(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012446
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
H01L25/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115291
(22)【出願日】2023-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中沢 将剛
(57)【要約】
【課題】外部端子およびボンディングワイヤーの温度上昇を抑制する。
【解決手段】半導体モジュールは、放熱板と、放熱板の一方の面上に配置され、半導体チップが設けられる第1絶縁基板と、第1絶縁基板を囲む枠状のケースと、ケースの内外にわたり設けられ、ボンディングワイヤーを介して半導体チップに電気的に接続される複数の外部端子と、放熱板と複数の外部端子との間に配置され、ケースよりも高い熱伝導性を有する少なくとも1つの第2絶縁基板と、を備え、少なくとも1つの第2絶縁基板と放熱板の一方の面とは、熱伝導性の接合材により互いに接合され、複数の外部端子のそれぞれと少なくとも1つの第2絶縁基板とは、圧入により互いに接合される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱板と、
前記放熱板の一方の面上に配置され、半導体チップが設けられる第1絶縁基板と、
前記第1絶縁基板を囲む枠状のケースと、
前記ケースの内外にわたり設けられ、ボンディングワイヤーを介して前記半導体チップに電気的に接続される複数の外部端子と、
前記放熱板と前記複数の外部端子との間に配置され、前記ケースよりも高い熱伝導性を有する少なくとも1つの第2絶縁基板と、を備え、
前記少なくとも1つの第2絶縁基板と前記放熱板の一方の面とは、熱伝導性の接合材により互いに接合され、
前記複数の外部端子のそれぞれと前記少なくとも1つの第2絶縁基板とは、圧入により互いに接合される、
半導体モジュール。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第2絶縁基板は、複数の第2絶縁基板であり、
前記複数の第2絶縁基板のそれぞれは、
絶縁板と、
前記絶縁板の一方の面上に配置され、前記放熱板の一方の面に前記接合材により接合される第1導体と、
前記絶縁板の他方の面上に配置され、前記複数の外部端子の外部端子ごとに分離された少なくとも1つの第2導体と、を有する、
請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記複数の第2絶縁基板は、前記複数の外部端子の外部端子ごとに分離されている、
請求項2に記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第2絶縁基板は、1つの第2絶縁基板であり、
前記1つの第2絶縁基板は、
絶縁板と、
前記絶縁板の一方の面上に配置され、前記放熱板の一方の面に前記接合材により接合される第1導体と、
前記絶縁板の他方の面上に配置され、前記複数の外部端子の外部端子ごとに分離された複数の第2導体と、を有する、
請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記ケースおよび前記放熱板は、接着剤により互いに接合される、
請求項2または4に記載の半導体モジュール。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第2絶縁基板は、前記第1絶縁基板と同一の層構成を有する、
請求項2または4に記載の半導体モジュール。
【請求項7】
前記複数の外部端子のそれぞれは、前記少なくとも1つの第2絶縁基板に向けて突出する突起を有し、
前記少なくとも1つの第2絶縁基板は、前記突起に圧入により嵌め合う凹部を有する、
請求項2または4に記載の半導体モジュール。
【請求項8】
前記凹部は、前記少なくとも1つの第2絶縁基板の第2導体を貫通する孔または切欠きを用いて構成される、
請求項7に記載の半導体モジュール。
【請求項9】
前記突起の突出長さは、前記少なくとも1つの第2絶縁基板の第2導体の厚さ以下である、
請求項7に記載の半導体モジュール。
【請求項10】
前記複数の外部端子のそれぞれは、金属板の曲げ加工により形成される、
請求項7に記載の半導体モジュール。
【請求項11】
前記接合材は、はんだである、
請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項12】
前記ケースは、前記複数の外部端子のそれぞれをインサート品とするインサート成形により形成される、
請求項1に記載の半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1、2に開示されるように、パワー半導体モジュールに代表される半導体モジュールは、一般に、半導体チップが設けられる絶縁基板と、絶縁基板を収容するケースと、半導体チップに電気的に接続される複数の外部端子と、を備える。
【0003】
