(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012542
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】画像読取装置及びその制御方法、並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20250117BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20250117BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20250117BHJP
【FI】
H04N1/00 912
H04N1/00 127B
G06F3/12 303
G06F3/12 322
G06F3/12 329
G06F3/12 338
G06F3/0481
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115438
(22)【出願日】2023-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 稜
【テーマコード(参考)】
5C062
5E555
【Fターム(参考)】
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA12
5C062AA14
5C062AA35
5C062AA37
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC34
5C062AE15
5C062AF06
5C062AF12
5E555AA57
5E555BA10
5E555BB02
5E555BC15
5E555CA48
5E555CB76
5E555DB20
5E555DB41
5E555DD08
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】スキャン処理の終了後に画像読取装置を占有状態からより効率的に解放することを可能にする。
【解決手段】画像読取装置100は、スキャン処理が開始される際に、画像読取装置100を端末200のユーザ(操作ユーザ)によって占有された占有状態とする。また、Webサーバ500は、スキャン処理の終了後にWebブラウザ210に提供した編集画面700を用いて行われるスキャン画像の編集操作が終了すると、画像読取装置100を占有状態から解放する。Webサーバ500は、占有状態において画像読取装置100に対する操作の有無を所定の時間間隔で検知する。Webサーバ500は、画像読取装置100に対する操作を検知すると、画像読取装置100を占有状態から解放することを促すメッセージを含む画面(解放要求画面900)をWebブラウザ210によって端末200に表示させる。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取装置であって、
前記画像読取装置と通信可能な端末装置で動作するWebブラウザに提供した操作画面を介して受け付けたスキャン指示に従って、原稿の画像を読み取ってスキャン画像の画像データを生成するスキャン処理を行う処理手段と、
前記スキャン処理が開始される際に、前記画像読取装置を前記端末装置のユーザによって占有された占有状態とし、前記スキャン処理の終了後に前記Webブラウザに提供した編集画面を用いて行われる前記スキャン画像の編集操作が終了すると、前記画像読取装置を前記占有状態から解放する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記占有状態において前記画像読取装置に対する操作の有無を所定の時間間隔で検知し、
前記画像読取装置に対する操作を検知すると、前記画像読取装置を前記占有状態から解放することを促すメッセージを含む画面を前記Webブラウザによって前記端末装置に表示させる、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記操作は、前記画像読取装置に接続される前記端末装置と異なる他の情報処理装置で動作する他のWebブラウザからの指示である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記他のWebブラウザからの前記画像読取装置に対する操作を受け付けると、当該他のWebブラウザを使用するユーザの認証を行ったことを条件として、前記画面を前記Webブラウザによって前記端末装置に表示させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記他のWebブラウザからの前記画像読取装置に対する操作を受け付けると、前記画像読取装置の原稿台へ読取対象の原稿をセットしようとしているユーザに対して、当該ユーザと、前記認証が行われたユーザとが同一であるか否かを確認するための確認画面を、前記画像読取装置の操作部に表示する、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記画面の表示に応じて、前記編集操作の継続指示を前記ユーザから受け付けると、前記占有状態が継続されることを示すメッセージを前記画像読取装置の操作部に表示する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記画面の表示に応じて、前記編集操作の終了指示を前記ユーザから受け付けると、前記画像読取装置を前記占有状態から解放する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記画面は、前記編集操作の継続指示を受け付けるためのボタンと、前記編集操作の終了指示を受け付けるためのボタンとを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記占有状態において、前記画像読取装置の原稿台に読取対象の原稿がセットされると、前記画面を前記Webブラウザによって前記端末装置に表示させる、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記端末装置において前記ユーザによる操作が行われない状態でタイムアウト時間が経過している場合に限り、前記占有状態において前記画像読取装置に対する操作が行われたことに応じて前記画面を前記Webブラウザによって前記端末装置に表示させる、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記編集画面は、前記編集画面における項目変更の操作が行われると当該操作を前記画像読取装置が検出可能に構成される、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記画像読取装置の操作部に配置された、前記画像読取装置の電源オフを指示するための電源ボタン、又は前記画像読取装置に保存されている画像データの削除を指示するためのメモリクリアボタンが操作されると、前記編集操作の継続が不可能であること示すメッセージを含む画面を前記Webブラウザによって前記端末装置に表示させ、前記画像読取装置を前記占有状態から解放する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項12】
画像読取装置の制御方法であって、
前記画像読取装置と通信可能な端末装置で動作するWebブラウザに提供した操作画面を介して受け付けたスキャン指示に従って、原稿の画像を読み取ってスキャン画像の画像データを生成するスキャン処理を行う工程と、
前記スキャン処理が開始される際に、前記画像読取装置を前記端末装置のユーザによって占有された占有状態とし、前記スキャン処理の終了後に前記Webブラウザに提供した編集画面を用いて行われる前記スキャン画像の編集操作が終了すると、前記画像読取装置を前記占有状態から解放する工程と、
前記占有状態において前記画像読取装置に対する操作の有無を所定の時間間隔で検知する工程と、
前記画像読取装置に対する操作を検知すると、前記画像読取装置を前記占有状態から解放することを促すメッセージを含む画面を前記Webブラウザによって前記端末装置に表示させる工程と、
を含むことを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項13】
画像読取装置のコンピュータに、請求項12に記載の画像読取装置の制御方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及びその制御方法、並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
原稿の画像を読み取って読取画像の画像データを生成する画像読取装置として、外部装置からのWebブラウザによるアクセスを可能にするためにWebサーバを実装したものが知られている。Webサーバが実装された画像読取装置は、専用のアプリケーション又はドライバを必要とせずに、Webブラウザに提供した操作画面を介してスキャン指示を受け付けることが可能である。例えば特許文献1には、Webブラウザに提供した設定画面を介して受け付けたスキャン指示によりスキャン処理を行い、Webブラウザを介して画像データを提供する画像読取装置が記載されている。
【0003】
