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  • 特開-車両制御システム 図1
  • 特開-車両制御システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001266
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】車両制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20241225BHJP
【FI】
B60H1/00 101Q
B60H1/00 101E
B60H1/00 101F
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100760
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井ノ口 貴章
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA01
3L211DA10
3L211EA12
3L211EA56
3L211FA02
(57)【要約】
【課題】乗員から空調制御の指示がない場合においても、各種センサの情報に基づき空調の内容を決定して制御する車両制御システムを実現する。
【解決手段】車両制御システムは、乗員を検出するセンサ16からの情報を受け付け、車内の乗員の有無を検出する乗員検出部38と、内部・外部気温センサ18,20のそれぞれで測定された気温情報を受け付け、内部と外部との気温差を算出し、当該気温差を所定値と比較する気温測定部40と、前記乗員から空調制御の指示を受け付け、前記乗員検出部38および前記気温測定部40からの情報に基づき、車両の内部の空調を制御する空調制御部46と、を備え、前記空調制御部46は、イグニッションスイッチオフ後、前記指示がある場合に、前記指示に基づき、前記空調を制御し、前記指示がない場合であって、前記気温差が前記所定値以上の場合に、前記気温差と前記所定値との差に基づき、前記空調の内容を決定して制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員を検出するセンサからの情報を受け付け、車内の乗員の有無を検出する乗員検出部と、
内部気温センサおよび外部気温センサのそれぞれで測定された気温情報を受け付け、内部気温と外部気温との気温差を算出し、当該気温差を所定値と比較する気温測定部と、
前記乗員から空調制御の指示を受け付け、前記乗員検出部および前記気温測定部からの情報に基づいて、車両の内部の空調を制御する空調制御部と、
を備え、
前記空調制御部は、イグニッションスイッチがオフになった後において、
前記指示がある場合に、前記指示に基づいて、前記空調を制御し、
前記指示がない場合であって、前記気温差が前記所定値以上の場合に、前記気温差と前記所定値との差に基づいて、前記空調の内容を決定して制御する、
ことを特徴とする車両制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、車室内の温度などの環境を制御する空調装置が設けられている。空調装置の作動は、車両の制御システムにより制御されるが、この制御はユーザが車内にいる場合に限らない。例えば、リモート空調機能や、乗員が車両に乗り込む前に、あらかじめ車両の空調装置を作動させる機能(以下、適宜「プレ空調」と称する。)を備えた車両が開発されている。
【0003】
特許文献1には、利用者が降車した後における車内の換気を制御する車両換気制御システムが開示されている。この車両換気制御システムは、利用者が降車した後に入力した指示信号に基づいて、利用者が次回乗車するときの車内の温度が快適な温度となるように空調を制御する。また、この車両換気制御システムは、各種センサからの情報に基づいて換気の内容を変えるため、利用者の快適性を高めることが可能であり自由度の高いシステムとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】2020-124936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、プレ空調のように空調装置をある条件の下自動的に作動させる技術が必要な状況は、乗員が車両に乗り込む前に限らない。例えば、車内に子供などが置き去りにされた場合に車内の人(この場合、当該子供)の体調不良を防ぐためには、イグニッションスイッチをオフにした後においても、空調装置が自動的に作動される必要がある。子供が車内に放置された場合、運転者であるユーザは車内放置に気付いていないことがある。また、子供に限らず車内の乗員自身が、空調装置を作動させることができない場合もある。したがって、所定の条件に該当する場合に、自動的に空調を作動させる、または、換気を行う車両制御システムが必要となる。なお、「空調」とは、空気調節を意味するため、以下、「空調装置の作動」や「空調の作動」などの表現には、空気調節のために空気を入れ替える「換気」も含まれる。
【0006】
