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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012413
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】衣服用ハンガー
(51)【国際特許分類】
   A47G 25/32 20060101AFI20250117BHJP
   A47G 25/36 20060101ALI20250117BHJP
   A47G 25/24 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
A47G25/32 A
A47G25/36 D
A47G25/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115227
(22)【出願日】2023-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】507119629
【氏名又は名称】有限会社オーエムクリエイティブ
(71)【出願人】
【識別番号】000107114
【氏名又は名称】シンコハンガー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】岡本 功
【テーマコード(参考)】
3K099
【Fターム(参考)】
3K099AA01
3K099BA03
3K099CA15
3K099CA25
3K099DA05
(57)【要約】
【課題】フックにより吊持されるハンガー本体を1本の金属製線材により折曲形成した衣服用ハンガーを提供する。
【解決手段】
フックにより吊持されるハンガー本体を1本の金属製線材により折曲形成した衣服用ハンガーにおいて、前記ハンガー本体(12)は、吊持部(12a)の両側から下向き傾斜方向に延設された一対の肩部(12b,12b)と、両肩部から折返して水平方向に延設されることにより相互に突き合わされた対向端部(12d,12d)を有する一対の支持部(12c,12c)を形成しており、前記一対の支持部の対向端部を挿入する継手パイプ(16A)(16B)を設け、該継手パイプを前記支持部の軸方向に摺動不能に固定する摺動阻止手段(17A)(17B)を設けている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フックにより吊持されるハンガー本体を1本の金属製線材により折曲形成した衣服用ハンガーにおいて、
前記ハンガー本体(12)は、吊持部(12a)の両側から下向き傾斜方向に延設された一対の肩部(12b,12b)と、両肩部から折返して水平方向に延設されることにより相互に突き合わされた対向端部(12d,12d)を有する一対の支持部(12c,12c)を形成しており、
前記一対の支持部(12c,12c)の対向端部(12d,12d)を挿入する継手パイプ(16A)(16B)を設け、該継手パイプを前記支持部の軸方向に摺動不能に固定する摺動阻止手段(17A)(17B)を設けて成ることを特徴とする衣服用ハンガー。
【請求項2】
前記継手パイプ(16A)は、前記一対の支持部の対向端部(12d,12d)を挿入させる一対の挿入孔(18,18)と、一対の挿入孔の間に位置して前記対向端部(12d,12d)の端面に当接する当接部(19)を形成しており、前記当接部により前記摺動阻止手段(17A)を構成して成ることを特徴とする請求項1に記載の衣服用ハンガー。
【請求項3】
前記継手パイプ(16B)の両側に隣接して一対の支持部(12c,12c)に固定パイプ(20)を固定状態で外挿しており、前記固定パイプにより前記摺動阻止手段(17B)を構成して成ることを特徴とする請求項1に記載の衣服用ハンガー。
【請求項4】
前記継手パイプ(16B)と固定パイプ(20)を含む一対の支持部(12c,12c)によりズボン掛け部(21)を構成しており、
前記固定パイプ(20)は、一対の支持部(12c,12c)に回動不能に固定され、該固定パイプの外周面に滑り止め手段(20a)を設けており、
