(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012432
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】液化ガス貯蔵タンク
(51)【国際特許分類】
F17C 13/00 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
F17C13/00 302A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115264
(22)【出願日】2023-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】江上 武史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 啓央
(72)【発明者】
【氏名】菊川 隼輔
(72)【発明者】
【氏名】藤井 真人
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA03
3E172AA05
3E172AA06
3E172AB01
3E172AB04
3E172AB11
3E172AB15
3E172BA06
3E172BB04
3E172BB12
3E172BB17
3E172BD05
3E172DA15
3E172DA17
3E172DA28
3E172DA29
3E172EB03
3E172EB10
3E172EB19
3E172HA02
(57)【要約】
【課題】タンク本体の内部に複数の骨部材が配設されている場合でも、当該タンク本体から低温液化ガスを確実に回収できる液化ガス貯蔵タンクを提供する。
【解決手段】三重殻タンク1は、低温液化ガスを貯留する空間を区画する内壁を有するタンク本体1Tと、タンク本体1T内に配設されタンク屋根を下支えする屋根骨6とを含む。屋根骨6のリング63を構成するリング骨部材63Pは、屋根の内壁との組み合わせにより、下方が開口する一方で上方が閉じたガスの滞留空間71を作る滞留壁7を形成するよう配設されている。リング骨部材63Pの平板部631の頂部63Tには、滞留空間71と当該滞留空間71よりも上方に位置する上方空間72とを連通させるパージ開口64が開設されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温の液化ガスを貯留する空間を区画する内壁を有するタンク本体と、
前記タンク本体内に配設される複数の骨部材と、を含み、
前記複数の骨部材の少なくとも一つは、前記骨部材単体で、他の前記骨部材との組み合わせにより、もしくは前記骨部材と前記内壁との組み合わせにより、下方が開口する一方で上方が閉じたガスの滞留空間を作る滞留壁を形成するよう配設され、
前記滞留壁を構成している前記骨部材の上端またはその近傍には、前記滞留空間と前記タンク本体内の当該滞留空間よりも上方に位置する上方空間とを連通させるパージ開口が開設されている、液化ガス貯蔵タンク。
【請求項2】
請求項1に記載の液化ガス貯蔵タンクにおいて、
前記タンク本体は、円筒状の側板と、前記側板の上面開口を塞ぐ屋根と、前記屋根を下方から支持する屋根骨と、を含み、
前記屋根骨は、前記屋根の中心側から放射状に配設される複数のアーチまたはラフターと、同心状に配設されるリングと、を含み、
前記骨部材は、隣接する前記アーチ間、または前記アーチと前記ラフターとの間に配設され、前記リングを構成するリング骨部材である、液化ガス貯蔵タンク。
【請求項3】
請求項2に記載の液化ガス貯蔵タンクにおいて、
前記屋根はドーム型の形状を有し、
前記リング骨部材は、断面視で前記屋根と交差する方向に延び側面視で上方に凸の円弧形状を有する平板部を含み、当該平板部は前記屋根の球芯方向に傾斜して配設され、
前記パージ開口は、前記円弧形状の平板部の頂部に穿孔されている、液化ガス貯蔵タンク。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の液化ガス貯蔵タンクにおいて、
前記タンク本体に貯留されている第1気体よりも大きい密度を有する第2気体を、前記タンク本体内に供給する供給路と、
前記タンク本体の屋根に設けられ、前記第1気体が滞留した状態の前記タンク本体内に前記第2気体を供給したときに、前記密度の差に基づき前記第1気体を排出する排気路と、をさらに備える液化ガス貯蔵タンク。
【請求項5】
請求項1に記載の液化ガス貯蔵タンクにおいて、
前記タンク本体は、前記骨部材以外の付属物、前記骨部材と前記付属物との組み合わせにより、下方が開口する一方で上方が閉じたガスの滞留空間が作られる滞留領域を含み、