Webブラウザに提供した設定画面を介して受け付けたスキャン指示によりスキャン処理を行う機能が実装された画像読取装置は、あるユーザからスキャン指示を受け付けると、スキャン処理が終了するまでの間、他のユーザから新たなスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を行いうる。排他制御が実行されると、画像読取装置は、スキャン処理の実行を指示したユーザによって占有された占有状態となる。これにより、複数のユーザからのスキャン指示の受け付けに起因してスキャン処理の競合が生じることを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の排他制御は、スキャン画像の編集操作が終了するまで続けられることがありうる。例えば、スキャン画像の画像データを格納するための画像読取装置内のメモリの空き容量が十分ではない場合、メモリに格納された画像データについての編集操作(外部への送信を含む)が終了して当該画像データの削除が可能になるまで、排他制御が行われる必要がある。また、メモリに画像データが残っている状態で他のユーザが画像読取装置にアクセス可能である場合、スキャン画像が他のユーザによって盗み見られる可能性が生じる。このような場合に、編集操作が終了してメモリから画像データが削除されるまで排他制御が続けられる必要がある。しかし、一方で、スキャン画像の編集操作のために画像読取装置が占有されると、長期間にわたって他のユーザが画像読取装置を使用できなくなる問題がある。
【0006】
本発明は、スキャン処理の終了後に画像読取装置を占有状態からより効率的に解放することを可能にする技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る画像読取装置は、前記画像読取装置と通信可能な端末装置で動作するWebブラウザに提供した操作画面を介して受け付けたスキャン指示に従って、原稿の画像を読み取ってスキャン画像の画像データを生成するスキャン処理を行う処理手段と、前記スキャン処理が開始される際に、前記画像読取装置を前記端末装置のユーザによって占有された占有状態とし、前記スキャン処理の終了後に前記Webブラウザに提供した編集画面を用いて行われる前記スキャン画像の編集操作が終了すると、前記画像読取装置を前記占有状態から解放する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記画像読取装置に対する操作の有無を所定の時間間隔で検知し、前記占有状態において前記画像読取装置に対する操作を検知すると、前記画像読取装置を前記占有状態から解放することを促すメッセージを含む画面を前記Webブラウザによって前記端末装置に表示させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スキャン処理の終了後に画像読取装置を占有状態からより効率的に解放することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】画像読取装置100の概略的な構成例を示す断面図。
【
図2】画像読取ユニット104の概略的な構成例を示す断面図。
【
図3】画像読取装置100のハードウェア構成例を示すブロック図。
【
図5】画像読取装置100の機能構成例を示すブロック図。
【
図6】ログイン画面及びスキャン設定画面の例を示す図。
【
図10】ログイン制御のための処理手順の例を示すフローチャート。
【
図11】スキャン制御のための処理手順の例を示すフローチャート。
【
図12】解放処理(S1114,S1310)の手順の例を示すフローチャート。
【
図13】解放制御のための処理手順の例を示すフローチャート。
【
図14】解放要求の確認処理(S1302)の手順の例を示すフローチャート。
【
図15】解放要求の確認処理(S1302)の手順の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一又は同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
[第1実施形態]
まず、本開示の第1実施形態に係る画像読取装置(原稿搬送装置)の構成例について説明する。
【0012】
<画像読取装置>
図1は、本実施形態に係る画像読取装置100の概略的な構成例を示す断面図である。画像読取装置100は、読取対象の原稿101が積載される原稿台102を備える。原稿台102上の原稿は、原稿検出センサ110によって検出される。原稿台102上の原稿は、給紙ローラ106により1枚ずつ分離されて搬送路108に送り出される。搬送路108に送り出され、搬送路108を搬送される原稿101は、レジストセンサ109によって検出される。レジストセンサ109によって原稿101が検出されると、画像読取ユニット104は、搬送路108を搬送中の原稿101の画像(原稿上に形成された画像)の読み取りを開始する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の画像読取装置100は、搬送路108の両側に2つの画像読取ユニット104を備える。一方の画像読取ユニット104が、原稿101の第一面(表面)の画像を読み取るように構成され、他方の画像読取ユニット104が、原稿101の第二面(裏面)の画像を読み取るように構成される。搬送路108を介して各画像読取ユニット104に対向する位置には、背景板105が配置されている。背景板105は、例えば、黒色の部材である。なお、画像読取装置100は、1つの画像読取ユニット104のみを備えるように構成されてもよい。
【0014】
画像読取ユニット104による画像の読み取りが行われた原稿101は、排出部103に向けて搬送ローラ107によって搬送路108を搬送され、最終的に排出部103に排出されて排出部103において積載される。排出部103に設けられた原稿検出センサ111は、排出部103に排出されて積載されている原稿101の検出に用いられる。また、搬送路108の排出口付近に設けられた原稿検出センサ112は、搬送路108に残っている原稿101の検出に用いられる。原稿検出センサ111及び112を用いることで、原稿101が搬送路108に残っているか、排出部103に排出されたかを検出可能である。
【0015】
画像読取装置100は更に、搬送路108に沿って給紙ローラ106とレジストセンサ109との間の位置に、重送検出センサ120を備える。重送検出センサ120は、複数枚の原稿が重なった状態(静電気等により複数枚の原稿が密着した状態)で搬送路108を搬送される重送の検出に用いられる。重送検出センサ120は、例えば、超音波の発信部及び受信部を備える超音波センサで構成される。超音波センサを用いる場合、搬送路108上の原稿(原稿シート)を通過する際の超音波の減衰量に基づいて重送を検出可能である。
【0016】
図2は、画像読取ユニット104の概略的な構成例を示す断面図である。画像読取ユニット104は、筐体1041と、搬送路108に面して設けられたガラス板1042とを備える。筐体1041及びガラス板1042によって画像読取ユニット104の内部が密封されている。画像読取ユニット104の内部には、イメージセンサ1043と、一対の発光部1044a及び1044bと、が設けられている。
【0017】
イメージセンサ1043は、ラインイメージセンサで構成され、例えば、CCDラインセンサ又はコンタクトイメージセンサで構成される。原稿101の搬送方向と直交する方向(主走査方向)に沿って配置されている。イメージセンサ1043は、搬送中の原稿101の画像を主走査方向の1ライン単位で読み取って画像信号を出力する。
【0018】
発光部1044aは、イメージセンサ1043に対して原稿101の搬送方向の上流側に配置される光源を有する。発光部1044bは、イメージセンサ1043に対して原稿101の搬送方向の下流側に配置される光源を有する。イメージセンサ1043は、発光部1044aと発光部1044bとの間に挟まれた位置に配置される。発光部1044a及び1044bは、それぞれ、イメージセンサ1043と平行に、主走査方向に沿って配置され、複数のLEDを含むLEDアレイで構成される。
図2に示すように、イメージセンサ1043は、発光部1044a及び1044bが原稿101に照射した光の反射光を受光することで、原稿101上の画像を読み取る。
【0019】
図3は、本実施形態に係る画像読取装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。画像読取装置100の制御部10は、CPU11、RAM(ランダムアクセスメモリ)12、記憶部13、入出力I/F(インタフェース)14及び通信I/F15を備える。
【0020】
CPU11は、1つ以上のプロセッサで構成される。CPU11は、記憶部13に格納されているプログラムをRAM12に読み出して実行することで、画像読取装置100全体の制御を行う。RAM12は、CPU11による作業領域として使用される。記憶部13は、制御部10によって実行される各種プログラム(例えば、制御プログラム)、及び制御部10による処理に用いられる各種情報又はデータを格納するように構成される。例えば、イメージセンサ1043による原稿の画像の読み取りによって得られた画像データが記憶部13に保存される。記憶部13は、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(読み出し専用メモリ)、HDD(ハードディスクドライブ)及びSSD(ソリッドステートドライブ)等の1つ以上の記憶装置(メモリ)で構成される。
【0021】
入出力I/F14には、駆動回路24及び画像処理回路26が接続される。駆動回路24は、画像読取ユニット104の発光部1044a及び1044bを駆動する。画像処理回路26は、ADC25を介してイメージセンサ1043と接続される。イメージセンサ1043は、搬送中の原稿101の画像を主走査方向の1ライン単位で読み取って画像信号を出力する。ADC(アナログ/デジタル変換器)25は、イメージセンサ1043から出力されるアナログ形式の画像信号をデジタル形式の画像データに変換して出力する。画像処理回路26は、ADC25から出力された画像データに対して、シェーディング補正等の画像処理を行う。CPU11は、画像処理回路26から出力される画像データを取得する。
