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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012614
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】処理装置および処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20250117BHJP
   B62D 1/06 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
G06T7/00 660Z
B62D1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115584
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】本井 滋
【テーマコード(参考)】
3D030
5L096
【Fターム(参考)】
3D030DA11
3D030DB13
5L096BA02
5L096BA04
5L096CA02
5L096FA69
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】運転者の手の操作部に対する接触状態を適切に検出する。
【解決手段】処理装置16は、車両1の運転者2の状態の検出に関する処理を行う処理装置であって、運転者2の手3の位置に関する手位置情報、および、車両1の車室1a内の操作部の位置に関する操作部位置情報を取得する取得部と、運転者2の状態を検出する検出処理を行う処理部と、を備え、処理部は、検出処理において、手位置情報および操作部位置情報に基づいて、運転者2の手3の操作部に対する接触状態を検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)の運転者(2)の状態の検出に関する処理を行う処理装置(16)であって、
前記運転者(2)の手(3)の位置に関する手位置情報、および、前記車両(1)の車室(1a)内の操作部の位置に関する操作部位置情報を取得する取得部(16a)と、
前記運転者(2)の状態を検出する検出処理を行う処理部(16b)と、
を備え、
前記処理部(16b)は、前記検出処理において、前記手位置情報および前記操作部位置情報に基づいて、前記運転者(2)の前記手(3)の前記操作部に対する接触状態を検出する、
処理装置。
【請求項2】
前記操作部は、前記車両(1)のステアリングホイール(12)である、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記取得部(16a)は、
前記ステアリングホイール(12)の位置を調整する位置調整に関する位置調整情報を取得し、
前記位置調整情報に基づいて、前記操作部位置情報を取得する、
請求項2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記車両(1)には、前記車室(1a)内の状態を検出し、前記位置調整が行われた場合に前記ステアリングホイール(12)と一体に移動する第1車室センサ(14)が設けられ、
前記取得部(16a)は、前記第1車室センサ(14)の検出結果に基づいて、前記位置調整情報を取得する、
請求項3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記車両(1)には、前記車室(1a)内の状態を検出し、前記ステアリングホイール(12)の位置を調整する位置調整が行われた場合に前記ステアリングホイール(12)とは一体に移動しない第2車室センサ(15)が設けられ、
前記取得部(16a)は、前記第2車室センサ(15)の検出結果に基づいて、前記手位置情報を取得する、
請求項2に記載の処理装置。
【請求項6】
前記取得部(16a)は、前記運転者(2)の右手(3a)の位置に関する右手位置情報、および、前記運転者(2)の左手(3b)の位置に関する左手位置情報を前記手位置情報として取得し、
前記処理部(16b)は、前記検出処理において、前記右手位置情報、前記左手位置情報および前記操作部位置情報に基づいて、前記運転者(2)の前記右手(3a)の前記操作部に対する接触状態、および、前記運転者(2)の前記左手(3b)の前記操作部に対する接触状態をそれぞれ検出する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項7】
車両(1)の運転者(2)の状態の検出に関する処理を行う処理方法であって、
処理装置(16)の取得部(16a)が、前記運転者(2)の手(3)の位置に関する手位置情報、および、前記車両(1)の車室(1a)内の操作部の位置に関する操作部位置情報を取得し、
前記処理装置(16)の処理部(16b)が、前記運転者(2)の状態を検出する検出処理を行い、
前記処理部(16b)は、前記検出処理において、前記手位置情報および前記操作部位置情報に基づいて、前記運転者(2)の前記手(3)の前記操作部に対する接触状態を検出する、