前記滞留領域を構成する前記付属物にパージ開口が開設されている、液化ガス貯蔵タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、低温の液化ガスを貯留する液化ガス貯蔵タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
液化水素や液化天然ガスなどの低温の液化ガスを貯留するタンクは、断熱構造を備えたタンク本体を備える。液化ガス貯蔵タンクとして、多重殻構造を備えた平底タンクが知られている。多重殻タンクとして、内槽と、前記内槽を包囲する中間槽と、前記中間槽を包囲する外槽とを備えた、三重殻構造を備えたタンクが知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
一般に、タンク本体内には、各種の目的で骨部材が配設されている。例えば、上記内槽、中間槽および外槽の屋根の直下には、当該屋根を下支えする屋根骨を構成する骨部材が配設されている。このほか、タンク本体の内部へ作業者が入るための階段や、屋根の施工用に用いられ完工後もタンク本体内に存置される内部デッキ等を構成する骨部材も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、液化ガス貯蔵タンクの検査やメンテナンス、あるいは当該タンクの解体などが行われる場合、それらの作業前に、タンク本体内に残存している低温の液化ガスおよびその気化ガスを完全に回収するパージ作業が実行される。これは、低温の液化ガスから気化する気化ガス並びにタンク本体内においてボイルオフしている気化ガスが無秩序に大気中へ拡散することを防止するためである。タンク本体内に上述の骨部材が配設されている場合、当該骨部材が気化ガスの滞留空間を形成することがある。この場合、上記パージ作業において、タンク本体内から気化ガスを完全に回収できないことが生じ得る。
【0006】
本開示の目的は、タンク本体の内部に複数の骨部材が配設されている場合でも、当該タンク本体から気化ガスを確実に回収できる液化ガス貯蔵タンクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一局面に係る液化ガス貯蔵タンクは、低温の液化ガスを貯留する空間を区画する内壁を有するタンク本体と、前記タンク本体内に配設される複数の骨部材と、を含み、前記複数の骨部材の少なくとも一つは、前記骨部材単体で、他の前記骨部材との組み合わせにより、もしくは前記骨部材と前記内壁との組み合わせにより、下方が開口する一方で上方が閉じたガスの滞留空間を作る滞留壁を形成するよう配設され、前記滞留壁を構成している前記骨部材の上端またはその近傍には、前記滞留空間と前記タンク本体内の当該滞留空間よりも上方に位置する上方空間とを連通させるパージ開口が開設されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、タンク本体の内部に複数の骨部材が配設されている場合でも、当該タンク本体から気化ガスを確実に回収できる液化ガス貯蔵タンクを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の液化ガス貯蔵タンクの一実施形態に係る三重殻タンクを概略的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、タンク屋根を支持する屋根骨を示す平面図である。
【
図3】
図3(A)は、屋根骨を構成する骨部材の一例の断面図、
図3(B)は、アーチ骨部材とリング骨部材との組み立て状態を示す平面図、
図3(C)は、
図3(B)のIIIC-IIIC線断面図である。
【
図4】
図4は、三重殻タンクの通常運用時における内部の状況を示す断面図である。
【
図5】
図5は、三重殻タンクのメンテナンス時等における内部の状況を示す断面図である。
【
図6】
図6は、リング骨部材と外槽屋根との組み合わせで形成される滞留空間を示す断面図である。
【
図7】
図7(A)は、本実施形態に係る骨部材の一例であって、パージ開口を備えたリング骨部材を示す側面図、
図7(B)は、当該リング骨部材を適用した場合のパージ流動を説明図であって、
図7(A)のVIIB-VIIB線断面図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係るリング骨部材が適用された三重殻タンクにおける、タンク本体内でのパージ流動を示す断面図である。
【
図9】
図9は、本開示の液化ガス貯蔵タンクの他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本開示に係る液化ガス貯蔵タンクの実施形態を詳細に説明する。本開示の液化ガス貯蔵タンクは、低温の液化ガスを貯留するタンクであって、地上据え置き式の平底タンクである。貯留される液化ガスは、例えば液化水素、液体ヘリウム、液体窒素、液化天然ガスまたは液化石油ガスなどである。以下の実施形態では、液化ガス貯蔵タンクの一例として、三重殻タンクを例示する。もちろん、本開示の液化ガス貯蔵タンクは三重殻タンク以外の多重殻タンク、平底以外のタンクであっても良い。
