために、前述のガラス繊維布2と樹脂層3の屈折率とは、近似するように設定することが望ましい。このような観点から、樹脂層3の屈折率としては、好ましくは1.45~1.65程度、より好ましくは1.50~1.60程度が挙げられる。
【0034】
本発明の透明シート1において、樹脂層3の質量としては、例えば、20~400g/m2が挙げられ、20~100g/m2がより好ましく挙げられる。また、樹脂層3の厚さとしては、例えば、20~500μmが挙げられ、30~150μmがより好ましく挙げられる。
【0035】
(カバー層4)
本発明の透明シート1において、カバー層4は、樹脂層3の少なくとも一方の面側に積層される。そして、カバー層4は、塩化ビニル樹脂を含有し、塩素濃度が40%以上であるため、塩素原子濃度が高く、シートが炎に接したときに燃え広がりにくいものとすることができる。塩素濃度としては、シートが炎に接したときに燃え広がりにくいものとすることと取り扱い性とをより一層両立する観点から、45~55質量%が好ましく、45~50質量%がより好ましい。
【0036】
本発明において、本明細書において、カバー層4の塩素濃度は、エネルギー分散型X線分析(EDS分析)を用いて測定される値である。塩素濃度が高いものとするには、例えば、カバー層4の塩化ビニル樹脂含有量を高めることが挙げられる。
【0037】
塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニル樹脂又は塩素化塩化ビニル樹脂が好ましく挙げられる。また、カバー層4は、シートやフィルムに成形したものを樹脂層3の少なくとも一方の面側に積層してカバー層4とすることができる。このようなカバー層4としては、市販のものとして、例えば、又永化工株式会社製硬質塩化ビニールシート マタエロン(登録商標)品番CB-N-MO等が挙げられる。
【0038】
カバー層4の1層の厚さとしては、特に制限されないが、例えば50~300μmが挙げられ、100~200μmが好ましく挙げられる。また、カバー層4の1層の質量としては、特に制限されないが、70~450g/m2が挙げられ、150~300g/m2が好ましく挙げられる。また、樹脂層3の厚さとカバー層4の1層の厚さとの比(樹脂層3/カバー層4)としては、特に制限されないが、例えば0.1~10が挙げられ、1~5が好ましく挙げられ、1.5~4がより好ましく挙げられる。また、透明シート1全体の厚さとカバー層4の1層の厚さとの比(透明シート1/カバー層4)としては、例えば0.1~10が挙げられ、1~5が好ましく挙げられ、1.5~4がより好ましく挙げられる。
【0039】
また、カバー層4は、樹脂層3に直接積層する場合に剥離しにくくする観点からコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施すことができる。
【0040】
(透明シート1の特性)
本発明の透明シートは、全光線透過率が80%以上であり、ヘーズが30%以下である。本明細書において、透明シート1の全光線透過率は、日本工業規格JIS K 7361-1:1997「プラスチック-透明材料の全光線透過率の試験方法-第1部:シングルビーム法」に従って測定される値である。透明シート1のヘーズは、日本工業規格JIS K7136 2000「プラスチック-透明材料のヘーズの求め方」に従って測定される値である。本発明の透明シートにおいて、全光線透過率は85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。また、本発明の透明シートにおいて、ヘーズは、20%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。
【0041】
本発明の透明シート1の質量は、特に制限されないが、例えば、100~800g/m2、好ましくは200~600g/m2が挙げられる。本発明の透明シート1の厚さとしては、例えば、80~600μm、好ましくは150~500μmが挙げられる。
【0042】
(透明シート1の用途)
