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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012475
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】コネクタ端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/11 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
H01R13/11 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115332
(22)【出願日】2023-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】TE Connectivity Japan合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】宍倉 誠司
(72)【発明者】
【氏名】秋口 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】筒井 有機
(57)【要約】
【課題】端子接続部内へ挿入される雄端子との接触時に作用する力にたえ得る強度を好適に確保可能なコネクタ端子を提供すること。
【解決手段】本開示の一実施形態では、雄端子と接続可能な端子接続部を備え、前記端子接続部は、前記雄端子を受容可能な筒状部材と、前記筒状部材の内部に設けられた弾性部材とを備え、前記弾性部材は、長手方向の一端側にて前記雄端子と接触可能となっており、他端側にて前記筒状部材と連続し、および、前記弾性部材は、断面視にて、前記一端側から前記他端側へと向かって延在する凹部構造を有する、コネクタ端子が提供される。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄端子と接続可能な端子接続部を備え、
前記端子接続部は、前記雄端子を受容可能な筒状部材と、前記筒状部材の内部に設けられた弾性部材とを備え、
前記弾性部材は、長手方向の一端側にて前記雄端子と接触可能となっており、他端側にて前記筒状部材と連続し、および、
前記弾性部材は、断面視にて、前記一端側から前記他端側へと向かって延在する凹部構造を有する、コネクタ端子。
【請求項2】
前記凹部構造が前記一端側から前記他端側まで連続する、請求項1に記載のコネクタ端子。
【請求項3】
前記凹部構造を有する弾性部材が、底部と、前記底部に連続する対向する2つの側部とを有し、前記底部が、受容する前記雄端子の長手延在方向に沿って延在し、前記2つの側部が、前記底部と前記筒状部材の内壁面との間に前記雄端子を受容可能な空間を形成可能に、前記底部から前記底部の延在方向とは異なる方向に延在する、請求項1に記載のコネクタ端子。
【請求項4】
前記弾性部材の前記一端側における前記側部が突起部分を有し、前記突起部分が前記底部の延在方向とは異なる方向に延在する、請求項3に記載のコネクタ端子。
【請求項5】
前記弾性部材の前記一端側における前記2つの側部の少なくとも一方の高さが、前記一端側以外の他の部分における前記2つの側部の高さよりも高い、請求項3に記載のコネクタ端子。
【請求項6】
前記突起部分が前記端子接続部の前記筒状部材の内壁面と接触可能となっている、請求項4に記載のコネクタ端子。
【請求項7】
前記筒状部材は前記雄端子を受容する開口部を有し、前記開口部の幅寸法が高さ寸法よりも小さい、請求項1に記載のコネクタ端子。
【請求項8】
前記筒状部材は前記雄端子を受容する開口部を有し、前記底部の幅寸法が前記筒状部材の前記開口部の幅寸法よりも小さい、請求項3に記載のコネクタ端子。
【請求項9】
前記雄端子が前記底部に接触可能である、請求項3に記載のコネクタ端子。
【請求項10】
前記筒状部材内において、前記弾性部材の底部と前記筒状部材の内壁面との間に内部空間が設けられ、前記内部空間が前記雄端子を挿入可能な空間である、請求項3に記載のコネクタ端子。
【請求項11】
コネクタ端子ハウジング内に挿入可能であり、かつ前記コネクタ端子ハウジングに設けられた係止部と係止可能である、請求項1に記載のコネクタ端子。
【請求項12】
前記凹部構造を有する弾性部材が、前記コネクタ端子ハウジングの前記係止部の一部を受容可能な内部空間を有する、請求項11に記載のコネクタ端子。