【0011】
[液化ガス貯蔵タンクの全体構造]
図1は、本開示の実施形態に係る三重殻タンク1を概略的に示す断面図である。ここでは、低温の液化ガスとして、液化水素LHを貯留する三重殻タンク1を例示する。三重殻タンク1は、図略のタンク基礎の上に立設された外槽2、中間槽3および内槽4を含むタンク本体1Tと、液化水素LHをタンク本体1Tから払い出すための構造体であるポンプバレル5と、タンク本体1T内において液化水素LHに浸漬された状態で設置される潜没式のポンプPと、を備える。
【0012】
タンク本体1Tは、平底円筒型の形態であり、外槽2、中間槽3および内槽4は、いずれも上面視で円形の形状を有し、同心円状に配置されている。内槽4は、実際に液化水素LHを貯留する空間を区画する内壁を備えた槽である。中間槽3は、内側保冷層11を介して内槽4を包囲している。外槽2は、外側保冷層12を介して中間槽3を包囲している。なお、タンク本体1Tは、平底以外の形状を備えるタンク、あるいは地中埋め込み式のタンク等であっても良い。
【0013】
外槽2は、炭素鋼等の金属で構成された密閉体であり、外槽底板21、外槽側板22および外槽屋根23を含む。外槽底板21は、タンク基礎の直上に敷設され、円板型の形状を有している。外槽側板22は、外槽底板21の周縁から立設され、円筒状の形状を有している。外槽屋根23は、円筒状の外槽側板22の上面開口を塞ぐように当該外槽側板22の上端に取り付けられ、ドーム型の形状を有している。
【0014】
中間槽3は、オーステナイト系ステンレス鋼、ニッケル鋼やアルミニウム合金等の低温用鋼で構成された密閉体であり、中間槽底板31、中間槽側板32および中間槽屋根33を含む。中間槽底板31は、外槽底板21よりも径の小さい円板型の形状を有している。中間槽側板32は、中間槽底板31の周縁から立設され、円筒状の形状を有している。中間槽屋根33は、中間槽側板32の上端に取り付けられ、ドーム型の形状を有している。
【0015】
内槽4は、中間槽3と同様な低温用鋼で構成された密閉体であり、内槽底板41、内槽側板42および内槽屋根43を含む。内槽底板41は、中間槽底板31よりも径の小さい円板型の形状を有している。内槽側板42は、内槽底板41の周縁から立設され、円筒状の形状を有している。内槽屋根43は、内槽側板42の上端に取り付けられ、ドーム型の形状を有している。内槽4の内部には液化水素LHが貯留されている。なお、内槽4の上層部は、液化水素LHから気化した水素ガスが溜まった気相部GHとなっている。
【0016】
内槽4と中間槽3との間、並びに中間槽3と外槽2との間には、各々断熱空間として活用される所定幅の間隙が形成されている。内槽4と中間槽3との間隙は内側保冷層11として、中間槽3と外槽2との間隙は外側保冷層12として各々活用されている。内側保冷層11および外側保冷層12には、保冷性を高めるための粉体断熱材が充填されている。前記粉体断熱材としては、例えば粒状パーライトを用いることができる。なお、側板22、32間、並びに側板32、42間における、貯留される液化水素LHの側周囲を取り囲むことになる領域には、前記粒状パーライトに加えてグラスウール等の断熱材を充填しても良い。
【0017】
内側保冷層11および外側保冷層12には、所定のシールガスが充填される。内側保冷層11のシールガスとしては、水素ガスやヘリウムガスを用いることが望ましい。本実施形態では、内槽屋根43に、内槽4の気相部GHと内側保冷層11の空間とを連通させる連通管44が配設されている。従って、内槽4に貯留されている液化水素LHの気化ガスである水素ガスをシールガスとすることができる。また、連通管44の設置により、内側保冷層11の圧力と内槽4の気相圧とを実質的に同一に設定することができる。これにより、内槽4に貯留されている液化水素LHの冷熱による、内側保冷層11のシールガスの液化もしくは固化を抑制できる。外側保冷層12には、水素ガスよりも沸点の高い不活性ガス、例えば窒素ガスがシールガスとして充填される。外側保冷層12へのシールガスの充填により、空気や湿気の侵入を防止できる。
【0018】
ポンプバレル5は、タンク本体1Tを垂直方向に貫通するように設置された円筒体であり、タンク本体1T内の液化水素LHを外部へ払い出す際の導出管である。ポンプバレル5は、液化水素LHが流通する内部空間であるバレル内空間50を有する。ポンプバレル5の下端部51は、タンク本体1Tの内槽底板41付近に配置され液化水素LH内に没入されている。ポンプバレル5の上端部52は、内槽屋根43、中間槽屋根33および外槽屋根23を貫通して、所定高さ位置に配置されている。バレル内空間50は、下端部51と上端部52との間において鉛直方向に延び、ポンプPが通過可能な内径を有している。
【0019】
