(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012569
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】垂直離着陸機用ガスタービンエンジン
(51)【国際特許分類】
B64D 27/12 20060101AFI20250117BHJP
B64C 29/00 20060101ALI20250117BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20250117BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20250117BHJP
B64D 27/24 20240101ALI20250117BHJP
【FI】
B64D27/12
B64C29/00 A
F02C7/00 F
B64C27/08
B64D27/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115486
(22)【出願日】2023-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】303001106
【氏名又は名称】高田 武幸
(72)【発明者】
【氏名】高田武幸
(57)【要約】
【課題】垂直離着陸可能な航空機において、燃費の良い水平飛行を可能にするには、ターボプロップエンジンを用いて水平飛行するのが良い。課題は、どうやって垂直離着陸モードから、水平飛行時の、燃費の良いターボプロップエンジンのモードに切り替えるかと言う事である。
【解決手段】本発明の、垂直離着陸機用ガスタービンエンジンは、バルブを閉じたり、開いたりする、簡便な機構で、垂直離着陸モードと、燃費の良いターボプロップエンジンによる、水平飛行モードとを使い分ける事ができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサー駆動用タービンと、フリータービンの間に、分岐管を設置するか、あるいはフリータービンを通過したガスを分岐する、分岐管を設け、その分岐管にバルブを付ける事を特徴とする、ガスタービンエンジン。
【請求項2】
上記請求項1の、ガスタービンエンジンにおいて、コンプレッサー駆動用タービンを通過した高圧ガスを分岐する、分岐管を設け、その分岐管の中を高圧ガスが通過し、その高圧ガスのエネルギーを用いて、垂直離着陸用プロペラを駆動する事を特徴とする、ガスタービンエンジン。
【請求項3】
上記請求項2の、ガスタービンエンジンにおいて、高圧ガスが通過する分岐管が、翼の中を通る事を特徴とするガスタービンエンジン。
【請求項4】
上記請求項2の、ガスタービンエンジンにおいて、垂直離着陸用プロペラの速度調整を、電動発電機で行う事を特徴とする ガスタービンエンジン。
【請求項5】
上記請求項2の、ガスタービンエンジンにおいて、垂直離着陸用プロペラの駆動を、チップジェットで行う事を特徴とする ガスタービンエンジン。
【請求項6】
上記請求項2の、ガスタービンエンジンにおいて、推進用プロペラを駆動するタービンを回転させるには、高圧ガスが必要だが、その高圧ガスを供給するか、それとも止めるかを、バルブの開け閉めで行う事を特徴とする ガスタービンエンジン。
【請求項7】
上記請求項2の、ガスタービンエンジンにおいて、垂直離着陸用プロペラを駆動するタービン、あるいはチップジェットを駆動するには、高圧ガスが必要だが、その高圧ガスを供給するか、それとも止めるかを、バルブの開け閉めで行う事を特徴とする ガスタービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直離着陸機用ガスタービンエンジンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、垂直離着陸機のほとんどは、ガスタービンエンジンを用いており、実用例としては、アメリカ軍の戦闘機F-35B、アメリカ軍の輸送機V-22オスプレイなどが有る。
【0003】