【請求項13】
前記係止部が、ボディ部分と、前記ボディ部分の一部に設けられた突起部分とを有し、前記凹部構造を有する弾性部材の前記内部空間に前記係止部の突起部分を差し込み可能となっている、請求項12に記載のコネクタ端子。
【請求項14】
前記端子接続部と連続し、かつ電線と接続可能な電線接続部を更に備える、請求項1に記載のコネクタ端子。
【請求項15】
雌端子である、請求項1に記載のコネクタ端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ端子に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、電線と電子部品とをコネクタの端子を介して電気的に接続する態様が知られている。かかる端子としては、相手方の端子(雄端子)と接続される端子接続部を備えるものが用いられる場合がある。
【0003】
この場合、端子接続部は差し込まれる雄端子と接触可能な弾性部材を内部に有し得る。特許文献1には、この弾性部材が、雄コネクタの一端側(挿入方向手前側)に、側面視でへの字状態に形成された接触部を有する旨が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-166533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、本願発明者は従前の構成に関して改善すべき事項があることを新たに見出した。具体的には、特許文献1において、コネクタ端子の端子接続部の内部の弾性部材の一端側(挿入方向手前側)に、側面視でへの字状態の接触部が形成されている。この接触部につき、側面視ではなく断面視では略平面状の形態を有し得る。かかる略平面状の形態では、その形態に起因して、端子接続部内へ挿入される雄端子との接触時に作用する力にたえ得る強度を好適に確保することができない虞がある。
【0006】
そこで、本開示は、端子接続部内へ挿入される雄端子との接触時に作用する力にたえ得る強度を好適に確保可能なコネクタ端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の一実施形態では、
雄端子と接続可能な端子接続部を備え、
前記端子接続部は、前記雄端子を受容可能な筒状部材と、前記筒状部材の内部に設けられた弾性部材とを備え、
前記弾性部材は、長手方向の一端側にて前記雄端子と接触可能となっており、他端側にて前記筒状部材と連続し、および、
前記弾性部材は、断面視にて、前記一端側から前記他端側へと向かって延在する凹部構造を有する、コネクタ端子が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、端子接続部内へ挿入される雄端子との接触時に作用する力にたえ得る強度を好適に確保可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の一実施形態に係るコネクタ端子を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、図1とは別の角度から見た本開示の一実施形態に係るコネクタ端子を模式的に示す斜視図である。
図3図3は、図1とは更に別の角度から見た本開示の一実施形態に係るコネクタ端子を模式的に示す斜視図である。
図4図4は、図1の長手方向から見た本開示の一実施形態に係るコネクタ端子を模式的に示す断面図である。
図5図5は、図4とは別の角度から見た本開示の一実施形態に係るコネクタ端子を模式的に示す断面図である。
図6図6は、本開示の一実施形態に係るコネクタ端子を収容するコネクタ端子ハウジングを模式的に示す斜視図である。
図7図7は、電線の延在方向から見た図6のコネクタ端子を収容するコネクタ端子ハウジングを模式的に示す断面図である。
図8図8は、図7の点線丸囲み領域の拡大断面図である。
図9図9は、図7中の係止部により係止された本開示の一実施形態に係るコネクタ端子を模式的に示す斜視図である。
図10図10は、図9の長手方向から見た本開示の一実施形態に係るコネクタ端子を模式的に示す断面図である。
図11図11は、図10とは別の角度から見た本開示の一実施形態に係るコネクタ端子の部分拡大断面図である。
図12図12は、図11の線分A-A間における本開示の一実施形態に係るコネクタ端子を模式的に示す断面図である。
図13図13は、本開示の一実施形態に係るコネクタ端子に挿入される雄端子を模式的に示す斜視図である。
