(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001233
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】凹凸パネルの製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
B29C 63/02 20060101AFI20241225BHJP
【FI】
B29C63/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100713
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】591196751
【氏名又は名称】旭コンステック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小栗 健
(72)【発明者】
【氏名】関根 健二
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AD08
4F211AD24
4F211AG01
4F211AG03
4F211AG05
4F211SA02
4F211SC06
4F211SD01
4F211SJ01
4F211SJ23
4F211SP17
(57)【要約】
【課題】品質の向上、製造コストの低減及び作業性の向上が図られる凹凸パネルの製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】凹凸パネル1の製造方法であって、凹凸形成層11を接着層を介して基材10に載置する準備工程と、可撓性を有する押圧シート23と押圧シート23により仕切られて密閉可能に構成された第1チャンバー21と第2チャンバー22とを有する加圧装置2を用い、第2チャンバー22内に凹凸形成層11が載置された基材10を配設する配設工程と、密閉された両チャンバー21、22を減圧する減圧工程と、凹凸形成層11の表側面と押圧シート23とを互いに押し当てる押し当て工程と、第1チャンバー21の内圧を第2チャンバー22の内圧よりも高い状態にして第1チャンバー21と第2チャンバー22との間に圧力差を発生させ、押圧シート23を凹凸形成層11の表側面に密着させて凹凸形成層11を基材10に押圧する押圧工程とを含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の基材と、前記基材に積層されるとともに前記基材と反対側の面である表側面に凹凸形状を有する凹凸形成層と、前記基材と前記凹凸形成層との間に介在して両者を接着させる接着層とを含む凹凸パネルの製造方法であって、
前記凹凸形成層を前記接着層を介して前記基材に載置する準備工程と、
可撓性を有する押圧シートと、該押圧シートにより仕切られるとともにそれぞれ密閉可能に構成された第1チャンバーと第2チャンバーとを有する加圧装置を用い、前記第2チャンバーの内側に前記凹凸形成層が載置された前記基材を配設する配設工程と、
前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーをそれぞれの内側を密閉した状態で減圧する減圧工程と、
前記基材に載置された前記凹凸形成層の前記表側面と前記押圧シートとを互いに押し当てる押し当て工程と、
前記第1チャンバーの内圧を前記第2チャンバーの内圧よりも高い状態にすることにより前記第1チャンバーと前記第2チャンバーとの間に圧力差を発生させて、前記押圧シートを前記凹凸形成層の前記表側面に密着させるとともに前記押圧シートによって前記凹凸形成層を前記基材に押圧する押圧工程と、を含む凹凸パネルの製造方法。
【請求項2】
前記凹凸形成層は、前記基材に対する積層方向における厚さが異なる部位を有する凹凸形成部材を複数組み合わせて構成されており、前記準備工程において前記凹凸形成部材を前記接着層を介して前記基材に載置することで、前記凹凸形成層の前記表側面に前記凹凸形状が形成されるように構成されている、請求項1に記載の凹凸パネルの製造方法。
【請求項3】
前記準備工程において、複数の前記凹凸形成部材はそれぞれ化粧シートが被覆された状態で上記接着層を介して上記基材に載置される、請求項2に記載の凹凸パネルの製造方法。
【請求項4】
前記加圧装置は、前記第2チャンバー内に、平面形状又は湾曲形状を有する載置面を有する台座を備えており、
前記基材は可撓性を有し、前記配設工程において、前記基材は前記台座の前記載置面に配設される、請求項1又は2に記載の凹凸パネルの製造方法。
【請求項5】
シート状の基材と、前記基材に積層されるとともに前記基材と反対側の面である表側面に凹凸形状を有する凹凸形成層と、前記基材と前記凹凸形成層との間に介在して両者を接着させる接着層とを含む凹凸パネルの製造装置であって、