特許文献1では、筐体(ケース)に固定される主端子(外部端子)が筐体内においてボンディングワイヤーを介して半導体チップまたは絶縁基板に電気的に接続される。また、特許文献1では、銅またはアルミニウム等の熱伝導性に優れたベース板上に絶縁基板が配置されており、主端子とベース板との間の領域の熱抵抗を低減するため、ベース板と主端子との間には、高放熱性絶縁体が配置される。この高放熱性絶縁体は、インサート成形により主端子とともに筐体に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-5129号公報
【特許文献2】国際公開第2014/061211号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のモジュールでは、主端子および高放熱性絶縁体がこれらの組立時に非接触状態となりやすいので、主端子とベース板との間の熱抵抗を十分に低減することができない場合がある。このため、特許文献1に記載のモジュールでは、主端子およびボンディングワイヤーが過昇温するおそれがある。
【0006】
以上の事情を考慮して、本開示のひとつの態様は、外部端子およびボンディングワイヤーの温度上昇を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、本開示の好適な態様に係る半導体モジュールは、放熱板と、前記放熱板の一方の面上に配置され、半導体チップが設けられる第1絶縁基板と、前記第1絶縁基板を囲む枠状のケースと、前記ケースの内外にわたり設けられ、ボンディングワイヤーを介して前記半導体チップに電気的に接続される複数の外部端子と、前記放熱板と前記複数の外部端子との間に配置され、前記ケースよりも高い熱伝導性を有する少なくとも1つの第2絶縁基板と、を備え、前記少なくとも1つの第2絶縁基板と前記放熱板の一方の面とは、熱伝導性の接合材により互いに接合され、前記複数の外部端子のそれぞれと前記少なくとも1つの第2絶縁基板とは、圧入により互いに接合される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る半導体モジュールの分解斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る半導体モジュールの断面図である。
【
図3】第1実施形態における外部端子の斜視図である。
【
図4】第1実施形態における外部端子と第2絶縁基板との接合を説明するための図である。
【
図5】複数の外部端子が固定されたケースの底面図である。
【
図6】第2実施形態に係る半導体モジュールの分解斜視図である。
【
図8】変形例1における外部端子と第2絶縁基板との接合を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法および縮尺は実際と適宜に異なり、理解を容易にするために模式的に示している部分もある。また、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0010】
1.第1実施形態
1-1.半導体モジュールの全体構成
図1は、第1実施形態に係る半導体モジュール10の分解斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る半導体モジュール10の断面図である。
図2では、X軸に直交する平面で半導体モジュール10の一部を切断した断面が示される。
【0011】
半導体モジュール10は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)モジュール等のパワーモジュールである。半導体モジュール10は、例えば、鉄道車両、自動車または家庭用電気機械等の機器に搭載されるインバーターまたは整流器等の装置での電力制御に用いられる。
【0012】
図1に示すように、半導体モジュール10は、複数の第1絶縁基板20と複数の半導体チップ30と放熱板40とケース50と複数の外部端子60と複数の第2絶縁基板70と蓋80とを備える。また、
図1では図示を省略するが、
図2に示すように、半導体モジュール10は、前述の構成要素のほか、ポッティング材PAを備える。なお、
図1では、半導体チップ30が二点鎖線で簡略的に示される。
【0013】
以下、まず、
図1および
図2に基づいて、半導体モジュール10の各部を順次説明する。なお、以下の説明は、便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を適宜に用いて行う。Z軸は、半導体モジュール10の厚さ方向に平行な軸である。以下では、X軸に沿う一方向がX1方向であり、X1方向とは反対の方向がX2方向である。Y軸に沿う一方向がY1方向であり、Y1方向とは反対の方向がY2方向である。Z軸に沿う一方向がZ1方向であり、Z1方向とは反対の方向がZ2方向である。これらの方向と鉛直方向との関係は、特に限定されず、任意である。また、以下では、Z軸に沿う方向にみることを「平面視」という場合がある。
【0014】
複数の第1絶縁基板20のそれぞれは、DCB(Direct Copper Bonding)基板またはDBA(Direct Bonded Aluminum)基板等の基板である。
図1では図示を省略するが、