従来の垂直離着陸機の問題点は、製造コストと保守及び維持費用が高い事である。例えばヘリコプターは垂直離着陸可能な航空機の代表であるが、水平飛行時の燃費は悪い。燃費の良い水平飛行をするにはターボプロップエンジンを用いるのが一番良い。従って、ターボプロップエンジンに、垂直離着陸機能を付加するのが、燃費を良くする為の有効な解決手段である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の垂直離着陸機の問題点は、製造コストと保守及び維持費用が高い事である。例えばヘリコプターは垂直離着陸可能な航空機の代表であるが、水平飛行時の燃費は悪い。燃費の良い水平飛行をするにはターボプロップエンジンを用いるのが一番良い。従って、ターボプロップエンジンに、垂直離着陸機能を付加するのが、燃費を良くする為の有効な解決手段である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の垂直離着陸機用ガスタービンエンジンは、製造コストと保守及び維持費用が安く、故障が少ない事を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の、垂直離着陸機用ガスタービンエンジンは、コストが安く、故障が少なく、軽量かつ簡単な機構で、垂直に離着陸でき、なおかつ、水平飛行時は、燃費の良いターボプロップエンジンに切りかえる事が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の(実施例1)の垂直離着陸機用ガスタービンエンジンを搭載した垂直離着陸機の平面図である。
【
図2】
図2は、本発明の(実施例1)の垂直離着陸機用ガスタービンエンジンの、
図1のA-A断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の(実施例1)の垂直離着陸機用ガスタービンエンジンの、
図1のB-B断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の(実施例2)の垂直離着陸機用ガスタービンエンジンを搭載した機体の平面図である。
【0009】
水平飛行時には、バタフライバルブ72が閉じられ、逆にバタフライバルブ71が開けられているので、高圧ガスは前進用プロペラ駆動用タービン70を駆動して、排気口67から排気される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、垂直/短距離離着陸機に用いられる、ガスタービンエンジンに関するものである。本発明を簡単に説明すれば、ターボプロップエンジンを有する、垂直離着陸機である。つまり、本発明は、ターボプロップエンジンに、垂直離着陸機能を付加したものである。ターボプロップエンジンだけでなく、ダクテッドファンエンジンや、ターボファンエンジンにも、本発明は応用可能である。
【0011】
垂直離着陸機の多くは、垂直離着陸(VTOL)だけでなく短距離離着陸(STOL)にも対応しているが、本発明の垂直/短距離離着陸機も、その例外ではない。このような機体は垂直/短距離離着陸機と称される。
【0012】
米軍の垂直離着陸戦闘機F-35Bや、同じく米軍の輸送機V-22オスプレイもそうであるが、垂直離着陸機には、推力偏向式が多い。推力偏向式は、離陸着陸の際には推力で直接機体を持ち上げ、水平飛行時には推力を進行方向へとスイッチする機体である。
【0013】
この種の機体の推力方向の切り替えは、プロペラやローターあるいはジェット噴射の向きを90°程度回転させて行うというものが多い。米軍の戦闘機F-35Bも、排気ダクトを約90°まで屈曲させている。アメリカ軍の輸送機V-22オスプレイは、プロップローターの角度を変更している。
【0014】
F-35Bは、短距離離陸、垂直着陸 (STOVL)であり、前方に垂直上昇用のリフトファンを備えている。そのリフトファンを駆動するには、F-35Bの本体のターボファンエンジンからの延長軸と、延長軸に付いたクラッチを介して駆動する。
【0015】
本発明の、ターボプロップエンジンに垂直離着陸機能を付加した、垂直/短距離離着陸機においても、推進用プロペラに、駆動力を伝えたり、伝えなかったりできるが、それはクラッチによるものではなく、従って、クラッチを必要としないので、故障が少なく、軽量にでき、コストもかからない。
【0016】
本発明の、ターボプロップエンジンに垂直離着陸機能を付加した、垂直/短距離離着陸機用エンジンは、多くのターボプロップエンジンが、そうであるように、圧縮機駆動用タービン軸と、プロペラ駆動用タービン軸を共有しない、2軸構成となっている。
【0017】
従って、圧縮機駆動用タービンの回転速度に影響されることなくプロペラを回転させることが可能である。それぞれのタービン軸が最適な回転数で回転できる。
【実施例0018】
図1は、本発明の(実施例1)の垂直離着陸機用ガスタービンエンジンを搭載した垂直離着陸機の平面図であり、中央胴体に付いたプロペラ5による推進力により、水平飛行し、垂直離着陸時には、4基の垂直離着陸用プロペラの揚力を用いて、垂直離着陸する。図の1,2,3,4,は、垂直離着陸用プロペラの回転円板を表している。