【0022】
通信I/F15は、外部装置との通信を行うためのインタフェースであり、有線通信インタフェース、無線LAN通信若しくはBluetooth(登録商標)通信等のための無線通信インタフェース、USBインタフェース、又はSCSIインタフェース等で構成されうる。本実施形態では一例として、通信I/F15は、有線LAN(ローカルエリアネットワーク)に接続された有線通信インタフェースであるものとする。なお、画像読取装置100は、個別の外部装置又はネットワークと接続される複数の通信I/F15を備えてもよい。例えば、画像読取装置100は、複数の通信I/F15として、ある外部装置と直接接続されたUSB又はSCSIインタフェースと、有線LANと接続された有線通信インタフェースとを備えてもよい。
【0023】
通信I/F15は、任意の通信プロトコルに従って外部装置と通信可能であり、任意の通信経路を介して外部装置と通信可能である。複数の外部装置と接続される場合、外部装置ごとに異なる通信プロトコル及び通信経路が用いられてもよい。例えば、通信I/F15は、ある端末とHTTPプロトコルで通信し、別の端末とFTPプロトコルで通信するように構成されてもよい。本実施形態の画像読取装置100は、HTTPプロトコルに従って外部装置と通信可能なWebサーバ500(
図5参照)を有する。このため、外部装置は、当該外部装置上で動作するWebブラウザにより、画像読取装置100のWebサーバ500にアクセス可能である。
【0024】
画像読取装置100は、制御部10に接続された操作部130を備える。操作部130は、入力部及び出力部を含む。入力部は、タッチパネル及びハードキー等を備え、ユーザからの各種操作の受け付けを行う。出力部(表示部)は、液晶ディスプレイ等の表示装置を備え、ユーザに対して各種情報の出力(表示)を行う。入力部及び出力部は、タッチパネルディスプレイのように、1つのモジュールとして実現されてもよい。
【0025】
<画像読取処理>
画像読取装置100において、制御部10(CPU11)は、例えば、操作部130の操作により、又は外部装置から原稿の読み取りの開始指示(スキャン指示)を受けると、原稿台102にセットされた原稿101に対する画像読取処理を開始する。画像読取処理において、CPU11は、まず給紙ローラ106を駆動して、原稿台102からの原稿101の搬送を開始する。原稿台102に複数枚の原稿101がセットされた場合、1枚ずつ原稿が分離されて搬送路108を搬送される。CPU11は、その後、レジストセンサ109によって原稿101が検出されると、当該検出のタイミングを基準として、原稿101の画像の読み取りのための画像読取ユニット104の制御を行う。
【0026】
具体的には、CPU11は、発光部1044a及び発光部1044bの発光を制御し、イメージセンサ1043を駆動することで、原稿101の画像の読み取りを行う。画像読取ユニット104は、イメージセンサ1043によって原稿101の画像を読み取って読取画像の画像データを生成し、生成した画像データを制御部10へ出力する。制御部10は、得られた画像データを画像読取装置100のRAM12又は記憶部13に一時的に保存する。なお、画像データは、画像読取装置100と通信可能な外部装置(サーバ装置)に保存されてもよい。
【0027】
<画像読取システムの構成>
図4は、本実施形態に係る画像読取システムの構成例を示す。画像読取システムは、画像読取装置100と、ネットワークを介して画像読取装置100と通信可能な端末装置(端末)200及び300とを含む。当該ネットワークは、有線LAN及び無線LAN等を含む。本実施形態では、画像読取装置100の通信I/F15は、ネットワークを介して端末200及び端末300と通信可能に接続される。
【0028】
端末200及び300は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)又はモバイル端末等の情報処理装置で構成される。例えば、端末200又は300が、スマートフォン又はタブレット端末等のモバイル端末で構成される場合、当該端末は、無線LAN通信用の無線アクセスポイントに無線接続し、当該無線アクセスポイントを介して有線LANに接続することで、画像読取装置100と通信してもよい。
【0029】
本実施形態において、端末200は、画像読取装置100を操作するユーザ(操作ユーザ)によって使用される端末装置である。なお、端末300は、この操作ユーザとは異なるユーザが操作する端末の例を示しており、その構成は端末200と同様である。端末200にはWebブラウザ210が予めインストールされている。操作ユーザは、端末200上で動作するWebブラウザ210を介して画像読取装置100を操作する。端末200は、操作ユーザの操作に従って、Webブラウザ210により画像読取装置100のWebサーバ500(
図5参照)にアクセスする。これにより、Webブラウザ210は、画像読取装置100の操作用の操作画面に対応する画面データとして、HTML(Hyper Text Markup Language)データをWebサーバ500から取得し、取得したHTMLデータに基づいて操作画面を表示する。端末200(Webブラウザ210)は、表示した操作画面を介して操作ユーザから原稿の読み取りの開始指示(スキャン指示)を受け付けると、当該スキャン指示を画像読取装置100へ送信する。
【0030】
画像読取装置100の制御部10(CPU11)は、端末200から受信したスキャン指示に従って、上述のように画像読取処理を行う。CPU11は、原稿101の搬送を開始して当該原稿の読み取りを行い、当該読み取りにより得られた読取画像の画像データを、RAM12又は記憶部13に一時的に保存する。保存された画像データは、その後、ネットワークを介して端末200、又はサーバ装置等の外部装置へ送信される。
【0031】
<画像読取装置の機能構成>
図5は、画像読取装置100の機能構成例(ソフトウェア構成例)を示すブロック図である。画像読取装置100は、OS上で動作するアプリケーションとしてWebサーバ500を有する。画像読取装置100の起動時に、CPU11は、OSを起動し、その後にWebサーバ500を起動する。Webサーバ500は、CPU11上に常駐するプロセスとして動作し、ネットワークを介してリクエスト(要求)を受信するまで待機する。リクエストの受信に応じて、Webサーバ500は、当該リクエストに応じたレスポンス(応答)を返す。
【0032】
画像読取装置100は、Webサーバ500上で動作するアプリケーションとして、UI表示アプリケーション(UI表示アプリ)501、スキャンアプリケーション(スキャンアプリ)502、及びスキャナドライバ503を有する。UI表示アプリ501は、Webサーバ500の起動に応じて起動され、操作部130における画面の表示を制御する。スキャンアプリ502は、Webサーバ500が画像読取処理の開始指示(スキャン指示)を受け付けると、Webサーバ500によって起動される。スキャンアプリ502は、受け付けたスキャン指示に従って、スキャナドライバ503を介して画像読取ユニット104を制御することで画像読取処理(スキャン処理)を行う。
【0033】
なお、本実施形態において、スキャンアプリ502は、画像読取装置100と通信可能な端末装置(端末200等)で動作するWebブラウザに提供した操作画面を介して受け付けたスキャン指示に従って、原稿の画像を読み取ってスキャン画像(読取画像)の画像データを生成するスキャン処理を行う処理手段の一例として機能する。また、Webサーバ500は、スキャン処理が開始される際に、画像読取装置100を端末装置のユーザによって占有された占有状態とし、スキャン処理の終了後にWebブラウザ210に提供した編集画面を用いて行われるスキャン画像の編集操作が終了すると、画像読取装置100を占有状態から解放する制御手段の一例として機能する。
【0034】
<セッションID(SID)>
セッションとは、一般に、通信の開始から終了までを指す。本明細書においては、端末装置上で動作するWebブラウザからWebサーバ500への接続が行われた時点でセッションが開始し、Webサーバ500から接続が切断されると終了する。このようなセッションの開始及び終了を管理することはセッション管理と称される。
【0035】
Webサーバ500は、レスポンス(応答)を送信する際に、アクセス元のWebブラウザの管理(例えば、識別状態及び処理の状態の管理)のために、セッションID(SID)を生成する。セッションIDは、通信中のWebブラウザが使用するセッションを識別するための識別子(ID)である。セッションIDは、複数のユーザ(端末装置)に対して個別に割り当てられる。セッションIDを割り当てられているユーザ(端末装置)は、画像読取装置100におけるスキャン操作を許可される、画像読取装置100にログイン中のユーザとなる。
【0036】
<Webブラウザによる表示画面例>
次に、操作ユーザが端末200を操作して、Webブラウザ210を用いて画像読取装置100にアクセスし、画像読取装置100にスキャン処理を実行させる際の、Webブラウザ210による表示画面の例について説明する。
【0037】
本実施形態の画像読取装置100は、Webサーバ500のURL(Uniform Resource Locator)を符号化して得られる二次元コードを、操作部130(表示部)に表示する。二次元コードは、例えばQRコード(登録商標)で構成される。なお、二次元コードに代えて、バーコード等の一次元コードが用いられてもよい。画像読取装置100は、操作部130を用いた操作ユーザの操作に従って、二次元コードの表示を行ってもよい。操作部130の表示領域の一部に二次元コードが表示されてもよいし、操作部130に、二次元コードの表示専用の表示部が、メッセージ画面又は操作画面等の画面表示用の表示部とは別に設けられてもよい。
