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特開2025-12597画像処理装置、X線撮影装置およびX線撮影システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012597
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】画像処理装置、X線撮影装置およびX線撮影システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20250117BHJP
【FI】
A61B6/00 320M
A61B6/00 360Z
A61B6/00 350Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115539
(22)【出願日】2023-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100172362
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達哉
(72)【発明者】
【氏名】武田 遼
(72)【発明者】
【氏名】山本 淳也
(72)【発明者】
【氏名】奥村 皓史
(72)【発明者】
【氏名】三輪 貴俊
(72)【発明者】
【氏名】代田 健
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 啓太
(72)【発明者】
【氏名】押川 翔太
(72)【発明者】
【氏名】古橋 直也
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA16
4C093CA15
4C093CA35
4C093EB13
4C093EE16
4C093FF35
(57)【要約】
【課題】被検者の位置決めを行うために操作者に提示する光学画像に写る視野が狭くなることを抑制しながら、被検者の位置決めを正確に行うことが可能な画像を操作者に提示することができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】この画像処理装置3は、X線撮影装置1において被検者90の位置決めを行うための画像を生成する画像処理装置であって、X線撮影装置1のX線照射部10の近傍に配置された少なくとも1つの光学カメラ20を含む画像取得部2と、光学カメラ20によって撮影された光学画像40に基づいて、X線照射部10の焦点60の位置から被検者90を撮影した場合と同一の視野の画像であり、かつ、X線照射部10によってX線が照射される範囲であるX線照射範囲63の領域63aと、X線照射範囲63の外側の領域64とが写る画像である焦点位置画像41を生成する画像処理部30aと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線撮影装置において被検者の位置決めを行うための画像を生成する画像処理装置であって、
前記X線撮影装置のX線照射部の近傍に配置された少なくとも1つの光学カメラを含む画像取得部と、
前記光学カメラによって撮影された光学画像に基づいて、前記X線照射部の焦点の位置から被検者を撮影した場合と同一の視野の画像であり、かつ、前記X線照射部によってX線が照射される範囲であるX線照射範囲の領域と、前記X線照射範囲の外側の領域とが写る画像である焦点位置画像を生成する画像処理部と、を備える、画像処理装置。
【請求項2】
少なくとも1つの前記光学カメラは、前記X線照射部が備えるコリメータの筐体の外部に設けられており、
前記画像処理部は、前記コリメータの前記筐体の外部に設けられた前記光学カメラによって撮影された前記光学画像に基づいて、前記焦点位置画像を生成するように構成されている、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記光学カメラは、互いに異なる位置に設けられた第1光学カメラおよび第2光学カメラを含み、
前記画像取得部は、前記第1光学カメラによって撮影された前記光学画像である第1光学画像と、前記第2光学カメラによって撮影された前記光学画像である第2光学画像とを取得するように構成されており、
前記画像処理部は、前記第1光学画像と前記第2光学画像とに基づいて、前記焦点位置画像を生成するように構成されている、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1光学カメラおよび前記第2光学カメラは、前記X線照射部の近傍の位置に配置され、前記第1光学画像および前記第2光学画像を撮影するように構成されており、
前記画像処理部は、前記X線照射部の焦点の位置を基準として、一方側の斜め方向および他方側の斜め方向から撮影された前記第1光学画像および前記第2光学画像に基づいて、前記焦点位置画像を生成するように構成されている、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像処理部は、前記第1光学カメラの配置情報と、前記第2光学カメラの配置情報とに基づいて、前記第1光学画像と前記第2光学画像とを合成することにより、前記焦点位置画像を生成するように構成されている、請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理部は、互いに異なる斜め方向から撮影された複数の前記光学画像から前記X線の焦点の位置から被検者を撮影した場合と同一の視野の画像を生成することを学習させることにより生成された学習済みモデルと、前記第1光学画像と、前記第2光学画像と、に基づいて、前記焦点位置画像を生成するように構成されている、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記焦点位置画像を表示部に対して出力する制御を行う画像出力制御部をさらに備え、
前記画像出力制御部は、前記焦点位置画像とともに、前記第1光学画像、および、前記第2光学画像のうちの少なくともいずれかを切り替えて前記表示部に出力する制御を行うように構成されている、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第1光学カメラは、前記コリメータの前記筐体の内部に配置され、X線の焦点と共役な位置から前記第1光学画像を撮影するように構成されており、前記第2光学カメラは、前記コリメータの前記筐体の外部の位置に配置され、前記第2光学画像を撮影するように構成されており、
前記画像処理部は、X線の焦点と共役な位置から撮影された前記第1光学画像と、前記コリメータの前記筐体の外部から撮影された前記第2光学画像とに基づいて、前記焦点位置画像を生成するように構成されている、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記画像処理部は、X線の焦点と共役な位置から撮影された前記光学画像に基づいて、前記焦点位置画像のうちの前記X線照射範囲の領域の画像を生成するとともに、前記コリメータの前記筐体の外部から撮影された前記光学画像に基づいて、前記焦点位置画像のうちの前記X線照射範囲外の領域の画像を生成するように構成されている、請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記画像処理部は、前記焦点位置画像に基づいて取得された被検者の体動量を、前記焦点位置画像において視覚的に識別可能に表示した画像である体動量表示画像を生成するように構成されている、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項11】
X線を照射するX線照射部と、
前記X線照射部によって照射されたX線を検出するX線検出部と、
前記X線照射部の近傍に配置された少なくとも1つの光学カメラを含む画像取得部と、
前記光学カメラによって撮影された光学画像に基づいて、前記X線照射部の焦点の位置から被検者を撮影した場合と同一の視野の画像であり、かつ、前記X線照射部によってX線が照射される範囲であるX線照射範囲の領域と、前記X線照射範囲の外側の領域とが写る画像である焦点位置画像を生成する画像処理部と、を備える、X線撮影装置。
【請求項12】
前記X線照射部から照射されるX線の照射範囲を調整するコリメータをさらに備え、
前記光学カメラは、互いに異なる位置に設けられた第1光学カメラおよび第2光学カメラを含み、
前記第1光学カメラおよび前記第2光学カメラは、前記X線照射部の近傍の位置となるように、前記コリメータの筐体の外部に設けられており、
前記画像取得部は、前記第1光学カメラによって撮影された前記光学画像である第1光学画像と、前記第2光学カメラによって撮影された前記光学画像である第2光学画像とを取得するように構成されており、
前記画像処理部は、前記X線照射部の焦点の位置を基準として、一方側の斜め方向および他方側の斜め方向から撮影された前記第1光学画像および前記第2光学画像に基づいて、前記焦点位置画像を生成するように構成されている、請求項11に記載のX線撮影装置。
【請求項13】
前記X線照射部から照射されるX線の照射範囲を調整するコリメータをさらに備え、
前記光学カメラは、互いに異なる位置に設けられた第1光学カメラおよび第2光学カメラを含み、
前記第1光学カメラおよび前記第2光学カメラのうちの一方は、前記コリメータの筐体の内部において、X線の焦点と共役な位置に設けられており、前記第1光学カメラおよび前記第2光学カメラのうちの他方は、前記コリメータの前記筐体の外部に設けられており、
前記画像処理部は、X線の焦点と共役な位置から撮影された前記光学画像と、前記コリメータの前記筐体の外部から撮影された前記光学画像とに基づいて、前記焦点位置画像を生成するように構成されている、請求項11に記載のX線撮影装置。
【請求項14】
X線を照射するX線照射部と、
前記X線照射部によって照射されたX線を検出するX線検出部と、
前記X線照射部の近傍に配置された少なくとも1つの光学カメラを含む画像取得部と、
前記光学カメラによって撮影された光学画像に基づいて、前記X線照射部の焦点の位置から被検者を撮影した場合と同一の視野の画像であり、かつ、前記X線照射部によってX線が照射される範囲であるX線照射範囲の領域と、前記X線照射範囲の外側の領域とが写る画像である焦点位置画像を生成する画像処理部と、を備える、X線撮影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、X線撮影装置およびX線撮影システムに関し、特に、X線撮影装置において被検者の位置決めを行う際に操作者に画像を提示する画像処理装置、X線撮影装置およびX線撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線撮影装置において被検者の位置決めを行う際に操作者に画像を提示する画像処理装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、X線を照射可能なX線管と、X線管からのX線の照射範囲を制限可能な絞り装置と、X線を検出してX線画像を生成するX線フィルム装置と、TVカメラと、を備えるX線撮影装置が開示されている。上記特許文献1に開示されているX線撮影装置は、被検者とX線管との位置合わせを行うために、TVカメラによって撮影した画像をモニタに表示するように構成されている。また、上記特許文献1に開示されている構成では、TVカメラは、絞り装置内において、X線の焦点位置と共役な位置に配置されている。これにより、上記特許文献1に開示されているTVカメラは、絞り装置に対応した撮影範囲の被検者の表面画像を撮影することが可能なように構成されている。なお、X線の焦点位置と共役な位置とは、X線の焦点位置と光学的に等価な位置であり、互いの位置を入れ替えた場合でも、同一の視野の画像を撮影することが可能な位置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-217973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1に開示されているように、光学カメラを絞り装置内においてX線の焦点と共役な位置に配置することにより、光学画像とX線画像とが、同一の視野の画像となる。そのため、光学画像による被検者の位置決めを正確に行うことが可能になる。しかしながら、上記特許文献1に開示されている構成では、光学カメラが絞り装置内に配置されているため、光学カメラによる撮影範囲が、X線の照射範囲に限定される。そのため、光学カメラによって撮影された光学画像に写る視野が狭くなるという不都合がある。光学画像に写る視野が狭くなった場合、表示部に表示された光学画像を確認しながら被検者の位置決めを行うことが困難になるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、被検者の位置決めを行うために操作者に提示する光学画像に写る視野が狭くなることを抑制しながら、被検者の位置決めを正確に行うことが可能な画像を操作者に提示することができる画像処理装置、X線撮影装置およびX線撮影システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面における画像処理装置は、X線撮影装置において被検者の位置決めを行うための画像を生成する画像処理装置であって、X線撮影装置のX線照射部の近傍に配置された少なくとも1つの光学カメラを含む画像取得部と、光学カメラによって撮影された光学画像に基づいて、X線照射部の焦点の位置から被検者を撮影した場合と同一の視野の画像であり、かつ、X線照射部によってX線が照射される範囲であるX線照射範囲の領域と、X線照射範囲の外側の領域とが写る画像である焦点位置画像を生成する画像処理部と、を備える。なお、X線照射部の近傍とは、X線照射部の位置の付近を含む意味である。
【0008】
