(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012521
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】詰め替え用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 33/36 20060101AFI20250117BHJP
B65D 33/02 20060101ALI20250117BHJP
B65D 77/30 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
B65D33/36
B65D33/02
B65D77/30 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115407
(22)【出願日】2023-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】500243679
【氏名又は名称】中村 順次
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 順次
【テーマコード(参考)】
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E064AB23
3E064BA01
3E064BA21
3E064EA07
3E064EA12
3E064EA23
3E064FA04
3E064FA05
3E064HF02
3E064HG02
3E064HM01
3E064HN05
3E064HN12
3E064HP02
3E064HS04
3E067AA03
3E067AA05
3E067AB99
3E067AC01
3E067BA12A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB03
3E067EC30
3E067EE38
3E067EE59
3E067FA01
3E067FB07
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】詰め替え用容器に、保形性の有する注出口を容易に形成する。
【解決手段】可撓性フィルムを積層して形成された詰め替え用容器の注出部に取り付ける注出経路保形具であって、前記注出部の外側に配置される補強部材と、該補強部材を前記抽出部に固着する接着材と、を備え、前記補強部材に、前記注出部の内側に形成される内容物の注出経路に沿う方向に延在する折れ線が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性フィルムを積層して形成された詰め替え用容器の注出部に取り付ける注出経路保形具であって、
前記注出部の外側に配置される補強部材と、
該補強部材を前記抽出部に固着する接着材と、を備え、
前記補強部材に、前記注出部の内側に形成される内容物の注出経路に沿う方向に延在する折れ線が設けられていることを特徴とする注出経路保形具。
【請求項2】
請求項1に記載の注出経路保形具において、
前記補強部材が、前記注出部を挟んで積層される一対の板材よりなることを特徴とする注出経路保形具。
【請求項3】
請求項1に記載の注出経路保形具において、
前記補強部材が、板材を折り曲げ加工により二つ折りに形成され、前記注出部を挟むように配置されることを特徴とする注出経路保形具。
【請求項4】
請求項1に記載の注出経路保形具において、
前記補強部材における前記注出部の先端側に位置する端部が、前記注出経路に対して傾斜していることを特徴とする注出経路保形具。
【請求項5】
請求項1に記載の注出経路保形具において、
前記折れ線が、切込みにより形成されることを特徴とする注出経路保形具。
【請求項6】
可撓性フィルムを積層して形成された、袋状の容器本体及び該容器本体に連続する注出部を備える詰め替え用容器であって、
前記注出部の外側に、請求項1から5のいずれか1項に記載の注出経路保形具が取り付けられていることを特徴とする詰め替え用容器。
【請求項7】
請求項6に記載の詰め替え用容器において、
前記注出部に、前記注出経路と交差するカット線が設けられるとともに、
該カット線と前記注出経路保形具との間に、前記注出経路を開閉自在なチャック部が設けられていることを特徴とする詰め替え用容器。
【請求項8】
請求項7に記載の詰め替え用容器において、