処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置および処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の車室内の状態を検出する技術が提案されている。このような技術として、例えば、特許文献1に開示されているように、ステアリングホイール等の操作部に対する運転者の手の接触状態を検出する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-069902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1に開示されている技術等では、ステアリングホイールに静電容量型の近接センサを設け、近接センサの静電容量の変化に基づいて、運転者の手のステアリングホイールに対する接触状態が検出される。しかしながら、このような技術では、運転者が手袋を着用している場合等において、運転者の手の操作部に対する接触状態を検出することが困難となり得る。
【0005】
そこで、本発明は、このような課題に鑑み、運転者の手の操作部に対する接触状態を適切に検出することが可能な処理装置および処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、処理装置は、車両の運転者の状態の検出に関する処理を行う処理装置であって、運転者の手の位置に関する手位置情報、および、車両の車室内の操作部の位置に関する操作部位置情報を取得する取得部と、運転者の状態を検出する検出処理を行う処理部と、を備え、処理部は、検出処理において、手位置情報および操作部位置情報に基づいて、運転者の手の操作部に対する接触状態を検出する。
【0007】
上記課題を解決するために、処理方法は、車両の運転者の状態の検出に関する処理を行う処理方法であって、処理装置の取得部が、運転者の手の位置に関する手位置情報、および、車両の車室内の操作部の位置に関する操作部位置情報を取得し、処理装置の処理部が、運転者の状態を検出する検出処理を行い、処理部は、検出処理において、手位置情報および操作部位置情報に基づいて、運転者の手の操作部に対する接触状態を検出する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、運転者の手の操作部に対する接触状態を適切に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る車両の概略構成を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態に係る処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る処理装置が行う全体的な処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態に係る処理装置が行う操作部位置情報の取得に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態に係る処理装置が行う接触状態の検出に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0011】
<車両の構成>
図1および図2を参照して、本発明の実施形態に係る車両1の構成について説明する。
【0012】
図1は、車両1の概略構成を示す模式図である。図1には、車両1の車室1a内を車両1の前方から見た様子が示されている。車室1a内には、複数の座席11が設けられている。図1に示されるように、最前列の座席11は、運転席11aと、助手席11bとを含む。図1の例では、運転席11aに運転者2が座っている。ただし、車両1には、運転席11aおよび助手席11b以外の座席11として、後部座席が設けられていてもよい。
【0013】
図1に示されるように、車両1は、ステアリングホイール12と、ステアリングコラム13と、第1車室センサ14と、第2車室センサ15と、処理装置16とを備える。
【0014】
ステアリングホイール12は、運転者2による操舵操作において用いられる操作部である。ステアリングホイール12は、運転席11aの前方に設けられる。ステアリングホイール12は、ステアリングコラム13を介して車両1に取り付けられている。例えば、ステアリングコラム13の基部が車両1と接続されており、ステアリングコラム13の先端にステアリングホイール12が取り付けられている。
【0015】
ここで、ステアリングコラム13の姿勢は調整可能となっている。例えば、ステアリングコラム13は、ステアリングコラム13の基部を中心に左右方向に延在する回動軸まわりに回動可能となっている。運転者2は、ステアリングコラム13の姿勢を調整することによって、ステアリングホイール12の位置を調整する位置調整を行うことができる。
【0016】
運転者2は、運転者2の手3によりステアリングホイール12を把持した状態で、ステアリングホイール12を操作する。図1の例では、運転者2の右手3aおよび左手3bの両方によって、ステアリングホイール12が把持されている。