図2に示すように、第1絶縁基板20は、絶縁板21と、絶縁板21の一方の面上に配置される導体22と、絶縁板21の他方の面上に配置される導体23と、を有する。絶縁板21は、Z軸に沿う方向を厚さ方向とするように配置される絶縁性の板状部材である。絶縁板21は、例えば、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムまたは窒化ケイ素等のセラミックスで構成される。導体22は、絶縁板21のZ2方向を向く面上に略全域にわたり配置される板状の導体である。導体23は、絶縁板21のZ1方向を向く面上に配置され、適宜に分割された複数の板状の導体で構成される。導体22および導体23のそれぞれは、例えば、銅またはアルミニウム等の金属で構成される。
【0015】
以上の各第1絶縁基板20の導体22には、はんだ等の接合材B0により放熱板40が接合される。一方、各第1絶縁基板20の導体23には、複数の半導体チップ30がはんだ等の接合材により接合される。このように、第1絶縁基板20は、放熱板40の一方の面上に配置され、半導体チップ30が設けられる。なお、各第1絶縁基板20に搭載される半導体チップ30の数は、任意である。また、半導体モジュール10の有する第1絶縁基板20の数は、
図1に示す例に限定されず、2個以下または4個以上であってもよい。
【0016】
第1絶縁基板20に搭載される複数の半導体チップ30のうちの少なくとも1つの素子は、IGBT等のパワー半導体チップである。なお、第1絶縁基板20には、半導体チップ30として、IGBT等のスイッチング素子のほか、パワー半導体チップの動作を制御するための制御用チップが搭載されてもよいし、負荷電流を転流させるためのFWD(Free Wheeling Diode)等の素子が搭載されてもよい。
【0017】
放熱板40は、Z軸に沿う方向を厚さ方向とするように配置される放熱用の板状部材である。放熱板40は、例えば、銅、銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成される。放熱板40は、高熱伝導性を有しており、半導体チップ30からの熱を放熱する。また、放熱板40は、高導電性も有しており、例えば、接地電位等の基準電位に電気的に接続される。なお、放熱板40は、高熱伝導性を有すればよく、金属板に限定されず、セラミックス等の絶縁体であってもよい。また、放熱板40のZ2方向を向く面には、放熱フィン等の放熱用部材が一体的に設けられてもよい。
【0018】
図1に示す例では、Z軸に沿う方向にみて、放熱板40がX軸に沿う方向に延びる1対の長辺とY軸に沿う方向に延びる1対の短辺とを有する形状をなす。放熱板40には、各短辺の近傍に、取付孔41が設けられる。取付孔41は、例えば、図示しない放熱フィン等の放熱用部材を放熱板40に対してねじ留めするのに用いられる貫通孔である。なお、放熱板40の平面視形状および数は、
図1に示す例に限定されず、任意である。また、取付孔41は、必要に応じて設けられ、省略されてもよい。
【0019】
ケース50は、複数の第1絶縁基板20および複数の半導体チップ30を収容する枠状部材である。ここで、ケース50は、Z軸に沿う方向を厚さ方向とするように配置され、平面視で複数の第1絶縁基板20を囲む枠状をなす。ケース50は、実質的な絶縁体であり、例えば、PPS(Polyphenylene Sulfide)またはPBT(Polybutylene terephthalate)等の樹脂材料で構成される。なお、当該樹脂材料には、ケース50の機械的強度の向上または線膨張係数の低減等の観点から、アルミナまたはシリカ等の無機フィラーが含有されてもよい。
【0020】
図1に示す例では、Z軸に沿う方向にみて、ケース50がX軸に沿う方向に延びる1対の長辺とY軸に沿う方向に延びる1対の短辺とを有する外形をなす。また、ケース50には、複数の孔52および複数の孔53が設けられる。複数の孔52は、半導体モジュール10を実装する図示しない基板をケース50に対してねじ留めするのに用いられる孔である。複数の孔53は、前述の取付孔41とともに、図示しない放熱フィン等の放熱用部材を放熱板40に対してねじ留めするのに用いられる貫通孔である。なお、ケース50の形状は、
図1に示す例に限定されず、任意である。また、孔52、53は、必要に応じて設けられ、省略されてもよい。
【0021】
以上のケース50には、複数の外部端子60が固定される。ここで、ケース50は、複数の外部端子60のそれぞれをインサート品とするインサート成形により形成される。これにより、外部端子60がケース50に強固かつ安定的に固定されるので、後述するように、外部端子60をケース50に固定した状態で第2絶縁基板70に圧入により接合することができる。
【0022】
複数の外部端子60のそれぞれは、半導体モジュール10を実装する図示しない基板と半導体チップ30とを互いに電気的に接続するための端子である。ここで、各外部端子60は、
図2に示すように、ケース50の内外にわたり設けられ、ボンディングワイヤーBWを介して半導体チップ30に電気的に接続される。複数の外部端子60は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金または鉄合金等の金属で構成される。また、外部端子60の表面には、例えば、SnめっきまたはSn-Cuめっき等のめっきが施されてもよい。
