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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012611
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】水性フレキソインキ及びその印刷物
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/03 20140101AFI20250117BHJP
   C09D 11/08 20060101ALI20250117BHJP
   B41M 1/30 20060101ALI20250117BHJP
   B41M 1/04 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
C09D11/03
C09D11/08
B41M1/30 D
B41M1/04
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115558
(22)【出願日】2023-07-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2025-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】関根 秀和
【テーマコード(参考)】
2H113
4J039
【Fターム(参考)】
2H113AA03
2H113AA06
2H113BA01
2H113BB02
2H113BB07
2H113BB08
2H113BB10
2H113BB22
2H113BC01
2H113BC10
2H113DA03
2H113DA04
2H113DA25
2H113DA33
2H113DA35
2H113DA45
2H113DA46
2H113DA53
2H113EA10
2H113EA19
2H113FA43
4J039AB01
4J039AB02
4J039AB08
4J039AD09
4J039BA04
4J039BA15
4J039BA16
4J039BA21
4J039BA30
4J039BB01
4J039BC07
4J039BC35
4J039BC37
4J039BE01
4J039BE22
4J039BE30
4J039CA06
4J039EA29
4J039EA43
4J039EA44
4J039EA48
4J039GA09
(57)【要約】
【課題】本発明は、耐折り曲げ性、耐乾燥性、印刷濃度、及び経時安定性に優れる水性フレキソインキを提供すること。
【解決手段】
多糖類(A1)、多糖類を付加したスチレンアクリル樹脂(A2)、及び水性ロジン樹脂(B)からなる群より選択される少なくとも1種と、尿素系化合物とを含有し、前記尿素系化合物が、一般式(1)で表される化合物である、水性フレキソインキ。[一般式(1)中、Rは、酸素原子又は硫黄原子を表す。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~4のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数6~9のアリール基を表す。ただし、RとRとが、炭素数1~3のアルキレン基を介して環を形成してもよい。]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多糖類(A1)、多糖類を付加したスチレンアクリル樹脂(A2)、及び水性ロジン樹脂(B)からなる群より選択される少なくとも1種と、尿素系化合物とを含有し、
前記尿素系化合物が、下記一般式(1)で表される化合物である、水性フレキソインキ。
一般式(1)
【化1】
[一般式(1)中、Rは、酸素原子又は硫黄原子を表す。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~4のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数6~9のアリール基を表す。ただし、RとRとが、炭素数1~3のアルキレン基を介して環を形成してもよい。]
【請求項2】
更に、体質顔料を含む、請求項1に記載の水性フレキインキ。
【請求項3】
多糖類が、マルトデキストリン、カラギナン、キサンタンガム、アラビアガム、ペクチン、グァーガム、プルラン、グリコーゲン、セルロース、デンプン、及びデンプン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の水性フレキインキ。
【請求項4】
尿素系化合物と多糖類(A1)との質量比率が10:90~75:25である、請求項1又は2に記載の水性フレキソインキ。
【請求項5】
尿素系化合物と多糖類を付加したスチレンアクリル樹脂(A2)との質量比率が、5:95~70:30である、請求項1又は2に記載の水性フレキソインキ。
【請求項6】
尿素系化合物と水性ロジン樹脂(B)との質量比率が、5:95~70:30である、請求項1又は2に記載の水性フレキソインキ。
【請求項7】
水性ロジン樹脂(B)が、水溶性ロジン樹脂及び/又は水性ロジンエマルジョンを含む、請求項1又は2に記載の水性フレキソインキ。
【請求項8】
多糖類を付加したスチレンアクリル樹脂(A2)の固形分酸価が、15~100mgKOH/gである、請求項1又は2に記載の水性フレキソインキ。
【請求項9】
更に、水性スチレンアクリル樹脂(C)を含む、請求項1又は2に記載の水性フレキソインキ。
【請求項10】
基材上に、請求項1又は2に記載の水性フレキソインキにより形成された印刷層を有する印刷物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性フレキソインキ及びその印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パッケージ用途としての水性フレキソ印刷では、高細線のアニロックスロールを用い、低塗布量のインキでフレキソ印刷するケースが増えている。インキが低塗布量であると、版上でインキ塗膜が乾きやすくなる結果、フレキソ版やアニロックスロールなど印刷機設備の汚れが落ちにくい問題があり、インキの塗布量が少なくても乾燥しにくいよう耐乾燥性が要求される。特に、水性アクリル樹脂を含む水性フレキソインキ組成物では、樹脂の溶解性に起因してフレキソ版の洗浄性の悪化が顕著である。また一般に、水性フレキソインキ組成物においては、経時安定性、印刷濃度、及び耐折り曲げ性を要求される。
【0003】
特許文献1には、バインダー樹脂として、ロジン系樹脂エマルジョン及び/又はロジン系樹脂の揮発性塩基性化合物による中和物を使用した水性フレキソインキが開示されている。しかしながら、水性樹脂を中和して水溶化するためのアンモニア等の使用量が多いため、塗膜乾燥性及び経時安定性が不良である懸念がある。
