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  • 特開-回転電機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012673
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/04 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
H02K9/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115689
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】319007240
【氏名又は名称】株式会社日立インダストリアルプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 琢人
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 丈晴
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609BB02
5H609BB18
5H609PP05
5H609PP06
5H609PP07
5H609PP11
5H609QQ02
5H609QQ13
5H609RR12
5H609RR38
5H609RR63
(57)【要約】      (修正有)
【課題】軸受の昇温を低減し、軸受の潤滑寿命を延ばすことができる回転電機を提供する。
【解決手段】回転電機1は、軸方向に所定の距離をもって配置された第1のブラケット5a及び第1の軸受4aと第2のブラケット5b及び第2の軸受4bの間に配置され、シャフト8と共に回転する回転子6と、回転子と径方向に所定のエアギャップをもって配置された固定子2と、を備える。第1の軸受に隣接する固定子の第1端側から冷却空気が取り込まれ、第2の軸受に隣接する固定子の第2端側から冷却空気が排出される複数の内気流路2bを備える。内気流路は、固定子の外周、固定子と回転子の間及び回転子の内部を冷却空気が流れる第1の流路と、ステータフレームに設けられ、第1の流路を流れない別の冷却空気が流れる第2の流路と、から成り、第2の軸受は、第2の流路を流れた別の冷却空気が通る流路に隣接して配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータフレームに固定された第1のブラケット及び第2のブラケットと、前記第1のブラケット及び前記第2のブラケットに保持されている第1の軸受及び第2の軸受と、軸方向に所定の距離をもって配置された前記第1のブラケット及び前記第1の軸受と前記第2のブラケット及び前記第2の軸受の間に配置され、シャフトと共に回転する回転子と、該回転子と径方向に所定のエアギャップをもって配置された固定子と、を備えた回転電機であって、
前記第1の軸受に隣接する前記固定子の第1端側から冷却空気が取り込まれ、前記第2の軸受に隣接する前記固定子の第2端側から前記冷却空気が排出される複数の内気流路を備え、
複数の前記内気流路は、前記固定子の外周、前記固定子と前記回転子の間及び前記回転子の内部を前記冷却空気が流れる第1の流路と、前記ステータフレームに設けられ、前記第1の流路を流れない別の冷却空気が流れる第2の流路と、から成り、
前記第2の軸受は、前記第2の流路を流れた前記別の冷却空気が通る流路に隣接して配置されていることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機であって、
複数の前記内気流路は、機内に導入された前記冷却空気が前記回転子の内部に向かう第1の内気として流れる回転子鉄心の通風路と、機内に導入された前記冷却空気が前記回転子と前記固定子の間を第2の内気として流れる前記エアギャップと、機内に導入された前記冷却空気が第3の内気として流れる前記固定子の外周に形成された内気流路とから成り、
前記回転子鉄心の通風路、前記エアギャップ及び前記内気流路が、前記第1の流路を構成していることを特徴とする回転電機。
【請求項3】
請求項2に記載の回転電機であって、
前記第2の流路を流れた前記別の冷却空気が通る流路は、前記第2の軸受が取り付けられている前記第2のブラケット側に設けられ、昇温していない前記別の冷却空気が流れる軸受側流路であり、前記第2の流路から前記軸受側流路に前記別の冷却空気を導入し、前記別の冷却空気で前記第2の軸受を冷却することを特徴とする回転電機。