この発明の第2の局面におけるX線撮影装置は、X線を照射するX線照射部と、X線照射部によって照射されたX線を検出するX線検出部と、X線照射部の近傍に配置された少なくとも1つの光学カメラを含む画像取得部と、光学カメラによって撮影された光学画像に基づいて、X線照射部の焦点の位置から被検者を撮影した場合と同一の視野の画像であり、かつ、X線照射部によってX線が照射される範囲であるX線照射範囲の領域と、X線照射範囲の外側の領域とが写る画像である焦点位置画像を生成する画像処理部と、を備える。
【0009】
この発明の第3の局面におけるX線撮影システムは、X線を照射するX線照射部と、X線照射部によって照射されたX線を検出するX線検出部と、X線照射部の近傍に配置された少なくとも1つの光学カメラを含む画像取得部と、光学カメラによって撮影された光学画像に基づいて、X線照射部の焦点の位置から被検者を撮影した場合と同一の視野の画像であり、かつ、X線照射部によってX線が照射される範囲であるX線照射範囲の領域と、X線照射範囲の外側の領域とが写る画像である焦点位置画像を生成する画像処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の局面における画像処理装置、第2の局面におけるX線撮影装置、および、第3の局面におけるX線撮影システムでは、X線照射部の焦点の位置から被検者を撮影した場合と同一の視野の画像であり、かつ、X線照射部によってX線が照射される範囲であるX線照射範囲の領域と、X線照射範囲の外側の領域とが写る画像である焦点位置画像を生成する画像処理部を備える。これにより、焦点位置画像は、X線照射部の焦点の位置から被検者を撮影した場合と同一の視野であるため、焦点位置画像とX線画像とが同一の視野の画像となる。また、焦点位置画像には、X線照射範囲の領域、および、X線照射範囲の外側の領域の両方が写るため、被検者の位置決めを行うために操作者に提示する光学画像に写る視野が狭くなることを抑制することができる。これらの結果、被検者の位置決めを行うために操作者に提示する光学画像の視野が狭くなることを抑制しながら、被検者の位置決めを正確に行うことが可能な画像(焦点位置画像)を操作者に提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態による画像処理装置を備えるX線撮影システムの構成を示したブロック図である。
図2】第1実施形態によるX線撮影システムが備えるX線撮影装置の構成を示した模式図である。
図3】第1実施形態によるX線撮影装置に設けられる光学カメラの配置を説明するための模式図である。
図4】第1実施形態による第1光学カメラによって撮影される光学画像の視野を説明するための模式図である。
図5】比較例による光学カメラによってコリメータの外部においてX線の照射軸線に沿った方向から光学画像の視野を説明するための模式図である。
図6】比較例による光学カメラによってコリメータの内部におけるX線の焦点と共役な位置から撮影した光学画像の視野を説明するための模式図である。
図7】第1実施形態による画像処理部が、焦点位置画像を生成する構成を説明するための模式図(A)~模式図(C)である。
図8】第1実施形態によるX線撮影システムが備える表示部において、焦点位置画像を表示する構成を説明するための模式図である。
図9】第1実施形態による画像処理部が体動量表示画像を生成する構成を説明するための模式図(A)~模式図(C)である。
図10】第1実施形態による画像処理部が焦点位置画像を生成する処理を説明するためのフローチャートである。
図11】第1実施形態による画像出力制御部が出力する画像を切り替える処理を説明するためのフローチャートである。
図12】第1実施形態による画像処理部が体動量表示画像を生成し、表示部に表示する処理を説明するためのフローチャートである。
図13】第2実施形態による画像処理装置を備えるX線撮影システムの構成を示したブロック図である。
図14】第2実施形態によるX線撮影装置に設けられる光学カメラの配置を説明するための模式図である。
図15】第2実施形態による画像処理部が生成する焦点位置画像を説明するための模式図である。
図16】第2実施形態による画像処理部が焦点位置画像を生成する処理を説明するためのフローチャートである。
図17】第3実施形態による画像処理装置を備えるX線撮影システムの構成を示したブロック図である。
図18】第3実施形態による画像処理部が焦点位置画像を生成する処理を説明するためのフローチャートである。
図19】第1実施形態の変形例による画像処理装置を備えるX線撮影システムの構成を示したブロック図である。
図20】比較例による画像処理部が、焦点位置画像を生成する構成を説明するための模式図である。
図21】第1実施形態の変形例による画像処理部が、焦点位置画像を生成する際に用いる視差を説明するための模式図である。
図22】第1実施形態の変形例による画像処理部が焦点位置画像を生成する処理を説明するためのフローチャートである。
図23】第1変形例による画像処理装置を備えるX線撮影システムの構成を示したブロック図である。
図24】第2変形例による画像処理部を備えるX線撮影装置の構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
[第1実施形態]
まず、図1図9を参照して、第1実施形態によるX線撮影装置1、画像処理装置3、および、X線撮影システム100の構成について説明する。図1に示すように、X線撮影システム100は、X線撮影装置1と、画像取得部2と、画像処理装置3と、を備える。X線撮影装置1と、画像取得部2と、画像処理装置3とは、互いに異なる装置である。また、X線撮影システム100は、天板4と、天板移動機構5と、入力受付部6とを備える。
【0014】
X線撮影装置1は、X線照射部10と、X線検出器11とを有する。また、X線撮影装置1は、装置制御部12と、表示部13と、照射部移動機構14と、検出器移動機構15とを有する。X線撮影装置1は、X線照射部10から照射されたX線によって、被検者90(図2参照)のX線画像(図示せず)を生成する装置である。
【0015】
X線照射部10は、被検者90にX線を照射するように構成されている。また、X線照射部10は、被検者90にX線を照射するX線を発生させるX線源10aと、X線の照射範囲63(図7(A)参照)を調整するコリメータ10bと、投影ランプ10cと、を含む。
【0016】
X線源10aは、たとえば、X線管球などのX線発生装置を含む。コリメータ10bは、X線照射部10から照射されるX線の照射範囲63を調整するために設けられている。また、コリメータ10bは、X線照射部10から照射されるX線の照射範囲63の形状を調整するために設けられている。
【0017】
コリメータ10bは、平板形状を有しており、中央部に開口が設けられている。コリメータ10bは、たとえば、鉛材料などの平板に開口を形成することにより構成される。コリメータ10bは、装置制御部12の制御の下、開口の大きさおよび形状を調整することにより、X線照射範囲63の調整を行う。
【0018】
投影ランプ10cは、コリメータ10bによって調整されたX線照射範囲63と同様の範囲に、可視光を投影するように構成されている。投影ランプ10cは、たとえば、コリメータ10bの筐体10d(図3参照)の内部において、X線の焦点60(図3参照)と共役な位置に配置されている。投影ランプ10cは、たとえば、ハロゲンランプ、または、LED(Light Emitting Diode)ランプを含む。
【0019】
X線検出器11は、X線照射部10によって照射されたX線を検出するように構成されている。X線検出器11は、たとえば、FPD(Flat Panel Detector)であり、被検者90を透過したX線を検出する。また、X線検出器11は、可搬性を有しており、被検者90自身が保持した状態で撮影可能に構成されている。
【0020】
装置制御部12は、X線撮影装置1全体を制御するように構成されている。具体的には、装置制御部12は、X線の照射の開始および停止などのX線照射部10(X線源10a)によるX線照射の制御、X線照射部10(コリメータ10b)によるX線照射範囲63の変更の制御、X線検出器11による検出の制御、照射部移動機構14によるX線照射部10の移動の制御、検出器移動機構15によるX線検出器11の移動の制御などを行うように構成されている。
【0021】
装置制御部12は、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)、または、回路(Circuitly)などのプロセッサと、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリなどとによって構成される。また、装置制御部12は、照射部移動機構14が備えるエンコーダおよびポテンショメータの検出信号を受信可能に構成されている。また、装置制御部12は、照射部移動機構14が備えるモータおよび電磁ブレーキの制御を行うように構成されている。また、装置制御部12は、検出器移動機構15が備えるモータおよび電磁ブレーキの制御を行うように構成されている。
【0022】
表示部13は、後述する光学カメラ20によって撮影された光学画像40などを表示するように構成されている。表示部13は、たとえば、液晶モニタ、または、有機EL(Electro Luminescence)モニタなどの表示装置である。
【0023】
照射部移動機構14は、操作者によってX線照射部10を移動可能に構成されている。照射部移動機構14の詳細な構成については、後述する。
【0024】
検出器移動機構15は、X線検出器11を移動可能に保持している。したがって、検出器移動機構15によってX線検出器11を移動させることにより、被検者90の撮影部位に応じた位置にX線検出器11を配置することができる。
【0025】
画像取得部2は、X線撮影装置1のX線照射部10の近傍に配置された少なくとも1つの光学カメラ20を含む。第1実施形態では、光学カメラ20は、互いに異なる位置に設けられた第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bを含む。画像取得部2は、第1光学カメラ20aによって撮影された光学画像40である第1光学画像40aと、第2光学カメラ20bによって撮影された光学画像40である第2光学画像40bとを取得するように構成されている。第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bは、たとえば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ、または、CCD(Charge Coupled Device)センサなどの、可視光を受光可能なイメージセンサを含む撮影装置である。第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bの配置については、後述する。
【0026】
画像処理装置3は、制御部30と、記憶部31とを含む。第1実施形態による画像処理装置3は、X線撮影装置1において被検者90の位置決めを行うための画像を生成する画像処理装置である。
【0027】
制御部30は、画像処理装置3の制御を行うように構成されている。制御部30は、CPU、FPGA、または、回路(Circuitly)などのプロセッサと、ROMおよびRAMなどのメモリなどとによって構成される。また、制御部30は、画像処理部30aと、画像出力制御部30bと、を含む。画像処理部30a、および、画像出力制御部30bは、制御部30がプログラムを実行することにより実現される機能ブロックとしてソフトウェア的に構成される。画像処理部30a、および、画像出力制御部30bは、専用のプロセッサ(処理回路)を設けてハードウェアにより構成されていてもよい。
【0028】
画像処理部30aは、後述する焦点位置画像41を生成するように構成されている。また、第1実施形態では、画像処理部30aは、後述する体動量表示画像42を生成するように構成されている。画像処理部30aが、焦点位置画像41および体動量表示画像42の各々を生成する構成の詳細については、後述する。
【0029】
画像出力制御部30bは、焦点位置画像41を表示部13に対して出力する制御を行うように構成されている。画像出力制御部30bが焦点位置画像41を表示部13に対して出力する構成の詳細については、後述する。
【0030】
記憶部31は、光学画像40、焦点位置画像41、および、体動量表示画像42を記憶するように構成されている。また、記憶部31は、第1光学カメラ20aの配置情報50、および、第2光学カメラ20bの配置情報51を記憶するように構成されている。また、記憶部31は、画像処理部30aが焦点位置画像41を生成する際に用いる学習済みモデル52を記憶するように構成されている。また、記憶部31は、制御部30が実行する各種プログラム(図示せず)を記憶している。記憶部31は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)、または、SSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶装置を含む。
【0031】
第1光学カメラ20aの配置情報50は、第1光学カメラ20aがX線照射部10に配置された際の位置情報である。また、第2光学カメラ20bの配置情報51は、第2光学カメラ20bがX線照射部10に配置された際の位置情報である。第1光学カメラ20aの配置情報50、および、第2光学カメラ20bの配置情報51の詳細については、後述する。
【0032】
学習済みモデル52は、光学画像40に基づいて、焦点位置画像41を生成することを学習させることにより生成された学習済みモデルである。具体的には、学習済みモデル52は、互いに異なる斜め方向から撮影された複数の光学画像40からX線の焦点60の位置から被検者90を撮影した場合と同一の視野の画像を生成することを学習させることにより生成された学習済みモデルである。
