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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012505
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】カメラモジュール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 30/00 20210101AFI20250117BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20250117BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20250117BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20250117BHJP
【FI】
G03B30/00
G02B7/02 Z
G03B17/02
H04N23/57
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115379
(22)【出願日】2023-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】321009166
【氏名又は名称】シャープセンシングテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 崇水
(72)【発明者】
【氏名】森本 一弘
(72)【発明者】
【氏名】一場 慶一郎
(72)【発明者】
【氏名】澤井 敬一
(72)【発明者】
【氏名】船越 峯光
【テーマコード(参考)】
2H044
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AJ01
2H044AJ06
5C122DA03
5C122DA04
5C122EA57
5C122FB03
5C122FB08
5C122FB24
5C122FC01
5C122FC02
5C122GE05
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】撮像素子へ追加の加工を行うことなく、基板の面方向におけるレンズホルダの位置決めを行う。
【解決手段】カメラモジュール(1)は、基板(2)と、センサチップ(3)と、レンズホルダ(4)と、レンズ(5)と、を備えている。レンズホルダ(4)の内周面(420)とセンサチップ(3)の外周面(30)との位置関係は、センサチップ(3)の中心軸(C2)とレンズ(5)の光軸(C1)との基板(2)の面方向におけるずれ量が、許容誤差以下に収まるようになっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
受光部を有し、前記基板の上面に搭載された撮像素子と、
前記撮像素子を覆うように、前記基板の前記上面に搭載されたレンズホルダと、
前記レンズホルダに保持されたレンズと、
を備え、
前記レンズホルダの内周面と前記撮像素子の外周面との位置関係は、前記撮像素子の中心軸と前記レンズの光軸との前記基板の面方向におけるずれ量が、許容誤差以下に収まるようになっていることを特徴とするカメラモジュール。
【請求項2】
前記レンズホルダの内周面の一部と、前記撮像素子の外周面の一部とが当接していることを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項3】
前記許容誤差は、50μm程度であることを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項4】
前記レンズホルダは、前記撮像素子と当接する当接部を有していることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のカメラモジュール。
【請求項5】
前記レンズホルダと前記基板とは、接着剤により固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載のカメラモジュール。
【請求項6】
レンズホルダ内にレンズを搭載するレンズ搭載工程と、
基板の上面に撮像素子を搭載する撮像素子搭載工程と、
前記基板の前記上面における前記撮像素子よりも外側に、前記レンズホルダを接着するための接着剤を塗布する塗布工程と、
前記基板の前記上面に前記接着剤を介して前記レンズホルダを固定する固定工程と、
を含み、
前記レンズホルダの内周面と前記撮像素子の外周面との位置関係は、前記撮像素子の中心軸と前記レンズの光軸との前記基板の面方向におけるずれ量が、許容誤差以下に収まるようになっていることを特徴とするカメラモジュールの製造方法。
【請求項7】
