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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001240
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/029 20120101AFI20241225BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20241225BHJP
   B60T 13/74 20060101ALI20241225BHJP
   B60T 17/22 20060101ALI20241225BHJP
   B60W 10/18 20120101ALI20241225BHJP
   B60W 10/20 20060101ALI20241225BHJP
   B60W 10/04 20060101ALI20241225BHJP
   B60W 40/06 20120101ALI20241225BHJP
   B60T 8/17 20060101ALI20241225BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20241225BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20241225BHJP
   B62D 109/00 20060101ALN20241225BHJP
【FI】
B60W50/029
B62D6/00
B60T13/74 E
B60T17/22 C
B60W10/18
B60W10/20
B60W10/04
B60W40/06
B60T8/17 Z
B62D101:00
B62D113:00
B62D109:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100722
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】519373914
【氏名又は名称】株式会社J-QuAD DYNAMICS
(71)【出願人】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】二宮 和生
(72)【発明者】
【氏名】堀尾 雅信
(72)【発明者】
【氏名】口ノ町 敦史
【テーマコード(参考)】
3D048
3D049
3D232
3D241
3D246
【Fターム(参考)】
3D048BB02
3D048CC49
3D048HH18
3D048HH66
3D048HH67
3D048HH68
3D048HH70
3D048KK07
3D048QQ12
3D048RR01
3D048RR21
3D048RR29
3D049BB02
3D049CC07
3D049HH47
3D049HH48
3D049HH51
3D049KK05
3D049QQ01
3D049RR01
3D049RR09
3D049RR11
3D232CC37
3D232DA04
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3D241AE01
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3D241CC01
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3D241CC17
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3D246JB03
3D246JB05
3D246JB11
3D246JB23
3D246JB32
3D246JB53
3D246MA16
3D246MA37
(57)【要約】
【課題】左右のパーキングブレーキのいずれかに異常が発生した場合に、車両が旋回することを抑制する。
【解決手段】制御装置50は、左右のパーキングブレーキ95の各々についての異常の発生を検出することと、それぞれのパーキングブレーキ95に対して駆動指令が出力された状態であり、且ついずれかのパーキングブレーキ95に異常が発生しているという異常条件が満たされている場合に、パーキングブレーキ95に異常が発生している側の車輪の回転を抑制するように車両100を制御することと、を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の車輪のそれぞれに対応して設けられ、駆動することにより前記車輪を回転不能にするパーキングブレーキを有する車両に適用され、
左右の前記パーキングブレーキの各々についての異常の発生を検出することと、
それぞれの前記パーキングブレーキに対して駆動指令が出力された状態であり、且ついずれかの前記パーキングブレーキに異常が発生しているという異常条件が満たされている場合に、前記パーキングブレーキに異常が発生している側の前記車輪の回転を抑制するように、前記車両における前記パーキングブレーキ以外の機器を制御することと、