【0038】
操作ユーザは、Webブラウザ210をWebサーバ500にアクセスさせるために、端末200が備えるカメラ機能(撮影機能)を用いて、操作部130に表示されている二次元コードの読み取りを行う。これにより、端末200のWebブラウザ210は、二次元コードに含まれる、Webサーバ500のURLを取得する。Webブラウザ210は、取得したURLを用いてWebサーバ500へのアクセスを行う。
【0039】
図6(A)は、Webブラウザ210によって端末200の表示部に初期画面として表示されるログイン画面の例(ログイン画面600)を示す。Webブラウザ210は、Webサーバ500へのアクセスに応じてWebサーバ500から提供される画面データに基づいて、ログイン画面600をブラウザ画面として表示する。ログイン画面600は、ログイン名(ユーザ名)及びパスワードの入力欄601と、ログインボタン602とを含む。Webブラウザ210は、入力欄601にログイン情報(ログイン名及びパスワード)が入力され、ログインボタン602が押されると、ログイン情報をWebサーバ500へ送信する。なお、ログイン画面600は、アクセス先のURLを表示するURL表示欄603を含む。また、「×」ボタン604が押されると、端末200は、表示中のブラウザ画面を閉じ、Webブラウザ210の動作を終了する。
【0040】
Webサーバ500は、Webブラウザ210から受信したログイン情報に基づくユーザ認証が成功すると、スキャン設定画面の画面データをWebブラウザ210へ送信することで、スキャン設定画面をブラウザ画面として表示させる。一方、Webサーバ500は、ユーザ認証に失敗すると、Webブラウザ210に、エラーメッセージ(例えば、「ユーザ名又はパスワードが違います」等)を示すダイアログボックス(図示せず)を、ログインエラー画面として表示させる。この場合、Webブラウザ210は、ダイアログボックスの表示後、ログイン画面600の表示を続ける。
【0041】
図6(B)は、端末200においてWebブラウザ210によって表示されるスキャン設定画面の例(スキャン設定画面610)を示す。スキャン設定画面610では、一例として、カラーモード(例:カラー、グレー又は白黒)、解像度(例:100又は300DPI)、原稿(用紙)サイズ(例:A4又はレター)、読取面(例:片面又は両面)、及び出力ファイルの形式(例:PDF又はJPEG)の設定項目についての設定が可能である。操作ユーザが、スキャン設定画面610を用いて各設定項目について設定を入力した後にスキャンボタン611を押すと、Webブラウザ210(端末200)は、スキャン設定及びスキャン指示をWebサーバ500(画像読取装置100)へ送信する。これにより、端末200は画像読取装置100にスキャン処理を実行させる。
【0042】
スキャン処理が正常に終了すると、端末200の表示画面(ブラウザ画面)は、スキャン処理により得られた読取画像(スキャン画像)を編集可能な編集画面(
図7参照)に遷移する。一方、スキャン処理の実行中にエラーが発生すると、Webブラウザ210によって、
図8に例示されるエラー画面800が表示される。一例として、エラー画面800は、スキャン処理の実行中にエラーが発生したことを示すメッセージと、スキャン設定画面610に表示画面を遷移させることを指示するためのOKボタン801とを含む。
【0043】
図7は、端末200においてWebブラウザ210によって表示される編集画面の例(編集画面700)を示す。編集画面700は、スキャン画像を編集する機能を操作ユーザに対して提供され、スキャン画像の編集操作を操作ユーザから受け付けるために用いられる。編集画面700は、画像読取装置100に保存されているスキャン画像が表示される表示領域701と、表示領域701に表示されているスキャン画像のページ番号を示すページ番号表示702とを含む。表示領域701には、ページ番号表示702が示すページのスキャン画像についてのサムネイル画像が表示される。なお、編集画面700が端末200において表示された時点では、スキャン画像の画像データは、端末200にダウンロードされておらず、画像読取装置100に保存されている状態にある。
【0044】
編集画面700は、表示領域701に表示されるスキャン画像のページを1ページ戻すためのページ戻しボタン711と、表示領域701に表示されるスキャン画像のページを1ページ進めるためのページ送りボタン712とを更に含む。編集画面700は、ボタン713~715を更に含む。ボタン713は、表示領域701に表示されているスキャン画像に対する編集処理(画像処理)として、2値化処理の実行を指示するために用いられる。ボタン714は、画像読取装置100に保存されているスキャン画像の画像データを端末200に保存(ダウンロード)することを指示するために用いられる。ボタン715は、画像読取装置100に保存されているスキャン画像の画像データを破棄(削除)し、編集画面700を用いた編集処理(画像処理)を終了することを指示するために用いられる。
【0045】
操作ユーザは、ページ戻しボタン711及びページ送りボタン712を用いて、表示領域701に表示されるスキャン画像を変更することで、編集対象(処理対象)のスキャン画像を表示領域701に表示させる操作を行う。操作ユーザは更に、ボタン713を押すことで、表示領域701に表示されているスキャン画像に対する編集処理(本例では、2値化処理)の実行を指示する。この指示は、Webブラウザ210からWebサーバ500へ送信される。これにより、画像読取装置100は、対象スキャン画像の画像データに対して編集処理(本例では、2値化処理)を行い、処理後の画像データをRAM12又は記憶部13に保存する。その後、操作ユーザが、ボタン714を押すことで、編集後のスキャン画像の画像データを、画像読取装置100から端末200にダウンロードさせることが可能である。
【0046】
本実施形態では、スキャン画像の画像データに対する編集処理として2値化処理を行う例を示しているが、他の画像処理(例えば、特定の色を無くすカラードロップアウト処理)が編集処理として適用されてもよい。また、複数の編集処理から所望の処理を選択可能に構成してもよい。また、本実施形態では表示領域701に表示されている対象スキャン画像に対する処理が実行されるように構成された例について説明したが、複数のスキャン画像に対して同時に編集処理が実行されるように指示できるように構成してもよい。
【0047】
本実施形態の画像読取装置100は、スキャン処理の開始時から、当該スキャン処理が終了し、当該スキャン処理により得られたスキャン画像の編集処理及び保存が終了するまでの間、新たなスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を行う。排他制御が実行されると、画像読取装置100は、スキャン処理の実行を指示したユーザ(操作ユーザ)によって占有された占有状態となる。画像読取装置100は、占有状態において、操作ユーザ以外の他のユーザによる何らかの操作(例えば、操作部130に対する操作)が行われたことを検知すると、占有状態からの画像読取装置100の解放を求める解放要求が発行されたとの判定を行う。この場合、画像読取装置100は、解放要求が発行されたことを操作ユーザに知らせるための解放要求画面を、Webブラウザ210によって端末200に表示させる。
【0048】
本実施形態において、Webブラウザ210は、解放要求が発行されているか否かをWebサーバ500に確認するために、所定の時間間隔で、解放要求の確認指示をWebサーバ500へ送信する。(Webブラウザ210による、このような定期的な確認指示の送信は、「ポーリング」とも称される。)画像読取装置100は、Webブラウザ210からの確認指示の受信に応じて、占有状態において画像読取装置100に対する操作の有無を所定の時間間隔で検知する処理を行う。この処理は、
図13及び
図14を参照して後述する、解放要求の確認処理として行われる。
【0049】
画像読取装置100にアクセス中の端末200において編集画面700を用いて操作ユーザによる操作が行われている間に、他のユーザによって画像読取装置100の操作が行われると、画像読取装置100において解放要求が発行されるとの判定が行われる。解放要求が発行されているとの判定に従って、Webサーバ500は、解放要求画面の画面データをWebブラウザ210へ送信する。
【0050】
図9は、端末200においてWebブラウザ210によって表示される解放要求画面の例(解放要求画面900)を示す。解放要求画面900は、画像読取装置100を占有状態から解放することを促すメッセージを含む画面の一例であり、Webブラウザ210によってダイアログボックスとして端末200に表示される。
【0051】
解放要求画面900は、他のユーザが画像読取装置100を使用しようといることを操作ユーザに知らせ、操作ユーザに画像読取装置100の占有状態の解放を促す(画像読取装置100の占有を止めるように促す)ためのメッセージを含む。
図9の例では、スキャン画像の編集操作を終了することを促すメッセージにより、画像読取装置100の占有状態の解放が操作ユーザに促されている。解放要求画面900は、スキャン画像の編集操作を継続することを指示するためのボタン901と、スキャン画像を破棄(削除)して編集操作を終了することを指示するためのボタン902とを含む。
【0052】