前記継手パイプ(16B)は、一対の支持部(12c,12c)の対向端部(12d,12d)に回転自在に外挿されており、
ズボン(22)を半折状態としてズボン掛け部(21)に吊持させたときズボンの半折部が前記滑り止め手段(20a)に係合し、ズボンを半折状態から開いて牽引移動させたときズボン側面のタテ縫い部分(22a)が前記継手パイプ(16B)を回転させるように構成して成ることを特徴とする請求項3に記載の衣服用ハンガー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服用ハンガーに関し、特に、フックにより吊持されるハンガー本体を1本の金属製線材により折曲形成したものに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、先に、ハンガー本体を1本の金属製線材により折曲形成した衣服用ハンガーを提案した(特許文献1)。
【0003】
特許文献1により提案した従来技術に係る衣服用ハンガーは、図1(A)に示すように、フック1と、該フック1により吊持されるハンガー本体2により構成されており、ハンガー本体2は、断面円形とされたアルミニウム等の金属製の線材により全体がほぼ三角形の枠となるように折曲形成されている。
【0004】
これにより、ハンガー本体2は、頂部に位置する吊持部2aの両側から下向き傾斜方向に延設された一対の肩部2b、2bと、両肩部2b、2bを連結する水平方向に延びる支持部2cを形成している。
【0005】
1本の線材によりハンガー本体2を折曲形成する際、図1(B)に示すように、水平方向に延びる支持部2cの両端部を折返すことにより一対の肩部2b、2bが形成され、更に、両肩部2b、2bから線材の両端2E、2Eを水平に折曲することにより相互に突き合わされる吊持部2a、2aが形成される。そこで、一対の吊持部2a、2aは、ジョイント装置3により連結され、同時に、ジョイント装置3にフック1を取付けることにより、衣服用ハンガーが提供される。
【0006】
ジョイント装置3は、図1(C)に示すように、一対の吊持部2a、2aを突き合わせ状態で連結すると共に該吊持部の軸線Xの廻りに回動自在に軸支され、しかも、フック1を前記軸線Xに直交する軸線Yの廻りに回動自在となるように取付け可能とする。
【0007】
図2に示すように、ジョイント装置3は、それぞれプラスチックにより一体成形された固着具4と筒具5により構成されている。
【0008】
前記固着具4は、前記吊持部2a、2aの外周面を巻回することにより狭着するシート状部4aと、該シート状部4aの両側から前記軸線Y方向に延設された半割筒状の半筒部4b、4bを備えている。従って、図2(B)に示すように、突き合わされた吊持部2a、2aに跨ってその外周面にシート状部4aを巻回すると、一対の半筒部4b、4bが合掌される。
【0009】
前記筒具5は、一対の半筒部4b、4bの内部にフック1の基軸部1aを抜け止め状に挿入した状態で、半筒部4b、4bを外側から締結することにより、前記シート状部4aを緊張させることにより吊持部2a、2aの狭着を可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第6152183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、従来技術に係る衣服用ハンガーは、図3に示すような問題を含んでいる。
【0012】
図3(A)に示すように、衣服用ハンガーは、ジャケット等の衣服を肩部2b、2bに搭載した状態で、フック1を固定部材6に引っ掛けて吊るすことにより使用される。この際、衣服による荷重Lが肩部2b、2bに作用する。
【0013】
この際、肩部2b、2bは、フック1の両側から下向き方向に傾斜しているので、前記荷重Lにより、一対の吊持部2a、2aには、相互に離反方向の力Fが作用する。
【0014】
このため、一対の吊持部2a、2aは、図3(B)に示すように、ジョイント装置3のシート状部4aに狭着された突き合わせ状態から、図3(C)に示すように、シート状部4aの内部でずれ動く可能性があり、更には、シート状部4aから抜き出されて脱落するおそれがある。
