(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012537
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】パネルの取付具
(51)【国際特許分類】
E04D 13/00 20060101AFI20250117BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20250117BHJP
E04D 13/18 20180101ALI20250117BHJP
【FI】
E04D13/00 J ETD
H02S20/23 B
E04D13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115431
(22)【出願日】2023-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】514158800
【氏名又は名称】株式会社クリーンエナジージャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井原 邦宜
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108AS02
2E108AS03
2E108BN06
2E108DD07
2E108GG15
(57)【要約】
【課題】折板屋根上にパネルを設置する作業を容易化できる技術を提供する。
【解決手段】パネルの取付具は、ハゼ部を挟持する一対の挟持部材と、一対の挟持部材を連結する連結具と、を備え、連結具は、第1挟持部材の支持部と第2挟持部材のベース部とを締結可能な締結部材と、一対の挟持部材がハゼ部を挟持可能な第1の姿勢を維持するようにベース部を支持部へ押しつける付勢部材と、を含み、第2挟持部材は、一対の挟持部材が第1の姿勢からハゼ部を受け入れ可能な第2の姿勢に至る過程で第1挟持部材のガイド部に沿ってスライドするスライド部と、第1の姿勢において前記ガイド部よりも下方に位置するように設けられた、作業者が第2挟持部材をスライド操作するための凸状又は凹状の指掛かり部と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折板屋根のハゼ部にパネルを取り付ける取付具であって、
前記ハゼ部を挟持する一対の挟持部材と、前記一対の挟持部材を連結する連結具と、を備え、
前記一対の挟持部材のうちの一方である第1挟持部材は、前記ハゼ部の上方で前記パネルを支持する支持部と、上下方向に対して直交する第1方向側から前記ハゼ部の一側面に当接する第1当接端部と、前記支持部と前記第1当接端部とを接続する第1接続部と、前記支持部から下方に突出したガイド部と、を有し、
前記一対の挟持部材のうち他方である第2挟持部材は、前記支持部が載置されるベース部と、前記第1方向とは反対方向の第2方向側から前記ハゼ部の他側面に当接する第2当接端部と、前記ベース部と前記第2当接端部とを接続する第2接続部と、を有し、
前記連結具は、前記第1挟持部材の前記支持部と前記第2挟持部材の前記ベース部とを締結可能な締結部材と、前記ベース部を前記支持部へ押しつける付勢部材と、を含み、
前記締結部材によって前記支持部と前記ベース部とが締結された締結状態では、前記一対の挟持部材は、前記第1当接端部と前記第2当接端部とによって前記ハゼ部を挟持可能な第1の姿勢に固定され、
前記締結状態が解除された解除状態では、前記第1の姿勢が維持されるように、前記付勢部材の付勢力によって前記ベース部が前記支持部へ押しつけられ、
前記解除状態において、前記付勢部材の付勢力に抗して前記第2挟持部材が下方に押し込まれると、前記一対の挟持部材が、前記ハゼ部を前記第1当接端部と前記第2当接端部との間に受け入れ可能な第2の姿勢となり、
前記第2接続部は、前記一対の挟持部材が前記第1の姿勢から前記第2の姿勢に至る過程で前記ガイド部に沿ってスライドするスライド部と、前記第1の姿勢において前記ガイド部よりも下方に位置するように設けられた、作業者が前記第2挟持部材をスライド操作するための凸状又は凹状の指掛かり部と、を有する、
パネルの取付具。
【請求項2】
前記指掛かり部は、前記第2方向に突出した凸状に形成されている、
請求項1に記載のパネルの取付具。
【請求項3】
前記指掛かり部は、上下方向及び前記第1方向に対して直交する奥行方向に沿って延在する、リブ状に形成されている、
請求項2に記載のパネルの取付具。
【請求項4】
前記ガイド部は、下方に向かうに従って前記第2方向へ張り出すように傾斜しており、
前記スライド部は、前記第1の姿勢における前記ガイド部に沿うように傾斜している、
請求項1又は2に記載のパネルの取付具。
【請求項5】
前記締結部材は、前記ベース部から上方に突出し、前記支持部を上下に貫通する軸部と、前記ベース部との間に前記支持部を上下から挟むように前記軸部に設けられた上側の締結部と、を含み、
前記付勢部材は、前記支持部と前記上側の締結部との間に設けられ、前記上側の締結部を上方向に付勢し、
前記上側の締結部は、前記軸部回りに回動することで前記ベース部との距離を変更可能であり、
前記上側の締結部と前記ベース部とによって前記支持部が挟持されることで前記締結状態となり、前記締結状態のときよりも前記上側の締結部と前記ベース部とが離間することで前記解除状態となり、
前記解除状態では、前記上側の締結部が前記付勢部材により上方に付勢されることで、
前記一対の挟持部材の前記第1の姿勢が維持されるように前記ベース部が前記支持部へ押しつけられる、
請求項1又は2に記載のパネルの取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折板屋根上にパネルを取り付ける取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハゼ締め式の折板屋根に太陽電池パネル等のパネル部材を取り付けることができる取付具が知られている。例えば、特許文献1~3には、略コ状に形成して対向させる左右一対のつかみ部と、両つかみ部の台座部を重ねて一体に結合するボルト及びナットとからなり、対向した両つかみ部の爪片で折板屋根のハゼ部を挟着し得るようにしてなる太陽光電池パネルの支持金具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-156141号公報