Webブラウザ210によって解放要求画面900が表示された場合、操作ユーザは、ボタン901又は902を用いて、スキャン画像の編集操作を継続するか否かを選択可能である。ボタン901又は902による指示は、Webブラウザ210からWebサーバ500へ送信される。ボタン901が押された場合、画像読取装置100は、例えば、スキャン画像の編集が継続されることを示すメッセージを操作部130に表示することで、画像読取装置100を使用しようとしている他のユーザに対する通知を行う。一方、ボタン902が押された場合、画像読取装置100は、保存されているスキャン画像の画像データを破棄(削除)し、スキャン画像の編集処理を終了することで、画像読取装置100を占有状態から解放する。
【0053】
上述の例のように、編集画面700から解放要求画面900への表示の切り替え以外の表示態様により、画像読取装置100を占有状態から解放することを促すメッセージが表示されてもよい。例えば、Webサーバ500は、画像読取装置100を占有状態から解放することを促すメッセージを、Webブラウザ210によって編集画面700の一部に表示させてもよい。
【0054】
以下では、画像読取装置100において実行される処理について、より具体的に説明する。
【0055】
<ログイン制御>
図10は、画像読取装置100においてWebサーバ500によって実行される、ログイン制御のための処理手順の例を示すフローチャートである。
図10の手順による処理は、端末200からのアクセス(初期アクセス)に応じて開始される。
【0056】
Webサーバ500は、S1001で、ログイン画面600の画面データをWebブラウザ210(端末200)へ送信する。その後、S1002で、Webサーバ500は、ログイン画面600を介して入力されたログイン情報を端末200から受信すると、受信したログイン情報に基づいてユーザ認証を行う。S1003で、Webサーバ500は、ユーザ認証に成功した場合、S1004へ処理を進め、ユーザ認証に失敗した場合、S1007へ処理を進める。
【0057】
ユーザ認証に成功した場合、Webサーバ500は、S1004で、アクセス元のWebブラウザ210(端末200)に対してセッションIDを生成し、S1005で、生成したセッションIDをWebブラウザ210(端末200)へ送信する。上述のように、セッションIDを割り当てられたユーザ(端末200の操作ユーザ)は、画像読取装置100にログイン中の状態となり、画像読取装置100におけるスキャン操作を許可される。その後、Webサーバ500は、S1006で、スキャン設定画面610(
図6(B))の画面データをWebブラウザ210(端末200)へ送信し、
図10の手順による処理を終了する。
【0058】
一方、ユーザ認証に失敗した場合、Webサーバ500は、S1008で、ログインエラー画面の画面データをWebブラウザ210(端末200)へ送信し、
図10の手順による処理を終了する。なお、ログインエラー画面には、例えば、「ユーザ名又はパスワードが違います」といったエラーメッセージが表示されうる。なお、このユーザ認証は、省略されてもよい。その場合、
図10におけるS1001からS1003を省略し、端末200からの初期アクセスに対してS1004から実行してよい。
【0059】
<スキャン制御>
図11は、画像読取装置100においてWebサーバ500によって実行される、スキャン制御のための処理手順の例を示すフローチャートである。
図11の手順による処理は、スキャン設定画面610の画面データのWebブラウザ210(端末200)への送信に応じて開始される。
【0060】
S1101で、Webサーバ500は、Webブラウザ210(端末200)から、スキャン設定及びスキャン指示を受信したか否かを判定する。上述のように、スキャン設定画面610においてスキャンボタン611が押されると、Webブラウザ210(端末200)は、スキャン設定及びスキャン指示をWebサーバ500へ送信する。Webサーバ500は、スキャン設定及びスキャン指示を受信すると、S1102へ処理を進める。なお、スキャン指示と同時ではなく、スキャン設定のうちの少なくとも一つの設定項目ずつ個別に送信し、そのあとでスキャン指示を送信可能に構成しても良い。この場合、最初のスキャン設定をWebサーバ500が受信した時点でS1102に処理を進めてよい。
【0061】
S1102で、Webサーバ500は、画像読取装置100が占有状態又は非占有状態であることを示す占有フラグがONであるか否かを判定する。占有フラグは、例えばRAM12に保持される。本例では、画像読取装置100が占有状態である場合には、占有フラグはONに設定され、画像読取装置100が非占有状態である(占有状態ではない)場合には、占有フラグはOFFに設定される。
【0062】
占有フラグがONである場合、Webサーバ500はS1102からS1103へ処理を進める。S1103で、Webサーバ500は、端末200のユーザにエラーの発生を通知するためのエラー画面の画面データを、Webブラウザ210(端末200)へ送信し、
図11の手順による処理を終了する。このエラー画面は、例えば、画像読取装置100を他のユーザが使用中であることを示すエラーメッセージを含む画面である。
【0063】
一方、占有フラグがOFFである場合、Webサーバ500はS1102からS1104へ処理を進める。S1104で、Webサーバ500は、(RAM12に保持されている)占有フラグをONに設定することで、スキャン処理が開始される際に、画像読取装置100を端末200の操作ユーザによって占有された占有状態とする。画像読取装置100のCPU11は、占有状態において、他のユーザから新たにスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を行う。更にS1105で、Webサーバ500は、UI表示アプリ501によって、画像読取装置100が占有中(他のユーザによって使用中)であることを示すメッセージを操作部130に表示させる。
【0064】
占有フラグの設定による占有状態への移行後、S1106で、Webサーバ500は、スキャンアプリ502を起動する。更にS1107で、Webサーバ500は、Webブラウザ210から受信したスキャン設定及びスキャン指示を、スキャンアプリ502へ送信することで、当該スキャン設定に従ったスキャン処理の実行を、スキャンアプリ502に開始させる。
【0065】
スキャンアプリ502は、スキャナドライバ503を介して、スキャン設定に従って画像読取ユニット104を制御することで、スキャン処理を行う。スキャンアプリ502は、原稿台102にセットされた原稿を1枚ずつ順に搬送し、画像読取ユニット104によって当該原稿の画像の読み取りを行うよう、スキャン処理を制御する。スキャン処理は、原稿台102にセットされた原稿が無くなるまで継続される。なお、所定の枚数の原稿が読取対象とされてもよいし、端末200から受信されるスキャン設定において読取対象の原稿の枚数が設定されてもよい。スキャンアプリ502は、画像読取ユニット104によって生成された読取画像(スキャン画像)の画像データを、RAM12又は記憶部13に保存する。
【0066】
スキャンアプリ502は、スキャン処理の実行が完了したことWebサーバ500へ通知し、スキャン処理を終了する。一方、スキャンアプリ502は、何らかのエラーが発生すると、発生したエラーの内容を示すエラー情報をWebサーバ500へ通知し、スキャン処理を終了する。例えば、スキャン処理の開始時に、原稿検出センサ110によって原稿台102上の原稿が検出されなければ、スキャンアプリ502は、原稿がセットされていない原稿無しエラーの発生を示すエラー情報をWebサーバ500へ通知する。また、スキャン処理の実行中に、重送検出センサ120によって重送が検出されると、スキャンアプリ502は、重送エラーの発生を示すエラー情報をWebサーバ500へ通知する。
【0067】
Webサーバ500は、S1108で、スキャンアプリ502からの通知に基づいて、スキャンアプリ502によるスキャン処理が終了したか否かを判定し、スキャン処理が終了したと判定するとS1109へ処理を進める。S1109で、Webサーバ500は、スキャンアプリ502からの通知に基づいて、スキャン処理の実行中にエラーが発生したか否かを判定する。Webサーバ500は、スキャン処理の実行中にエラー(例えば、原稿無しエラー又は重送エラー)が発生した場合、S1110へ処理を進め、エラーが発生していない場合、S1111へ処理を進める。
【0068】
S1110で、Webサーバ500は、エラー画面800(
図8)の画面データをWebブラウザ210(端末200)へ送信し、S1114へ処理を進める。S1114で、Webサーバ500は、画像読取装置100を占有状態から解放するための解放処理を実行し、
図11の手順による処理を終了する。この解放処理は、後述する
図12に示す手順で実行される。また、解放処理は、端末200においてWebブラウザ210によって表示されたエラー画面800上のOKボタン801が押されたことを示す通知を、Webブラウザ210から受信したことに応じて実行されうる。
【0069】
一方、S1111で、Webサーバ500は、編集画面700の画面データをWebブラウザ210(端末200)へ送信し、S1112へ処理を進める。編集画面700(
図7)は、スキャン処理により得られたスキャン画像の編集操作を操作ユーザから受け付けるための操作画面である。S1112で、Webサーバ500は、編集画面700における操作ユーザの操作(
図7を参照して上述した操作)に対応する処理を実行する。具体的には、Webブラウザ210は、ボタン711~715を用いた操作を操作ユーザから受け付けると、受け付けた操作に対応する指示を、Webサーバ500へ送信する。Webサーバ500(画像読取装置100)は、Webブラウザ210から受信した指示に従って処理を実行する。
【0070】