本発明の透明シート1は、防煙垂壁、防煙シート、間仕切壁、防煙カーテンや、タッチパネル、太陽光パネル(バックシート等)を構成する材料として、または屋根材、採光用テント等に用いる膜材料などとして好適に使用することができる。
【0043】
(透明シート1の製造方法)
本発明の透明シート1の製造方法としては、次のような製造方法が挙げられる。まず、上記のガラス繊維布2と、樹脂層3を構成する未硬化の硬化樹脂組成物を準備する。該硬化樹脂組成物をカバー層4とするフィルムに塗布し、該硬化樹脂組成物の上にガラス繊維布2を載せてガラス繊維に硬化樹脂組成物を含浸させ、さらに、カバー層4とするフィルムをもう1枚ガラス繊維布2に載せ、2枚のカバー層4それぞれの表面から圧力を加え、ガラス繊維布2に硬化樹脂組成物をさらに含浸させ、硬化樹脂組成物を加熱や光照射により硬化させて、ガラス繊維布2に樹脂層3が含浸され、該樹脂層3にカバー層4が積層された、透明シート1(カバー層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる樹脂層3/カバー層4の順で積層された透明シート1)が得られる。カバー層4が樹脂層3の一方の面側に積層されたものとする場合は、上記透明シート1に含まれる2枚のカバー層4のうち1枚を剥離すればよい。
【0044】
また、本発明の透明シート1の製造方法としては、次のような製造方法も挙げられる。まず、上記のガラス繊維布2と、樹脂層3を構成する熱可塑性樹脂組成物を準備する。次に、カバー層4とするフィルムを2枚準備し、熱可塑性樹脂組成物を当該フィルムに塗布し、該熱可塑性樹脂組成物の上にガラス繊維布2を載せてガラス繊維2に熱可塑性樹脂組成物を含浸させ、さらに、カバー層4とするフィルムをもう1枚ガラス繊維布2に載せ、2枚のカバー層4それぞれの表面から圧力を加え、ガラス繊維布2に熱可塑性樹脂組成物をさらに含浸させ、熱可塑性樹脂組成物を乾燥、固化させることにより、ガラス繊維布2に樹脂層3が含浸され、該樹脂層3にカバー層4が積層された、透明シート1(カバー層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる樹脂層3/カバー層4の順で積層された透明シート1)が得られる。
【実施例0045】
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
【0046】
1.測定及び評価方法
1-1.ガラスヤーンの単繊維平均直径(μm)及び単繊維本数(本)
ガラス繊維布を30cm角にカットしたものを2枚用意し、一方を経糸観察用、他方を緯糸観察用として、それぞれをエポキシ樹脂(商品名「3091」、丸本ストルアス株式会社製)に包埋して硬化させた。次いで、エポキシ樹脂に包埋させたガラスクロスを、経糸又は緯糸を構成する単繊維の断面が観察可能な程度に研磨し、走査電子顕微鏡(SEM)(商品名「JSM-6390A」、日本電子株式会社製)を用い、倍率500倍で観察することによりガラスヤーンの単繊維平均直径(μm)及び単繊維本数(本)を測定した。
(1)ガラス長繊維の単繊維平均直径(μm)
経糸及び緯糸それぞれについて無作為に20本選び、当該20本のガラスヤーンのそれぞれに含まれる全単繊維の断面を観察して直径を測定して平均値を算出し、経糸及び緯糸の単繊維平均直径とした。
(2)単繊維本数(本)
経糸及び緯糸それぞれについて無作為に20本選び、20本のガラスヤーンのそれぞれに含まれる全単繊維数を測定して平均値を算出し、経糸及び緯糸の単繊維本数とした。
【0047】
1-2.ガラスヤーンの番手
ガラスヤーンの番手は、日本工業規格JIS R 3420 2013「ガラス繊維一般試験方法」の「7.1 番手」に規定されている方法に準じて測定した。具体的には、先ず、糸巻き装置から500mのガラスヤーンを採取し、これを試験片とした。試験片を平らに置いてマッフル炉に入れて、625℃で25分間焼成した後に、デシケーター中で放冷して、試験片の質量を測定した。以下の式に従って番手を算出した。
(式)
t=(m/500)×1000
t:番手
m:試験片の質量(g)
