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  • 特開-車両 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001237
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60L 58/30 20190101AFI20241225BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
B60L58/30
B60L1/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100717
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】金原 宏
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA03
5H125AC07
5H125AC11
5H125BD02
5H125EE70
(57)【要約】
【課題】自動販売機が安定して稼働できる車両を提供する。
【解決手段】本開示に係る車両10は、燃料電池及び自動販売機1を搭載する。燃料電池は、自動販売機1の非稼働時、かつ、車両10の移動時において、第1の発電量を発電する。燃料電池は、自動販売機1の稼働時において、第2の発電量を発電する。第2の発電量は、第1の発電量と比較して多い。車両10は、並列接続された複数のFCタンク21、及び、複数のFCスタック31を備えてもよい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池及び自動販売機を搭載した車両であって、
前記燃料電池は、前記自動販売機の非稼働時、かつ、前記車両の移動時において、第1の発電量を発電し、
前記燃料電池は、前記自動販売機の稼働時において、第2の発電量を発電し、
前記第2の発電量は、前記第1の発電量と比較して多い、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃料電池及び自動販売機を搭載したサービス提供移動体が開示されている。燃料電池の発生電力により、自動販売機が作動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-056874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者等は、以下の技術的な課題を発見した。
本願発明者等は、自動販売機を搭載した車両を想起した。多くの場合、車両は、サービス提供体と比較して、自動販売機を必要とする複数の地点へ容易に移動できる。また、自動販売機は、サービス提供体と比較して、多量且つ多種多様の商品を販売できる。しかし、自動販売機は、サービス提供体及び車両と比較して、消費電力が大きい。車両が移動した地点において、自動販売機へ電気を供給する電源を、別途要する。そのため、自動販売機が安定して稼働できないおそれがあった。
【0005】
本開示は、上述した課題を鑑みてなされたものであり、自動販売機が安定して稼働できる車両を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る車両は、燃料電池及び自動販売機を搭載した車両であって、前記燃料電池は、前記自動販売機の非稼働時、かつ、前記車両の移動時において、第1の発電量を発電し、
前記燃料電池は、前記自動販売機の稼働時において、第2の発電量を発電し、
前記第2の発電量は、前記第1の発電量と比較して多い。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、自動販売機が安定して稼働できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る車両の一構成例を示す斜視図である。
図2】実施の形態1に係る車両の一構成例のシステム構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態1に係る車両の一変形例のシステム構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0010】
<実施の形態1>
図1から図3を参照して実施の形態1について説明する。図1は、実施の形態1に係る車両の一構成例を示す斜視図である。図2は、図1に示す車両の一構成例のシステム構成を示すブロック図である。図3は、図1に示す車両の一変形例のシステム構成を示すブロック図である。
【0011】
なお、当然のことながら、図1に示した三次元座標は、車両10の構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。通常、UP軸プラス向きが車両10の鉛直上向き、FORWARD軸プラス向きが車両10の前方、RIGHT軸プラス向きが車両10の右側である。
【0012】
図1に示すように、車両10はバックドア10aを備え、バックドア10aは後部開口10bに取り付けられている。車両10は自動販売機1を搭載する。自動販売機1は、後部開口10bに配置されている。バックドア10aが開くと、自動販売機1の正面が後部開口10bから露出する。