図14図14は、別構造の係止部により係止された本開示の別の実施形態に係るコネクタ端子を模式的に示す斜視図である。
図15図15は、図14の長手方向から見た本開示の別の実施形態に係るコネクタ端子を模式的に示す断面図である。
図16図16は、図15とは別の角度から見た本開示の別の実施形態に係るコネクタ端子の部分拡大断面図である。
図17図17は、図16の線分B-B間における本開示の別の実施形態に係るコネクタ端子を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、図面を参照して本開示のコネクタ端子を具体的に説明する。図面における各種の要素は、本開示の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比等は実物とは異なり得る。
【0011】
[コネクタ端子]
まず、本開示のコネクタ端子の構成について説明する。図1は、本開示の一実施形態に係るコネクタ端子を模式的に示す斜視図である。図2は、図1とは別の角度から見た本開示の一実施形態に係るコネクタ端子を模式的に示す斜視図である。図3は、図1とは更に別の角度から見た本開示の一実施形態に係るコネクタ端子を模式的に示す斜視図である。図4は、図1の長手方向から見た本開示の一実施形態に係るコネクタ端子を模式的に示す断面図である。図5は、図4とは別の角度から見た本開示の一実施形態に係るコネクタ端子を模式的に示す断面図である。
【0012】
図1図5に示すように、本開示の一実施形態に係るコネクタ端子500は、端子接続部100および端子接続部100と連続する電線接続部200を備える。電気的な接続を可能とするために、端子接続部100および電線接続部200は、例えば銅合金等から構成され得る。
【0013】
端子接続部100は、雄端子(図13参照)と接続可能な部材である。そのため、コネクタ端子500は雌端子であり得る。例えば、雄端子はプリント回路基板等の電子部品と半田等により接続され得る。具体的には、端子接続部100は、雄端子を受容可能な筒状部材20と、筒状部材20の内部に設けられた弾性部材10とを備える。
【0014】
筒状部材20は、両端側に開口部を有し、その一端側に、筒状部材20内へと雄端子を挿入可能な開口部21を有する。また、筒状部材20は、その長手部分に、後述するコネクタ端子ハウジングに設けられた係止部と係止するための1つ以上の開口部を有する。本実施形態では、一例として開口部22、23を有し得る。
【0015】
また、弾性部材10は、一端側にて筒状部材20内へと挿入され得る雄端子と接触可能となっており、他端側にて筒状部材20と連続している。この場合、弾性部材10の一端側は、弾性変形可能に、筒状部材20内にてフリー状態となっている。
【0016】
以上のことから、弾性部材10は弾性接触部と称することもできる。弾性変形可能な方向は、挿入される雄端子の長手延在方向とは異なる方向、例えば略垂直な方向であり得る。
【0017】
電線接続部200は電線と接続可能な部材である。具体的には、電線接続部200は、電線の複数の導体に圧着される第1の凸部分201と、絶縁被覆部分に圧着される第2の凹部分202とを備える。図1図5では電線への圧着前状態を示すが、圧着後においては、電線が電線接続部200の第1の圧着部分(圧着前の第1の凸部分201に対応)の先端領域から突き出るように配置され得る。なお、圧着後の第1の圧着部分については、後述する図7および図8にて符号200Iにて示している。
【0018】
図6は、本開示の一実施形態に係るコネクタ端子を収容するコネクタ端子ハウジングを模式的に示す斜視図である。図7は、電線の延在方向から見た図6のコネクタ端子を収容するコネクタ端子ハウジングを模式的に示す断面図である。図8は、図7の点線丸囲み領域の拡大断面図である。
【0019】
上記で述べたコネクタ端子500は、図6に示すコネクタ端子ハウジング600内に挿入された状態で用いられる。コネクタ端子ハウジング600は、図7および図8に示す態様では、コネクタ端子500が係止可能な2つの係止部(第1の係止部610、第2の係止部640)と、コネクタ端子500を収容可能な内部空間620とを有し得る。内部空間620は、コネクタ端子ハウジング600の高さ方向(図中のX方向に対応)と幅方向(図中のY方向に対応)に複数並列に配置されている。また、コネクタ端子500の挿入方向は図中のZ方向に対応する。
【0020】