【0048】
1-3.ガラス繊維布2の織密度(本/25mm)
ガラス繊維布2の織密度は、日本工業規格JIS R 3420:2013「ガラス繊維一般試験方法」の「7.9 密度(織り密度)」に規定されている方法に準じて、経糸及び緯糸の織密度を測定した。具体的には、ガラス繊維布2の端及び耳から50mm以上離れた位置を測定対象とし、測定間隔を10mm以上200mm以下に設定し、設定した測定間隔内にある全部の糸本数を測定した。これを1回の測定とし、前に測定した糸が含まれない他の位置に移して、同様の方法で測定間隔内にある全部の糸本数を更に2回測定した。3回の各測定毎に、以下の式に従って25mm当たりの糸本数を求め、3回の測定値の平均値を算出した。
(式)
Mi=(ni/ai)×25
Mi:25mm当たりの糸本数
ni:測定した糸本数
ai:測定が行われた正確な距離(mm)
【0049】
1-4.ガラス繊維布2の厚さ(μm)
ガラス繊維布2の厚さは、日本工業規格JIS R3420:2013「ガラス繊維一般試験方法」の「7.10.1 クロスの厚さ」に規定されているA法に準じて測定した。具体的には、マイクロメータを用いて,スピンドルを静かに回転させて測定面に平行に軽く接触させ、ラチェットが3回音をたてた後の目盛を読み取ることによりガラス繊維布2の厚さを測定した。なお、ガラス繊維布2の厚さは、経糸及び緯糸の交点部分を測定した。
【0050】
1-5.ガラス繊維布2及び樹脂層3の屈折率
ガラス繊維布2及び樹脂層3の屈折率は、日本工業規格JIS K 7142:2008「プラスチック-屈折率の求め方」に規定されている「B法」に準じて測定した。具体的には、先ず、ガラス繊維布2を構成するガラス繊維及び樹脂層3を、光学顕微鏡を用いて倍率400倍で観察したときにベッケ線が観察できる程度に粉砕し、測定サンプルとした。別途、屈折率が0.002ずつ異なる複数の浸液を準備した。少量の浸液をスライドガラス上に置き、更にスライドガラス上の浸液に測定サンプル数粒を置いて、カバーガラスを載せた。そして、光源として、ハロゲンランプにD線用の干渉フィルターを設けたものを用い、光学顕微鏡を用いて倍率400倍で測定サンプルに焦点を合わせた後に、顕微鏡のステージと対物レンズとの間を離して焦点を少し外した。この操作によって、測定サンプルの屈折率と浸液の屈折率が一致しない場合にはベッケ線(即ち、粉体の周囲又は内側に見える明るい光輪)は屈折率が大きい方に移動し、測定サンプルの屈折率と浸液の屈折率が一致する場合にはベッケ線は現れない。測定サンプルの屈折率が浸液の屈折率と一致するか、又は測定サンプルの屈折率が、一連の浸液の中で近接する2つの屈折率の間に収まるまで測定を繰り返すことにより、屈折率を測定した。屈折率の測定は温度23℃の条件で3回行い、3回の測定値の平均値を屈折率の値とした。
【0051】
1-6.ガラス繊維布2の質量(g/m
2
)
ガラス繊維布2の質量は、日本工業規格JIS R 3420:2013「ガラス繊維一般試験方法」の「7.2 クロス及びマットの質量(質量)」に規定されている方法に準じて測定した。具体的には、ガラス繊維布2の耳端から50mm以上離れたところから、面積100cm2の正方形の試験片を採取し、試験片を105℃で1時間乾燥させた後に、試験片の質量を測定し、以下の式に従って1m2当たりの質量を算出した。
(式)
ρA=(ms/100)×104
ρA:1m2当たりの質量(g/m2)
ms:試験片の質量(g)
【0052】
1-7.カバー層4の塩素濃度(質量%)
カバー層4における塩素濃度は、エネルギー分散型X線分析(EDS分析)により測定した。具体的には、透明シート1を縦1cm×横1cmとなるように裁断したものを測定試料とした。測定試料の表面を測定面に設定し測定試料の中心付近を測定点として、EDS分析装置を搭載した走査電子顕微鏡(商品名「JSM-6390A」、日本電子株式会社製)を用いて、走査電子顕微鏡の倍率を600倍としてカバー層4中の塩素濃度を測定した。
【0053】
1-8.全光線透過率(%)及びヘーズ(%)