前記カット線が、間隔を設けて平行に複数設けられていることを特徴とする詰め替え用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、詰め替え用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シャンプーやボディーソープ等の液剤は、専用容器に充填されて販売されるとともに、詰め替え用容器にも充填されて販売されている場合が多い。詰め替え用容器としては、その上部もしくは側部などに液剤を専用容器に注入するための注出部が突出して設けられたスタンディングパウチなどの袋体が、一般に広く知られている。
【0003】
このような詰め替え用容器から専用容器へ液剤を移し替えるためには、まず、注出部の先端を切り取って注出口を形成し、この注出口を専用容器の開口部に挿入する。こののち、注出口を利用して液剤を専用容器に移し替えるが、詰め替え用容器は、柔軟性のあるフィルム材で構成されていることから、注出口も柔らかく不安定となりやすい。このため、移し替え途中に液剤がこぼれてしまい、手を汚すなどの不具合が生じやすい。
【0004】
このような中、例えば特許文献1には、注出部となる部分の内側に補強用チューブを設けた袋が開示されている。具体的には、柔軟性を有するフィルムを重ね合わせるとともに周縁を加熱して接合し、接合部で囲まれた内側に液剤などを充填する充填空間を設けた袋を形成する。
【0005】
そして、この袋の隅部近傍の内側に、保形性を有する補強用チューブを取り付けている。補強用チューブは、一端が袋の隅部と対向するとともに他端が充填空間と連通するように配置されている。これにより、袋の隅部を切り取って開口すると補強用チューブが露出するため、この補強用チューブを利用して袋内に充填されている液剤を専用容器への移し替えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、補強用チューブを袋の内側に取り付ける作業は煩雑であり、手間を要するといった課題を有していた。
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、詰め替え用容器に、保形性の有する注出口を容易に形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため本発明の注出経路保形具は、可撓性フィルムを積層して形成された詰め替え用容器の注出部に取り付ける注出経路保形具であって、前記注出部の外側に配置される補強部材と、該補強部材を前記抽出部に固着する接着材と、を備え、前記補強部材に、前記注出部の内側に形成される内容物の注出経路に沿う方向に延在する折れ線が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明の注出経路保形具は、前記補強部材が、前記注出部を挟んで積層される一対の板材よりなることを特徴とする。
【0011】
本発明の注出経路保形具は、前記補強部材が、板材を折り曲げ加工により二つ折りに形成され、前記注出部を挟むように配置されることを特徴とする。
【0012】
本発明の注出経路保形具は、前記補強部材における前記注出部の先端側に位置する端部が、前記注出経路に対して傾斜していることを特徴とする。
【0013】
本発明の注出経路保形具は、前記折れ線が、切込みにより形成されることを特徴とする。
【0014】
本発明の詰め替え用容器は、可撓性フィルムを積層して形成された、袋状の容器本体及び該容器本体に連続する注出部を備える詰め替え用容器であって、前記注出部の外側に、本発明の注出経路保形具が取り付けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明の詰め替え用容器は、前記注出部に、前記注出経路と交差するカット線が設けられるとともに、該カット線と前記注出経路保形具との間に、前記注出経路を開閉自在なチャック部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
本発明の詰め替え用容器は、前記カット線が、間隔を設けて平行に複数設けられていることを特徴とする。
【0017】
本発明の注出経路保形具及び詰め替え用容器によれば、注出部の外側に補強部材を配置するとともに、この補強部材に注出経路に沿う複数の折れ線を設ける。これにより、注出部の先端を切り取って注入口を形成したのち、折れ線に沿って補強部材を折り曲げ展開すると、注出部の可撓性フィルムも補強部材とともに展開する。すると、注出口及び注出部の内側にある注出経路に、所望の内径を形成できるとともに、この内径を維持した状態で注出部を自立させることもできる。
【0018】
したがって、詰め替え用容器の内容物を専用容器に詰め替える際、補強部材により補強された注出部を、安定した状態で専用容器の開口に差し込むことでき、注出口から内容物がこぼれるといった不具合を解消できる。また、注出口及び注出経路の内径が所望の断面に保形されため、詰め替え用容器を適宜傾けることにより、所望量の内容物を速やかに詰め替えることが可能となる。
