(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012595
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】可食フィルム
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20250117BHJP
【FI】
A23L5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115536
(22)【出願日】2023-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】519149456
【氏名又は名称】株式会社ZERO FOOD
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】木野 正人
(72)【発明者】
【氏名】宮谷 茂
【テーマコード(参考)】
4B035
【Fターム(参考)】
4B035LC01
4B035LC05
4B035LC16
4B035LE06
4B035LG12
4B035LG13
4B035LG21
4B035LG42
4B035LK01
4B035LP01
4B035LP21
4B035LP24
4B035LP26
4B035LP31
4B035LP59
(57)【要約】
【課題】
米飯などの食品に対して反対方向に湾曲することを防止することができ、形状、味、香りなどの調整をすることができる可食フィルム及び可食フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】
デンプンを原料として含み、使用者の口腔内で溶解する可食フィルムであって、低含水部と、前記低含水部よりも高い含水率である高含水部と、を備えることを特徴とする可食フィルムによる。本発明の可食フィルムは、前記可食フィルムの表面又は裏面のいずれか全面を前記低含水部とし、前記可食フィルムの前記低含水部の反対側の面を高含水部とすることもできる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デンプンを原料として含み、使用者の口腔内で溶解する可食フィルムであって、
低含水部と、
前記低含水部よりも含水率が高い高含水部と、を備えることを特徴とする可食フィルム。
【請求項2】
前記可食フィルムの表面又は裏面のいずれか全面を前記低含水部とし、
前記可食フィルムの前記低含水部の反対側の面を高含水部とする請求項1に記載の可食フィルム。
【請求項3】
前記可食フィルムの表面に調味粉末が散布された請求項1又は2に記載の可食フィルム。
【請求項4】
原料と水とを混合し、攪拌させる原料水溶液製造工程と、
前記原料水溶液を加熱しながら攪拌させる、糊化物生成工程と、
前記糊化物を薄膜状に成型させる、成形工程と、
薄膜状に成型した前記糊化物を乾燥させる、乾燥工程と、
乾燥させた前記糊化物の一部において含水率を変化させる工程と、を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の可食フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記含水率を変化させる工程の後に調味粉末を前記可食フィルムの表面に散布する工程を含む、請求項4に記載の可食フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状、味、香りなどの調整をすることができる可食フィルム及び可食フィルムの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、野菜、大豆、昆布、そして、薄焼玉子などがシート状に成型されたシート食品が知られている。また、苦い経口薬剤を呑み易くするために、乾燥デンプンをシート状に成型された可食フィルムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、揚げ種をオブラート等の可食フィルムで包んだ後、衣を付けることを特徴とする揚げ物用素材の製造方法、及び、オブラート等の長寸の可食フィルムからなり、短寸方向を軸線として渦状に巻かれていることを特徴とする揚げ種被覆用可食フィルムロールが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、食品表面へ模様を形成するための食材シートであって、水に溶解する成分からなる可食シートの表面に、可食インクにより文字および/または図形からなる模様が付されてなることを特徴とする食材シートについて開示されている。
【0005】
更に、特許文献3には、ヒドロキシプロピルセルロースを含むフィルム形成剤を含有する材料から形成された水溶性フィルムの内部に、水溶性微粒子及び食品を有し、かつ、前記水溶性微粒子が分散状態で存在することを特徴とする可食シートについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006―050906
【特許文献2】特開2017―127237
【特許文献3】特開2011-155942