2つの係止部610、640は、内部空間620を形作るコネクタ端子ハウジング600の内壁面630に設けられている。係止部としては、例えばラッチ(または掛け金部)形態、ランス(または槍)形態等であり得る。第1の係止部610は、上記の筒状部材20の開口部22を形作る輪郭と当接可能に開口部22に入ることができる。一例として、第1の係止部610では、その先端側の側面が開口部22(図1等参照)を形作る輪郭と当接し、その先端側の底面が平坦状または略平坦状であってよい。また、第2の係止部640は、上記の筒状部材20の開口部23を形作る輪郭と当接可能に開口部23に入ることができる。これにより、特に、コネクタ端子の挿入方向(図6中のZ方向に対応)に沿って、コネクタ端子ハウジング600内から外部へのコネクタ端子の抜けを回避することができる。
【0021】
なお、図6および図7には、例示として、X方向(高さ方向に相当)において、コネクタ端子ハウジング600の2つの内部空間620に、電線に圧着状態の電線接続部200Iを有するコネクタ端子と、圧着されていない状態の電線接続部200を有するコネクタ端子とがそれぞれ配置された状態を図示している。
【0022】
図7に示すように、圧着状態では、電線300は、複数の導体301および複数の導体301を覆う絶縁被覆部分302を備え、複数の導体301が相互に撚り合わせられ得る。導体301は例えばアルミニウム等から構成され得る。この導体301が、電線接続部200Iまたは端子接続部100と接触することで、電線とコネクタ端子500との電気的接続が可能となる。
【0023】
絶縁被覆部分302は絶縁性の樹脂により構成され得る。特に限定されるものではないが、一例として、絶縁被覆部分302は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、および不飽和ポリエステル樹脂から成る群から選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂材を含み得る。
【0024】
図9は、図7中の係止部により係止された本開示の一実施形態に係るコネクタ端子を模式的に示す斜視図である。図10は、図9の長手方向から見た本開示の一実施形態に係るコネクタ端子を模式的に示す断面図である。図11は、図10とは別の角度から見た本開示の一実施形態に係るコネクタ端子の部分拡大断面図である。図12は、図11の線分A-A間における本開示の一実施形態に係るコネクタ端子を模式的に示す断面図である。図13は、本開示の一実施形態に係るコネクタ端子に挿入される雄端子を模式的に示す斜視図である。
【0025】
図9は、図1と比べて、既述のコネクタ端子ハウジング600の第1の係止部610が追加的に図示されている点で異なる。図10は、図4と比べて、コネクタ端子ハウジング600の第1の係止部610が追加的に図示され、かつ弾性部材10の側壁が明示されている点で異なる。
【0026】
[本開示の特徴部分]
以下、本開示の特徴部分について説明する。本開示は、上述のコネクタ端子の構成要素である弾性部材10の構成に特徴を有する。
【0027】
具体的には、図10図12に示すように、本開示は、弾性部材10が、断面視にて、筒状部材20内へと挿入される雄端子700(図13参照)と接触可能な一端側15から他端側17へと向かって凹部構造19を有する点に特徴を有する。この凹部構造19は凹部断面構造と称することもできる。本実施形態では、雄端子700は、符号701で示すその一端部が筒状部材20内へと挿入され、その後弾性部材の一端側15と接触可能に構成される。
【0028】
かかる特徴によれば、弾性部材の一端側の断面形状が略平面状の場合と比べて、弾性部材の厚みを厚くしなくとも、その凹部構造19の形態に起因して、挿入される雄端子との接触時に作用する力にたえ得る強度を好適に確保することが可能となる。かかる強度をより高的に確保する観点からは、上記弾性部材10の凹部構造19は弾性部材10の上記一端側15から他端側17まで連続していることが好ましい。
【0029】
具体的には、凹部構造19を有する弾性部材10は、底部11と、底部11に連続する相互に対向する2つの側部12、13とを有し得る。この底部11は、受容する雄端子の長手延在方向に沿って延在する。2つの側部12、13は、底部11と筒状部材20の内壁面24との間に雄端子を受容可能な空間を形成可能に、底部11から底部11の延在方向とは異なる方向に延在する。
【0030】