特許文献2には、バインダー樹脂として水性アクリル樹脂エマルジョンを使用し、尿素又は尿素誘導体を含むインキが開示されている。また、特許文献3及び4には、バインダー樹脂として、スチレン-(メタ)アクリル系共重合体及び多糖類をそれぞれ有するか、又は、変性した多糖類を付加したスチレン-(メタ)アクリル系共重合体水性アクリル樹脂エマルジョンを使用した水性リキッドインキが開示され、特許文献3には再溶解性及び版洗浄性が記載されている。しかしながら、特許文献3に記載の再溶解性及び版洗浄性とは、乾燥塗膜のインキ又は水に対する溶解性の評価であるため本発明における耐乾燥性と異なる。また、特許文献3及び4に記載されたインキには、尿素系化合物が含まれておらず、耐乾燥性及び経時安定性等の物性バランスが不十分であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-108529号公報
【特許文献2】特表平6-503370号公報
【特許文献3】特開2021-167377号公報
【特許文献4】特開2022-096161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、優れた耐乾燥性及び経時安定性を両立し、さらに、水性フレキソインキに求められる、耐折り曲げ性、及び印刷濃度に優れる水性フレキソインキを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は前記課題に対して鋭意研究を重ねた結果、以下に記載の包装材を用いることで上記課題を解決することを見出し、本発明を成すに至った。
【0007】
すなわち本発明は、多糖類(A1)、多糖類を付加したスチレンアクリル樹脂(A2)、及び水性ロジン樹脂(B)からなる群より選択される少なくとも1種と、尿素系化合物とを含有し、
前記尿素系化合物が、下記一般式(1)で表される化合物である、水性フレキソインキに関する。
一般式(1)
【化1】
[一般式(1)中、Rは、酸素原子又は硫黄原子を表す。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~4のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数6~9のアリール基を表す。ただし、RとRとが、炭素数1~3のアルキレン基を介して環を形成してもよい。]
【0008】
本発明は、更に、体質顔料を含む、前記水性フレキインキに関する。
【0009】
本発明は、多糖類が、マルトデキストリン、カラギナン、キサンタンガム、アラビアガム、ペクチン、グァーガム、プルラン、グリコーゲン、セルロース、デンプン、及びデンプン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記水性フレキインキに関する。
【0010】
本発明は、尿素系化合物と多糖類(A1)との質量比率が10:90~75:25である、前記水性フレキインキに関する。
【0011】
本発明は、尿素系化合物と多糖類を付加したスチレンアクリル樹脂(A2)との質量比率が、5:95~70:30である、前記水性フレキインキに関する。
【0012】
本発明は、尿素系化合物と水性ロジン樹脂(B)との質量比率が、5:95~70:30である、前記水性フレキインキに関する。
【0013】
本発明は、水性ロジン樹脂(B)が、水溶性ロジン樹脂及び/又は水性ロジンエマルジョンを含む、前記水性フレキインキに関する。
【0014】
本発明は、多糖類を付加したスチレンアクリル樹脂(A2)の固形分酸価が、15~100mgKOH/gである、前記水性フレキインキに関する。
【0015】
本発明は、更に、水性スチレンアクリル樹脂(C)を含む、前記水性フレキインキに関する。
【0016】
本発明は、基材上に、前記水性フレキソインキにより形成された印刷層を有する印刷物に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、耐折り曲げ性、耐乾燥性、印刷濃度、及び経時安定性に優れる水性フレキソインキを提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の水性フレキソインキについて詳細に説明する。
【0019】
[水性フレキソインキ]
本発明は、多糖類(A1)、多糖類を付加したスチレンアクリル樹脂(A2)、及び水性ロジン樹脂(B)からなる群より選択される少なくとも1種と、尿素系化合物とを含有し、
前記尿素系化合物が、下記一般式(1)で表される化合物である、水性フレキソインキである。
一般式(1)
【化2】
[一般式(1)中、Rは、酸素原子又は硫黄原子を表す。RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~4のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数6~9のアリール基を表す。ただし、RとRとが、炭素数1~3のアルキレン基を介して環を形成してもよい。]
【0020】
多糖類(A1)、多糖類を付加したスチレンアクリル樹脂(A2)、及び水性ロジン樹脂(B)からなる群より選択される少なくとも1種と、尿素系化合物とを含有することで、(1)多糖類由来のOH基及び/又は水性ロジン樹脂(B)由来のカルボキシル基と、尿素系化合物とが水素結合ネットワークを形成することにより、印刷による塗膜形成時に当該ネットワークが水を効率的に捕集することで乾燥速度が低下し、(2)塗膜形成後に塗膜の凝集力が向上する効果があるため、耐折り曲げ性、耐乾燥性、印刷濃度、及び経時安定性に優れる。なお、上記推測は何ら発明を限定するものではない。また、多糖類(A1)及び/又は多糖類を付加したスチレンアクリル樹脂(A2)と、水性ロジン樹脂(B)とを含有することが好ましい。
【0021】
本発明は、更に、体質顔料を含むことが好ましい。体質顔料を含むことにより、体質顔料の表面にも水を吸着することができ、また、隠蔽性を向上させることにより優れた耐乾燥性及び印刷濃度を実現することができる。
【0022】
(多糖類(A1))
本発明に用いられる多糖類は特に限定されないが、例えば、マルトデキストリン、カラギナン、キサンタンガム、アラビアガム、ペクチン、グァーガム、プルラン、グリコーゲン、セルロース、デンプン、デンプン誘導体等が挙げられ、デンプン、セルロース、マルトデキストリンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0023】
水性フレキソインキ中の多糖類(A1)の含有量は、水性フレキソインキ総質量中、0.1~15質量%であることが好ましく、1~10質量%であることがより好ましく、3~7質量%であることが更に好ましい。水性フレキソインキは、多糖類(A1)を含むバインダー成分の固形分の含有量の合計が、水性フレキソインキ総質量中、3~30質量%であることが好ましく、7~30質量%であることがより好ましく、10~20質量%であることが更に好ましい。
【0024】
(多糖類を付加したスチレンアクリル樹脂(A2))
本発明に用いられる、多糖類を付加したスチレンアクリル樹脂(A2)は、水に溶解または分散可能な水性樹脂であり、上記多糖類由来の構成部分、及びスチレンアクリル樹脂(a)由来の構成部分を含んでいればよく、以下に限定されないが、多糖類由来の構成部分とスチレンアクリル樹脂(a)由来の構成部分とのブロック重合体や、コアシェル構造体等が挙げられる。
【0025】