【0033】
天板4は、被検者90を載置可能に構成されている。天板4の構成の詳細については、後述する。
【0034】
天板移動機構5は、天板4を移動させ、X線検出器11に対する被検者90の位置を変更するように構成されている。天板移動機構5の構成の詳細については、後述する。
【0035】
入力受付部6は、操作者の操作入力を受け付けるように構成されている。入力受付部6は、たとえば、タッチパッドである。なお、第1実施形態では、入力受付部6は、表示部13と一体形成されたタッチパネルとして構成される。
【0036】
(X線撮影装置および天板移動機構の構成)
図2に示すように、X線撮影装置1では、X線照射部10は、照射部移動機構14によって、天井から吊り下げられるように支持されている。そして、X線照射部10は、照射部移動機構14によって撮影室内で移動可能に支持されている。照射部移動機構14は、X方向、Y方向およびZ方向の各々に対応して、図示しないモータおよび電磁ブレーキを備えている。そして、X線照射部10は、操作者によって、X方向、Y方向、および、Z方向の各々に移動可能に構成されている。なお、図2に示す例では、上下方向をZ方向とし、上方向をZ1方向、下方向をZ2方向とする。また、Z方向と互いに直交する2方向のうちの一方側をX方向、他方側をY方向とする。また、X方向のうちの一方側をX1方向、他方側をX2方向とする。また、Y方向のうちの一方側をY1方向、他方側をY2方向とする。
【0037】
また、X線照射部10は、照射部移動機構14に保持された状態で、Z軸線回りに回動可能に構成されている。また、X線照射部10は、照射部移動機構14に保持された状態で、Y軸線回りに回動可能に構成されている。したがって、X線照射部10は、X線の照射方向および角度を変更可能に構成されている。また、照射部移動機構14は、X線照射部10の回動可能な2つの軸線(Y軸線およびZ軸線)の各々に対応して、図示しないモータおよび電磁ブレーキを備えている。また、照射部移動機構14は、X線照射部10の回動可能な2つの軸線(Y軸線およびZ軸線)の各々に対応して、図示しないエンコーダと、図示しないポテンショメータとを備えている。第1実施形態による照射部移動機構14は、操作者がX線照射部10を移動させる際に、操作者によって入力された操作力の方向に応じた方向に対して、X線照射部10を移動させる。
【0038】
また、図2に示すように、第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bは、コリメータ10bの近傍に配置される。なお、図2に示す例では、第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bは、X方向の位置およびZ方向の位置が互いに等しく、Y方向の位置が互いに異なる位置に配置されている。また、図2に示す例では、第1光学カメラ20aに対してハッチングを付しているが、第1光学カメラ20aの断面を示しているのではなく、図2における第1光学カメラ20aの視認性を向上させるためである。
【0039】
また、天板4は、被検者90が載置される載置面4aを有する。また、天板移動機構5は、X方向、Y方向およびZ方向の各々に対応して、図示しないモータおよび電磁ブレーキを備えている。そして、天板4は、天板移動機構5によって、X方向、Y方向、および、Z方向の各々に移動可能に構成されている。
【0040】
また、検出器移動機構15は、X線検出器11を保持可能な検出器保持部15aを含む。検出器移動機構15は、検出器保持部15aをZ方向に移動させることにより、検出器保持部15aに保持されたX線検出器11をZ方向に移動可能に構成されている。第1実施形態によるX線撮影装置1は、被検者90がX線検出器11を保持した状態で行う撮影と、X線検出器11を天板4の載置面4aに載置した状態で行う撮影と、X線検出器11を検出器保持部15aに配置した状態で行う撮影とに対応可能である。すなわち、第1実施形態によるX線撮影装置1は、被検者90を天板4に座らせた状態(座位)で行う撮影と、被検者90を天板4に寝かせた状態(臥位)で行う撮影と、被検者90を起立させた状態(立位)で行う撮影とに対応可能である。
【0041】
(光学カメラの配置)
図3は、コリメータ10bをZ1方向から見た模式図である。図3に示すように、少なくとも1つの光学カメラ20は、X線照射部10が備えるコリメータ10bの筐体10dの外部に設けられている。第1実施形態では、第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bは、X線照射部10の近傍の位置に配置されている。具体的には、第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bは、X線照射部10の焦点60を基準として、コリメータ10bの筐体10dの外部の一方側および他方側に設けられている。より具体的には第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bは、X線照射部10の焦点60を基準として対称な位置となるように、コリメータ10bの筐体10dの外部に設けられている。本実施形態では、第1光学カメラ20aは、X線の焦点60を基準として、Y1方向側に設けられており、第2光学カメラ20bは、X線の焦点60を基準として、Y2方向側に設けられている。言い換えると、第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bは、X線の照射軸線61を基準として、線対象となる位置に配置されている。
【0042】
すなわち、第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bは、X線照射部10の焦点60の位置を基準として対称な位置に配置され、第1光学画像40a(図1参照)および第2光学画像40b(図1参照)を撮影するように構成されている。
【0043】
第1光学カメラ20aは、矢印80aに示す方向に沿って、照射軸線61に対して斜め方向から被検者90(図2参照)の撮影を行う。また、第2光学カメラ20bは、矢印80bに示す方向に沿って、照射軸線61に対して斜め方向から被検者90の撮影を行う。
【0044】
記憶部31(図1参照)には、第1光学カメラ20aの配置情報50(図1参照)として、コリメータ10bの筐体10dにおける第1光学カメラ20aの位置情報などが記憶されている。たとえば、記憶部31は、X線の焦点60から第1光学カメラ20aまでのX方向の距離およびY方向の距離と、照射軸線61に対する矢印80aの角度θ1とを、第1光学カメラ20aの配置情報50として記憶している。
【0045】
また、記憶部31は、X線の焦点60から第2光学カメラ20bまでのX方向の距離およびY方向の距離と、照射軸線61に対する矢印80bの角度θ2とを、第2光学カメラ20bの配置情報51として記憶している。
【0046】
(光学カメラの配置による光学画像の視野の違い)
次に、図4および図5を参照して、光学カメラ20(図1参照)の配置の違いによる、光学画像40(図1参照)の視野の違いについて説明する。なお、図4および図5のいずれにおいても、被検者90の膝90aが、X線検出器11の中心に位置するように位置決めされた状態で撮影された光学画像40である。
【0047】
図4に示す第1光学画像40aは、第1光学カメラ20a(図3参照)によって撮影された光学画像40である。第1光学画像40aには、被検者90の撮影部位である膝90aと、被検者90が保持しているX線検出器11と、が写っている。また、第1光学画像40aには、X線照射部10(図1参照)から照射されるX線の照射範囲63(図7(A)参照)を操作者に示すための十字線62が写っている。十字線62は、コリメータ10b(図3参照)の内部において、X線の焦点60(図3参照)と共役な位置に配置された投影ランプ10c(図1参照)によってX線検出器11の検出面に照射される。したがって、十字線62は、被検者90の撮影部位(膝90a)の位置決めを行う際の目安となる。
【0048】
図5に示す比較例による第3光学画像40cは、コリメータ10b(図3参照)の外部において、X線の照射軸線61(図3参照)に沿った方向撮影可能な位置に、仮に光学カメラ20を配置した場合の画像である。第3光学画像40cにおいても、被検者90の膝90a、X線検出器11、および、十字線62が写っている。
【0049】
第1光学画像40aと第3光学画像40cとを比較した場合、光学カメラ20の配置の違いによって、各画像の視野が異なっている。具体的には、図4に示す第1光学画像40aでは、斜め方向から被検者90の膝90aを撮影しているため、被検者90の膝90aがX線検出器11の中心から外れた位置に写っている。また、十字線62の中心も、X線検出器11の中心から外れた位置に写っている。
【0050】
一方、図5に示す第3光学画像40cでは、X線の照射軸線61に沿って被検者90の膝90aを撮影しているため、被検者90の膝90aがX線検出器11の中心に位置している。また、十字線62の中心も、X線検出器11の中心に位置している。なお、図5に第3光学画像40cにおいて、十字線62の一部を破線で図示している。これは、第3光学画像40cを撮影するために配置した光学カメラ20によって、ランプから照射される光が遮られるためである。すなわち、操作者は、第3光学画像40cのうちの、破線で図示した十字線62は視認できない。また、X線源10a(図1参照)から照射されるX線も、光学カメラ20によって遮られるため、コリメータ10bの筐体10dの外部において、X線の照射軸線61に沿った方向撮影可能な位置に光学カメラ20を配置することはできない。
【0051】
そこで、図5に示す第3光学画像40cにおいて、十字線62を操作者に視認させるために、光学カメラ20を、コリメータ10b(図3参照)の内部において、X線の焦点60(図3参照)と共役な位置に配置することが考えられる。しかしながら、光学カメラ20をコリメータ10bの内部に配置した場合、図7に示す第4光学画像40dのように、光学画像40に写る視野が、X線の照射範囲63(図7(A)参照)に限定される。したがって、第4光学画像40dは、被検者90の膝90aの一部、および、X線検出器11の一部のみが写る視野が狭い画像となり、操作者が確認しながら被検者90の位置決めを行うことが困難になる。
【0052】
(焦点位置画像の生成)
そこで、第1実施形態では、画像処理部30a(図1参照)は、コリメータ10bの筐体10d(図3参照)の外部に設けられた光学カメラ20によって撮影された光学画像40に基づいて、焦点位置画像41(図7(C)参照)を生成するように構成されている。具体的には、画像処理部30aは、図7(A)に示す第1光学画像40aと、図7(B)に示す第2光学画像40bとに基づいて、焦点位置画像41を生成するように構成されている。
【0053】
図7(A)に示す画像は、第1光学カメラ20a(図3参照)によって撮影された第1光学画像40aである。第1光学画像40aには、被検者90(図2参照)の頭部90b、X線検出器11(図2参照)を保持する検出器保持部15aが写っている。また、第1光学画像40aには、X線照射部10(図2参照)から照射されるX線照射範囲63の領域63a、および、X線照射範囲63の外側の領域64が写っている。第1光学カメラ20aは、X線の照射軸線61(図3参照)を基準として、Y1方向側に設けられているため、第1光学画像40aには、Y1方向側(左側)からみた被検者90の頭部90bが写っている。
【0054】
図7(B)に示す画像は、第2光学カメラ20b(図3参照)によって撮影された第2光学画像40bである。第2光学画像40bにおいても、被検者90(図2参照)の頭部90b、検出器保持部15aが写っている。また、第2光学画像40bにおいても、X線照射部10(図2参照)から照射されるX線照射範囲63の領域63a、および、X線照射範囲63の外側の領域64が写っている。第2光学カメラ20bは、X線の照射軸線61(図3参照)を基準として、Y2方向側に設けられているため、第2光学画像40bには、Y2方向側(右側)からみた被検者90(図2参照)の頭部90bが写っている。
【0055】
図7(C)に示す画像は、画像処理部30a(図1参照)によって生成された焦点位置画像41である。焦点位置画像41は、光学カメラ20(図1参照)によって撮影された光学画像40(図1参照)に基づいて、X線照射部10の焦点60(図3参照)の位置から被検者90(図2参照)を撮影した場合と同一の視野の画像であり、かつ、X線照射部10によってX線が照射される範囲であるX線照射範囲63の領域63aと、X線照射範囲63の外側の領域64とが写る画像である。
【0056】
第1光学画像40aでは、被検者90の頭部90bは、X線の照射範囲63の領域63aのうち、左側に寄った位置で写っている。また、第2光学画像40bでは、被検者90の頭部90bは、X線の照射範囲63の領域63aのうち、右側に寄った位置で写っている。一方、焦点位置画像41は、被検者90の頭部90bが、X線の照射範囲63の領域63aのうちの、中央部分に写っている。
【0057】
すなわち、第1実施形態では、画像処理部30aは、X線照射部10の焦点60の位置を基準として、一方側の斜め方向および他方側の斜め方向から撮影された第1光学画像40aおよび第2光学画像40bに基づいて、焦点位置画像41を生成するように構成されている。
【0058】
(焦点位置画像の生成手法)