可撓性を有する押圧シートと、
該押圧シートにより仕切られるとともにそれぞれ密閉可能に構成された第1チャンバー及び第2チャンバーと、
前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーの内圧を個別に制御する内圧制御装置と、
前記第2チャンバー内に設けられるとともに、前記接着層を介して前記凹凸形成層が載置された前記基材が配設される台座と、
を備え、
前記台座及び前記押圧シートの少なくとも一方は、前記台座に配設された前記基材に載置された前記凹凸形成層の前記表側面が前記押圧シートに押圧されるように変位可能に構成されおり、
前記内圧制御装置は、前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーをそれぞれの内側を密閉した状態で減圧した後、前記基材に載置された前記凹凸形成層の前記表側面と前記押圧シートとを互いに押し当てた状態で、前記第1チャンバーの内圧を前記第2チャンバーの内圧よりも高い状態にすることにより前記第1チャンバーと前記第2チャンバーとの間に圧力差を発生させて、前記押圧シートを前記凹凸形成層の前記表側面に密着させるとともに前記押圧シートによって前記凹凸形成層を前記基材に押圧するように構成されている、凹凸パネルの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸パネルの製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表面に凹凸を有する凹凸パネルを形成する方法として、例えば、特許文献1には、シート状の基材に凹凸を形成する棒状のリブ材を所定間隔で固定する方法が開示されている。そして、当該方法ではリブ材の固定は接着剤により行うことが例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の構成において、接着剤によりリブ材を基材に固定するには、プレス機を用いて接着剤が固化するまでリブ材を基材に押圧することが好ましい。しかしながら、リブ材は様々な断面形状を有するものを採用することができるため、平板状の押圧面を有するプレス機により基材に配置された複数のリブ材を押圧すると、加圧力がリブ材の一部に集中してリブ材が不均一に押圧されて十分な接着力が得られなかったり、リブ材において加圧力が集中する部位が変形したりして、品質の低下を招くおそれがある。これを回避するには、基材に配置された複数のリブ材により形成された凹凸形状に沿った押圧面を有するプレス機により押圧することが考えられる。しかしながら、この場合は当該凹凸形状に沿った押圧面を有するプレス機を用意する必要があり、汎用性に乏しく、製造コストが増大する。また、リブ材の形状やリブ材の配置が変更される度にプレス機の押圧面を変更したり、凹凸形状に合わせてプレス機の押圧面の位置合わせをしたりする必要があるため、作業性が低下する。
【0005】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、品質の向上、製造コストの低減及び作業性の向上が図られる凹凸パネルの製造方法及び製造装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
シート状の基材と、前記基材に積層されるとともに前記基材と反対側の面である表側面に凹凸形状を有する凹凸形成層と、前記基材と前記凹凸形成層との間に介在して両者を接着させる接着層とを含む凹凸パネルの製造方法であって、
前記凹凸形成層を前記接着層を介して前記基材に載置する準備工程と、
可撓性を有する押圧シートと、該押圧シートにより仕切られるとともにそれぞれ密閉可能に構成された第1チャンバーと第2チャンバーとを有する加圧装置を用い、前記第2チャンバーの内側に前記凹凸形成層が載置された前記基材を配設する配設工程と、
前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーをそれぞれの内側を密閉した状態で減圧する減圧工程と、
前記基材に載置された前記凹凸形成層の前記表側面と前記押圧シートとを互いに押し当てる押し当て工程と、
前記第1チャンバーの内圧を前記第2チャンバーの内圧よりも高い状態にすることにより前記第1チャンバーと前記第2チャンバーとの間に圧力差を発生させて、前記押圧シートを前記凹凸形成層の前記表側面に密着させるとともに前記押圧シートによって前記凹凸形成層を前記基材に押圧する押圧工程と、を含む凹凸パネルの製造方法にある。
【0007】
また、本発明の他の態様は、
シート状の基材と、前記基材に積層されるとともに前記基材と反対側の面である表側面に凹凸形状を有する凹凸形成層と、前記基材と前記凹凸形成層との間に介在して両者を接着させる接着層とを含む凹凸パネルの製造装置であって、