前記樹脂(A2)の酸価は、30~150mgKOH/gであることが好ましく、40~120mgKOH/gであることがより好ましく、40~100mgKOH/gであることが更に好ましい。樹脂(A2)の重量平均分子量は1500~1500000であることが好ましく、5000~1000000であることがより好ましく、1000~50000であることが更に好ましい。多糖類とスチレンアクリル樹脂との質量比率は、5:95~95:5であることが好ましい。前記樹脂(A2)のガラス転移温度は、-20~130℃であることが好ましく、0~110℃であることがより好ましく、20~90℃であることが更に好ましい。
【0026】
水性フレキソインキ中の前記樹脂(A2)の含有量は、水性フレキソインキ総質量中、10~50質量%であることが好ましく、12~40質量%であることがより好ましく、15~35質量%であることが更に好ましい。
【0027】
<スチレンアクリル樹脂(a)>
上記スチレンアクリル樹脂(a)は、水に溶解または分散可能なスチレンアクリル共重合樹脂であればよく、水溶性スチレンアクリル樹脂(a-1)及び/又は水性スチレンアクリルエマルジョン樹脂(a-2)を含む。
【0028】
《水溶性スチレンアクリル樹脂(a-1)》
本発明における水溶性スチレンアクリル樹脂は、アクリルモノマーとスチレンモノマーを含むモノマーを有機溶剤中で溶液重合した後、脱溶剤をして固形樹脂をアルカリ条件下で溶解させたスチレン-アクリル共重合樹脂を指す。
【0029】
上記アクリルモノマーとしては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどが好適に挙げられる。例えば、アクリル酸エステルとしてはメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシロピルアクリレート、グリシジルアクリレートが挙げられ、メタクリル酸エステルとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレートが挙げられる。
また、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などのカルボン酸含有モノマー、又はそれらの無水物やハーフエステルも用いることができる。
これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
上記の中でも、アクリルモノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸を含むことが好ましい。
【0031】
また、水溶性スチレンアクリル樹脂(a-1)は、アクリルモノマーとスチレンモノマーを共重合して得られた水溶性スチレン-アクリル共重合樹脂であることが好ましく、構成するスチレンモノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレンなどが例示される。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、スチレンモノマーは、α-メチルスチレンを含むことが好ましい。
【0032】
《水性スチレンアクリル樹脂エマルジョン(a-2)》
本発明における水性スチレンアクリル樹脂エマルジョン(a-2)は、水系において不溶あるいは難溶であるが、界面活性剤などで分散安定化されているスチレンアクリル樹脂を指す。構成するスチレンモノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレンなどが例示される。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、スチレンモノマーは、α-メチルスチレンを含むことが好ましい。
【0033】
なお、水性スチレンアクリル樹脂エマルジョン(a-2)は酸基を有することが好ましく、酸基は、塩基性化合物で中和されていることが好ましい。当該塩基性化合物として、例えば、アミン化合物、アルカリ金属が好適に挙げられる。
【0034】
上記アミン化合物としては、例えば、アンモニア;ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン等のアルキルアミン;モノエタノールアミン、エチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンが挙げられる。上記アルカリ金属としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
水性スチレンアクリル樹脂エマルジョン(a-2)を構成するアクリルモノマーとしては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどが好適に挙げられ、例えば、アクリル酸エステルとしてはメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシロピルアクリレート、グリシジルアクリレートが挙げられ、メタクリル酸エステルとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレートが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
また、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などのカルボン酸含有モノマー、又はそれらの無水物やハーフエステルも用いることができる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
上記の中でも、アクリルモノマーは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸を含むことが好ましい。
【0038】
前記樹脂(A2)は市販品を使用することができ、例えば、星光PMC社製 PE-2027,PE-2189等が挙げられる。
【0039】
(水性ロジン樹脂(B))
本発明において、水性ロジン樹脂(B)とは、水に溶解または分散可能なロジン樹脂をいい、水溶性ロジン樹脂及び水性ロジンエマルジョンを含む。水溶性ロジン樹脂としては、マレイン化ロジンをアルカリ条件下で溶解させたロジン樹脂を指す。水性ロジンエマルジョンとしては、ロジン誘導体を乳化剤の存在下で、微細な粒子として水に分散させたロジン樹脂を指す。水性ロジン樹脂(B)の酸価は、0~350mgKOH/gであることが好ましい。水性ロジン樹脂(B)の軟化点は、80~200℃であることが好ましい。
【0040】
水性フレキソインキ中の水性ロジン樹脂(B)の含有量は、水性フレキソインキ総質量中、0.1~20質量%であることが好ましく、1~15質量%であることがより好ましく、3~8質量%であることが更に好ましい。
【0041】
<水溶性ロジン樹脂>