凹部構造19内の内部空間をできるだけ大きくとる観点から、2つの側部12、13は底部11の両端から連続していてよい。上記の異なる方向は、例えば底部11の延在方向に対して垂直な方向であってよい。この場合、弾性部材10の凹部構造19は、断面視で屈曲または湾曲ポイントを2箇所有し、コの字構造をとり得る。
【0031】
凹部構造19を採用することで、略平面構造と比べて、2つの側部12、13が供されるため、弾性部材10の領域を大きくとることができる。かかる弾性部材10の領域の増大に伴い、挿入される雄端子との接触時に作用する力に抗する応力を好適に供することができる。結果として、弾性部材10自体の強度向上を図ることができる。
【0032】
本実施形態では、筒状部材20への雄端子の挿入完了時の保持状態を好適にする観点から、挿入時(挿入途中に対応)において、弾性部材10の底部11とこれに対向する筒状部材20の内壁面24との間の離隔距離を、雄端子が底部11に接触可能な距離にすることが好ましい。
【0033】
これにより、雄端子の底部11への接触が好適に確保される。その上で、上記のとおり、弾性部材10自体の強度向上が図られるため、雄端子の挿入時に作用する弾性部材の弾性力を弾性部材10から雄端子側へと好適に供することができる。これにより、挿入完了時に筒状部材20内に雄端子を好適に保持可能となる。かかる保持により、雄端子と端子接続部100を含むコネクタ端子500との好適な電気的接続が可能となる。
【0034】
なお、上記の凹部構造を有する弾性部材を有するコネクタ端子については、予め所定箇所に開口部を有する所定形状の連続する金属プレートを随時折り曲げていくことで作製することができる。
【0035】
また、上記構造を採ることを前提として、弾性部材10の一端側15における側部12、13の少なくとも一方が突起部分14をそれぞれ有し、この突起部分14が底部11の延在方向とは異なる方向に延在することが好ましい。
【0036】
かかる突起部分14の形成により、図11に示すように、弾性部材10の一端側15における2つの側部12、13の少なくとも一方の高さH1を、一端側15以外の他の部分16における2つの側部の高さH2よりも高くすることができる。これにより、端子接続部100の筒状部材20の内壁面24に突起部分14を接触させることが可能となる。
【0037】
かかる突起部分14の筒状部材20の内壁面24への接触により、雄端子の挿入時に雄端子の長手延在方向に対して例えば略垂直な方向での、筒状部材20の内壁面24に向かう(即ち、筒状部材の上側方向へと向かう)弾性部材10の一端側15の過変形を抑制可能となる。これにより、弾性部材10が挿入完了時の雄端子の保持力を供するために、筒状部材の下側方向へと向かう弾性力を繰り返し継続して供することが可能となる。
【0038】
また、弾性部材が従前のように略平面構造を有する場合、その平面構造を有する弾性部材の幅寸法を大きくすれば、弾性部材の強度低下を防ぐことができることが考えられる。しかしながら、この場合、弾性部材の幅寸法を大きくする必要があるため、これに伴い、筒状部材の幅寸法も大きくなり、結果としてコネクタ端子の幅寸法が大きくなってしまうことが懸念される。
【0039】
この点につき、本実施形態では、凹部構造19を採用することで、従前における平面構造部分に対応する弾性部材10の底部11の幅寸法を相対的に小さくしたとしても、その小さくした分を所定高さの側部によりカバーする、または補うことができる。
【0040】
そのため、弾性部材10の底部11の幅寸法を相対的に小さくしたとしても、全体として弾性部材10自体の強度向上に資することが可能となる。これにより、筒状部材20の開口部21の幅寸法を高さ寸法よりも小さくすることができる。その結果として、端子接続部100の幅寸法が低減化され、ひいてはコネクタ端子の小型化が実現可能となる。
【0041】
本実施形態では、凹部構造19を有する弾性部材10の底部11の幅寸法を筒状部材20の開口部21の幅寸法よりも小さくすることもできる。この場合、底部の幅寸法よりも大きい径の雄端子を筒状部材20内へと受容可能となる。代替的には、場合によっては、弾性部材10の内部空間18を利用して、この内部空間18内に相対的に径の小さい雄端子を挿入することも可能となる。
【0042】
この点につき、従前の平面構造を有する弾性部材を用いる態様では、弾性部材の幅寸法と筒状部材の開口部の幅寸法が略同一であり、かつ雄端子も弾性部材の主面上に配置する態様に限定されていた。かかる従前の態様と比べて、本実施形態では、筒状部材内に受容される雄端子の配置箇所および径又は種類の自由度を高めることができる。
