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  • 特開-車両 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001234
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/30 20060101AFI20241225BHJP
【FI】
B60Q1/30 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100714
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】水間 隼人
(72)【発明者】
【氏名】松下 真人
(72)【発明者】
【氏名】水野 裕子
(72)【発明者】
【氏名】三輪 耕平
(72)【発明者】
【氏名】山田 直輝
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA24
3K339AA50
3K339BA30
3K339CA27
3K339CA30
3K339DA01
3K339EA03
3K339EA06
3K339GB21
3K339JA02
3K339JA22
3K339KA37
3K339MA01
3K339MC03
3K339MC90
(57)【要約】
【課題】ワイパを高速動作しなくても、ワイパ上の発光部品を用いたパターン表示を可能とする。
【解決手段】車両10は、リアワイパ12に設置された発光部品16と、自車両の前方を撮影するフロントカメラ13と、リアワイパ12の動作に連動して発光部品16を点滅させることでパターンを表示させる制御部17と、フロントカメラ13が撮影した映像に基づき、先行車両の発光部品16の点滅により表示されたパターンを取得する処理部18と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイパに設置された発光部品と、
自車両の周囲を撮影するカメラと、
前記ワイパの動作に連動して前記発光部品を点滅させることでパターンを表示させる制御部と、
前記カメラが撮影した映像に基づき、他車両の前記発光部品の点滅により表示されたパターンを取得する処理部と、
を備える車両。
【請求項2】
前記発光部品はリアワイパに設置されており、前記カメラは前記自車両の前方を撮影するフロントカメラである請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記発光部品は、赤外線発光部品又は紫外線発光部品である請求項1に記載の車両。
【請求項4】
前記制御部は、前記パターンとして2次元コードを表示する請求項1に記載の車両。
【請求項5】
前記制御部は、前記処理部が取得したパターンと同じパターンを、前記自車両の前記発光部品を用いて表示させる請求項1に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の車両は、ワイパ上に一列に並んで配置された発光素子を備えている。この車両では、ワイパの動きに連動して発光素子を点滅させることで、文字や図形等を、人の目の残像効果を利用して表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-271813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
残像効果を利用するには、水滴等の拭き取りに必要な速度よりも大幅に高い速度でワイパを動作させる必要がある。そのため、表示を行う際のワイパの動きや動作音を乗員が煩わしく感じてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する車両は、ワイパに設置された発光部品と、自車両の周囲を撮影するカメラと、前記ワイパの動作に連動して前記発光部品を点滅させることでパターンを表示する制御部と、前記カメラが撮影した画像から、他車両の前記発光部品の点滅により表示されたパターンを取得する処理部と、を備えている。
【発明の効果】
【0006】
上記車両には、ワイパを高速動作しなくても、ワイパ上の発光部品を用いた車車間通信を可能とする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】車両の一実施形態の構成を模式的に示す図である。
図2】同車両におけるパターン表示の一例を示す図である。
図3】車両の変形例において処理部が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、車両の一実施形態を、図1図3を参照して詳細に説明する。
<車両の構成について>
まず、図1を参照して、本実施形態の車両10の構成を説明する。車両10は、リアウィンドウ11に付着した雨滴や汚れを拭い取るためのリアワイパ12を備えている。また、車両10は、フロントカメラ13とHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)14とを備えている。フロントカメラ13は、車両前方を撮影する撮影装置である。HMI14は、車両10のシステムと乗員との間で情報をやり取りするための装置である。HMI14の例としては、タッチパネルが挙げられる。
【0009】