【特許文献2】特開2019-183400号公報
【特許文献3】特開2016-79796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、折板屋根にパネルを設置する作業を容易化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用した。即ち、本発明は、
折板屋根のハゼ部にパネルを取り付ける取付具であって、
前記ハゼ部を挟持する一対の挟持部材と、前記一対の挟持部材を連結する連結具と、を備え、
前記一対の挟持部材のうちの一方である第1挟持部材は、前記ハゼ部の上方で前記パネルを支持する支持部と、上下方向に対して直交する第1方向側から前記ハゼ部の一側面に当接する第1当接端部と、前記支持部と前記第1当接端部とを接続する第1接続部と、前記支持部から下方に突出したガイド部と、を有し、
前記一対の挟持部材のうち他方である第2挟持部材は、前記支持部が載置されるベース部と、前記第1方向とは反対方向の第2方向側から前記ハゼ部の他側面に当接する第2当接端部と、前記ベース部と前記第2当接端部とを接続する第2接続部と、を有し、
前記連結具は、前記第1挟持部材の前記支持部と前記第2挟持部材の前記ベース部とを締結可能な締結部材と、前記ベース部を前記支持部へ押しつける付勢部材と、を含み、
前記締結部材によって前記支持部と前記ベース部とが締結された締結状態では、前記一対の挟持部材は、前記第1当接端部と前記第2当接端部とによって前記ハゼ部を挟持可能な第1の姿勢に固定され、
前記締結状態が解除された解除状態では、前記第1の姿勢が維持されるように、前記付勢部材の付勢力によって前記ベース部が前記支持部へ押しつけられ、
前記解除状態において、前記付勢部材の付勢力に抗して前記第2挟持部材が下方に押し込まれると、前記一対の挟持部材が、前記ハゼ部を前記第1当接端部と前記第2当接端部との間に受け入れ可能な第2の姿勢となり、
前記第2接続部は、前記一対の挟持部材が前記第1の姿勢から前記第2の姿勢に至る過程で前記ガイド部に沿ってスライドするスライド部と、前記第1の姿勢において前記ガイド部よりも下方に位置するように設けられた、作業者が前記第2挟持部材2をスライド操作するための凸状又は凹状の指掛かり部と、を有する、
パネルの取付具である。
パネルの取付具。
【0006】
本発明において、前記指掛かり部は、前記第2方向に突出した凸状に形成されていてもよい。
【0007】
本発明において、前記指掛かり部は、上下方向及び前記第1方向に対して直交する奥行方向に沿って延在する、リブ状に形成されていてもよい。
【0008】
本発明において、前記ガイド部は、下方に向かうに従って前記第2方向へ張り出すように傾斜しており、前記スライド部は、前記第1の姿勢における前記ガイド部に沿うように傾斜していてもよい。
【0009】
本発明において、前記締結部材は、前記ベース部から上方に突出し、前記支持部を上下に貫通する軸部と、前記ベース部との間に前記支持部を上下から挟むように前記軸部に設けられた上側の締結部とを、含み、前記付勢部材は、前記支持部と前記上側の締結部との間に設けられ、前記上側の締結部を上方向に付勢し、前記上側の締結部は、前記軸部回りに回動することで前記ベース部との距離を変更可能であり、前記上側の締結部と前記ベース部とによって前記支持部が挟持されることで前記締結状態となり、前記締結状態のときよりも前記上側の締結部と前記ベース部とが離間することで前記解除状態となり、前記解除状態では、前記上側の締結部が前記付勢部材により上方に付勢されることで、前記一対の挟持部材の前記第1の姿勢が維持されるように前記ベース部が前記支持部へ押しつけられてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、折板屋根にパネルを設置する作業を容易化できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る取付具によって太陽光発電パネルが折板屋根に取り付けられた状態を示す図である。
【
図2】実施形態に係るミドル用の取付具によって太陽光発電パネルがハゼ部に取り付けられた状態を示すX方向視図である。
【
図3】実施形態に係るミドル用の取付具によって太陽光発電パネルがハゼ部に取り付けられた状態を示すY方向視図である。
【
図4】実施形態に係るミドル用の取付具がハゼ部に固定される前の状態を示すX方向視図である。
【
図5】実施形態に係るミドル用の取付具の分解斜視図である。
【
図6】実施形態に係るコイルスプリングを示す図であって、
図5(a)はコイルスプリングの側面図、
図5(b)はコイルスプリングの軸方向視図である。
【
図7】実施形態に係るコイルスプリングとワッシャーの状態を示す断面図である。
【
図8】実施形態に係るエンド用の取付具によって太陽光発電パネルがハゼ部に取り付けられた状態を示すX方向視図である。
【
図9】実施形態に係るエンド用の取付具によって太陽光発電パネルがハゼ部に取り付けられた状態を示すY方向視図である。
【
図10】実施形態に係るエンド用の取付具の分解斜視図である。
【
図11】実施形態に係るミドル用の取付具をハゼ部に固定する方法を説明するための図(1)である。
【
図12】実施形態に係るミドル用の取付具をハゼ部に固定する方法を説明するための図(2)である。
【
図13】実施形態に係るミドル用の取付具をハゼ部に固定する方法を説明するための図(3)である。
【
図14】実施形態に係るミドル用の取付具をハゼ部に固定する方法を説明するための図(4)である。
【
図15】実施形態に係るミドル用の取付具をハゼ部に固定する方法を説明するための図(5)である。
【