【0023】
半導体モジュール10の有する複数の外部端子60のうち、2以上の外部端子60が主電流の流れる端子であり、他の2以上の外部端子60が半導体チップ30の動作を制御するための制御端子である。
【0024】
外部端子60は、概略的にL字状に屈曲した金属板で構成される。ここで、
図2に示すように、外部端子60は、ピン部61と脚部62と突起63と孔64とを有する。
【0025】
ピン部61は、外部端子60の一部であって、Z軸に沿う方向に延びる棒状部分である。ピン部61のZ1方向での端は、ケース50の外壁面から突出する。このように、ピン部61は、ケース50の外壁面から突出する部分である端子部を有する。当該端子部は、半導体モジュール10を実装する図示しない基板に接続される。一方、ピン部61のZ2方向での端には、脚部62が接続される。なお、ピン部61の形状は、
図1に示す例に限定されず、例えば、ピン部61の先端が2つの部分に分岐した形状でもよい。
【0026】
脚部62は、外部端子60の一部であって、第2絶縁基板70のZ1方向を向く面上に沿って配置される板状部分である。脚部62は、ピン部61のZ2方向での端からケース50内側に向けて延びる。脚部62は、ケース50と第2絶縁基板70との間に挟まれる部分と、ケース50の内側に露出する部分であるパッド部と、を有する。当該パッド部には、
図2に示すボンディングワイヤーBWの一端が接合される。ボンディングワイヤーBWの他端は、第1絶縁基板20または半導体チップ30に接続される。この接続により、外部端子60および半導体チップ30が互いに電気的に接続される。
【0027】
突起63は、外部端子60の一部であって、脚部62からZ2方向に向けて突出する部分である。孔64は、外部端子60を金属板の曲げ加工により形成する場合に突起63の形成に伴って設けられる孔である。突起63および孔64の詳細については、後に
図3および
図4に基づいて説明する。
【0028】
複数の第2絶縁基板70は、放熱板40と複数の外部端子60との間に配置され、ケース50よりも高い熱伝導性を有する部材である。各第2絶縁基板70は、Z軸に沿う方向を厚さ方向とするように配置される。本実施形態では、複数の第2絶縁基板70は、外部端子60ごとに分離されており、複数の外部端子60に一対一で対応する。したがって、放熱板40と各外部端子60との間には、対応する第2絶縁基板70が介在する。なお、複数の外部端子60に対応する複数の第2絶縁基板70のほか、外部端子60との接合に寄与せずに放熱板40とケース50との間に介在する第2絶縁基板70が存在してもよい。
【0029】
各第2絶縁基板70は、第1絶縁基板20と同一の層構成を有する。すなわち、各第2絶縁基板70は、DCB(Direct Copper Bonding)基板またはDBA(Direct Bonded Aluminum)基板等の基板である。このため、第1絶縁基板20および第2絶縁基板70の層構成が互いに異なる態様に比べて、半導体モジュール10の低コスト化を図ることができる。
【0030】
具体的に説明すると、
図1および
図2に示すように、第2絶縁基板70は、絶縁板71と、絶縁板71の一方の面上に配置される第1導体72と、絶縁板71の他方の面上に配置される第2導体73と、を有する。絶縁板71は、Z軸に沿う方向を厚さ方向とするように配置される絶縁性の板状部材である。絶縁板71は、例えば、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムまたは窒化ケイ素等のセラミックスで構成される。第1導体72は、絶縁板71のZ2方向を向く面上に略全域にわたり配置される板状の導体であり、放熱板40の一方の面に後述の接合材B1により接合される。第2導体73は、絶縁板71のZ1方向を向く面上に略全域にわたり配置される板状の導体であり、複数の外部端子60の外部端子60ごとに分離される。ただし、第2導体73には、切欠き73aが設けられる。第1導体72および第2導体73のそれぞれは、例えば、銅またはアルミニウム等の金属で構成される。
【0031】
ここで、切欠き73aは、前述の突起63の圧入を受ける凹部74を構成する。これにより、複数の外部端子60のそれぞれと複数の第2絶縁基板70とは、圧入により互いに接合される。凹部74の詳細については、後に
図3および
図4に基づいて説明する。
【0032】
一方、各第2絶縁基板70のZ2方向を向く面は、放熱板40のZ1方向を向く面に対して接合材B1により接合される。接合材B1は、例えば、はんだである。はんだは、特に限定されないが、例えば、SnAg系、SnAgCu系、SnBi系、SnZnBi系、SnCu系、SnAgBi系、SnSb系、またはSnZnAl系等の無鉛はんだである。このように、複数の第2絶縁基板70と放熱板40の一方の面とは、熱伝導性の接合材B1により互いに接合される。なお、接合材B1は、はんだに限定されず、例えば、シリカまたはアルミナ等の無機フィラーを含有するエポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤またはシリコーン系接着剤等の接着剤でもよい。
