IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 天谷製作所の特許一覧

<>
  • 特開-薄板乾燥装置 図1
  • 特開-薄板乾燥装置 図2
  • 特開-薄板乾燥装置 図3
  • 特開-薄板乾燥装置 図4
  • 特開-薄板乾燥装置 図5
  • 特開-薄板乾燥装置 図6
  • 特開-薄板乾燥装置 図7
  • 特開-薄板乾燥装置 図8
  • 特開-薄板乾燥装置 図9
  • 特開-薄板乾燥装置 図10
  • 特開-薄板乾燥装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025124619
(43)【公開日】2025-08-26
(54)【発明の名称】薄板乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20250819BHJP
【FI】
H01L21/304 651B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025025691
(22)【出願日】2025-02-20
(62)【分割の表示】P 2024020000の分割
【原出願日】2024-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】510052285
【氏名又は名称】株式会社 天谷製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】増永 翔太
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC03
5F157AC15
5F157DA31
5F157DB32
5F157DB47
(57)【要約】
【課題】構造を簡素化し、薄板を薄板載置部に確実に保持し、装置としての信頼性を向上させる薄板乾燥装置を提供する。
【解決手段】薄板である半導体ウエハ2を乾燥させる半導体ウエハ乾燥装置1であって、吸入筒24と支持部26に載置される半導体ウエハ2との間に隙間Gが設けられ、遠心ファン20を回転駆動することで隙間Gを介して吸入筒24の上側から開口部21aを通り、空気を吸い込むことによって半導体ウエハ2を支持部26に圧接するように構成した。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板を乾燥させる薄板乾燥装置であって、
駆動軸を回転駆動する回転駆動手段と、
前記薄板を載置し、前記駆動軸に連結されて該駆動軸を回転駆動することにより前記薄板を回転させて乾燥する薄板載置部と、
前記駆動軸に連結されて該駆動軸を回転駆動することによって空気を吸い込み、該吸込み力によって前記薄板載置部に前記薄板を圧接する圧接手段と、を備え、
前記圧接手段が遠心ファンであって、該遠心ファンは、前記駆動軸によって回転駆動され、上板と、該上板から離間して設けられた下板と、これら上板と下板との間の周方向に沿って複数配設された羽根部材とを有し、前記上板の中央に開口部が形成され、該開口部の周囲で前記上板の上側に前記空気を吸い込む吸入筒が設けられ、
前記薄板載置部は、前記薄板の外周端を支持する支持部が設けられ、
前記吸入筒と前記支持部に載置される前記薄板との間に隙間が設けられ、前記遠心ファンを回転駆動することで前記隙間を介して前記吸入筒の上側から前記開口部を通り、前記空気を吸い込むことによって前記薄板を前記支持部に圧接するように構成したことを特徴とする薄板乾燥装置。
【請求項2】
前記薄板載置部は、それぞれ柱状に形成された複数の支持ピンを有し、これらの支持ピンは、それぞれ前記支持部と、該支持部に隣接して前記薄板の横方向の移動を阻止する突部と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の薄板乾燥装置。
【請求項3】
前記薄板が半導体ウエハであることを特徴とする請求項1又は2に記載の薄板乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば洗浄後の半導体ウエハ等の薄板を乾燥させる薄板乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハ乾燥装置には、例えば特許文献1に記載された技術がある。この半導体ウエハ乾燥装置は、半導体ウエハを真空吸着でプレートに固定し、このプレートが超音波振動素子を有する超音波振動装置に固着され、この超音波振動装置に設けられているヒーターで加熱してプレートを高温にし、超音波振動素子の超音波振動エネルギーによって半導体ウエハを乾燥させる装置である。
【0003】
このような半導体ウエハ乾燥装置では、超音波振動素子を有する超音波振動装置やプレートを加熱するヒーターが必要になることから、部品点数が多くなり、構造が複雑化する問題がある。
【0004】