【0015】
本発明は、このような従来技術における問題を解決した衣服用ハンガーを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そこで、本発明が手段として構成したところは、フックにより吊持されるハンガー本体を1本の金属製線材により折曲形成した衣服用ハンガーにおいて、前記ハンガー本体は、吊持部の両側から下向き傾斜方向に延設された一対の肩部と、両肩部から折返して水平方向に延設されることにより相互に突き合わされた対向端部を有する一対の支持部を形成しており、前記一対の支持部の対向端部を挿入する継手パイプを設け、該継手パイプを前記支持部の軸方向に摺動不能に固定する摺動阻止手段を設けて成る点にある。
【0017】
本発明の第1実施形態によれば、前記継手パイプは、前記一対の支持部の対向端部を挿入させる一対の挿入孔と、一対の挿入孔の間に位置して前記対向端部の端面に当接する当接部を形成しており、前記当接部により前記摺動阻止手段を構成している。
【0018】
本発明の第2実施形態によれば、前記継手パイプの両側に隣接して一対の支持部に固定パイプを固定状態で外挿しており、前記固定パイプにより前記摺動阻止手段を構成している。
【0019】
本発明の第2実施形態において、一対の支持部によりズボン掛け部を構成しており、前記固定パイプは、一対の支持部に回動不能に固定され、該固定パイプの外周面に滑り止め手段を設けており、前記継手パイプは、一対の支持部の対向端部に回転自在に外挿されており、ズボンを半折状態としてズボン掛け部に吊持させたときズボンの半折部が前記滑り止め手段に係合し、ズボンを半折状態から開いて牽引移動させたときズボン側面のタテ縫い部分が前記継手パイプを回転させるように構成している。
【発明の効果】
【0020】
衣服用ハンガーは、ジャケット等の衣服を肩部12b、12bに搭載したとき、衣服の荷重Lにより、フック11の両側で肩部12b、12bに対して下向き傾斜方向の力Fが作用し、支持部12c、12cに対して肩部12b、12bから相互に対向方向の力Pが作用する。この点に関して、本発明によれば、ハンガー本体12を1本の金属製線材を折曲することにより形成した構成において、吊持部12aが1本の線材の連続部分により形成されているので、肩部12b、12bの下向き傾斜方向に作用する力Fを強固に支持することができ、しかも、水平方向に延設された一対の支持部12c、12cが対向端部12d、12dを同軸上で相互に突き合わせているので、対向方向の力Pを強固に支持することができる。そして、摺動阻止手段17A、17Bにより軸方向に固定された継手パイプ16A、16Bを設けているので、対向端部12d、12dを常に同軸上に整列保持されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】従来技術に係る衣服用ハンガーを示し、(A)はハンガーの正面図、(B)は1本の金属製線材からハンガー本体を折曲形成する方法を示す説明図、(C)はジョイント装置の作用を示す説明図である。
図2】従来技術におけるジョイント装置に関し、(A)は固着具によりハンガー本体の吊持部を狭着する前の状態を示す斜視図、(B)は固着具によりハンガー本体の吊持部を狭着した状態を示す斜視図である。
図3】従来技術の問題点に関し、(A)は使用時における衣服の荷重を示す正面図、(B)はジョイント装置の内部で吊持部が突き合わされている状態を示す断面図、(C)はジョイント装置の内部で吊持部がずれ動いた状態を示す断面図である。
図4】本発明の衣服用ハンガーの第1実施形態を示し、(A)はハンガーの正面図、(B)は1本の金属製線材からハンガー本体を折曲形成する方法を示す説明図、(C)はジョイント装置の作用を示す説明図である。
図5】第1実施形態における継手パイプの取付け方法に関し、(A)(B)は取付け中の状態を示す断面図、(C)(D)は取付け後の状態を示す断面図である。
図6】第1実施形態の作用に関し、(A)は使用時における衣服の荷重を示す正面図、(B)は吊持部の状態を示す断面図、(C)は支持部の状態を示す断面図である。
