(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001257
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/888 20180101AFI20241225BHJP
B60N 2/42 20060101ALI20241225BHJP
A47C 7/38 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
B60N2/888
B60N2/42
A47C7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100743
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100100413
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 温
(72)【発明者】
【氏名】上田 圭介
(72)【発明者】
【氏名】徳永 孝行
(72)【発明者】
【氏名】河野 克巧
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084DA02
3B084DB14
3B087CD03
3B087DC05
(57)【要約】
【課題】後面衝突時の前席乗員の鞭打ち傷害を抑制するとともに前面衝突時の後席乗員の頭部傷害を抑制したシートを提供する。
【解決手段】ヘッドレスト部30を有するシート1を、ヘッドレスト部の左右側部に設けられた左右フレーム31L,31Rと、左右フレームに取り付けられた左衝撃吸収部材40L、右衝撃吸収部材40Rとを備え、左衝撃吸収部材は、左被入力面部41Lと左連結部43Lとを有し、右衝撃吸収部材は、右被入力面部41Rと右連結部43Rとを有し、左連結部の左被入力面部側の端部は、左連結部と左フレームとの結合箇所に対して、車両前方かつ右側に配置され、右連結部の右被入力面部側の端部は、右連結部と右フレームとの結合箇所に対して、車両前方かつ左側に配置され、左右被入力面部は左右方向に間隔を隔てて配置される構成とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座する乗員の頭部後方に設けられるヘッドレスト部を有するシートであって、
前記ヘッドレスト部の左右側部に設けられた左フレーム及び右フレームと、
前記左フレームに取り付けられた左衝撃吸収部材と、
前記右フレームに取り付けられた右衝撃吸収部材と
を備え、
左衝撃吸収部材は、前記乗員の後頭部と対向して配置された左被入力面部と、前記左被入力面部の左側端部と前記左フレームとを連結する左連結部とを有し、
右衝撃吸収部材は、前記乗員の後頭部と対向して配置された右被入力面部と、前記右被入力面部の右側端部と前記右フレームとを連結する右連結部とを有し、
前記左連結部の前記左被入力面部側の端部は、前記左連結部と前記左フレームとの結合箇所に対して、車両前方かつ右側に配置され、
前記右連結部の前記右被入力面部側の端部は、前記右連結部と前記右フレームとの結合箇所に対して、車両前方かつ左側に配置され、
前記左被入力面部の右側端部と前記右被入力面部の左側端部とは左右方向に間隔を隔てて配置されること
を特徴とするシート。
【請求項2】
前記左衝撃吸収部材及び前記右衝撃部材の前方側に弾性部材が設けられ、
前記弾性部材は、前記乗員の頭部を中央側へ誘導する斜面部が形成されること
を特徴とする請求項1に記載のシート。
【請求項3】
前記左衝撃吸収部材の前記左被入力面部と前記左連結部とがプレート状に一体に形成され、
前記右衝撃吸収部材の前記右被入力面部と前記右連結部とがプレート状に一体に形成されること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシート。
【請求項4】
前記左衝撃吸収部材及び前記右衝撃吸収部材は、上下方向に複数配列されること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシート。
【請求項5】