【0033】
ここで、放熱板40とケース50とは、接着剤B2により接合される。接着剤B2は、絶縁性の接着剤である。より具体的には、接着剤B2は、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤またはシリコーン系接着剤である。接着剤B2は、アルミナまたはシリカ等の絶縁性の無機フィラーを含んでもよい。接着剤B2の配置については、後に
図5に基づいて説明する。
【0034】
蓋80は、ケース50のZ1方向を向く面に接合される板状部材である。蓋80は、例えば、ケース50と同様、PPS(Polyphenylene Sulfide)またはPBT(Polybutylene terephthalate)等の樹脂材料で構成される。蓋80は、蓋80とケース50との間の隙間を封止するように、ケース50に接着剤等により接合される。
【0035】
ここで、放熱板40とケース50と蓋80とで囲まれる空間には、
図2に示すように、半導体チップ30を覆うポッティング材PAが充填される。ポッティング材PAは、例えば、シリコーンゲル等のシリコーン樹脂で構成される。
【0036】
以上の概略の半導体モジュール10では、各外部端子60がケース50よりも熱伝導性の高い第2絶縁基板70を介して放熱板40に接続されるので、ボンディングワイヤーBWおよび外部端子60で発生したジュール熱を第2絶縁基板70を介して放熱板40に逃すことができる。ここで、第2絶縁基板70および放熱板40が熱伝導率の高い接合材B1により互いに接合されるので、第2絶縁基板70と放熱板40との間の熱抵抗を低減することができる。しかも、外部端子60および第2絶縁基板70が圧入により互いに接合されるので、外部端子60および第2絶縁基板70の組立を容易にしつつ、外部端子60と第2絶縁基板70との間の熱抵抗を低減することもできる。以上から、外部端子60およびボンディングワイヤーBWの温度上昇を抑制することができる。
【0037】
1-2.外部端子および第2絶縁基板
図3は、第1実施形態における外部端子60の斜視図である。
図4は、第1実施形態における外部端子60と第2絶縁基板70との接合を説明するための図である。
図3および
図4に示すように、外部端子60は、ピン部61と脚部62との境界に沿う直線LNに沿って折り曲げた形状をなしており、金属板の曲げ加工等により一体で構成される。
【0038】
このように、複数の外部端子60のそれぞれが金属板の曲げ加工により形成されることにより、溶接等を用いて外部端子60を製造する態様に比べて、半導体モジュール10の低コスト化を図ることができる。
【0039】
突起63は、脚部62からZ2方向に向けて突出する。
図3および
図4に示す例では、突起63がピン部61と同一面に沿って配置される。ここで、脚部62には、金属板の折り曲げ加工時に形成される孔64が突起63に対応して設けられる。
【0040】
このように、複数の外部端子60のそれぞれは、第2絶縁基板70に向けて突出する突起63を有する。
【0041】
一方、第2絶縁基板70の凹部74は、Z1方向に向けて開放する窪みである。
図4に示す例では、凹部74が第2導体73に設けられた切欠き73aを用いて構成される。ここで、凹部74は、切欠き73aによる壁面と絶縁板71のZ1方向を向く面による底面とで構成される。
【0042】
このように、各第2絶縁基板70は、突起63に圧入により嵌め合う凹部74を有する。このため、外部端子60に設けた凹部74と第2絶縁基板70に設けた凸部とを圧入により接合する態様に比べて、前述の孔64を後述の変形例1の切欠き66よりも小さくすることが容易である等の理由から、外部端子60と第2絶縁基板70との接触面積を大きくしやすいという利点がある。
【0043】
また、凹部74が第2導体73を貫通する切欠きを用いて構成されることにより、外部端子60および第2絶縁基板70を圧入により容易に互いに接合することができる。なお、第2導体73は、第2導体73を貫通する孔を有してもよい。この場合、凹部74は、切欠き73aに代えて当該孔を用いて構成されてもよい。
【0044】
前述のように、第2絶縁基板70の層構成が第1絶縁基板20の層構成と同一である。具体的に説明すると、第2絶縁基板70の絶縁板71は、第1絶縁基板20の絶縁板21と同一の厚さおよび材料で構成される。また、第2絶縁基板70の第1導体72は、第1絶縁基板20の導体22と同一の厚さおよび材料で構成される。さらに、第2絶縁基板70の第2導体73は、第1絶縁基板20の導体23と同一の厚さおよび材料で構成される。
【0045】
以上の凹部74には、前述の突起63が圧入される。これにより、外部端子60と第2絶縁基板70とが互いに接合される。
【0046】
ここで、第2導体73が外部端子60ごとに分離されるので、外部端子60同士の導通を防止しつつ、外部端子60を第2導体73に圧入により接合することができる。また、第2絶縁基板70の数が複数であるため、第2絶縁基板70の数が1つである態様に比べて、第2絶縁基板70とケース50との間の熱応力を低減することもできる。
【0047】
また、複数の第2絶縁基板70は、外部端子60ごとに分離されている。このため、外部端子60の配置の異なる半導体モジュール10において第2絶縁基板70を共用することができる。この結果、半導体モジュール10の低コスト化を図ることができる。