を行う
車両の制御装置。
【請求項2】
前記パーキングブレーキが設けられている前記車輪は後輪であり、
前記車両は、左右の前輪の舵角を変更可能なステアリング装置を有し、
左右のうち、前記パーキングブレーキに異常が発生している側を異常側としたとき、
前記異常側の前記後輪の回転を抑制する制御は、前記パーキングブレーキの異常の発生を検出した時点よりも、左右の前記前輪の舵角を前記異常側に向けて大きくする制御である
請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記車両は、左右の前記後輪のそれぞれに対応して設けられた車輪速センサを有し、
左右の前記車輪速センサが検出した車輪速のうちの一方の絶対値が予め定められた規定値以上であり且つ他方の絶対値が前記規定値未満であるという旋回条件が満たされているとともに、前記異常条件が満たされている場合に、前記異常側の前記後輪の回転を抑制する制御を行う
請求項2に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
左右の前記車輪速センサが検出した車輪速のうちの一方の絶対値と他方の絶対値との差が大きいほど、左右の前記前輪の舵角の変更量を大きくする
請求項3に記載の車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されている車両は、駐車用のパーキングブレーキを備えている。パーキングブレーキは、左右の後輪のそれぞれに対応して設けられている。パーキングブレーキは、電動式である。乗員が操作スイッチを操作すると、アクチュエータに駆動電力が供給される。すると、アクチュエータは、パーキングブレーキを駆動する。これにより、後輪は回転不能な状態になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-076490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような車両が坂路でパーキングブレーキを使用して駐車していて、且つ左右のパーキングブレーキのいずれかが故障していると仮定する。このようにいずれかのパーキングブレーキが故障した場合、パーキングブレーキが正常な側の車輪は回転不能である一方で、パーキングブレーキが故障している側の車輪は回転可能である。この場合、正常なパーキングブレーキによって制動されている車輪を軸として車両が自重により旋回してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための車両の制御装置は、左右の車輪のそれぞれに対応して設けられ、駆動することにより前記車輪を回転不能にするパーキングブレーキを有する車両に適用され、左右の前記パーキングブレーキの各々についての異常の発生を検出することと、それぞれの前記パーキングブレーキに対して駆動指令が出力された状態であり、且ついずれかの前記パーキングブレーキに異常が発生しているという異常条件が満たされている場合に、前記パーキングブレーキに異常が発生している側の前記車輪の回転を抑制するように、前記車両における前記パーキングブレーキ以外の機器を制御することと、を行う。
【発明の効果】
【0006】
上記構成では、左右のパーキングブレーキのいずれかに異常が発生した場合において、車両が旋回することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、車両の概略構成図である。
図2図2は、舵角の説明図である。
図3図3は、対処処理の処理手順を表したフローチャートである。
図4図4は、車両が登坂路に位置している様子を表した模式図である。
図5図5は、車両が旋回する様子を表した模式図である。
図6図6は、前輪を転舵させた様子を表した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、車両の制御装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。
<車両の全体構成>
図1に示すように、車両100は、当該車両100の駆動源90を備えている。車両100の駆動源90の一例は、内燃機関である。車両100の駆動源90の他の一例は、モータジェネレータである。車両100の駆動源90が出力する駆動力は、駆動輪である後輪82へと伝達される。
【0009】
車両100は、4つのサービスブレーキ92を備えている。サービスブレーキ92は、前後左右の4つの車輪のそれぞれに対応して設けられている。サービスブレーキ92は、油圧式である。すなわち、サービスブレーキ92は、油圧に応じて動作することで、各車輪を制動する。サービスブレーキ92は、例えばディスクブレーキである。
【0010】
