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  • 特開-法務相談システム 図1
  • 特開-法務相談システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012600
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】法務相談システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/18 20120101AFI20250117BHJP
【FI】
G06Q50/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115543
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】517299951
【氏名又は名称】GVA TECH株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 俊
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC32
5L050CC32
(57)【要約】
【課題】法務担当者のアサインを効率化すること
【解決手段】本発明は、現場担当者端末と、法務担当者端末と、法務相談サーバとを含む法務相談システムにおいて、現場担当者と法務担当者との相談履歴を記憶するステップと、現場担当者からの依頼リクエストを受け付けるステップと、当該依頼リクエストの内容を分析するステップと、前記分析の結果に基づいて法務担当者を特定するステップと、を含んでいる。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現場担当者端末と、法務担当者端末と、法務相談サーバとを含む法務相談システムにおいて、
現場担当者と法務担当者との相談履歴を記憶するステップと、
現場担当者からの依頼リクエストを受け付けるステップと、
当該依頼リクエストの内容を分析するステップと、
前記分析の結果に基づいて法務担当者を特定するステップと、
を含む法務相談システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、法務相談システムに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる法務分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)技術として、契約書の審査業務を支援する技術(例えば特許文献1乃至特許文献3)が開示されている。一方、法務担当者同士のコミュニケーションを円滑に行うための技術も開示されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-013524号公報
【特許文献2】特開2021-174474号公報
【特許文献3】特開2021-117844号公報
【特許文献4】特開2020-166870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、実際の企業内においては法務担当者の依頼者に対するやりとりを効率化することが重要である。たとえば、現場担当者から相談依頼があったときに、当該案件のアサインに時間がかかっているという実態がある。このアサインまでの時間が長期化するほど、案件の完了までのリードタイムが伸びてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、法務担当者のアサインを効率化することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[項目1]
現場担当者端末と、法務担当者端末と、法務相談サーバとを含む法務相談システムにおいて、
現場担当者と法務担当者との相談履歴を記憶するステップと、
現場担当者からの依頼リクエストを受け付けるステップと、
当該依頼リクエストの内容を分析するステップと、
前記分析の結果に基づいて法務担当者を特定するステップと、
を含む法務相談システムが得られる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、法務担当者のアサインを効率化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態による法務相談システムの構成例を示す図である。
図2】本発明の処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、以下のような構成を備える。
[項目2]
現場担当者端末と、法務担当者端末と、法務相談サーバとを含む法務相談システムにおいて、
現場担当者と法務担当者との相談履歴を記憶するステップと、
現場担当者からの依頼リクエストを受け付けるステップと、
当該依頼リクエストの内容を分析するステップと、