第1実施形態では、画像処理部30aは、第1光学カメラ20aの配置情報50(図1参照)と、第2光学カメラ20bの配置情報51(図1参照)とに基づいて、第1光学画像40aと第2光学画像40bとを合成することにより、焦点位置画像41を生成するように構成されている。画像処理部30aは、たとえば、第1光学画像40aと第2光学画像40bとの各々に含まれる各画素に対して、X線の照射軸線61(図3参照)を基準とする位置に対する距離に応じた重み付けを行った上で、第1光学画像40aおよび第2光学画像40b射影変換し、射影変換後の第1光学画像40aおよび第2光学画像40bを合成することにより、焦点位置画像41を生成する。なお、画像処理部30aは、アフィン変換によって第1光学画像40aおよび第2光学画像40bを変換してもよい。また、画像処理部30aは、射影変換などにより変換した第1光学画像40aおよび第2光学画像40bを加算平均することにより、焦点位置画像41を生成するように構成されていてもよい。
【0059】
また、第1実施形態では、画像処理部30aは、学習済みモデル52(図1参照)と、第1光学画像40aと、第2光学画像40bと、に基づいて、焦点位置画像41を生成するように構成されていてもよい。すなわち、画像処理部30aは、学習済みモデル52に対して第1光学画像40aと第2光学画像40bとを入力することにより、焦点位置画像41を生成するように構成されていてもよい。
【0060】
第1実施形態では、画像処理部30aは、第1光学画像40aおよび第2光学画像40bが1フレーム取得されるごとに、上記の重み付け射影変換を行った後の第1光学画像40aおよび第2光学画像40bの合成、または、学習済みモデル52を用いた手法により、1フレームの焦点位置画像41を生成する。画像処理部30aは、所定のフレームレートによって1フレームごとの焦点位置画像41を生成することにより、動画像としての焦点位置画像41を生成する。
【0061】
(焦点位置画像の表示)
第1実施形態では、図8に示すように、画像出力制御部30b(図1参照)は、X線照射部10に設けられた表示部13に対して、焦点位置画像41を出力するように構成されている。表示部13は、画像出力制御部30bから出力された焦点位置画像41を表示するように構成されている。なお、第1実施形態では、画像出力制御部30bは、動画像として、焦点位置画像41を表示部13に対して出力する。したがって、表示部13は、動画像である焦点位置画像41をリアルタイムに表示する。
【0062】
また、第1実施形態では、画像出力制御部30bは、焦点位置画像41とともに、第1光学画像40a(図7(A)参照)、および、第2光学画像40b(図7(B)参照)のうちの少なくともいずれかを切り替えて表示部13に出力する制御を行うように構成されている。具体的には、画像出力制御部30bは、入力受付部6(図1参照)によって入力された操作者の選択入力に基づいて、焦点位置画像41、第1光学画像40a、および、第2光学画像40bのうちの選択された画像を、表示部13に対して出力する。表示部13は、焦点位置画像41、第1光学画像40a、および、第2光学画像40bのうちの操作者によって選択された画像を、動画像としてリアルタイムに表示する。
【0063】
(体動量表示画像の生成)
ここで、操作者が被検者90(図2参照)の位置決めを行った後に、被検者90に体動が生じる場合がある。この場合、X線照射部10(図1参照)およびX線検出器11(図1参照)と、被検者90との相対位置が、位置決めされた位置からずれる。X線照射部10およびX線検出器11と被検者90との相対位置がずれた場合、撮影されるX線画像における被検者90の撮影部位の拡大率が変化したり、被検者90の撮影部位が所定の領域から外れたりすることがある。被検者90の撮影部位の拡大率などが変化した場合、再度撮影を行う必要があり、被検者90の被ばく量が増加する。
【0064】
そこで、第1実施形態では、画像処理部30a(図1参照)は、焦点位置画像41(図7(C)参照)に基づいて取得された被検者90の体動量を、焦点位置画像41において視覚的に識別可能に表示した画像である体動量表示画像42(図9(C)参照)を生成するように構成されている。
【0065】
図9(A)に示す第1焦点位置画像41aは、被検者90の指90cの位置決めが完了した後の焦点位置画像41(図1参照)である。また、図9(B)に示す第2焦点位置画像41bは、位置決め後に、被検者90の指90cに体動が生じた後の焦点位置画像41である。このように、被検者90の撮影部位である指90cに体動が生じた場合、画像処理部30aは、第1焦点位置画像41aと、第2焦点位置画像41bとに基づいて、図9(C)に示す体動量表示画像42を生成する。
【0066】
具体的には、画像処理部30a(図1参照)は、第1焦点位置画像41aに写る被検者90の輪郭線91aと、第2焦点位置画像41bに写る被検者90の輪郭線91bとを取得する。画像処理部30aは、たとえば、エッジフィルタによる処理、または、被検者90の輪郭線を抽出することを学習させることにより生成された学習済みモデルによって、被検者90の輪郭線を抽出する。
【0067】
そして、画像処理部30aは、第1焦点位置画像41aに写る被検者90の輪郭線91aと、第2焦点位置画像41bに写る被検者90の輪郭線91bとのうち、対応する部分の間の距離によって、被検者90の体動量を取得する。なお、画像処理部30aは、第1焦点位置画像41aに写る被検者90の輪郭線91aと、第2焦点位置画像41bに写る被検者90の輪郭線91bとの対応する部分の間の距離が0(ゼロ)の場合、または、第1焦点位置画像41aに写る被検者90の輪郭線91aと、第2焦点位置画像41bに写る被検者90の輪郭線91bとの対応する部分の間の距離が所定の閾値以下の場合には、被検者90に体動が生じていないと判定する。
【0068】
第1実施形態では、画像処理部30aは、体動量が生じた領域の表示態様を、体動量に応じて異ならせた画像を、体動量表示画像42として生成する。具体的には、画像処理部30aは、第1焦点位置画像41aのうちの体動が生じた位置に対して、第2焦点位置画像41bの輪郭線91bをオーバーラップする。そして、画像処理部30aは、第1焦点位置画像41aの輪郭線91aと第2焦点位置画像41bの輪郭線91bとによって囲まれた領域を、体動量が生じた部分の領域として表示態様を異ならせらせた体動量表示画像42を生成する。図9(C)に示す例では、互いにハッチングが異なる領域42aおよび領域42bによって、体動量の違いを表している。図9(C)に示す例では、領域42aの方が、領域42bよりも体動量が多いことを示している。
【0069】
画像処理部30aは、所定のフレームレートによって動画像としての体動量表示画像42を生成する。画像出力制御部30b(図1参照)は、画像処理部30aが生成した動画像としての体動量表示画像42を、表示部13(図1参照)に対して出力する。表示部13は、画像出力制御部30bが出力した動画像としての体動量表示画像42を表示するように構成されている。
【0070】
なお、制御部30(図1参照)は、被検者90に体動が生じた場合に、体動量表示画像42を表示するとともに、警告音、警告灯などによって、被検者90に体動が生じたことを、操作者に報知するように構成されていてもよい。
【0071】
(焦点位置画像の生成処理)
次に、図10を参照して、画像処理部30a(図1参照)が焦点位置画像41(図7(C)参照)を生成する処理、および、画像出力制御部30b(図1参照)が、焦点位置画像41を表示部13(図1参照)に出力する処理について説明する。
【0072】
ステップ101において、第1光学カメラ20a(図1参照)は、第1光学画像40a(図7(A)参照)を取得する。
【0073】
ステップ102において、第2光学カメラ20b(図1参照)は、第2光学画像40b(図(B)参照)を取得する。
【0074】
ステップ103において、画像処理部30aは、第1光学画像40aおよび第2光学画像40bに基づいて、焦点位置画像41を生成する。なお、画像処理部30aが焦点位置画像41を生成する構成は、第1光学画像40aおよび第2光学画像40bを合成することにより焦点位置画像41を生成する構成であってもよいし、学習済みモデル52(図1参照)に対して第1光学画像40aおよび第2光学画像40bを入力することにより焦点位置画像41を生成する構成であってもよい。
【0075】
ステップ104において、画像出力制御部30bは、ステップ103において生成された焦点位置画像41を、表示部13に対して出力する。その後、表示部13は、焦点位置画像41を表示する。そして、処理は、終了する。
【0076】
なお、ステップ101の処理と、ステップ102の処理とは、どちらが先に行われてもよい。
【0077】
(出力画像の切り替え処理)
次に、図11を参照して、画像出力制御部30b(図1参照)が、出力する画像を切り替える処理について説明する。
【0078】
ステップ110において、画像出力制御部30bは、出力する画像の種類を取得する。具体的には、画像出力制御部30bは、入力受付部6(図1参照)によって入力された操作者の選択操作に基づいて、出力する画像の種類を取得する。
【0079】
ステップ111において、画像出力制御部30bは、出力する画像の種類が、焦点位置画像41(図7(C)参照)であるか否かを判定する。出力する画像の種類が焦点位置画像41の場合、処理は、ステップ112へ進む。出力する画像の種類が焦点位置画像41でない場合、処理は、ステップ113へ進む。
【0080】
ステップ112において、画像出力制御部30bは、焦点位置画像41を表示部13(図1参照)に対して出力する。その後、表示部13は、焦点位置画像41を表示する。そして、処理は、終了する。
【0081】
ステップ111からステップ113へ処理が進んだ場合、ステップ113において、画像出力制御部30bは、出力する画像の種類が第1光学画像40a(図7(A)参照)であるか否かを判定する。出力する画像の種類が第1光学画像40aである場合、処理は、ステップ114へ進む。出力する画像の種類が第1光学画像40aでない場合、処理は、ステップ115へ進む。
【0082】
ステップ114において、画像出力制御部30bは、第1光学画像40aを表示部13に対して出力する。その後、表示部13は、第1光学画像40aを表示する。そして、処理は、終了する。
【0083】
また、ステップ113からステップ115へ処理が進んだ場合、ステップ115において、画像出力制御部30bは、第2光学画像40b(図7(B)参照)を表示部13に対して出力する。その後、表示部13は、第2光学画像40bを表示する。そして、処理は、終了する。
【0084】
(体動量表示画像の表示処理)
次に、図12を参照して、画像処理部30a(図1参照)が、体動量表示画像42(図9(C)参照)を生成し、画像出力制御部30b(図1参照)が体動量表示画像42を表示部13(図1参照)に表示させる処理について説明する。
【0085】
ステップ120において、画像処理部30aは、位置決め後の焦点位置画像41(図1参照)である第1焦点位置画像41a(図9(A)参照)を取得する。
【0086】
ステップ121において、画像処理部30aは、第1焦点位置画像41aの次のフレームの焦点位置画像41を取得する。たとえば、画像処理部30aは、第2焦点位置画像41b(図9(B)参照)を次のフレームの焦点位置画像41として取得する。
【0087】
ステップ122において、画像処理部30aは、被検者90(図2参照)の撮影部位に体動が生じたか否かを判定する。具体的には、画像処理部30aは、ステップ120において取得した第1焦点位置画像41aに写る被検者90の輪郭線91a(図9(A)参照)を取得する。また、画像処理部30aは、ステップ122において取得した第2焦点位置画像41bに写る被検者90の輪郭線91b(図9(B)参照)を取得する。そして、画像処理部30aは、第1焦点位置画像41aに写る被検者90の輪郭線91aと、第2焦点位置画像41bに写る被検者90の輪郭線91bとの対応する部分の間の距離を取得する。第1焦点位置画像41aに写る被検者90の輪郭線91aと、第2焦点位置画像41bに写る被検者90の輪郭線91bとの対応する部分の間の距離が所定の閾値よりも大きい場合、画像処理部30aは、被検者90に体動が生じたと判断する。また、第1焦点位置画像41aに写る被検者90の輪郭線91aと、第2焦点位置画像41bに写る被検者90の輪郭線91bとの対応する部分の間の距離が0(ゼロ)の場合、または、所定の閾値以下の場合、画像処理部30aは、被検者90に体動が生じていないと判断する。被検者90に体動が生じた場合、処理は、ステップ123へ進む。被検者90に体動が生じていない場合、処理は、終了する。
【0088】
ステップ123において、画像処理部30aは、被検者90の体動量を取得する。具体的には、画像処理部30aは、第1焦点位置画像41aに写る被検者90の輪郭線91aと、第2焦点位置画像41bに写る被検者90の輪郭線91bとの対応する部分の間の距離を、体動量として取得する。
【0089】
ステップ124において、画像処理部30aは、体動量表示画像42を生成する。具体的には、画像処理部30aは、体動が生じた領域を、ステップ123において取得した体動量に応じて表示態様を異ならせ、第1焦点位置画像41aに対してオーバーラップさせることにより、体動量表示画像42を生成する。
【0090】
ステップ125において、画像出力制御部30bは、体動量表示画像42を表示部13に対して出力する。その後、表示部13は、体動量表示画像42を表示する。そして、処理は、終了する。
【0091】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0092】
第1実施形態では、上記のように、画像処理装置3は、X線撮影装置1において被検者90の位置決めを行うための画像を生成する画像処理装置であって、X線撮影装置1のX線照射部10の近傍に配置された少なくとも1つの光学カメラ20を含む画像取得部2と、光学カメラ20によって撮影された光学画像40に基づいて、X線照射部10の焦点60の位置から被検者90を撮影した場合と同一の視野の画像であり、かつ、X線照射部10によってX線が照射される範囲であるX線照射範囲63の領域63aと、X線照射範囲63の外側の領域64とが写る画像である焦点位置画像41を生成する画像処理部30aと、を備える。