前記ヘッドレスト部における前記左被入力面部の右側端部と前記右被入力面部の左側端部との間隔に、前記ヘッドレスト部を前後方向に貫通する開口が設けられること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の移動体に設けられるシートに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両のシートのヘッドレスト周辺部に関する技術として、例えば特許文献1には、前面側と後面側とを交互に切り起こし状に形成することにより内腔空部を有せしめたヘッドレスト補強部材を背もたれ枠部材の上部に固着又は背もたれ枠部材と一体形成し、補強部材を内側に収め得る袋状部と、背もたれの背面状部を覆う背面部と、背もたれの両肩を覆う肩部とを連続一体あるいは前後別体に成型された緩衝材を補強材及び背もたれ枠部材に外嵌したものが記載されている。
特許文献2には、シートバックに保持されるステーと、ステーに連結されてパッドに内設される内設体とを有する車両用シートのヘッドレスト装置において、内設体は、前記パッドを略中央部において支持する中央支持部と、パッドを両側部において支持する側方支持部とを有し、側方支持部が前方に向けて凹となるように湾曲状に形成されることにより、中央支持部が前方に向けて凸となるように突出状に屈曲形成されており、中央支持部が後方に向けて押圧されると、前記側方支持部が前方に向けて凹となるように湾曲状に形成された後面部位とステーとの連結箇所を支点として前方に向けて回動する構成にしたものが記載されている。
特許文献3には、車両用シートのシートバックの上部位置に設けられて乗員の頭部を支持するヘッドレストにおいて、乗員の後頭部を支持する後頭支持部と、後頭支持部の両サイドに位置して乗員の側頭部を支持する側頭支持部と、側頭支持部を後頭支持部に対して前後方向に相対移動させることのできる作動構造を備えた可動機構とを有し、可動機構は、後頭支持部と側頭支持部との間で揺動運動可能に配設された揺動部材を有し、各揺動部材は、それらの揺動運動時に前方に揺動する一方側の面部によって各側頭支持部を押圧し側頭支持部による乗員の側頭部を支持する側頭支持位置を前方移動させると共に、それらの後方に揺動する他方側の面部によって後頭支持部を押圧し該後頭支持部による乗員の後頭部を支持する後頭支持位置を後方移動させるようになっており、各揺動部材は、後頭支持部と各側頭支持部との形状内部に跨って揺動運動するようになっており、各揺動部材を揺動運動させるための駆動は、各揺動部材の前方に揺動する一方側の面部の背面側に配設されたエアバッグを膨張展開させることによって行われるようになっているものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭54- 11928号公報
【特許文献2】特許第4075452号
【特許文献3】特許第5087960号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前後方向に複数の座席が設けられる車両において、前席シートのヘッドレスト部分は、後面衝突時(被追突時)における前席乗員の鞭打ち傷害抑制、前面衝突時における後席乗員の頭部の衝突による傷害の抑制に重要な部分である。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、後面衝突時の前席乗員の鞭打ち傷害を抑制するとともに前面衝突時の後席乗員の頭部傷害を抑制したシートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様に係るシートは、着座する乗員の頭部後方に設けられるヘッドレスト部を有するシートであって、前記ヘッドレスト部の左右側部に設けられた左フレーム及び右フレームと、前記左フレームに取り付けられた左衝撃吸収部材と、前記右フレームに取り付けられた右衝撃吸収部材とを備え、左衝撃吸収部材は、前記乗員の後頭部と対向して配置された左被入力面部と、前記左被入力面部の左側端部と前記左フレームとを連結する左連結部とを有し、右衝撃吸収部材は、前記乗員の後頭部と対向して配置された右被入力面部と、前記右被入力面部の右側端部と前記右フレームとを連結する右連結部とを有し、前記左連結部の前記左被入力面部側の端部は、前記左連結部と前記左フレームとの結合箇所に対して、車両前方かつ右側に配置され、前記右連結部の前記右被入力面部側の端部は、前記右連結部と前記右フレームとの結合箇所に対して、車両前方かつ左側に配置され、前記左被入力面部の右側端部と前記右被入力面部の左側端部とは左右方向に間隔を隔てて配置されることを特徴とする。