ポンプPは、ポンプバレル5の下端部51付近のバレル内空間50に収容されている。下端部51の取り入れ開口には、フート弁53が取り付けられている。ポンプPはフート弁53の上に載置された状態で配置されている。ポンプPの自重によってフート弁53が垂下することで、下端部51の前記取り入れ開口が開放された状態となる。ポンプPは、
図1に矢印で示すように、内槽4内の液化水素LHを取り込み、圧力を上げてバレル内空間50へ液化水素LHを送り出す。ポンプバレル5の上端部52付近の側面には、液化水素LHを外部へ払い出す払い出しポート54が突設されている。ポンプPの稼働により、バレル内空間50から払い出しポート54を通して、液化水素LHが払い出される。
【0020】
ポンプバレル5は、タンク本体1Tをパージする際のパージガスの供給路としても利用することができる。三重殻タンク1の検査やメンテナンス、あるいは解体などが行われる場合、それらの作業前に、タンク本体1T内に残存している水素ガスを完全に回収するパージ作業が実行される。この際、水素ガスよりも密度の大きいパージガス、例えば窒素ガスをタンク本体1Tに供給し、密度差を利用して水素ガスをタンク屋根側へ追い込んで排出する。このとき、パージガスを払い出しポート54から供給する。もちろん、ポンプバレル5を用いず、内槽4内にパージガスを供給する別途の供給路を設けても良い。なお、外側保冷層12の空間に対しては、別途のパージガス供給路が確保される。
【0021】
[屋根骨]
図1では記載を省いているが、各槽のタンク屋根を構成している外槽屋根23、中間槽屋根33および内槽屋根43は、屋根骨により下支えされている。
図2は、タンク屋根を下方から支持する屋根骨6を示す平面図である。屋根骨6は、タンク本体1T内に配設される複数の骨部材によって形成され、複数のアーチ61、ラフター62およびリング63を含む。
【0022】
アーチ61は、屋根中心6Aから屋根の径方向外側へ延びる骨部材である。複数本のアーチ61が、屋根の周方向に所定間隔を置いて放射状に配設されている。ラフター62は、隣接するアーチ61間の間隔が比較的広くなる屋根の径方向外側領域において、屋根中心6Aの側から径方向外側に向けて延びるように、一対のアーチ61間に配設される骨部材である。リング63は、複数のアーチ61およびラフター62を繋ぐ円環状の骨部材である。複数の直径の異なるリング63が、同心状に配設されている。アーチ61およびラフター62の外周端は、外槽側板22(もしくは、中間槽側板32、内槽側板42)の上端側に接続されている。アーチ61の内周端は、屋根中心6A付近のリング63に接続されている。また、ラフター62の内周端は、屋根の径方向中央付近のリング63に接続されている。
【0023】
図3(A)は、屋根骨6を構成する骨部材6Pを示す断面図である。アーチ61、ラフター62およびリング63の大部分は、H型の断面形状を有する骨部材6Pによって構成されている。骨部材6Pは、平板部631、上板632および下板633を含む。平板部631は、上板632および下板633と直交する方向に延びる平板である。平板部631は、屋根骨6として組まれた状態では、外槽屋根23、中間槽屋根33または内槽屋根43と断面視で交差する方向、例えば法線方向に延びる平板となる。上板632は平板部631の上端側、下板633は平板部631の下端側に連結され、それぞれ平板部631と直交する方向に延びる平板である。
【0024】
図3(B)は、アーチ61を構成する一対のアーチ骨部材61P(もしくはラフター62を構成するラフター骨部材62Pとアーチ骨部材61P)と、リング63を構成するリング骨部材63Pとの組み立て状態を示す平面図、
図3(C)は、
図3(B)のIIIC-IIIC線断面図である。アーチ骨部材61Pおよびラフター骨部材62Pは、屋根の径方向に所定長さを有し、屋根のドーム形状に沿って湾曲したH型骨部材である。リング骨部材63Pも、ドームの周方向形状に沿って湾曲したH型骨部材である。リング骨部材63Pは、側面視で上方に凸の円弧形状を有する平板部631を備える。上板632および下板633も、平板部631の円弧形状に沿って湾曲している。
【0025】
リング骨部材63Pは、一対のアーチ骨部材61Pの間に架け渡されるように配設されている。リング骨部材63Pの一端側は一方のアーチ骨部材61Pに溶接され、リング骨部材63Pの他端側は他方のアーチ骨部材61Pに溶接されている。リング骨部材63Pの平板部631の両端付近には、溶接線の交差を避ける切り欠きからなるスカラップ63Sが設けられている。なお、リング骨部材63Pは、
図3(B)および
図3(C)の例のほか、一対のラフター骨部材62Pの間、もしくは、アーチ骨部材61Pとラフター骨部材62Pの間にも架け渡される。
【0026】
図3(B)および