可撓性を有する押圧シートと、
該押圧シートにより仕切られるとともにそれぞれ密閉可能に構成された第1チャンバー及び第2チャンバーと、
前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーの内圧を個別に制御する内圧制御装置と、
前記第2チャンバー内に設けられるとともに、前記接着層を介して前記凹凸形成層が載置された前記基材が配設される台座と、
を備え、
前記台座及び前記押圧シートの少なくとも一方は、前記台座に配設された前記基材に載置された前記凹凸形成層の前記表側面が前記押圧シートに押圧されるように変位可能に構成されおり、
前記内圧制御装置は、前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーをそれぞれの内側を密閉した状態で減圧した後、前記基材に載置された前記凹凸形成層の前記表側面と前記押圧シートとを互いに押し当てた状態で、前記第1チャンバーの内圧を前記第2チャンバーの内圧よりも高い状態にすることにより前記第1チャンバーと前記第2チャンバーとの間に圧力差を発生させて、前記押圧シートを前記凹凸形成層の前記表側面に密着させるとともに前記押圧シートによって前記凹凸形成層を前記基材に押圧するように構成されている、凹凸パネルの製造装置にある。
【発明の効果】
【0008】
上記一態様における凹凸パネルの製造方法では、可撓性を有する押圧シートを凹凸形成層の表側面の凹凸形状に密着させた状態で凹凸形成層を基材に押圧するため、押圧シートによる加圧力が凹凸形成層の一部に集中することが抑制され、凹凸形成層を基材に均一に押圧することができる。その結果、凹凸形成層の変形を防止することができ、品質向上を図ることができる。そして、可撓性を有する押圧シートは凹凸形成層の表側面の凹凸形状に沿って変形できるため、当該凹凸パネルの製造方法は凹凸形成層の表側面の形状を問わず適用することができ、製造コストの低減を図ることができる。また、可撓性を有する押圧シートは凹凸形成層の表側面の凹凸形状に沿って変形できるため、凹凸形状に合わせて押圧シートを変更したり、位置合わせを行ったりする必要がなく作業性が向上する。
【0009】
また、上記他の態様における凹凸パネルの製造装置では、上記一態様における凹凸パネルの製造方法を実現することができる。
【0010】
以上のごとく、本発明によれば、品質の向上及び製造コストの低減が図られる凹凸パネルの製造方法及び製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図1における、II-II線位置での断面一部拡大図。
【
図3】実施形態1における、凹凸パネルの製造方法のフロー図。
【
図4】実施形態1における、(a)準備工程を説明する概念図、(b)準備工程を説明する他の概念図。
【
図5】実施形態1における、(a)配設工程を説明する概念図、(b)減圧工程を説明する概念図。
【
図6】実施形態1における、(a)押し当て工程を説明する概念図、(b)押圧工程を説明する概念図。
【
図7】実施形態1における、(a)押し当て工程を説明する概念図の一部拡大図、(b)押圧工程を説明する概念図の一部拡大図。
【
図8】実施形態2における、(a)凹凸パネルの断面概念図であり、(b)押し当て工程を説明する概念図の一部拡大図、(c)押圧工程を説明する概念図の一部拡大図。
【
図9】実施形態2における、凹凸形成部材の断面概念図。
【
図10】変形形態1における、(a)凹凸パネルの断面概念図、(b)押し当て工程を説明する概念図の一部拡大図、(c)押圧工程を説明する概念図の一部拡大図。
【
図11】変形形態2における、(a)凹凸パネルの断面概念図、(b)押し当て工程を説明する概念図の一部拡大図、(c)押圧工程を説明する概念図の一部拡大図。
【
図12】実施形態3における、凹凸パネルの斜視図。
【
図13】実施形態3における、(a)配設工程を説明する概念図、(b)減圧工程を説明する概念図。
【
図14】実施形態3における、(a)押し当て工程を説明する概念図、(b)押圧工程を説明する概念図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
前記凹凸形成層は、前記基材に対する積層方向における厚さが異なる部位を有する凹凸形成部材を複数組み合わせて構成されており、前記準備工程において前記凹凸形成部材を前記接着層を介して前記基材に載置することで、前記凹凸形成層の前記表側面に前記凹凸形状が形成されるように構成されていることが好ましい。この場合、凹凸形成部材の組み合わせや配置を変更するだけで凹凸形成層の表側面における凹凸形状を容易に変更することができ、汎用性に優れた凹凸パネルの製造を実現できる。
【0013】