例えば、編集画面700においてボタン713が押されると、画像読取装置100は、対象スキャン画像の画像データに対して編集処理(本例では、2値化処理)を行い、処理後のスキャン画像の画像データをRAM12又は記憶部13に保存する。Webサーバ500は、処理後のスキャン画像が表示領域701に表示された編集画面700の画面データを生成し、当該画面データをWebブラウザ210へ送信する。
【0071】
また、編集画面700においてページ戻しボタン711又はページ送りボタン712が押されると、Webサーバ500は、表示領域701に表示されるスキャン画像を変更する。Webサーバ500は、表示領域701に表示されるスキャン画像が変更された編集画面700の画面データを生成し、当該画面データをWebブラウザ210へ送信する。
【0072】
また、編集画面700においてボタン714が押されると、Webサーバ500は、編集後のスキャン画像の画像データをWebブラウザ210へ送信した上で、編集画面700を用いた編集処理(画像処理)を終了する。一方、編集画面700においてボタン715が押されると、保存されているスキャン画像の画像データをWebブラウザ210へ送信せずに、編集画面700を用いた編集処理(画像処理)を終了する。ここで、Webサーバ500から画像データをWebブラウザ210に送信するとは、Webサーバ500に記憶された画像データをWebブラウザ210が有する機能などを用いてWebブラウザ210あるいは画像読取装置100にダウンロードすることを含む。
【0073】
Webブラウザ210による編集画面700の表示中に、Webサーバ500は、S1113で、編集画面700を用いた操作が終了したか否かを判定する。Webサーバ500は、ボタン714又は715が押されていない場合、編集画面700を用いた操作が終了していないと判定し、S1112に処理を戻す。一方、Webサーバ500は、ボタン714又は715が押された場合、編集画面700を用いた操作が終了したと判定し、S1114へ処理を進める。S1114で、Webサーバ500は、画像読取装置100を占有状態から解放するための解放処理を実行し、
図11の手順による処理を終了する。この解放処理は、後述する
図12に示す手順で実行される。このように、Webサーバ500は、スキャン処理の終了後にWebブラウザ210に提供した編集画面700を用いて行われるスキャン画像の編集操作が終了すると、画像読取装置100を占有状態から解放する解放処理を行う。
【0074】
<解放処理(S1114,S1310)>
図12は、
図11のS1114及び後述する
図13のS1310においてWebサーバ500によって実行される解放処理の手順の例を示すフローチャートである。
【0075】
解放処理を開始すると、S1201で、Webサーバ500は、RAM12又は記憶部13に保存されているスキャン画像の画像データを削除する。更にS1202で、Webサーバ500は、(RAM12に保持されている)占有フラグをOFFに設定することで、画像読取装置100を、端末200の操作ユーザによって占有された占有状態から解放する。即ち、Webサーバ500は、画像読取装置100を占有状態から非占有状態に移行させる。これにより、画像読取装置100のCPU11は、他のユーザから新たにスキャン指示を受け付けるように動作する。
【0076】
その後S1203で、Webサーバ500は、UI表示アプリ501によって、画像読取装置100を占有状態から解放中であることを示すメッセージ(例えば、他のユーザによる使用が終了したことを示すメッセージ)を操作部130に表示させる。最後にS1204で、Webサーバ500は、スキャン設定画面610(
図6(B))の画面データをWebブラウザ210(端末200)へ送信し、
図12の手順による処理を終了する。
【0077】
<解放制御>
図13は、画像読取装置100においてWebサーバ500によって実行される、解放処理の実行に関連する解放制御のための処理手順の例を示すフローチャートである。Webサーバ500は、スキャン処理の終了後に、S1111において編集画面700の画面データをWebブラウザ210(端末200)へ送信したことに応じて、
図13の手順による処理を開始する。この処理は、端末200において編集画面700を用いた操作が行われている間に、
図11の手順による処理と並列に実行される。
【0078】
まずS1301及びS1309で、Webサーバ500は、端末200において編集画面700が表示されている間に、Webブラウザ210から送信される、解放要求の確認指示を待ち受ける処理を行う。上述のように、Webブラウザ210は、解放要求が発行されているか否かをWebサーバ500に確認するために、所定の時間間隔で、解放要求の確認指示をWebサーバ500へ送信する。
【0079】
S1301で、Webサーバ500は、解放要求の確認指示をWebブラウザ210から受信したか否かを判定する。Webサーバ500は、確認指示を受信していない場合には、S1309へ処理を進め、S1113の判定結果に従って処理を行う。Webサーバ500は、編集画面700を用いた操作が終了した場合(S1113で「YES」)、
図13の手順による処理を終了し、編集画面700を用いた操作が終了していない場合(S1113で「NO」)、S1309からS1301へ処理を戻す。このようにして、Webサーバ500は、端末200において編集画面700が表示されている間に、Webブラウザ210から送信される、解放要求の確認指示を待ち受ける。Webブラウザ210から確認指示を受信すると、Webサーバ500は、S1301からS1302へ処理を進める。
【0080】
S1302で、Webサーバ500は、
図14の手順により、占有状態からの画像読取装置100の解放を求める解放要求が発行されているかを確認するための、解放要求の確認処理を行う。解放要求の確認処理は、Webブラウザ210からの所定の時間間隔での確認指示の受信(例:
図13のS1301でYes)に応じて実行され、占有状態において画像読取装置100に対する操作の有無を所定の時間間隔で検知する処理の一例である。
【0081】
本実施形態では、Webサーバ500は、原稿台102に原稿が置かれた(セットされた)(S1401で「YES」)又は操作部130が操作された(S1402で「YES」)ことに応じて、解放要求が発行されたと判定する(S1404)。原稿台102に原稿がセットされたことは、原稿検出センサ110の出力信号に基づいて判定される。一方、Webサーバ500は、原稿台102への原稿のセットも操作部130の操作も行われていなければ(S1401で「NO」、かつ、S1402で「NO」)、解放要求が発行されていないと判定する(S1403)。このようにして、Webサーバ500は、占有状態における画像読取装置100に対する操作の検知に基づいて、解放要求が発行されたとの判定を行う。
【0082】
なお、Webサーバ500は、端末200と異なる他の情報処理装置(例えば、端末300)で動作するWebブラウザ(他のWebブラウザ)からアクセス(画像読取装置100に対する操作)を受け付けた場合にも、解放要求が発行されたと判定するよう構成されてもよい。このとき、他の情報処理装置のユーザは他のWebブラウザから操作指示をしているため、当該ユーザによって操作部130は操作されないことが想定される。しかし、他のWebブラウザからアクセスを受け付けたことのみを条件として解放要求が発行されたと判定してしまうと、このときに画像読取装置100の操作部130の操作又は原稿台102への原稿のセットを行う他のユーザがいる場合に、(他の情報処理装置のユーザと)当該他のユーザとの混同が生じる可能性がある。
【0083】
従って、上記の場合には、解放要求が発行されたと判定する条件として、他のWebブラウザからのアクセスを受け付けたことだけでなく、
図6(A)を用いて説明したユーザ認証がなされていることを条件とすることが好ましい。例えば、画像読取装置100は、他のWebブラウザから受信したログイン情報に基づいて実行したユーザ認証に関連するユーザ情報を含むダイアログボックス(確認画面)を、画像読取装置100の操作部130(表示部)へ表示する。表示されるダイアログボックスは、画像読取装置100の操作部130を操作又は原稿台102へ読取対象の原稿をセットしようとしているユーザが、他のWebブラウザを用いて画像読取装置100にログインしたユーザと同一である否かを選択できるように構成される。これにより、他のWebブラウザからの操作に関連するユーザ(ユーザ認証が行われたユーザ)と、操作部130の操作又は原稿台102への原稿のセットに関連するユーザとが同一ユーザであるか否かを確認することができる。また、このときは、他のWebブラウザからアクセスを受けた後で原稿台102に原稿がセットされたことを条件とすることが好ましい。すなわち、原稿台102に原稿がセットされた状態で他のブラウザからアクセスを受けた場合には解放要求が発行されないように構成することが好ましい。
【0084】
以上説明した内容を換言すると、原稿台102に原稿が置かれた場合には、ユーザ認証を要さずに解放要求が発行されたと判定し、一方で、他のWebブラウザからのアクセスを受け付けた場合には、当該Webブラウザを介したユーザ認証がなされていることを条件として解放要求が発行されたと判定するように構成することが好ましい。
【0085】
S1303で、Webサーバ500は、解放要求の確認処理(S1302)における判定結果に従って、解放要求が発行されていない場合にはS1301へ処理を戻し、解放要求が発行されている場合にはS1304へ処理を進める。
【0086】
S1304で、Webサーバ500は、解放要求画面900(
