(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012551
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】窒化アルミニウム粉末及びその改質方法並びに高分子成形体
(51)【国際特許分類】
C01B 21/072 20060101AFI20250117BHJP
C08K 3/28 20060101ALI20250117BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20250117BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20250117BHJP
【FI】
C01B21/072 R
C08K3/28
C08L101/00
C08K3/013
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115453
(22)【出願日】2023-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】591149089
【氏名又は名称】株式会社MARUWA
(74)【代理人】
【識別番号】100096116
【弁理士】
【氏名又は名称】松原 等
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健司
(72)【発明者】
【氏名】高橋 光隆
(72)【発明者】
【氏名】岡村 寛志
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AA001
4J002AC001
4J002DF016
4J002FD016
4J002GQ00
4J002GQ05
(57)【要約】
【課題】樹脂等の高分子材料との濡れ性に優れた窒化アルミニウム粉末を提供する。
【解決手段】JIS K5101-13-1:2004に準拠した精製あまに油法に基づく吸油量が13.5g/100g以下である窒化アルミニウム粉末である。また、メジアン径(D50)が1.5~10μmであり、粒度分布曲線の小径側の立ち上がり接線角度が45°以上である窒化アルミニウム粉末である。また、窒化アルミニウム粉末に乾式ジェットミルによる分級を施す窒化アルミニウム粉末の改質方法である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
JIS K5101-13-1:2004に準拠した精製あまに油法に基づく吸油量が13.5g/100g以下である窒化アルミニウム粉末。
【請求項2】
メジアン径(D50)が1.5~10μmである請求項1記載の窒化アルミニウム粉末。
【請求項3】
メジアン径(D50)が1.5~10μmであり、粒度分布曲線の小径側の立ち上がり接線角度が45°以上である窒化アルミニウム粉末。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム粉末を高分子材料に充填した高分子成形体。
【請求項5】
窒化アルミニウム粉末に乾式ジェットミルによる分級を施す窒化アルミニウム粉末の改質方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化アルミニウム粉末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
窒化アルミニウム粉末は、その優れた熱伝導性を活かし、樹脂、グリース、接着剤、塗料などの材料に混合するフィラーとして利用されている。フィラーに要求される材料特性には、充填性、混錬性及び熱伝導性があり、材料特性を改善する種々の取り組みがなされている。
【0003】
先に、本願出願人は特許文献1で、粉末の70%以上の粒子が角張った角部及び凹凸部を含まない外周形状を有している、球形度が高い球状窒化アルミニウム粉末により、充填性、混錬性及び熱伝導性を改善できることを報告した。
【0004】
さらに、本願出願人は特許文献2で、メジアン径(D50)が1.9~4.0μmであり、粒子径0.9μm以下の粒子が10%以下であり、粒子径7μm以上の粒子が10%以下であり、球形度が0.8以上である球状窒化アルミニウム粉末により、流動性及び充填性を改善できることを報告した。
【0005】
特許文献1,2の球状窒化アルミニウム粉末は、基本的には、窒化アルミニウム原料粉末に希土類化合物粉末、カルシウム化合物粉末及びカーボン粉末を添加・混合し、非酸化雰囲気中で熱処理して粒子の球形化・成長を促し、酸化雰囲気中で熱処理して脱炭する、という方法で製造される。
【0006】
次に、特許文献3では、フィラー中に粗大粒子が含まれると、隙間へ充填する際に詰まりが発生して充填ムラ、ボイド、成形不良生などが発生し、また凝集粒子の存在は、流動性を悪化させる原因になることもあるとの一般論が記されたうえで、窒化アルミニウム粉末では粗大粒子や凝集粒子の量がコントロールされたものが報告されていなかったとして、余分な粗大粒子を除去することにより分級された窒化アルミニウム粉末が報告されている。
【0007】