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のシート食品及び可食フィルムは、米飯などの食品に巻いて使用される際に、シート食品又は可食フィルムの厚みが厚い場合シートの味、食感などが強く感じられてしまい、中身の風味を十分に感じることができないという問題点があった。
【0008】
シート食品又は可食フィルムが薄いほど、米飯などの食品に巻いて使用される際に米飯などの食品に対して反対方向に湾曲する傾向がある。従って、使用者にとって「巻きにくい。」という操作性の問題点、及び、仮に使用者が米飯などの食品にシート食品又は可食フィルムを巻いた場合でも、米飯などの食品からシート食品又は可食フィルムが離反してしまう美感的な問題点が生じていた。
【0009】
シート食品又は可食フィルムが薄い場合の問題点は、抗菌性の観点からシート食品又は可食フィルムの含水率が全体的に低い傾向があり、米飯などの食品に含まれる水分がシート食品又は可食フィルムに部分的に移行することでシート食品又は可食フィルムの保形性が低下することに起因する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解消すべく鋭意検討し本発明の完成に至った。すなわち、本発明は、デンプンを原料として含み、使用者の口腔内で溶解する可食フィルムであって、低含水部と、前記低含水部よりも高い含水率である高含水部と、を備えることを特徴とする可食フィルムを提供するものである。
【0011】
以上の可食フィルムによれば、低含水部と高含水部とでは保形性が異なるので、高含水部が伸張するように変形した可食フィルムを得ることができる。低含水部と米飯などの食品とが接触するすると、該食品から低含水部に水分が移行し、変形が解除され、シート状の可食フィルムになる。これにより、可食フィルムが米飯などの食品に対して反対方向に湾曲することを防止することができる。
【0012】
本発明の可食フィルムは、前記可食フィルムの表面又は裏面のいずれか全面を前記低含水部とし、前記可食フィルムの前記低含水部の反対側の面を高含水部とすることができる。
【0013】
以上の可食フィルムによれば、可食フィルムの表面又は裏面のいずれか全面を低含水部とすることができるので、該可食フィルムは湾曲した形状になる。湾曲した低含水部と米飯などの食品とが接触するすると、該食品から低含水部に水分が移行し、変形が解除され、シート状の可食フィルムになる。可食フィルムが米飯などの食品に対して反対方向に湾曲することを防止することができる。
【0014】
本発明の可食フィルムは、該フィルムの表面に調味粉末が散布されていてもよい。
【0015】
以上の可食フィルムによれば、調味粉末と可食フィルムの水分移行により、該調味粉末と該可食フィルムの表面との接触面において、該可食フィルムが溶解して調味粉末が粘着した可食フィルムを得ることができる。
【0016】
本発明の別の態様は、原料と水とを混合し、攪拌させる原料水溶液製造工程と、前記原料水溶液を加熱しながら攪拌させる、糊化物生成工程と、前記糊化物を薄膜状に成型させる、成形工程と、薄膜状に成型した前記糊化物を乾燥させる、乾燥工程と、乾燥させた前記糊化物の一部において含水率を変化させる工程と、を含むことを特徴とする可食フィルムの製造方法を提供するものである。
【0017】
以上の製造方法によれば、デンプンを原料として含み、使用者の口腔内で溶解する可食フィルムであって、低含水部と、前記低含水部よりも高い含水率である高含水部と、を備えることを特徴とする可食フィルムを得ることができる。
【0018】
本発明の可食フィルムの製造方法は、前記含水率を変化させる工程の後に調味粉末を散布する工程を含むことができる。
【0019】
以上の製造方法によれば、上記構成に加えて、表面に調味粉末が付着した可食フィルムを得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
米飯などの食品に対して反対方向に湾曲することを防止することができ、形状、味、香りなどの調整をすることができる可食フィルム及び可食フィルムの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の可食フィルムの原料となるデンプンは、使用者の口腔内で溶解する可食フィルムに用いられるものであるならば、特に限定なく使用することができる。原料についても特に限定はなく、例えば、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、サゴデンプン、甘藷デンプン、緑豆デンプン、エンドウ豆デンプン、及び、これらの化工デンプン、α化、アセチル化、エーテル化、架橋化を単独もしくは組み合わせたものなどが挙げられる。
【0023】