透明シート1の全光線透過率は、日本工業規格JIS K 7361-1:1997「プラスチック-透明材料の全光線透過率の試験方法-第1部:シングルビーム法」に従って測定した。透明シート1のヘーズは、日本工業規格JIS K 7136:2000「プラスチック-透明材料のヘーズの求め方」に従って測定した。
【0054】
1-9.透明シートに炎が接したときの燃え広がり方の試験
図2は透明シートに炎が接したときの燃え広がり方の試験の装置について説明する模式図である。透明シート1を幅3cm、長さ15cmの長方形にカットし、
図2に示すように、スタンドからクリップを用いて長さ方向が下を向くように透明シートを吊り下げた。そして、ターボライター(商品名クレーターネオF DJ-03M-F 株式会社ライテック製)を用い炎の先端が透明シート1の下端に接するようにして5秒間接炎させ、透明シート1を観察し、透明シート1の長さ方向に燃え広がった長さを測定した。5cm以下を合格とした。
【0055】
1-10.透明シートに炎が接したときの燃え広がり方の試験における透明シートの変形度合い
上記透明シートに炎が接したときの燃え広がり方の試験をおこなったときの、透明シートの変形度合いを観察し、下記基準により評価した。
A:透明シートがやや波打ちしたが、丸くなることは無く吊り下げた状態を維持した。
B:透明シートが長さ方向にゼンマイばね状に丸まり大きく変形した。
【0056】
2.透明シートの製造
[実施例1]
(ガラス繊維布2の準備)
経糸及び緯糸としてガラスヤーン(商品名「ECBC1500 1/0 0.5Z」、ユニチカグラスファイバー株式会社製;単繊維平均直径4μm、単繊維本数100本、撚り数0.5Z、番手3.4tex)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が75本/25mm、緯糸密度が75本/25mmの平織のガラス繊維織物を得た。ついで、得られたガラス繊維織物に付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱して除去した。その後、ガラス繊維織物をシランカップリング剤(S-350:N-ビニルベンジル-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(塩酸塩)チッソ株式会社)を15g/Lの濃度に調整した表面処理剤で処理してパダーロールで絞った後、120℃で1分乾燥させてキュアリングした。そして、圧力1.5MPaの水流加工でガラス繊維織物の経方向の張力を100N/mとしながら拡幅処理を1回施し、ガラス繊維布2(ガラス繊維織物)を得た。得られたガラス繊維布2は、経糸密度75本/25mm、緯糸密度75本/25mm、厚さ20μm、質量19g/m2、屈折率1.561であった。なお、ガラスヤーンの単繊維平均直径及び単繊維本数は、当該ガラス繊維布2を用いて測定した。
【0057】
(樹脂層3の形成に使用する硬化性樹脂溶液の準備)
樹脂層3の形成に使用する硬化性樹脂溶液として、臭素化ビニルエステル樹脂(商品名「ネオポール8197」、日本ユピカ株式会社製)、含フッ素(メタ)アクリレート(商品名「ライトエステルM-3F」、共栄社化学株式会社製、トリフロロエチルメタクリレート)及び光重合開始剤(商品名「Omnirad 184」、IGM社製)を準備し、表1に記載の質量比となるように混合し、硬化性樹脂溶液を調製した。
【0058】
(カバー層4の準備)
カバー層4として、硬質塩化ビニールシート(商品名「マタエロン(登録商標)品番CB-N-MO」、又永化工株式会社製、塩化ビニル樹脂含有量88%)を準備した。当該シートの厚さは150μm、質量は210g/m2であった。そして、当該シートの一方の面にコロナ処理を施した。当該シートは2枚準備した。
【0059】
(透明シート1の製造)