前記固定工程は、前記レンズホルダの内周面の一部を、前記基板の前記上面に搭載された前記撮像素子の外周面の一部に当接させることにより、前記レンズの光軸と前記撮像素子の中心軸との位置を合わせる位置決め工程を含むことを特徴とする請求項6に記載のカメラモジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュール、及びカメラモジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像素子と、入射光を撮像素子上に結像するためのレンズとがモジュール化された撮像モジュールがある。例えば、特許文献1には、センサチップ上に被写体光を結像させるための集光レンズを内部に収容したホルダ部材が、センサチップを覆うように基板上に装着された撮像モジュールについて開示されている。
【0003】
特許文献1の撮像モジュールでは、センサチップ上の撮像領域以外の周辺領域に設けられた凹部に、ホルダ部材の突起部が嵌め込められている。これにより、センサチップの撮像領域と集光レンズとの高さ方向の距離を精度よく規定している。また、センサチップの撮像領域の中心位置と集光レンズの光軸とを、基板面に沿った方向に精度よく位置合わせしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-74781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の撮像モジュールでは、センサチップへの追加の加工として、センサチップ上に凹部を設ける必要があるという課題があった。
【0006】
本発明の一態様は、撮像素子へ追加の加工を行うことなく、基板の面方向におけるレンズホルダの位置決めを行うことを可能としたカメラモジュール及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るカメラモジュールは、基板と、受光部を有し、前記基板の上面に搭載された撮像素子と、前記撮像素子を覆うように、前記基板の前記上面に搭載されたレンズホルダと、前記レンズホルダに保持されたレンズと、を備えている。前記レンズホルダの内周面と前記撮像素子の外周面との位置関係は、前記撮像素子の中心軸と前記レンズの光軸との前記基板の面方向におけるずれ量が、許容誤差以下に収まるようになっている。
【0008】
本発明の一態様に係るカメラモジュールの製造方法は、レンズホルダ内にレンズを搭載するレンズ搭載工程と、基板の上面に撮像素子を搭載する撮像素子搭載工程と、前記基板の前記上面における前記撮像素子よりも外側に、前記レンズホルダを接着するための接着剤を塗布する塗布工程と、前記基板の前記上面に前記接着剤を介して前記レンズホルダを固定する固定工程と、を含む。前記レンズホルダの内周面と前記撮像素子の外周面と位置関係は、前記撮像素子の中心軸と前記レンズの光軸との前記基板の面方向におけるずれ量が、許容誤差以下に収まるようになっている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、撮像素子へ追加の加工を行うことなく、基板の面方向におけるレンズホルダの位置決めを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1に係るカメラモジュールの構成を示す断面図である。
図2】実施形態1に係るカメラモジュールの構成を示す上面図である。
図3】実施形態1に係るレンズ搭載工程終了後の様子を示す断面図である。
図4】実施形態1に係る撮像素子搭載工程の様子を示す断面図である。
図5】実施形態1に係る塗布工程終了後の様子を示す断面図である。
図6】実施形態1に係る固定工程終了後の様子を示す断面図である。
図7】実施形態2に係るカメラモジュールの構成を示す断面図である。
図8】実施形態2に係るカメラモジュールの構成を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1に係るカメラモジュール1について、図1図6を参照して説明する。
【0012】
[カメラモジュールの構成]
図1は、実施形態1に係るカメラモジュール1の構成を示す断面図である。図2は、実施形態1に係るカメラモジュール1の構成を示す上面図である。図1及び図2に示すように、カメラモジュール1は、基板2と、センサチップ3と、レンズホルダ4と、レンズ5と、光学フィルター6とを備えている。なお、図2では、光学フィルター6が省略されている。
【0013】
カメラモジュール1は、例えば携帯端末等の電子機器に搭載される。基板2は、矩形板状の部材であり、例えばフレキシブル基板、又はリジッド基板である。以下、説明の便宜上、図1及び図2の矢印に示されるように、カメラモジュール1の上下方向、左右方向、及び前後方向を定義する。
【0014】
基板2の上面2aには、センサチップ3が搭載されている。基板2は、センサチップ3から取得した画像データを含む電気信号を、基板2に接続された端子(図示省略)を介して、カメラモジュール1が搭載された携帯端末の制御部(図示省略)に出力する。
【0015】