また、その他の半導体ウエハ乾燥装置には、特許文献2に記載された技術がある。この半導体ウエハ乾燥装置は、半導体ウエハを装着するウエハ装着部を有する乾燥室内でウエハ装着部を回転させることにより、その遠心力で半導体ウエハを乾燥する装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3191379号公報
【特許文献2】特開平9-181040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献2に記載された技術は、薄板である半導体ウエハをプレート等のウエハ載置部に載置し、このウエハ装着部を回転させることにより、その遠心力で半導体ウエハを乾燥する装置に適用した場合には、その遠心力で半導体ウエハがウエハ装着部から離脱して落下することがあり、装置としての信頼性に著しく欠けるという問題が発生する。
【0007】
そこで、本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、構造を簡素化し、薄板を薄板載置部に確実に保持し、装置としての信頼性を向上させる薄板乾燥装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、薄板を乾燥させる薄板乾燥装置であって、駆動軸を回転駆動する回転駆動手段と、前記薄板を載置し、前記駆動軸に連結されて該駆動軸を回転駆動することにより前記薄板を回転させて乾燥する薄板載置部と、前記駆動軸に連結されて該駆動軸を回転駆動することによって空気を吸い込み、該吸込み力によって前記薄板載置部に前記薄板を圧接する圧接手段と、を備え、前記圧接手段が遠心ファンであって、該遠心ファンは、前記駆動軸によって回転駆動され、上板と、該上板から離間して設けられた下板と、これら上板と下板との間の周方向に沿って複数配設された羽根部材とを有し、前記上板の中央に開口部が形成され、該開口部の周囲で前記上板の上側に前記空気を吸い込む吸入筒が設けられ、前記薄板載置部は、前記薄板の外周端を支持する支持部が設けられ、前記吸入筒と前記支持部に載置される前記薄板との間に隙間が設けられ、前記遠心ファンを回転駆動することで前記隙間を介して前記吸入筒の上側から前記開口部を通り、前記空気を吸い込むことによって前記薄板を前記支持部に圧接するように構成したことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記薄板載置部は、それぞれ柱状に形成された複数の支持ピンを有し、これらの支持ピンは、それぞれ前記支持部と、該支持部に隣接して前記薄板の横方向の移動を阻止する突部と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記薄板が半導体ウエハであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、遠心ファンは、駆動軸によって回転駆動され、上板と、この上板から離間して設けられた下板と、これら上板と下板との間の周方向に沿って複数配設された羽根部材とを有し、上板の中央に開口部が形成され、この開口部の周囲で上板の上側に空気を吸い込む吸入筒が設けられ、薄板載置部は、薄板の外周端を支持する支持部が設けられ、吸入筒と支持部に載置される薄板との間に隙間が設けられ、遠心ファンを回転駆動することで隙間を介して吸入筒の上側から開口部を通り、空気を吸い込むことによって薄板を支持部に圧接することにより、構造を簡素化し、薄板を薄板載置部に確実に保持し、装置としての信頼性を向上させることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、薄板載置部は、それぞれ柱状に形成された複数の支持ピンを有し、これらの支持ピンは、それぞれ支持部と、この支持部に隣接して薄板の横方向の移動を阻止する突部と、を備えているので、薄板を回転させて乾燥しているときに薄板を確実に保持することが可能となる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、薄板が半導体ウエハであるので、半導体ウエハを回転させて乾燥する場合、半導体ウエハが薄板載置部から離脱して落下することがなくなり、製品としての歩留まりを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る薄板乾燥装置を半導体ウエハ乾燥装置に適用した一実施形態を示す斜視図である。
図2図1の半導体ウエハ乾燥装置から上部外槽を取り除いた状態を示す斜視図である。
図3図1の半導体ウエハ乾燥装置を示す平面図である。
図4図1の半導体ウエハ乾燥装置を示す正面図である。
図5図3のA-A線による断面図である。
図6図5の支持ピンに半導体ウエハが圧接した状態を示す拡大断面図である。
図7図1の半導体ウエハ乾燥装置を示す底面図である。
図8】(A),(B)は、図1の遠心ファンの上板を示す上面側の斜視図,下面側の斜視図である。
図9】は、図1の遠心ファンの下板を示す上面側の斜視図である。
図10図5のファン支持部材を示す斜視図である。