図7】本発明の衣服用ハンガーの第2実施形態を示し、(A)はハンガーの正面図、(B)は継手パイプと固定パイプを示す拡大断面図、(C)はC-C線断面拡大図、(D)はD-D線断面拡大図である。
図8】第2実施形態のズボン掛け部の作用に関し、(A)はズボンを半折して吊持させた状態を示す斜視図、(B)はズボンを開いて牽引移動させた状態を示す斜視図である。
図9】継手パイプと固定パイプの作用に関し、(A)はズボンを半折して吊持させたときの作用を示す断面図、(B)はズボンを開いて牽引移動させたときの作用を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0023】
(第1実施形態)
図4ないし図6は、本発明に係る衣服用ハンガーの第1実施形態を示している。
【0024】
衣服用ハンガーは、図4(A)に示すように、フック11と、該フック11により吊持されるハンガー本体12により構成されており、ハンガー本体12は、断面円形とされたアルミニウム等の金属製の線材により全体がほぼ三角形の枠となるように折曲形成されている。従って、ハンガー本体12は、頂部に位置する吊持部12aの両側から下向き傾斜方向に延設された一対の肩部12b、12bと、両肩部12b、12bを連結する水平方向に延びる支持部12cを形成しており、この点は、上述の従来技術と同様である。
【0025】
しかしながら、本発明は、従来技術に対して、1本の線材によりハンガー本体12を折曲形成する方法が相違し、線材の両端12E、12Eの配置形態が相違している。
【0026】
図4(B)に示すように、ハンガー本体12は、水平姿勢とされる吊持部12aの両側から下向き傾斜方向に延びる一対の肩部12b、12bが形成され、両肩部12b、12bから折返して水平方向に延びる一対の支持部12c、12cが形成され、該支持部12c、12cには、線材の両端12E、12Eを相互に突き合わせた対向端部12d、12dが形成されている。
【0027】
図示実施形態の場合、前記吊持部12aにはジョイント装置13が装着され、該ジョイント装置13にフック11が取付けられる。図4(C)に示すように、ジョイント装置13は、従来技術と同様に、固着具14と筒具5により構成されており、吊持部12aの軸線Xの廻りに回動自在に軸支され、しかも、フック11を前記軸線Xに直交する軸線Yの廻りに回動自在となるように取付けている。
【0028】
しかしながら、本発明の場合、従来技術のように一対の吊持部2a、2aを連結する必要はないので、吊持部12aにフック11を取付けるための手段は、図示のジョイント装置13に限らず、任意の装置を使用することが可能である。
【0029】
図4(A)に示すように、ハンガー本体12は、前記一対の支持部12c、12cの対向端部12d、12dを挿入する継手パイプ16Aを設けており、該継手パイプ16Aを対向端部12dの軸方向に摺動不能に固定する摺動阻止手段17Aを設けている。
【0030】
図5に示すように、前記継手パイプ16Aは、前記一対の支持部12c、12cの対向端部12d、12dを挿入させる一対の挿入孔18、18を形成しており、一対の挿入孔18、18の間に位置して前記対向端部12d、12dの端面(線材の両端12E)に当接する当接部19を形成し、該当接部19により前記摺動阻止手段17Aを構成している。
【0031】
継手パイプ16Aを挿着する際は、ハンガー本体12の線材の可撓性を利用することにより、図5(A)(B)に示すように、対向端部12d、12dを離間させることにより、一方の対向端部12dを一方の挿入孔18に挿入し、その後、図5(C)(D)に示すように、一対の対向端部12d、12dを近接させることにより、他方の対向端部12dを他方の挿入孔18に挿入すれば良い。
【0032】
撓んだ線材の復元力より一対の対向端部12d、12dが近接させられ、図5(D)に示すように、当接部19の両側を挟んで、対向端部12d、12dの端面(線材の両端12E)が当接する。これにより、継手パイプ16Aは、支持部12cの軸方向に摺動を妨げられた状態で、対向端部12d、12dを対向姿勢の状態に保持する。
【0033】