前記準備工程において、複数の前記凹凸形成部材はそれぞれ化粧シートが被覆された状態で上記接着層を介して上記基材に載置されることが好ましい。この場合、凹凸形成層の表側面を意匠面として利用することができ、高品質の凹凸パネルの製造を実現できる。
【0014】
前記加圧装置は、前記第2チャンバー内に、平面形状又は湾曲形状を有する載置面を有する台座を備えており、前記基材は可撓性を有し、前記配設工程において、前記基材は前記台座の前記載置面に配設されることが好ましい。この場合、凹凸パネルの基材が平板状であっても湾曲した形状であっても凹凸形成層を基材に均一に押圧することができ、高品質の凹凸パネルの製造を実現できる。
【0015】
(実施形態1)
凹凸パネルの製造方法及び製造装置の実施形態1について、
図1~
図4を用いて以下に説明する。
図1及び
図2に示すように、実施形態1における凹凸パネル1は、基材10、凹凸形成層11及び接着層12を含む。基材10はシート状をなしている。基材10は比較的高い可撓性を有して容易に撓むものであってもよいし、比較的高い剛性を有して板状に維持されたものであってもよい。基材10の材質は限定されず、紙、樹脂、木材、金属などとすることができる。本実施形態では、基材10の材質は比較的高い可撓性を有する紙である。なお、本実施形態では、基材10厚さの方向を厚さ方向Zとして、基材10の面方向の一方を幅方向Xとし、面方向において幅方向Xに直交する方向を長手方向Yとする。
【0016】
凹凸形成層11は、
図2に示すように、基材10に積層され、基材10と反対側の面である表側面11aと、基材10に対向する面である裏側面11bとを有する。表側面11aは長手方向Yに延在する凸部111及び凹部112が幅方向Xに交互に配列してなる凹凸形状を有している。裏側面11bは平面形状を有している。凹凸形成層11の材質は限定されない。なお、本実施形態では、凹凸形成層11は一枚の板材からなる。また、凹凸形成層11の表側面11aには、意匠面を形成する化粧シートが被覆されていてもよい。
【0017】
接着層12は、基材10と凹凸形成層11との間に介在して両者を接着させる。接着層12の構成は限定されず、接着剤単体で構成したり、両面に接着剤を有する両面テープにより構成したりすることができる。
【0018】
図3に示すように、凹凸パネル1の製造方法は、準備工程S1、配設工程S2、減圧工程S3、押し当て工程S4、押圧工程S5を含む。準備工程S1では、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、凹凸形成層11を接着層12を介して基材10に載置する。本実施形態では、
図4(a)に示すように、基材10の一方の主面に、接着剤を塗布して接着層12を形成する。なお、接着層12を形成する方法は限定されず、本実施形態では、ロールコーターを用いて接着剤を塗布することにより接着層12を形成した。そして、
図4(b)に示すように、接着層12の上に凹凸形成層11を載置する。これにより、接着層12を介して基材10と凹凸形成層11とを仮固定する。なお、準備工程S1において、凹凸形成層11の裏側面11bに接着剤を塗布して接着層12を形成してもよい。
【0019】
次に、
図5(a)に示す加圧装置2を用いて、配設工程S2~押圧工程S5を行う。加圧装置2は、第1チャンバー21、第2チャンバー22、押圧シート23、台座24、内圧制御装置25を含む。第1チャンバー21は加圧装置2の上部を構成しており、第2チャンバー22の下部を構成している。
図5(b)に示すように、第1チャンバー21と第2チャンバー22とは、両者の間に位置する押圧シート23により仕切られるとともにそれぞれ密閉可能となっている。
【0020】
第1チャンバー21及び第2チャンバー22には減圧ポンプ26及び大気開放弁27が接続されている。減圧ポンプ26及び大気開放弁27の動作状態は内圧制御装置25により制御される。そして、内圧制御装置25により減圧ポンプ26及び大気開放弁27の動作状態を変更することにより、第1チャンバー21及び第2チャンバー22の内圧がそれぞれ個別に制御される。
【0021】
押圧シート23は可撓性を有するシートである。押圧シート23の材質は限定されないが、樹脂製とすることができる。押圧シート23は押圧シート23の外周部全域に設けられた枠体23aにより支持されている。台座24は第2チャンバー22内に設けられており、押圧シート23に向けて進退可能に構成されている。本実施形態では、台座24は平面状の載置面24aを有する。
【0022】
そして、配設工程S2では、
図5(a)に示すように、第2チャンバー22内の台座24の載置面24aに、凹凸形成層11が載置された基材10を配設する。なお、配設工程S2では、台座24は、載置面24aが押圧シート23から離間した退避位置にある。
【0023】
次に、減圧工程S3において、