【0043】
更に、凹部構造19の底部11の幅寸法と筒状部材20の開口部21の幅寸法とが略同一の従前の態様と比べて、弾性部材10が筒状部材の内壁面24に接しにくくなるため、弾性部材10の弾性機能を継続して発揮することができる。
【0044】
また、既述のコネクタ端子ハウジング600の係止部は以下の構成をとることが好ましい。
【0045】
図14は、別構造の係止部により係止された本開示の別の実施形態に係るコネクタ端子を模式的に示す斜視図である。図15は、図14の長手方向から見た本開示の別の実施形態に係るコネクタ端子を模式的に示す断面図である。図16は、図15とは別の角度から見た本開示の別の実施形態に係るコネクタ端子の部分拡大断面図である。図17は、図16の線分B-B間における本開示の別の実施形態に係るコネクタ端子を模式的に示す断面図である。
【0046】
既述のとおり、コネクタ端子ハウジング600の係止部は筒状部材20の対応する開口部22を形作る輪郭と当接可能に開口部に入ることができ、それにより、コネクタ端子ハウジング600内から外部へのコネクタ端子の抜けを回避することができる。
【0047】
この点につき、かかるコネクタ端子の抜けをより好適に回避する観点から、以下の構成をとることが好ましい。具体的には、上記の凹部構造19を有する弾性部材10が、既述のコネクタ端子ハウジング600の係止部の一部を受容可能な内部空間を有することが好ましい。
【0048】
即ち、凹部構造19に起因して形成される弾性部材10の内部空間が係止部の一部を受容可能な内部空間として機能することが好ましい。換言すれば、凹部構造19を有する弾性部材10により形成される内部空間へとコネクタ端子ハウジング600の係止部の一部を差し込み可能であることが好ましい。
【0049】
一例としては、図14図17に示すように、コネクタ端子ハウジング600の係止部610Iが、ボディ部分611Iと、ボディ部分611Iの一部に、例えばボディ部分611Iの底面の一部に設けられた突起部分612Iとを有し、凹部構造19を有する弾性部材10の内部空間18に係止部の突起部分612Iを差し込み可能な構成を採ることができる。
【0050】
この係止部の突起部分612Iは、凹部構造19を有する弾性部材10の内部空間18と対向可能に位置付けられ得る。また、用いる弾性部材の内部空間18の深さ(弾性部材の2つの側部12、13の高さに対応)に応じて、この深さ方向に沿った突起部分612Iの長さを予め調整しておくことで、突起部分612Iを弾性部材10の内部空間18内に好適に位置付けることが可能となる。
【0051】
かかる突起部分612Iの存在により、突起部分を有しない既述の第1の係止部分610(図9図12参照)と比べて、突起部分612Iを弾性部材10の内部空間18まで深く差し込むことができる。これにより、突起部分を有しない既述の第1の係止部分610(図9図12参照)と比べて、筒状部材20の開口部を形作る輪郭に対して係止部610Iをより好適に係止させることができる。
【0052】
その結果、突起部分612Iを介して、コネクタ端子に対する外部への引張り力に抗する力を好適に供することができ、コネクタ端子の挿入方向(図6中のZ方向に対応)に沿って(更にはコネクタ端子ハウジング600の幅方向(図6中のY方向に対応)に沿って)、コネクタ端子ハウジング600内から外部へのコネクタ端子の抜けをより好適に回避することができる。
【0053】
以上により、コネクタ端子の挿入方向(図6中のZ方向に対応)における(更にはコネクタ端子ハウジング600の幅方向(図6中のY方向に対応)における)コネクタ端子の移動を回避することができ、コネクタ端子ハウジング600内におけるコネクタ端子のより安定的な配置に資することが可能となる。
【0054】
なお、本開示は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良および設計上の変更が可能である。
【0055】
本開示は以下の態様を採り得る。
<1>
雄端子と接続可能な端子接続部を備え、
前記端子接続部は、前記雄端子を受容可能な筒状部材と、前記筒状部材の内部に設けられた弾性部材とを備え、
前記弾性部材は、長手方向の一端側にて前記雄端子と接触可能となっており、他端側にて前記筒状部材と連続し、および、
前記弾性部材は、断面視にて、前記一端側から前記他端側へと向かって延在する凹部構造を有する、コネクタ端子。