図示実施形態の場合、摺動阻止手段17Aを構成する当接部19は、継手パイプ16Aの挿入孔18の中途部を塞ぐ隔壁により形成されているが、これに限定されるものではなく、挿入孔18の内側に設けた突起や、その他により形成しても良い。
【0034】
(第1実施形態の作用)
図6(A)に示すように、衣服用ハンガーは、ジャケット等の衣服を肩部12b、12bに搭載した状態で、フック11を固定部材6に引っ掛けて吊るすことにより使用される。この際、衣服による荷重Lが肩部12b、12bに作用する。
【0035】
これにより、フック11の両側で肩部12b、12bに対して下向き傾斜方向の力Fが作用し、支持部12c、12cに対して肩部12b、12bから相互に対向方向の力Pが作用する。
【0036】
下向き傾斜方向の力Fに関して、従来技術の場合は、図3(B)(C)に基づいて上述した問題がある。これに対して、本発明の場合は、図6(B)に示すように、ハンガー本体12の吊持部12aが1本の線材の連続部分により形成されているので、肩部12b、12bの下向き傾斜方向に作用する力Fを強固に支持することができ、何ら問題を生じることはない。
【0037】
ところで、一対の対向端部12d、12dは、継手パイプ16Aにより保持されており、該継手パイプ16Aは、当接部19により構成された摺動阻止手段17Aにより軸方向に固定されている。このため、対向方向の力Pに関して、図6(C)に示すように、一対の対向端部12d、12dが同軸上で端面(線材の両端12E)を相互に突き合わされ、これにより、対向方向の力Pを強固に支持することができる。
【0038】
そして、このように、一対の対向端部12d、12dは、継手パイプ16Aにより同軸上に整列保持されているので、力Pに負けることにより対向端部12d、12dが相互に軸線を逸らす方向に偏移動することがなく、好適かつ安定した支持が可能である。
【0039】
(第2実施形態)
図7ないし図9は、本発明に係る衣服用ハンガーの第2実施形態を示している。
【0040】
衣服用ハンガーは、図7(A)に示すように、フック11と、該フック11により吊持されるハンガー本体12により構成されており、ハンガー本体12は、断面円形とされたアルミニウム等の金属製の線材により全体がほぼ三角形の枠となるように折曲形成されている。従って、ハンガー本体12は、頂部に位置する吊持部12aの両側から下向き傾斜方向に延設された一対の肩部12b、12bと、両肩部12b、12bを連結する水平方向に延びる支持部12cを形成している。
【0041】
図4(B)に基づいて説明した第1実施形態の場合と同様に、ハンガー本体12は、水平姿勢とされる吊持部12aの両側から下向き傾斜方向に延びる一対の肩部12b、12bが形成され、両肩部12b、12bから折返して水平方向に延びる一対の支持部12c、12cが形成され、該支持部12c、12cには、線材の両端12E、12Eを相互に突き合わせた対向端部12d、12dが形成されている。
【0042】
前記吊持部12aにはジョイント装置13が装着され、該ジョイント装置13にフック11が取付けられており、この点も第1実施形態と同様である。
【0043】
図7(B)に示すように、ハンガー本体12は、前記一対の支持部12c、12cの対向端部12d、12dを挿入する継手パイプ16Bを設けると共に、該継手パイプ16Bの両側に隣接して一対の固定パイプ20、20を配置している。
【0044】
前記固定パイプ20、20は、支持部12c、12cに対して回転不能かつ摺動不能な固定状態で外挿されており、これにより、継手パイプ16Bを軸方向に摺動不能に固定する摺動阻止手段17Bが構成されている。
【0045】
継手パイプ16Bは、貫通する挿入孔を有し、挿入された対向端部12d、12dの端面(線材の両端12E)を突き合わせて相互に当接させている。そして、継手パイプ16Bは、外径D1を有するアルミニウム等の金属パイプにより形成され、図7(C)に示すように、対向端部12d、12dを遊挿した状態で、該対向端部12d、12dの外周面に沿って回転自在とされている。
【0046】