【0093】
これにより、焦点位置画像41は、X線照射部10の焦点60の位置から被検者90を撮影した場合と同一の視野であるため、焦点位置画像41とX線画像とが同一の視野の画像となる。また、焦点位置画像41には、X線照射範囲63の領域63a、および、X線照射範囲63の外側の領域64の両方が写るため、被検者90の位置決めを行うために操作者に提示する光学画像40に写る視野が狭くなることを抑制することができる。これらの結果、被検者90の位置決めを行うために操作者に提示する光学画像40の視野が狭くなることを抑制しながら、被検者90の位置決めを正確に行うことが可能な画像(焦点位置画像41)を操作者に提示することができる。
【0094】
また、第1実施形態では、上記のように、X線撮影装置1は、X線を照射するX線照射部10と、X線照射部10によって照射されたX線を検出するX線検出器11と、X線照射部10の近傍に配置された少なくとも1つの光学カメラ20を含む画像取得部2と、光学カメラ20によって撮影された光学画像40に基づいて、X線照射部10の焦点60の位置から被検者90を撮影した場合と同一の視野の画像であり、かつ、X線照射部10によってX線が照射される範囲であるX線照射範囲63の領域63aと、X線照射範囲63の外側の領域64とが写る画像である焦点位置画像41を生成する画像処理部30aと、を備える。
【0095】
これにより、画像処理装置3と同様に、被検者90の位置決めを行うために操作者に提示する光学画像40の視野が狭くなることを抑制しながら、被検者90の位置決めを正確に行うことが可能な画像(焦点位置画像41)を操作者に提示することが可能なX線撮影装置1を提供することができる。
【0096】
また、第1実施形態では、上記のように、X線撮影システム100は、X線を照射するX線照射部10と、X線照射部10によって照射されたX線を検出するX線検出器11と、X線照射部10の近傍に配置された少なくとも1つの光学カメラ20を含む画像取得部2と、光学カメラ20によって撮影された光学画像40に基づいて、X線照射部10の焦点60の位置から被検者90を撮影した場合と同一の視野の画像であり、かつ、X線照射部10によってX線が照射される範囲であるX線照射範囲63の領域63aと、X線照射範囲63の外側の領域64とが写る画像である焦点位置画像41を生成する画像処理部30aと、を備える。
【0097】
これにより、画像処理装置3と同様に、被検者90の位置決めを行うために操作者に提示する光学画像40の視野が狭くなることを抑制しながら、被検者90の位置決めを正確に行うことが可能な画像(焦点位置画像41)を操作者に提示することが可能なX線撮影システム100を提供することができる。
【0098】
また、上記第1実施形態では、以下のように構成したことによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0099】
すなわち、第1実施形態では、上記のように、少なくとも1つの光学カメラ20は、X線照射部10が備えるコリメータ10bの筐体10dの外部に設けられており、画像処理部30aは、コリメータ10bの筐体10dの外部に設けられた光学カメラ20によって撮影された光学画像40に基づいて、焦点位置画像41を生成するように構成されている。これにより、少なくとも1つの光学カメラ20がコリメータ10bの筐体10dの外部に設けられているので、コリメータ10bの筐体10dの内部にのみ光学カメラが設けられている構成と異なり、X線照射範囲63の外側の領域64が写る光学画像40を容易に撮影することができる。その結果、X線照射部10によってX線が照射される範囲であるX線照射範囲63の領域63aと、X線照射範囲63の外側の領域64とが写る画像を容易に取得することが可能となるので、焦点位置画像41を容易に生成することができる。また、光学カメラ20がコリメータ10bの筐体10dの外部に設けられているため、光学カメラ20がコリメータ10bの筐体10dの内部に設ける構成と比較して、既に設置されているX線撮影装置1に対して、本発明の構成を容易に適用することができる。
【0100】
また、第1実施形態では、上記のように、光学カメラ20は、互いに異なる位置に設けられた第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bを含み、画像取得部2は、第1光学カメラ20aによって撮影された光学画像40である第1光学画像40aと、第2光学カメラ20bによって撮影された光学画像40である第2光学画像40bとを取得するように構成されており、画像処理部30aは、第1光学画像40aと第2光学画像40bとに基づいて、焦点位置画像41を生成するように構成されている。ここで、1つの光学カメラ20のみを備える構成の場合、光学カメラ20の配置によって、死角となる領域が生じる。その場合、光学画像40に基づいて生成される焦点位置画像41については、光学カメラ20の死角となる領域が写らない。そこで、上記のように、構成することにより、第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bが互いに異なる位置に設けられているため、1つの光学カメラ20のみを備える構成と比較して、死角となる領域を減少させることができる。したがって、互いに異なる位置に設けられた第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bによって撮影された第1光学画像40aおよび第2光学画像40bに基づいて焦点位置画像41を生成することにより、光学カメラ20の死角に起因して焦点位置画像41に写らない領域を減少させることができる。その結果、焦点位置画像41の精度を向上させることが可能となるので、焦点位置画像41に基づいて行う被検者90の位置調整を精度よく行うことができる。
【0101】
また、第1実施形態では、上記のように、第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bは、X線照射部10の近傍の位置に配置され、第1光学画像40aおよび第2光学画像40bを撮影するように構成されており、画像処理部30aは、X線照射部10の焦点60の位置を基準として、一方側の斜め方向および他方側の斜め方向から撮影された第1光学画像40aおよび第2光学画像40bに基づいて、焦点位置画像41を生成するように構成されている。これにより、第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bが、X線照射部10の近傍の位置に配置されているため、光学カメラ20の死角に起因して焦点位置画像41に写らない領域を減少させることができる。その結果、焦点位置画像41の精度をより一層向上させることができる。
【0102】
また、第1実施形態では、上記のように、画像処理部30aは、第1光学カメラ20aの配置情報50と、第2光学カメラ20bの配置情報51とに基づいて、第1光学画像40aと第2光学画像40bとを合成することにより、焦点位置画像41を生成するように構成されている。ここで、第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bの各々は、X線照射部10の所定の位置において、X線の照射軸線61に対して所定の角度で配置されている。すなわち、第1光学カメラ20aの配置情報50によって、X線照射部10の焦点60の位置から撮影した場合の画像に対する第1光学画像40aに写る被検者90の形状を容易に変換することができる。また、第2光学カメラ20bの配置情報51によって、X線照射部10の焦点60の位置から撮影した場合の画像に対する第2光学画像40bに写る被検者90の形状を容易に変形することができる。その結果、第1光学画像40aおよび第2光学画像40bと、第1光学カメラ20aの配置情報50および第2光学カメラ20bの配置情報51とに基づいて、焦点位置画像41を容易に生成することができる。
【0103】
また、第1実施形態では、上記のように、画像処理部30aは、互いに異なる斜め方向から撮影された複数の光学画像40からX線の焦点60の位置から被検者90を撮影した場合と同一の視野の画像を生成することを学習させることにより生成された学習済みモデル52と、第1光学画像40aと、第2光学画像40bと、に基づいて、焦点位置画像41を生成するように構成されている。これにより、第1光学画像40aと第2光学画像40bとを学習済みモデル52に入力することにより、焦点位置画像41を容易に生成することができる。
【0104】
また、第1実施形態では、上記のように、焦点位置画像41を表示部13に対して出力する制御を行う画像出力制御部30bをさらに備え、画像出力制御部30bは、焦点位置画像41とともに、第1光学画像40a、および、第2光学画像40bのうちの少なくともいずれかを切り替えて表示部13に出力する制御を行うように構成されている。ここで、操作者は、天板4の一方側の位置において、被検者90の位置決めを行う。そのため、天板4の反対側の位置から被検者90の位置を確認することが困難である。そこで、上記のように、焦点位置画像41と、第1光学画像40aと、第2光学画像40bとを切り替えて表示部13に出力するように構成することにより、操作者は、操作者とは反対の位置に設けられている光学カメラ20によって撮影された光学画像40を確認することができる。その結果、操作者は、操作者と反対側の位置から撮影された光学画像40を確認することが可能となるので、被検者90の位置決めを行う際の操作者の利便性(ユーザビリティ)を向上させることができる。
【0105】
また、第1実施形態では、上記のように、画像処理部30aは、焦点位置画像41に基づいて取得された被検者90の体動量を、焦点位置画像41において視覚的に識別可能に表示した画像である体動量表示画像42を生成するように構成されている。これにより、操作者に対して体動量表示画像42を提示することにより、操作者は、被検者90の体動量を直感的に容易に把握することができる。その結果、操作者が被検者90の位置調整を容易に行うことが可能となるので、被検者90の位置調整に伴う操作者の負担を軽減することができる。
【0106】
また、第1実施形態では、上記のように、X線撮影装置1は、X線照射部10から照射されるX線の照射範囲63を調整するコリメータ10bをさらに備え、光学カメラ20は、互いに異なる位置に設けられた第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bを含み、第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bは、X線照射部10の近傍の位置となるように、コリメータ10bの筐体10dの外部に設けられており、画像取得部2は、第1光学カメラ20aによって撮影された光学画像40である第1光学画像40aと、第2光学カメラ20bによって撮影された光学画像40である第2光学画像40bとを取得するように構成されており、画像処理部30aは、X線照射部10の焦点60の位置を基準として、一方側の斜め方向および他方側の斜め方向から撮影された第1光学画像40aおよび第2光学画像40bに基づいて、焦点位置画像41を生成するように構成されている。これにより、第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bが、X線照射部10の近傍の位置に配置されているため、光学カメラ20の死角に起因して焦点位置画像41に写らない領域を減少させることができる。その結果、焦点位置画像41の精度をより向上させることが可能なX線撮影装置1を提供することができる。
【0107】
[第2実施形態]
図13および図14を参照して、第2実施形態による画像処理装置201を備えたX線撮影システム200について説明する。第1光学カメラ20a(図3参照)と第2光学カメラ20b(図3参照)とが、コリメータ10bの筐体10d(図3参照)の外部に配置される上記第1実施形態の構成と異なり、第2実施形態による画像処理装置201を備えたX線撮影システム200は、第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bの少なくとも一方が、コリメータ10bの筐体10d(図14参照)の内部に設けられ、他方が、コリメータ10bの筐体10dの外部に設けられている。なお、上記第1実施形態によるX線撮影システム100(図1参照)と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0108】
第2実施形態によるX線撮影システム200は、画像処理装置3(図1参照)の代わりに画像処理装置201を備える点で、上記第1実施形態によるX線撮影システム100とは異なる。
【0109】
第2実施形態による画像処理装置201は、制御部30(図1参照)および記憶部31(図1参照)の代わりに制御部230および記憶部231を備える点で、上記第1実施形態による画像処理装置3とは異なる。
【0110】
第2実施形態による制御部230は、画像処理部30a(図1参照)の代わりに画像処理部230aを備える点で、上記第1実施形態による制御部30とは異なる。
【0111】
第2実施形態による記憶部231は、第1光学カメラ20aの配置情報50(図1参照)を記憶しない点で、上記第1実施形態による記憶部31とは異なる。
【0112】
第2実施形態による画像処理部230aは、コリメータ10bの筐体10d内に設けられた第1光学カメラ20aによって撮影された第1光学画像40aと、コリメータ10bの筐体10dの外部に設けられた第2光学カメラ20bによって撮影された第2光学画像40bとに基づいて、焦点位置画像41を生成する点で、上記第1実施形態による画像処理部30aと異なる。
【0113】
(光学カメラの配置)