車両100は、2つのパーキングブレーキ95を備えている。パーキングブレーキ95は、左右の後輪82のそれぞれに対応して設けられている。パーキングブレーキ95は、電動式である。パーキングブレーキ95は、ブレーキシューと、アクチュエータ96とを備えている。ブレーキシューは、後輪82と一体回転するブレーキドラムの内側に位置している。アクチュエータ96は、モータと、減速ギア機構と、を備えている。アクチュエータ96は、モータの駆動に応じて、ブレーキシューをブレーキドラムに押し付けたり、ブレーキシューをブレーキドラムから遠ざけたりする。ブレーキシューは、ブレーキドラムに押し付けられると後輪82を回転不能にする。この状態は、パーキングブレーキ95のオン状態である。一方、ブレーキシューがブレーキドラムから離れると、後輪82は回転可能になる。この状態は、パーキングブレーキ95のオフ状態である。
【0011】
車両100は、ステアリングシステム10を備えている。ステアリングシステム10は、ハンドル11と、入力軸12と、出力軸13と、転舵シャフト14と、調整装置15と、転舵装置16と、変換機構17と、を備えている。ハンドル11は、入力軸12と一体回転する。入力軸12は、調整装置15を介して出力軸13に連結している。出力軸13は、変換機構17を介して転舵シャフト14に連結している。変換機構17は、出力軸13の回転動作を転舵シャフト14の直線動作に変換する。転舵シャフト14の両端は、タイロッドを介して左右の前輪81に連結している。ハンドル11の動作に応じて転舵シャフト14が動作すると、左右の前輪81の舵角Fが変わる。
【0012】
車両100が直進するときの前輪81の角度位置を中立位置Lと呼称する。また、前輪81のうち、車両100の上面視において当該前輪81の中心軸線81Vよりも前方に位置する部位を前寄り部位81Aと呼称する。図1及び図2では、前寄り部位81Aを斜線で示している。図2に示すように、前輪81の舵角Fは、中立位置Lに対する、前寄り部位81Aの角度位置Mの傾斜角である。
【0013】
図1に示すように、調整装置15は、入力軸12と出力軸13との間に位置している。調整装置15は、モータを備えている。モータが駆動すると、出力軸13が入力軸12に対して相対回転する。この相対回転により、ハンドル11の回転角Hに対する前輪81の舵角Fの比を調整できる。
【0014】
転舵装置16は、モータ16Aと、伝達機構16Bと、を備えている。モータ16Aは、伝達機構16Bを介して転舵シャフト14に連結している。伝達機構16Bは、モータ16Aの回転動作を転舵シャフト14の直線動作に変換する。そのため、モータ16Aの駆動に応じて転舵シャフト14が直線動作すると、左右の前輪81の舵角Fが変わる。転舵装置16は、ステアリング装置を構成している。以上のステアリングシステム10の構成からわかるように、本実施形態において、前輪81は転舵可能であるものの後輪82は転舵不能である。
【0015】
車両100は、制御装置50を備えている。制御装置50は、処理回路を備えたコンピュータである。処理回路は、CPUと、メモリと、を備えている。メモリは、CPUが実行するべき処理が記述された各種のプログラムと、CPUがプログラムを実行する上で必要な各種のデータと、を予め記憶している。CPUは、メモリが記憶しているプログラムを実行することにより、駆動系制御部51、ブレーキ制御部52、ステア制御部53、及びアプリ実行部54として機能する。すなわち、制御装置50は、機能部として、駆動系制御部51と、ブレーキ制御部52と、ステア制御部53と、アプリ実行部54と、を備えている。これらの各機能部は、それぞれ専用の処理を行うとともに互いに情報を授受する。なお、これらの各機能部が行う処理を別々の制御装置によって実現してもよい。
【0016】
駆動系制御部51は、車両100の駆動源90を制御する。ブレーキ制御部52は、各パーキングブレーキ95と各サービスブレーキ92とを制御する。ステア制御部53は、調整装置15と転舵装置16とを制御する。アプリ実行部54は、メモリが記憶しているアプリケーションを実行することで、駆動系制御部51、ブレーキ制御部52、及びステア制御部53に対して車両100に関する運動要求を出力する。アプリケーションはプログラムの一種である。アプリケーションの一例は、ADアプリケーションである。ADアプリケーションは、車両100を自律的に走行させる自動運転機能を実現する。
【0017】
車両100は、情報検出機器として、2つの電流センサ72と、4つの車輪速センサ73と、ヨーレートセンサ74と、ハンドル角センサ75と、位置取得器76と、カメラ77と、を備えている。電流センサ72は、2つのパーキングブレーキ95のそれぞれに対応して設けられている。図1では、2つの電流センサ72のうちの1つを代表で示している。電流センサ72は、パーキングブレーキ95におけるアクチュエータ96のモータに流れる電流値(以下、モータ電流値Aと記す。)を検出する。車輪速センサ73は、前後左右の車輪のそれぞれに対応して設けられている。図1では、4つの車輪速センサ73のうちの1つを代表で示している。車輪速センサ73は、車輪の回転速度である車輪速Sを検出する。車輪速センサ73は、車両100が前進する場合に正の値、車両100が後進する場合を負の値を検出する。なお、車輪速センサ73は、車両100の進行方向にかかわらず常に正の値を検出してもよい。ヨーレートセンサ74は、車両100のヨーレートYを検出する。ハンドル角センサ75は、ハンドル11の回転角Hを検出する。位置取得器76は、車両100の現在位置座標Gに関する情報を全球測位衛星から取得する。カメラ77は、車両100の周囲の撮像情報Jを取得する。各情報検出機器は、自身が検出したり取得したりした情報を制御装置50に繰り返し出力する。そして、制御装置50は、各情報検出機器からの情報を繰り返し取得する。