その分級について特許文献3には、乾式法(篩分級法、気流分級法)、湿式法(湿式フィルター分級、流体分級)の各種方法を用いることができるが、より効率的に粗粒を除去できるのは気流分級や湿式分級であり、さらに気流分級よりも湿式分級の方が分級後に残存する粗粒が少なく、さらに流体分級よりも湿式フィルター分級の方が精度が良く生産能力も高いとの比較が記されたうえで、実施例では湿式フィルター分級のみを採用している。湿式フィルター分級は、粉末を溶媒に分散し、凝集を解いた上でフィルターを通過させる分級方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6700460号公報
【特許文献2】特許第7149379号公報
【特許文献3】特許第7017556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1,2の窒化アルミニウム粉末は、上記方法で製造したままでは、樹脂等の高分子材料との濡れ性に改善の余地があった。
【0010】
本願発明者らは、特許文献3のように窒化アルミニウム粉末に湿式分級を施すと、樹脂等の高分子材料との濡れ性に影響する可能性があると考え、特許文献3の実施例の窒化アルミニウム粉末を追試したところ、樹脂等の高分子材料との濡れ性は、分級前よりも分級後でかえって悪くなった(後述する比較例2,4の吸油量を参照)。
【0011】
そこで、本発明の目的は、樹脂等の高分子材料との濡れ性に優れた窒化アルミニウム粉末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らはさらに、窒化アルミニウム粉末の粒子表面状態を変えることで樹脂等の高分子材料との濡れ性を改善することができないか検討を重ねた結果、窒化アルミニウム粉末に所定の乾式分級を施すことにより樹脂等の高分子材料との濡れ性が改善される可能性があることを見出し、さらに検討を重ねて本発明に至った。
【0013】
[1]JIS K5101-13-1:2004に準拠した精製あまに油法に基づく吸油量が13.5g/100g以下である窒化アルミニウム粉末。
【0014】
JIS K5101-13-1:2004(ISO 787-5:1980)に準拠した精製あまに油法に基づく吸油量は、粉体10gに対してシリコーンオイルを少量ずつ滴下してヘラで練り合わせ、割れたり、ぼろぼろになったりせず広げることができ、かつ、測定板に軽く付着する程度の滴下量とし、それを粉体100g当たりの滴下量に換算するものである。シリコーンオイルには信越化学工業株式会社製KF96-300CSを使用した。吸油量の測定値は10回測定を行い、その平均値を採用した。
この吸油量の値が小さいほど、オイルに対する粉末の濡れ性が良くなり、樹脂等の高分子材料との濡れ性も改善される。
この吸油量は13.0g/100g未満であることがより好ましい。
【0015】
[2]メジアン径(D50)が1.5~10μmである上記[1]記載の窒化アルミニウム粉末。
【0016】
メジアン径(D50)が1.5μm未満であると凝集粒子が発生しやすくなり、放熱フィラーとして使用しにくい。メジアン径(D50)が10μm超であると高分子成形体の薄層化が困難となる。
【0017】
[3]メジアン径(D50)が1.5~10μmであり、粒度分布曲線の小径側の立ち上がり接線角度が45°以上である窒化アルミニウム粉末。
【0018】
メジアン径(D50)については、上記のとおりである。
粒度分布曲線の小径側の立ち上がり接線角度とは、当該立ち上がり接線とx軸(粒子径の対数軸)からなる角度であり、後述する手順で算出する。この立ち上がり接線角度が45°以上であると、細かな破砕粒子が少ないことにより、樹脂等の高分子材料との濡れ性が改善される。
この立ち上がり接線角度は50°以上であることが好ましく、55°以上であることがより好ましい。
【0019】
[4]上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム粉末を高分子材料に充填した高分子成形体。
【0020】
[5]窒化アルミニウム粉末に乾式ジェットミルによる分級を施す窒化アルミニウム粉末の改質方法。
【0021】
窒化アルミニウム粉末に乾式ジェットミルによる分級を施すことにより、凝集粉末の解砕/粉砕が進行してDmaxの低減、粒度分布のシャープ化が生じるだけでなく、乾式ジェットミルの捕集方法はサイクロンであるから、細かな破砕粒子が分級後の粉末に含まれにくくなる。そして、吸油量が低下し、樹脂等の高分子材料との濡れ性が改善される。
なお、湿式分級でも乾式ジェットミル分級と同等の粒度分布調整は可能であるが、吸油量は低下しない。
このように粒度分布が同等なのに吸油量に差が生じる原因については、現時点では詳細は不明であるが、乾式ジェットミルによる解砕又は粉砕で新たに露出する粒子表面状態が、元々露出している表面状態と異なるためであると考えられる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、樹脂等の高分子材料との濡れ性が高い窒化アルミニウム粉末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は実施例1の窒化アルミニウム粉末の(a)は倍率100倍のSEM写真。(b)は倍率2000倍のSEM写真である。