【0019】
また、注出部の先端側に位置する補強部材の端部を、注出経路に対して傾斜させることで、注出口を急須口のごとく形成できる。したがって、内容物の注出時に注出口から液だれが生じることを防止することも可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、詰め替え用容器に保形性の有する注出口を容易に形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施の形態における詰め替え用容器の正面図である。
【
図2】本実施の形態における詰め替え用容器の側面図である。
【
図3】本実施の形態における注出部の先端を切取って抽出口を形成した状態を示す図である。
【
図4】本実施の形態における注出部に取り付けた注出経路保形具を示す図である。
【
図5】本実施の形態における注出経路保形具の表裏面を示す図である。
【
図6】本実施の形態における注出経路保形具を容器本体に取り付ける様子を示す図である。
【
図7】本実施の形態における詰め替え用容器の他の事例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
≪詰め替え用容器≫
図1の正面図及び
図2の側面図で示すように、詰め替え用容器100は、側方上部に注出部14が形成された容器本体10と、注出経路保形具20とを備える。
【0023】
≪容器本体≫
容器本体10は、いわゆるスタンディングパウチであり、側壁を構成する2枚の側壁用可撓性フィルム11a,11bと、底壁を構成する底壁用可撓性フィルム11cとにより構成されている。これらは、二つ折りにした底壁用可撓性フィルム11cを挟み込むようにして、2枚の側壁用可撓性フィルム11a,11bを積層し、四方の周縁を剥離不能にヒートシールされている。
【0024】
これにより、容器本体10には、内容物を貯留可能な収容部13が形成される。この収容部13に内容物を充填すると、内容物の重さによって底壁用可撓性フィルム11cが、下方に向けて押し広げられるようになっている。これにより、容器本体10の下端部が広がって自立する。
【0025】
≪注出部≫
一方、容器本体10の側方上部に連続する注出部14には、
図1で示すように、収容部13を狭窄した空間が形成されている。この空間が収容部13から内容物を注出する注出経路15として機能する。
【0026】
注出経路15は、注出部14の中間部に形成されているカット線16に沿って、もしくはこれを目安にして、
図3で示すように、注出部14の先端部を切り取ることによって開口され、注出口151が形成される。これにより、詰め替え用容器100を傾けることにより、収容部13に充填した内容物は注出経路15を介して注出口151から注出することができる。
【0027】
このような構成の注出部14には、
図1で示すように、注出経路保形具20が、取り付けられている。
【0028】
≪注出経路保形具≫
注出経路保形具20は、
図4(a)で示すように、注出部14を外側から挟み込むようにして取り付けられており、補強部材21と接着材22とを備えている。
【0029】
補強部材21は、
図5(a)の表面を表す図及び
図5(b)の裏面を表す図で示すように、中央に折り畳み線212が設けられた板材よりなり、折り曲げ加工して折り畳み線212の部分をヒンジのごとく構成し、折り畳み及び展開が可能なように構成されている。このような構成の補強部材21は、折り畳み線212が下底となる2つの直角台形を連ねた形状に形成されている。
【0030】
また、補強部材21の表面には、
図5(a)で示すように、複数の折れ線211が形成されている。折れ線211は、切込みを入れて形成してもよいし、折癖を設けたものでも良い。折れ線211の延在方向は、折り畳み線212と平行に形成され、
図1及び
図3で示すように注出部14の外面に取り付けた際には、注出経路15に沿う方向に配置される。
【0031】
さらに、補強部材21の裏面には、
図5(b)で示すように、接着材22が塗布されている。接着材22は、側壁用可撓性フィルム11a,11bの外面に固着できるものであれば、材料や種類などはいずれでもよい。例えば、熱を加えることにより、接着性能を発揮する材料が好ましい。
【0032】
≪詰め替え用容器の製造方法≫
上記の注出経路保形具20を容器本体10の注出部14に取り付け、詰め替え用容器100を製造する手順は、次のとおりである。
【0033】
まず、
図5(b)で示すように、折り曲げ加工して折り畳み線212の部分をヒンジのごとく構成した補強部材21を展開する。この状態で、