水溶性ロジン樹脂としては、100~350mgKOH/gの酸価を有するロジン系樹脂の酸価の一部又は全部を塩基性化合物で中和して水中に溶解させたものが利用できる。塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、有機アミン、アルカリ金属水酸化物等を挙げられる。具体的には、上記有機アミンとしては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン等のアルキルアミン、モノエタノールアミン、エチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等を挙げることができる。上記アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。その中でも塗膜物性及び再溶解性の点からは、揮発性及び不揮発性の塩基性化合物を併用使用することが望ましい。水溶性ロジンの軟化点は、80~200℃であることが好ましい。
【0042】
水溶性ロジン樹脂として、具体的には、ハリマ化成社製 ハリマックT-80、荒川化学社製 サイズパインG-F、マルキ-ド 32-30WS等が例示できる。
【0043】
<水性ロジンエマルジョン>
水性ロジンエマルジョンとしては、植物から抽出する等して得られた材料からなる、ロジンエステル等のロジン誘導体やロジンを、低分子乳化剤の存在下で、微細な粒子として水に分散させてなるものが利用できる。水性ロジンエマルジョンの酸価は、0~200mgKOH/gであることが好ましく、0~100mgKOH/gであることがより好ましい。上記範囲である場合。耐乾燥性が向上する。水性ロジンエマルジョンの軟化点は、80~200℃であることが好ましい。
【0044】
水性ロジンエマルジョンとして、具体的には、ハリマ化成社製 荒川化学社製 スーパーエステルNS-121、NS-100H等が例示できる。
【0045】
本発明において、水溶性ロジン樹脂及び水性ロジンエマルジョンを含むことが好ましく、水溶性ロジン樹脂と水性ロジンエマルジョンとの固形分比率は、70:30~10:90であることが好ましく、50:50~40:60であることがより好ましい。
【0046】
(尿素系化合物)
本発明の水性フレキソインキは、下記一般式(1)で表される尿素系化合物を含有する。
【0047】
一般式(1)
【化3】
[一般式(1)中、Rは、酸素原子又は硫黄原子を表す。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~4のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数6~9のアリール基を表す。
ただし、RとRとが、炭素数1~3のアルキレン基を介して環を形成してもよい。]
【0048】
上記置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、チオ基、シリル基、ニトロ基が挙げられ、中でもヒドロキシ基が好ましい。
【0049】
上記炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル記、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基が挙げられ、中でも、メチル基、エチル基が好ましい。
【0050】
炭素数6~9のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基が挙げられ、フェニル基が好ましい。
【0051】
炭素数1~3のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が挙げられ、エチレン基が好ましい。
【0052】
上記一般式(1)で表される尿素系化合物としては例えば、尿素、2-ヒドロキシエチル尿素、チオ尿素、1,3-ジメチル尿素、カルバミン酸アンモニウム塩にチタン触媒を作用させて合成するエチレンウレア等の尿素誘導体、N-フェニルチオ尿素等のチオ尿素誘導体が挙げられる。中でも、尿素、2-ヒドロキシエチル尿素、1,3-ジメチル尿素が好ましく、尿素、1,3-ジメチル尿素がより好ましい。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせてもよい。
【0053】
当該尿素系化合物は、インキ総質量中、1~10質量%の範囲で使用することが好ましく、3~8質量%の範囲で使用することがより好ましい。また、尿素化合物は、25℃の水に対する溶解度が20質量%以上であるものが好ましく、30質量%以上であるものがより好ましい。上記範囲である場合、耐乾燥性及び経時安定性が向上する。尿素系化合物と多糖類(A1)との質量比率が、10:90~75:25であることが好ましく、25:75~70:30であることがより好ましく、40:60~60:40であることが更に好ましい。また、尿素系化合物と前記樹脂(A2)の質量比率が、5:95~70:30であることが好ましく、10:90~65:35であることがより好ましく、20:80~60:40であることが更に好ましい。尿素系化合物と水性ロジン樹脂(B)との質量比率が、5:95~70:30であることが好ましく、10:90~65:35であることがより好ましく、20:80~60:40であることが更に好ましい。
【0054】
(水性スチレンアクリル樹脂(C))
本発明において、更に、水性スチレンアクリル樹脂(C)を含むことにより、顔料分散性向上の効果により、より優れた印刷濃度及び経時安定性を実現することができる。水性スチレンアクリル樹脂(C)とは、水に溶解または分散可能なスチレンアクリル樹脂をいい、水溶性スチレンアクリル樹脂(C-1)及び/又は水性スチレンアクリルエマルジョン樹脂(C-2)を含む。
【0055】
水性スチレンアクリル樹脂(C)の含有量は、インキ総質量中、10~35質量%であることが好ましく、11~30質量%であることがより好ましく、12~20質量%であることが更に好ましい。
【0056】
水性スチレンアクリル樹脂(C)の重量平均分子量は1500~1500000であることが好ましく、5000~1000000であることがより好ましく、1000~50000であることが更に好ましい。
【0057】
<水溶性スチレンアクリル樹脂(C-1)>
本発明における水溶性スチレンアクリル樹脂は、アクリルモノマーを含むモノマーを有機溶剤中で溶液重合した後、脱溶剤をして固形樹脂をアルカリ条件下で溶解させたスチレンアクリル樹脂を指す。水溶性スチレンアクリル樹脂(C-1)を構成するモノマーは、上記した(水溶性スチレンアクリル樹脂(a-1))の形態を援用することができる。
【0058】
水溶性スチレンアクリル樹脂(C-1)は、酸基を有していることが好ましく、酸基を有する場合の酸価は、150~350mgKOH/gであることが好ましく、200~300mgKOH/gであることがより好ましい。水溶性スチレンアクリル樹脂(C-1)の酸価が上記範囲であることにより、耐乾燥性が向上する。
【0059】
<水性スチレンアクリル樹脂エマルジョン(C-2)>
本発明における水性スチレンアクリル樹脂エマルジョン(C-2)は、水系において不溶あるいは難溶であるが、界面活性剤などで分散安定化されているアクリル樹脂を指す。水性スチレンアクリル樹脂エマルジョン(C-2)の平均粒子径は10~500nmであることが好ましく、30~200nmであることがより好ましい。なお、水性スチレンアクリル樹脂エマルジョン(C-2)の酸基は、塩基性化合物で中和されていることが好ましい。水溶性スチレンアクリル樹脂(C-2)を構成するモノマーや塩基性化合物は、上記した、(水溶性スチレンアクリル樹脂(a-2))の形態を援用することができる。