図9)の画面データを、Webブラウザ210(端末200)へ送信することで、Webブラウザ210によって端末200に解放要求画面900を表示させる。このようにして、Webサーバ500は、占有状態において画像読取装置100に対する操作が行われると、画像読取装置100を占有状態から解放することを促すメッセージを含む画面(解放要求画面900)をWebブラウザ210によって端末200に表示させる。Webサーバ500は更に、S1305で、画像読取装置100の占有状態の解放について、画像読取装置100を使用中の操作ユーザに対して問い合わせ中であることを示すメッセージを、UI表示アプリ401によって操作部130に表示させる。
【0087】
その後S1306で、Webサーバ500は、Webブラウザ210(端末200)から、スキャン画像の編集操作を継続する(占有状態を継続する)ことを求める継続指示を受信したか否かを判定する。継続指示は、解放要求画面900においてボタン901が押されたことに応じて、Webブラウザ210からWebサーバ500へ送信される。一方、ボタン902が押されると、スキャン画像の画像データを破棄して編集処理(編集操作)を終了することを求める終了指示が、Webブラウザ210からWebサーバ500へ送信される。
【0088】
Webサーバ500は、継続指示を受信した場合、S1306からS1307へ処理を進める。S1307で、Webサーバ500は、編集画面700の画像データをWebブラウザ210へ送信する。これにより、Webサーバ500は、Webブラウザ210によって端末200に再び編集画面700を表示させる(即ち、端末200の表示画面を解放要求画面900から編集画面700に遷移させる)。Webサーバ500は更に、S1308で、操作ユーザによってスキャン画像の編集操作が継続される(占有状態が継続される)ことを示すメッセージを、UI表示アプリ401によって操作部130に表示させ、S1301へ処理を戻す。
【0089】
一方、Webサーバ500は、継続指示を受信していない(終了指示を受信した)場合、S1306からS1310へ処理を進める。S1310で、Webサーバ500は、画像読取装置100を占有状態から解放するための解放処理を実行し、
図13の手順による処理を終了する。この解放処理は、上述した
図12に示す手順で実行される。
【0090】
なお、操作ユーザに対する問い合わせに関してタイムアウト時間を設けてもよい。その場合、Webサーバ500は、問い合わせの開始(解放要求画面900の画面データの送信)タイミングからタイムアウト時間が経過したことに応じて、解放処理(S1310)を実行して、画像読取装置100を占有状態から解放してもよい。これにより、操作ユーザが、解放要求画面900の表示に気づいていない場合に、画像読取装置100を占有状態から解放することが可能になる。
【0091】
以上説明したように、本実施形態の画像読取装置100において、スキャンアプリ502(CPU11)は、端末200で動作するWebブラウザ210に提供した操作画面を介して受け付けたスキャン指示に従って、原稿の画像を読み取ってスキャン画像の画像データを生成するスキャン処理を行う。Webサーバ500(CPU11)は、スキャン処理が開始される際に、画像読取装置100を端末200のユーザ(操作ユーザ)によって占有された占有状態とする。また、Webサーバ500(CPU11)は、スキャン処理の終了後にWebブラウザ210に提供した編集画面700を用いて行われるスキャン画像の編集操作が終了すると、画像読取装置100を占有状態から解放する。Webサーバ500(CPU11)は、占有状態において画像読取装置100に対する操作の有無を所定の時間間隔で検知する。Webサーバ500(CPU11)は、画像読取装置100に対する操作を検知すると、画像読取装置100を占有状態から解放することを促すメッセージを含む画面(解放要求画面900)をWebブラウザ210によって端末200に表示させる。
【0092】
例えば、Webサーバ500は、編集画面700がWebブラウザ210によって表示されている間に(画像読取装置100の占有状態にある間に)、操作部130を用いた操作を検知、又は原稿台102への読取対象の原稿のセットを検知すると、端末200に対する解放要求画面900の表示制御を行う。また、Webサーバ500は、編集画面700がWebブラウザ210によって表示されている間に(画像読取装置100の占有状態にある間に)、端末200と異なる他の情報処理装置(例えば、端末300等の端末装置)で動作する他のWebブラウザからの操作(指示)を検知すると、端末200に対する解放要求画面900の表示制御を行う。
【0093】
本実施形態によれば、このように画像読取装置100を占有状態から解放することを、スキャン画像の編集操作を行っている端末200のユーザに促すことで、スキャン処理の終了後に画像読取装置100を占有状態からより効率的に解放することが可能になる。
【0094】
[第2実施形態]
第1実施形態では、Webサーバ500は、原稿台102に原稿が置かれるか、又は操作部130が操作されると、解放要求が発行されたと判定し(S1302、S1404)、解放要求画面900を端末200に表示させている(S1304)。しかし、端末200において編集画面700を用いてスキャン画像の編集操作を行っている間に、操作ユーザによる編集操作が解放要求画面900の表示によって頻繁に妨げられると、効率的な編集操作を行えなくなりうる。
【0095】
そこで、第2実施形態では、Webサーバ500は、操作ユーザによる編集画面700を用いた編集操作が行われている間には、解放要求画面900を端末200に表示させないように、端末200のブラウザ画面の表示制御を行う例について説明する。以下では、第1実施形態と共通する部分の説明については省略する。
【0096】
本実施形態のWebサーバ500は、第1実施形態と同様に、ログイン制御(
図10)、スキャン制御(
図11)及び解放制御(
図13)を行う。ただし、Webサーバ500は、端末200においてWebブラウザ210が編集画面700を表示している間、操作ユーザによって編集画面700を用いた操作(編集操作)が行われるごとに、当該操作が行われた時刻を最終操作時刻として記録する。最終操作時刻は、例えばRAM12に保持される。
【0097】
具体的には、Webサーバ500は、スキャン制御(
図11)において、編集画面700の画面データをWebブラウザ210(端末200)へ送信したタイミングに(S1111)、RAM12に保持している最終操作時刻を現在時刻に更新する。その後、Webサーバ500は、編集画面700を用いた操作(ボタン711~713を用いた操作)が行われるごとに、RAM12に保持している最終操作時刻を現在時刻に更新する。また、Webサーバ500は、解放制御(
図13)において、解放要求画面900の画面データの送信後(S1304)、操作ユーザの操作により継続指示を受信すると(S1306)、RAM12に保持している最終操作時刻を現在時刻に更新する。なお、Webブラウザに表示されるWebページとして、HTMLデータなどに基づくWebページが用いられた場合、そのWebページ内に配置されたプルダウンメニューなどから設定項目を変更可能に構成する場合、通常、メニューから選択している項目を変更するだけではWebサーバ側への通知の必要はない。このような場合に、本実施形態においては、Javascript(登録商標)などを用い、プルダウンメニューなどにおいて選択項目を変更したときや、他のメニュー設定項目を変更した場合などに、その変更操作に関する情報をWebサーバ側が取得する(即ち、変更操作を検出できる)ように構成しておく。これにより、編集画面700において編集操作を実行した場合にWebサーバ500側で最終操作時刻を更新することができる。また、編集画面700をWebブラウザ210で開いた状態でWebブラウザ210がアクティブな状態であれば、編集操作が行われたという通知を定期的に出すようにJavascriptなどを用いて編集画面700を構成してもよい。
【0098】
また、本実施形態のWebサーバ500は、解放制御(
図13)において、S1302の処理を、
図15の手順により実行する。なお、
図14の処理と同等の処理については同じステップ番号を用いて詳細な説明を省略する。具体的には、S1501で、Webサーバ500は、最終操作時刻から所定時間が経過したか否か(最終操作時刻から現在時刻までの経過時間が、所定時間以上であるか否か)を判定する。Webサーバ500は、最終操作時刻から所定時間が経過していない場合には、S1502へ処理を進める。S1502で、Webサーバ500は、操作ユーザによってスキャン画像の編集操作の実行中であることを示すメッセージを、UI表示アプリ401によって操作部130に表示させたり、アクセス要求してきた他のWebブラウザに返し、S1403へ処理を進める。S1403で、Webサーバ500は、解放要求が発行されていないと判定する。
【0099】
このような処理により、Webサーバ500は、操作ユーザによる編集画面700を用いた編集操作が行われている間には、原稿台102に原稿が置かれた又は操作部130が操作されたとしても、解放要求が発行されていないと判定する。これにより、操作ユーザによる編集画面700を用いた編集操作が行われている間、端末200における解放要求画面900の表示が抑制される。
【0100】
一方、Webサーバ500は、最終操作時刻から所定時間が経過している場合には、S1401へ処理を進める。この場合、Webサーバ500は、第1実施形態と同様、原稿台102に原稿が置かれた(S1401で「YES」)又は操作部130が操作された(S1402で「YES」)ことに応じて、解放要求が発行されたと判定する(S1404)。
【0101】
以上説明したように、本実施形態の画像読取装置100において、Webサーバ500(CPU11)は、操作ユーザによって編集画面700を用いた編集操作が行われている間には、解放要求画面900を端末200に表示させないようにする。即ち、Webサーバ500(CPU11)は、端末200において操作ユーザによる操作が行われない状態でタイムアウト時間が経過している場合に限り、端末200に解放要求画面900を表示させる表示制御を行う。これにより、スキャン画像の編集操作を行っている間に画像読取装置100の解放を促されることが無くなるため、操作ユーザが効率的な編集操作を行うことが可能になる。