図16】実施形態に係るミドル用の取付具の締結状態におけるコイルスプリング及びワッシャーの状態を模式的に示す断面図である。
【
図17】実施形態の変形例1に係るミドル用の取付具を示す図である。
【
図18】実施形態の変形例2に係るミドル用の取付具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。実施形態では、太陽光発電パネルを折板屋根へ取り付けるための取付具に本発明を適用した例を説明する。なお、以下の説明は例示であり、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0013】
図1は、実施形態に係る取付具によって太陽光発電パネルが折板屋根100に取り付けられた状態を示す図である。
図1に示す折板屋根100は、板金加工により複数の板を折り曲げて接続することで形成されている。折板屋根100には、板金同士の接続部分によって複数の起立したハゼ部101が形成されている。本例に係る折板屋根100は、いわゆる縦葺き屋根であり、ハゼ部101は、折板屋根100の勾配(流れ方向)に沿って延在している。但し、折板屋根100は、縦葺きに限らず、横葺きであってもよい。ハゼ部101に取付具10,20が固定され、取付具10,20に太陽光発電パネルP1が固定されることで、太陽光発電パネルP1が折板屋根100に取り付けられている。
【0014】
[太陽光発電パネル]
太陽光発電パネルP1は、本発明に係る「パネル」の一例である。実施形態に係る太陽光発電パネルP1は、略矩形状の板状に形成されており、折板屋根100に寝かされた姿勢で設置されている。ここで、太陽光発電パネルP1の「下面」とは、太陽光発電パネルP1が折板屋根100に設置されたときに折板屋根100に対向する面のことを指す。また、太陽光発電パネルP1の「上面」とは、太陽光発電パネルP1が折板屋根100に設置されたときに折板屋根100とは反対側の面のことを指す。太陽光発電パネルP1は、上面で光を受光して発電可能に構成されている。
図1に示すように、本例では、2枚の太陽光発電パネルP1がハゼ部101の延在方向に並んで配置されている。太陽光発電パネルP1は、それぞれ、2本のハゼ部101に架け渡された状態で取り付けられている。但し、太陽光発電パネルP1の枚数やハゼ部101の本数はこれに限定されない。
【0015】
[取付具]
取付具10及び取付具20は、本発明に係る「取付具」の一例である。取付具10は、ミドル用のクランプであり、ハゼ部101の延在方向に並んで配置された複数の太陽光発電パネルP1において、互いに対向する縁部をハゼ部101に固定するために用いられる。取付具20は、エンド用のクランプであり、ハゼ部101の延在方向に並んで配置された複数の太陽光発電パネルP1において、ハゼ部101の延在方向の両端に位置する縁部をハゼ部101に固定するために用いられる。
【0016】
以下、取付具10及び取付具20の構成について説明する。以下の説明において、取付具10,20がハゼ部101に固定されたときの上下方向に対応する方向をZ方向(上下方向)とし、ハゼ部101の延在方向に対応する方向をX方向(奥行方向)とし、ハゼ部101の幅方向に対応する方向をX方向(左右方向)とする。Y方向はZ方向に対して直交しており、X方向はZ方向及びY方向に対して直交している。
【0017】
[ミドル用の取付具]
まず、取付具10について説明する。
図2は、取付具10によって太陽光発電パネルP1がハゼ部101に取り付けられた状態を示すX方向視図である。
図3は、取付具10によって太陽光発電パネルP1がハゼ部101に取り付けられた状態を示すY方向視図である。
図4は、取付具10がハゼ部101に固定される前の状態を示すX方向視図である。
図5は、取付具10の分解斜視図である。
【0018】
図2及び
図3に示すように、取付具10は、ハゼ部101を挟持する一対の挟持部材1,2と、一対の挟持部材1,2を連結する連結具3と、太陽光発電パネルP1を上から押さえつける挟着部材4と、を備える。取付具10は、一対の挟持部材1,2によってハゼ部101の両側面を挟持することでハゼ部101に取り付けられる。ここで、一対の挟持部材1,2の姿勢であって
図2等に示すようにハゼ部101を挟持可能な姿勢を、「第1の姿勢」とする。また、ハゼ部101の両側面のうちの一方(一側面)を第1側面S1とし、他方(他側面)を第2側面S2とする。また、Y方向において第2側面S2から第1側面S1に向かう方向を第1方向F1とし、その反対方向(即ち、第1側面S1から第2側面S2に向かう方向)を第2方向F2とする。
【0019】
[第1挟持部材]
図2等に示すように、一対の挟持部材1,2のうちの一方である第1挟持部材1は、ハゼ部101の上方で太陽光発電パネルP1を支持する支持部11と、支持部11よりも下方に設けられ、第1方向F1側からハゼ部101の第1側面S1に当接する第1当接端部12と、支持部11(詳細には、本体部111)における第1方向F1側の側端部と第1当接端部12とを接続する第1接続部13と、支持部11(詳細には、本体部111)における第2方向F2側の側端部から下方に突出したガイド部14と、を有する。
【0020】
図2等に示すように、支持部11は、本体部111と一対の起立部112,112と一対の載置部113,113とを有する。本体部111は、連結具3を介して第2挟持部材2と連結される部分であり、Z方向に直交すると共にX方向に長尺な矩形状の板状に形成されている。
図5に示すように、本体部111には、連結具3の軸部311が挿入される孔である貫通孔11aがZ方向に貫通している。貫通孔11aは、Y方向(左右方向)に長手の長孔として形成されている。一対の起立部112,112は、本体部111のY方向の両側端から上方に延びる板状に形成されている。一対の載置部113,113は、
図2に示すように太陽光発電パネルP1が載置される部分である。載置部113は、起立部112の上端に設けられており、Z方向と直交する板状に形成されている。本体部111の貫通孔11aに連結具3の軸部311を挿入できるように、一対の載置部113,113同士の間には隙間が形成されている。