【請求項4】
請求項3に記載の回転電機であって、
前記第2のブラケットの内気側に、前記軸受側流路と前記第1の内気、前記第2の内気及び前記第3の内気が合流する前記冷却空気が通る反軸受側流路とを仕切り、前記第2のブラケットに固定された仕切り板が配置されていることを特徴とする回転電機。
【請求項5】
請求項4に記載の回転電機であって、
前記仕切り板は、前記第2のブラケットにボルトで固定され、前記仕切り板の固定部分にはガスケットが介在されていることを特徴とする回転電機。
【請求項6】
請求項5に記載の回転電機であって、
前記軸受側流路と外気を連結する配管を設け、前記軸受側流路に外気を導くことを特徴とする回転電機。
【請求項7】
請求項5に記載の回転電機であって、
前記第2のブラケットの外表面に、フィンが設けられていることを特徴とする回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回転電機に係り、特に、軸受の冷却構造を改良した回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、回転電機の高出力密度の増加に伴い、コイル温度の上昇と、それに引く続く回転電機内の冷却空気温度の上昇、そして、軸受部の温度上昇が発生する。
【0003】
回転電機の軸受は、グリースや油により潤滑されるが、軸受部の温度上昇を低減することが、グリースや油の劣化を低減し、軸受の潤滑寿命の延長につながる。
【0004】
このような回転電機の軸受部における冷却構造に関しての先行技術文献としては、特許文献1の「全閉型回転電動機」を挙げることができる。
【0005】
この特許文献1には、機体内を効率よく冷却することができると共に、騒音を低減するために、固定子鉄心と、この固定子鉄心の軸方向両端側に固定された第1及び第2のブラケットを有し密閉されたケースと、固定子鉄心の一端側で第1のブラケットに取り付けられた第1の軸受と、固定子鉄心の他端側で第2のブラケットに取り付けられた第2の軸受と、第1及び第2の軸受により回転自在に支持され、ケース内を延びたシャフトと、シャフトに取り付けられ固定子鉄心の内周側に設けられた回転子鉄心と、第1の軸受と回転子鉄心との間でシャフトに取り付けられ、シャフトと一体に回転自在な通風ファンと、第1の軸受の近傍で第1のブラケットに形成された吸気口と、通風ファンの回転により、吸気口から吸気された外気を第1の軸受側から第2の軸受側に導く外気流通路と、を備えている「全閉型回転電動機」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-98791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の「全閉型回転電動機」の構造では、シャフトに通風ファンを固定するための長さを確保する必要があり、回転により冷却性能が依存するため、低い回転数では冷却が劣り軸受が昇温する可能性があり、軸受の潤滑寿命が低下する恐れがある。
【0008】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、軸受の昇温を低減し、軸受の潤滑寿命を延ばすことができる回転電機を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の回転電機は、上記目的を達成するために、ステータフレームに固定された第1のブラケット及び第2のブラケットと、前記第1のブラケット及び前記第2のブラケットに保持されている第1の軸受及び第2の軸受と、軸方向に所定の距離をもって配置された前記第1のブラケット及び前記第1の軸受と前記第2のブラケット及び前記第2の軸受の間に配置され、シャフトと共に回転する回転子と、該回転子と径方向に所定のエアギャップをもって配置された固定子と、を備えた回転電機であって、前記第1の軸受に隣接する前記固定子の第1端側から冷却空気が取り込まれ、前記第2の軸受に隣接する前記固定子の第2端側から前記冷却空気が排出される複数の内気流路を備え、複数の前記内気流路は、前記固定子の外周、前記固定子と前記回転子の間及び前記回転子の内部を前記冷却空気が流れる第1の流路と、前記ステータフレームに設けられ、前記第1の流路を流れない別の冷却空気が流れる第2の流路と、から成り、前記第2の軸受は、前記第2の流路を流れた前記別の冷却空気が通る流路に隣接して配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、軸受の昇温を低減し、軸受の潤滑寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の回転電機の実施例1を示す縦断面図である。