【
図2】
図2は比較例1の窒化アルミニウム粉末の(a)は倍率100倍のSEM写真。(b)は倍率2000倍のSEM写真である。
【
図3】
図3は比較例2の窒化アルミニウム粉末の(a)は倍率100倍のSEM写真。(b)は倍率2000倍のSEM写真である。
【
図4】
図4は実施例1,2,3及び比較例1,2(A-02-F系)の(a)は粒度分布曲線を示すグラフ図、(b)は(a)の立ち上がりの拡大図である。
【
図5】
図5は実施例4,5及び比較例3,4(A-05-F系)の(a)は粒度分布曲線を示すグラフ図、(b)は(a)の立ち上がりの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<1>窒化アルミニウム粉末
(ア)組成
窒化アルミニウム粉末の組成は、特に限定されないが、窒化アルミニウムのほかに製造方法由来の希土類化合物を含有していてもよく、さらにカルシウム化合物を含有していてもよい。
【0025】
希土類化合物に関しては、特に限定されないが、窒化アルミニウム100質量%に対して酸化物換算で3.0質量%以下が好ましい。希土類化合物が3.0質量%超であると、窒化アルミニウムの純度が低下するため、熱伝導率の低下が懸念される。
【0026】
希土類化合物としては、特に限定されないが、Y、Yb、La、Nd、Smの酸化物又はハロゲン化物などが挙げられる。
【0027】
カルシウム化合物に関しては、特に限定されないが、窒化アルミニウム100質量%に対して酸化物換算で0.5質量%以下が好ましい。カルシウム化合物が0.5質量%超であると、窒化アルミニウムの純度が低下するため、熱伝導率の低下が懸念される。
【0028】
(イ)製造方法
窒化アルミニウム粉末(乾式ジェットミル処理前)は、その製造方法に特に制限はなく、市販品を用いてもよい。製造方法としては、前記の特許文献1又は特許文献2に記載された製造方法を例示できる。
【0029】
(ウ)乾式ジェットミルによる分級(改質方法)について
乾式ジェットミルによる分級は、気体を噴射ノズルから噴出させ、そのジェット気流によって原料粒子を加速し、粒子の衝突作用や摩砕によって粉砕するものである。これに用いる乾式ジェットミル装置は、特に限定されず、公知又は市販の乾式ジェットミル装置を用いることができる。
【0030】
<2>高分子成形体
本発明の窒化アルミニウム粉末は高分子材料に充填することにより、熱伝導率が高い高分子成形体を作製して使用することができる。高分子材料としては、樹脂、ゴム、エラストマー等を例示できる。
【0031】
<3>用途
窒化アルミニウム粉末の用途としては、特に限定されないが、高分子材料、グリース、接着剤、塗料などの材料に混合するフィラーを例示できる。
本発明の窒化アルミニウム粉末をフィラーとして高分子材料に充填してなる高分子成形体の用途としては、特に限定されないが、半導体モジュール、LEDパッケージ、ペルチェモジュール、プリンタ、複合機、半導体レーザー、光通信、高周波などで使用される回路基板や、汎用の放熱部材や、パワー半導体モジュール用放熱部材(ヒートシンク)や、絶縁板等を例示できる。
【実施例0032】
次に、本発明を具体化した実施例について、比較例と比較しつつ、図面を参照して説明する。なお、実施例の各部の材料、数量及び条件は例示であり、発明の要旨から逸脱しない範囲で適宜変更できる。
【0033】
表1に示すとおり、出発原料となる窒化アルミニウム粉末として、実施例1,2,3と比較例1,2では株式会社MARUWA(本願出願人)製の「A-02-F」を使用し、実施例4,5と比較例3,4では同社製の「A-05-F」を使用した。以下「各例」というときは、実施例1~5及び比較例1~4の各々を指すものとする。
【0034】
【0035】
・実施例1,2,3は、「A-02-F」を、日本ニューマチック工業株式会社製の乾式ジェットミル「PJM-80」を使用して分級したものであり、粉砕圧力を、実施例1では0.4MPa、実施例2では0.3MPa、実施例3では0.2MPaとした。原料供給量(処理量)は300g/hrとした。粉砕回数は1パスとした。ライン全体の雰囲気は大気雰囲気とした。乾式ジェットミルの捕集方法はサイクロンであるから、特に細かな破砕粒子が除去されて分級後の粉末に含まれないという特徴がある。
【0036】
・比較例1は、「A-02-F」をそのまま使用したものであり、分級は施していない。
【0037】
・比較例2は、「A-02-F」を、IPAに分散させてから静置することで、凝集粒子および粗大粒子を沈降させた後に、上澄み液を回収、濾過、乾燥することで得た。この際、比較例2のD50が実施例1,2,3のD50に近づくように静置時間を調整した。
【0038】
・実施例4,5は、「A-05-F」を、上記乾式ジェットミル「PJM-80」を使用して分級したものであり、粉砕圧力を、実施例4では0.4MPa、実施例5では0.3MPaとした。原料供給量(処理量)は300g/hrとした。粉砕回数は1パスとした。ライン全体の雰囲気は大気雰囲気とした。捕集方法はサイクロンである。
【0039】
・比較例3は、「A-05-F」をそのまま使用したものであり、分級は施していない。
【0040】