【0021】
図2等に示すように、第1接続部13は、本体部111の第1方向F1側の側端部から下方に延在する板状に形成されている。
【0022】
図2等に示すように、第1当接端部12は、第1接続部13の下端から第2方向F2へ延在する板状に形成されており、その先端において第1側面S1に当接する。
【0023】
図2等に示すように、ガイド部14は、本体部111の第2方向F2側の側端部から下方に延在する片状(板状)に形成されている。ガイド部14は、下方に向かうに従って第2方向F2へ張り出すように傾斜している。
【0024】
[第2挟持部材]
図2等に示すように、一対の挟持部材1,2のうち他方である第2挟持部材2は、第1の姿勢において第1接続部13とガイド部14との間に配置され、支持部11の本体部111が載置されるベース部21と、ベース部21よりも下方に設けられ、第2方向F2側
からハゼ部101の第2側面S2に当接する第2当接端部22と、ベース部21における第2方向F2側の側端部と第2当接端部22とを接続する第2接続部23と、を有する。
【0025】
図2等に示すように、ベース部21は、連結具3を介して第1挟持部材1の本体部111と連結される部分であり、Z方向に直交すると共にX方向に長尺な矩形状の板状に形成されている。
図5に示すように、ベース部21には、連結具3の軸部311が挿入される孔である貫通孔21aがZ方向に貫通している。また、
図2等に示すように、ベース部21の下面には、規制部21bが形成されている。
【0026】
図2等に示すように、第2接続部23は、ベース部21の第2方向F2側の側端から下方に延在する板状に形成されている。第2接続部23は、ベース部21の第2方向F2側の側端に連なるスライド部231と、スライド部231よりも下方に配置され、第2方向F2に突出した凸状の指掛かり部232と、を有する。スライド部231は、第1の姿勢においてガイド部14に沿うように、下方に向かうに従って第2方向F2へ張り出すように傾斜している。スライド部231には、第1の姿勢においてガイド部14が載置される。指掛かり部232は、作業者が第2挟持部材2をスライド操作するための部位であり、X方向(奥行方向)に沿って延在するリブ状に形成されている。指掛かり部232は、奥行方向において、第2接続部23の全域に亘って延在している。なお、指掛かり部232は、リブ状には限定されず、柱状の突起(小突起)であってもよい。また、作業者が指掛かり部232に指を掛けて第2挟持部材2をガイド部14に沿って押し込み可能であれば、指掛かり部232の大きさや形状は、特に限定されない。
図2に示すように、指掛かり部232は、第1の姿勢において第1挟持部材1のガイド部14の先端部よりも下方に位置するように、設けられている。そのため、指掛かり部232は、第1の姿勢においてガイド部14と接触しない。これにより、第1の姿勢において、ガイド部14と指掛かり部232との間には、隙間(間隔)が形成されている。この隙間は、作業者の指が当該隙間に進入して指掛かり部232に接触可能となるように形成されている。これにより、作業者は、指掛かり部232に指を掛けて第2挟持部材2をスライド操作することができる。
【0027】
図2等に示すように、第2当接端部22は、第2接続部23の下端から第1方向F1へ延在する板状に形成されており、その先端において第2側面S2に当接する。
【0028】
図2等に示すように、第1の姿勢では、ガイド部14とスライド部231とが当接することで、第2挟持部材2が第1挟持部材1に対して所定の位置に位置決めされている。
【0029】
[挟着部材]
図3に示すように、挟着部材4は、軸部311に取り付けられ、支持部11に支持された太陽光発電パネルP1を上から押さえつけることで支持部11との間に太陽光発電パネルP1を挟着する部材である。挟着部材4は、ミドル用であり、ハゼ部101の延在方向(X方向)に隣り合う2枚の太陽光発電パネルP1における互いに対向する縁部を上から押さえつける。挟着部材4は、取付部41と一対の起立部42,42と押圧部43とを含む。
【0030】
取付部41は、連結具3を介して第1挟持部材1の本体部111と連結される部分であり、Z方向に直交すると共にY方向に長尺な矩形状の板状に形成されている。
図5に示すように、取付部41には、連結具3の軸部311が挿入される孔である貫通孔41aがZ方向に貫通している。一対の起立部42,42は、本体部111のX方向の両側端から上方に延びる板状に形成されている。
図3に示すように、起立部42が太陽光発電パネルP1の側縁にX方向から当接することで、太陽光発電パネルP1のX方向における位置ずれが規制されている。一対の押圧部43,43は、
図3に示すように太陽光発電パネルP1を上から押圧する部分である。押圧部43は、起立部42の上端に設けられており、Z方
向と直交する板状に形成されている。取付部41の貫通孔41aに連結具3の軸部311を挿入できるように、一対の押圧部43,43同士の間には隙間が形成されている。押圧部43が太陽光発電パネルP1の縁部を上から押圧することで、太陽光発電パネルP1が挟着部材4の押圧部43と支持部11の載置部113との間に挟着される。
【0031】
[連結具]
図4及び
図5に示すように、連結具3は、締結部材30とコイルスプリング33(付勢部材)とワッシャー34とナット部材35とを含む。
【0032】
締結部材30は、第1挟持部材1の支持部11と第2挟持部材2のベース部21とを締結可能な部材である。締結部材30は、ボルト部材31とナット部材32(下側の締結部)とを有する。取付具10は、
図2に示すように締結部材30によって支持部11とベース部21とが締結された締結状態や
図4に示すように締結状態が解除された解除状態になることができる。
【0033】
図5に示すように、ボルト部材31は、外周面にネジ溝が形成された軸部311と軸部311の一端に軸部311よりも拡径して形成された頭部312(上側の締結部)とを含み、これらが一体に形成された部材である。本例のボルト部材31は、いわゆる六角ボルトであり、頭部312の断面の外形は六角形に形成されている。但し、ボルト部材31は、六角ボルトでなくともよい。