図14に示すように、第2実施形態による第1光学カメラ20aは、コリメータ10bの筐体10dの内部において、X線の焦点60と共役な位置に設けられている。すなわち、第1光学カメラ20aは、コリメータ10bの筐体10dの内部に配置されて、X線の焦点60と共役な位置から第1光学画像40aを撮影するように構成されている。また、第2実施形態では、X線の照射軸線61上であり、かつ、第1光学カメラ20aと対向する位置に、光学部材21が設けられている。光学部材21は、たとえば、ハーフミラーを含み、X線の焦点60と共役な位置に被検者90(図15参照)の撮影部位の像を結像するように構成されている。
【0114】
また、第2実施形態では、第2光学カメラ20bは、コリメータ10bの筐体10dの外部に設けられている。第2光学カメラ20bは、矢印80bに示す方向に沿って、照射軸線61に対して斜め方向から被検者90の撮影を行う。すなわち、第2光学カメラ20bは、コリメータ10bの筐体10dの外部の位置に配置され、第2光学画像40bを撮影するように構成されている。
【0115】
第2実施形態では、画像処理部230a(図13参照)は、X線の焦点60と共役な位置から撮影された第1光学画像40aと、コリメータ10bの筐体10dの外部から撮影された第2光学画像40bとに基づいて、焦点位置画像41(図15参照)を生成するように構成されている。
【0116】
図15に示す焦点位置画像41は、第2実施形態による画像処理部230a(図13参照)が、被検者90の足首を撮影部位として撮影する場合に、表示部13(図13参照)に表示される画像である。図15に示す焦点位置画像41のうち、破線で図示した矩形は、X線照射部10(図13参照)から照射されるX線照射範囲63である。また、領域64は、X線照射範囲63の領域63aの外部の領域である。また、十字線62は、X線の焦点60(図14参照)と共役な位置に配置された投影ランプ10c(図13参照)によってX線検出器11の検出面に照射された、位置決めの目安となる線である。
【0117】
第2実施形態では、画像処理部230aは、X線の焦点60と共役な位置から撮影された光学画像40に基づいて、焦点位置画像41のうちのX線照射範囲63の領域63aの画像を生成するとともに、コリメータ10bの筐体10dの筐体10dの外部から撮影された光学画像40に基づいて、焦点位置画像41のうちのX線照射範囲63外の領域の画像を生成するように構成されている。
【0118】
ここで、X線照射範囲63の領域63aの画像は、X線の焦点60と共役な位置から撮影された画像であるため、X線の焦点60から撮影した画像と同一の視野の画像である。具体的には、X線照射範囲63の領域63aの画像は、第1光学画像40aである。
【0119】
一方、X線照射範囲63の領域63aの外側の領域64の画像は、第2光学カメラ20bによって斜め方向から撮影された第2光学画像40bであるため、第1光学画像40aと第2光学画像40bとでは、被検者90の写り方が異なる。
【0120】
そこで、第2実施形態による画像処理部230aは、記憶部231(図13参照)に記憶された第2光学カメラ20bの配置情報51に基づいて、第2光学画像40bを変形する。たとえば、画像処理部230aは、射影変換によって、第2光学画像40bを変形する。そして、画像処理部230aは、射影変換後の第2光学画像40bのうちの、X線照射範囲63の領域63aの外側の部分を、X線照射範囲63の領域63aの外側の領域64の画像として取得する。なお、画像処理部230aは、アフィン変換によって第2光学画像40bを変換するように構成されていてもよい。
【0121】
そして、画像処理部230aは、X線照射範囲63の領域63aの画像と、X線照射範囲63の領域63aの外側の領域64の画像とを合成することにより、焦点位置画像41を生成する。したがって、焦点位置画像41のうちの、X線照射範囲63の領域63aの画像は、被検者90の撮影部位の形状などが正確に写っている。一方、X線照射範囲63の領域63aの外側の領域64の画像は、被検者90の撮影部位の形状は、射影変換によって変換されるため、歪みなどが生じている場合があるが、焦点位置画像41の視野を拡大することができる。そのため、第2実施形態による焦点位置画像41では、X線照射範囲63の領域63aの精度を維持しつつ、視野が拡大された画像となっている。
【0122】
(焦点位置画像の生成)
次に、図16を参照して、第2実施形態による画像処理部230a(図13参照)が、焦点位置画像41(図15参照)を生成する構成について説明する。なお、上記第1実施形態による画像処理部30a(図1参照)、および、画像出力制御部30b(図1参照)による処理と同様の処理については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0123】
ステップ105において、第1光学カメラ20a(図14参照)は、第1光学画像40a(図13参照)を取得する。なお、ステップ105において取得される第1光学画像40aは、コリメータ10b(図14参照)の筐体10d(図14参照)の内部において、X線の焦点60(図14参照)と共役な位置に配置された第1光学カメラ20aによって撮影された光学画像40(図13参照)である。
【0124】
ステップ102において、第2光学カメラ20b(図13参照)は、第2光学画像40b(図13参照)を取得する。
【0125】
ステップ106において、画像処理部230aは、ステップ105において取得された第1光学画像40aと、ステップ102において取得された第2光学画像40bとに基づいて、焦点位置画像41(図15参照)を生成する。具体的には、画像処理部230aは、第1光学カメラ20aによって取得されたX線照射範囲63の領域63aの画像と、第2光学カメラ20bによって取得され、射影変換などの変換処理が行われた後のX線照射範囲63の領域63aの外側の領域64の画像とを合成することにより、焦点位置画像41を生成する。
【0126】
ステップ104において、画像出力制御部30b(図13参照)は、ステップ106において生成された焦点位置画像41を表示部13(図13参照)に出力する。表示部13は、焦点位置画像41を表示する。その後、処理は、終了する。
【0127】
なお、ステップ105の処理と、ステップ102の処理とは、どちらが先に行われてもよい。
【0128】
第2実施形態によるその他の構成は、上記第1実施形態による構成と同様である。
【0129】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、上記のように、第1光学カメラ20aは、コリメータ10bの筐体10dの内部に配置され、X線の焦点60と共役な位置から第1光学画像40aを撮影するように構成されており、第2光学カメラ20bは、コリメータ10bの筐体10dの外部の位置に配置され、第2光学画像40bを撮影するように構成されており、画像処理部230aは、X線の焦点60と共役な位置から撮影された第1光学画像40aと、コリメータ10bの筐体10dの外部から撮影された第2光学画像40bとに基づいて、焦点位置画像41を生成するように構成されている。これにより、画像処理部230aが、X線の焦点60と共役な位置から撮影された第1光学画像40aと、コリメータ10bの筐体10dの外部から撮影された第2光学画像40bとに基づいて、焦点位置画像41を生成するため、光学カメラ20がコリメータ10bの筐体10dの内部のみの配置される構成と異なり、X線照射範囲63の領域63aとともに、X線照射範囲63の外側の領域64が写る焦点位置画像41を生成することができる。その結果、1つの光学カメラ20のみを備える構成と比較して、焦点位置画像41に写る領域を大きくすることが可能となるので、操作者が被検者90の位置決めをより容易に行うことができる。
【0130】
また、第2実施形態では、上記のように、画像処理部230aは、X線の焦点60と共役な位置から撮影された光学画像40に基づいて、焦点位置画像41のうちのX線照射範囲63の領域63aの画像を生成するとともに、コリメータ10bの筐体10dの筐体10dの外部から撮影された光学画像40に基づいて、焦点位置画像41のうちのX線照射範囲63外の領域の画像を生成するように構成されている。ここで、コリメータ10bの筐体10dの外部に設けられた第2光学カメラ20bは、X線照射部10のX線の照射軸線61に対して斜め方向から撮影する。そのため、第2光学カメラ20bによって撮影された第2光学画像40bに写る被検者90は、X線照射部10の焦点60の位置から撮影した光学画像40とは、視野が異なる画像となる。また、コリメータ10bの筐体10dの内部において、X線の焦点60と共役な位置に設けられた第1光学カメラ20aによって撮影された第1光学画像40aは、X線照射部10の焦点60の位置から撮影した光学画像40とみなすことができるため、被検者90の形状に歪みは生じない。しかしながら、第1光学カメラ20aがコリメータ10bの筐体10dの内部に設けられているため、第1光学画像40aに写る領域はコリメータ10bによって制限される。
【0131】
そこで、上記のように、画像処理部230aが、X線の焦点60と共役な位置から撮影された第1光学画像40aと、コリメータ10bの筐体10dの外部から撮影された第2光学画像40bとに基づいて、焦点位置画像41を生成するように構成することにより、第1光学画像40aがX線の焦点60と共役な位置から撮影されているので、第1光学画像40aは、X線の照射軸線61に沿った方向から撮影された画像と同一の視野の画像となる。そのため、第1光学画像40aに写る被検者90の形状に歪みが生じることを防止することができる。また、コリメータ10bの筐体10dの外部に設けられた第2光学カメラ20bによって第2光学画像40bが撮影されるので、第2光学画像40bには、X線照射範囲63の領域63a、および、X線照射範囲63の領域63aの外側の領域64が写る。したがって、焦点位置画像41に写る視野を大きくすることができる。その結果、焦点位置画像41において、X線照射範囲63の領域63aに相当する部分の精度が低下することを抑制しつつ、画像全体として写る視野を大きくすることができる。
【0132】
また、第2実施形態では、上記のように、X線撮影装置1は、X線照射部10から照射されるX線の照射範囲63を調整するコリメータ10bをさらに備え、光学カメラ20は、互いに異なる位置に設けられた第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bを含み、第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bのうちの一方は、コリメータ10bの筐体10dの内部において、X線の焦点60と共役な位置に設けられており、第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bのうちの他方は、コリメータ10bの筐体10dの外部に設けられており、画像処理部230aは、X線の焦点60と共役な位置から撮影された光学画像40と、コリメータ10bの筐体10dの外部から撮影された光学画像40とに基づいて、焦点位置画像41を生成するように構成されている。これにより、画像処理部30aが、X線の焦点60と共役な位置から撮影された第1光学画像40aと、コリメータ10bの筐体10dの外部から撮影された第2光学画像40bとに基づいて、焦点位置画像41を生成するため、光学カメラ20がコリメータ10bの筐体10dの内部のみの配置される構成と異なり、X線照射範囲63の領域63aとともに、X線照射範囲63の外側の領域64が写る焦点位置画像41を生成することができる。したがって、1つの光学カメラ20のみを備える構成と比較して、焦点位置画像41に写る視野を大きくすることができる。その結果、操作者が被検者90の位置決めをより容易に行うことが可能なX線撮影装置1を提供することができる。
【0133】
なお、第2実施形態によるその他の効果は、上記第1実施形態による効果と同様である。
【0134】
[第3実施形態]
図17および図18を参照して、第3実施形態による画像処理装置301および画像取得部302を備えたX線撮影システム300について説明する。画像取得部2(図1参照)が第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bを備える上記第1実施形態によるX線撮影システム100(図1参照)と異なり、第3実施形態によるX線撮影システム300が備える画像取得部302は、1つの光学カメラ20のみを備える。なお、上記第1実施形態によるX線撮影システム100と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0135】
第3実施形態によるX線撮影システム300は、画像処理装置3(図1参照)の代わりに画像処理装置301を備える点、および、画像取得部2(図1参照)の代わりに画像取得部302を備える点で、上記第1実施形態によるX線撮影システム100とは異なる。
【0136】
第3実施形態による画像処理装置301は、制御部30(図1参照)および記憶部31(図1参照)の代わりに制御部330および記憶部331を備える点で、上記第1実施形態による画像処理装置3とは異なる。
【0137】
第3実施形態による画像取得部302は、1つの光学カメラ20のみを備える点で、上記第1実施形態による画像取得部2とは異なる。
【0138】
第3実施形態による制御部330は、画像処理部30a(図1参照)の代わりに画像処理部330aを備える点で、上記第1実施形態による制御部30とは異なる。
【0139】
第3実施形態による画像処理部330aは、1枚の光学画像40から焦点位置画像41を生成する点で、上記実施形態による画像処理部30aとは異なる。
【0140】