・比較例4は、「A-05-F」を、IPAに分散させてから静置することで、凝集粒子および粗大粒子を沈降させた後に、上澄み液を回収、濾過、乾燥することで得た。この際、比較例4のD50が実施例4,5のD50に近づくように静置時間を調整した。
【0041】
得られた各例の窒化アルミニウム粉末について、以下の観察及び測定を行った。
【0042】
(1)SEM写真観察
図1は実施例1、
図2は比較例1、
図3は比較例2のそれぞれ窒化アルミニウム粉末のSEM写真であり、各図の(a)は倍率100倍、(b)は2000倍である。
【0043】
比較例1,2と比べて、実施例1は、窒化アルミニウム粉末の粒度のばらつきが小さく、かつ凝集塊が少ない。
【0044】
(2)粒度分布
0.1質量%のピロリン酸ナトリウム水溶液50mlに、各例の窒化アルミニウム粉末0.5gを投入し、株式会社日本精機製作所製の型式US-300Eを使用して出力80%で3分間分散させたものを、株式会社島津製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置、型式SALD-2200を使用して、体積基準の粒度分布を測定した。測定結果を表1、
図4及び
図5に示す。Dmax=D99.99とした。
【0045】
「A-02-F」はもともと2μm粒子を中心的に含むものであるが、
図4(a)の粒度分布のとおり、比較例1のピークトップは3~4μmにある。これは2μm粒子の一部が凝集していることによるものである。
比較例2のピークトップが約3μmにシフトしたのは、凝集粒子および粗大粒子が湿式分級により除去されたためである。実施例1~3のピークトップが2~3μmにシフトしたのは、凝集粒子が乾式ジェットミルにより解砕されたためである。しかし、いずれもピークトップが2μm以下になっていないのは、2μm粒子の破砕は生じていない又は少ないためと考えられる。
【0046】
「A-05-F」はもともと4μm粒子を中心的に含むものであるが、
図5(a)の粒度分布のとおり、比較例3のピークトップは5.5~6μmにある。これは4μm粒子の一部が凝集していることによるものである。
比較例4のピークトップが4~5μmにシフトしたのは、凝集粒子および粗大粒子が湿式分級により除去されたためである。また、実施例4,5のピークトップが約4μmにシフトしたのは、凝集粒子が乾式ジェットミルにより解砕されたためである。
【0047】
(3)(D90-D10)/D50
(D90-D10)/D50の算出結果を表1に示す。この値は、粒度分布のシャープさの指標であり、値が小さいほど粒度分布がシャープである。
【0048】
比較例1に対して、比較例2及び実施例1~3は、この値が明らかに小さくなっている。
比較例3に対して、比較例4及び実施例4,5は、この値が明らかに小さくなっている。
【0049】
(4)小径側の立ち上がり接線角度
粒度分布曲線の小径側の立ち上がり接線角度とは、
図4(b)及び
図5(b)に示す当該立ち上がり接線とx軸(粒子径の対数軸)からなる角度であり、以下の手順で算出した。
i)粒度分布曲線の小径側立ち上がりのプロット2点を読み取り、(x1,y1)、(x2,y2)とする。
ここで、xは粒子径、yは相対粒子量、y1=0とする。
x2はlogx2-logx1が0.040-0.050を満たす範囲の任意の点とする。
図4(b)及び
図5(b)に、実際に読み取った2点目(x2,y2)を矢印で指し示す。
ii)2点を結ぶ直線を粒度分布曲線の接線とみなすと、接線の傾きはy2/(x2-x1)。
iii)接線の傾きに対してtan
-1を取り、接線の角度を算出する。
算出結果を表1に示す。
【0050】
比較例1に対して、比較例2は接線角度の増加がわずかであるが、実施例1~3は接線角度の増加が非常に大きい。
比較例3に対して、比較例4は接線角度の増加がわずかであるが、実施例4,5は接線角度の増加が非常に大きい。
この実施例1~5の結果は、前記のとおり乾式ジェットミルの捕集方法はサイクロンであるから、特に細かな破砕粒子が除去されて分級後の粉末に含まれていないことを表している。
【0051】
(5)吸油量
JIS K5101-13-1:2004に準拠した精製あまに油法に基づく吸油量を測定した。
【0052】
比較例1に対して、比較例2は吸油量が大きくなったが、実施例1~3は吸油量が小さくなった。
比較例3に対して、比較例4は吸油量が大きくなったが、実施例4,5は吸油量が小さくなった。
この実施例1~5の結果は、前記のとおり現時点では詳細不明であるが、乾式ジェットミルによる解砕又は粉砕で新たに露出する粒子表面状態が、元々露出している表面状態と異なるためであると考えられる。このように、JIS K5101-13-1:2004に準拠した精製あまに油法に基づく吸油量が9.0g/100g~13.5g/100gである窒化アルミニウム粉末をフィラーとして樹脂等の高分子材料に用いることで、濡れ性が良く、混錬性が向上した。
【0053】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することができる。
窒化アルミニウム粉末に、JIS K5101-13-1:2004に準拠した精製あまに油法に基づく吸油量が分級前に対して分級後に89.5%以下になるように、乾式ジェットミルによる分級を施す窒化アルミニウム粉末の改質方法。