図11】(A),(B)は、図1の半導体ウエハ乾燥装置の支持ピンを示す斜視図,正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[一実施形態]
図1図11は、本発明の一実施形態を示す。
【0016】
図1は、本発明に係る薄板乾燥装置を半導体ウエハ乾燥装置に適用した一実施形態を示す斜視図である。図2は、図1の半導体ウエハ乾燥装置から上部外槽を取り除いた状態を示す斜視図である。図3は、図1の半導体ウエハ乾燥装置を示す平面図である。図4は、図1の半導体ウエハ乾燥装置を示す正面図である。図5は、図3のA-A線による断面図である。図6は、図5の支持ピンに半導体ウエハが圧接した状態を示す拡大断面図である。図7は、図1の半導体ウエハ乾燥装置を示す底面図である。
【0017】
以下、本実施形態の半導体ウエハ乾燥装置1について説明する。
【0018】
本実施形態の半導体ウエハ乾燥装置1は、薄板としての洗浄後の半導体ウエハ2を回転させることにより、その遠心力で半導体ウエハ2を乾燥させる装置である。なお、本実施形態の半導体ウエハ2は、例えばSiC(シリコンカーバイド)からなり、6インチの大きさのウエハを使用している。
【0019】
図1図7に示すように、本実施形態の半導体ウエハ乾燥装置1は、例えば図示しない作業台等に取り付けられる矩形板状のベースプレート3を有している。このベースプレート3の長さ方向両端部近傍には、上記作業台等に取り付けるためにそれぞれ3つの取付孔3aが設けられている。このベースプレート3上には、下部外槽4が設置され、この下部外槽4の下部には、フランジ部4aが外周側に張り出すように下部外槽4と一体に形成されている。このフランジ部4aは、周方向に一定間隔をおいて固定ネジ5を介してベースプレート3に固定されている。これにより、ベースプレート3に下部外槽4が固定される。この下部外槽4の上部開口端には、上部外槽6が嵌め込まれることで、下部外槽4に上部外槽6が固定される。下部外槽4は、図1及び図3に示すように周壁部に後述する遠心ファン20から排出された空気を排出するための3つの排気管4bが設けられている。
【0020】
上部外槽6は、図1図5に示すように周壁部が上方にいくに従って徐々に縮径するようにテーパ状に形成され、その上端近傍で鉛直上方に立ち上がっている。上部外槽6は、その上端において外周側に張り出すようにフランジ部6aが形成されるとともに、このフランジ部6aの内周側に開口部6bが形成されている。
【0021】
下部外槽4内の中央には、図5に示すように円筒状に形成された円筒体7が設置され、この円筒体7の開口端に円環板8が載置されている。この円環板8は、遠心ファン20よりもやや大径の開口部8aが形成され、この開口部8aの中心位置に後述するシャフト13が配設されている。したがって、円環板8は、洗浄後の半導体ウエハ2を回転させることにより、その遠心力で半導体ウエハ2を乾燥させるときに、気流が舞い上がらないように気流を制御するためのものである。円筒体7には、下部外槽4内と連通する連通孔7aが設けられている。
【0022】
ベースプレート3の底面側には、図7に示すようにモータプレート9が固定され、このモータプレート9に回転駆動手段としてのサーボモータ10が取り付けられている。このサーボモータ10は、出力軸11を有し、この出力軸11に駆動側プーリー12が固定されている。
【0023】
ベースプレート3の中央部には、駆動軸としての上記シャフト13が回転可能に設けられ、このシャフト13の下側に従動側プーリー14が固定されている。この従動側プーリー14と駆動側プーリー12との間には、ベルト15が巻き掛けられており、サーボモータ10を駆動することによって駆動側プーリー12が回転駆動し、これによりベルト15を介して従動側プーリー14が回転駆動することにより、シャフト13が一方向に回転駆動する。なお、サーボモータ10は、図7に示すスピードコントローラ16及び図5に示すエンコーダ17によって回転速度が制御可能である。シャフト13の上部には、図5に示すように傘状に形成されたカバー18が固定され、このカバー18は、乾燥前に純水や炭酸水等の洗浄液で洗浄する際、洗浄水がシャフト13に沿って下方に流れるのを防止するためのものである。
【0024】
次に、遠心ファン20の構造について説明する。
【0025】
図8(A),(B)は、図1の遠心ファンの上板を示す上面側の斜視図,下面側の斜視図である。図9は、図1の遠心ファンの下板を示す上面側の斜視図である。図10は、図5のファン支持部材を示す斜視図である。図11(A),(B)は、図1の半導体ウエハ乾燥装置の支持ピンを示す斜視図,正面図である。
【0026】