上記カバー層4とするシート1枚のコロナ処理を施した面側に、樹脂層3とする準備した硬化性樹脂溶液を塗布した。次に、該硬化性樹脂溶液の上に、準備したガラス繊維布2を載せ、1分間静置してガラス繊維布2の隙間に上記の硬化性樹脂溶液を含浸させた。次いで、上記カバー層4とするシートもう1枚を、コロナ処理を施した面が硬化性樹脂溶液側となるように載せ、カバー層4とするシートの上からローラで樹脂層3の質量が50g/m2となるように加圧した。その後、カバー層4とするシートを透して樹脂層3とする硬化性樹脂溶液にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該硬化性樹脂溶液を硬化させ、樹脂層3を形成し、カバー層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる樹脂層3/カバー層4の積層構造である、本発明の透明シート1を得た。得られた透明シートにおいて、ガラス繊維布のガラス繊維間の隙間には、樹脂層3(硬化性樹脂の硬化物)が含浸されており、ガラス繊維布の層の両面上には樹脂層3が形成されていた。
【0060】
[実施例2]
(ガラス繊維布2の準備)
実施例1と同じガラス繊維布2を準備した。
【0061】
(樹脂層3の形成に使用する硬化性樹脂溶液の準備)
実施例1と同じ硬化性樹脂溶液を準備した。
【0062】
(カバー層4の準備)
カバー層4として、硬質塩化ビニールシート(商品名「マタエロン(登録商標)品番CB-N-MO」、又永化工株式会社製、塩化ビニル樹脂含有量88%)を準備した。当該シートの厚さは150μm、質量は210g/m2であった。当該シートを1準備し、シートの一方の面にコロナ処理を施した。
【0063】
(工程シートの準備)
工程シートとして、硬質塩化ビニールシート(商品名「マタエロン(登録商標)品番CB-N-MO」、又永化工株式会社製、塩化ビニル樹脂含有量88%)を準備した。当該シートの厚さは150μm、質量は210g/m2であった。
【0064】
(透明シート1の製造)
上記カバー層4とするシート1枚のコロナ処理を施した面側に、樹脂層3とする準備した硬化性樹脂溶液を塗布した。次に、該硬化性樹脂溶液の上に、準備したガラス繊維布2を載せ、1分間静置してガラス繊維布2の隙間に上記の硬化性樹脂溶液を含浸させた。次いで、上記工程シートを、硬化性樹脂溶液の上に載せ、工程シートの上からローラで樹脂層3の質量が50g/m2となるように加圧した。その後、工程シートを透して樹脂層3とする硬化性樹脂溶液にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該硬化性樹脂溶液を硬化させ、樹脂層3を形成し、工程シートを剥離して、カバー層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる樹脂層3の積層構造である、本発明の透明シート1を得た。得られた透明シートにおいて、ガラス繊維布のガラス繊維間の隙間には、樹脂層3(硬化性樹脂の硬化物)が含浸されており、ガラス繊維布の層の両面上には樹脂層3が形成されていた。
【0065】
[実施例3]
(ガラス繊維布2の準備)
実施例1と同じガラス繊維布2を準備した。
【0066】
(樹脂層3の形成に使用する硬化性樹脂溶液の準備)
樹脂層3の形成に使用する硬化性樹脂溶液として、臭素化ビニルエステル樹脂(商品名「ネオポール8197」、日本ユピカ株式会社製)、ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂(商品名「ネオポール8114」、日本ユピカ株式会社製)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(商品名「NKエステル A-NPG」、新中村化学工業株式会社製)、及び光重合開始剤(商品名「Omnirad 184」、IGM社製)を準備し、表1に記載の質量比となるように混合し、硬化性樹脂溶液を調製した。
【0067】
(カバー層4の準備)
カバー層4として、硬質塩化ビニールシート(商品名「マタエロン(登録商標)品番CB-N-MO」、又永化工株式会社製、塩化ビニル樹脂含有量88%)を準備した。当該シートの厚さは150μm、質量は210g/m2であった。そして、当該シートの一方の面にコロナ処理を施した。当該シートは2枚準備した。
【0068】