【0034】
図2等に示すように、ナット部材32は、ボルト部材31の軸部311に係合する部材である。ナット部材32の内周面にはネジ溝が形成されており、ナット部材32のネジ溝とボルト部材31の軸部311のネジ山とが噛み合うことで、ナット部材32と軸部311とが係合する。本例のナット部材32は、いわゆる六角ナットであり、断面の外形が六角形に形成されている。但し、ナット部材32は、六角ナットでなくともよい。
【0035】
取付具10では、軸部311を貫通孔11a及び貫通孔21aに挿入可能であり、頭部312は貫通孔21aに挿入できず、ナット部材32は貫通孔11aに挿入できないように、貫通孔11a、貫通孔21a、軸部311、及び頭部312の寸法が設定されている。
図5に示すように、取付具10では、頭部312がベース部21よりも下側に位置するように軸部311が貫通孔11a及び貫通孔21aに挿入されることで、軸部311が支持部11及びベース部21を上下に貫通している。つまり、軸部311は、ベース部21から上方に突出し、支持部11を上下に貫通している。そして、
図2に示すように、軸部311における本体部111よりも上側で且つ取付部41よりも下側の部位にナット部材32が係合している。これにより、支持部11及びベース部21がナット部材32及び頭部312によって上下から挟まれている。つまり、ナット部材32(上側の締結部)は、ベース部21との間に支持部11を上下から挟むように軸部311に設けられている。ここで、
図2に示すように、ベース部21の規制部21bが頭部312に係合することで、ボルト部材31の軸部311回りの回動が規制されている。これにより、作業者がボルト部材31を手で保持しなくともナット部材32を軸部311回りに回動操作するのみでナット部材32が軸部311回りに回動する。これにより、ナット部材32及び頭部312が軸部311回りに相対回動し、ナット部材32が軸部311に沿って移動する。これにより、ナット部材32及び頭部312の軸部311の軸方向における互いの距離が変更可能となっている。つまり、ナット部材32とベース部21との距離が変更可能となっている。
【0036】
ナット部材32と頭部312(ひいてはベース部21)との距離を変更することで、取付具10を締結状態と解除状態とに変化させることができる。
図2に示すように、ナット部材32(上側の締結部)と頭部312(下側の締結部)とによって支持部11及びベー
ス部21が挟持されることで取付具10が締結状態となる。締結状態では、ナット部材32(上側の締結部)とベース部21とによって支持部11が挟持されているともいえる。また、
図4に示すように、締結状態のときよりもナット部材32と頭部312(ひいてはベース部21)とが離間することで取付具10が解除状態となる。なお、取付具10は、ボルト部材31を有さずにベース部21と軸部311とが一体化されており、軸部311がベース部21から上方に突出する態様であってもよい。本例では、ナット部材32が「上側の締結部材」の一例であり、頭部312が「下側の締結部材」の一例である。
【0037】
図4に示すように、コイルスプリング33は、支持部11とナット部材32との間に設けられた圧縮バネであり、螺旋状に巻回された線材により形成されている。コイルスプリング33は、支持部11の本体部111とナット部材32との間で軸部311に装着されている。そのため、コイルスプリング33の軸方向と軸部311の軸方向とが平行となっている。
【0038】
ここで、
図6は、コイルスプリング33を示す図であって、
図6(a)はコイルスプリング33の側面図、
図6(b)はコイルスプリング33の伸縮部の軸方向視図である。
図6(a)に示すように、コイルスプリング33は、底部33aと頂部33bと伸縮部331とを含んでいる。底部33aは、コイルスプリング33の下端を形成する座巻である。頂部33bは、コイルスプリング33の上端を形成する座巻である。伸縮部331は、底部33aと頂部33bとを接続し、荷重により軸方向に伸縮する部位である。
【0039】
図6(a)に示すように、コイルスプリング33は、線材が底部33aから頂部33bに向かうに従って徐々に縮径するように巻回された、いわゆるテーパスプリングとして形成されている。ここで、
図6(b)に示すように、コイルスプリング33において伸縮する伸縮部331は、軸方向視において線材が渦巻状を形成している。つまり、伸縮部331における線材は、ボルト部材31の軸方向において線材が重ならないように、当該軸方向に沿って徐々に縮径するように巻回されている。
【0040】
コイルスプリング33は、
図4に示す解除状態において自然長よりも縮み且つ全圧縮の状態(最も縮んだ状態)よりも伸びた状態となるように、支持部11とナット部材32との間に設けられている。これにより、解除状態において、ナット部材32がコイルスプリング33によって上方へ付勢されている。ナット部材32が上方に付勢されることで、軸部311を介してナット部材32に連結された頭部312も上方に付勢される。これにより、頭部312がベース部21を支持部11の本体部111へ押しつけ、第1挟持部材1と第2挟持部材2の相対移動が抑制される。つまり、コイルスプリング33は、ベース部21を支持部11へ押しつける。そのため、解除状態においては、コイルスプリング33の付勢力によって一対の挟持部材1,2の第1の姿勢が維持される。コイルスプリング3
3は、「付勢部材」の一例である。
【0041】
ワッシャー34は、コイルスプリング33とナット部材32との間において軸部311に装着された環状の部材である。そのため、ワッシャー34の軸方向と軸部311の軸方向とが平行となっている。
図7は、コイルスプリング33とワッシャー34の状態を示す断面図である。
図7に示すように、ワッシャー34は、コイルスプリング33の軸とワッシャー34の軸とが一致した状態(即ち、調芯された状態)でコイルスプリング33に載置されている。ここで、ワッシャー34は、いわゆるコーンワッシャーであり、