【0060】
水性スチレンアクリル樹脂エマルジョン(C-2)は、酸基を有していることが好ましく、酸基を有する場合の酸価は、30~150mgKOH/gであることが好ましく、40~100mgKOH/gであることがより好ましい。
【0061】
(液状媒体)
本発明の水性フレキソインキは、液状媒体を含むことが好ましい。液状媒体の主成分は水であることが好ましいが、水に加えて、親水性有機溶剤を使用できる。具体的には、印刷条件(スピード、版深、デザイン、乾燥温度)に応じて、アルコール系有機溶剤、グリコール系有機溶剤等を含有することができる。親水性有機溶剤の含有量は、インキ全量に対して30質量%以下であることが好ましい。
ここで、本発明において、主成分が水であるとは、液状媒体中、水の含有量が最も多いことをいう。また、水溶性有機溶剤とは、25℃で液体であり、かつ、25℃の水に対する溶解度が1質量%以上であるものを指す。
【0062】
アルコール系有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、ノルマルブタノール、ターシャリブタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール等が挙げられる。
グリコール系有機溶剤としては、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジピロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジブチルグリコール等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
(顔料(体質顔料を除く))
本発明の水性フレキソインキに使用される顔料としては、従来から水性フレキソ印刷インキ組成物で使用されているものを使用できる。具体的には、無機顔料として、酸化チタン、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等の有色顔料を挙げることができる。また、有機顔料として、油溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記顔料の含有量は、水性フレキソインキの総質量中、1~60質量%であることが好ましい。
【0064】
(体質顔料)
本発明の水性フレキソインキは、体質顔料を含むことが好ましい。体質顔料をインキ全質量に対して、0.1~10質量%含有することが好ましく、1~5質量%含有することがより好ましい。体質顔料を含むことで耐乾燥性及び印刷濃度の向上が期待できる。使用される体質顔料としては、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリンクレイおよびシリカからなる群から選ばれる1種以上の体質顔料を含むことが好ましい。これらの中でも、硫酸バリウムがインキの経時安定性の点から好ましい。上記硫酸バリウムなどの体質顔料は、平均粒子径が0.01~0.9μmであることが好ましく、0.1~0.7μmであることがより好ましい。ここで平均粒子径とは、電子顕微鏡法による測定値をいい、例えば、電界放出型走査電子顕微鏡(日本電子社製JSM-7000F)などを用いてランダムに選んだ体質顔料粒子の粒子径の10点平均値などで測定が可能である。
【0065】
(添加剤)
本発明の水性フレキソインキには、必要に応じて各種添加剤を使用することができる。例えば、分散剤、ワックス、体質顔料、レベリング剤、消泡剤、造膜助剤等である。
具体的には、耐摩擦性を向上させるために、ポリエチレンワックス等の炭化水素系ワックス、乾燥性や塗膜隠蔽性を向上させるために、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、クレー、タルク等の体質顔料、防滑性を付与するために無機系微粒子および粘着性樹脂(アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂)、レベリング性を向上させるためにレベリング剤、消泡性を付与するために消泡剤、再溶解性を付与するために水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性化合物、造膜助剤等の各種添加剤を添加することができる。
【0066】
<分散剤>
本発明の水性フレキソインキには、必要に応じて分散剤を含有させることが好ましい。分散剤としては、ポリエーテル系化合物、アセチレングリコール系化合物などの界面活性剤を使用することが好ましい。
【0067】
例えば、ポリエーテル系化合物では共重合されたポリエーテルなどが好適であり、限定されるものではないが、ポリプロピレングリコール(プロピレンオキサイド)とポリエチレングリコール(エチレンオキサイド)が共重合された形態の化合物が好ましい。ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール共重合樹脂の重量平均分子量は、500~30000が好ましく、重量平均分子量が、500より大きければ顔料分散性が向上し、30000より小さければレベリング性が向上する。当該重量平均分子量は、より好ましくは、1000~5000の範囲である。また、エチレンオキサイド付加量は、全分子中の10~95質量%であることが好ましい。エチレンオキサイドの付加量が10%より高いと、経時安定性が向上し、95%を下回ると、耐乾燥性が向上する。経時安定性と耐乾燥性の両立の観点から、エチレンオキサイドの付加量は、30~90質量%とすることがより好ましい。
【0068】
また、アセチレングリコール系化合物も好ましく、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドを有するアセチレングリコール系化合物が好適である。アセチレングリコール系化合物としては、サーフィノールシリーズ(エアプロダクツ社製)が市販されている。
【0069】
分散剤は、インキ総質量中、0.1~10質量%の範囲で使用することが好ましく、1~8質量%の範囲で使用することがより好ましい。上記範囲である場合、経時安定性と耐乾燥性が向上する。
【0070】
<炭化水素系ワックス>
炭化水素系ワックスのJISK2207で規定された25℃における硬度(針入度)は、12以下であり、0.5~8であることが好ましく、1~5であることがより好ましく、2~4であることが更に好ましく、2.5~3.5であることが特に好ましい。上記範囲である場合、耐折り曲げ性及び耐乾燥性が良好となる。炭化水素系ワックスのJISK7112(B法)に規定された23℃における密度は、900~990kg/mであることが好ましく、925~990kg/mであることがより好ましい。上記範囲である場合、耐折り曲げ性及び耐乾燥性が良好となる。炭化水素系ワックスのDSC測定における融点は、90~150℃であることが好ましく、100~125℃であることがより好ましい。上記範囲である場合、耐折り曲げ性及び耐乾燥性が良好となる。なお、炭化水素系ワックスの融点は、DSC昇温曲線における吸熱ピークのピークトップ(極小値)の融点を表す。炭化水素系ワックスの平均粒子径は、0.5~12μmであることが好ましく、1~10μmであることがより好ましく、1.5~4μmであることが更に好ましい。なお、炭化水素系ワックスにおける平均粒子径とは、レーザー回折・光散乱法での測定におけるD50の値を表す。