前記分析の結果に基づいて法務担当者を特定するステップと、
を含む法務相談システム。
【0010】
<実施の形態の詳細>
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
<概要>
図1に示されるように、本発明の実施の形態による法務相談システム(以下「システム」と呼ぶ)は、法務相談サーバと、法務担当者端末(法務一次担当者端末及び法務二次担当者端末を合わせて「法務担当者端末」と呼ぶ。)と、現場担当端末とを備えている。本実施の形態における依頼者は、社内の全部門における何らかの依頼を行う可能性のある者であればよい。例えば、開発部門が業務委託契約を締結するにあたって、契約書の審査業務を法務部門に依頼する場合に限られず、例えば、マーケティング部門が景品表示法の相談を行ったり、全社員が人事労務部に対して労務に関する依頼を行うこととしてよい。
【0012】
本発明は、法務相談システムにおける担当者アサインに関する問題を解決するためのものである。具体的には、過去の相談の傾向から最適な法務担当者を自動的にアサインするという技術を提供する。現行の法務相談業務では、相談の内容に適した法務担当者を見つけ出しアサインするまでに時間を要している。この時間を短縮することで、法務相談全体の効率が大幅に向上し、迅速な問題解決が可能となる。
【0013】
以下、本発明の構成要素について具体的に説明する。
【0014】
<ステップ1>
本システムは、
本発明では、各依頼リクエストの案件難易度と法務担当者の実力値、案件の納期と法務担当者の現在の案件埋まり具合といった要素が考慮される。アサインは、これらの要素の組み合わせとバランスに基づいて行われる。つまり、依頼リクエストの難易度が高い場合や、納期が短い場合は、より高い実力値を持つ、または現在の案件が少ない法務担当者にアサインされる可能性がある。システムは、これらの内容を含む過去の相談履歴を記憶している。この相談履歴は、相談の主題、所要時間、解決までのステップ、法務担当者の専門分野など、さまざまな要素を含む。これにより、過去の事例を分析し、その傾向を把握することが可能となる。
【0015】
なお、副次的に、このプロセスを通じて、依頼リクエストごとに案件難易度のラベルが担当者に自動的に付与され、法務担当者ごとに実力値が算出される。したがって、これらのデータは、案件の難易度の自動ラベル付けの基礎となると同時に、法務担当者の人事評価の基礎資料としても利用することができる。これにより、法務業務の効率化だけでなく、人事評価の公正性や透明性も向上する可能性がある。
【0016】
以下、本ステップにおいて、現場担当者と法務担当者との間で行われた過去の相談履歴を記憶する場合を例にとって説明する。具体的には、この相談履歴は、相談の概要、法務担当者の専門分野、相談に要した時間、解決までのステップ数、結果となった法的アドバイスなど、様々な要素を含むものである。
【0017】
さらに、相談履歴は具体的な内容だけでなく、法務担当者のスキルセットや経験値、相談対応能力も含んでいてもよい。例えば、特定の法規制や法令に関する知識、特定の産業や業種に対する理解度、法的問題解決に対するアプローチ方法などがこれに該当する。また、相談者の満足度やフィードバック、相談の解決までの迅速さなど、相談の品質を反映する指標も記録されていてもよい。
【0018】
本システムは法務担当者端末と法務相談サーバとを含む構成を有している。これにより、現場担当者と法務担当者との間で行われる全ての相談は、法務担当者端末を介して記録され、法務相談サーバに記憶される。具体的には、法務担当者端末は、個々の法務担当者が使用する電子機器であってもよく、これにはパソコン、タブレット、スマートフォンなどが含まれる。この端末を通じて、法務担当者は相談の過程をリアルタイムで記録し、それらの情報はサーバに蓄積される。記録形式はテキストベースであってもよく、音声や映像による記録であってもよい。
【0019】
一方、法務相談サーバは、記録された相談のデータを集中管理するためのコンピュータサーバである。このサーバはクラウドベースであってもよく、その場合、適切なセキュリティ対策が施されていてもよい。サーバは相談データを構造化し、検索可能な形式に整理する。このデータベースは、機械学習アルゴリズムによる分析のための情報源となる。
【0020】
<ステップ2>
このステップでは、本システムが現場担当者からの依頼リクエストを受け付ける。この依頼リクエストは、相談の主題、現在直面している具体的な問題、期待される解決策、それに対する時間的な期限など、必要な情報を包含している。
【0021】
依頼リクエストは、相談の複雑さや緊急性、現場担当者のスキルセットや経験、法的知識についても情報を提供していてもよい。さらに、依頼リクエストは、それまでの問題解決の取り組みや、それらの取り組みがなぜ不十分であったのかについての情報を含むことも可能である。
【0022】