【0013】
自動販売機1は、商品例陳列棚1aと、金銭投入部1bと、商品取出口1cと、お釣り取出口1dとを備える。商品例陳列棚1aが、商品例を商品購入希望者に視認させ、商品購入希望者から購入が希望された商品例の入力を取得する。金銭投入部1bが、商品購入希望者から、商品購入に必要な金銭の投入を受ける。すると、商品取出口1cは、商品例陳列棚1aの取得した商品の入力が示す商品を供給される。これによって商品購入希望者は、商品を商品取出口1cから取得できる。また、適宜、商品購入希望者は、商品のお釣りをお釣り取出口1dから取得する。
【0014】
図1に示す商品例陳列棚1aの一例に陳列された商品例は飲料である。自動販売機1が販売する商品は、これに限定されず、多種多様な製品から選択可能である。自動販売機1が販売する商品は、例えば、飲料、食品、切符、チケット等である。食品は、例えば、スナック菓子、アイスクリーム類、氷菓、カップ麺等である。
【0015】
なお、車両10は、適宜、商品在庫を搭載してもよい。商品在庫は、車両10の運転席と、自動販売機1との間に配置される。車両10の運転席と、自動販売機1との間には、商品在庫の他に、作業者が作業するスペースが設けられるとよい。作業者は、スペースにおいて、商品在庫から商品を取り出して自動販売機1へ補充できる。これによって、商品購入希望者による自動販売機1の操作を阻害しないので、自動販売機1の販売を継続し得てよい。
【0016】
また、適宜、自動販売機1の大型化を図ってもよい。自動販売機1は、例えば、車両10の運転席から後部開口10bまでの空間を埋める大きさを有してもよい。このような場合、車両10は、作業者が作業するスペースや商品在庫を有しない。また、車両10の右側側面にスライドドアが設けられている場合、自動販売機1は、車両10内の空間の右側に配置されていてもよい。車両10の右側スライドドアを開くと、自動販売機1は、車両10の右側外方から露出して、商品を販売できる。ここで、商品在庫は、車両10内の空間の左側に配置してもよい。また、自動販売機1と商品在庫との間に、作業者が作業するスペースが設けられるとよい。
【0017】
図2に示すように、車両10は、自動販売機1と、FC(Fuel Cell)タンク2と、FC(Fuel Cell)スタック3と、蓄電池4と、インバータ51と、インバータ52と、モータ6と、トランスアスクル7と、車輪8とを備える。
【0018】
<フロー1>
次に、車両10が移動する場合の電気等のフローについて説明する。なお、本フローでは、自動販売機1は非稼働である。
【0019】
FCタンク2は、水素を貯蔵する。FCタンク2は、適宜、水素をFCスタック3に供給する。FCタンク2は、車両10の走行と、自動販売機1の稼働とに必要な量をFCスタック3に供給可能な貯蔵性能や使用圧力を有するとよい。
【0020】
FCスタック3は、FCタンク2から水素を供給される。FCスタック3は、図示しないエアクリーナ、及びエアコンプレッサを通過した空気を供給される。また、FCスタック3は、上記供給された水素と空気を用いて、直流電流を発生させる。FCスタック3は、第1の発電量を発電する。FCスタック3は、直列に接続された複数の燃料電池セルを含む。FCスタック3は、市販のFCスタックと比較して、直列に接続された複数の燃料電池セルを多く含むとよい。FCスタック3の体積出力密度は、自動販売機1の稼働と、車両10の移動とが可能な大きさであるとよい。FCスタック3の体積出力密度は、市販のFCスタックの体積出力密度と比較して高い傾向にある。また、FCスタック3の体積出力密度は、例えば、390kW/Lであるとよい。FCスタック3の出力密度は、例えば、1.2W/cmであるとよい。なお、FCスタック3は、単一の燃料電池セルであってもよい。
【0021】
蓄電池4は、物質の化学反応等を利用して直流電流を発生する。蓄電池4は、この発生した直流電流をインバータ51に適宜供給する。
【0022】
インバータ51は、FCスタック3及び蓄電池4から供給された直流電流を交流電流に変換する。インバータ51は、この変換した交流電流をモータ6へ供給する。
【0023】
モータ6は、インバータ51から供給された交流電流を用いて、駆動力を発生する。この用いた交流電流の電圧は、例えば、400Vである。モータ6の消費電力は、例えば、200kWである。トランスアスクル7は、車輪8の回転速度が適切になるように、モータ6から供給された駆動力について回転速度や回転方向を調整して、車輪8へ伝達する。これによって、車輪8が回転して、車両10は移動できる。
【0024】
以上より、スポット需要に応じて、自動販売機1が必要とされる地点へ転々と移動できる。自動販売機が必要とされる地点は、例えば、駅前、公園、オフィス街、高速道におけるサービスエリア、野球場、スタジアム、イベント会場、河川敷等である。例えば、車両10は、平日の朝において駅前や公園へ移動し、平日の昼においてオフィス街へ移動できる。また、車両10は、平日の昼又は夕方においてオフィス街、公園、駅前へ移動し、平日の夜から翌日の朝において高速道におけるサービスエリアへ移動できる。また、車両10は、休日において野球場や河川敷へ移動できる。車両10が移動した地点において、スポット需要が高まっているので、自動販売機1が多量の商品を販売できてよい。従って、自動販売機1の稼働率を高めて、収益率向上を図ることができる。