【0048】
複数の外部端子60のそれぞれは、少なくとも1つの第2絶縁基板70に向けて突出する突起63を有する。少なくとも1つの第2絶縁基板70は、突起63に圧入により嵌め合う凹部74を有する。このため、外部端子60に設けた凹部74と第2絶縁基板70に設けた凸部とを圧入により接合する態様に比べて、外部端子60と第2絶縁基板70との接触面積を大きくしやすいという利点がある。
【0049】
凹部74の幅W2は、突起63が凹部74に圧入し得る締め代を有するように、突起63の幅W1よりも大きい。当該締め代は、0.04mm以上0.18mm以下程度である。ここで、幅W1は、突起63の最大幅である。一方、幅W2は、凹部74の最小幅である。
図3および
図4に示す例では、突起63および凹部74のそれぞれの幅が一定である。なお、突起63の幅は、一定でなくともよい。例えば、突起63は、Z2方向に向かうに従って幅が小さくなるよう、テーパー面を有してもよい。また、凹部74の幅は、一定でなくともよい。例えば、凹部74は、Z1方向に向かうに従って幅が大きくなるよう、テーパー面を有してもよい。
【0050】
突起63の突出長さL1は、凹部74の深さD1、すなわち、第2導体73の厚さt以下である。このため、絶縁板71に凹部74を形成するための加工が不要であるため、第2絶縁基板70の製造が容易である。また、突起63の根元まで凹部74内に圧入することができる。この結果、脚部62のZ2方向を向く面と第2導体73のZ1方向を向く面とを広範囲にわたり接触させることができる。これにより、外部端子60と第2絶縁基板70との接触面積を大きくすることにより、外部端子60と第2絶縁基板70との間の熱抵抗を低減することができる。
【0051】
なお、外部端子60と第2絶縁基板70との間に隙間が形成されてもよい。この場合、当該隙間には、熱伝導性に優れた接着剤またはグリース等の伝熱材が介在することが好ましい。
【0052】
第2絶縁基板70のZ2方向を向く面は、放熱板40のZ1方向を向く面に対して、熱伝導性に優れる接合材B1により接合される。接合材B1は、例えば、はんだである。これにより、放熱板40および第2絶縁基板70を接合材B1により強固に接合するとともに、放熱板40と第2絶縁基板70との間の熱抵抗を低減することができる。
【0053】
はんだは、特に限定されないが、例えば、SnAg系、SnAgCu系、SnBi系、SnZnBi系、SnCu系、SnAgBi系、SnSb系またはSnZnAl系等の無鉛はんだである。なお、接合材B1は、はんだに限定されず、例えば、シリカまたはアルミナ等の無機フィラーを含有するエポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤またはシリコーン系接着剤等の接着剤でもよい。
【0054】
ここで、放熱板40とケース50とは、接着剤B2により接合される。
【0055】
図5は、複数の外部端子60が固定されたケース50の底面図である。
図5では、Z1方向にみたケース50が複数の外部端子60とともに示される。
【0056】
図5に示すように、ケース50の底面、すなわち、ケース50のZ2方向を向く面上には、複数の外部端子60の脚部62が配置される。
【0057】
接着剤B2は、
図5に示すように、放熱板40の外周の全域にわたり設けられる。ここで、接着剤B2は、外部端子60の脚部62を避けるように配置されており、複数の部分B2aおよび部分B2bを有する。部分B2aは、接着剤B2の一部であって、放熱板40のZ1方向を向く面とケース50とを接合するための部分であり、外部端子60の脚部62を避けるように配置される。部分B2bは、接着剤B2の一部であって、放熱板40の側面とケース50とを接合するための部分であり、放熱板40の側面の全周にわたり配置される。
【0058】
このように、ケース50および放熱板40は、接着剤B2により互いに接合される。このため、外部端子60と放熱板40との間の絶縁性を確保しつつ、ケース50と放熱板40との間の隙間を接着剤B2により封止することができる。
【0059】
なお、接着剤B2は、外部端子60に接触してもよいし、第2絶縁基板70に接触してもよい。すなわち、接着剤B2は、放熱板40およびケース50を互いに接合するだけでなく、放熱板40およびケース50に対して外部端子60の脚部62および第2絶縁基板70のうちの一方または両方を接合してもよい。
【0060】
以上のように、半導体モジュール10では、外部端子60およびボンディングワイヤーBWの温度上昇を抑制することができる。
【0061】
2.第2実施形態
以下、本開示の第2実施形態について説明する。以下に例示する形態において作用や機能が前述の実施形態と同様である要素については、前述の実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0062】
図6は、第2実施形態に係る半導体モジュール10Aの分解斜視図である。半導体モジュール10Aは、第1実施形態の複数の第2絶縁基板70に代えて1つの第2絶縁基板70を有すること以外は、第1実施形態の半導体モジュール10と同様に構成される。