図3(C)には、外槽屋根23の一部を構成する扇形の外槽屋根板23Pが示されている。外槽屋根板23Pは、アーチ骨部材61Pおよびリング骨部材63Pの上面に載置されている。外槽屋根板23Pは、アーチ骨部材61Pおよびリング骨部材63Pに溶接する態様としても良いし、溶接することなく骨部材61P、63Pで支持される態様としても良い。中間槽屋根33および内槽屋根43を構成する屋根板についても同様である。
【0027】
[タンクの内部状況]
続いて、三重殻タンク1の内部状況について説明する。
図4は、三重殻タンク1の通常運用時における、タンク本体1Tの内部の状況を示す断面図である。内槽4の内部には液化水素(LH
2)が貯留されている。内槽4の上層部には、液化水素から気化した水素ガス(H
2)が溜まっている。
【0028】
内槽4と中間槽3との間の内側保冷層11の空間と、内槽4の内部空間とは、連通管44によって連通状態とされている。このため、内槽4において気化した水素ガスは、内側保冷層11に入り込み、シールガスとしての機能を果たしている。中間槽3と外槽2との間の外側保冷層12には、シールガスとして窒素ガス(N2)が封入されている。
【0029】
図5は、三重殻タンク1がイレギュラーな状態となっている場合の、タンク本体1Tの内部の状況を示す断面図である。イレギュラーな状態としては、例えば、三重殻タンク1のメンテナンスや検査、あるいは解体などの作業の前に、内槽4および中間槽3に残存している水素ガスをパージしている状態を例示できる。一方、外槽2の直ぐ内側の外側保冷層12については、中間槽3から水素ガスが漏れた場合を想定している。
【0030】
三重殻タンク1のメンテナンス時等においては、内槽4に貯留されている液化水素を、ポンプバレル5および払い出しポート54(
図1参照)を通して払い出す。この払い出しを終えても、内槽4および内側保冷層11には前記液化ガスの気化ガスである水素ガス(第1気体)が残存している。当該水素ガスのパージのため、水素ガスよりも大きい密度を有する気体、例えば窒素ガス(第2気体)がパージガスとしてタンク本体1T内に供給される。例えば、払い出しポート54(供給路)に窒素ガスの供給源が接続され、ポンプバレル5を通して窒素ガスが内槽4へ供給される。あるいは、パージガス専用の供給路が準備されていれば、当該供給路を用いてパージガスが内槽4へ供給される。
【0031】
窒素ガスを内槽4へ供給すると、窒素ガスよりも軽い水素ガスは、
図5に示す通り、内槽4の上層部分に滞留するようになる。窒素ガスは、内槽4の上層部分よりも下方に滞留し、内槽4の内部には下層の窒素ガス層と、上層の水素ガス層とが形成される。また、窒素ガスは連通管44を通して内側保冷層11にも進入するので、内側保冷層11においても下層に窒素ガスが、上層部分に水素ガスが各々滞留するようになる。従って、内側保冷層11の上層部分と外部とを連通させる排気管を一つ設ける、あるいは内側保冷層11の上層部分と外部、並びに内槽4の上層部分と外部とをそれぞれ連通させる排気管を二つ設ければ、水素ガスをタンク本体1Tから排出できる。
【0032】
外側保冷層12と内側保冷層11との間は、中間槽3の壁で隔絶されているので、通常は外側保冷層12には水素ガスは進入しない。しかし、万が一、中間槽3が損傷した場合には、内側保冷層11から水素ガスが外側保冷層12へ入り込む。この場合、外側保冷層12にはシールガスとしての窒素ガスが存在しているので、進入した水素ガスは、外側保冷層12の上層部分に滞留する。従って、外側保冷層12の上層部分と外部とを連通させる排気管を設けることで、外側保冷層12へ進入した水素ガスを排出することができる。
【0033】
[水素ガスの滞留空間]
上記の通り、タンク本体1Tへ水素ガスよりも密度の大きいパージガスを供給することで、ガス密度差によって水素ガスをタンク本体1Tの上層部分に追いやり、タンク屋根側から排出することができる。しかし、外槽屋根23、中間槽屋根33および内槽屋根43を下方から支持する屋根骨6が、水素ガスをタンク本体1T内に滞留させてしまうことがある。滞留箇所を作るのは、屋根中心6Aを中心点として組まれるリング63を構成するリング骨部材63Pである。
【0034】
図6は、リング骨部材63Pと外槽屋根23との組み合わせで形成される滞留空間71を示す断面図である。リング骨部材63Pは、断面H型の形状を有し、外槽屋根23の径方向と直交する方向に配置される骨部材である。しかも、リング骨部材63Pは、ドーム型の外槽屋根23の球芯方向に傾いて配設されている。詳しくは、リング骨部材63Pの上板632は外槽屋根23に当接し、平板部631は球芯方向に沿うように、上板632から下方へ延びている。
【0035】
このように配設されるリング骨部材63Pは、外槽屋根23との組み合わせにより滞留壁7を作る。
図6の例では滞留壁7は、リング骨部材63Pの平板部631と、外槽屋根23の内壁のうち、上板632の当接位置より下方に向かう領域であって平板部631の高さ幅に相当する領域とで形成されている。滞留壁7は、下方が開口する一方で上方が閉じた滞留空間71を作る。この滞留空間71と、平板部631を介して滞留空間71よりも上方に位置する上方空間72とは、専ら平板部631で隔離された状態となる。このため、