図5(b)に示すように、第1チャンバー21と第2チャンバー22との間に押圧シート23を挟み込んだ状態で、第1チャンバー21と第2チャンバー22と重ね合わせ、第1チャンバー21及び第2チャンバー22の内側の空間を密閉する。そして、内圧制御装置25により減圧ポンプ26を駆動させて、第1チャンバー21及び第2チャンバー22の内側空間を減圧して両者を真空状態とする。なお、真空状態とは厳密な真空状態に限らず、内圧が大気圧に比べて十分小さい状態も含むものとする。
【0024】
その後、押し当て工程S4において、
図6(a)に示すように、基材10に載置された凹凸形成層11の表側面11aと押圧シート23とを互いに押し当てる。本実施形態では、台座24を押圧シート23に向けて移動させることにより、表側面11aを押圧シート23に押し当てる。なお、これに替えて、押圧シート23を台座24に向けて下降することにより押圧シート23を表側面11aに押し当てることとしてもよい。押し当て工程S4において押圧シート23に表側面11aを押し当てた状態では、
図7(a)に示すように、押圧シート23と凹凸形成層11との間に、凹凸形成層11の表側面11aにおける凹部112に隙間Pが形成されている。
【0025】
そして、押圧工程S5において、内圧制御装置25により大気開放弁27を通じて第1チャンバー21を大気開放し、第1チャンバー21の内圧を第2チャンバー22の内圧よりも高い状態にして、第1チャンバー21と第2チャンバー22との間に圧力差を発生させる。これにより、
図6(b)に示すように、押圧シート23を凹凸形成層11の表側面11aに密着させるとともに押圧シート23によって凹凸形成層11を基材10に押圧する。このとき、
図7(b)に示すように、押圧シート23が表側面11aに密着することにより隙間Pは消滅し、いわゆる空気ガミが防止される。
【0026】
その後、接着層12が固化するまでの所定時間にわたって、押圧シート23による押圧を継続した後、内圧制御装置25により大気開放弁27を通じて第2チャンバー22を大気開放する。これにより、第1チャンバー21と第2チャンバー22との圧力差をなくし、押圧シート23による押圧を解除して当該フローを終了する。
【0027】
次に、本実施形態の凹凸パネル1の製造方法における作用効果について、詳述する。
本実施形態の凹凸パネル1の製造方法によれば、可撓性を有する押圧シート23を凹凸形成層11の表側面11aの凹凸形状に密着させた状態で凹凸形成層11を基材10に押圧するため、押圧シート23による加圧力が凹凸形成層11の一部に集中することが抑制され、凹凸形成層11を基材10に均一に押圧することができる。その結果、凹凸形成層11の変形を防止することができ、品質向上を図ることができる。そして、可撓性を有する押圧シート23は凹凸形成層11の表側面11aの凹凸形状に沿って変形できるため、当該凹凸パネル1の製造方法は凹凸形成層11の表側面11aの形状を問わず適用することができ、製造コストの低減を図ることができる。また、可撓性を有する押圧シート23は凹凸形成層11の表側面11aの凹凸形状に沿って変形できるため、凹凸形状に合わせて押圧シート23を変更したり、位置合わせを行ったりする必要がなく作業性が向上する。
【0028】
さらに、凹凸パネル1の製造装置である加圧装置2では、上述の凹凸パネルの製造方法を実現することができる。これにより、凹凸パネル1の品質の向上、製造コストの低減及び作業性の向上が図られる。
【0029】
(実施形態2)
上述の実施形態1では、凹凸形成層11は一枚の板材で形成したが、凹凸形成層11は厚さが異なる部位を有する凹凸形成部材110を複数組み合わせて形成してもよい。例えば、本実施形態2では、
図8(a)に示すように、凹凸形成層11は、長手方向Yに延在する棒状であって断面形状が三角形である凹凸形成部材110を幅方向Xに隙間なく並べて形成されている。実施形態2における凹凸形成部材110は、断面形状が三角形であるため、当該三角形の頂点(厚さ方向Zにおいて最も上方に位置する頂点)に位置する部位の厚さと、当該三角形の底辺を形成するその他の頂点に位置する部位での厚さとが異なっている。これにより、実施形態2において、複数の凹凸形成部材110により形成された凹凸形成層11の表側面11aは凹凸形状をなしている。なお、本実施形態2において実施形態1と同等の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0030】
本実施形態2においても、実施形態1の場合と同様に、
図8(b)に示す押し当て工程S4で生じる隙間Pは、
図8(c)に示す押圧工程S5において、押圧シート23が、凹凸形成部材110を複数組み合わせてなる凹凸形成層11の表側面11aの凹凸形状に沿って変形して表側面11aに密着することにより消滅する。これにより、本実施形態2においても実施形態1の場合と同等の作用効果を奏する。
【0031】