センサチップ3は、撮像素子である。センサチップ3としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、又は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を有する集積回路を用いることができる。センサチップ3は、レンズ5で集光された光を受光して得られた光信号を電気信号に変換することで、撮像を行う。
【0016】
センサチップ3の下面3bは、複数の半田ボールSにより、基板2に電気的に接続されている。なお、センサチップ3は、他にもワイヤ等によって基板2に電気的に接続されていてもよい。
【0017】
センサチップ3の上面3aには、矩形状の受光部31が設けられている。受光部31は、センサチップ3の上面3aの中央部に形成され、レンズ5から入射される光を結像する領域である。受光部31では、複数の受光素子がマトリクス状に配置されている。受光素子は、受光部31に結像された被写体像を電気的に変換する。
【0018】
基板2の上面2aには、センサチップ3の外側を覆うように、レンズホルダ4が搭載されている。レンズホルダ4は、例えばポリカーボネート、液晶ポリマー(LCP:Liquid Crystal Polymer)等の樹脂からなる中空部材である。レンズホルダ4は、接着剤Bにより、基板2の上面2aに固定されている。なお、レンズホルダ4の材質は、樹脂に限らず、金属等であってもよい。
【0019】
接着剤Bは、例えば紫外線熱硬化型接着剤である。紫外線熱硬化型接着剤は、光硬化及び熱硬化する樹脂であり、紫外線の照射により仮硬化し、加熱処理により完全硬化する。なお、接着剤Bは、紫外線熱硬化型接着剤に限らず、熱硬化型接着剤であってもよい。また、基板2とレンズホルダ4とは、接着剤B以外にも、テープ、又はネジ等によって固定されてもよい。
【0020】
図1に示すように、レンズホルダ4は、第1ホルダ41と、第1ホルダ41の下部に接続された第2ホルダ42とが一体化されたものである。なお、レンズホルダ4は、1つの部材から構成されていてもよい。
【0021】
第1ホルダ41は、円筒状の円筒部41aと、円筒部41aの下部に接続された段差部41bと、段差部41bから下方に突出し、センサチップ3の上面3aと当接した当接部41cとを有している。第2ホルダ42は、矩形箱状であり、センサチップ3を覆うように配置されている。
【0022】
レンズホルダ4の円筒部41aの内周面410には、2つのレンズ5が保持されている。レンズ5は、カメラモジュール1に入射した光をセンサチップ3の受光部31に導く。なお、レンズ5の数は、2つに限らず、適宜変更可能である。
【0023】
レンズホルダ4の段差部41bには、光学フィルター6が固定されている。光学フィルター6は、レンズ5で集光された光のうち、例えば赤外線(IR:Infrared Radiation)を遮断するためのフィルターである。なお、光学フィルター6に代えて、カバーガラスを用いてもよい。また、光学フィルター6は必須ではない。
【0024】
当接部41cは、第1ホルダ41の下面の外周縁部に、周方向に間隔をあけて4つ突設されている。各当接部41cの下面は、センサチップ3の上面3aの受光部31よりも外周側で、センサチップ3と当接している。これにより、レンズ5とセンサチップ3との高さ方向、即ち図1の上下方向の位置決めが行われる。
【0025】
当接部41cの高さ、即ち図1の上下方向の長さは、レンズ5とセンサチップ3との距離が適切な距離となるように設定されている。なお、当接部41cの個数は、4つに限らず、例えば3つでもよい。また、当接部41cは、第1ホルダ41の外周縁部の周方向全体に亘って突設されていてもよい。
【0026】
第2ホルダ42の下面は、基板2の上面2aに、接着剤Bにより固定されている。具体的には、レンズ5を保持したレンズホルダ4は、基板2に搭載されたセンサチップ3を覆うように、基板2の上面2aに固定されている。
【0027】
図1に示すように、レンズホルダ4の第2ホルダ42の内周面420と、センサチップ3の外周面30との間には、隙間Gが形成されている。隙間Gの大きさ、即ち、第2ホルダ42の内周面420とセンサチップ3の外周面30との間の距離dは、レンズホルダ4を基板2に固定する際にレンズホルダ4が基板2の面方向にずれた場合に変化する。上記の距離dの変化は、レンズ5の光軸C1とセンサチップ3の中心軸C2とのずれを意味する。
【0028】
カメラモジュール1では、レンズホルダ4の第2ホルダ42の内周面420の位置が、図2の左右方向又は前後方向のいずれかの方向にずれると、後述する図6に示すように、第2ホルダ42の内周面420とセンサチップ3の外周面30とが接触する。このとき、レンズ5の光軸C1とセンサチップ3の中心軸C2とのずれ量Δd(図6参照)は、許容誤差以下である。第2ホルダ42の内周面420とセンサチップ3の外周面30とが接触したときが、レンズホルダ4のずれが最大となるので、カメラモジュール1では、上記のずれ量Δdが許容誤差を超えることはない。