図5に示すように水素ガスを上方へ追いやってパージする方式を採用した場合、水素ガスが滞留空間71に閉じ込められてパージできない事態が生じ得る。リング骨部材63Pと中間槽屋根33または内槽屋根43とによっても、同様な滞留空間71が形成されるため、同様に水素ガスの閉じ込めの問題が生じ得る。
【0036】
[実施形態に係るリング骨部材]
図7(A)は、本実施形態に係るリング骨部材63Pの一例を示す側面図、
図7(B)は、
図7(A)のVIIB-VIIB線断面図である。リング骨部材63Pは、平板部631の上縁付近に穿孔された丸孔である、3つのパージ開口64を備えている。
【0037】
図6に基づき説明した通り、平板部631は滞留空間71を作る滞留壁7を構成する。また、先に
図3(C)に基づいて説明した通り、平板部631は側面視で上方に凸の円弧形状を有している。このような平板部631の、最も高い位置となる頂部63Tに、パージ開口64の一つが穿孔されている。パージ開口64は、滞留壁7を構成する骨部材の上端またはその近傍に設けられていれば良く、頂部63Tにパージ開口64が開設されていれば良い。但し、パージ開口64を複数個設ければ、ガス抜き性が向上する。本実施形態では、頂部63Tのパージ開口64に加え、頂部63Tと左右のスカラップ63Sとの間にもパージ開口64が各々開設されている。すなわち、平板部631の上縁に沿って、3つの独立したパージ開口64が並んでいる。
【0038】
図7(B)は、パージ開口64を備えたリング骨部材63Pを適用した場合のパージ流動Fの説明図でもある。パージ開口64の穿孔によって、平板部631の左側の滞留空間71と、タンク本体1T内の空間であって当該滞留空間71よりも上方に位置する上方空間72とが連通した状態となる。このため、窒素ガスとの密度差により、外槽屋根23に向かって上昇する水素ガスが滞留空間71に入り込んだとしても、パージ開口64を通して上方空間72へ向かうパージ流動Fが形成される。従って、水素ガスは、滞留空間71に滞留することなく、外槽屋根23に設置された排気路へ向かうことができ、タンク本体1Tのパージを良好に行うことができる。
【0039】
平板部631には、一種の開口であるスカラップ63Sが具備されている。しかし、スカラップ63Sは、アーチ骨部材61Pまたはラフター骨部材62Pとの接合部、つまり溶接部となる平板部631の両端に配置される。一方、平板部631は上方に凸の円弧形状を有するため、スカラップ63Sの開口だけでは、頂部63T付近に水素ガスが抱き込まれてしまう。しかし、本実施形態では、頂部63Tにパージ開口64が穿孔されているので、前記水素ガスの抱き込みを抑止できる。さらに、頂部63Tの両サイドにもパージ開口64が穿孔されているので、滞留空間71からの水素ガスのパージがより促進される。
【0040】
パージ開口64は、
図7(A)に例示する態様以外の種々の態様で開設することができる。例えば、
図7(A)では丸孔からなるパージ開口64を例示しているが、矩形や三角形の開口としても良い。パージ開口64の配置については、頂部63Tまたはその近傍に開口が配置されており、且つ、リング骨部材63Pの強度を有意に低下させない限りにおいて、特に制限はない。また、頂部63Tを含む領域に、平板部631の上縁に沿って左右に延びるスリット状の長孔を開設し、これをパージ開口64としても良い。
【0041】
[タンク本体のパージ例]
図8は、本実施形態に係るリング骨部材63Pが適用された三重殻タンク1Aにおける、タンク本体1T内でのパージ流動を示す断面図である。タンク本体1Tの外槽屋根23、中間槽屋根33および内槽屋根43は、パージ開口64を備えるリング骨部材63Pを含む屋根骨6にて各々下支えされている。タンク本体1T内は、上掲の
図5に示した例と同様に、窒素ガス(N
2)への置換が進行し、水素ガス(H
2)がタンク本体1Tの上層部へ追い込まれている状態を示している。
【0042】
三重殻タンク1Aは、タンク本体1Tの屋根に設けられた第1排気路24および第2排気路34を備えている。第1排気路24は、外槽屋根23の頂部またはその近傍に立設され、外側保冷層12と外部とを連通させる配管である。第1排気路24には、タンク運用時には常時「閉」とされ、メンテナンス時等に「開」とされる第1開閉弁25が取り付けられている。第2排気路34は、外槽屋根23を貫通するように中間槽屋根33の頂部付近に立設され、中間槽3内の内側保冷層11と外部とを連通させる配管である。第2排気路34には、タンク運用時には常時「閉」とされ、メンテナンス時等に「開」とされる第2開閉弁35が取り付けられている。
【0043】