第3実施形態による記憶部331は、学習済みモデル52(図1参照)を記憶しない点、および、第1光学カメラ20aの配置情報50(図1参照)および第2光学カメラ20bの配置情報51(図1参照)の代わりに光学カメラ20の配置情報53を記憶する点で、上記第1実施形態による記憶部31とは異なる。なお、光学カメラ20の配置情報53は、X線の焦点60(図3参照)から光学カメラ20までのX方向の距離およびY方向の距離と、照射軸線61に対する光学カメラ20の光軸の角度とを含む。
【0141】
第3実施形態では、画像取得部302は、コリメータ10bの筐体10d(図3参照)の外部に配置された1つの光学カメラ20のみを含む。そのため、画像処理部330aは、1枚の光学画像40のみに基づいて、焦点位置画像41を生成する。たとえば、第3実施形態による画像処理部330aは、記憶部331に記憶された光学カメラ20の配置情報53に基づいて、焦点位置画像41を生成する。具体的には、画像処理部330aは、光学画像40に対して、光学カメラ20の配置情報53を用いた射影変換を行うことにより、焦点位置画像41を生成する。画像処理部330aは、光学画像40に対してアフィン変換を行うことにより、焦点位置画像41を生成するように構成されていてもよい。なお、1つの光学カメラ20の配置は、上記第1実施形態による第1光学カメラ20a、第1実施形態による第2光学カメラ20b、および、第2実施形態による第2光学カメラ20bのうちのいずれかの配置と同様の配置である。
【0142】
次に、図18を参照して、第3実施形態による画像処理部330a(図17参照)が、焦点位置画像41(図17参照)を生成する構成について説明する。なお、上記第1実施形態による画像処理部30a(図1参照)、および、画像出力制御部30b(図1参照)による処理と同様の処理については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0143】
ステップ107において、光学カメラ20(図17参照)は、光学画像40(図17参照)を取得する。なお、ステップ107において取得される光学画像40は、コリメータ10b(図1参照)の筐体10d(図3参照)の外部に配置された光学カメラ20によって撮影された光学画像40である。
【0144】
ステップ108において、画像処理部330a(図17参照)は、ステップ107において取得された光学画像40と、記憶部331(図17参照)に記憶された光学カメラ20の配置情報53(図17参照)とに基づいて、焦点位置画像41を生成する。具体的には、画像処理部330aは、光学カメラ20によって取得された光学画像40に対して、射影変換を行うことにより、焦点位置画像41を生成する。
【0145】
ステップ104において、画像出力制御部30b(図17参照)は、ステップ106において生成された焦点位置画像41を表示部13(図17参照)に出力する。表示部13は、焦点位置画像41を表示する。その後、処理は、終了する。
【0146】
なお、第3実施形態によるその他の構成は、上記第1実施形態による構成と同様である。
【0147】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、上記のように、画像取得部302は、1つの光学カメラ20を備え、画像処理部330aは、1枚の光学画像40と、光学カメラ20の配置情報53とに基づいて、焦点位置画像41を生成するように構成されている。これにより、上記第1実施形態によるX線撮影システム100、および、第2実施形態によるX線撮影システム200と比較して、画像取得部2が含む光学カメラ20の数を低減することができる。その結果、部品点数が増加することを抑制しつつ、被検者90の位置決めを正確に行うことが可能な画像(焦点位置画像41)を操作者に提示することができる。
【0148】
なお、第3実施形態によるその他の効果は、上記第1実施形態による効果と同様である。
【0149】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0150】
たとえば、上記第1実施形態では、画像処理部30aが、互いに異なる斜め方向から撮影された複数の光学画像40からX線の焦点60の位置から被検者90を撮影した場合と同一の視野の画像を生成することを学習させることにより生成された学習済みモデル52に基づいて、焦点位置画像41を生成する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図19に示す第1実施形態の変形例によるX線撮影システム400のように、第1光学画像40aと第2光学画像40bとに写る共通の特徴点65(図20参照)に基づいて、焦点位置画像41を生成するように構成されていてもよい。
【0151】
第1実施形態の変形例によるX線撮影システム400は、画像処理装置3の代わりに画像処理装置401を備える点で、上記第1実施形態によるX線撮影システムと異なる。画像処理装置401は、制御部30および記憶部31の代わりに、制御部430および記憶部431を備える点で、上記第1実施形態による画像処理装置3とは異なる。
【0152】
制御部430は、画像処理部30aの代わりに画像処理部430aを備える点で、上記第1実施形態による制御部30とは異なる。また、記憶部431は、学習済みモデル52の代わりに学習済みモデル452を記憶する点、および、視差画像43をさらに記憶する点で、上記第1実施形態による記憶部31とは異なる。
【0153】
学習済みモデル452は、光学画像40に写る被写体を、奥行方向の違いに基づいて変化させた画素値によって画像化した視差画像43を生成することを学習させることにより生成された学習済みモデルである。
【0154】
視差画像43は、画像に写る被写体の奥行方向の違いを画素化した画像である。視差画像43は、第1視差画像43aおよび第2視差画像43bを含む。第1視差画像43aは、第1光学画像40aに基づいて、学習済みモデル452によって生成される視差画像43である。また、第2視差画像43bは、第2光学画像40bに基づいて、学習済みモデル452によって生成される視差画像43である。第1視差画像43aおよび第2視差画像43bの詳細については、後述する。
【0155】
画像処理部430aは、第1光学画像40aと、第2光学画像40bと、学習済みモデル452に基づいて生成された第1視差画像43aおよび第2視差画像43bと、に基づいて焦点位置画像41を生成する点で、上記第1実施形態による画像処理部30aとは異なる。
【0156】
図20を参照して、比較例による画像処理部が、第1光学画像40aに写る特徴点65と、第2光学画像40bに写る特徴点65とに基づいて、焦点位置画像41を生成する構成について説明する。具体的には、比較例による画像処理部は、第1光学画像40aおよび第2光学画像40bにおいて、互いに対応する特徴点65を検出する。図20では、互いに対応する特徴点65を、直線65aによって接続して図示している。そして、比較例による画像処理部は、対応する特徴点65の視差を算出するとともに、算出した視差に基づいて、2つの光学画像40を撮影した第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bの間の任意の位置から撮影した画像を生成する。すなわち、比較例による画像処理部は、第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bの間のうちの、X線照射部10の焦点60の位置から撮影した画像である焦点位置画像41を生成する。
【0157】
ここで、第1光学画像40aおよび第2光学画像40bの対応する特徴点65を検出する手法としては、パターンマッチングなどが考えられる。しかしながら、第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bは、互いに異なる位置に配置された光学カメラ20であるため、第1光学画像40aおよび第2光学画像40bに写る被写体は、互いに異なる視点で写る。したがって、第1光学画像40aと第2光学画像40bとにおいて、互いに対応する特徴点65を検出する際の精度が低下する。
【0158】
そこで、第1実施形態の変形例では、画像処理部430a(図19参照)は、第1光学画像40aと第2光学画像40bとの視差を、学習済みモデル452(図19参照)に基づいて取得し、取得した第1光学画像40aと第2光学画像40bとの視差に基づいて、焦点位置画像41を生成するように構成されている。
【0159】
具体的には、図21に示すように、画像処理部430aは、学習済みモデル452(図19参照)に基づいて、第1視差画像43aおよび第2視差画像43bを生成する。第1視差画像43aおよび第2視差画像43bは、凡例70に示すように、奥行方向の違いに応じた画素値によって画像化された画像である。具体的には、第1視差画像43aおよび第2視差画像43bの各々は、奥行方向の手前側の画素値が高くなり、奥行方向の奥側の画素値が低くなる画像である。言い換えると、第1視差画像43aおよび第2視差画像43bの各々は、X線照射部10(図19参照)に近い被写体の画素値が高くなり、X線照射部10から遠ざかるにつれて、画素値が低くなる。
【0160】
図21に示す例では、第1視差画像43aにおいて、被検者90の頭部90bの画素値が最も高く、被検者90の耳90dおよび胸部90e、X線検出器11、検出器保持部15a、検出器保持部材15bの順に画素値が低くなる。また、第2視差画像43bにおいても、被検者90の頭部90bの画素値が最も高く、被検者90の耳90dおよび胸部90e、X線検出器11、検出器保持部15a、検出器保持部材15bの順に画素値が低くなる。
【0161】
また、第1視差画像43aと第2視差画像43bとを比較した場合、第1光学カメラ20a(図19参照)および第2光学カメラ20b(図19参照)の配置の違いに起因して、第2視差画像43bの画素値が全体的に高くなっている。
【0162】
第1実施形態の変形例による画像処理部430aは、第1視差画像43aおよび第2視差画像43bの視差の違いに基づいて、第1光学画像40a(図20参照)および第2光学画像40b(図20参照)の対応する特徴点65(図20参照)の視差を取得する。これにより、第1光学画像40aおよび第2光学画像40bにおいて互いに対応する特徴点65を検出する精度が向上するため、画像処理部430aは、精度の高い焦点位置画像41を生成することができる。
【0163】
次に、図22を参照して、第1実施形態の変形例による画像処理部430a(図19参照)が、焦点位置画像41(図20参照)を生成する処理について説明する。なお、上記第1実施形態による画像処理部30a(図1参照)、および、画像出力制御部30b(図1参照)による処理と同様の処理については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0164】
ステップ101およびステップ102において、第1光学カメラ20a(図19参照)および第2光学カメラ20b(図19参照)は、第1光学画像40a(図20参照)および第2光学画像40b(図20参照)を取得する。
【0165】
ステップ130において、画像処理部430aは、第1視差画像43a(図21参照)および第2視差画像43b(図21参照)を取得する。具体的には、画像処理部430aは、第1光学画像40aを学習済みモデル452(図19参照)に入力することにより、第1視差画像43aを生成する。また、画像処理部430aは、第2光学画像40bを学習済みモデル452に入力することにより、第2視差画像43bを生成する。
【0166】
ステップ131において、画像処理部430aは、第1光学画像40a、第2光学画像40b、第1視差画像43a、および、第2視差画像43bに基づいて、焦点位置画像41を生成する。具体的には、画像処理部430aは、第1光学画像40aおよび第2光学画像40bにおける互いに対応する特徴点65(図20参照)を取得する。この際、画像処理部430aは、第1視差画像43aおよび第2視差画像43bのうちの、特徴点65に対応する画素の画素値の違い(奥行方向の違い)を、特徴点65の視差として取得する。そして、画像処理部430aは、取得した特徴点65に基づいて、焦点位置画像41を生成する。
【0167】
ステップ104において、画像出力制御部30b(図19参照)は、ステップ131において生成された焦点位置画像41を表示部13(図19参照)に出力する。表示部13は、焦点位置画像41を表示する。その後、処理は、終了する。
【0168】
第1実施形態の変形例によるその他の構成は、上記第1実施形態による構成と同様である。
【0169】
第1実施形態の変形例による画像処理部430aは、上記のように、第1光学画像40aと、第2光学画像40bと、第1視差画像43aと、第2視差画像43bとにより、第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bの間の任意の位置から撮影した画像と同様の画像を生成することができる。したがって、第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bの間の位置で光学カメラ20を移動させながら画像を撮影することなく、第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bの間の任意の位置から撮影した画像を操作者に提示することができる。その結果、操作者の利便性(ユーザビリティ)を向上させることができる。また、第1実施形態の変形例による画像処理部430aでは、第1光学画像40aと、第2光学画像40bと、第1視差画像43aと、第2視差画像43bとにより、焦点位置画像41を生成する。したがって、X線撮影システム400においても、上記第1実施形態によるX線撮影システム100と同様に、被検者90の位置決めを行うために操作者に提示する光学画像40の視野が狭くなることを抑制しながら、被検者90の位置決めを正確に行うことが可能な画像(焦点位置画像41)を操作者に提示することができる。
【0170】