これによれば、車両の後面衝突時には、シートに着座した乗員の後頭部が前方側からヘッドレスト部に押し込まれ、左衝撃吸収部材、右衝撃吸収部材の左被入力面部、右被入力面部に荷重を伝達する。これにより、各衝撃吸収部材は各連結部が屈曲して各被入力面部が後退する方向に変形してエネルギを吸収する。これにより、乗員の鞭打ち傷害が抑制される。
一方、車両の前面衝突時には、シートの後方に着座した乗員の頭部が後方側からヘッドレスト部に押し込まれ、各衝撃吸収部材の各被入力面部に荷重を伝達する。これにより、各衝撃吸収部材は各連結部が屈曲して各被入力面部が前進する方向に変形してエネルギを吸収する。これにより、後席乗員の頭部傷害が抑制される。
【0006】
本発明において、前記左衝撃吸収部材及び前記右衝撃部材の前方側に弾性部材が設けられ、前記弾性部材は、前記乗員の頭部を中央側へ誘導する斜面部が形成される構成とすることができる。
これによれば、後面衝突時に乗員の頭部が左右方向にオフセットしている場合に、乗員の頭部が中央側に誘導されることにより、各衝撃吸収部材の各被入力面部に適切に荷重伝達を行わせ、上述した効果を適切に得ることができる。
【0007】
本発明において、前記左衝撃吸収部材の前記左被入力面部と前記左連結部とがプレート状に一体に形成され、前記右衝撃吸収部材の前記右被入力面部と前記右連結部とがプレート状に一体に形成される構成とすることができる。
これによれば、部品点数を低減して構成を簡素化することができる。
【0008】
本発明において、前記左衝撃吸収部材及び前記右衝撃吸収部材は、上下方向に複数配列される構成とすることができる。
これによれば、ヘッドレスト部に昇降機構を設けることなく広範な体格の乗員に適合させることが可能となる。
これにより、バックレスト部の上端部にクロスメンバ等の硬質部品を配置する必要がなくなり、硬質部品との衝突による後席乗員の傷害を抑制することができる。
【0009】
本発明において、前記ヘッドレスト部における前記左被入力面部の右側端部と前記右被入力面部の左側端部との間隔に、前記ヘッドレスト部を前後方向に貫通する開口が設けられる構成とすることができる。
これによれば、車室内における視界を改善するとともに、髪形に起因する不快感を低減することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、後面衝突時の前席乗員の鞭打ち傷害を抑制するとともに前面衝突時の後席乗員の頭部傷害を抑制したシートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明を適用したシートの実施形態におけるシートフレームの外観斜視図である。
【
図2】実施形態のシートにおけるシートフレームを車両前方側から見た正面視図である。
【
図3】実施形態のシートにおけるシートフレームの側面視図である。
【
図4】実施形態のシートの衝撃吸収部材周辺部を上方から見た模式的平面視図である。
【
図5】実施形態のシートの後席に乗員が着座した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用したシートの実施形態について説明する。
実施形態のシートは、例えば乗用車等の車両に搭載され、乗員が着座するものである。
車両は前後方向に複数列のシートを配列して構成され、実施形態のシートは、前席シート(後方側に他の乗員が着座するシート)として用いられる。
【0013】
図1は、実施形態のシートにおけるシートフレームの外観斜視図である。
図2は、実施形態のシートにおけるシートフレームを車両前方側から見た正面視図である。
図3は、実施形態のシートにおけるシートフレームの側面視図である。
実施形態のシート1は、以下説明するシートフレームの表面に、例えば発泡ウレタン樹脂などの弾性体からなるクッション、及び、シート表皮を設けて構成されている。
【0014】
シート1は、座面部10、バックレスト部20、ヘッドレスト部30等を有する。
座面部10は、乗員Pの大腿部、臀部、腰部が載せられる部分である。
バックレスト部20は、乗員Pの背面部と対向して配置される部分である。
バックレスト部20は、座面部10の後端部近傍から、上方へ張り出して形成されている。
【0015】
バックレスト部20において、シートフレームは、サイドメンバ21、クロスメンバ22等を有する。