【0018】
車両100は、スタートスイッチ78と、パーキングスイッチ79と、を備えている。スタートスイッチ78は、イグニッションスイッチ又はシステム起動スイッチと呼称されることもある。スタートスイッチ78は、制御装置50のメインシステムを起動するためのスイッチである。スタートスイッチ78は、乗員の操作に応じてオン又はオフになる。スタートスイッチ78がオンである場合、制御装置50は起動状態にある。スタートスイッチ78がオフである場合、制御装置50は基本的には停止状態にある。ただし、スタートスイッチ78がオフである場合でも、制御装置50のうちの一部の機能部は、必要に応じて処理を継続可能である。パーキングスイッチ79は、パーキングブレーキ95の動作状態を切り替えるためのスイッチである。パーキングスイッチ79は、乗員の操作に応じてオン又はオフになる。
【0019】
<ブレーキ制御部の機能>
ブレーキ制御部52は、パーキングスイッチ79の操作状態に応じてパーキングブレーキ95の動作状態を切り替える。ブレーキ制御部52は、パーキングスイッチ79がオンに操作された場合、各パーキングブレーキ95のアクチュエータ96に対して駆動指令を出力する。駆動指令は、パーキングブレーキ95をオフ状態からオン状態へ切り替えることを指示する指令である。ブレーキ制御部52が駆動指令を出力すると、パーキングブレーキ95が駆動する。すなわち、パーキングブレーキ95では、アクチュエータ96のモータに電流が流れる。それとともに、アクチュエータ96が動作することでブレーキシューがブレーキドラムに押し付けられる。このことにより、パーキングブレーキ95は、後輪82を回転不能にする。すなわち、パーキングブレーキ95はオン状態になる。ブレーキ制御部52は、例えばモータ電流値Aに基づいて、パーキングブレーキ95の切替状態を把握できる。
【0020】
ブレーキ制御部52は、パーキングスイッチ79がオフに操作された場合、各パーキングブレーキ95のアクチュエータ96に対して解除指令を出力する。解除指令は、パーキングブレーキ95をオン状態からオフ状態へ切り替えることを指示する指令である。ブレーキ制御部52が解除指令を出力すると、パーキングブレーキ95が解除される。すなわち、パーキングブレーキ95では、アクチュエータ96のモータに電流が流れる。それとともに、アクチュエータ96が動作することでブレーキシューがブレーキドラムから離れる。このことで、パーキングブレーキ95は、後輪82の回転可能にする。すなわち、パーキングブレーキ95はオフ状態になる。
【0021】
ブレーキ制御部52は、アプリ実行部54からの運動要求に基づいて駆動指令を出力したり解除指令を出力したりすることもある。
ブレーキ制御部52は、パーキングブレーキ95をオフ状態からオン状態に切り替える際、パーキングブレーキ95における異常の有無を監視する。具体的には、ブレーキ制御部52は、駆動指令を出力するとモータ電流値Aを監視する。そして、ブレーキ制御部52は、モータ電流値Aが閾値以下の状態が所定時間継続する場合、パーキングブレーキ95の異常の発生を検出する。閾値は、アクチュエータ96のモータが正常時のトルクを出力できていないことを把握できる値として実験等で予め定められている。所定時間は、電流値の異常状態がノイズ等の一時的なものではなく明らかに持続していると判断できる値として実験等で予め定められている。本実施形態のブレーキ制御部52は、実質的に、駆動指令を出力したもののパーキングブレーキ95がオン状態に切り替わらない状況を異常として検出する。ブレーキ制御部52は、左右のパーキングブレーキ95の各々についての異常の有無を個別に監視する。ブレーキ制御部52は、パーキングブレーキ95における異常の発生を検出した場合、異常フラグをオフからオンに切り替える。異常フラグは、パーキングブレーキ95毎に用意されている。なお、ブレーキ制御部52は、パーキングブレーキ95における異常の発生を検出した場合、車室内に設けられている報知ランプを点灯させる。
【0022】
<対処処理>