<2>
前記凹部構造が前記一端側から前記他端側まで連続する、<1>に記載のコネクタ端子。

<3>
前記凹部構造を有する弾性部材が、底部と、前記底部に連続する対向する2つの側部とを有し、前記底部が、受容する前記雄端子の長手延在方向に沿って延在し、前記2つの側部が、前記底部と前記筒状部材の内壁面との間に前記雄端子を受容可能な空間を形成可能に、前記底部から前記底部の延在方向とは異なる方向に延在する、<1>又は<2>に記載のコネクタ端子。

<4>
前記弾性部材の前記一端側における前記側部が突起部分を有し、前記突起部分が前記底部の延在方向とは異なる方向に延在する、<3>に記載のコネクタ端子。

<5>
前記弾性部材の前記一端側における前記2つの側部の少なくとも一方の高さが、前記一端側以外の他の部分における前記2つの側部の高さよりも高い、<3>又は<4>に記載のコネクタ端子。

<6>
前記突起部分が前記端子接続部の前記筒状部材の内壁面と接触可能となっている、<3>~<5>のいずれかに記載のコネクタ端子。

<7>
前記筒状部材は前記雄端子を受容する開口部を有し、前記開口部の幅寸法が高さ寸法よりも小さい、<1>~<6>のいずれかに記載のコネクタ端子。

<8>
前記筒状部材は前記雄端子を受容する開口部を有し、前記底部の幅寸法が前記筒状部材の前記開口部の幅寸法よりも小さい、<3>~<7>のいずれかに記載のコネクタ端子。

<9>
前記雄端子が前記底部に接触可能である、<3>~<8>のいずれかに記載のコネクタ端子。

<10>
前記筒状部材内において、前記弾性部材の底部と前記筒状部材の内壁面との間に内部空間が設けられ、前記内部空間が前記雄端子を挿入可能な空間である、<3>~<9>のいずれかに記載のコネクタ端子。
<11>
コネクタ端子ハウジング内に挿入可能であり、かつ前記コネクタ端子ハウジングに設けられた係止部と係止可能である、<1>~<10>のいずれかに記載のコネクタ端子。

<12>
前記凹部構造を有する弾性部材が、前記コネクタ端子ハウジングの前記係止部の一部を受容可能な内部空間を有する、<11>に記載のコネクタ端子。

<13>
前記係止部が、ボディ部分と、前記ボディ部分の一部に設けられた突起部分とを有し、前記凹部構造を有する弾性部材の前記内部空間に前記係止部の突起部分を差し込み可能となっている、<12>に記載のコネクタ端子。

<14>
前記端子接続部と連続し、かつ電線と接続可能な電線接続部を更に備える、<1>~<13>のいずれかに記載のコネクタ端子。

<15>
雌端子である、<1>~<14>のいずれかに記載のコネクタ端子。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本開示のコネクタ端子は車載品等にて用いることができる。
【符号の説明】
【0057】
700 雄端子
701 雄端子の一端部

600 コネクタ端子ハウジング
610 係止部
610I 係止部(別の実施形態)
611I ボディ部分
612I 突起部分
620 内部空間
630 内壁面
640 係止部

500 コネクタ端子

300 電線
301 導体
302 絶縁被覆部分

200 電線接続部(圧着未)
200I 電線接続部(圧着済)
201 第1の凹部分
202 第2の凹部分

100 端子接続部

20 筒状部材
21 開口部(筒状部材の端部)
22 開口部(筒状部材の長手部分)
23 開口部(筒状部材の長手部分)
24 筒状部材の内壁面

10 弾性部材
11 底部
12 側部
13 側部
14 突起部分
15 弾性部材の一端側
16 弾性部材の一端側以外の他の部分
17 弾性部材の他端側
18 弾性部材の内部空間
19 凹部構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17