【0071】
本発明の水性フレキソインキにおける、炭化水素系ワックスの含有量は、当該インキ100質量%中、0.1~10質量%であることが好ましく、0.5~5質量%であることがより好ましい。上記範囲である場合、耐折り曲げ性及び耐乾燥性が良好となる。
【0072】
《ポリエチレンワックス》
ポリエチレンワックスは、特に限定されるわけではないが、例えば、高密度重合ポリエチレン、低密度重合ポリエチレン、酸化ポリエチレン、酸変性ポリエチレン、および特殊モノマー変性ポリエチレン等が挙げられる。ポリエチレンワックスは、JISK7112(B法)に規定された23℃における密度が、925~990kg/mであることが好ましく、JISK6862に準拠して測定された140℃における溶融粘度が、50~8000mPa・sであることが好ましい。また、ポリエチレンワックスは、酸価を有していてもよい。酸価を有する場合、酸価は0.5~70mgKOH/gであることが好ましい。また、ポリエチレンワックスは、DSC測定における融点が90~150℃であることが好ましく、更に好ましくは100~125℃である。
【0073】
フィッシャー・トロプシュ・ワックスとは、フィッシャー・トロプシュ製法により一酸化炭素と水素を原料に製造されたワックスであり、ほぼ飽和の、分枝を有しない直鎖の分子構造からなる。その直鎖構造により、高融点、低粘度、硬質である。フィッシャー・トロプシュ・ワックスは長期間熱に晒されても劣化がほとんどなく、極めて高い熱安定性を示す。フィッシャー・トロプシュ・ワックスは、数平均分子量が400~2000であることが好ましい。また、フィッシャー・トロプシュ・ワックスは、JISK7112(B法)に規定された23℃における密度が、925~990kg/mであることが好ましい。また、フィッシャー・トロプシュ・ワックスは、酸価を有していてもよい。酸価を有する場合、好ましくは0.5~50mgKOH/gである。また、フィッシャー・トロプシュ・ワックスは、DSC測定における融点が90~130℃であることが好ましく、更に好ましくは100~120℃である。
【0074】
(水性フレキソインキの製造方法)
本発明の水性フレキソインキの製造方法について説明する。本発明の水性フレキソインキを製造する方法としては、例えば、水、顔料、分散剤および水溶性樹脂等を撹拌混合した後に、各種練肉機、例えば、ビーズミル、パールミル、サンドミル、ボールミル、アトライター、ロールミル等を利用して顔料分散し、更に、樹脂エマルジョン、水溶性樹脂、ロジン系樹脂等の所定の材料および添加剤を添加、撹拌混合することで得られる。顔料分散には、ビーズミルを使用することが好ましい。
【0075】
(フレキソ印刷方式)
フレキソ印刷方式としては、2ロール方式、ドクター方式、ドクターチャンバー方式が挙げられる。ドクター方式、ドクターチャンバー方式にも表面にセルが形成されたアニロックスロールに水性フレキソインキ組成物を供給し、ドクターブレードによりアニロックスロール表面の余分な水性フレキソインキを掻き落とす工程を経て、樹脂版を通して、最終的に被印刷体に印刷される。本発明の水性フレキソインキをフレキソ印刷方式で印刷すると、表面の粗い紙基材に対しても、美粧性に優れた印刷物が得られる。
【0076】
(フレキソ印刷方法;アニロックスロール)
本発明のフレキソ印刷物の製造方法に使用されるフレキソ印刷に使用されるアニロックスとしては、セル彫刻が施されたセラミックアニロックスロール、クロムメッキアニロックスロール等を使用することができる。セルの形状は、ハニカムパターン、ダイヤパターン、ヘリカルパターン等があり、いずれのパターンを使用することができる。また、アニロックスの役割は、ドクターチャンバー(またはファウンテンロール)から供給されるインキを、均質に定量受け取った後に刷版に受け渡すことである。アニロックスロールのスクリーン線数は、好ましくは50~2000線/インチであり、更に好ましくは100~1200線/インチである。
【0077】
(フレキソ印刷方法;フレキソ版) 本発明のフレキソ印刷物の製造方法に使用されるフレキソ印刷に使用される版としてはUV光源による紫外線硬化を利用する感光性樹脂版またはダイレクトレーザー彫刻方式を使用するエラストマー素材版が挙げられる。版を貼るスリーブやクッションテープについては任意のものを使用することができる。フレキソ版のスクリーン線数は、好ましくは80~200線/インチであり、更に好ましくは125~175線/インチである。
【0078】
(フレキソ印刷方法;印刷機) フレキソ印刷機としてはCI型多色フレキソ印刷機、ユニット型多色フレキソ印刷機等があり、インキ供給方式についてはチャンバー方式、2ロール方式が挙げることが出来、適宜の印刷機を使用することができる。印刷速度は好ましくは50~500m/分であり、更に好ましくは100~300m/分である。
【0079】
(水性フレキソインキにより形成された印刷層を有する印刷物)
水性フレキソインキにより形成された印刷層を有する印刷物の製造方法としては、紙や樹脂の表面への印刷、特に、紙コップ、紙皿等の紙製容器等の紙器、又は表面が樹脂層で被覆された紙製容器、食品パッケージの薄紙又はそれらの材料に、上記水性フレキソインキを用いてフレキソ印刷機で印刷する方法が例示できる。
このとき、被印刷物としては、包み紙や紙袋等の食品パッケージ、表面にラミネートによるポリオレフィン等の樹脂層を有する紙製容器等の紙製品、表面にポリオレフィン等の樹脂コート層等の樹脂層を有する紙製容器等の紙製品、および表面に樹脂層を有しない未コートの紙製容器等の紙製品等の何れでもよい。
【0080】
(基材)
印刷用の基材(被印刷体)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等のプラスチックフィルム、セロハン、紙、アルミニウム箔等、もしくはこれらの複合材料からなるフィルム、シート等が挙げられる。本発明においては、特に紙基材が好ましい。紙基材としては、ノンコート紙、基材の片側が処理されている片艶クラフト紙、晒しクラフト紙、未晒しクラフト紙等から選ばれる紙基材であることが好ましい。
【実施例0081】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本実施例において、特に断らない限り「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」である。また、表中の各材料の分量の数字についても「質量部」である。水酸基価、酸価の単位はmgKOH/gである。
【0082】
(酸価および水酸基価)
JISK0070に従って求めた。
【0083】
<多糖類(A1)>
・マルトデキストリン
<多糖類を付加したスチレンアクリル樹脂(A2)>
・水溶性スチレンアクリル樹脂SAC1(含まれる多糖類:デンプン、酸価30mgKOH/g、ガラス転移温度85℃、固形分48%)
・水性スチレンアクリル樹脂エマルジョンSAC2(含まれる多糖類:デンプン、酸価50mgKOH/g、ガラス転移温度30℃、固形分48%)
・水性スチレンアクリルエマルジョンSAC3(含まれる多糖類:デンプン、酸価10mgKOH/g、ガラス転移温度40℃、固形分48%)