本発明の可食フィルムの物性調整を目的として、原料として、ゲル化剤もしくは増粘剤を使用することができる。例えば、タマリンドガム、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸エステル、アルギン酸塩、寒天、ゼラチン、ペクチンダンマル樹脂,アエロモナスガム,アグロバクテリウムスクシノグリカン,アゾトバクタービネランジーガム,アマシードガム,アーモンドガム,アラビノガラクタン,アロエベラ,ウェランガム,エルウィニアミツエンシスガム,エレミ樹脂,エンテロバクターガム,エンテロバクターシマナスガム,オリゴグルコサミン,カシアガム,カードラン,キダチアロエ抽出物,キチン,グルコサミン,酵母細胞壁,サイリウムシードガム,サバクヨモギシードガム,スクレロガム,セスバニアガム,トリアカンソスガム,トロロアオイ,納豆菌ガム,微小繊維状セルロース,フクロノリ,プルラン,マクロホモプシスガム,モモ樹脂,ラムザンガム,レバンなどの増粘多糖類を及び、これらの抽出物、加水分解物、酵素処理物などが挙げられる。ゲル化剤もしくは増粘剤の含有量はデンプン100質量部に対して前記増粘剤を0~3質量部であることができ、更に好ましくは、前記増粘剤を1~2質量部を含有することができる。
【0024】
本発明の可食フィルムはフィルム成型後の剥離を促進するために、乳化剤及び油脂を含むものであってもよい。乳化剤としては、食品用であれば特に限定されるものではない。例えば、レシチン、モノグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム等が挙げられる。原材料の水分及び脂質の割合に応じO/W型と、W/O型のいずれも制限なく選択することができる。油脂としては、動物油脂、植物油脂、硬化した植物油脂、植物油脂のエステル交換油等食用に適するものであれば特に限定されない。具体的にはバター、牛脂、豚脂、鶏油、オリーブ油、ナタネ油、コーン油、大豆油、綿実油、サフラワー油、パーム油、ヤシ油、米糠油、ゴマ油、カカオ脂、パーム核油等の油脂、これらの水素添加油またはエステル交換油、あるいはこれらの油脂を分別して得られる固体脂等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0025】
上記デンプン原料100質量部に対して水を250~350質量部、更に好ましくは280~320質量部を混合することで、原料水溶液を調製することができる。原料に対して水が少なすぎると後の工程での糊化が十分に促進されず、原料に対して水が多すぎると乾燥工程に必要な粘性を得ることができず、好適な可食フィルムの製造が困難になる。
【0026】
上記原料水溶液を80~100℃、更に好ましくは93~97℃に加熱しながら攪拌することで、原料中のデンプンのα化が促進され、糊化物を生成することができる。この際、加熱温度が高すぎると焦げの原因となり、加熱温度が低すぎると糊化が十分に促進されず好適な可食フィルムの製造が困難になる。
【0027】
上記糊化物は乾燥後のシート厚みが20~60μm、更に好ましくは30~40μm薄膜状に成型される。この際、40μmより厚く成型すると、シートの味、食感などが強く感じられてしまい、中身の風味を十分に感じることができず、60μmより厚く成型すると可食フィルムとしての十分な保形性を得ることが困難になる。
【0028】
薄膜状に成型した糊化物は乾燥工程により乾燥される。該乾燥工程は、例えば、金属などの伝熱性素材からなる乾燥板に上記薄膜状に成型した糊化物を展着して乾燥する工程とすることができる。また、薄膜状に成型した糊化物を乾燥ローラに付着させ、乾燥ローラ外周部を加熱し、かつ、乾燥ローラに付着させた糊化物に熱風を吹きつけることように乾燥させる工程を取ることができる。
【0029】
上記乾燥板及び乾燥ローラの表面は、90~120℃、更に好ましくは95~105℃とすることができる。乾燥板及び乾燥ローラの表面温度が高すぎる場合、糊化物が発泡し白濁したり、乾燥処理後の糊化物に穴があいたりする傾向がある。乾燥板及び乾燥ローラの表面温度が低すぎる場合、乾燥部の表面温度を下げると、糊化物を十分に乾燥させるのに要する時間が長くなり、糊化物のβ化が促進され、製品が使用者の口腔内で溶解しにくくなる要因となる。
【0030】
上記乾燥させた糊化物の一部において含水率を変化させる工程によって、低含水部と、前記低含水部よりも高い含水率である高含水部と、を備えること可食フィルムを生成することができる。上記乾燥させた糊化物の一部において含水率を変化させる工程は、具体的には、上記乾燥工程後の可食フィルムの一部又は全部にスチームを噴射させる工程であってもよく、上記乾燥工程で表面と裏面の乾燥処理の時間、又は、温湿度に差を設ける工程であってもよい。また、含水率の異なる複数枚の可食フィルムを積層させる工程であってもよい。
【0031】
本明細書の可食フィルムの含水率は原料全体に対する水分の質量%を示すものであり、可食フィルムの低含水部の含水率は10~15%の範囲内にあることが好ましく、可食フィルムの高含水部の含水率は15~20%の範囲内にあることが好ましい。低含水部の含水率が10%より低いと可食フィルムの強度が脆弱になり、破れやすくなる傾向があり、高含水部の含水率が20%より高いと、可食フィルムにおける菌の発生の要因となる。可食フィルムの含水率の好適な範囲内において、低含水部と高含水部とにおける含水率の差(例えば5~10%)が大きくなると高含水部における伸張が促進されるので、求める形状によって含水率を調整することができる。
【0032】
本発明の製造方法は、上記含水率を変化させる工程の後に調味粉末を散布させる工程を有してもいてもよい。調味粉末と可食フィルムの水分移行により、該調味粉末と該可食フィルムの表面との接触面において、該可食フィルムが溶解して調味粉末が粘着した可食フィルムを得ることができる。