【0017】
車両1では、処理装置16によって、運転者2の手3の操作部に対する接触状態の検出が行われる。以下では、処理装置16によって、運転者2の手3のステアリングホイール12に対する接触状態の検出が行われる例を説明する。ただし、接触状態の検出対象となる操作部は、車室1a内の操作部であればよく、後述されるように、ステアリングホイール12以外であってもよい。
【0018】
第1車室センサ14は、車室1a内の状態を検出する。第1車室センサ14は、ステアリングコラム13に取り付けられている。ゆえに、第1車室センサ14は、ステアリングホイール12の位置を調整する位置調整が行われた場合にステアリングホイール12と一体に移動する。なお、第1車室センサ14は、ステアリングホイール12に取り付けられていてもよい。第1車室センサ14としては、例えば、カメラ等が挙げられる。以下では、第1車室センサ14がカメラである例を説明する。ただし、後述されるように、第1車室センサ14は、カメラ以外のセンサであってもよい。第1車室センサ14は、後方を向いて設けられ、運転者2の顔、および、運転者2の後方における車室1a内の様子を撮像する。
【0019】
第2車室センサ15は、車室1a内の状態を検出する。第2車室センサ15は、車室1a内において、特定の位置に固定して設けられる。例えば、第2車室センサ15は、車室1a内のルームミラーの近傍に設けられる。ゆえに、第2車室センサ15は、ステアリングホイール12の位置を調整する位置調整が行われた場合にステアリングホイール12とは一体に移動しない。第2車室センサ15としては、例えば、レーダー等が挙げられる。以下では、第2車室センサ15がレーダーである例を説明する。ただし、後述されるように、第2車室センサ15は、レーダー以外のセンサであってもよい。第2車室センサ15は、後下方向を向いて設けられる。
【0020】
車室1a内の各座席11およびステアリングホイール12は、第2車室センサ15の検出範囲内に位置している。そして、運転席11aに座る運転者2の手3も、第2車室センサ15の検出範囲内に位置している。ステアリングホイール12の周囲も第2車室センサ15の検出範囲内に位置しているので、少なくとも運転者2の手3がステアリングホイール12の近くにある場合、運転者2の手3は第2車室センサ15の検出範囲内に位置している。
【0021】
処理装置16は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する記憶素子であるROM(Read Only Memory)、および、CPUの実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する記憶素子であるRAM(Random Access Memory)等を含む。処理装置16は、例えば、1つであってもよく、また、複数に分かれていてもよい。処理装置16が複数に分かれる場合、以下で説明する各種機能が複数の装置に分担されてもよい。
【0022】
図2は、処理装置16の機能構成の一例を示すブロック図である。図2に示されるように、処理装置16は、例えば、取得部16aと、処理部16bと、制御部16cとを備える。
【0023】
取得部16aは、車両1内の各装置から情報を取得する。例えば、取得部16aは、第1車室センサ14および第2車室センサ15から情報を取得する。なお、本明細書において、情報の取得には、情報の抽出または生成(例えば、演算)等が含まれ得る。
【0024】
処理部16bは、運転者2の状態を検出する検出処理を行う。特に、処理部16bは、検出処理において、運転者2の手3のステアリングホイール12に対する接触状態を検出する。
【0025】
制御部16cは、車両1内の各装置の動作を制御する。制御部16cは、例えば、車両1の駆動源(例えば、走行用モータまたはエンジン)およびブレーキ装置等の動作を制御することによって、運転者2による操作によらずに車両1を自動で走行させる自動走行制御を実行できる。
【0026】
<処理装置の動作>
図3図5を参照して、本発明の実施形態に係る処理装置16の動作について説明する。
【0027】
上記のように、処理装置16は、運転者2の手3のステアリングホイール12に対する接触状態を検出する。ここで、上記の接触状態を検出する方法として、例えば、ステアリングホイール12に静電容量型の近接センサを設け、近接センサの静電容量の変化に基づいて、運転者2の手3のステアリングホイール12に対する接触状態を検出する方法等がある。しかしながら、このような技術では、運転者2が手袋を着用している場合等において、運転者2の手3のステアリングホイール12に対する接触状態を検出することが困難となり得る。本実施形態では、処理装置16により行われる上記の接触状態の検出に関する処理に工夫が施されることによって、運転者2の手3のステアリングホイール12に対する接触状態を適切に検出することが可能となる。
【0028】