・水性スチレンアクリルエマルジョンSAC4(含まれる多糖類:デンプン、酸価120mgKOH/g、ガラス転移温度50℃、固形分48%)
・水性スチレンアクリルエマルジョンSAC5(含まれる多糖類:セルロース、酸価40mgKOH/g、ガラス転移温度55℃、固形分48%)
<水性ロジン樹脂(B)>
・水溶性ロジン樹脂:サイズバインE(荒川化学社製、固形分30%)
・水性ロジンエマルジョン(荒川化学社製、スーパーエステルNS-121、軟化点:120℃、固形分49%)
<その他の成分>
・スチレンアクリルエマルジョンSAC7(酸価100mgKOH/g、ガラス転移温度16℃、固形分28%)
・アクリル樹脂エマルジョンAC1(星光PMC社製、PE-1126)
・シリカ:平均粒子径4μm、吸油量200ml/100g
・炭酸カルシウム:平均粒子径1μm、吸油量40ml/100g
【0084】
(実施例1)[水性フレキソインキS1の作製]
水 28部、PigmentBlack7 18部、硫酸バリウム(堺化学工業社製、バリエースB―35、平均粒子径0.3μm、固形分100%) 2部、尿素化合物 5部、PEG-PPG(ポリエチレングリコール(PEG)とポリプロピレングリコール(PPG)の共重合樹脂(重量平均分子量2800;PEG:PPG=40:60;固形分100%) 2部、アセチレングリコール(日信化学工業社製サーフィノールSE固形分80%) 1部、水溶性スチレンアクリル樹脂SAC6(酸価240mgKOH/g、固形分28%) 15部の混合物をビーズミルで混練分散後、水性スチレンアクリル樹脂エマルジョンSAC2 15部、水性ロジンエマルジョン(固形分49%) 10部、ポリエチレンワックス 3部、トリエタノールアミン 1部となるように添加、撹拌混合して水性フレキソインキS1を得た。
【0085】
(実施例2~15、比較例1~3)[水性フレキソインキS2~S18の作製]
表1に記載した原料および配合を変更した以外は、実施例1と同様の方法により、水性フレキソインキS2~18を得た。表中、単位の標記のない数値は、部を表し、空欄は配合していないことを表す。
【0086】
(印刷物の作成)
上記で得られた水性フレキソインキS1~18を200線/インチのアニロックスロール、および感光性樹脂製のベタ版を備えた小型フレキシプルファー印刷機により、未晒クラフト紙:未漂白のクラフトパルプを使用したクラフト紙(日本製紙社製両更クラフトK坪量70g/m)の基材表面に、印刷速度50m/sで印刷を行い、印刷物を得た。
【0087】
(評価)
上記実施例および比較例にて得られたインキおよび印刷物を用いて以下の評価を行った。なお評価結果は表1に示した。
【0088】
(耐折り曲げ性)
実施例および比較例で得られたインキをフレキシプルファー印刷機により、未晒クラフト紙:未漂白のクラフトパルプを使用したクラフト紙(日本製紙社製両更クラフトK;坪量70g/m)に展色、塗膜を形成し、耐折り曲げ性の評価を行った。印刷面が内側になるよう基材を折り曲げ、次に印刷面が外側になるよう基材を折り曲げたのちの、印刷面のインキ塗膜の割れ具合を評価した。基準は以下の通りである。
5:印刷された面において折り目を生じないもの。
4:5と3の中間のレベルである耐折り曲げ性を持つもの。
3:印刷された面のうち、折り目部分にのみ印刷層の割れが生じるもの。
2:3と1の中間のレベルである耐折り曲げ性を持つもの。
1:印刷された面のうち、折り目部位以外の印刷層の割れ、欠けを生じるもの。
上記で産業上利用できるレベルの評価は3、4および5である。
【0089】
(耐乾燥性)
実施例および比較例で得られたインキをミヤバー(#4)によりフレキソ樹脂版へ展色、塗膜を形成し、40℃にて1分間後に指触してインキの乾燥具合を目視評価した。基準は以下の通りである。なお、室温で試験した場合と比較して、40℃は水の乾燥速度が大幅に向上するため、過剰条件を意味する。
5:指触した範囲において、フレキソ樹脂版に対するインキ塗膜付着面積比率が30%以上であるもの。
4:指触した範囲において、フレキソ樹脂版に対するインキ塗膜付着面積比率が10%以上30%未満であるもの。
3:指触した範囲において、フレキソ樹脂版に対するインキ塗膜付着面積比率が5%以上10%未満であるもの。
2:指触した範囲において、フレキソ樹脂版に対するインキ塗膜付着面積比率が1%以上5%未満であるもの。
1:指触した範囲において、フレキソ樹脂版に対するインキ塗膜付着面積比率が1%未満であるもの。
上記で産業上利用できるレベルの評価は3、4および5である。
【0090】
(印刷濃度)
実施例および比較例で得られたインキをフレキシプルファー印刷機により、未晒クラフト紙:未漂白のクラフトパルプを使用したクラフト紙(日本製紙社製 両更クラフトK 坪量70g/m)に展色、塗膜を形成し、測色計を用いて印刷濃度(発色性)を評価した。測定には、PANTONE社製 X-Rite eXact分光光度計を用いた。測定条件は 、イルミナント/観測者視野:D50/2°、濃度ステータス:ISOステータスE、濃度白色基準:絶対値とし、印刷面のL、a、bを測定した。また、基準となる標準色のL、a、bを測定、それぞれ31.20、-3.20、-22.60とし、色差ΔE abを下記の式(1)より求めた。
式(1)ΔE ab=[(ΔL)2+(Δa)2+(Δb)2]1/2
5:X-Rite eXact分光光度計で測定したΔE abが0.4未満である。
4:ΔE abが0.4以上0.8未満である。
3:ΔE abが0.8以上1.6未満である。
2:ΔE abが1.6以上3.2未満である。
1:ΔE abが3.2以上である。
上記で産業上利用できるレベルの評価は3、4および5である。
【0091】
(経時安定性)
実施例および比較例で得られたインキを5℃、40℃のオーブンに1週間保管し、その後のインキ粘度および状態を評価した。
5:1週間後、保管前のインキの粘度と比べて、粘度変化が3秒未満であるもの。
4:1週間後、保管前のインキの粘度と比べて、粘度変化が3秒以上、5秒未満であるもの。
3:1週間後、保管前のインキの粘度と比べて、粘度変化が5秒以上、7秒未満であるもの。
2:1週間後、保管前のインキの粘度と比べて、粘度変化が7秒以上、10秒未満であるもの。
1:1週間後、保管前のインキの粘度と比べて、粘度変化が10秒超であるもの。
上記で産業上利用できるレベルの評価は3、4および5である。
【0092】
【表1】
【0093】
以上の結果により、比較例1は、多糖類(A1)、多糖類を付加したスチレンアクリル樹脂(A2)、及び水性ロジン樹脂(B)のいずれも含まなかったため、耐折り曲げ性、耐乾燥性、及び印刷濃度が不良であった。比較例2及び3では、尿素系化合物を含まなかったため、耐乾燥性、経時安定性が不良であった。
一方実施例では、多糖類(A1)、多糖類を付加したスチレンアクリル樹脂(A2)、及び水性ロジン樹脂(B)からなる群より選択される少なくとも1種と、尿素系化合物とを含むため、耐折り曲げ性、耐乾燥性、印刷濃度、及び経時安定性が良好であった。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖類を付加したスチレンアクリル樹脂(A2)と、尿素系化合物とを含有する水性フレキソインキであって、