車両10は、リアワイパ12を駆動する駆動部15を備えている。駆動部15は、モータと、そのモータの回転をリアワイパ12の往復動作に変換するリンク機構と、を備えている。リアワイパ12は、駆動部15により、停止位置と折り返し位置との間を往復駆動される。図1には、停止位置に位置するときのリアワイパ12の状態が実線で示されている。また、図1には、折り返し位置に位置するときのリアワイパ12の状態が破線で示されている。
【0010】
リアワイパ12には、複数の発光部品16が設置されている。複数の発光部品16は、リアワイパ12上に一列に並んで配置されている。発光部品16の例としては、発光ダイオードが挙げられる。
【0011】
さらに車両10には、制御部17と処理部18とが設置されている。制御部17は、駆動部15によるリアワイパ12の駆動の制御と、発光部品16の点滅の制御と、を行う電子回路である。処理部18は、フロントカメラ13が撮影した画像の処理を行う電子回路である。
【0012】
<車車間通信について>
車両10は、リアワイパ12に設けられた発光部品16と、フロントカメラ13と、を用いて他の車両10と通信を行うように構成されている。こうした車車間通信は、制御部17による発光部品16の点滅制御と、処理部18によるフロントカメラ13の画像処理と、を通じて行われる。以下の説明では、自身の車両10を自車両、自車両の前方を走行する車両10を先行車両、自車両の後方を走行する車両10を後続車両と記載する。
【0013】
まず、図2を参照して、制御部17が行う発光部品16の点滅制御について説明する。図2は、「STOP」の4文字をパターンとして表示する場合の各発光部品16の点滅態様が示されている。図2では、点灯中の発光部品16を黒塗りの丸で、消灯中の発光部品16が白抜きの丸で、それぞれ表している。制御部17は、リアワイパ12の動作に連動して、各発光部品16の点滅を切替えることで、図2のようなパターンを表示する。具体的には、制御部17は、リアワイパ12の動作位置により、各発光部品16の点滅を切替える。各動作位置において、点灯する発光部品16、及び消灯する発光部品16の組合せは、表示するパターンにより予め定められている。
【0014】
次に、処理部18が行う画像処理について説明する。処理部18は、フロントカメラ13が撮影した映像に基づき、先行車両がリアワイパ12の発光部品16の点滅により表示したパターンを取得する。具体的には、処理部18は、先行車両のリアウィンドウ11を写したフロントカメラ13の画像を、周期的に取得するとともに、取得した一連の画像を合成した合成画像を生成する。このときのフロントカメラ13の画像の取得周期及び取得期間には、先行車両が発光部品16の点滅により表示したパターンを示す画像を合成画像として生成可能となるように適切な周期及び期間が設定されている。そして、処理部18は、生成した合成画像をHMI14に表示させる。
【0015】
<実施形態の作用及び効果>
本実施形態の作用及び効果を説明する。本実施形態の車両10は、リアワイパ12に設置した複数の発光部品16を、リアワイパ12の動作に連動して点滅させることで、パターン表示を行う。このとき、リアワイパ12を高速で動作させれば、後続車両の乗員は、残像効果により、表示したパターンを直接認識することができる。しかしながら、残像効果が生じるほど高速動作させると、リアワイパ12の動きや動作音を乗員が煩わしく感じる虞がある。これに対して本実施形態の車両10は、フロントカメラ13が撮影した画像を処理部18が処理することで、先行車両のリアワイパ12の発光部品16の点滅により表示されたパターンを識別している。そのため、パターン表示のために、残像効果が生じるほどの高速でリアワイパ12を動作させる必要がない。
【0016】
以上の本実施形態の車両10は、以下の効果を奏する。
(1)車両10は、リアワイパ12に設置された複数の発光部品16をリアワイパ12の動作に連動して点滅させる制御部17を備えている。また、車両10は、フロントカメラ13が撮影した画像に基づき、先行車両の発光部品16の点滅により表示されたパターンを取得する処理部18を備えている。そのため、リアワイパ12を高速で動作しなくても、発光部品16の点滅によるパターン表示を通じた後続車両への情報伝達が可能となる。その結果、パターン表示のためのリアワイパ12の動作音や動きを乗員が煩わしく感じ難くなる。
【0017】
(2)処理部18は、フロントカメラ13の画像に基づき取得したパターンが示す情報を、乗員に通知している。そのため、後続車両の乗員への情報を伝達できる。
(3)発光部品16の点滅を人の目で確認する場合、昼間等の明るい環境下では、発光部品16の光度を大きくする必要がある。しかしながら、発光部品16の光度を大きくすると、それを見た他車両の乗員等がまぶしく感じる虞がある。本実施形態の車両10では、発光部品16の点滅をフロントカメラ13により確認している。そのため、人が見てもまぶしいと感じない程度に、発光部品16の光度を抑えることが可能である。
【0018】
(他の実施形態)
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0019】
<多車両への情報伝達>
上記実施形態の車両10は、発光部品16の点滅により後続車両に情報を伝達するように構成されていた。上記車両10は、次のように構成することで、3台以上の車両間の情報伝達を実施することが可能である。
【0020】
図3に、そうした場合の車両10において処理部18が実行する処理の流れを示す。処理部18は、車両10の走行中、既定の制御周期毎に、図3の処理を繰り返し実行する。