図3は、処理装置16が行う全体的な処理の流れの一例を示すフローチャートである。図3におけるステップS101は、図3に示される処理フローの開始に対応する。図3におけるステップS106は、図3に示される処理フローの終了に対応する。図3に示される処理フローは、例えば、予め設定されている時間間隔で繰り返し実行される。
【0029】
図3に示される処理フローが開始されると、ステップS102において、処理部16bは、運転者2の検出を行う。具体的には、処理部16bは、車両1における運転者2の有無を検出する。
【0030】
ステップS102では、処理部16bは、例えば、第2車室センサ15としてのレーダーの検出結果に基づいて、運転者2の有無を検出してもよい。例えば、第2車室センサ15は、車室1a内の対象物と第2車室センサ15との間の距離を検出できる。ゆえに、運転席11aに人が座っている場合、第2車室センサ15は、人の呼吸に伴う人の胸の収縮を検出できる。よって、処理部16bは、第2車室センサ15の検出結果に基づいて、運転席11aに運転者2が座っている否かを判断できる。
【0031】
また、ステップS102では、処理部16bは、例えば、第1車室センサ14としてのカメラの検出結果に基づいて、運転者2の有無を検出してもよい。例えば、処理部16bは、第1車室センサ14により撮像された画像に対して画像処理を施すことによって、座席11に座っている人の顔または体を認識できる。ゆえに、処理部16bは、第1車室センサ14により撮像された画像に基づいて、運転席11aに運転者2が座っている否かを判断できる。
【0032】
また、ステップS102では、処理部16bは、第2車室センサ15としてのレーダーの検出結果、および、第1車室センサ14としてのカメラにより撮像された画像の両方に基づいて、運転者2の有無を検出してもよい。例えば、処理部16bは、まず、第1車室センサ14および第2車室センサ15の一方を用いて、運転者2の有無を検出するための処理を行う。この処理において運転者2の有無を検出できなかった場合に、処理部16bは、第1車室センサ14および第2車室センサ15の他方を用いて、運転者2の有無を検出するための処理を再度行ってもよい。
【0033】
なお、ステップS102において用いられるセンサは、上記の例に限定されない。例えば、処理部16bは、運転席11aに設けられる着座センサの検出結果に基づいて、運転者2の有無を検出してもよい。
【0034】
ステップS102の次に、ステップS103において、取得部16aは、操作部位置情報を取得する。
【0035】
操作部位置情報は、車室1a内の操作部の位置に関する情報である。操作部位置情報は、例えば、操作部の位置を直接的に示す情報であってもよく、操作部の位置に実質的に変換可能な情報であってもよい。図3図5の例では、操作部位置情報は、ステアリングホイール12の位置に関する情報である。
【0036】
図4は、処理装置16が行う操作部位置情報の取得に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。図4に示される処理フローは、図3のステップS103において実行される。図4におけるステップS201は、図4に示される処理フローの開始に対応する。図4におけるステップS206は、図4に示される処理フローの終了に対応する。
【0037】
例えば、取得部16aは、第1車室センサ14としてのカメラの検出結果に基づいて、操作部位置情報を取得する。以下、取得部16aが第1車室センサ14としてのカメラを用いて操作部位置情報を取得する例を主に説明する。ただし、後述されるように、取得部16aは、第2車室センサ15としてのレーダーを用いて操作部位置情報を取得してもよい。
【0038】
図4に示される処理フローが開始されると、ステップS202において、取得部16aは、第1車室センサ14の検出結果が妥当であるか否かを判定する。
【0039】
後述されるステップS203では、例えば、第1車室センサ14としてのカメラにより撮像された画像に映る車室1a内のピラー等の特定部位を認識することによって、ステアリングホイール12の位置調整に関する位置調整情報が取得される。ゆえに、後述される位置調整情報の取得の処理を適切に行うために、第1車室センサ14の検出結果が妥当であることが必要となる。
【0040】
ステップS202では、取得部16aは、例えば、第1車室センサ14により撮像された画像に運転者2の腕等の意図しない対象が映り込んでおり、上記の特定部位の全部または大部分が画像に映っていない場合、第1車室センサ14の検出結果が妥当ではないと判定する。一方、取得部16aは、第1車室センサ14により撮像された画像に上記の特定部位の全部または大部分が映っている場合、第1車室センサ14の検出結果が妥当であると判定する。なお、取得部16aは、第1車室センサ14自体の異常が検出された場合に、第1車室センサ14の検出結果が妥当ではないと判定してもよい。
【0041】
第1車室センサ14の検出結果が妥当であると判定された場合(ステップS202/YES)、ステップS203に進む。一方、第1車室センサ14の検出結果が妥当ではないと判定された場合(ステップS202/NO)、ステップS205に進む。