図6(a)で示すように、接着材22を設けた裏面側であって折り畳み線212を挟んだ一方側に、注出部14を載置する。
【0034】
次に、
図6(b)で示すように、折り畳み線212を利用して補強部材21を折り畳み、注出部14を外側から挟み込む。この状態で、例えば、熱圧着などを行って、補強部材21を注出部14に固着する。つまり、側壁用可撓性フィルム11a,11bが、接着材22を介して補強部材21の裏面に固着された状態となる。
【0035】
このとき、補強部材21は、注出部14の中間部に形成されたカット線16より下方側に配置する。また、補強部材21の折り畳み線212及び折れ線211が、注出部14の内方に形成されている注出経路15に沿う方向となるように配置する。さらに、補強部材21は、折り畳み線212が注出部14の下方側に位置するよう配置する。
【0036】
こうすると、
図1で示すように、詰め替え用容器100を正面から見た際、注出部14の下方側が上方側より長い状態となり、補強部材21における注出部14の先端側に位置する端部は、注出経路15に対して傾斜した状態となる。
【0037】
上記のとおり製造した詰め替え用容器100によれば、カット線16を利用して注出部14の先端を切り取って注出口151を形成したのち、
図4(a)のような状態にある補強部材21に対して、
図4(b)で示すように、例えば指で、折れ線211と直交する方向に圧縮力を作用させるなどして、折れ線211を山折りに折り曲げる。つまり、補強部材21の表面側を山とする山折りにする。
【0038】
すると、
図4(b)で示すように、注出部14を構成する2枚の側壁用可撓性フィルム11a,11bと補強部材21がともに展開する。これにより、注出口151及び注出部14の内側にある注出経路15に所望の内径を形成できる。また、この内径を維持した状態で注出部14を自立させることもできる。
【0039】
したがって、詰め替え用容器100の内容物を専用容器に詰め替える際、補強部材21により補強された詰め替え用容器100の注出部14を、専用容器の開口に安定して差し込むことでき、内容物がこぼれて手を汚す、といった不具合を解消できる。
【0040】
また、注出口151及び注出経路15の内径が所望の断面に保形できるため、所望量の内容物を速やかに詰め替えることが可能となる。さらに、注出口151側に位置する補強部材21の端部を、注出経路15に対して傾斜させることで、注出口151をあたかも急須口のように形成できる。したがって、内容物の注出時に注出口151から液だれが生じることを防止することも可能となる。
【0041】
本発明の注出経路補正具及び詰め替え用容器は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【0042】
例えば、本実施の形態では、補強部材21を、折り畳み線212が直角台形の下底となるよう形成したが、上底となるように形成してもよい。また、折り曲げ加工して折り畳み線212の部分をヒンジのごとく構成したが、これに限定するものではない。補強部材21を直角台形に形成した一対の板材により構成してもよいし、筒状に形成してもよい。
【0043】
さらに、補強部材21は、
図1で示すように、詰め替え用容器100を正面から見た際に直角台形に形成したが、その形状もいずれでもよい。例えば、正方形や長方形となるように形成してもよい。
【0044】
また、注出部14に設けるカット線16は、例えば、側壁用可撓性フィルム11a側と側壁用可撓性フィルム11b側とで、段差を設けるようにしてもよい。こうすると、カット線16を利用して注出部14の先端を切り取った際、
図7で示すように、側壁用可撓性フィルム11a側と側壁用可撓性フィルム11b側の端面に段差が生じる。
【0045】
これにより、注出部14においてカット線16と注出経路保形具20との間に、注出経路15を開閉可能なチャック部17を設けた際に、段差を利用してチャック部17の開閉を容易にできる。なお、チャック部17は、必ずしも設けなくてもよい。
【0046】
また、補強部材21は、注出口151及び注出経路15の内径を所望の断面に維持できる材料であれば、厚紙やプラスチック材などいずれでもよい。
【0047】
そして、詰め替え用容器100に収容する内容物は、液体、粉体、粒状体など注出経路15を介して注出できる態様のものであれば、いずれでもよい。
【符号の説明】
【0048】
100 詰め替え用容器
10 容器本体
11a 側壁用可撓性フィルム
11b 側壁用可撓性フィルム
12 底部用可撓性フィルム
13 収容部
14 注出部
15 注出経路
151 注出口
16 カット線
17 チャック部
20 注出経路保形具
21 補強部材
211 折れ線
212 折り畳み線
22 接着材