【0063】
第2絶縁基板70Aは、第1実施形態の複数の絶縁板71および複数の第1導体72に代えて、1つの絶縁板71Aおよび1つの第1導体72Aを有すること以外は、第1実施形態の第2絶縁基板70と同様に構成される。
【0064】
絶縁板71Aは、ケース50の枠状に沿う枠状をなすこと以外は、第1実施形態の絶縁板71Aと同様に構成される。第1導体72Aは、絶縁板71Aの周方向での全域にわたり設けられること以外は、第1実施形態の第1導体72と同様に構成される。
【0065】
以上の第2実施形態によっても、外部端子60およびボンディングワイヤーBWの温度上昇を抑制することができる。本実施形態では、1つの第2絶縁基板70Aの絶縁板71Aの面上に外部端子60ごとの複数の第2導体73が配置される。このため、放熱板40に対する第2絶縁基板70Aの位置決めを容易に行うことができる。また、放熱板40と第2絶縁基板70Aとの接触面積を大きくすることにより、放熱板40と第2絶縁基板70Aとの間の熱抵抗を低減することもできる。
【0066】
3.変形例
本開示は前述の各実施形態に限定されるものではなく、以下に述べる各種の変形が可能である。また、各実施形態及び各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0067】
3-1.変形例1
図7は、変形例1における外部端子60Bの斜視図である。
図8は、変形例1における外部端子60Bと第2絶縁基板70Bとの接合を説明するための図である。
図7および
図8に示すように、外部端子60Bは、ピン部61と脚部62と凹部65と切欠き66とを有する。
【0068】
凹部65は、外部端子60Bの一部であって、脚部62からZ2方向に向けて開放する窪みである。切欠き66は、外部端子60Bを金属板の曲げ加工により形成する場合に凹部65の形成に伴って設けられる欠損部分である。なお、凹部65の形状は、
図7および
図8に示す例に限定されず、任意である。
【0069】
第2絶縁基板70Bは、第1実施形態の第2導体73に代えて第2導体73Bを有すること以外は、第1実施形態の第2絶縁基板70と同様に構成される。第2導体73Bは、部分73bを有する。部分73bは、凹部65の圧入を受ける凸部75を構成する。なお、部分73bの形状は、
図7および
図8に示す例に限定されず、任意である。
【0070】
以上の変形例1によっても、外部端子60BおよびボンディングワイヤーBWの温度上昇を抑制することができる。
【0071】
3-2.変形例2
前述の実施形態では、第2絶縁基板70、70A、70Bの層構成が第1絶縁基板20の層構成と同一である態様が例示されるが、この態様に限定されず、第1絶縁基板20と異なる層構成の第2絶縁基板が用いられてもよい。例えば、第2絶縁基板の各層の厚さ、層数が第1絶縁基板20と異なってもよい。
【0072】
3-3.変形例3
前述の第1実施形態では、絶縁板71が外部端子60ごとに設けられる態様が例示されるが、複数の外部端子60ごとに絶縁板71が一体で構成されてもよい。ここで、例えば、2つの外部端子60に対応した絶縁板71と、1つの外部端子60に対応した絶縁板71と、が混在してもよい。
【0073】
4.付記
以上の実施形態または変形例から、例えば以下の態様が把握される。
【0074】
(付記1)本開示の第1態様の半導体モジュールは、放熱板と、前記放熱板の一方の面上に配置され、半導体チップが設けられる第1絶縁基板と、前記第1絶縁基板を囲む枠状のケースと、前記ケースの内外にわたり設けられ、ボンディングワイヤーを介して前記半導体チップに電気的に接続される複数の外部端子と、前記放熱板と前記複数の外部端子との間に配置され、前記ケースよりも高い熱伝導性を有する少なくとも1つの第2絶縁基板と、を備え、前記少なくとも1つの第2絶縁基板と前記放熱板の一方の面とは、熱伝導性の接合材により互いに接合され、前記複数の外部端子のそれぞれと前記少なくとも1つの第2絶縁基板とは、圧入により互いに接合される。
【0075】
以上の態様では、各外部端子がケースよりも熱伝導性の高い第2絶縁基板を介して放熱板に接続されるので、ボンディングワイヤーおよび外部端子で発生したジュール熱を第2絶縁基板を介して放熱板に逃すことができる。ここで、第2絶縁基板および放熱板が熱伝導率の高い接合材により互いに接合されるので、第2絶縁基板と放熱板との間の熱抵抗を低減することができる。しかも、外部端子および第2絶縁基板が圧入により互いに接合されるので、外部端子および第2絶縁基板の組立を容易にしつつ、外部端子と第2絶縁基板との間の熱抵抗を低減することもできる。以上から、外部端子およびボンディングワイヤーの温度上昇を抑制することができる。
【0076】
(付記2)第1態様の好適例である第2態様において、前記少なくとも1つの第2絶縁基板は、複数の第2絶縁基板であり、前記複数の第2絶縁基板のそれぞれは、絶縁板と、前記絶縁板の一方の面上に配置され、前記放熱板の一方の面に前記接合材により接合される第1導体と、前記絶縁板の他方の面上に配置され、前記複数の外部端子の外部端子ごとに分離された少なくとも1つの第2導体と、を有する。以上の態様では、第2絶縁基板が絶縁板と第1導体と第2導体とを有するので、第2絶縁基板としてDCB(Direct Copper Bonding)基板またはDBA(Direct Bonded Aluminum)基板等の基板を用いることができる。ここで、第2導体が外部端子ごとに分離されるので、外部端子同士の導通を防止しつつ、外部端子を第2導体に圧入により接合することができる。また、第2絶縁基板の数が複数であるため、第2絶縁基板の数が1つである態様に比べて、第2絶縁基板とケースとの間の熱応力を低減することもできる。