図2図1の排気側の軸受部周辺を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図示した実施例に基づいて本発明の回転電機を説明する。なお、各図において、同一構成部品には同符号を使用する。
【実施例0013】
図1に、本発明の回転電機1の実施例1を示す。
【0014】
図1に示す本実施例の回転電機1は、固定子2と、固定子2を支えるステータフレーム3と、ステータフレーム3に固定され、第1の軸受4a及び第2の軸受4bを保持する第1のブラケット5a及び第2のブラケット5bと、第1の軸受4a及び第2の軸受4bに保持されて回転する回転子6と、回転子6を構成する回転子鉄心7及びシャフト8と、シャフト8に取り付けられ、回転電機1内に冷却空気を導入するファン9と、から概略構成されている。
【0015】
また、ステータフレーム3に取り付けられているファン9は、ステータフレーム3の入気口3aから外気(冷却空気)10を導入して固定子2と回転子6を冷却し、固定子2と回転子6を冷却し終えた内気16を、ステータフレーム3の排気口11から外部に排出している。
【0016】
次に、一般的な回転電機の冷却システムについて説明する。
【0017】
先ず、ファン9から入気した外気(冷却空気)10は、第1の軸受4aに隣接する固定子2の第1端側(図1の右側)から回転電機1内に導入され、回転子鉄心7の通風路(内気流路)7aを通り回転子6の内部に向かい、通風路7aを通過した内気16が固定子コイルエンド部2aに流れる第1の内気12a、固定子2と回転子6の間に形成されているエアギャップ(内気流路)Gを流れる第2の内気12b、固定子2の外周に形成された内気流路2bを流れる第3の内気12cに分流され(第1の内気12a、第2の内気12b及び第3の内気12cが通る流路(通風路7a、エアギャップG及び内気流路2b)が第1の流路である)、これらの内気(冷却空気)により、回転電機1内の固定子2と回転子6が冷却される。
【0018】
また、固定子コイルエンド部2aに流れる第1の内気12aは、固定子コイルエンド部2aを冷却した後、第2の内気12b及び第3の内気12cと合流し、最後に、排気側の第2のブラケット5bがある側、即ち、第1の内気12aは、冷却空気の下流側の固定子コイルエンド部2aを冷却して昇温した後、第2の内気12b及び第3の内気12cと合流し、第2の軸受4bに隣接する固定子2の第2端側のステータフレーム3の排気口11から矢印13で示すように導出される。
【0019】
以上が、一般的な回転電機、特に、外気(冷却空気)10を回転電機1の内部に導入し、内気16を回転子6のシャフト8と平行に一方向に流して、回転子6と固定子2を冷却する回転電機1の冷却システムの構成である。
【0020】
この冷却システムでは、回転子6と固定子2を冷却し、昇温した第1の内気12a、第2の内気12b及び第3の内気12cが、第2の軸受4bの温度を上昇させる恐れがある。
【0021】
このため、本実施例では、第2の軸受4bの過熱を防止するように、冷却空気の下流側の第2の軸受4bを取り付けている第2のブラケット5b側に、昇温していない冷却空気15が流れる軸受側流路14aを設けている。
【0022】
更に、ステータフレーム3に設けた第2の流路(この第2の流路は、第1の内気12a、第2の内気12b及び第3の内気12cは流れない)である通風路21から軸受側流路14aに、第1の内気12a、第2の内気12b及び第3の内気12cとは別の冷却空気15を導入し、この冷却空気15を、軸受側流路14aを流すことで第2の軸受4bを冷却している。
【0023】
図2に、図1の排気側の軸受部周辺の拡大図を示す。
【0024】
図2に示すように、第2の軸受4bへの熱の流入は、順に、第1の内気12a、第2の内気12b及び第3の内気12cが合流した内気16から第2のブラケット5bへの熱伝達、第2のブラケット5bから第2の軸受4bへの熱伝導である。
【0025】
具体的には、第2のブラケット5bから第2の軸受4bを構成する外輪4c、グリース4g、転動体4dに熱が伝わる。また、固定子2からステータフレーム3を熱伝導し、第2のブラケット5bに伝わる熱もある。また、シャフト8から第2の軸受4bを構成する内輪4f、転動体4d、グリース4gへ伝わる熱もある。更に、転動体4dと内輪4f及び外輪4cとの摩擦熱や転動体4dがグリース4gを攪拌することによって発生する熱もある。