図7に示すように外周縁34aから内周縁34bに向かうに従って上側へ傾斜した環状に形成されている。そのため、ワッシャー34とワッシャー34との横ずれが抑制され、コイルスプリング33の軸とワッシャー34の軸とが調芯された状態が維持されている。
【0042】
図3等に示すように、ナット部材35は、ボルト部材31の軸部311に係合すること
で、挟着部材4を固定する部材である。ナット部材35は、軸部311における取付部41よりも上側の部位に係合することで取付部41を締結している。これにより、押圧部43が太陽光発電パネルP1を押圧した状態で挟着部材4が固定されている。
【0043】
[エンド用の取付具]
次に、取付具20について説明する。
図8は、取付具20によって太陽光発電パネルP1がハゼ部101に取り付けられた状態を示すX方向視図である。
図9は、取付具20によって太陽光発電パネルP1がハゼ部101に取り付けられた状態を示すY方向視図である。
図10は、取付具20の分解斜視図である。
図8~
図10に示すように、エンド用の取付具20は、挟着部材4に代えて挟着部材5を備える点でミドル用の取付具10と相違し、その他の点は概ね取付具10と同様である。そのため、挟着部材5を中心に説明し、その他の取付具10と同様の構成については同一の符号を付すことで詳細な説明は割愛する。
【0044】
図9に示すように、挟着部材5は、エンド用の部材であり、ハゼ部101の延在方向(X方向)に並んで配置された複数の太陽光発電パネルP1において、ハゼ部101の延在方向の両端に位置する縁部を上から押さえつける。挟着部材5は、取付部51と起立部52と押圧部53とを含む。
【0045】
取付部51は、連結具3を介して第1挟持部材1の本体部111と連結される部分であり、Z方向に直交すると共にY方向に長尺な矩形状の板状に形成されている。
図10に示すように、取付部51には、連結具3の軸部311が挿入される孔である貫通孔51aがZ方向に貫通している。起立部52は、本体部111のX方向の一側端から上方に延びる板状に形成されている。
図9に示すように、起立部52が太陽光発電パネルP1の側縁にX方向から当接することで、太陽光発電パネルP1のX方向における位置ずれが規制されている。押圧部53は、
図9に示すように太陽光発電パネルP1を上から押圧する部分である。押圧部53は、起立部52の上端に設けられており、Z方向と直交する板状に形成されている。押圧部53が太陽光発電パネルP1の縁部を上から押圧することで、太陽光発電パネルP1が挟着部材5の押圧部53と支持部11の載置部113との間に挟着される。
【0046】
[パネルの取付方法]
図11~
図15は、取付具10をハゼ部101に固定する方法を説明するための図である。図中の符号H1は、作業者の手を示す。以下、図面を参照しながら太陽光発電パネルP1のハゼ部101への取付方法を説明する。
【0047】
まず、
図11に示すように取付具10を用意する。実施形態に係る取付具10は、
図11に示すように締結部材30による締結が解除された解除状態で出荷され、挟着部材5及びナット部材35は未だ取り付けられていない。上述のように、解除状態では、ナット部材32がコイルスプリング33によって上方へ付勢されることにより頭部312がベース部21を支持部11へ押しつけることで、一対の挟持部材1,2の第1の姿勢が維持されている。
【0048】
次に、
図12に示すように、作業者が、第1挟持部材1を把持した状態で、第2挟持部材2の指掛かり部232に指を掛け、コイルスプリング33の付勢力に抗して第2挟持部材2を下方に押し込むと、ベース部21が支持部11から離れる。その結果、第1当接端部12と第2当接端部22とが離間し、第1当接端部12と第2当接端部22との間にハゼ部101を受け入れ可能となる。ここで、一対の挟持部材1,2の姿勢であって
図12に示すようにハゼ部101を第1当接端部12と第2当接端部22との間に受け入れ可能な姿勢を、「第2の姿勢」とする。このとき、一対の挟持部材1,2が
図11に示す第1
の姿勢から
図12に示す第2の姿勢に至る過程では、第1挟持部材1のガイド部14に沿うように第2挟持部材2のスライド部231がスライドすることで、第2挟持部材2の移動が案内される。ガイド部14が下方に向かうに従って第2方向F2側へ張り出すように傾斜しており、スライド部231はガイド部14に沿うように傾斜しているため、第2挟持部材2は、下方に移動するに従って第2方向F2側へ移動することとなる。つまり、第2挟持部材2が斜め下方に移動する。その結果、第2当接端部22が第1当接端部12から第2方向F2側へ離れ、第1当接端部12と第2当接端部22との間にY方向(ハゼ部101の幅方向)の間隔が確保される。これにより、ハゼ部101が第1当接端部12と第2当接端部22との間に受け入れられ易くなる。
【0049】
次に、
図13に示すように、作業者によって第2挟持部材2が下方に押し込まれ第2の姿勢が維持された状態で、ハゼ部101が第1当接端部12と第2当接端部22との間に受け入れられる。
【0050】
次に、
図14に示すように、第1当接端部12と第2当接端部22との間にハゼ部101が受け入れられた状態で作業者が第2挟持部材2に対する下方への押し込みを解除すると、ナット部材32の付勢力により頭部312がベース部21を支持部11へ再び押しつけ、一対の挟持部材1,2が第2の姿勢から第1の姿勢に至る。これにより、第1挟持部材1の第1当接端部12がハゼ部101の第1側面S1に当接し、第2挟持部材2の第2当接端部22がハゼ部101の第2側面S2に当接し、ハゼ部101が一対の挟持部材1,2に挟持される。これにより、ハゼ部101に取付具10が仮固定される。そして、コイルスプリング33の付勢力によって一対の挟持部材1,2の第1の姿勢が維持されるため、ハゼ部101が一対の挟持部材1,2に挟持された状態も維持される。
【0051】
一対の挟持部材1,2が第2の姿勢から第1の姿勢に至る過程では、第2挟持部材2のスライド部231が第1挟持部材1のガイド部14に沿ってスライドすることで、第2挟持部材2が所定の位置に案内される。
【0052】