ステア制御部53は、ブレーキ制御部52が各パーキングブレーキ95に対して駆動指令を出力すると、各パーキングブレーキ95がオン状態に切り替わるまでの間、異常条件が満たされたか否かの判定を繰り返す。異常条件は、ブレーキ制御部52によって各パーキングブレーキ95に対して駆動指令が出力された状態であり、且つ左右のパーキングブレーキ95のいずれかに異常が発生していることである。駆動指令が出力された状態とは、駆動指令の出力が行われたという状態を意味する。そして、ステア制御部53は、ブレーキ制御部52が一旦駆動指令を出力した後は、その後に駆動指令の出力が途絶えたとしても次にブレーキ制御部52が解除指令を出力するまでは、駆動指令が出力された状態として取り扱う。すなわち、異常条件における、各パーキングブレーキ95に対して駆動指令が出力された状態という要件は、ブレーキ制御部52が各パーキングブレーキ95に対して駆動指令を出力してから解除指令を出力するまでの期間という要件に相当する。ステア制御部53は、ブレーキ制御部52が設定する異常フラグを参照することで、パーキングブレーキ95における異常の発生を把握できる。ステア制御部53は、異常条件が満たされた場合、「左」と「右」のうち、パーキングブレーキ95の異常が発生している側を異常側として特定する。また、ステア制御部53は、異常側とは反対側を正常側として特定する。その上で、ステア制御部53は、対処処理を開始する。対処処理は、左右のパーキングブレーキ95のうちのいずれかに異常が発生したときの、当該異常に対する対処のための処理である。
【0023】
図3に示すように、ステア制御部53は、対処処理を開始すると、先ずステップS10の処理を実行する。ステップS10において、ステア制御部53は、旋回条件が満たされているか否かを判定する。旋回条件は、第1車輪速センサが検出した車輪速Sの絶対値が規定値SK以上であり、且つ第2車輪速センサが検出した車輪速Sの絶対値が規定値SK未満であることである。第1車輪速センサは、異常側の後輪82の車輪速Sを検出する車輪速センサ73である。第2車輪速センサは、正常側の後輪82の車輪速Sを検出する車輪速センサ73である。規定値SKは、車両100の旋回を把握できる値として実験等で予め定められている。車両100の旋回については後述の実施形態の作用の欄で説明する。ステア制御部53は、第1車輪速センサと第2車輪速センサとの最新の検出情報に基づいて、旋回条件が満たされているか否かを判定する。ステア制御部53は、旋回条件が満たされていない場合、ステップS100に処理を進める。
【0024】
ステップS100において、ステア制御部53は、対処処理を開始してからの経過時間が設定時間に至ったか否かを判定する。設定時間は、車両100が旋回しないことが明らかであると判断できる時間の長さとして実験等で予め定められている。ステア制御部53は、対処処理を開始してから未だ設定時間が経過していない場合(ステップS100:NO)、ステップS10の処理に戻る。そして、ステア制御部53は、ステップS10の処理を再度実行する。これらステップS10及びステップS100に関して、ステア制御部53は、旋回条件が満たされることなく設定時間が経過した場合(ステップS10:NO、ステップS100:YES)、その時点で対処処理を終了する。一方、ステア制御部53は、設定時間が経過する前に(ステップS100:NO)旋回条件が満たされた場合(ステップS10:YES)、処理をステップS20に進める。
【0025】
ステップS20において、ステア制御部53は、旋回抑制制御を行うための制御情報を算出する。旋回抑制制御は、異常側の後輪82の回転を抑制するための制御である。本実施形態の旋回抑制制御は、転舵装置16を制御対象として行われる制御である。ここで、ステア制御部53は、対処処理の実行中は、舵角Fの正負を次のルールの下で取り扱う。すなわち、ステア制御部53は、中立位置Lをゼロ度とし、中立位置Lに対して異常側を正の値、中立位置Lに対して正常側を負の値として取り扱う。この取り扱いの下、ステア制御部53は、旋回抑制制御では、パーキングブレーキ95の異常の発生を検出した時点よりも、左右の前輪81の舵角Fを異常側に向けて大きくする。パーキングブレーキ95の異常の発生を検出した時点の前輪81の舵角Fは、ステップS20の実行時点の前輪81の舵角Fと略同じである。ここで、パーキングブレーキ95の異常の発生を検出した時点の前輪81の角度位置を基準位置と呼称する。ステア制御部53は、旋回抑制制御では、基準位置に対して、前輪81の前寄り部位81Aを異常側へ転舵させることになる。
【0026】
さて、旋回抑制制御を行うための制御情報は、具体的には、転舵装置16におけるモータ16Aの目標回転量と目標回転方向である。ステア制御部53は、これらの制御情報の算出にあたり、先ず速度差ΔSを算出する。速度差ΔSは、第1車輪速センサが検出した車輪速Sの絶対値と、第2車輪速センサが検出した車輪速Sの絶対値と、の差の絶対値である。ステア制御部53は、第1車輪速センサと第2車輪速センサとの最新の検出情報に基づいて速度差ΔSを算出する。ステア制御部53は、速度差ΔSを算出すると目標回転量を算出する。ステア制御部53が目標回転量を算出する前提として、制御装置50のメモリは、転舵マップを予め記憶している。転舵マップは、次の2つの変数の対応関係を表したものである。一方の変数は、左右の後輪82における回転速度の絶対値の差、すなわち上記速度差ΔSである。