【0102】
[第3実施形態]
第1及び第2実施形態では、画像読取装置100のWebサーバ500は、解放要求が発行されたと判定した場合に限り、解放要求画面900の表示により、端末200の操作ユーザに画像読取装置100の解放を促している。例えば、第1実施形態では、原稿台102に原稿が置かれた又は操作部130などが操作された場合に、解放要求が発行されたと判定される。また、第2実施形態では、最終操作時刻から所定時間が経過しており、かつ、原稿台102に原稿が置かれた又は操作部130が操作された場合に、解放要求が発行されたと判定される。しかし、画像読取装置100では、例えば、電源オフ状態へ移行する場合等、画像読取装置100を占有状態から強制的に解放することが必要になる場合がありうる。
【0103】
そこで、第3実施形態では、Webサーバ500は、操作ユーザによる編集画面700を用いた編集操作が行われている場合でも、特定の条件に従って、画像読取装置100を占有状態から強制的に解放する処理を行う例について説明する。以下では、第1及び第2実施形態と共通する部分の説明については省略する。
【0104】
本実施形態の画像読取装置100は、操作部130に配置された電源ボタン及びメモリクリアボタン(図示せず)を備える。画像読取装置100が起動している状態で、電源ボタンが押されると、CPU11は、画像読取装置100を電源オフ状態にする処理を行う。また、メモリクリアボタンが押されると、CPU11は、RAM12又は記憶部13に保存されているスキャン画像の画像データを削除する処理を行う。
【0105】
本実施形態のWebサーバ500は、第1又は第2実施形態と同様に、ログイン制御(
図10)、スキャン制御(
図11)及び解放制御(
図13)を行う。ただし、Webサーバ500は、解放要求の確認処理(S1302)において、原稿台102に原稿が置かれた又は操作部130が操作された場合に加えて、電源ボタン又はメモリクリアボタンが操作された(押された)場合にも、解放要求が発行されていると判定する。
【0106】
電源ボタン又はメモリクリアボタンが操作された場合に、Webサーバ500は、S1304で、解放要求画面として、
図9(B)に例示される解放要求画面910の画像データを、Webブラウザ210(端末200)へ送信する。解放要求画面910に含まれるメッセージは、スキャン画像の画像データを破棄する操作(電源ボタン又はメモリクリアボタンの操作)が行われたことに起因して、当該スキャン画像に対する編集操作を続けることが不可能であることを操作ユーザに通知するものである。解放要求画面910に含まれるボタン911が操作ユーザによって押されると、Webブラウザ210は、スキャン画像の編集処理(編集操作)の終了をWebサーバ500に対して指示する。Webサーバ500は、Webブラウザ210からの指示の受信に応じて、
図12の手順で、画像読取装置100を占有状態から解放するための解放処理を実行する。
【0107】
以上説明したように、本実施形態の画像読取装置100において、Webサーバ500(CPU11)は、電源ボタン又はメモリクリアボタンが操作されると、編集操作の継続が不可能であること示すメッセージを含む画面をWebブラウザ210によって端末200に表示させ、画像読取装置100を占有状態から解放する。これにより、操作ユーザによる編集画面700を用いた編集操作が行われている場合でも、特定の条件に従って、画像読取装置100を占有状態から強制的に解放することが可能になる。
【0108】
本明細書の開示は、以下の画像読取装置及びその制御方法、並びにプログラムを含む。
(項目1)
画像読取装置であって、
前記画像読取装置と通信可能な端末装置で動作するWebブラウザに提供した操作画面を介して受け付けたスキャン指示に従って、原稿の画像を読み取ってスキャン画像の画像データを生成するスキャン処理を行う処理手段と、
前記スキャン処理が開始される際に、前記画像読取装置を前記端末装置のユーザによって占有された占有状態とし、前記スキャン処理の終了後に前記Webブラウザに提供した編集画面を用いて行われる前記スキャン画像の編集操作が終了すると、前記画像読取装置を前記占有状態から解放する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記占有状態において前記画像読取装置に対する操作の有無を所定の時間間隔で検知し、
前記画像読取装置に対する操作を検知すると、前記画像読取装置を前記占有状態から解放することを促すメッセージを含む画面を前記Webブラウザによって前記端末装置に表示させる、
ことを特徴とする画像読取装置。
(項目2)
前記操作は、前記画像読取装置に接続される前記端末装置と異なる他の情報処理装置で動作する他のWebブラウザからの指示である、
ことを特徴とする項目1に記載の画像読取装置。
(項目3)
前記制御手段は、前記他のWebブラウザからの前記画像読取装置に対する操作を受け付けると、当該他のWebブラウザを使用するユーザの認証を行ったことを条件として、前記画面を前記Webブラウザによって前記端末装置に表示させる、
ことを特徴とする項目2に記載の画像読取装置。
(項目4)
前記制御手段は、前記他のWebブラウザからの前記画像読取装置に対する操作を受け付けると、前記画像読取装置の原稿台へ読取対象の原稿をセットしようとしているユーザに対して、当該ユーザと、前記認証が行われたユーザとが同一であるか否かを確認するための確認画面を、前記画像読取装置の操作部に表示する、
ことを特徴とする項目3に記載の画像読取装置。
(項目5)
前記制御手段は、前記画面の表示に応じて、前記編集操作の継続指示を前記ユーザから受け付けると、前記占有状態が継続されることを示すメッセージを前記画像読取装置の操作部に表示する、
ことを特徴とする項目1乃至4のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目6)
前記制御手段は、前記画面の表示に応じて、前記編集操作の終了指示を前記ユーザから受け付けると、前記画像読取装置を前記占有状態から解放する、
ことを特徴とする項目1乃至5のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目7)
前記画面は、前記編集操作の継続指示を受け付けるためのボタンと、前記編集操作の終了指示を受け付けるためのボタンとを含む、
ことを特徴とする項目1乃至6のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目8)
前記制御手段は、前記占有状態において、前記画像読取装置の原稿台に読取対象の原稿がセットされると、前記画面を前記Webブラウザによって前記端末装置に表示させる、
ことを特徴とする項目1乃至7のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目9)
前記制御手段は、前記端末装置において前記ユーザによる操作が行われない状態でタイムアウト時間が経過している場合に限り、前記占有状態において前記画像読取装置に対する操作が行われたことに応じて前記画面を前記Webブラウザによって前記端末装置に表示させる、
ことを特徴とする項目1乃至8のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目10)
前記編集画面は、前記編集画面における項目変更の操作が行われると当該操作を前記画像読取装置が検出可能に構成される、
ことを特徴とする項目9に記載の画像読取装置。
(項目11)
前記制御手段は、前記画像読取装置の操作部に配置された、前記画像読取装置の電源オフを指示するための電源ボタン、又は前記画像読取装置に保存されている画像データの削除を指示するためのメモリクリアボタンが操作されると、前記編集操作の継続が不可能であること示すメッセージを含む画面を前記Webブラウザによって前記端末装置に表示させ、前記画像読取装置を前記占有状態から解放する、
ことを特徴とする項目1乃至10のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目12)
画像読取装置の制御方法であって、
前記画像読取装置と通信可能な端末装置で動作するWebブラウザに提供した操作画面を介して受け付けたスキャン指示に従って、原稿の画像を読み取ってスキャン画像の画像データを生成するスキャン処理を行う工程と、
前記スキャン処理が開始される際に、前記画像読取装置を前記端末装置のユーザによって占有された占有状態とし、前記スキャン処理の終了後に前記Webブラウザに提供した編集画面を用いて行われる前記スキャン画像の編集操作が終了すると、前記画像読取装置を前記占有状態から解放する工程と、
前記占有状態において前記画像読取装置に対する操作の有無を所定の時間間隔で検知する工程と、
前記画像読取装置に対する操作を検知すると、前記画像読取装置を前記占有状態から解放することを促すメッセージを含む画面を前記Webブラウザによって前記端末装置に表示させる工程と、
を含むことを特徴とする画像読取装置の制御方法。
(項目13)
画像読取装置のコンピュータに、項目12に記載の画像読取装置の制御方法を実行させるためのプログラム。
【0109】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0110】
100:画像読取装置、104:画像読取ユニット、10:制御部、11:CPU、13:記憶部、130:操作部、210:Webブラウザ、500:Webサーバ