【0019】
中央胴体に付いた主翼7の中には、主翼内高圧配管6が有り、この高圧配管6の中を、高圧ガスが流れ、その高圧ガスのエネルギーを用いて、垂直離着陸する。中央胴体は水平尾翼8を有している。
【0020】
図2は、本発明の(実施例1)の垂直離着陸機用ガスタービンエンジンの、
図1のA-A断面図である。垂直離着陸時には、空気取り入れ口20より入った空気は、圧縮機21によって圧縮され、燃焼室19で燃料を吹き込まれて燃焼し、圧縮機駆動用タービン18を駆動し、開いたバタフライバルブ14を通り、さらに開いたバタフライバルブ12を通り、主翼内高圧配管への入り口である、主翼内高圧配管に高圧ガスを送る開口部11から、主翼内高圧配管に入る。この時、バタフライバルブ15は閉じられている。
【0021】
図2を見れば分かるように、この実施例では、ガスタービンエンジンを上下2基搭載している。エンジンを2基搭載した理由は、仮にエンジンが1基故障した場合でも、残りの1基のエンジンで安全に飛行を続ける為である。
【0022】
仮に
図2の上側に搭載したエンジンが故障した場合、バタフライバルブ13を閉じ、それによって、高圧ガスが故障したエンジンの方に逆流するのを止める。
【0023】
垂直上昇した後、水平飛行に移れば、バタフライバルブ12は閉じられ、逆に、今まで閉じられていた、バタフライバルブ15が開かれる。その結果、高圧ガスは、プロペラ駆動用タービン16を駆動し、排気口10より、外気に排出される。
【0024】
この時、本発明の垂直離着陸ガスタービンエンジンは、ターボプロップエンジンとして機能している。
図2では、排気口10は上側に開口しているが、他の多くのターボプロップエンジンが、そうしているように、排気ガスを、エンジンの両側に振り分けて、後方に向けて排出しても良い。
【0025】
なお、プロペラ駆動用タービン軸17の回転は、減速機9で回転数を減らされ、プロペラ5を回転させる。
【0026】
図3は、本発明の(実施例1)の垂直離着陸機用ガスタービンエンジンの、
図1のB-B断面図である。垂直離着陸時には、主翼内高圧配管を通ったガスが、主翼内高圧配管内を流れる高圧ガスの出口29から出て来て、その高圧ガスのエネルギーによって、垂直離着陸用プロペラのブレード22、23が駆動される。
【0027】
具体的には、高圧ガスによって、垂直離着陸用プロペラ駆動タービン27が回転し、それにより垂直離着陸用プロペラ駆動タービン軸26が回転し、そして電動発電機24が回転し、減速機25によって、回転数が減らされ、垂直離着陸用プロペラのブレード22が駆動される。
【0028】
なお、垂直離着陸時においては、4基の垂直離着陸用プロペラの回転数を、微妙に調整して、機体の安定を保つ必要が有るが、それは電動発電機24によって行われる。すなわち、プロペラの回転数を増やす必要が有る時は、電動発電機24は電動機と成って回転数を増やし、逆に、プロペラの回転数を減らす必要が有る時は、電動発電機24は発電機と成って回転数を減らす。
図の50,51,52,53,は、垂直離着陸用プロペラの回転円板を表している。左右の主翼に搭載されたエンジンは、主翼56の中の、主翼内高圧配管57によって、つながっている。中央胴体は水平尾翼58を有している。
水平飛行時には、バタフライバルブ72が閉じられ、逆にバタフライバルブ71が開けられているので、高圧ガスは前進用プロペラ駆動用タービン70を駆動して、排気口67から排気される。
そして、主翼内高圧配管内を流れる高圧ガスの出入り口73から、高圧ガスが噴出して、その高圧ガスのエネルギーで、推進用プロペラ55や、垂直離着陸用プロペラ60及び61を回す事ができる。
垂直離着陸用プロペラ駆動用タービンを用いて、垂直離着陸用プロペラを回転させるのではなく、チップジェット方式でも良い。その場合、垂直離着陸用プロペラ駆動用タービンと減速機は要らなくなる。4基の垂直離着陸用プロペラを持つので、4基の垂直離着陸用プロペラを持つドローンが、安定して飛行できるように、この4基の垂直離着陸用プロペラを持つ、垂直離着陸機も安定して飛行できる。なお、垂直離着陸用プロペラの数は、4基に限らず、増やす事も可能である。水平飛行に移れば、垂直離着陸用プロペラは回転を止め、空気抵抗の少ない状態で垂直離着陸用プロペラを停止する。その為には、垂直離着陸用プロペラのブレードの枚数は、2枚の物が望ましい。つまり、竹とんぼのような形状の垂直離着陸用プロペラ が望ましい。何故なら、垂直離着陸用プロペラのブレードの長手方向を、飛行方向に平行にすれば、正面投影面積を最小にして、空気抵抗の少ない状態で飛行できるからである。