他方の変数は、必要転舵量ΔFである。必要転舵量ΔFは、異常側の後輪82の回転ひいては車両100の旋回を止める上で必要な、前輪81の舵角Fの変更量である。必要転舵量ΔFは、前輪81を基準位置から異常側へ転舵させることを前提にしたものである。速度差ΔSも必要転舵量ΔFも正の値をとる。転舵マップでは、速度差ΔSが大きいほど、必要転舵量ΔFが大きくなっている。ステア制御部53は、この転舵マップを利用して制御情報を算出する。具体的には、ステア制御部53は、上で算出した最新の速度差ΔSを転舵マップに適用する。そして、ステア制御部53は、転舵マップに基づいて、最新の速度差ΔSに対応する必要転舵量ΔFを算出する。そして、ステア制御部53は、算出した必要転舵量ΔFを、予め定められた関係式に基づいて、モータ16Aの回転量に換算する。ステア制御部53は、変換したモータ16Aの回転量を目標回転量として算出する。ステア制御部53は、目標回転量を算出すると、モータ16Aの目標回転方向を定める。ここで、本実施形態では、モータ16Aの回転方向と前輪81の転舵とが次のような対応関係にある。いま、前輪81が中立位置Lにあるとする。このとき、モータ16Aが第1方向に回転すると、前輪81の前寄り部位81Aが中立位置Lに対して左に転舵する。一方、モータ16Aが第1方向とは逆方向である第2方向に回転すると、前輪81の前寄り部位81Aが中立位置Lに対して右に転舵する。制御装置50のメモリは、モータ16Aの回転方向と前輪81の転舵とのこうした対応関係を予め記憶している。この対応関係を踏まえ、ステア制御部53は、異常側に前輪81が転舵するようにモータ16Aの目標回転方向を定める。すなわち、ステア制御部53は、異常側が「左」である場合、目標回転方向を第1方向に定める。一方、ステア制御部53は、異常側が「右」である場合、目標回転方向を第2方向に定める。ステア制御部53は、モータ16Aの目標回転量と目標回転方向とを定めると、処理をステップS30に進める。
【0027】
ステップS30において、ステア制御部53は、ステップS20で算出した制御情報に基づいて旋回抑制制御を実行する。すなわち、ステア制御部53は、ステップS20で定めた目標回転方向へ向けて目標回転量だけモータ16Aが回転するようにモータ16Aを制御する。この後、ステア制御部53は、処理をステップS40に進める。
【0028】
ステップS40において、ステア制御部53は、停止条件が満たされたか否かを判定する。停止条件は、第1車輪速センサが検出した車輪速Sの絶対値が規定値SK未満であり、且つ第2車輪速センサが検出した車輪速Sの絶対値が規定値SK未満であることである。ステア制御部53は、第1車輪速センサと第2車輪速センサとの最新の検出情報に基づいて、停止条件が満たされているか否かを判定する。ステア制御部53は、停止条件が満たされていない場合(ステップS40:NO)、ステップS20の処理に戻る。この場合、ステア制御部53は、ステップS20、ステップS30、及びステップS40の処理を再度実行する。ステア制御部53は、停止条件が満たされるまでステップS20、ステップS30、及びステップS40の処理を繰り返す。そして、ステア制御部53は、停止条件が満たされると(ステップS40:YES)、対処処理を終了する。なお、対処処理の開始後に初めて処理がステップS40に進んだ時点で停止条件が満たされていることもある。この場合、ステア制御部53はその時点で対処処理を終了する。
【0029】
ここで、パーキングスイッチ79がオンに操作される状況は、乗員が車両100の使用を終えてスタートスイッチ78をオフに操作する直前であることが多い。このこととの関連で、対処処理の実行途中にスタートスイッチ78がオフに操作されることもある。この場合、ステア制御部53は、次のように機能する設定にある。すなわち、ステア制御部53は、対処処理を終了するまでは起動を継続して当該対処処理の一連の処理を行う。そして、ステア制御部53は、対処処理を終了すると、処理を行わない停止状態になる。ステア制御部53と同様、ブレーキ制御部52は、ステア制御部53が対処処理を終了するまでは自身の処理を継続する。
【0030】
なお、ステア制御部53は、次の場合には対処処理の実行途中で当該対処処理を終了する。すなわち、ステア制御部53は、対処処理の実行途中でブレーキ制御部52によって解除指令が出力された場合、その点で対処処理を終了する。この場合、ステア制御部53は、乗員又はアプリケーションから要求される別の処理に移行する。
【0031】
<実施形態の作用>
いま、図4に示すように、車両100が、相応に勾配の大きい登坂路に位置しているとする。そして、この登坂路において、乗員が車両100を駐車すべくパーキングスイッチ79をオンに操作したとする。すると、ブレーキ制御部52は、各パーキングブレーキ95に対して駆動指令を出力する。このとき、図5に示すように、左右のパーキングブレーキ95のうち、左側のパーキングブレーキ95は正常に作動したものの、右側のパーキングブレーキ95には異常が発生していて当該パーキングブレーキ95は正常に作動しなかったとする。この場合、図5の一点鎖線で示す右側の後輪82は、パーキングブレーキ95によって制動されない状態になる。このとき、仮に何の対処もしなければ、図5の二点鎖線で示すように、車両100は、正常側である左側の後輪82を軸として右方向に旋回する。