現場担当者は、専用のユーザインターフェースを通じて依頼リクエストを作成し、送信する。このユーザインターフェースはウェブベースであってもよく、または専用のアプリケーションであってもよい。依頼リクエストの作成は、テキスト入力や音声入力、または適切なテンプレートやフォームを使用して行うこともできる。
【0023】
法務相談サーバは、受信した依頼リクエストを分析するための情報として収集し、保存する。サーバはリクエストをそのままの形式で保存するだけでなく、必要に応じて構造化することもできる。これは、後のステップでの分析を容易にするためである。
【0024】
<ステップ3>
このステップでは、本システムが受け付けた依頼リクエストの内容を詳細に分析する。この分析は、依頼リクエストに含まれる情報を理解し、最適な法務担当者を特定するための基盤を形成する。
【0025】
具体的には、分析は依頼の主題、問題の複雑さ、期待される解決策、期限など、リクエストに含まれる各要素に対して行われる。また、現場担当者の経験やスキルセット、先行する問題解決の試み、その不十分さの理由など、リクエストが含む可能性のある追加の情報も考慮に入れられる。
【0026】
分析は、一部またはすべてが自動化されていてもよく、その場合、自然言語処理(NLP)、テキストマイニング、機械学習などの技術が利用される。分析の結果は、依頼リクエストの理解を深め、最適な法務担当者の特定に役立つ情報を提供する。
【0027】
具体的には、法務相談サーバは、前述したような分析を行うための機能を備えている。このサーバは高度な計算能力と大量の記憶容量を持つものであってもよい。また、依頼リクエストの分析は、機械学習モデルやアルゴリズムを利用して行われていてもよい。その場合、サーバは適切なモデルやアルゴリズムを選択し、リクエストの情報を入力として使用する。
【0028】
一方、法務担当者端末は、依頼リクエストの内容を表示し、法務担当者が手動で分析を補完または確認することを可能にする。具体的には、端末は分析結果を視覚化し、関連する情報をハイライトする機能を有していてもよい。
【0029】
ステップ4:前記分析の結果に基づいて法務担当者を特定する
最後に、システムは分析結果に基づいて最適な法務担当者を特定する。これは過去の相談履歴とリクエストの内容をマッチングすることで行われ、専門分野、過去の成功率、解決までの所要時間などの要素が考慮される。
【0030】
詳しくは、このステップでは、本システムが依頼リクエストの内容を分析した結果に基づいて最適な法務担当者を特定する。特定される法務担当者は、依頼リクエストに記載された問題の解決を最も適切に行うことができる能力を有する者である。
【0031】
特定の根拠としては、案件のカテゴリ、契約の種類、立場、雛形の帰属、使用されている言語、法律相談の種類、依頼を行う部署、契約書のページ数、希望納期、現在メンバーが抱えている案件量等を考慮することができる。これらの情報は、それぞれが法務担当者の適性を左右する要素となり、全て合わせて考慮することで最適な法務担当者の特定が可能となる。
【0032】
本システムは、法務担当者端末と法務相談サーバを含む構成を有していることで、依頼リクエストの分析結果に基づいて最適な法務担当者を効率的に特定することが可能である。
【0033】
具体的には、法務相談サーバは、前述したような特定の根拠を考慮に入れたアルゴリズムを用いて、法務担当者を特定する。このアルゴリズムは、例えば、各法務担当者のスキルセット、経験、専門知識、現在のワークロード、過去の業績等の情報に基づいて選択を行うものであってもよい。
【0034】
一方、法務担当者端末は、特定された法務担当者に通知を行う。この通知は、メール、アプリ内通知等の形式をとることができる。さらに、端末は特定された法務担当者に依頼リクエストの詳細を表示し、必要なアクションを促すことができる。
【0035】
また、法務担当者端末は、特定の法務担当者が利用可能な状態であるかどうかを確認するための機能を有していてもよい。これにより、アサインされた法務担当者がリクエストに即時に対応できることが確認される。
【0036】
本実施の形態による法務担当者のアサインは、各法務担当者の過去のパフォーマンスと各依頼の特性を学習し、新たな依頼が入った際に最適な法務担当者を予測することとしてもよい。この方法では、決定木、ランダムフォレスト、サポートベクターマシンなどの教師あり学習アルゴリズムが使用されていてもよい。
【0037】
また、過去の依頼リクエストと法務担当者の対応履歴から、類似の依頼に対して誰が最適に対応したかを判断する手法を採用することとしてもよい。これは通常、推奨システムで使用される技術だが、このシステムにも応用することが可能である。
【0038】
更に、自然言語処理(NLP)と意味分析を行うこととしてもよい。たとえば、依頼内容のテキストから、最適な法務担当者を決定するためのキーワードやフレーズを抽出する。この方法では、TF-IDFやword2vecなどのベクトル化手法、トピックモデリングなどの意味分析技術が使用されていてもよい。
【0039】