【0042】
ステップS202でYESと判定された場合、ステップS203において、取得部16aは、位置調整情報を取得する。
【0043】
位置調整情報は、ステアリングホイール12の位置を調整する位置調整に関する情報である。位置調整情報は、例えば、ステアリングホイール12の基準位置から現在位置までの調整量および調整方向を直接的に示す情報であってもよく、当該調整量および当該調整方向に実質的に変換可能な情報であってもよい。なお、ステアリングホイール12の基準位置は、適宜設定され、例えば、ステアリングホイール12の位置の調整範囲内における中央位置であってもよい。ステアリングホイール12の基準位置を示す情報は、例えば、処理装置16に予め記憶されている。なお、ステアリングホイール12の基準位置は、予め設定されている固定的な位置であってもよく、固定的ではなく過去の任意のタイミングにおける位置(例えば、前回の位置調整後における位置等)であってもよい。
【0044】
ステップS203では、取得部16aは、例えば、第1車室センサ14の検出結果に基づいて、位置調整情報を取得する。例えば、取得部16aは、第1車室センサ14としてのカメラにより撮像された画像に対して画像処理を施すことによって、当該画像に映る車室1a内のピラー等の特定部位を認識する。上述したように、第1車室センサ14は、ステアリングホイール12の位置調整が行われた場合にステアリングホイール12と一体に移動する。ゆえに、第1車室センサ14により撮像された画像における上記の特定部位の表示位置は、ステアリングホイール12の位置調整に伴い変化する。よって、取得部16aは、第1車室センサ14により撮像された画像における上記の特定部位の表示位置に基づいて、ステアリングホイール12の位置調整における調整量および調整方向を示す情報を位置調整情報として取得できる。
【0045】
ステップS203の次に、ステップS204において、取得部16aは、位置調整情報に基づいて、操作部位置情報を取得し、図4に示される処理フローは終了する。
【0046】
ステップS204では、取得部16aは、例えば、ステアリングホイール12の基準位置に対して位置調整情報により示される調整方向に位置調整情報により示される調整量を足し合わせた位置を、操作部位置情報として取得する。
【0047】
ステップS202でNOと判定された場合、ステップS205において、取得部16aは、位置調整情報に基づかずに、操作部位置情報を取得し、図4に示される処理フローは終了する。
【0048】
ステップS202でNOと判定された場合には、位置調整情報が取得されない。ゆえに、ステップS205では、取得部16aは、例えば、ステアリングホイール12の基準位置を、操作部位置情報として取得する。なお、ステップS202でNOと判定された場合、取得部16aは、所定時間に亘ってステップS202の判定を繰り返してもよい。それにより、例えば、第1車室センサ14としてのカメラの前面を運転者2の腕が覆っている状況が解消された場合等において、取得部16aは、ステップS203を適切に実行できる。
【0049】
上記では、取得部16aが第1車室センサ14としてのカメラを用いて操作部位置情報を取得する例を主に説明した。ただし、取得部16aは、第2車室センサ15としてのレーダーを用いて操作部位置情報を取得してもよい。この場合、例えば、上記で説明した図4のフローチャートの各処理において用いられるセンサが第1車室センサ14から第2車室センサ15に置き換えられる。以下、このような例について説明する。
【0050】
例えば、ステップS202において、取得部16aは、第1車室センサ14の検出結果に替えて、第2車室センサ15としてのレーダーの検出結果が妥当であるか否かを判定する。ステップS202では、取得部16aは、例えば、第2車室センサ15の前面が運転者2の腕等の意図しない対象により覆われ、第2車室センサ15によりステアリングホイール12を検出することができない場合、第2車室センサ15の検出結果が妥当ではないと判定する。なお、取得部16aは、第2車室センサ15自体の異常が検出された場合に、第2車室センサ15の検出結果が妥当ではないと判定してもよい。
【0051】
第2車室センサ15の検出結果が妥当であると判定された場合(ステップS202/YES)、ステップS203に進む。一方、第2車室センサ15の検出結果が妥当ではないと判定された場合(ステップS202/NO)、ステップS205に進む。
【0052】
ステップS202でYESと判定された場合、ステップS203において、取得部16aは、第1車室センサ14の検出結果に替えて、第2車室センサ15としてのレーダーの検出結果に基づいて、位置調整情報を取得する。例えば、第2車室センサ15は、第2車室センサ15に対するステアリングホイール12の相対位置を検出できる。よって、取得部16aは、第2車室センサ15の検出結果に基づいて、ステアリングホイール12の位置調整における調整量および調整方向を示す情報を位置調整情報として取得できる。
【0053】