【0029】
このように、レンズホルダ4の第2ホルダ42の内周面420と、センサチップ3の外周面30との位置関係は、レンズ5の光軸C1とセンサチップ3の中心軸C2とのずれ量Δdが、許容誤差以下に収まるようになっている。
【0030】
ここで、「許容誤差」とは、カメラモジュール1のシェーディング特性等の光学性能に悪影響を及ぼさない程度のずれ量Δdのことである。許容誤差は、例えば50μm程度に設定されている。
【0031】
[カメラモジュールの製造方法]
次に、カメラモジュール1の製造方法の一例について、図3図6を参照して説明する。カメラモジュール1の製造方法では、レンズ搭載工程S1、撮像素子搭載工程S2、塗布工程S3、及び固定工程S4が順に行われる。なお、レンズ搭載工程S1と撮像素子搭載工程S2とは、この順に行われなくてもよく、逆の順序で行われてもよい。また、レンズ搭載工程S1と撮像素子搭載工程S2とは、並行して行われてもよく、例えば、レンズ搭載工程S1及び撮像素子搭載工程S2がそれぞれ別々の場所で行われてもよい。
【0032】
まず、レンズ搭載工程S1について、図3を参照して説明する。図3は、レンズ搭載工程S1終了後の様子を示す断面図である。図3に示すように、レンズ搭載工程S1では、レンズホルダ4の第1ホルダ41の円筒部41a内に、2つのレンズ5を固定して搭載する。また、第1ホルダ41の段差部41bに、光学フィルター6を固定する。
【0033】
続いて、撮像素子搭載工程S2について、図4を参照して説明する。図4は、撮像素子搭載工程S2の様子を示す断面図である。図4に示すように、撮像素子搭載工程S2では、基板2の上面2aにおける所定位置に、複数の半田ボールSにより、センサチップ3を固定する。センサチップ3は、複数の半田ボールSを介して、基板2の上面2aに配置された電極(図示省略)と電気的に接続される。
【0034】
次に、塗布工程S3について、図5を参照して説明する。図5は、塗布工程S3終了後の様子を示す断面図である。図5に示すように、塗布工程S3では、基板2の上面2aにおけるセンサチップ3よりも外側に、レンズホルダ4を接着するための接着剤Bを塗布する。
【0035】
なお、接着剤Bの塗布範囲は、レンズホルダ4が基板2の面方向、即ち図2の左右方向、又は前後方向にずれることを考慮して、レンズホルダ4の第2ホルダ42の下面と基板2の上面2aとが当接する範囲よりも広い範囲に塗布することが好ましい。
【0036】
次に、固定工程S4について、図6を参照して説明する。図6は、固定工程S4終了後の様子を示す断面図である。図6に示すように、固定工程S4では、基板2の上面2aに、接着剤Bを介してレンズホルダ4を固定する。
【0037】
固定工程S4では、まず、レンズホルダ4に保持されたレンズ5の光軸C1と、基板2に搭載されたセンサチップ3の中心軸C2とが一致するように、基板2の上面2aにおける目標搭載位置にレンズホルダ4を配置する。
【0038】
ここで、センサチップ3の中心軸C2の位置は、カメラ等の画像読取装置(図示省略)を用いて、センサチップ3の受光部31を画像認識して、受光部31の中心を求めることに基づいて決める。また、レンズ5の光軸C1の位置も、画像読取装置を用いて、レンズホルダ4を画像認識して、円筒部41aの中心位置を求めることに基づいて決める。
【0039】
なお、センサチップ3の上面3aに、センサチップ3の中心軸C2を示すマークを付けて、このマークを目印としてレンズホルダ4を配置することにより、センサチップ3の中心軸C2とレンズ5の光軸C1とを一致させるようにしてもよい。
【0040】
次に、基板2とレンズホルダ4との間に塗布された接着剤Bに向けて、紫外線を照射して接着剤Bを仮硬化させることで、基板2の所定位置にレンズホルダ4を仮固定させる。そして、仮固定された基板2及びレンズホルダ4を、オーブン(図示省略)等に入れて加熱することにより、接着剤Bを完全硬化させることで、レンズホルダ4を基板2に完全固定させる。
【0041】
ここで、仮固定された基板2及びレンズホルダ4をオーブンに移動させる時に外力が加わったり、接着剤Bが完全硬化するまでの間に収縮したりすることによって、図6に示すように、レンズホルダ4の位置が基板2における目標搭載位置からずれる場合がある。
【0042】
図6に示す例では、白抜きの矢印A1に示されるように、レンズホルダ4が基板2に対して右方向に移動した場合について示されている。この場合、カメラモジュール1では、レンズホルダ4の第2ホルダ42の左側の内周面420が、センサチップ3の左側の外周面30に当接することにより、レンズホルダ4の右方向への移動が規制されるようになっている。これにより、カメラモジュール1は、レンズ5の光軸C1とセンサチップ3の中心軸C2とのずれ量Δdが、許容誤差以下に収まる構造となっている。
【0043】
[実施形態1の効果]