【0077】
(付記3)第2態様の好適例である第3態様において、前記複数の第2絶縁基板は、前記複数の外部端子の外部端子ごとに分離されている。以上の態様では、外部端子の配置の異なる半導体モジュールにおいて第2絶縁基板を共用することができる。この結果、半導体モジュールの低コスト化を図ることができる。
【0078】
(付記4)第1態様の好適例である第4態様において、前記少なくとも1つの第2絶縁基板は、1つの第2絶縁基板であり、前記1つの第2絶縁基板は、絶縁板と、前記絶縁板の一方の面上に配置され、前記放熱板の一方の面に前記接合材により接合される第1導体と、前記絶縁板の他方の面上に配置され、前記複数の外部端子の外部端子ごとに分離された複数の第2導体と、を有する。以上の態様では、第2絶縁基板が絶縁板と第1導体と第2導体とを有するので、第2絶縁基板としてDCB基板またはDBA基板等の基板を用いることができる。ここで、1つの第2絶縁基板の絶縁板の面上に外部端子ごとの複数の第2導体が配置されるので、放熱板に対する第2絶縁基板の位置決めを容易に行うことができる。また、放熱板と第2絶縁基板との接触面積を大きくすることにより、放熱板と第2絶縁基板との間の熱抵抗を低減することもできる。
【0079】
(付記5)第1態様から第4態様のいずれかの好適例である第5態様において、前記ケースおよび前記放熱板は、接着剤により互いに接合される。以上の態様では、外部端子と放熱板との間の絶縁性を確保しつつ、ケースと放熱板との間の隙間を接着剤により封止することができる。
【0080】
(付記6)第1態様から第5態様のいずれかの好適例である第6態様において、前記少なくとも1つの第2絶縁基板は、前記第1絶縁基板と同一の層構成を有する。以上の態様では、第1絶縁基板および第2絶縁基板の層構成が互いに異なる態様に比べて、半導体モジュールの低コスト化を図ることができる。
【0081】
(付記7)第1態様から第6態様のいずれかの好適例である第7態様において、前記複数の外部端子のそれぞれは、前記少なくとも1つの第2絶縁基板に向けて突出する突起を有し、前記少なくとも1つの第2絶縁基板は、前記突起に圧入により嵌め合う凹部を有する。以上の態様では、外部端子に設けた凹部と第2絶縁基板に設けた凸部とを圧入により接合する態様に比べて、外部端子と第2絶縁基板との接触面積を大きくしやすいという利点がある。
【0082】
(付記8)第7態様の好適例である第8態様において、前記凹部は、前記少なくとも1つの第2絶縁基板の第2導体を貫通する孔または切欠きを用いて構成される。以上の態様では、外部端子および第2絶縁基板を圧入により容易に互いに接合することができる。
【0083】
(付記9)第7態様または第8態様の好適例である第9態様において、前記突起の突出長さは、前記少なくとも1つの第2絶縁基板の第2導体の厚さ以下である。以上の態様では、絶縁板に凹部を形成するための加工が不要であるため、第2絶縁基板の製造が容易である。
【0084】
(付記10)第1態様から第9態様のいずれかの好適例である第10態様において、前記複数の外部端子のそれぞれは、金属板の曲げ加工により形成される。以上の態様では、溶接等を用いて外部端子を製造する態様に比べて、半導体モジュールの低コスト化を図ることができる。
【0085】
(付記11)第1態様から第10態様のいずれかの好適例である第11態様において、前記接合材は、はんだである。以上の態様では、放熱板および第2絶縁基板を接合材により強固に接合するとともに、放熱板と第2絶縁基板との間の熱抵抗を低減することができる。
【0086】
(付記12)第1態様から第11態様のいずれかの好適例である第12態様において、前記ケースは、前記複数の外部端子のそれぞれをインサート品とするインサート成形により形成される。以上の態様では、外部端子がケースに強固かつ安定的に固定されるので、外部端子をケースに固定した状態で第2絶縁基板に圧入により接合することができる。
【符号の説明】
【0087】
10…半導体モジュール、10A…半導体モジュール、20…第1絶縁基板、21…絶縁板、22…導体、23…導体、30…半導体チップ、40…放熱板、41…取付孔、50…ケース、52…孔、53…孔、60…外部端子、60B…外部端子、61…ピン部、62…脚部、63…突起、64…孔、65…凹部、66…切欠き、70…第2絶縁基板、70A…第2絶縁基板、70B…第2絶縁基板、71…絶縁板、71A…絶縁板、72…第1導体、72A…第1導体、73…第2導体、73B…第2導体、73a…切欠き、73b…部分、74…凹部、75…凸部、80…蓋、B0…接合材、B1…接合材、B2…接着剤、B2a…部分、B2b…部分、BW…ボンディングワイヤー、D1…深さ、LN…直線、PA…ポッティング材、W1…幅、W2…幅、t…厚さ。