(透明シート1の製造)
上記カバー層4とするシート1枚のコロナ処理を施した面側に、樹脂層3とする準備した硬化性樹脂溶液を塗布した。次に、該硬化性樹脂溶液の上に、準備したガラス繊維布2を載せ、1分間静置してガラス繊維布2の隙間に上記の硬化性樹脂溶液を含浸させた。次いで、上記カバー層4とするシートもう1枚を、コロナ処理を施した面が硬化性樹脂溶液側となるように載せ、カバー層4とするシートの上からローラで樹脂層3の質量が50g/m2となるように加圧した。その後、カバー層4とするシートを透して樹脂層3とする硬化性樹脂溶液にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該硬化性樹脂溶液を硬化させ、樹脂層3を形成し、カバー層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる樹脂層3/カバー層4の積層構造である、本発明の透明シート1を得た。得られた透明シートにおいて、ガラス繊維布のガラス繊維間の隙間には、樹脂層3(硬化性樹脂の硬化物)が含浸されており、ガラス繊維布の層の両面上には樹脂層3が形成されていた。
【0069】
[実施例4]
(ガラス繊維布2の準備)
実施例1と同じガラス繊維布2を準備した。
【0070】
(樹脂層3の形成に使用する硬化性樹脂溶液の準備)
実施例3と同じ硬化性樹脂溶液を準備した。
【0071】
(カバー層4の準備)
カバー層4として、硬質塩化ビニールシート(商品名「マタエロン(登録商標)品番CB-N-MO」、又永化工株式会社製、塩化ビニル樹脂含有量88%)を準備した。当該シートの厚さは150μm、質量は210g/m2であった。当該シートを1準備し、シートの一方の面にコロナ処理を施した。
【0072】
(工程シートの準備)
工程シートとして、硬質塩化ビニールシート(商品名「マタエロン(登録商標)品番CB-N-MO」、又永化工株式会社製、塩化ビニル樹脂含有量88%)を準備した。当該シートの厚さは150μm、質量は210g/m2であった。
【0073】
(透明シート1の製造)
上記カバー層4とするシート1枚のコロナ処理を施した面側に、樹脂層3とする準備した硬化性樹脂溶液を塗布した。次に、該硬化性樹脂溶液の上に、準備したガラス繊維布2を載せ、1分間静置してガラス繊維布2の隙間に上記の硬化性樹脂溶液を含浸させた。次いで、上記工程シートを、硬化性樹脂溶液の上に載せ、工程シートの上からローラで樹脂層3の質量が50g/m2となるように加圧した。その後、工程シートを透して樹脂層3とする硬化性樹脂溶液にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該硬化性樹脂溶液を硬化させ、樹脂層3を形成し、工程シートを剥離して、カバー層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる樹脂層3の積層構造である、本発明の透明シート1を得た。得られた透明シートにおいて、ガラス繊維布のガラス繊維間の隙間には、樹脂層3(硬化性樹脂の硬化物)が含浸されており、ガラス繊維布の層の両面上には樹脂層3が形成されていた。
【0074】
[比較例1]
(ガラス繊維布2の準備)
実施例1と同じガラス繊維布2を準備した。
【0075】
(樹脂層3の形成に使用する硬化性樹脂溶液の準備)
実施例1と同じ硬化性樹脂溶液を準備した。
【0076】
(カバー層4の準備)
カバー層4として、塩化ビニル樹脂の含有量が73質量%である軟質塩化ビニルシートを準備した。当該シートの厚さは120μm、質量は156g/m2であった。当該シートは2枚準備した。
【0077】
(透明シート1の製造)