以上説明したように、実施形態1のカメラモジュール1では、図1に示すように、レンズホルダ4の第2ホルダ42の内周面420と、センサチップ3の外周面30との位置関係は、レンズ5の光軸C1とセンサチップ3の中心軸C2とのずれ量Δd(図6参照)が許容誤差以下に収まるようになっている。
【0044】
即ち、レンズホルダ4が基板2の面方向、即ち図2の左右方向、又は前後方向にずれたとしても、図6に示すように、第2ホルダ42の内周面420と、センサチップ3の外周面30とが接触して、基板2の面方向におけるレンズホルダ4のずれが規制されるようになっている。
【0045】
これにより、レンズ5の光軸C1と、センサチップ3の中心軸C2との基板2の面方向のずれ量Δdを、許容誤差以下に収めることができる。従って、センサチップ3へ追加の加工を行うことなく、基板2の面方向におけるレンズホルダ4の位置決めを高精度に行うことができる。
【0046】
また、第2ホルダ42の内周面420と、センサチップ3の外周面30との間に隙間Gが形成されている。このため、レンズホルダ4のサイズ及びセンサチップ3のサイズに、製造上の僅かなばらつきがあったとしても、センサチップ3に干渉することなく、レンズホルダ4を基板2の上面2aに適切に配置することが可能である。
【0047】
また、カメラモジュール1では、レンズホルダ4の当接部41cがセンサチップ3の上面3aと当接しているので、レンズホルダ4に保持されたレンズ5とセンサチップ3との高さ方向、即ち上下方向の位置決めを高精度に行うことができる。
【0048】
また、レンズホルダ4と基板2とは、紫外線熱硬化型の接着剤Bにより固定されている。このため、レンズホルダ4及び基板2に紫外線を照射して、接着剤Bを仮硬化させた後、レンズホルダ4及び基板2を加熱して、接着剤Bを完全硬化させることで、レンズホルダ4と基板2との固定強度を向上させることができる。
【0049】
〔実施形態2〕
次に、実施形態2のカメラモジュール1Aについて、図7及び図8を参照して説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0050】
図7は、実施形態2に係るカメラモジュール1Aの構成を示す断面図である。図8は、実施形態2に係るカメラモジュール1Aの構成を示す上面図である。以下、説明の便宜上、図7及び図8の矢印に示されるように、カメラモジュール1Aの上下方向、左右方向、及び前後方向を定義する。
【0051】
[カメラモジュールの構成]
図7に示すように、実施形態2のカメラモジュール1Aにおいては、レンズホルダ4の第2ホルダ42の内周面420の一部と、センサチップ3の外周面30の一部とが当接したときに、レンズ5の光軸C1とセンサチップ3の中心軸C2とが一致する点が、実施形態1のカメラモジュール1と異なる。
【0052】
即ち、カメラモジュール1Aは、図8に示すように、第2ホルダ42の左側の内周面420aとセンサチップ3の左側の外周面30a、及び第2ホルダ42の前側の内周面420bとセンサチップ3の前側の外周面30bが接触した状態において、レンズ5の光軸C1とセンサチップ3の中心軸C2とが一致する。このように、レンズホルダ4のサイズ、及びセンサチップ3のサイズを設計することによって、レンズ5の光軸C1とセンサチップ3の中心軸C2とのずれ量Δd(図6参照)を許容誤差以下とすることができる。
【0053】
なお、レンズホルダ4の右側の内周面420cと、センサチップ3の右側の外周面30cとは接触していない。また、レンズホルダ4の後側の内周面420dと、センサチップ3の後側の外周面30dとは接触していない。
【0054】
[カメラモジュールの製造方法]
次に、カメラモジュール1Aの製造方法について、図7及び図8を参照して説明する。カメラモジュール1Aの製造方法では、レンズ搭載工程S1、撮像素子搭載工程S2、塗布工程S3、及び固定工程S4が順に行われる。
【0055】
実施形態2のカメラモジュール1Aの製造方法では、実施形態1のカメラモジュール1の製造方法と同様に、レンズ搭載工程S1、撮像素子搭載工程S2、及び塗布工程S3が行われ、固定工程S4の処理内容が実施形態1と異なる。
【0056】
以下、実施形態2の固定工程S4について詳しく説明する。固定工程S4では、図7の白抜き矢印A2に示すように、基板2の上面2aに沿って、レンズホルダ4を押圧することによって、第2ホルダ42の左側の内周面420aを、センサチップ3の左側の外周面30aに当接させる。更に、第2ホルダ42の前側の内周面420bを、センサチップ3の前側の外周面30bに当接させる。
【0057】
つまり、レンズホルダ4の第2ホルダ42の左前方の角部421を、センサチップ3の左前方の角部301に接触させる。これにより、レンズ5の光軸C1と、センサチップ3の中心軸C2との位置を合わせる位置決め工程S41を行う。
【0058】