これに対して、固定パイプ20は、プラスチックやエラストマー等により押出成形されたチューブにより形成され、図7(D)に示すように、支持部12c、12cに密着状態で外挿されることにより固定され、外周面に多数のリブ等から成る滑り止め手段20aを設けている。この際、前記滑り止め手段20aを含む固定パイプ20の外径D2は、継手パイプ16Bの外径D1よりも大きく、D2>D1に形成されている。尚、外径の差は、極僅かなものとされ、(D2-D1)<1mmとするのが好ましい。
【0047】
(第2実施形態の作用)
第2実施形態の衣服用ハンガーは、第1実施形態(図6)と同様に、ジャケット等の衣服を肩部12b、12bに搭載することにより使用され、その際、衣服の荷重Lを受けることにより、フック11の両側で肩部12b、12bに対して下向き傾斜方向の力Fが作用し、支持部12c、12cに対して肩部12b、12bから相互に対向方向の力Pが作用する。
【0048】
1本の線材の連続部分により形成された吊持部12aにより下向き傾斜方向の力Fを強固に支持し、同軸上で突き合せられた一対の対向端部12d、12dにより対向方向の力Pを強固に支持することは、第1実施形態の場合と同様であるから、重複した説明を省略し、上述の説明を援用する。
【0049】
ところで、第2実施形態の場合、一対の支持部12c、12cは、継手パイプ16B並びに固定パイプ20、20を含んで、ズボン掛け部21を構成している。
【0050】
図8(A)に示すように、ズボン22は、ズボン掛け部21を挟んで半折状態とされ、ズボン掛け部21に吊持させられる。尚、一般的に、ズボン22は、側面の中央に、縫い目を有するにタテ縫い部分22aが延設されている。タテ縫い部分(サイドシーム)は、ズボンの前身頃と後身頃を縫い合わせた部分であり、図8に示すように、ズボンの側面の内側に位置して帯状に延びる生地の折返し部22bが設けられている。
【0051】
半折状態で吊持されたズボン22は、図9(A)に示すように、ズボン掛け部21のほぼ全長にわたり荷重Laを作用することにより、半折部の内側面が固定パイプ20、20の滑り止め手段20aに接支させられているので、滑り落ちることはない。つまり、固定パイプ20は回転不能に固定され、滑り止め手段20aによりズボン21の表面に摩擦抵抗を有して接触している。
【0052】
この状態から、ズボン22をズボン掛け部21から離脱して着用する際は、図8(B)に示すように、ズボン22を半折状態から開き、ズボン掛け部21の上を矢印Uで示すように牽引して移動することになる。
【0053】
このとき、ズボン22は牽引方向のテンションが生じるので、図9(B)に示すように、ズボン22の両端近傍部は、固定パイプ20の滑り止め手段20aに対する接触圧力を減じ、あるいは、浮き上がるので、ほとんど摩擦抵抗を生じない。
【0054】
これに対して、ズボン22のタテ縫い部分22aは、折返し部22bにより分厚く形成されているので、下向きにたるんで継手パイプ16Bに接触する。この際、タテ縫い部分22aの牽引移動に追従して継手パイプ16Bが好適に回転するので、ズボン22をスムースに引き出すことができる。
【0055】
このように、第2実施形態によれば、第1実施形態の作用効果に加えて、ズボン掛け部21により、半折状態としたズボン22を滑り落ちないように好適に保持できる一方において、ズボン掛け部21から引き離す際には、スムースに牽引移動することができるという作用効果がある。
【符号の説明】
【0056】
1 フック
1a 基軸部
2 ハンガー本体
2a 吊持部
2b 肩部
2c 支持部
2E 線材の両端
3 ジョイント装置
4 固着具
4a シート状部
4b 半筒部
5 筒具
6 固定部材
11 フック
11a 基軸部
12 ハンガー本体
12a 吊持部
12b 肩部
12c 支持部
12E 線材の両端
12d 対向端部
13 ジョイント装置
14 固着具
15 筒具
16A、16B 継手パイプ
17A、17B 摺動阻止手段
18 挿入孔
19 当接部
20 固定パイプ
20a 滑り止め手段
21 ズボン掛け部
22 ズボン
22a タテ縫い部分
22b 折返し部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9