さらに、本実施形態では、凹凸形成層11が凹凸形成部材110を複数組み合わせて構成されて、表側面11aに凹凸形状が形成されていることにより、凹凸形成部材110の組み合わせや配置を変更するだけで凹凸形成層11の表側面11aにおける凹凸形状を容易に変更することができ、汎用性に優れた凹凸パネル1の製造を実現できる。また、本実施形態では、基材10は可撓性を有する紙からなるため、完成した凹凸パネル1は、隣り合う凹凸形成部材110の境界に沿って折曲可能となる。そのため、凹凸パネル1を曲面に沿うように配置することができる。
【0032】
また、本実施形態では、
図9に示すように、凹凸形成部材110には予め化粧シート14が被覆されている。凹凸形成部材110への化粧シート14の被覆方法は、特に限定されず、例えば、真空成型機を用いて公知の方法にて凹凸形成部材110への化粧シート14の被覆を行うことができる。そして、本実施形態では、準備工程S1において、複数の凹凸形成部材110はそれぞれ化粧シート14が被覆された状態で接着層12を介して基材10に載置される。これにより、凹凸形成層11の表側面11aを意匠面として利用することができ、高品質の凹凸パネル1の製造を実現できる。
【0033】
なお、本実施形態2では、凹凸形成部材110の断面形状を三角形としたが、これに限らず、
図10(a)に示す変形形態1のように凹凸形成部材110は断面形状が半円形状の棒状部材であってもよい。当該変形形態1においても、
図10(b)に示す押し当て工程S4で形成されていた隙間Pは、
図10(c)に示す押圧工程S5において、押圧シート23が、凹凸形成部材110を複数組み合わせてなる凹凸形成層11の表側面11aの凹凸形状に沿って変形して表側面11aに密着することで消滅する。これにより、当該変形形態1においても本実施形態2の場合と同様の作用効果を奏する。
【0034】
また、
図11(a)に示す変形形態2のように、凹凸形成層11は互いに厚さ方向Zの大きさが異なる棒状部材である凹凸形成部材110a、110b、110c、110d、100e、110fを組み合わせて形成してもよい。なお、変形形態2では凹凸形成部材110a~110fは、幅方向Xの大きさも互いに異なっている。当該変形形態2においても、
図11(b)に示す押し当て工程S4で形成されていた隙間Pは、
図11(c)に示す押圧工程S5において、押圧シート23が、凹凸形成部材110a~110fを複数組み合わせてなる凹凸形成層11の表側面11aの凹凸形状に沿って変形して表側面11aに密着することで消滅する。これにより、当該変形形態2においても本実施形態2の場合と同様の作用効果を奏する。
【0035】
(実施形態3)
上述の実施形態1では、
図1に示すように基材10は平板状となっており、これに対応して、
図5(a)に示すように、加圧装置2の台座24の載置面24aも平面形状となっていた。一方、本実施形態3では、
図12に示すように基材10は長手方向Yにおいて厚さ方向Z(基材10と凹凸形成層11との積層方向)の上方に向けて凸となるように緩やかに湾曲した湾曲形状となっており、これに対応して、
図13(a)に示すように、加圧装置2の台座24の載置面24aも長手方向Yにおいて厚さ方向Zの上方に向けて凸となるように緩やかに湾曲した湾曲形状となっている。
【0036】
本実施形態3では、
図13(a)に示すように、配設工程S2において、基材10と載置面24aとの間に隙間がない状態で、基材10を台座24の載置面24aに配設することができる。そして、
図13(b)に示す減圧工程S3と
図14(a)に示す押し当て工程S4とを経て、
図14(b)に示す押圧工程S5において、基材10と載置面24aとの間に隙間がない状態を維持したまま、押圧シート23を凹凸形成層11の表側面11aに密着させるとともに押圧シート23によって凹凸形成層11を基材10に押圧する。なお、実施形態1と同等の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0037】
本実施形態3における凹凸パネル1の製造方法によれば、上述の実施形態1と同様の作用効果を奏するとともに、基材10が湾曲した形状であっても凹凸形成層11を基材10に均一に押圧することができ、高品質の凹凸パネル1の製造を実現できる。
【0038】
以上のごとく、本発明によれば、品質の向上、製造コストの低減及び作業性の向上が図られる凹凸パネルの製造方法及び製造装置を提供することができる。
【0039】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 凹凸パネル
10 基材
11 凹凸形成層
11a 表側面
12 接着層
2 加圧装置(凹凸パネルの製造装置)
21 第1チャンバー
22 第2チャンバー
23 押圧シート
24 台座
24a 載置面
25 内圧制御装置