オペレーションリサーチ(OR)と最適化の考え方に基づいてアサインすることとしてもよい。たとえば、複数の制約(法務担当者のスキル、専門知識、現在のワークロードなど)を考慮した上で、全体の効率を最適化するための法務担当者の割り当てを求める。この方法では、線形プログラミングや整数プログラミングなどの最適化技術が使用されていてもよい。
【0040】
以上のような多種多様な手法を組み合わせることにより、本システムはより精緻で高度な法務担当者の特定が可能となり、その結果、全体の効率性を向上させることができる。
【0041】
以上のように、本システムは依頼リクエストの内容を分析した結果に基づき、さまざまな要素を考慮に入れて最適な法務担当者を特定し、その人物に通知を行うことで、法務相談の効率化を実現する。
【0042】
<変形例1 複数法務担当者のアサイン>
本システムは、法務担当者の複数人が共同して相談に対応する場合にも適用化のである。その場合、本システムは以下のような構成要素を有することができる。
【0043】
<ステップ1>
本ステップでは、システムは複数の法務担当者と現場担当者との相談履歴を保存する。これにより、各法務担当者の専門性や、前回の案件におけるパフォーマンスなどが把握される。
【0044】
<ステップ2>
依頼リクエストは、現場担当者から受け付けられ、システムに登録される。依頼リクエストには、相談の詳細情報、期待される解決策、希望納期などが含まれていてもよい。
【0045】
<ステップ3>当該依頼リクエストの内容を分析し、必要なスキルセットを特定する
システムは依頼リクエストの内容を解析し、問題解決に必要なスキルセットを特定する。これは、例えば、自然言語処理(NLP)のテクニックを用いて、テキストから重要なキーワードやフレーズを抽出することによって達成される。
【0046】
<ステップ4>
本ステップでは、ステップ3で特定されたスキルセットに基づき、複数の法務担当者が特定される。このプロセスでは、複数の法務担当者が必要なスキルセットを補完し合うように選ばれる。これにより、各法務担当者が自身の専門分野で寄与し、効率的なチームワークを実現する。
【0047】
<ステップ5>
ステムは特定された複数の法務担当者に対して、依頼リクエストの詳細を通知し、それぞれの担当分野を明確にする。
以上の構成要素により、複数の法務担当者が共同で相談に対応する場合でも本システムが採用可能となる。
【0048】
<変形例2 一次担当者から二次担当者への変更のアサイン>
本システムは、一つの相談に対して、法務一次担当者から法務二次担当者に担当変更をすることとしてもよい。この場合、本システムは以下のような構成要素を有することができる。
【0049】
<ステップ1>
現場担当者と法務一次担当者、法務二次担当者との相談履歴を記憶する
本ステップでは、現場担当者と法務一次担当者、法務二次担当者との相談履歴をシステムが記憶する。このデータは、最適な担当者の割り当てに利用される。
【0050】
<ステップ2>
依頼リクエストが現場担当者から受け入れられ、システムによって最初に適切とされた法務一次担当者に割り当てられる。
【0051】
<ステップ3>
システムは依頼リクエストの進行状況と内容を定期的に分析し、法務一次担当者の対応状況を把握する。この分析には、リクエストの対応状況、達成度、一次担当者のフィードバックなどが含まれていてもよい。
【0052】
<ステップ4>
一次担当者が対応困難であると判断された場合、または案件の進行に伴って新たな専門性が必要となった場合など、システムは二次担当者の割り当てが必要であると判断する。この判断は、一次担当者のフィードバックやシステムの自動分析に基づいていてもよい。
【0053】
<ステップ5>
ステップ4の判断に基づき、法務二次担当者が特定され、依頼リクエストが割り当てられる。このプロセスでは、二次担当者の選定にあたり、各担当者の専門知識、経験、過去の対応履歴などが考慮される。
以上の構成要素により、法務一次担当者から法務二次担当者への担当変更が必要となった場合にも、本システムは効率的にこれを実現可能である。
【0054】
<変形例3 社外専門家や他の事業部門担当等どのアサイン>
本システムは、相談に対して社外の専門家や他の事業部門担当等に担当変更(アドバイスのリクエスト)することとしてもよい。この場合、本システムは以下のような構成要素を有することができる。
【0055】
<ステップ1>
現場担当者と法務担当者との相談履歴、そして社外の専門家や他の事業部門担当との以前の相談履歴も含めて記憶する。社外の専門家との相談履歴は、顧問弁護士や外部コンサルタント、専門的な機関や団体等との相談の結果、相談に対する評価、相談に要した費用などの情報を含んでいてもよい。他の事業部門担当との相談履歴は、相談の種類、相談の結果、各担当者の対応時間や対応内容、その他の関連情報等を含んでいてもよい。
【0056】
<ステップ2>
現場担当者からの依頼リクエストを受け付ける。このリクエストは、法務一次担当者だけでなく、必要に応じてこの時点で顧問弁護士やその他の専門家、又は他の事業部門担当等にも送られてもよい。
【0057】