【0025】
<フロー2>
次に、自動販売機1が稼働する場合の電気等のフローについて説明する。なお、本フローでは、車両10は停止している。
【0026】
FCスタック3の発電量を除いて、車両10が移動する場合の電気等のフローと同様に、FCタンク2、FCスタック3及び蓄電池4が作動する。FCスタック3は、第2の発電量を発電する。第2の発電量は、上記した第1の発電量と比較して多い。
【0027】
インバータ51は、FCスタック3及び蓄電池4から供給された直流電流を交流電流に変換する。インバータ51は、この変換した交流電流をインバータ52へ供給する。
【0028】
インバータ52は、インバータ51から供給された交流電流の電圧を降下させる。この降下させた交流電流の電圧は、自動販売機1の定格電圧と同じである。交流電流の電圧は、例えば、400Vから100Vまで降下する。インバータ52は、交流電流を自動販売機1へ供給する。
【0029】
自動販売機1は、インバータ52から供給された交流電流を用いて、稼働する。自動販売機1の消費電力は、例えば、300~600kWである。自動販売機1の消費電力は、後述するモータ6の消費電力と比較して高い傾向にある。
【0030】
以上より、FCスタック3は、自動販売機1の稼働時に、第2の発電量を発電する。第2の発電量は、上記した第1の発電量と比較して多い。また、自動販売機1は、車両10に搭載されたFCタンク2、及びFCスタック3由来の交流電力を用いるため、車両10が移動した地点において外部電源を必要とすることが無く、稼働できる。よって、自動販売機1は安定して稼働できる。
【0031】
なお、上記した2つの電気等のフローを同時並行して実施してもよい。これによって、車両10が移動しつつ自動販売機1が稼働できる。すなわち、自動販売機1が、商品、例えば、飲料を冷却しつつ、車両10が目的地点へ移動することができる。また、車両10が目的地点へ到達した後、すぐに自動販売機1が、冷却された飲料を販売できる。
【0032】
<一変形例>
図3に示す車両10Aは、車両10の一変形例である。車両10Aは、図2に示すFCタンク2及びFCスタック3の代わりに、FCタンク21、22、23、FCスタック31、32、33、及び切替スイッチ9を備えるところを除いて、車両10と同じ構成を備える。
【0033】
図3に示すように、FCタンク21、22、23、及びFCスタック31、32、33は、切替スイッチ9に並列して接続されている。なお、車両10Aは、並列接続された複数のFCタンク21、及び、複数のFCスタック31を備えてもよい。
【0034】
FCタンク21、22、23は、FCタンク2と比較して、FCスタック3に供給可能な貯蔵性能や使用圧力が小さくてもよい。FCタンク21、22、23は、市販のFCタンクを用いても構成してもよい。
【0035】
FCスタック31、32、33は、FCスタック3と比較して、体積出力密度が低くてもよい。FCスタック31、32、33の体積出力密度は、例えば、130kW/Lであるとよい。FCスタック31、32、33の出力密度は、例えば、1.20W/cmであるとよい。FCスタック31、32、33は、市販のFCスタックを用いて構成してもよい。
【0036】
切替スイッチ9は、FCスタック31、32、33から交流電流の供給先をインバータ51及びインバータ52の少なくとも1つに切り替える。切替スイッチ9は、FCスタック31、32、33から交流電流の供給先をインバータ51に切り替えた場合、モータ6が駆動力を発生し、トランスアスクル7がこの発生した駆動力を車輪8に伝達する。その結果、車輪8が回転し、車両10が移動する。一方、切替スイッチ9は、FCスタック31、32、33から交流電流の供給先をインバータ52に切り替えた場合、自動販売機1が稼働する。
【0037】
以上より、車両10Aは、車両10と同様に、スポット需要に応じて、自動販売機1が必要とされる地点へ転々と移動できる。自動販売機1は、車両10Aに搭載されたFCタンク21、22、23、及びFCスタック31、32、33由来の交流電力を用いるため、車両10Aが移動した地点において外部電源を必要とすることが無く、稼働できる。よって、自動販売機1は安定して稼働できる。
【0038】
また、FCタンク21、22、23、及びFCスタック31、32、33は、市販品を用いて構成できる。そのため、車両10Aは、車両10と比較して、調達性やコスト低減に優れる。
【0039】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本発明は、上記実施の形態やその一例を適宜組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0040】
10、10A 車両
10a バックドア
10b 後部開口
1 自動販売機
1a 商品例陳列棚
1b 金銭投入部
1c 商品取出口
1d お釣り取出口
2、21、22、23 FCタンク
3、31、32、33 FCスタック
4 蓄電池
51、52 インバータ
6 モータ
7 トランスアスクル
8 車輪
9 切替スイッチ
図1
図2
図3