ステップS204では、取得部16aは、例えば、第1車室センサ14としてのカメラを用いて操作部位置情報が取得される例と同様に、位置調整情報に基づいて、操作部位置情報を取得する。ただし、取得部16aは、ステップS203を行わずに、第2車室センサ15の検出結果に基づいて、位置調整後のステアリングホイール12の位置を示す情報を操作部位置情報として直接的に取得してもよい。
【0054】
ステップS202でNOと判定された場合、ステップS205において、取得部16aは、例えば、第1車室センサ14としてのカメラを用いて操作部位置情報が取得される例と同様に、ステアリングホイール12の基準位置を、操作部位置情報として取得する。なお、ステップS202でNOと判定された場合、取得部16aは、所定時間に亘ってステップS202の判定を繰り返してもよい。それにより、例えば、第2車室センサ15としてのレーダーの前面を運転者2の腕が覆っている状況が解消された場合等において、取得部16aは、ステップS203を適切に実行できる。
【0055】
なお、取得部16aは、第1車室センサ14としてのカメラにより撮像された画像、および、第2車室センサ15としてのレーダーの検出結果の両方に基づいて、操作部位置情報を取得してもよい。例えば、取得部16aは、まず、第1車室センサ14および第2車室センサ15の一方を用いて、操作部位置情報を取得するための処理を行う。例えば、この処理において位置調整情報を取得できなかった場合に、処理部16bは、第1車室センサ14および第2車室センサ15の他方を用いて、操作部位置情報を取得するための処理を再度行ってもよい。
【0056】
以下、図3に戻り、説明を続ける。図3のステップS103の次に、ステップS104において、取得部16aは、手位置情報を取得する。
【0057】
手位置情報は、運転者2の手3の位置に関する情報である。手位置情報は、例えば、運転者2の手3の位置を直接的に示す情報であってもよく、運転者2の手3の位置に実質的に変換可能な情報であってもよい。
【0058】
例えば、取得部16aは、第2車室センサ15としてのレーダーの検出結果に基づいて、手位置情報を取得する。上述したように、第2車室センサ15は、ステアリングホイール12の位置調整が行われた場合にステアリングホイール12とは一体に移動しない。よって、ステアリングホイール12の位置調整がどのように行われたかによらず、運転席11aに座る運転者2の手3は、第2車室センサ15の検出範囲内に位置している。ゆえに、第2車室センサ15は、第2車室センサ15に対する運転者2の手3の相対位置を検出できる。詳細には、少なくとも運転者2の手3がステアリングホイール12の近くにある場合、第2車室センサ15は、第2車室センサ15に対する運転者2の手3の相対位置を検出できる。よって、取得部16aは、第2車室センサ15に対する運転者2の手3の相対位置に基づいて、手位置情報を取得できる。
【0059】
ここで、取得部16aは、例えば、第1車室センサ14としてのカメラにより撮像される画像に基づいて、第2車室センサ15により検出された運転者2の手3が右手3aであるか左手3bであるかを判断できる。例えば、取得部16aは、運転者2の体の一部が映る画像に対して画像処理を施すことによって、運転者2の関節の位置等を認識できる。取得部16aは、このような認識の結果に基づいて、第2車室センサ15により検出された運転者2の手3が右手3aであるか左手3bであるかを判断できる。ゆえに、取得部16aは、運転者2の右手3aの位置に関する右手位置情報、および、運転者2の左手3bの位置に関する左手位置情報を手位置情報として取得できる。
【0060】
ステップS104の次に、ステップS105において、処理部16bは、運転者2の手3のステアリングホイール12に対する接触状態を検出する検出処理を行い、図3に示される処理フローは終了する。
【0061】
処理部16bは、検出処理において、ステップS104で取得された手位置情報、および、ステップS103で取得された操作部位置情報に基づいて、運転者2の手3のステアリングホイール12に対する接触状態を検出する。
【0062】
図5は、処理装置16が行う接触状態の検出に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。図5に示される処理フローは、図3のステップS105において実行される。図5におけるステップS301は、図5に示される処理フローの開始に対応する。図5におけるステップS304は、図5に示される処理フローの終了に対応する。
【0063】
図5に示される処理フローが開始されると、ステップS302において、処理部16bは、運転者2の右手3aのステアリングホイール12に対する接触状態を検出する。
【0064】