サイドメンバ21は、バックレスト部20の左右側端部に設けられ、上下方向に延在する部材である。
クロスメンバ22は、バックレスト部20の高さ方向における中間部において、左右のサイドメンバ21を連結して設けられた梁状の部材である。
【0016】
ヘッドレスト部30は、乗員Pの頭部の後方側に配置される部分である。
ヘッドレスト部30は、バックレスト部20の上部に設けられている。
ヘッドレスト部30において、シートフレームは、左サイドメンバ31L、右サイドメンバ31R、アッパメンバ32等を有する。
左サイドメンバ31L、右サイドメンバ31Rは、ヘッドレスト部30の左右側端部に設けられ、上下方向に延在する部材である。
アッパメンバ32は、左サイドメンバ31L、右サイドメンバ31Rの上端部間にわたして左右方向に延在する部材である。
左サイドメンバ31L、右サイドメンバ31R、アッパメンバ32は、例えば単一の鋼製円管を曲げ加工して一体に形成することができる。
左サイドメンバ31L、右サイドメンバ31Rの下端部は、それぞれ左右のサイドメンバ21の上端部に接続されている。
左サイドメンバ31L、右サイドメンバ31Rの下半部は、上方から下方にかけて徐々に左右方向の間隔が広がるよう相互に傾斜して配置されている。
【0017】
ヘッドレスト部30には、車両の後面衝突時に乗員Pの鞭打ち傷害を抑制し、かつ、車両の前面衝突時に後席乗員PBの頭部傷害を抑制するため、以下説明する衝撃吸収部材が設けられている。
左サイドメンバ31Lには、上方から順に、左上段衝撃吸収部材40L、左中段衝撃吸収部材50L、左下段衝撃吸収部材60Lが設けられている。
右サイドメンバ31Rには、上方から順に、右上段衝撃吸収部材40R、右中段衝撃吸収部材50R、右下段衝撃吸収部材60Rが設けられている。
各段の左右衝撃吸収部材は、同じ高さに左右対称に設けられている。
【0018】
図4は、衝撃吸収部材周辺部を上方から見た模式的平面視図である。
左上段衝撃吸収部材40Lは、平坦部41L、固定部42L、連結部43L等を有する。
平坦部41L、固定部42L、連結部43Lは、例えば共通の鋼製パネルをプレス加工して一体に形成することができる。
平坦部41Lは、乗員Pの後頭部の左半部の後方側に配置された面部である。
平坦部41Lは、本発明の左被入力面部である。
平坦部41Lは、上下方向及び左右方向に延在する平面状に形成されている。
【0019】
固定部42Lは、左上段衝撃吸収部材40Lが左サイドメンバ31Lに固定される部分である。
固定部42Lは、左サイドメンバ31Lの車両後方側の面部に例えば溶接等により固着されている。
【0020】
連結部43Lは、平坦部41Lの左側の端部と、固定部42Lの右側の端部とを連結するステー状の部分である。
連結部43Lは、平坦部41L側の端部が、固定部42L側の端部に対して、車両前方側かつ右側となるように、車両前後方向及び左右方向に対して傾斜した方向に沿って延在している。
【0021】
右上段衝撃吸収部材40Rは、上述した左上段衝撃吸収部材40Lと左右対称に構成された平坦部41R、固定部42R、連結部43R等を有する。
平坦部41Lの右側の端部と、平坦部41Rの左側の端部とは、左右方向に間隔を隔てて対向して配置されている。
【0022】
左中段衝撃吸収部材50L、右中段衝撃吸収部材50Rは、左上段衝撃吸収部材40R,右上段衝撃吸収部材40Lと同様の構成を有し、左上段衝撃吸収部材40R,右上段衝撃吸収部材40Lよりも低い位置に設けられている。
左下段衝撃吸収部材60L、右下段衝撃吸収部材60Rは、左上段衝撃吸収部材40R,右上段衝撃吸収部材40Lと同様の構成を有し、左中段衝撃吸収部材50L、右中段衝撃吸収部材50Rよりも低い位置に設けられている。
左下段衝撃吸収部材60L、右下段衝撃吸収部材60Rは、上述した左サイドメンバ31L、右サイドメンバ31Rの下半部の傾斜により、平坦部の左右方向における幅が、左上段衝撃吸収部材40R,右上段衝撃吸収部材40L、左中段衝撃吸収部材50L、右中段衝撃吸収部材50Rよりも広く形成されている。
【0023】
また、シートフレームの周囲には、例えば発泡ウレタン樹脂等の弾性を有する材料からなるクッション70が設けられる。
ヘッドレスト30周辺のクッション70には、開口71、斜面部72が設けられている。
開口71は、ヘッドレスト30を前後方向に貫通して形成されている。
開口71は、左右の各衝撃吸収部材の間隔に形成されている。