【0026】
通常、第2の軸受4bの冷却は、第2の軸受4bの潤滑材を冷却する装置を有しない場合は、外気に晒されるベアリングボックス17から外気への熱伝達が主である。特に、グリース潤滑の転がり軸受では、基本的に、その他の冷却要素はない。
【0027】
このため、本実施例では、第2の軸受4bの温度を低減してグリース4gの劣化を抑え、第2の軸受4bの潤滑寿命を延ばすために、第2の軸受4bへの入熱を減らし、冷却を向上させる簡便な構造を実現する。即ち、第1の内気12a、第2の内気12b及び第3の内気12cが合流する内気16から第2のブラケット5bへの入熱を減らすために、第2のブラケット5bの内気16側で、内気16に晒される部位に軸受側流路14aを設け、この軸受側流路14aに通風路21から冷却空気15を導入している。
【0028】
具体的には、第2のブラケット5bの内気16側に、軸受側流路14aと第1の内気12a、第2の内気12b及び第3の内気12cが合流する内気16が通る反軸受側流路14bとを仕切り、第2のブラケット5bにボルト22で固定された仕切り板18を配置している。
【0029】
更に、仕切り板18をボルト22で第2のブラケット5bに固定する際に、スポンジ状のガスケット19を仕切り板18の固定部分に介在することで、軸受側流路14aと反軸受側流路14bが封止され、内気16の軸受側流路14aと反軸受側流路14bへの往来を防止している。
【0030】
言い換えると、元々形成されている回転電機1の排気側の通風路を仕切り板18で2つに分離し、一方の通風路(反軸受側流路14b)を内気16が通り、他方の通風路(軸受側流路14a)を内気16とは異なる冷却空気(通風路21からの冷却空気15)が通るようにしたものである。
【0031】
この時、軸受側流路14aと外気を連結する配管20や弁(図示せず)を設けて、軸受側流路14aに低温の外気を導いてもよい。
【0032】
上記した第2のブラケット5bに設けた仕切り板18は、固定子2からステータフレーム3を熱伝導してくる熱に対しても熱抵抗となり、第2の軸受4bへの入熱を抑え、第2の軸受4bの昇温を低減することができる。
【0033】
更に、本実施例では、第1の内気12a、第2の内気12b及び第3の内気12cの流路とは別に、ステータフレーム3に通風路21を設けているので、仕切り板18で仕切られた軸流側流路14aに通風路21からの冷却空気15を導入することで、第2のブラケット5bの機内側の外表面を除熱することができる。
【0034】
上記したステータフレーム3に設けた通風路21は、固定子2と回転子6を通過しない冷却空気15が通る流路のため、 固定子2と回転子6からの入熱を抑え、第1の内気12a、第2の内気12b及び第3の内気12cよりも低い温度の冷却空気15を軸受側流路14aに導入することができる。この冷却空気15は、第2のブラケット5bの機内側の外表面を冷却した後、排気口11から排出される。
【0035】
また、第2のブラケット5bの外表面にフィンを設けて、第2のブラケット5bの外表面の外気による熱伝達特性を向上させることにより、第2の軸受4bの温度を低減することができる。
【0036】
このような本実施例によれば、第2の軸受4bが内気16とは異なる温まっていないステータフレーム3に設けた通風路21を通り軸受側流路14aに導入された冷却空気15で冷却されるので、第2の軸受4bの昇温が低減され、第2の軸受4bの潤滑寿命を延ばすことができるし、また、シャフト8と共に回転し冷却風を取込む通風ファンが不要となり、その分、シャフト8の長さを短くすることができる。
【0037】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1…回転電機、2…固定子、2a…固定子コイルエンド部、2b…内気流路、3…ステータフレーム、3a…ステータフレームの入気口、4a…第1の軸受、4b…第2の軸受、4c…外輪、4d…転動体、4f…内輪、4g…グリース、5a…第1のブラケット、5b…第2のブラケット、6…回転子、7…回転子鉄心、7a…回転子鉄心の通風路、8…シャフト、9…ファン、10…外気(冷却空気)、11…ステータフレームの排気口、12a…第1の内気、12b…第2の内気、12c…第3の内気、14a…軸受側流路、14b…反軸受側流路、15…冷却空気、16…内気、17…ベアリングボックス、18…仕切り板、19…ガスケット、20…配管、21…通風路、22…ボルト、G…エアギャップ。
図1
図2