ステップS302では、処理部16bは、右手位置情報および操作部位置情報に基づいて、運転者2の右手3aのステアリングホイール12に対する接触状態を検出する。例えば、処理部16bは、右手位置情報により示される右手3aの位置、および、操作部位置情報により示されるステアリングホイール12の位置に基づいて、右手3aとステアリングホイール12との間の距離を特定する。そして、右手3aとステアリングホイール12との間の距離が閾値より短い場合、処理部16bは、右手3aがステアリングホイール12に接触していると判断する。一方、右手3aとステアリングホイール12との間の距離が閾値より長い場合、処理部16bは、右手3aがステアリングホイール12に接触していないと判断する。このように、閾値は、手3がステアリングホイール12に接触していると判断できる程度に短い値に設定される。
【0065】
ステップS302の次に、ステップS303において、処理部16bは、運転者2の左手3bのステアリングホイール12に対する接触状態を検出し、図5に示される処理フローは終了する。
【0066】
ステップS302では、処理部16bは、左手位置情報および操作部位置情報に基づいて、運転者2の左手3bのステアリングホイール12に対する接触状態を検出する。例えば、処理部16bは、左手位置情報により示される左手3bの位置、および、操作部位置情報により示されるステアリングホイール12の位置に基づいて、左手3bとステアリングホイール12との間の距離を特定する。そして、左手3bとステアリングホイール12との間の距離が閾値より短い場合、処理部16bは、左手3bがステアリングホイール12に接触していると判断する。一方、左手3bとステアリングホイール12との間の距離が閾値より長い場合、処理部16bは、左手3bがステアリングホイール12に接触していないと判断する。
【0067】
上記のように、処理装置16によれば、運転者2の手3のステアリングホイール12に対する接触状態を検出することができる。接触状態の検出結果は、例えば、制御部16cにより行われる自動走行制御に利用される。例えば、制御部16cは、右手3aおよび左手3bの両方がステアリングホイール12に接触している場合に限り、自動走行制御を許可してもよい。また、例えば、制御部16cは、自動走行制御の実行中において、右手3aおよび左手3bの少なくとも一方がステアリングホイール12に接触していない場合、その旨を運転者2に対して報知してもよい。
【0068】
以上説明したように、処理装置16では、取得部16aが、運転者2の手3の位置に関する手位置情報、および、ステアリングホイール12の位置に関する操作部位置情報を取得し、処理部16bが、運転者2の状態を検出する検出処理を行う。そして、処理部16bは、検出処理において、手位置情報および操作部位置情報に基づいて、運転者2の手3のステアリングホイール12に対する接触状態を検出する。それにより、ステアリングホイール12に設けられる静電容量型の近接センサを用いて接触状態を検出する方法等では接触状態を検出することが困難な場合(例えば、運転者2が手袋を着用している場合等)においても、運転者2の手3のステアリングホイール12に対する接触状態を検出することができる。ゆえに、処理装置16によれば、運転者2の手3のステアリングホイール12に対する接触状態を適切に検出することができる。
【0069】
以上、図3図5を参照して、処理装置16が行う処理例について説明した。ただし、処理装置16が行う処理は、上記の処理例に限定されず、例えば、上記の処理例に対して適宜変更を施した処理であってもよい。
【0070】
例えば、上記では、第1車室センサ14がカメラである例を説明した。ただし、第1車室センサ14は、カメラ以外のセンサであってもよい。例えば、第1車室センサ14は、レーダーであってもよい。この場合、例えば、図4のステップS203において、取得部16aは、ステアリングホイール12の位置調整が行われた場合にステアリングホイール12と一体に移動する第1車室センサ14としてのレーダーを用いて、位置調整情報を取得してもよい。
【0071】
また、例えば、上記では、第2車室センサ15がレーダーである例を説明した。ただし、第2車室センサ15は、レーダー以外のセンサであってもよい。例えば、第2車室センサ15は、カメラであってもよい。この場合、例えば、図3のステップS104において、取得部16aは、ステアリングホイール12の位置調整が行われた場合にステアリングホイール12とは一体に移動しない第2車室センサ15としてのカメラを用いて、手位置情報を取得してもよい。
【0072】
また、例えば、上記では、取得部16aが、運転者2の右手3aの位置に関する右手位置情報、および、運転者2の左手3bの位置に関する左手位置情報を手位置情報として取得する例を説明した。ただし、取得部16aは、運転者2の手3が右手3aであるか左手3bであるかを区別せずに、単に手3の位置に関する手位置情報を取得してもよい。この場合、例えば、手3とステアリングホイール12との間の距離が閾値より短い場合、処理部16bは、手3がステアリングホイール12に接触していると判断する。一方、手3とステアリングホイール12との間の距離が閾値より長い場合、処理部16bは、手3がステアリングホイール12に接触していないと判断する。
【0073】
また、例えば、上記では、処理部16bが運転者2の手3のステアリングホイール12に対する接触状態の検出を行う例を説明した。ただし、接触状態の検出対象となる操作部は、車室1a内の操作部であればよく、ステアリングホイール12以外であってもよい。例えば、処理部16bは、運転者2の手3のシフトレバーに対する接触状態の検出を行ってもよい。