また、上記第1~第3実施形態では、X線撮影システムが、画像取得部と、画像処理装置とを、互いに異なる装置として備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図23に示す第1変形例によるX線撮影システム500のように、画像取得部2が、画像処理装置401に含まれるように構成されていてもよい。すなわち、第1変形例によるX線撮影システム500は、X線撮影装置1と、画像取得部2を含む画像処理装置401とを備える。X線撮影装置1は、上記第1~第3実施形態と同様の構成である。また、画像処理装置401は、画像取得部2を含む点を除いて、上記第1および第2実施形態のいずれかによる画像処理装置と同様の構成である。また、画像取得部2は、上記第1および第2実施形態による画像取得部2のいずれかによる画像取得部と同様の構成である。
【0171】
また、上記第1~第3実施形態では、X線撮影装置1と、画像取得部2と、画像処理装置3とが、X線撮影システムに含まれる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図24に示す第2変形例によるX線撮影装置600のように、X線撮影装置600が、画像取得部2と、画像処理部601aおよび画像出力制御部30bを含む制御部601とを備えるように構成されていてもよい。制御部601は、上記第1~第3実施形態による装置制御部12、および、第1および第2実施形態による画像処理装置が備える制御部と同様の構成である。すなわち、制御部601は、上記第1~第3実施形態に示した装置制御部12、および、画像処理装置の制御部の両方の機能を含むように構成されてもよい。この場合、X線撮影装置600は、天板4、天板移動機構5、入力受付部6、および、記憶部31をさらに備えるように構成すればよい。
【0172】
また、上記第1~第3実施形態では、画像処理部が、体動量表示画像42を生成する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。画像処理部は、体動量表示画像42を生成しなくてもよい。しかしながら、画像処理部が体動量表示画像42を生成しない場合、操作者が被検者90の体動を一見して容易に把握することが困難になる。そのため、画像処理部は、体動量表示画像42を生成するように構成されることが好ましい。
【0173】
また、上記第1~第3実施形態では、画像処理部が、第1焦点位置画像41aの輪郭線91aと第2焦点位置画像41bの輪郭線91bとの対応する部分の間の領域の表示態様を異ならせた画像を、体動量表示画像42として生成する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、画像処理部は、第1焦点位置画像41aおよび第2焦点位置画像41bのどちらかの透明度を変化させ、互いの画像を重畳した画像を、体動量表示画像として生成するように構成されていてもよい。
【0174】
また、上記第1実施形態では、第1光学カメラ20aがX線の焦点60を基準としてY1方向側に設けられ、第2光学カメラ20bがX線の焦点60を基準としてY2方向側に設けられる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。X線の焦点60を基準として第1光学カメラ20aと第2光学カメラ20bとが対象となる位置に配置されていれば、第1光学カメラ20aと第2光学カメラ20bとの配置は問わない。たとえば、第1光学カメラ20aがX線の焦点60を基準としてY2方向側に設けられ、第2光学カメラ20bがX線の焦点60を基準としてY1方向側に設けられてもよい。また、第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bがX線の焦点60を基準としてZ方向において対象となる位置に設けられていてもよい。
【0175】
また、上記第1実施形態では、第1光学カメラ20aと第2光学カメラ20bとが、X線照射部10の焦点60を基準として対称な位置となるようにコリメータ10bの筐体10dの外部に設けられる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bは、X線照射部10の近傍の位置であれば、焦点60を基準として対称な位置に配置されていなくてもよい。第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bと、焦点60との位置関係が既知である。したがって、第1光学カメラ20aおよび第2光学カメラ20bが、焦点60を基準として対称な位置に配置されていない場合であっても、算出した視差に対して、各光学カメラ20と焦点60との位置関係に基づいた比率によって第1光学画像40aおよび第2光学画像40bを合成することにより、焦点位置画像41を生成すればよい。
【0176】
また、上記第1~第3実施形態では、説明の便宜上、本発明の画像処理部が焦点位置画像41、および、体動量表示画像42を生成する処理、および、画像出力制御部30bが焦点位置画像41、第1光学画像40aおよび第2光学画像40bを出力する処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、画像処理部が焦点位置画像41、および、体動量表示画像42を生成する処理、および、画像出力制御部30bが焦点位置画像41、第1光学画像40aおよび第2光学画像40bを出力する処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【0177】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0178】
(項目1)
X線撮影装置において被検者の位置決めを行うための画像を生成する画像処理装置であって、
前記X線撮影装置のX線照射部の近傍に配置された少なくとも1つの光学カメラを含む画像取得部と、
前記光学カメラによって撮影された光学画像に基づいて、前記X線照射部の焦点の位置から被検者を撮影した場合と同一の視野の画像であり、かつ、前記X線照射部によってX線が照射される範囲であるX線照射範囲の領域と、前記X線照射範囲の外側の領域とが写る画像である焦点位置画像を生成する画像処理部と、を備える、画像処理装置。
【0179】
(項目2)
少なくとも1つの前記光学カメラは、前記X線照射部が備えるコリメータの筐体の外部に設けられており、
前記画像処理部は、前記コリメータの前記筐体の外部に設けられた前記光学カメラによって撮影された前記光学画像に基づいて、前記焦点位置画像を生成するように構成されている、項目1に記載の画像処理装置。
【0180】
(項目3)
前記光学カメラは、互いに異なる位置に設けられた第1光学カメラおよび第2光学カメラを含み、
前記画像取得部は、前記第1光学カメラによって撮影された前記光学画像である第1光学画像と、前記第2光学カメラによって撮影された前記光学画像である第2光学画像とを取得するように構成されており、
前記画像処理部は、前記第1光学画像と前記第2光学画像とに基づいて、前記焦点位置画像を生成するように構成されている、項目2に記載の画像処理装置。
【0181】
(項目4)
前記第1光学カメラおよび前記第2光学カメラは、前記X線照射部の近傍の位置に配置され、前記第1光学画像および前記第2光学画像を撮影するように構成されており、
前記画像処理部は、前記X線照射部の焦点の位置を基準として、一方側の斜め方向および他方側の斜め方向から撮影された前記第1光学画像および前記第2光学画像に基づいて、前記焦点位置画像を生成するように構成されている、項目3に記載の画像処理装置。
【0182】
(項目5)
前記画像処理部は、前記第1光学カメラの配置情報と、前記第2光学カメラの配置情報とに基づいて、前記第1光学画像と前記第2光学画像とを合成することにより、前記焦点位置画像を生成するように構成されている、項目4に記載の画像処理装置。
【0183】
(項目6)
前記画像処理部は、互いに異なる斜め方向から撮影された複数の前記光学画像から前記X線の焦点の位置から被検者を撮影した場合と同一の視野の画像を生成することを学習させることにより生成された学習済みモデルと、前記第1光学画像と、前記第2光学画像と、に基づいて、前記焦点位置画像を生成するように構成されている、項目3~5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0184】
(項目7)
前記焦点位置画像を表示部に対して出力する制御を行う画像出力制御部をさらに備え、
前記画像出力制御部は、前記焦点位置画像とともに、前記第1光学画像、および、前記第2光学画像のうちの少なくともいずれかを切り替えて前記表示部に出力する制御を行うように構成されている、項目3~6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0185】
(項目8)
前記第1光学カメラは、前記コリメータの前記筐体の内部に配置され、X線の焦点と共役な位置から前記第1光学画像を撮影するように構成されており、前記第2光学カメラは、前記コリメータの前記筐体の外部の位置に配置され、前記第2光学画像を撮影するように構成されており、
前記画像処理部は、X線の焦点と共役な位置から撮影された前記第1光学画像と、前記コリメータの前記筐体の外部から撮影された前記第2光学画像とに基づいて、前記焦点位置画像を生成するように構成されている、項目3~7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0186】
(項目9)
前記画像処理部は、X線の焦点と共役な位置から撮影された前記光学画像に基づいて、前記焦点位置画像のうちの前記X線照射範囲の領域の画像を生成するとともに、前記コリメータの前記筐体の外部から撮影された前記光学画像に基づいて、前記焦点位置画像のうちの前記X線照射範囲外の領域の画像を生成するように構成されている、項目8に記載の画像処理装置。
【0187】
(項目10)
前記画像処理部は、前記焦点位置画像に基づいて取得された被検者の体動量を、前記焦点位置画像において視覚的に識別可能に表示した画像である体動量表示画像を生成するように構成されている、項目1~9のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0188】
(項目11)
X線を照射するX線照射部と、
前記X線照射部によって照射されたX線を検出するX線検出器と、
前記X線照射部の近傍に配置された少なくとも1つの光学カメラを含む画像取得部と、
前記画像取得部によって取得された光学画像に基づいて、前記X線照射部の焦点の位置から被検者を撮影した場合と同一の視野の画像であり、かつ、前記X線照射部によってX線が照射される範囲であるX線照射範囲の領域と、前記X線照射範囲の外側の領域とが写る画像である焦点位置画像を生成する画像処理部と、を備える、X線撮影装置。
【0189】
(項目12)
前記X線照射部から照射されるX線の照射範囲を調整するコリメータをさらに備え、
前記光学カメラは、互いに異なる位置に設けられた第1光学カメラおよび第2光学カメラを含み、
前記第1光学カメラおよび前記第2光学カメラは、前記X線照射部の近傍の位置となるように、前記コリメータの筐体の外部に設けられており、
前記画像取得部は、前記第1光学カメラによって撮影された前記光学画像である第1光学画像と、前記第2光学カメラによって撮影された前記光学画像である第2光学画像とを取得するように構成されており、
前記画像処理部は、前記X線照射部の焦点の位置を基準として、一方側の斜め方向および他方側の斜め方向から撮影された前記第1光学画像および前記第2光学画像に基づいて、前記焦点位置画像を生成するように構成されている、項目11に記載のX線撮影装置。
【0190】
(項目13)
前記X線照射部から照射されるX線の照射範囲を調整するコリメータをさらに備え、
前記光学カメラは、互いに異なる位置に設けられた第1光学カメラおよび第2光学カメラを含み、
前記第1光学カメラおよび前記第2光学カメラのうちの一方は、前記コリメータの筐体の内部において、X線の焦点と共役な位置に設けられており、前記第1光学カメラおよび前記第2光学カメラのうちの他方は、前記コリメータの前記筐体の外部に設けられており、
前記画像処理部は、X線の焦点と共役な位置から撮影された前記光学画像と、前記コリメータの前記筐体の外部から撮影された前記光学画像とに基づいて、前記焦点位置画像を生成するように構成されている、項目11に記載のX線撮影装置。
【0191】
(項目14)
X線を照射するX線照射部と、
前記X線照射部によって照射されたX線を検出するX線検出器と、
前記X線照射部の近傍に配置された少なくとも1つの光学カメラを含む画像取得部と、
前記画像取得部によって取得された光学画像に基づいて、前記X線照射部の焦点の位置から被検者を撮影した場合と同一の視野の画像であり、かつ、前記X線照射部によってX線が照射される範囲であるX線照射範囲の領域と、前記X線照射範囲の外側の領域とが写る画像である焦点位置画像を生成する画像処理部と、を備える、X線撮影システム。
【符号の説明】
【0192】
1、600 X線撮影装置
2、302 画像取得部
3、201、301、401、501 画像処理装置
10 X線照射部
10b コリメータ
10d 筐体(コリメータの筐体)
11 X線検出器
13 表示部
20 光学カメラ
20a 第1光学カメラ
20b 第2光学カメラ
30a、230a、330a、430a、501a 画像処理部
30b 画像出力制御部
40 光学画像
40a 第1光学画像
40b 第2光学画像
41 焦点位置画像
42 体動量表示画像
50 第1光学カメラの配置情報
51 第2光学カメラの配置情報
52 学習済モデル
60 焦点(X線の焦点)
63 X線照射範囲
90 被検者
100、200、300、400、500 X線撮影システム
図1
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