【0032】
こうした旋回を防ぐべく、本実施形態のステア制御部53は、対処処理を通じて旋回抑制制御を行う。すなわち、図6に示すように、ステア制御部53は、転舵装置16を制御することで左右の前輪81の前寄り部位81Aを基準位置に対して右側へ転舵させる。そして、ステア制御部53は、左右の前輪81の舵角Fを右側に向けて大きくする。左右の前輪81を右側に向けて転舵させると、車両100には異常旋回方向とは反対方向に向かう力が作用する。異常旋回方向は、正常側の後輪82を軸として車両100が旋回しようとする方向である。異常旋回方向とは反対方向に向かう力が車両100に作用することで、車両100の旋回を防ぐことができる。なお、対処処理に関して、ステア制御部53は、ステップS20、ステップS30、及びステップS40の処理を繰り返すことで、車両100の旋回が収まるまで前輪81の舵角Fを微調整する。これに伴い、前輪81の舵角Fは、車両100の旋回を防ぐ上での最適な位置になる。
【0033】
<実施形態の効果>
(1)上記実施形態の作用に記載したとおり、本実施形態では、左右のパーキングブレーキ95のいずれかに異常が発生した場合に前輪81を転舵させることで、車両100の旋回を防ぐことができる。
【0034】
(2)左右のパーキングブレーキ95のいずれかに異常が発生した場合であっても、例えば路面勾配が緩やかな場合等では、車両100が旋回しないこともあり得る。車両100が旋回しないのであれば、回転抑制制御を実行する必要はない。そこで、本実施形態では、ステップS10の処理を通じて実際に車両100が旋回し始めたことを把握した上で回転抑制制御を行う。このようにすれば、不必要に旋回抑制制御を行ってしまうことを防止できる。そしてそれにより、旋回抑制制御の実行に伴う制御装置50の処理負担、及び旋回抑制制御の実行に伴う転舵装置16の電力消費をなくすことができる。
【0035】
(3)旋回抑制制御を行うにあたり、仮に前輪81の舵角Fの変更量が小さ過ぎすると、車両100の旋回を止められない。一方で、前輪81の舵角Fの変更量が大きすぎると、異常旋回方向とは反対方向に車両100を旋回させてしまうおそれがある。本実施形態では、異常旋回方向への車両100の旋回量に見合った分だけ前輪81の舵角Fを変更する。したがって、車両100の旋回を適切に止めることができる。
【0036】
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0037】
・パーキングブレーキ95の異常の検出の仕方は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、モータ電流値Aが予め定められた上限値よりも大きい場合に、パーキングブレーキ95に異常が生じていると判断してもよい。例えば、モータ電流値Aの微分値といった、モータ電流値Aの推移を反映した変数を利用してパーキングブレーキ95の異常を検出してもよい。モータ電流値A以外の変数を利用してパーキングブレーキ95の異常を検出してもよい。パーキングブレーキ95の異常を検出する上での、モータ電流値A以外の変数として、例えば、アクチュエータ96のモータの温度を採用してもよい。そして、モータの温度が許容範囲から外れている場合に、パーキングブレーキ95に異常が生じていると判断してもよい。この場合、モータの温度を検出する温度センサを車両100に設けておけばよい。パーキングブレーキ95の異常の検出の仕方は、パーキングブレーキ95がオン状態に切り替わらない状況を検出できるものに限らず、パーキングブレーキ95が正常ではないことを判断できるものであればよい。
【0038】
・パーキングブレーキ95における異常の有無を監視する期間は、パーキングブレーキ95のオフ状態からオン状態への切り替え時に限らない。例えば、スタートスイッチ78がオンであるときに、パーキングブレーキ95の異常の有無を常に監視してもよい。
【0039】
・旋回抑制制御で前輪81を転舵させるにあたり、速度差ΔSが大きいほど前輪81の舵角Fの変更量を大きくすることは必須ではない。例えば、速度差ΔSの大小にかかわらず、前輪81に許容される最大の角度位置まで前輪81を転舵させてもよい。例えば、路面勾配がある程度小さい場合等では、こうした対処の仕方で車両100の旋回を防ぐこともできる。
【0040】
・旋回抑制制御で前輪81を転舵させるにあたり、車輪速センサ73の検出情報を用いて前輪81の舵角Fの変更量を定めることは必須ではない。例えば、ヨーレートセンサ74の検出情報に基づいて前輪81の舵角Fの変更量を定めてもよい。この場合、車両100のヨーレートYがゼロになるように前輪81の舵角Fの変更量を定めることが考えられる。
【0041】