本明細書では、乗員からの空調制御の指示がない場合においても、各種センサから受け付けた情報に基づいて、空調の内容を決定して制御する車両制御システムを実現する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示する車両制御システムは、乗員を検出するセンサからの情報を受け付け、車内の乗員の有無を検出する乗員検出部と、内部気温センサおよび外部気温センサのそれぞれで測定された気温情報を受け付け、内部気温と外部気温との気温差を算出し、当該気温差を所定値と比較する気温測定部と、前記乗員から空調制御の指示を受け付け、前記乗員検出部および前記気温測定部からの情報に基づいて、車両の内部の空調を制御する空調制御部と、を備え、前記空調制御部は、イグニッションスイッチがオフになった後において、前記指示がある場合に、前記指示に基づいて、前記空調を制御し、前記指示がない場合であって、前記気温差が前記所定値以上の場合に、前記気温差と前記所定値との差に基づいて、前記空調の内容を決定して制御する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本明細書で開示の車両制御システムによれば、乗員からの空調制御の指示がない場合においても、各種センサから受け付けた情報に基づいて、空調の内容を決定して制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】車両制御システムの構成を示すブロック図である。
図2】車両制御システムにおける処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して車両制御システムについて説明する。実施形態においては、車両制御システムは、車両に搭載されるとして説明するが、本明細書で開示する車両制御システムは、これに限らず、一部を車両の外部に設置してもよい。例えば、車両から各種センサの検出値を外部のセンターに送信し、外部のセンターが空調制御信号を車両に送信することで、車両における空調を制御できる。
【0011】
図1は、車両制御システムの構成を示すブロック図である。車両制御システム10は、制御部12と、各種センサ14と、を備え、各種センサ14からの情報に基づいて、制御部12により空調の内容を決定して制御するシステムである。なお、上述もしたように、「空調」とは、空気調節を意味するため、「空調の内容」には、空気調節のために空気を入れ替える「換気」も含まれる。すなわち、「空調の内容」には、空調装置は作動させずに、窓開けによる換気のみを行う場合も含まれる。
【0012】
図1に示すように、各種センサ14には、乗員検出センサ16と、内部気温センサ18と、外部気温センサ20と、車外環境センサ22と、が含まれる。乗員検出センサ16は、車内に乗員がいるか否かを検出するために用いられるセンサである。乗員検出センサ16には、例えば、着座センサ24と、体重検知センサ26と、ベルトバックルセンサ30と、ドアセンサ32と、が含まれる。着座センサ24、体重検知センサ26、および、ベルトバックルセンサ30は、車両のシートに設置されており、乗員が着座していること、または、少なくとも乗員がシート上にいることを検出するために用いられる。ドアセンサ32は、ドアの開閉を検出する。
【0013】
内部気温センサ18は、車室の内部気温を測定する。また、外部気温センサ20は、車室の外部気温を測定する。
【0014】
車外環境センサ22には、車両の外部に存在する物体を検出するセンサや、車外の天気や積雪の状況を検出するセンサなど、各種の既存のセンサがあるが、本例においては、特に車外の天気を検出するセンサを用いる。例えば、車外環境センサ22には、日射センサ34と、雨滴センサ36と、が含まれる。日射センサ34は、例えば、車室内のフロントウインドウ近傍に配置され、車室内における日射の強度を測定する。雨滴センサ36は、フロントウインドウに配置され、フロントウインドウに付着する雨滴の量を測定する。
【0015】
上記の各種センサ14で検出された情報は、制御部12に渡される。制御部12は、マイクロコンピュータなどから構成されたECU(Electronic Control Unit)を含んで構成され、車両制御システム10の各部の動作を制御する。また、制御部12は、乗員検出部38と、気温測定部40と、通信部42と、記憶部44と、空調制御部46と、を有する。当該各部については後述する。
【0016】
図1に示すように、車両制御システム10は、通信部42を介して、イグニッションスイッチ48と通信可能に構成されている。イグニッションスイッチ48は、運転席近傍に設けられる。イグニッションスイッチ48がユーザによりオン状態に操作されると、車両は走行可能な状態となる。なお、車両制御システム10には、イグニッションスイッチ48がオフ状態になった後も2次電源によって電源が供給される。このイグニッションスイッチ48におけるオン・オフの情報も、各種センサ14で検出された情報と同様に、制御部12に渡される。
【0017】
次に、制御部12が有する各部について説明する。乗員検出部38は、乗員検出センサ16からの情報を受け付け、車内の乗員の有無を検出する。例えば、イグニッションスイッチ48がオフ状態となった後に、着座センサ24によって乗員がシートに座っていることが検出された場合、乗員検出部38は、車内に乗員がいると判断する。また、例えば、イグニッションスイッチ48がオフ状態となった後に、ドアセンサ32によってドアの開閉が検出されない場合、乗員検出部38は、車内に乗員がいると判断する。
【0018】