図3の処理を開始すると、処理部18はまずステップS100において、フロントカメラ13が撮影した画像を取り込む。次のステップS110において、処理部18は、取得した画像に基づき、先行車両のリアワイパ12の発光部品16の点滅が映っているか否かを確認する。そして、処理部18は、発光部品16の点滅が確認された場合(S100:YES)にはステップS120に処理を進める。また、処理部18は、発光部品16の点滅が確認されない場合(S110:NO)には、今回の制御周期における処理を終了する。
【0021】
ステップS120に処理を進めると、処理部18はそのステップS120において、フロントカメラ13が撮影した一連の画像に基づき、先行車両の発光部品16の点滅により表示されたパターンを識別する。そして、処理部18は、次のステップS130において、識別したパターンが示す情報を乗員に通知する。さらに処理部18は、続くステップS140において、識別したパターンと同じパターンを表示するように制御部17に指示している。
【0022】
こうした場合の車両10は、自身のリアワイパ12の発光部品16を点滅することで、先行車両が表示したパターンと同じパターンを表示する。これにより、先行車両から自車両に伝達された情報が、更に後続車両にも伝達される。後続車両の処理部18も同様の処理を行えば、更に後続車両の後ろを走行する車両10にも、同じ情報が伝達される。これにより、後続する車両へと順繰りに情報が伝達されるため、多数の車両10への情報伝達が可能となる。
【0023】
<乗員への通知について>
・処理部18が、フロントカメラ13が撮影した一連の画像を、HMI14で高速再生させることで、先行車両の発光部品16の点滅により表示したパターンを乗員に提示するようにしてもよい。この場合のHMI14に表示される画像内では、実際よりも高速でリアワイパ12が動作する。そのため、実際にはリアワイパ12を高速で動作させなくても、発光部品16の点滅により表示されたパターンを残像効果により乗員に認識させることが可能となる。
【0024】
・処理部18が、フロントカメラ13の画像に基づき取得したパターンから、そのパターンが示す情報を読み取って、その読み取った情報を文字や音声等に変換して乗員に通知するようにしてもよい。
【0025】
・車両10の自動走行等の制御に用いる情報を示すパターンを、発光部品16の点滅により表示するようにしてもよい。この場合、表示するパターンが示す情報を乗員に通知する必要がなければ、乗員への通知は省略してもよい。
【0026】
<表示するパターンについて>
・リアワイパ12の動作に連動した発光部品16の点滅により表示するパターンを、順繰りに切替えていき、複数のパターンを繋ぎ合わせて情報を伝達するようにしてもよい。例えばリアワイパ12の往復毎に、パターンとして表示する文字を切替えていき、それらの文字を繋ぎ合わせたものをメッセージとして後続車両に伝達するようにしてもよい。
【0027】
・制御部17が、リアワイパ12の動作に連動した発光部品16の点滅により、文字や画像以外のパターンを表示するようにしてもよい。例えば制御部17が、後続車両に通知する情報を示す2次元コードを上記パターンとして表示するように発光部品16の点滅制御を行うようにしてもよい。この場合の処理部18は、フロントカメラ13の画像に基づき、先行車両の発光部品16の点滅により表示された2次元コードを取得する。そして、処理部18が、取得した2次元コードを解読することで、車両間の情報伝達が可能となる。
【0028】
<発光部品について>
・リアワイパ12に設置する発光部品16の数や配置を、図1とは異ならせるようにしてもよい。
【0029】
・上記車両10では、発光部品16の点滅をフロントカメラ13により確認している。そのため、赤外線発光部品や紫外線発光部品のような、可視光線外の波長の光を発する部品を発光部品16として採用することが可能である。こうした場合、後続車両の乗員等が、発光部品16の点滅を煩わしく感じることが避けられる。
【0030】
<その他>
・発光部品16を車両10のフロントワイパに設置するようにしてもよい。この場合の処理部18は、車両後方を撮影するリアカメラにより、後続車両のフロントワイパに設置された発光部品16の点滅を撮影して、その点滅により表示されたパターンを取得する。
【0031】
・自車両の周囲を撮影するカメラであれば、例えば車両10の全周を撮影するカメラを用いて、周囲の車両10の発光部品16の点滅を撮影するようにしてもよい。
・制御部17及び処理部18はそれぞれ、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェアなどの1つ以上の専用のハードウェア回路又はこれらの組み合わせを含む回路として構成し得る。専用のハードウェアとしては、例えば、特定用途向け集積回路であるASICを挙げることができる。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROMなどのメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリ、すなわち記憶媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。また、制御部17及び処理部18の双方の処理を、単一の回路が実施するように車両10を構成してもよい。
【符号の説明】
【0032】
10 車両
11 リアウィンドウ
12 リアワイパ
13 フロントカメラ
14 HMI
15 駆動部
16 発光部品
17 制御部
18 処理部
図1
図2
図3