上記カバー層4とするシート1枚の一方の面側に、樹脂層3とする準備した硬化性樹脂溶液を塗布した。次に、該硬化性樹脂溶液の上に、準備したガラス繊維布2を載せ、1分間静置してガラス繊維布2の隙間に上記の硬化性樹脂溶液を含浸させた。次いで、上記カバー層4とするシートを硬化性樹脂溶液の上に載せ、カバー層4とするシートの上からローラで樹脂層3の質量が50g/m2となるように加圧した。その後、カバー層4とするシートを透して樹脂層3とする硬化性樹脂溶液にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該硬化性樹脂溶液を硬化させ、樹脂層3を形成し、カバー層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる樹脂層3/カバー層4の積層構造である、比較例の透明シート1を得た。得られた透明シートにおいて、ガラス繊維布のガラス繊維間の隙間には、樹脂層3(硬化性樹脂の硬化物)が含浸されており、ガラス繊維布の層の両面上には樹脂層3が形成されていた。
【0078】
[比較例2]
(ガラス繊維布2の準備)
実施例1と同じガラス繊維布2を準備した。
【0079】
(樹脂層3の形成に使用する硬化性樹脂溶液の準備)
実施例1と同じ硬化性樹脂溶液を準備した。
【0080】
(カバー層4の準備)
カバー層4として、塩化ビニル樹脂の含有量が73質量%である軟質塩化ビニルシートを準備した。当該シートの厚さは120μm、質量は156g/m2であった。
【0081】
(工程シートの準備)
工程シートとして、硬質塩化ビニールシート(商品名「マタエロン(登録商標)品番CB-N-MO」、又永化工株式会社製、塩化ビニル樹脂含有量88%)を準備した。当該シートの厚さは150μm、質量は210g/m2であった。
【0082】
(透明シート1の製造)
上記カバー層4とするシート1枚の一方の面側に、樹脂層3とする準備した硬化性樹脂溶液を塗布した。次に、該硬化性樹脂溶液の上に、準備したガラス繊維布2を載せ、1分間静置してガラス繊維布2の隙間に上記の硬化性樹脂溶液を含浸させた。次いで、上記工程シートを、硬化性樹脂溶液の上に載せ、工程シートの上からローラで樹脂層3の質量が50g/m2となるように加圧した。その後、工程シートを透して樹脂層3とする硬化性樹脂溶液にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該硬化性樹脂溶液を硬化させ、樹脂層3を形成し、工程シートを剥離して、カバー層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる樹脂層3の積層構造である、比較例の透明シート1を得た。得られた透明シートにおいて、ガラス繊維布のガラス繊維間の隙間には、樹脂層3(硬化性樹脂の硬化物)が含浸されており、ガラス繊維布の層の両面上には樹脂層3が形成されていた。
【0083】
[比較例3]
(ガラス繊維布2の準備)
実施例1と同じガラス繊維布2を準備した。
【0084】
(樹脂層3の形成に使用する硬化性樹脂溶液の準備)
実施例3と同じ硬化性樹脂溶液を準備した。
【0085】
(カバー層4の準備)
カバー層4として、塩化ビニル樹脂の含有量が73質量%である軟質塩化ビニルシートを準備した。当該シートの厚さは120μm、質量は156g/m2であった。当該シートは2枚準備した。
【0086】
(透明シート1の製造)
上記カバー層4とするシート1枚の一方の面側に、樹脂層3とする準備した硬化性樹脂溶液を塗布した。次に、該硬化性樹脂溶液の上に、準備したガラス繊維布2を載せ、1分間静置してガラス繊維布2の隙間に上記の硬化性樹脂溶液を含浸させた。次いで、上記カバー層4とするシートを硬化性樹脂溶液の上に載せ、カバー層4とするシートの上からローラで樹脂層3の質量が50g/m2となるように加圧した。その後、カバー層4とするシートを透して樹脂層3とする硬化性樹脂溶液にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該硬化性樹脂溶液を硬化させ、樹脂層3を形成し、カバー層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる樹脂層3/カバー層4の積層構造である、比較例の透明シート1を得た。得られた透明シートにおいて、ガラス繊維布のガラス繊維間の隙間には、樹脂層3(硬化性樹脂の硬化物)が含浸されており、ガラス繊維布の層の両面上には樹脂層3が形成されていた。