【0074】
<処理装置の効果>
本発明の実施形態に係る処理装置16の効果について説明する。
【0075】
処理装置16は、運転者2の手3の位置に関する手位置情報、および、車両1の車室1a内の操作部(上記の例では、ステアリングホイール12)の位置に関する操作部位置情報を取得する取得部16aと、運転者2の状態を検出する検出処理を行う処理部16bとを備える。そして、処理部16bは、検出処理において、手位置情報および操作部位置情報に基づいて、運転者2の手3の操作部に対する接触状態を検出する。それにより、操作部に設けられる静電容量型の近接センサを用いて接触状態を検出する方法等では接触状態を検出することが困難な場合(例えば、運転者2が手袋を着用している場合等)においても、運転者2の手3の操作部に対する接触状態を検出することができる。ゆえに、処理装置16によれば、運転者2の手3の操作部に対する接触状態を適切に検出することができる。
【0076】
好ましくは、処理装置16では、操作部は、車両1のステアリングホイール12である。それにより、運転者2の手3のステアリングホイール12に対する接触状態を適切に検出することができる。
【0077】
好ましくは、処理装置16では、取得部16aは、ステアリングホイール12の位置を調整する位置調整に関する位置調整情報を取得し、位置調整情報に基づいて、操作部位置情報を取得する。それにより、ステアリングホイール12の位置調整を加味して、操作部位置情報を精度良く取得できる。ゆえに、運転者2の手3のステアリングホイール12に対する接触状態を精度良く検出することができる。
【0078】
好ましくは、処理装置16では、車両1には、車室1a内の状態を検出し、ステアリングホイール12の位置調整が行われた場合にステアリングホイール12と一体に移動する第1車室センサ14が設けられ、取得部16aは、第1車室センサ14の検出結果に基づいて、位置調整情報を取得する。それにより、ステアリングホイール12の位置調整が行われた場合にステアリングホイール12と一体に移動する第1車室センサ14を利用することで、位置調整情報を精度良く取得できる。ゆえに、操作部位置情報をより精度良く取得できるので、運転者2の手3のステアリングホイール12に対する接触状態をより精度良く検出することができる。
【0079】
好ましくは、処理装置16では、車両1には、車室1a内の状態を検出し、ステアリングホイール12の位置を調整する位置調整が行われた場合にステアリングホイール12とは一体に移動しない第2車室センサ15が設けられ、取得部16aは、第2車室センサ15の検出結果に基づいて、手位置情報を取得する。それにより、ステアリングホイール12の位置調整が行われた場合にステアリングホイール12とは一体に移動しない第2車室センサ15を利用することで、手位置情報を取得することが適切に実現される。ゆえに、運転者2の手3のステアリングホイール12に対する接触状態をより適切に検出することができる。
【0080】
好ましくは、処理装置16では、取得部16aは、運転者2の右手3aの位置に関する右手位置情報、および、運転者2の左手3bの位置に関する左手位置情報を手位置情報として取得し、処理部16bは、検出処理において、右手位置情報、左手位置情報および操作部位置情報に基づいて、運転者2の右手3aの操作部(上記の例では、ステアリングホイール12)に対する接触状態、および、運転者2の左手3bの操作部(上記の例では、ステアリングホイール12)に対する接触状態をそれぞれ検出する。それにより、運転者2の手3が右手3aであるか左手3bであるかを区別し、運転者2の手3の操作部に対する接触状態をより細かく検出することができる。
【0081】
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例または修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
【0082】
例えば、本明細書においてフローチャートを用いて説明した処理は、必ずしもフローチャートに示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0083】
また、例えば、上記で説明した処理装置16による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、および、ソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、情報処理装置の内部または外部に設けられる記憶媒体に予め格納される。
【符号の説明】
【0084】
1 車両
1a 車室
2 運転者
3 手
3a 右手
3b 左手
11 座席
11a 運転席
11b 助手席
12 ステアリングホイール
13 ステアリングコラム
14 第1車室センサ
15 第2車室センサ
16 処理装置
16a 取得部
16b 処理部
16c 制御部
図1
図2
図3
図4
図5