・ステップS10の処理を廃止してもよい。すなわち、旋回条件が満たされているか否かにかかわらず、異常条件が満たされた時点で旋回抑制制御を実行してもよい。例えば、異常条件が満たされた時点で、上記変更例のように、前輪81に許容される最大の角度位置まで前輪81を転舵させてもよい。
【0042】
・ステップS30の旋回抑制制御で制御対象とするステアリング装置として、転舵装置16に代えて、調整装置15を利用してもよい。そして、調整装置15を制御することで、前輪81の舵角Fを異常側に向けて大きくしてもよい。
【0043】
・上記変更例のように、旋回抑制制御で制御対象とする機器(以下、対象機器と記す。)を上記実施形態のものから変更する場合、それに合わせて、ステップS20で算出する制御情報を変更すればよい。
【0044】
・旋回抑制制御の対象機器は、左右の前輪81の舵角Fを変更可能なステアリング装置に限定されない。対象機器は、異常側の後輪82の回転を抑制できる機器であってパーキングブレーキ95以外の機器であればよい。そして、旋回抑制制御で行う制御の内容は、前輪81を転舵させるものに限定されない。旋回抑制制御では、後輪82の回転を抑制できればよい。例えば、車両100にハンドルロック装置を搭載してもよい。そして、対象機器として、ハンドルロック装置を採用してもよい。ハンドルロック装置は、左右の前輪81を中立位置Lで固定する装置である。旋回抑制制御では、この装置を作動させることで、前輪81をゼロ度に固定してもよい。前輪81が転舵しなければ、左右のパーキングブレーキ95のいずれかに異常が生じたときでも、車両100が旋回することはない。対象機器として、例えば、車両100の駆動源90を採用してもよい。そして、旋回抑制制御では、車両100の駆動源90の駆動力を後輪82に付与することで異常側の後輪82の回転を抑制してもよい。車両100のスタートスイッチ78がオンの状況下であれば、車両100の駆動源90が駆動中であることから、車両100の駆動源90は対象機器として機能し得る。対象機器として、例えば、サービスブレーキ92を採用してもよい。そして、旋回抑制制御では、異常が生じたパーキングブレーキ95が制動対象とする後輪82に制動力を付与してもよい。サービスブレーキ92によって前後左右の全ての車輪に制動力を付与してもよい。
【0045】
・対象機器として例えばハンドルロック装置を採用する場合等、対象機器によっては、対処処理においてステップS40の処理が不要なこともある。こうした場合には、ステップS40の処理を廃止し、旋回抑制制御の終了とともに対処処理を終了してよい。
【0046】
・パーキングブレーキ95の構成は、上記実施形態の例に限定されない。パーキングブレーキ95は、電動式のものであり、駆動することにより車輪を回転不能できればよい。
・パーキングブレーキ95が左右の前輪81に対応して設けられているとともに、左右の後輪82が転舵可能に構成されていることもあり得る。この場合、車両100が降坂路に位置している状況下で左右のパーキングブレーキ95のいずれかに異常が発生したときに、正常側の前輪81を軸として車両100が旋回し得る。こうした車両100の旋回を防ぐべく、異常条件が満たされたときに回転抑制制御を行ってもよい。この場合の回転抑制制御の内容は、異常側の前輪81の回転を抑制できるものであればよい。
【0047】
・ADアプリケーションは、次のことを実現する内容になっていてもよい。以下では、実際には制御装置50が行う各種処理の内容を、ADアプリケーションを主体として記載する。なお、ここでは、上記実施形態と同様、パーキングブレーキ95が後輪82に対応して設けられているとともに前輪81が転舵可能であるものとする。
【0048】
ADアプリケーションは、車両100の走行中、パーキングブレーキ95の異常を常時監視する。そして、ADアプリケーションは、各パーキングブレーキ95に異常が発生していない場合、坂路での駐車を許可する。その一方で、ADアプリケーションは、左右のパーキングブレーキ95のいずれかに異常が発生している場合、坂路での駐車を禁止する。すなわち、ADアプリケーションは、左右のパーキングブレーキ95のいずれかに異常が発生している場合、必ず平坦路で駐車するようにする。ADアプリケーションは、パーキングブレーキ95の異常に応じて平坦路で駐車する場合、カメラ77からの情報を利用して、道路上の縁石に隣接した位置に車両100を停止させる。このとき、ADアプリケーションは、車両100に対して異常側に縁石が位置するようにする。その後、ADアプリケーションは、各パーキングブレーキ95に対して駆動指令を出力するとともに、左右の前輪81を異常側に転舵させて異常側の前輪81を縁石に当てる。これにより、異常側の前輪81を縁石で支持された状態にする。
【符号の説明】
【0049】
16…転舵装置 50…制御装置 73…車輪速センサ 81…前輪 82…後輪 95…パーキングブレーキ 100…車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6