図略の供給路から、内槽4および外側保冷層12への窒素ガスの供給が進むと、密度差によって水素ガスは上方へ向かい、開閉弁25、35が各々「開」とされた第1排気路24および第2排気路34からタンク外へ排出される。この際、リング骨部材63Pが水素ガスの流動方向に立ち塞がることになる。しかし、リング骨部材63Pにはパージ開口64が備えられていることから、水素ガスをリング骨部材63Pの配置箇所で滞留させることはない。
【0044】
具体的には、内槽4からは、連通管44を通して第2排気路34に向かうパージ流動F11が形成される。パージ流動F11には、内槽屋根43を下支えするリング骨部材63Pのパージ開口64を通過する流動が含まれる。内側保冷層11(中間槽3)においても、パージ開口64を通過する流動を含む、第2排気路34に向かうパージ流動F12が形成される。外側保冷層12(外槽2)では、パージ開口64を通過する流動を含む、第1排気路24に向かうパージ流動F13が形成される。以上のようなパージ流動F11、F12、F13により、タンク本体1T内の水素ガスは外部へ排出され、回収される。
【0045】
以上説明した本実施形態に係る三重殻タンク1によれば、屋根骨6のリング骨部材63Pが滞留空間71を形成するようにタンク本体1T内に配設されている。しかし、パージ作業による窒素ガスの供給により、滞留空間71に水素ガスが入り込むような状況となっても、リング骨部材63Pにはパージ開口64が開設されているので、当該水素ガスを滞留空間71から上方空間72へ逃がすことができる。しかも、パージ開口64は、タンク屋根の球芯方向に傾き且つ凸の円弧形状を有する平板部631の頂部に穿孔されている。このため、窒素ガスとの密度差で水素ガスをタンク屋根側から排出させるパージ作業により、滞留空間71への水素ガスの滞留を許容せず、水素ガスをタンク本体1Tから確実に回収することができる。
【0046】
なお、本実施形態では液化ガス貯蔵タンクとして三重殻タンク1を例示した。これに代えて、例えば内槽と外槽との二重殻タンクに本開示を適用しても、同様の効果を得ることができる。この場合も、内槽屋根および外槽屋根をそれぞれ支持する屋根骨のリング骨部材に、上述のパージ開口64と同様な開口を設ければ良い。
【0047】
[他の実施形態]
上記の実施形態では、ガスを滞留させる滞留空間71(
図6参照)を形成する骨部材として屋根骨6のリング骨部材63Pを例示し、当該リング骨部材63Pにパージ開口64を開設する例を示した。タンク本体1T内には、滞留空間71を形成し得る骨部材単体、複数の骨部材の組み合わせ、あるいは骨部材とタンク内壁との組み合わせが他にも存在する。このような骨部材にも、パージ開口を設けても良い。
【0048】
図9は、他の実施形態に係る液化ガス貯蔵タンク100を簡略的に示す断面図である。液化ガス貯蔵タンク100の内部には、デッキ81および内部階段82が組み付けられている。デッキ81は、タンク屋根の施工用足場として組み立てられ、完工後もタンク本体内に存置される。内部階段82は、作業員がタンクの内底部に出入りするための折り返し階段であり、折り返し部に踊り場83を備えている。デッキ81および内部階段82は、多くの液化ガス貯蔵タンクにおいて、一般的に具備される設備である。
【0049】
デッキ81および踊り場83を含む内部階段82は、
図9に示すようにC型鋼84(骨部材)によって構成されることが多い。C型鋼84は、一般に開口面を下方に向けて敷設される。このため、窒素ガスをパージガスとしてタンク内の水素ガスをパージすると、C型鋼84が水素ガスを抱き込む滞留空間710を形成し易い。この点に鑑み、C型鋼84の敷設時に上端に位置する水平板に、パージ開口85が設けられる。これにより、C型鋼84の内側の滞留空間710とその上方空間とを、パージ開口85によって連通した状態とすることができる。従って、パージ作業の際に滞留空間710への水素ガスの滞留を抑止することができる。
【0050】
上記のデッキ81や内部階段82だけでなく、タンク本体1T内に存在する各種の付属物にもパージ開口を設けても良い。例えば内槽側板42などの補剛材であるスチフナ、連通管44と内槽屋根43との取り合い部付近における連通管44、あるいは内槽屋根43と中間槽屋根33との間に配設される隔壁構造体等の付属物においても、水素ガスが滞留する滞留空間は形成され得る。あるいは、付属物と骨部材との組み合わせによっても滞留空間は形成され得る。従って、このような付属物にもパージ開口を設けても良い。
【0051】
[本開示のまとめ]
以上説明した具体的実施形態には、以下の構成を有する開示が含まれている。
【0052】