次に、作業者がレンチ等の工具を用いてナット部材32を軸部311回りに回動操作することで、ナット部材32と頭部312との距離が縮まる。そして、
図15に示すようにナット部材32と頭部312とによって支持部11及びベース部21が挟持されることで、つまり、ナット部材32とベース部21とによって支持部11が挟持されることで、取付具10が締結状態となる。取付具10が締結状態となることで、第1挟持部材1と第2挟持部材2との相対移動が規制され、一対の挟持部材1,2が第1の姿勢に固定される。これにより、取付具10がハゼ部101に固定される。
【0053】
ここで、
図16は、取付具10の締結状態におけるコイルスプリング33及びワッシャー34の状態を模式的に示す断面図である。
図16に示すように、締結状態では、圧縮されたコイルスプリング33の弾性力がワッシャー34を介してナット部材32に作用することでナット部材32とワッシャー34との間の摩擦力が増し、ナット部材32が緩み難くなっている。つまり、コイルスプリング33とワッシャー34との組み合わせが、いわゆるスプリングワッシャーのように緩み止めとして機能している。
【0054】
取付具10をハゼ部101に固定した後は、取付具20をハゼ部101に固定する。なお、取付具20を取付具10よりも先に固定してもよい。エンド用の取付具20は、ミドル用の取付具10と同様の手順でハゼ部101に固定できるため、固定方法の説明は割愛する。
【0055】
取付具10及び取付具20をハゼ部101に固定した後は、挟着部材4,5を用いて太陽光発電パネルP1を取付具10及び取付具20に固定する。まず、取付具10では、図
2及び
図3に示すように、支持部11の載置部113に太陽光発電パネルP1を載置した状態で挟着部材4を連結具3に取り付けることで、太陽光発電パネルP1を挟着部材4の押圧部43によって上から押さえつける。これにより、支持部11の本体部111と挟着部材4の押圧部43との間に太陽光発電パネルP1が挟着され、太陽光発電パネルP1が取付具10に固定される。取付具20でも同様に、
図8及び
図9に示すように、支持部11の本体部111と挟着部材5の押圧部53との間に太陽光発電パネルP1を挟着することで、太陽光発電パネルP1が取付具20に固定される。以上のようにして、太陽光発電パネルP1がハゼ部101に取り付けられる。
【0056】
[作用・効果]
以上のように、本実施形態では、締結部材30によって支持部11とベース部21とが締結された締結状態において、一対の挟持部材1,2が、ハゼ部101を第1当接端部12と第2当接端部22とによって挟持可能な第1の姿勢に固定される。更に、締結状態が解除された解除状態では、一対の挟持部材1,2の第1の姿勢が維持されるように、コイルスプリング33の付勢力によってベース部21が支持部11へ押しつけられる。そして、コイルスプリング33の付勢力に抗して第2挟持部材2が下方に押し込まれると、一対の挟持部材1,2が、ハゼ部101を第1当接端部12と第2当接端部22との間に受け入れ可能な第2の姿勢となる。
【0057】
これによると、ナット部材32を下方に押し込んで一対の挟持部材1,2を第2の姿勢にしてハゼ部101を第1当接端部12と第2当接端部22との間に受け入れた状態で、第2挟持部材2に対する下方に押し込みを解除するのみで、コイルスプリング33の付勢力によって一対の挟持部材1,2が第2の姿勢から第1の姿勢に至り、ハゼ部101が一対の挟持部材1,2に挟持されることとなる。そして、コイルスプリング33の付勢力によって一対の挟持部材1,2の第1の姿勢が維持されるため、ハゼ部101が一対の挟持部材1,2に挟持された状態も維持される。これによれば、一対の挟持部材1,2を第2の姿勢から第1の姿勢へ変化させる動作や第1の姿勢を維持させる動作がコイルスプリング33の付勢力によってなされるため、作業者の手によってこれらの動作を行う負担が低減される。その結果、折板屋根100に太陽光発電パネルP1を設置する作業を容易化できる。また、解除状態においてもコイルスプリング33の付勢力によって一対の挟持部材1,2が第1の姿勢に維持されるため、取付具10及び取付具20の出荷時・移送時において締結状態にしなくとも分解したり部品がガタついたりする虞がない。また、出荷時・移送時に取付具10及び取付具20を締結状態にしておくと、ハゼ部101への取付時に一対の挟持部材1,2を第2の姿勢とするために、一旦解除状態にする作業が必要となるが、取付具10及び取付具20を予め解除状態にしておくことで、上記作業を省くことできる。
【0058】
更に、第1挟持部材1は、支持部11から下方に突出したガイド部14を有し、第2挟持部材2の第2接続部23は、一対の挟持部材1,2が第1の姿勢から第2の姿勢に至る過程でガイド部14に沿ってスライドするスライド部231を有する。
【0059】
これによると、一対の挟持部材1,2が第1の姿勢から第2の姿勢に至る過程では、ガイド部14に沿ってスライド部231がスライドすることで、第2挟持部材2の移動が案内されるため、第2の姿勢への移行を円滑かつ確実に行うことができる。また、ガイド部14が下方に向かうに従って第2方向F2側へ張り出すように傾斜しており、スライド部231はガイド部14に沿うように傾斜することで、第1当接端部12と第2当接端部22との間にY方向(ハゼ部101の幅方向)の間隔を確保し、ハゼ部101を第1当接端部12と第2当接端部22との間に受け入れ易くすることができる。また、第2の姿勢から第1の姿勢に至る過程では、スライド部231がガイド部14に沿ってスライドすることで第2挟持部材2が所定の位置に案内される。これによると、第2の姿勢から第1の姿
勢に至る過程において第2挟持部材2が所定の位置に案内されるため、第1の姿勢への移行を円滑かつ確実に行うことができる。
【0060】