【0087】
[比較例4]
(ガラス繊維布2の準備)
実施例1と同じガラス繊維布2を準備した。
【0088】
(樹脂層3の形成に使用する硬化性樹脂溶液の準備)
実施例3と同じ硬化性樹脂溶液を準備した。
【0089】
(カバー層4の準備)
カバー層4として、塩化ビニル樹脂の含有量が73質量%である軟質塩化ビニルシートを準備した。当該シートの厚さは120μm、質量は156g/m2であった。
【0090】
(工程シートの準備)
工程シートとして、硬質塩化ビニールシート(商品名「マタエロン(登録商標)品番CB-N-MO」、又永化工株式会社製、塩化ビニル樹脂含有量88%)を準備した。当該シートの厚さは150μm、質量は210g/m2であった。
【0091】
(透明シート1の製造)
上記カバー層4とするシート1枚の一方の面側に、樹脂層3とする準備した硬化性樹脂溶液を塗布した。次に、該硬化性樹脂溶液の上に、準備したガラス繊維布2を載せ、1分間静置してガラス繊維布2の隙間に上記の硬化性樹脂溶液を含浸させた。次いで、上記工程シートを、硬化性樹脂溶液の上に載せ、工程シートの上からローラで樹脂層3の質量が50g/m2となるように加圧した。その後、工程シートを透して樹脂層3とする硬化性樹脂溶液にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該硬化性樹脂溶液を硬化させ、樹脂層3を形成し、工程シートを剥離して、カバー層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる樹脂層3の積層構造である、比較例の透明シート1を得た。得られた透明シートにおいて、ガラス繊維布のガラス繊維間の隙間には、樹脂層3(硬化性樹脂の硬化物)が含浸されており、ガラス繊維布の層の両面上には樹脂層3が形成されていた。
【0092】
[比較例5]
(ガラス繊維布2の準備)
実施例1と同じガラス繊維布2を準備した。
【0093】
(樹脂層3の形成に使用する硬化性樹脂溶液の準備)
実施例3と同じ硬化性樹脂溶液を準備した。
【0094】
(工程シートの準備)
工程シートとして、硬質塩化ビニールシート(商品名「マタエロン(登録商標)品番CB-N-MO」、又永化工株式会社製、塩化ビニル樹脂含有量88%)を準備した。当該シートの厚さは150μm、質量は210g/m2であった。当該工程シートは2枚準備した。
【0095】
(透明シート1の製造)
上記工程シート1枚の一方の面側に、樹脂層3とする準備した硬化性樹脂溶液を塗布した。次に、該硬化性樹脂溶液の上に、準備したガラス繊維布2を載せ、1分間静置してガラス繊維布2の隙間に上記の硬化性樹脂溶液を含浸させた。次いで、もう1枚の工程シートを硬化性樹脂溶液の上に載せ、シートの上からローラで樹脂層3の質量が50g/m2となるように加圧した。その後、工程シートを透して樹脂層3とする硬化性樹脂溶液にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該硬化性樹脂溶液を硬化させ、樹脂層3を形成し、2枚の工程シートを剥離して、ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる樹脂層3のみからなる、比較例の透明シート1を得た。得られた透明シートにおいて、ガラス繊維布のガラス繊維間の隙間には、樹脂層3(硬化性樹脂の硬化物)が含浸されており、ガラス繊維布の層の両面上には樹脂層3が形成されていた。
【0096】
3.結果
結果を表1に示す。
【0097】
【0098】
実施例1~4のシートは、ガラス繊維布と、前記ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる樹脂層と、前記樹脂層の少なくとも一方の面側に積層されるカバー層とを含む、透明シートであって、前記カバー層が塩化ビニル樹脂を含有し、塩素濃度が40%以上であり、前記透明シートの全光線透過率が80%以上であり、ヘーズが30%以下であることから、シートが炎に接したときに燃え広がりにくいものとすることができるものであった。