なお、レンズホルダ4の第2ホルダ42の左前方の角部421を、センサチップ3の左前方の角部301に接触させる際に、荷重センサ等を用いて、第2ホルダ42の内周面420aとセンサチップ3の外周面30a、及び第2ホルダ42の内周面420bとセンサチップ3の外周面30bとが当接したことを検知するようにしてもよい。この場合、荷重センサ等によって、第2ホルダ42の内周面420a,420bとセンサチップ3の外周面30a,30bとの接触を検知したら、レンズホルダ4の押圧を止めることで、センサチップ3の損傷等を防ぐことができる。
【0059】
次に、基板2とレンズホルダ4との間に塗布された接着剤Bに向けて、紫外線を照射して接着剤Bを仮硬化させることで、基板2にレンズホルダ4を仮固定させる。そして、仮固定された基板2及びレンズホルダ4を、オーブン等に入れて加熱することにより、接着剤Bを完全硬化させることで、レンズホルダ4を基板2に完全固定させる。このようにして、位置決め工程S41を含む固定工程S4を終了する。
【0060】
[実施形態2の効果]
以上説明したカメラモジュール1Aでは、レンズホルダ4の第2ホルダ42の内周面420の一部を、センサチップ3の外周面の一部に当接させる。即ち、第2ホルダ42の左側の内周面420aとセンサチップ3の左側の外周面30a、及び第2ホルダ42の前側の内周面420bとセンサチップ3の前側の外周面30bを当接させる。これにより、レンズ5の光軸C1とセンサチップ3の中心軸C2との位置決めを行うことができる。
【0061】
従って、センサチップ3へ追加の加工を行うことなく、簡易な構成で、基板2の面方向の位置決めを行うことができる。このため、カメラ等の画像読取装置を用いて、センサチップ3の外形形状を読み取ることで、センサチップ3の中心軸C2の位置を決める必要がない。
【0062】
なお、上記した実施形態2のカメラモジュール1Aでは、レンズホルダ4の第2ホルダ42の左側の内周面420aとセンサチップ3の左側の外周面30a、及び第2ホルダ42の前側の内周面420bとセンサチップ3の前側の外周面30bが当接しているものとしたが、これに限定されない。
【0063】
例えば、カメラモジュール1Aは、第2ホルダ42の右側の内周面420cとセンサチップ3の右側の外周面30c、及び第2ホルダ42の後側の内周面420dとセンサチップ3の後側の外周面30dが当接している状態において、レンズ5の光軸C1とセンサチップ3の中心軸C2とが一致するように設計されていてもよい。
【0064】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るカメラモジュールは、基板と、受光部を有し、前記基板の上面に搭載された撮像素子と、前記撮像素子の外側を覆うように、前記基板の前記上面に搭載されたレンズホルダと、前記レンズホルダに保持されたレンズと、を備えている。前記レンズホルダの内周面と前記撮像素子の外周面との位置関係は、前記撮像素子の中心軸と前記レンズの光軸との前記基板の面方向におけるずれ量が、許容誤差以下に収まるようになっている。
【0065】
また、本発明の態様2に係るカメラモジュールでは、前記レンズホルダの内周面の一部と、前記撮像素子の外周面の一部とが当接していてもよい。
【0066】
また、本発明の態様3に係るカメラモジュールでは、上記の態様1において、前記許容誤差は、50μm程度であってもよい。
【0067】
また、本発明の態様4に係るカメラモジュールは、上記の態様1から3のいずれかにおいて、前記レンズホルダは、前記撮像素子と当接する当接部を有していてもよい。
【0068】
また、本発明の態様5に係るカメラモジュールでは、上記の態様1から4のいずれかにおいて、前記レンズホルダと前記基板とは、接着剤により固定されていてもよい。
【0069】
また、本発明の態様6に係るカメラモジュールの製造方法は、レンズホルダ内にレンズを搭載するレンズ搭載工程と、基板の上面に撮像素子を搭載する撮像素子搭載工程と、前記基板の前記上面における前記撮像素子よりも外側に、前記レンズホルダを接着するための接着剤を塗布する塗布工程と、前記基板の前記上面に前記接着剤を介して前記レンズホルダを固定する固定工程と、を含む。前記レンズホルダの内周面と前記撮像素子の外周面との位置関係は、前記撮像素子の中心軸と前記レンズの光軸との前記基板の面方向におけるずれ量が、許容誤差以下に収まるようになっている。
【0070】
また、本発明の態様7に係るカメラモジュールの製造方法では、上記の態様6において、前記固定工程は、前記レンズホルダの内周面の一部を、前記基板の前記上面に搭載された前記撮像素子の外周面の一部に当接させることにより、前記レンズの光軸と前記撮像素子の中心軸との位置を合わせる位置決め工程を含んでいてもよい。
【0071】
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0072】
1、1A カメラモジュール
2 基板
2a 上面
3 センサチップ
4 レンズホルダ
5 レンズ
31 受光部
41c 当接部
C1 中心軸
C2 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8