更に、第2挟持部材2は、作業者が第2挟持部材2をスライド操作するために、第1の姿勢においてガイド部14よりも下方に位置するように設けられた凸状の指掛かり部232を有する。これにより、作業者は、第2挟持部材2の指掛かり部232に接触する(指を掛ける)ことができるため、コイルスプリング33の付勢力に抗して第2挟持部材2を下方に押し込み易くなる。そのため、一対の挟持部材1,2を第1の姿勢から第2の姿勢へと変化させることが容易となり、作業性が向上する。その結果、折板屋根100に太陽光発電パネルP1を設置する作業をより容易化できる。
【0061】
また、作業者は、第1挟持部材1を把持している手の指を指掛かり部232に掛けることができるため、ハゼ部101への取付具の仮固定(一対の挟持部材1,2によるハゼ部101の挟持)を片手で行うことができる。また、本実施形態では、指掛かり部232が、X方向(奥行方向)に沿って延在するリブ状に形成されているため、作業者の指が指掛かり部232に掛かり易くなっている。その結果、作業性がより向上する。
【0062】
なお、第1の姿勢から第2の姿勢へと変化させるときは、第1挟持部材1を把持した状態でコイルスプリング33の付勢力に抗してナット部材32を下方に押し込むことで、頭部312によるベース部21の押しつけを解除してもよい。これにより、ベース部21が支持部11から離間し、一対の挟持部材1,2が第2の姿勢へと移行する。
【0063】
更に、本実施形態では、軸部311と頭部312とを含むボルト部材31と、軸部311に係合したナット部材32と、を一対の挟持部材1,2の連結に用いており、ナット部材32を上側に設け、頭部312を下側に設け、支持部11及びベース部21を上下から挟むように構成されている。これによれば、取付具10及び取付具20の組み立てにおいては、一対の挟持部材1,2から貫通した状態の軸部311に対してナット部材32を上から取り付け、締め付け動作をすることとなる。そのため、ナット部材32を下から取り付ける場合と比較して、取付具10及び取付具20の組み立てを容易化できる。但し、本発明は、ナット部材32を上側に設け、ボルト部材31の頭部312を下側に設ける態様に限定されない。
図17は、実施形態の変形例1に係る取付具10Aを示す図である。
図17に示す取付具10Aのように、ナット部材32を下側に設け、頭部312を上側に設け、支持部11及びベース部21を上下から挟むように構成してもよい。
図17に示す例では、ナット部材32が「下側の締結部材」に相当し、ボルト部材31の頭部312が「上側の締結部材」に相当する。
【0064】
また、本実施形態では、コイルスプリング33において軸部311の軸方向に伸縮する伸縮部331の線材が、軸部311の軸方向において線材が重ならないように、当該軸方向に沿って徐々に縮径するように巻回されている。これによれば、
図16に示すように締結状態において伸縮部331が圧縮されていても線材が重ならないため、コイルスプリング33の横ずれが抑制される。その結果、締結状態においてコイルスプリング33の姿勢が安定し、ナット部材32を緩み難くすることができる。また、伸縮部331における線材が軸部311の軸方向に沿って下側から上側に向かうに従って縮径するように巻回されている。これにより、コイルスプリング33の姿勢が安定する。なお、本発明に係る付勢部材は、コイルスプリングに限定されない。
【0065】
また、本実施形態に係る連結具3は、コイルスプリング33とナット部材32との間において軸部311に装着されたワッシャー34を更に含み、ワッシャー34は、外周縁34aから内周縁34bに向かうに従って上側へ傾斜した環状に形成されている。これによれば、コイルスプリング33とワッシャー34との組み合わせによっていわゆるスプリン
グワッシャーのような緩み止めの効果を得ることできる。また、ワッシャー34がテーパ状に形成されているため、コイルスプリング33とワッシャー34との横ずれが抑制され、コイルスプリング33の軸とワッシャー34の軸とが調芯された状態を維持できる。その結果、より一層ナット部材32を緩み難くすることができる。なお、ワッシャー34は、本発明の必須の構成ではない。
【0066】
更に、本実施形態に係る取付具10,20は、軸部311に取り付けられ、支持部11に支持された太陽光発電パネルP1を上から押さえつけることで支持部11との間に太陽光発電パネルP1を挟着する挟着部材4,5を更に備えている。つまり、本実施形態では、軸部311を利用して太陽光発電パネルP1を挟着することができる。なお、挟着部材4及び挟着部材5は、本発明の必須の構成ではない。例えば、ボルト部材とナット部材を用いて太陽光発電パネルP1を支持部11の本体部111に締結してもよい。
【0067】
図18は、実施形態の変形例2に係る取付具10Bを示す図である。
図18では、一対の挟持部材1,2が第1の姿勢にある状態が図示されている。
図18に示す取付具10Bは、作業者が第2挟持部材2をスライド操作するための指掛かり部232aが凹状に形成されている点で、上述の取付具10と相違する。
【0068】
図18に示すように、指掛かり部232aは、第1方向F1側に凹むと共にX方向(奥行方向)に沿って延在する、断面四角形の溝として形成されている。但し、指掛かり部232aはこれに限定されない。更に、指掛かり部232aは、第1の姿勢において第1挟持部材1のガイド部14の先端部よりも下方に位置するように、設けられている。そのため、第1の姿勢において、指掛かり部232aがガイド部14に覆われることやガイド部14が指掛かり部232aに受け入れられることがない。これにより、作業者は、指掛かり部232aに指を掛けて第2挟持部材2をスライド操作することができる。
【0069】
<その他>
上記実施形態では、太陽光発電パネルを折板屋根に取り付ける例を示したが、取付対象となるパネルは、太陽光発電パネルに限らず、パワーコンディショナや太陽熱温水器など、少なくとも取付具に支持される部分がパネル状のものであれば、他の装置であってもよい。例えば、看板や、表示装置、エアコンの室外機を固定するためのパネルなどであってもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 :第1挟持部材
2 :第2挟持部材
3 :連結具
4,5 :挟着部材
10,20:取付具
100 :折板屋根
P1 :太陽光発電パネル