気温測定部40は、内部気温センサ18および外部気温センサ20のそれぞれで測定された気温情報を受け付ける。そして、気温測定部40は、受け付けた内部気温と外部気温との気温差を算出し、当該気温差をあらかじめ定めた所定値と比較する。ここで、あらかじめ定めた所定値とは、真夏であれば何度以上、晴天の日であれば何度以上、などと季節や天気ごとに設定してもよいし、単に0より大きい(すなわち、車両の内部気温が外部気温以上)と設定してもよい。なお、制御部12は、当該所定値を、あらかじめ記憶部44に格納する。
【0019】
通信部42は、通信インタフェースであり、図示しない通信ネットワークを介して、車両制御システム10と外部との間のデータを送受する。また、制御部12は、乗員が空調制御を指示した場合に、当該指示を受け付けて、記憶部44に格納する。
【0020】
記憶部44には、制御部12の制御により、上記の各種センサ14で検出した情報や、乗員検出部38が行った乗員の有無の判断の結果、気温測定部40が行った気温差と所定値との比較の結果、などの情報が格納される。
【0021】
空調制御部46は、制御部12の制御により、乗員検出部38および気温測定部40からの情報に基づいて、車両の内部の空調を制御する。なお、各情報は、空調制御部46に直接供給されてもよいし、一旦記憶部44に記憶された後、空調制御部46に供給されてもよい。例えば、イグニッションスイッチ48がオフになった後において、乗員から空調制御の指示がある場合には、空調制御部46は、当該指示に基づいて、空調を制御する。一方、イグニッションスイッチ48がオフになった後において、乗員から空調制御の指示がない場合であって、車両の内部気温と外部気温との気温差が所定値以上の場合には、空調制御部46は、当該気温差と所定値との差に基づいて、空調の内容を決定して制御する。空調制御の一例としては、例えば、空調制御部46は、窓を開放するとともに、空調装置の送風機能を作動させる。または、空調制御部46は、空調装置は作動させずに、単に窓を開放する。なお、上記の「乗員からの空調制御の指示」については、乗員が空調装置を作動させるためのスイッチを押すなどの直接的な指示がある場合に加えて、プレ空調が設定されている場合にも、乗員からの指示があるとしてもよい。
【0022】
制御部12が行う空調制御について、図2を用いてさらに説明する。図2は、車両制御システムにおける処理の一例を示すフローチャートである。制御部12は、イグニッションスイッチ48がオフ状態になった後において、例えば所定時間経過後に、車内の乗員の有無を検出するために乗員検出部38を制御して作動させる。制御部12は、車内に乗員を検出すると(S10)、各種センサ14で検出された情報(例えば、外部気温センサ20および日射センサ34で検出された情報)に基づき、空調の作動が必要か否か判断する。空調の作動が必要な場合(例えば、上記の情報から、車内が暑くなると予想できる場合など)には、制御部12は、車内の乗員に対して、空調の作動を促す(S12)。ステップS12での空調の作動を促す方法は、例えば、文字での表示や音声での発音、あらかじめ用意しているランプの点灯または点滅、などであってよい。次に、制御部12は、乗員からの空調制御の指示があるか否かを判定する(S14)。乗員からの空調制御の指示がある場合には(S14でYes)、制御部12は、空調制御部46により、当該指示に基づいて、空調を制御する。一方、乗員から空調制御の指示がない場合には(S14でNo)、制御部12は、処理をステップS18に進める。
【0023】
次に、制御部12は、気温測定部40を制御して、内部気温と外部気温との気温差を算出させ、当該気温差を所定値と比較する(S18)。制御部12は、ステップS18での比較により、空調の制御が必要か否かを判定する(S20)。空調の制御が必要でない場合(S20でNo)、制御は行われない(S22)。一方、空調の制御が必要な場合(S20でYes)、制御部12は、さらに各種センサ14で検出された情報を確認する。具体的には、制御部12は、雨滴センサ36で検出された情報およびインターネットなどを介して通信部42から取得した車両の現在地の天気予報を示す情報を確認する(S24)。制御部12は、ステップS24で得た情報に基づいて、窓の開放が可能か否か判定する(S26)。窓の開放が可能な場合(S26でYes)、制御部12は、空調制御部46により、空調を制御(すなわち、窓を開放)する(S28)。一方、窓の開放が不可な場合(S26でNo)、制御部12は、空調制御部46により、空調を制御(すなわち、窓を開放せず、空調装置の機能のみ作動)する(S30)。
【0024】
なお、これまでの説明は一例であり、本明細書で開示する車両制御システムの構成は、適宜、変更されてもよい。車両制御システム10は、イグニッションスイッチ48がオフ状態になった後、車内に乗員がいる場合において、当該乗員の空調の作動の意思が確認できない場合に、車内が少しでも涼しい環境になるように、車内外の状況に応じて自動的に空調が作動できればよい。したがって、制御部12に渡される各種センサ14で検出された情報は、実施形態で説明した情報に限らない。また、例えば、制御部12は、図2のステップS30で空調制御部46により空調を制御した後、例えば所定時間経過後に、再度ステップS18およびS20に戻り、気温差と所定値とを比較し、空調の制御が必要か否かの判定を行ってもよい。
【符号の説明】
【0025】
10 車両制御システム、12 制御部、14 各種センサ、16 乗員検出センサ、18 内部気温センサ、20 外部気温センサ、38 乗員検出部、40 気温測定部、42 通信部、46 空調制御部。
図1
図2