<ステップ3>
当該依頼リクエストの内容を分析する。この分析は、リクエストが内部の法務担当者で解決可能なものか、あるいは外部の専門家の知識や技術が必要なものか、他の部署の担当が必要かどうかを判断するために行われる。
【0058】
<ステップ4>
前記分析の結果に基づいて法務担当者を特定する。このステップでは、必要に応じて社外の専門家や他の事業部門担当も選択肢として考慮される。
【0059】
<ステップ5>
指定された法務担当者、社外専門家、他の事業部門担当これらの一部又は全ての者に依頼リクエストを通知する。このステップでは、依頼リクエストとその詳細が関連する担当者に配信される。」
【0060】
これらの調整により、システムは外部の専門家の知識と技術や他の事業部門担当の知識や経験を利用することで、より広範かつ複雑な法務問題に対応する能力を有することになる。
【0061】
<変形例4 依頼者での単独対応判定>
本システムは、依頼者が法務担当者に対応してもらうことなく、依頼者が自分で対応しても良い案件相談に対してその旨の情報を提供する(即ち、法務担当者をアサインしない)こととしてもよい。この場合、本システムは以下のような構成要素を有することができる。
【0062】
<ステップ1>
現場担当者と法務担当者との相談履歴を記憶する。これには、依頼者が自分で解決可能だった以前の案件に関する情報も含まれる。
【0063】
<ステップ2>
現場担当者からの依頼リクエストを受け付ける。依頼者はリクエストの内容を詳細に記述し、その内容に基づいてシステムはリクエストの解決に必要な専門性のレベルを評価する。
【0064】
<ステップ3>
当該依頼リクエストの内容を分析する。この分析は、リクエストが法務担当者の介入を必要とするものか、それとも依頼者自身で解決可能なものかを判断するために行われる。
【0065】
<ステップ4>
前記分析の結果に基づいて法務担当者を特定する、あるいは依頼者自身に解決を任せる旨の情報を発行する。このステップは、リクエストの内容、過去の相似案件の解決方法、依頼者の能力や知識等に基づいて行われる。なお、依頼者自身に解決を任せる場合には、例えば、類似の法的問題や状況に対処した過去の事例、法的な要求に対処するための一般的な手順またはフローチャート、使用可能な内部および外部の人的なリソース、関連法規、自己解決のリスクと解決可能性に関するアドバイス情報を提供することとしてもよい。
【0066】
<ステップ5>
アサインされた法務担当者、あるいは依頼者自身に解決を任せる旨の情報を通知する。このステップでは、依頼リクエストとその詳細、そして適切なアクション(法務担当者のアサインまたは自己解決の推奨)が関連する担当者に配信される。」
【0067】
このように、システムは潜在的な依頼者の能力と知識を最大限に活用し、法務担当者の時間とリソースを最適に分配することが可能となる。
<その他の変形例>
本システムは、相談内容が変更される場合にも採用可能である。たとえば、現場担当者が提出した依頼リクエストの内容が、相談が進行するにつれて変更されることがあり得る。その場合、システムは新たに変更された相談内容を分析し、必要に応じて新たな法務担当者を割り当てることとしてもよい。
【0068】
また、緊急性が高い依頼リクエストに対しても採用可能である。一般に、全ての依頼リクエストが同等の優先度を持つとは限らない。そのため、緊急性が高いリクエストが存在する場合、システムはその緊急性を判断し、優先的に対応することが可能な法務担当者を割り当てることとしてもよい。
【0069】
<ハードウェア構成例>
本システムは、インターネットによって互いに通信可能に構成された法務案件管理サーバと、法務担当端末と、契約担当端末とを備えている。なお、本システムは、所定の事業者が提供するクラウド型/ネットワーク型のシステム構成としてもよいし、システム導入企業内で独立して運用されるオンプレミス型のシステム構成としてもよい。
【0070】
なお、上述した機能ブロックのそれぞれは、例えばサーバ装置(端末装置)に備えられたハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロックは、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0071】
<産業上の利用分野>
本発明は、依頼者と法務担当者とに利用されるものに限られない。法務案件については、契約書審査業務、契約書新規作成業務、法律事項の一般相談業務等が例示できる。また、法務以外の部門(例えば、人事労務部門、経理部門、管理部門、営業部門、開発部門、マーケティング部門等)に対して、その部門特有の業務依頼や相談依頼を本発明を利用して行うこととしてもよい。更には、社内と社外(例えば、法律事務所、会計事務所、税理士事務所、社労士事務所、特許事務所等)との何らかの業務依頼や相談依頼に利用することも可能である。
【0072】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。

図1
図2