シャフト13の上部には、図5に示すように圧接手段としての遠心ファン20がシャフト13の回転駆動により回転するように設けられている。この遠心ファン20は、図5図6及び図10に示すファン支持部材30によって支持されている。遠心ファン20は、上板21と、この上板21から離間して設けられた下板22と、これら上板21と下板22との間の周方向に沿って複数(本実施形態では8枚)配設された羽根部材23とを有している。上板21の中央には、図8(A),(B)に示すように円形の開口部21aが形成されている。この開口部21aの上側には、開口部21aの径と同一の内径であって、円筒状に形成された吸入筒24が立設されている。この吸入筒24は、開口部21aを通して上板21と下板22との間と連通するように構成されている。同様に、下板22の中央にも図6に示すように上板21と同じ位置に開口部22aが形成されている。
【0027】
上板21の上面には、図8(A)に示すように薄板載置部としての円柱状に形成された複数(本実施形態では、4つ)の支持ピン25が4つの取付孔21cに図示しない取付ネジ等の締結部材によって着脱自在に植設されている。このように複数の支持ピン25を上板21に着脱自在に設けたことにより、支持ピン25が破損した場合、適宜交換することが可能となる。
【0028】
上板21の下面には、図8(B)に示すように8枚の羽根部材23の上辺がそれぞれ入り込む取付溝21bが一定間隔をおいて円弧状に形成される一方、下板22の上面には、図9に示すように8枚の羽根部材23の下辺がそれぞれ入り込む取付溝22bが一定間隔をおいて円弧状に形成されている。
【0029】
上板21の上面には、図6に示すように下板22と複数の連結部材28によって連結するための連結部材28が入り込む図8(A),(B)に示す連結穴21dが4つ設けられている。
【0030】
下板22には、上板21と同様に図6に示すように上板21と複数の連結部材28によって連結するための連結部材28が入り込む図9に示す連結孔22dが4つ設けられている。また、下板22には、8つの固定ネジ孔22eが設けられ、これらの固定ネジ孔22eと図10に示すようにファン支持部材30の固定ネジ孔34を通して図示しない固定ネジ等の締結部材によってファン支持部材30に下板22が固定される。
【0031】
図10に示すように、ファン支持部材30は、円環の板状に形成された円環部31と、この円環部31の直径方向に架け渡された直線部32とが一体に形成されている。この直線部32の中央部分には、シャフト13に取り付けるためのシャフト取付孔33が形成される一方、円環部31に下板22の8つの固定ネジ孔22eに対応する位置にそれぞれ上記の固定ネジ孔34が設けられている。
【0032】
4つの支持ピン25は、図11(A),(B)に示すように、それぞれ半導体ウエハ2の外周端が支持される平坦な支持部26と、この支持部26に隣接して半導体ウエハ2の横方向の移動を阻止する突部27とが一体に形成されている。平坦な支持部26と突部27との間は、支持部26から突部27に滑らかに立ち上がるようにアール部が形成されている。突部27は、円柱部27aと、この円柱部27aの上面に形成された円錐部27bとを有している。
【0033】
本実施形態では、このように支持部26と突部27との間にアール部を形成し、突部27を円柱部27a及び円錐部27bで形成することにより、半導体ウエハ2を図示しない移載ロボットを用いて移載する際に、半導体ウエハ2を損傷させることなく、複数の支持ピン25に確実かつ容易に移載することが可能となる。
【0034】
また、支持ピン25の支持部26に支持された半導体ウエハ2と、吸入筒24の上端部との間には、図5及び図6に示すように例えば1mm程度の狭小の隙間Gが設けられ、この隙間Gを介して吸入筒24の上側から空気を吸い込むことによって半導体ウエハ2を支持ピン25の支持部26に圧接するように構成されている。
【0035】
支持ピン25は、その下部に工具にて回動操作して着脱するときに工具の回り止めに用いる凹部25aが互いに対向するように形成され、この凹部25aを用いて支持ピン25を上板21に対する着脱操作が容易に可能になっている。
【0036】
次に、本実施形態の半導体ウエハ乾燥装置1の作用を説明する。
【0037】
まず、図1図3に示すように4つの支持ピン25のそれぞれの支持部26に洗浄後の半導体ウエハ2が図示しない移載ロボット等によって載置される。そして、図示しない電源スイッチを投入すると、サーボモータ10が駆動してその出力軸11が例えば1500rpmで回転駆動する。すると、駆動側プーリー12、ベルト15、及び従動側プーリー14を介してシャフト13が回転駆動して遠心ファン20が図1及び図3において矢印で示すように時計方向に回転駆動する。
【0038】
遠心ファン20が回転駆動してその羽根部材23が回転することで、図6に矢印で示すように吸入筒24から130Paの吸着圧力で空気が吸い込まれ、この吸込み力によって4つの支持ピン25のそれぞれの支持部26に半導体ウエハ2が圧接することとなる。なお、吸入筒24から吸い込まれて遠心ファン20の羽根部材23を通って排出された空気は、図6に矢印で示すように上部外槽6のテーパ状の周壁部を経て下部外槽4に円滑に導かれた後、下部外槽4の排気管4bを通して外部に排出される。ここで、上部外槽6の周壁部をテーパ状に形成したのは、半導体ウエハ2の洗浄液が装置外に飛散するのを防止するとともに、下部外槽4の排気管4bに円滑に導かれるようにするためである。