【0033】
本発明における調味粉末とは、一般的に食品製造に使用されている粉末状の調味素材であればいずれのものでもよく例えば、食塩、砂糖などの糖類、粉末酢、粉末醤油、粉末みりん、粉末味噌、グルタミン酸ナトリウム、粉末油脂、粉末香辛料、粉末卵、粉末だし、各種シーズニング等が挙げられる。これらの調味粉末は、乾燥工程中の可食フィルムよりも低含水率であることが好ましい。
【0034】
調味粉末は、各種の添加剤を含むものも使用可能である。例えば、香料、pH調整剤、安定剤、固結防止剤、賦形剤等を挙げることができる。香料としては、バター香料、キャラメル香料、チーズ香料、フルーツ系香料等が挙げられ、pH調整剤としては、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、乳酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、ミョウバン等が挙げられ、安定剤としては、増粘多糖類、デンプン、デキストリン、セルロース、食物繊維等の多糖類が挙げられ、固結防止剤としては、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素等が挙げられ、賦形剤としては、各種糖類、デキストリン、オリゴ糖等のデンプン分解物、デンプン、増粘多糖類、糖アルコール等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0035】
本発明の可食フィルムは、調味粉末の種類を変えた複数の可食フィルムを積層させることもできる。
【0036】
可食フィルムにおける菌の発生を抑制する観点から、上記乾燥させた糊化物の一部において含水率を変化させる工程後における可食フィルム全体における水分活性は0.6以下であることが好ましい。含水率を変化させる工程の後に調味粉末を散布する工程を含む場合には、調味粉末を散布する工程後において可食フィルム全体における水分活性は0.6以下であることが好ましい。可食フィルム全体における水分活性は0.6以上になる場合には、第二乾燥工程により水分活性が0.6以下になるように調整されてもよい。
【0037】
以下、実施例に基づいて本発明についてさらに詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の技術的思想を具現化するための例示であって、本発明はこの例に限られない。また、上記の実施形態で説明する構成及び処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることは可能であり、本発明の技術特定思想及び教示に基づいて、当業者が改変形態を採り得ることは自明である。
【0038】
(実施例1)
デンプンを16g計量後、水84mlと共にドラム型タンクに入れ、スクリュー攪拌機によって攪拌してデンプン水溶液を作り、糊タンクへ送り出す。続いて、糊タンクにサラダ油とレシチンの混合物を適量投入すると共にこの糊タンク内において、デンプン水溶液を攪拌しながら約170℃の蒸気を吹き込み、糊化物になるまで煮た。
【0039】
次に、糊化物をドラム型ドライヤーへ圧送し、ドラム型ドライヤーを回転させるとともに、その表面を100℃に加熱しておく。この状態で、圧送された糊化物を回転するドラム表面に薄く塗布し、乾燥される。そして、ドラムが1回転する間に、糊化物は薄膜状に成型された状態で乾燥が進み、ドラムから糊化物(一次可食フィルム)が剥離される(例えば、一次可食フィルムの厚さは30~50μmである)。続いて、一次可食フィルムの表面にスチームを噴射させて、一次可食フィルムに高含水部が形成された。
【0040】
図1に示すように、噴出管101から、該高含水部103にカツオ節粉、サバ節粉及び乾燥飛魚粉(調味粉末102)を散布した(例えば、一次可食フィルム又は糊化物1m2当たり200~300g)。すると、該高含水部と調味粉末の水分移行により、該高含水部と調味粉末との接触面において、該高含水部の表面からより低含水率の調味粉末表層に水分が移動して、一次可食フィルムと調味粉末が粘着した。当該可食フィルムは10cm×4cmに切断して使用される。
【0041】
(実施例2)
実施例1と同様に、2枚の一次可食フィルムを生成した。そのうち、1枚の一次可食フィルムにフィルム全体が高含水部となるようにスチームを噴射し、実施例1同様に、調味粉末を散布した。その後、それぞれのフィルムを積層し、ロールにかけて一体化したあと、100~105℃で3分間乾熱乾燥し、10cm×4cmに切断した。
【0042】
以上のようにして、得られた可食フィルムは高含水部が伸張するように変形していた。該可食フィルムを低含水部が米飯に接触させるように内側として米飯を巻いた。すると、可食フィルムの該変形が解除されて可食フィルムが外側に湾曲することで可食フィルムが平坦になり、容易に巻くことが可能となった。
【0043】
なお、本明細書では、特に断りがない場合、「部」は質量部を「%」は質量%を示す。
【符号の説明】
【0044】
101 噴出管
102 調味粉末
103 (一次可食フィルムの)高含水部