前記尿素系化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であり、
前記尿素系化合物と前記多糖類を付加したスチレンアクリル樹脂(A2)との質量比率が、5:95~70:30である、水性フレキソインキ。
一般式(1)
【化1】
[一般式(1)中、Rは、酸素原子又は硫黄原子を表す。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~4のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数6~9のアリール基を表す。ただし、RとRとが、炭素数1~3のアルキレン基を介して環を形成してもよい。]
【請求項2】
水性ロジン樹脂(B)と、尿素系化合物とを含有する水性フレキソインキであって、
前記尿素系化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であり、
前記尿素系化合物と前記水性ロジン樹脂(B)との質量比率が、5:95~70:30である、水性フレキソインキ。
一般式(1)
【化2】
[一般式(1)中、R は、酸素原子又は硫黄原子を表す。
およびR は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~4のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数6~9のアリール基を表す。ただし、R とR とが、炭素数1~3のアルキレン基を介して環を形成してもよい。]
【請求項3】
多糖類(A1)と、尿素系化合物とを含有する水性フレキソインキであって、
前記尿素系化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であり、
前記尿素系化合物の含有量が、前記水性フレキソインキ中、1~8質量%であり、
前記尿素系化合物と前記多糖類(A1)との質量比率が10:90~75:25である、水性フレキソインキ。
一般式(1)
【化3】
[一般式(1)中、R は、酸素原子又は硫黄原子を表す。
およびR は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~4のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数6~9のアリール基を表す。ただし、R とR とが、炭素数1~3のアルキレン基を介して環を形成してもよい。]
【請求項4】
更に、体質顔料を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の水性フレキインキ。
【請求項5】
多糖類が、マルトデキストリン、カラギナン、キサンタンガム、アラビアガム、ペクチン、グァーガム、プルラン、グリコーゲン、セルロース、デンプン、及びデンプン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又はに記載の水性フレキインキ。
【請求項6】
水性ロジン樹脂(B)が、水溶性ロジン樹脂及び/又は水性ロジンエマルジョンを含む、請求項に記載の水性フレキソインキ。
【請求項7】
多糖類を付加したスチレンアクリル樹脂(A2)の固形分酸価が、15~100mgKOH/gである、請求項に記載の水性フレキソインキ。
【請求項8】
更に、水性スチレンアクリル樹脂(C)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の水性フレキソインキ。
【請求項9】
基材上に、請求項1~3のいずれか一項に記載の水性フレキソインキにより形成された印刷層を有する印刷物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0081
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0081】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本実施例において、特に断らない限り「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」である。また、表中の各材料の分量の数字についても「質量部」である。水酸基価、酸価の単位はmgKOH/gである。
なお、実施例5及び6は参考例である。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多糖類を付加したスチレンアクリル樹脂(A2)と、尿素系化合物とを含有する水性フレキソインキであって、
前記尿素系化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であり、
前記尿素系化合物と前記多糖類を付加したスチレンアクリル樹脂(A2)との質量比率が、3:97~71:29である、水性フレキソインキ。
一般式(1)
【化1】
[一般式(1)中、Rは、酸素原子又は硫黄原子を表す。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~4のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数6~9のアリール基を表す。ただし、RとRとが、炭素数1~3のアルキレン基を介して環を形成してもよい。]
【請求項2】
水性ロジン樹脂(B)と、尿素系化合物とを含有する水性フレキソインキであって、
前記尿素系化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であり、
前記尿素系化合物と前記水性ロジン樹脂(B)との質量比率が、4:96~78:22である、水性フレキソインキ。
一般式(1)
【化2】
[一般式(1)中、Rは、酸素原子又は硫黄原子を表す。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~4のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数6~9のアリール基を表す。ただし、RとRとが、炭素数1~3のアルキレン基を介して環を形成してもよい。]
【請求項3】
更に、体質顔料を含む、請求項1又は2に記載の水性フレキインキ。
【請求項4】
多糖類が、マルトデキストリン、カラギナン、キサンタンガム、アラビアガム、ペクチン、グァーガム、プルラン、グリコーゲン、セルロース、デンプン、及びデンプン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の水性フレキインキ。
【請求項5】
水性ロジン樹脂(B)が、水溶性ロジン樹脂及び/又は水性ロジンエマルジョンを含む、請求項2に記載の水性フレキソインキ。
【請求項6】
多糖類を付加したスチレンアクリル樹脂(A2)の固形分酸価が、15~100mgKOH/gである、請求項1に記載の水性フレキソインキ。
【請求項7】
更に、水性スチレンアクリル樹脂(C)を含む、請求項1又は2に記載の水性フレキソインキ。
【請求項8】
基材上に、請求項1又は2に記載の水性フレキソインキにより形成された印刷層を有する印刷物。