【0039】
同時に、4つの支持ピン25のそれぞれ支持部26に圧接された半導体ウエハ2も時計方向に回転する。このように半導体ウエハ2が回転すると、半導体ウエハ2は、回転による遠心力によって乾燥される。
【0040】
以上のように、本実施形態によれば、半導体ウエハ2の外周端を4つの支持ピン25のそれぞれの支持部26に載置し、これらの支持ピン25が遠心ファン20、シャフト13、従動側プーリー14、ベルト15、駆動側プーリー12を介してサーボモータ10の出力軸11に連結されてシャフト13を回転駆動することにより、半導体ウエハ2を回転させて乾燥すると同時に、遠心ファン20がシャフト13に連結されてシャフト13を回転駆動することによって空気を吸い込み、この吸込み力によって複数の支持ピン25に半導体ウエハ2を圧接させる。これにより、構造を簡素化し半導体ウエハ2を複数の支持ピン25に確実に保持し、装置としての信頼性を向上させることができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、遠心ファン20は、シャフト13の回転によって回転駆動され、上板21と、この上板21から離間して設けられた下板22と、これら上板21と下板22との間の周方向に沿って複数配設された羽根部材23とを有し、上板21の中央に開口部21aが形成され、この開口部21aの上側に空気を吸い込む吸入筒24が設けられているので、複数の支持ピン25に半導体ウエハ2をより確実に保持し、装置としての信頼性をさらに向上させることができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、吸入筒24と複数の支持ピン25に載置された半導体ウエハ2との間に隙間Gが設けられ、この隙間Gを介して吸入筒24の上側から空気を吸い込むことによって半導体ウエハ2を複数の支持ピン25に圧接するよう構成したことにより、複数の支持ピン25によって半導体ウエハ2をより確実に保持し、装置としての信頼性をさらに向上させることができる。
【0043】
さらに、本実施形態によれば、それぞれ柱状に形成された支持ピン25は、上部に半導体ウエハ2の外周端を支持する複数の支持部26と、これらの支持部26に隣接して半導体ウエハ2の横方向の移動を阻止する突部27と、を備えているので、半導体ウエハ2を回転させて乾燥しているときに半導体ウエハ2を確実に保持することが可能となる。
【0044】
そして、本実施形態によれば、半導体ウエハ2を回転させて乾燥する場合、半導体ウエハ2が複数の支持ピン25から離脱して落下し、損傷することがなくなり、製品としての半導体ウエハ2の歩留まりを高めることができる。
[他の実施形態]
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。
【0045】
例えば、上記実施形態では、SiCからなる半導体ウエハ2を用いた例について説明したが、これに限定するものではなく、シリコン等の適宜の材質のものも適用することができる。また、ワークとしては半導体ウエハに限らず、その他の薄板等に適用してもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、吸入筒24を円筒状に形成した例について説明したが、これに限らず、移載ロボットが移動する際に支障がなければ、吸入筒24の上部開口端に外周側に張り出すようにフランジ部を設けるようにしてもよい。そして、吸入筒24は、例えばネジ結合等の着脱手段で着脱可能に構成し、複数の支持ピン25に載置する半導体ウエハ2の大きさ(面積)に応じて径の異なるものに交換するようにしてもよい。加えて、吸入筒24の内周面に上記実施形態よりも小さな吸気用の羽根部材を設けて吸着圧力を一段と高めるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 半導体ウエハ乾燥装置
2 半導体ウエハ(薄板)
3 ベースプレート
3a 取付孔
4 下部外槽
4a フランジ部
4b 排気管
5 固定ネジ
6 上部外槽
6a フランジ部
6b 開口部
7 円筒体
7a 連通孔
8 円環板
8a 開口部
9 モータプレート
10 サーボモータ(回転駆動手段)
11 出力軸
12 駆動側プーリー
13 シャフト(駆動軸)
14 従動側プーリー
15 ベルト
16 スピードコントローラ
17 エンコーダ
18 カバー
20 遠心ファン(圧接手段)
21 上板
21a 開口部
21b 取付溝
21c 取付孔
21d 連結穴
22 下板
22a 開口部
22b 取付溝
22d 連結穴
23 羽根部材
24 吸入筒
25 支持ピン(薄板載置部)
25a 凹部
26 支持部
27 突部
27a 円柱部
27b 円錐部
30 ファン支持部材
31 円環部
32 直線部
33 シャフト取付孔
34 固定ネジ孔
G 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11