斜面部72は、クッション70が乗員Pの後頭部と接触する領域(開口71を挟んだ両側)に設けられている。
斜面部72は、例えば後面衝突によって後頭部がクッション70に当接した際に、後頭部を開口71側へ誘導するよう、開口71近傍が他の部分よりも車両後方側へ後退するよう形成されている。
【0024】
実施形態のシート1を有する車両において、後面衝突(被追突)を受けた場合には、乗員Pの後頭部は、斜面部72によってセンター側へ案内されながらヘッドレスト30に押し込まれ、上中下段いずれかの衝撃吸収部材の平坦部へ荷重伝達する。
これにより、衝撃吸収部材は連結部が屈曲して平坦部が後退する変形を示し、衝突によるエネルギを吸収する。
【0025】
また、実施形態のシート1は、車両の前面衝突時に、後席乗員の頭部を保護する機能を有する。
図5は、実施形態のシートの後席に乗員が着座した状態を示す図である。
前面衝突によって後席乗員PBの身体が車体に対して前進すると、頭部はヘッドレスト部30の後方側からシート1に衝突する。
このとき、後席乗員PBの頭部は、ヘッドレスト30に押し込まれつつ、上中下段いずれかの衝撃吸収部材の平坦部へ荷重伝達する。
これにより、衝撃吸収部材は、連結部が屈曲して平坦部が前進する変形を示し、衝突によるエネルギを吸収する。
【0026】
以上説明した実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)車両の後面衝突時には、シート1に着座した乗員Pの後頭部が前方側からヘッドレスト部30に押し込まれ、左側の各衝撃吸収部材、右側の各衝撃吸収部材の平坦部に荷重を伝達する。これにより、各衝撃吸収部材は各連結部が屈曲して各平坦部が後退する方向に変形してエネルギを吸収する。これにより、乗員の鞭打ち傷害が抑制される。
一方、車両の前面衝突時には、後席乗員PBの頭部が後方側からヘッドレスト部30に押し込まれ、各衝撃吸収部材の各平坦部に荷重を伝達する。これにより、各衝撃吸収部材は各連結部が屈曲して各平坦部が前進する方向に変形してエネルギを吸収する。これにより、後席乗員PBの頭部傷害が抑制される。
(2)左右の衝撃吸収部材の前方側にクッション70が設けられ、クッション70は、乗員Pの頭部を中央側へ誘導する斜面部が形成されることにより、後面衝突時に乗員Pの頭部が左右方向にオフセットしている場合に、乗員Pの頭部が中央側に誘導されることにより、各衝撃吸収部材の各平坦部に適切に荷重伝達を行わせ、上述した効果を適切に得ることができる。
(3)各衝撃吸収部材の平坦部(被入力面部)と連結部とがプレート状に一体に形成されることにより、部品点数を低減して構成を簡素化することができる。
(4)左右各衝撃吸収部材を上下方向に複数配列することにより、ヘッドレスト部30に昇降機構を設けることなく広範な体格の乗員に適合させることが可能となる。
これにより、バックレスト部30の上端部にクロスメンバ等の硬質部品を配置する必要がなくなり、硬質部品との衝突による後席乗員の傷害を抑制することができる。
(5)ヘッドレスト部30における左右のクッション70の間隔に、ヘッドレスト部30を前後方向に貫通する開口71が設けられることにより、車室内における視界を改善するとともに、髪形に起因する不快感を低減することができる。
【0027】
(変形例)
本発明は、以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)シートを構成する各部材の形状、構造、材質、製法、数量、配置などは、上述した実施形態に限定されることなく、適宜変更することができる。
(2)実施形態においては、例えば、上下3段の衝撃吸収部材を設けているが、衝撃吸収部材の段数はこれに限らず適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 シート 10 座面部
20 バックレスト部 21 サイドメンバ
22 クロスメンバ
30 ヘッドレスト部 31L 左サイドメンバ
31R 右サイドメンバ 32 アッパメンバ
40L 左上段衝撃吸収部材 41L 平坦部
42L 固定部 43L 連結部
40R 右上段衝撃吸収部材 41R 平坦部
42R 固定部 43R 連結部
50L 左中段衝撃吸収部材 50R 右中段衝撃吸収部材
60L 左下段衝撃吸収部材 60R 右下段衝撃吸収部材
70 クッション 71 開口
72 斜面部
P 乗員 PB 後席乗員