本開示の第1の態様に係る液化ガス貯蔵タンクは、低温の液化ガスを貯留する空間を区画する内壁を有するタンク本体と、前記タンク本体内に配設される複数の骨部材と、を含み、前記複数の骨部材の少なくとも一つは、前記骨部材単体で、他の前記骨部材との組み合わせにより、もしくは前記骨部材と前記内壁との組み合わせにより、下方が開口する一方で上方が閉じたガスの滞留空間を作る滞留壁を形成するよう配設され、前記滞留壁を構成している前記骨部材の上端またはその近傍には、前記滞留空間と前記タンク本体内の当該滞留空間よりも上方に位置する上方空間とを連通させるパージ開口が開設されている。
【0053】
上記の液化ガス貯蔵タンクによれば、骨部材が滞留空間を形成するようにタンク本体内に配設されている。しかし、前記滞留空間に低温の液化ガスの気化ガスが入り込むような状況となっても、骨部材にはパージ開口が開設されているので、当該気化ガスを前記滞留空間から上方空間へ逃がすことができる。しかも、前記パージ開口は、滞留壁を構成している前記骨部材の上端またはその近傍に開設されている。このため、当該気化ガスをタンク屋根側から排出させる場合に、前記滞留空間への気化ガスの滞留を許容しない構造とすることができる。
【0054】
第2の態様に係る液化ガス貯蔵タンクは、第1の態様の液化ガス貯蔵タンクにおいて、前記タンク本体は、円筒状の側板と、前記側板の上面開口を塞ぐ屋根と、前記屋根を下方から支持する屋根骨と、を含み、前記屋根骨は、前記屋根の中心側から放射状に配設される複数のアーチまたはラフターと、同心状に配設されるリングと、を含み、前記骨部材は、隣接する前記アーチ間、または前記アーチと前記ラフター間に配設され、前記リングを構成するリング骨部材である。
【0055】
第2の態様によれば、屋根骨の一部を構成するリング骨部材にパージ開口が穿孔される。このため、リング骨部材の存在により形成される滞留空間と、屋根骨の上方空間とを前記パージ開口により連通させることができる。従って、前記リング骨部材による気化ガスの抱き込みを抑制できる。
【0056】
第3の態様に係る液化ガス貯蔵タンクは、第2の態様の液化ガス貯蔵タンクにおいて、前記屋根はドーム型の形状を有し、前記リング骨部材は、断面視で前記屋根と交差する方向に延び側面視で上方に凸の円弧形状を有する平板部を含み、当該平板部は前記屋根の球芯方向に傾斜して配設され、前記パージ開口は、前記円弧形状の平板部の頂部に穿孔されている。
【0057】
第3の態様によれば、リング骨部材は、タンク屋根の球芯方向に傾き、且つ凸の円弧形状を有する平板部を含む。このようなリング骨部材の形状にあっては、気化ガスは円弧形状の平板部の頂部付近に滞留し易くなる。この点に鑑み、パージ開口は、前記平板部の頂部に穿孔されている。このため、前記リング骨部材による気化ガスの抱き込みを一層抑制できる。
【0058】
第4の態様に係る液化ガス貯蔵タンクは、第1~第3の態様の液化ガス貯蔵タンクにおいて、前記タンク本体に貯留されている第1気体よりも大きい密度を有する第2気体を、前記タンク本体内に供給する供給路と、前記タンク本体の屋根に設けられ、前記第1気体が滞留した状態の前記タンク本体内に前記第2気体を供給したときに、前記密度の差に基づき前記第1気体を排出する排気路と、をさらに備える。
【0059】
第4の態様によれば、第1気体と第2気体との密度差を利用して、前記第1気体をタンク本体から排出させることができる。この際、滞留空間から上方空間への排気経路が前記パージ開口によって確保されているので、前記滞留空間への前記第1気体の残存を抑制できる。すなわち、低温の液化ガスの気化ガス(第1気体)よりも密度の大きいガス(第2気体)をタンク本体内に供給し、当該気化ガスをガス密度差によってタンク屋根側に追い込んで排出させる場合に、前記滞留空間への気化ガスの滞留を抑止できる。
【0060】
第5の態様に係る液化ガス貯蔵タンクは、第1の態様の液化ガス貯蔵タンクにおいて、前記タンク本体は、前記骨部材以外の付属物、前記骨部材と前記付属物との組み合わせにより、下方が開口する一方で上方が閉じたガスの滞留空間が作られる滞留領域を含み、前記滞留領域を構成する前記付属物にパージ開口が開設されている。
【0061】
第5の態様によれば、付属物にもパージ開口が設けられるので、より一層、タンク本体内における気化ガスの滞留を抑制できる。
【符号の説明】
【0062】
1 三重殻タンク(液化ガス貯蔵タンク)
1T タンク本体
2 外槽
21、22、23 外槽底板、外槽側板、外槽屋根
24 第1排気路(排気路)
3 中間槽
31、32、33 中間槽底板、中間槽側板、中間槽屋根
34 第2排気路(排気路)
4 内槽
41、42、43 内槽底板、内槽側板、内槽屋根(内壁)
5 ポンプバレル(供給路)
54 払い出しポート(供給路)
6 屋根骨6(骨部材)
61 アーチ
62 ラフター
63 リング
63P リング骨部材
63T 頂部(骨部材の上端)
631 平板部(円弧形状を有する平板部)
64 パージ開口
7 滞留壁
71 滞留空間
72 上方空間
84 C型鋼(骨部材)
85 パージ開口
LH 液化水素(低温液化ガス)
H2 水素ガス(第1気体)
N2 窒素ガス(第2気体)